JP4506079B2 - 血管新生阻害剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は血管新生阻害剤及びこれを配合してなる組成物に関する。より詳細には、霊芝から得られるガノデリン酸及び/又はその誘導体を有効成分として含有してなる血管新生阻害剤、又、これを配合してなる血管新生阻害用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
血管新生とは、動物の組織又は器官においてプロテアーゼにより血管の基底膜が分解、破壊され、血管内皮細胞が遊走して増殖し、細胞外マトリックスへ接着し、血管内皮細胞が分化して血管腔を形成することにより新しい血管脈が生成する現象をいう。一般に、幼児期や成長期には新たな血管が形成され伸長するが、成長期を過ぎると体内で血管新生が起こる場面は限定される。すなわち、血管新生は黄体形成、排卵、胚発生、胎盤形成等の通常の生理条件下で観察され、損傷の治癒、炎症の修復過程でも起こる。このように、血管新生は健常な状態で発生し、組織の回復に重要な役割を担っている。
【0003】
しかしながら、糖尿病をはじめ多くの慢性疾患において毛細血管が増加して組織に重篤な損傷をもたらすことも知られている。すなわち、血管新生が病因になり又は病態の悪化に関与している疾患として、悪性腫瘍の増大や転移、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、炎症性皮膚疾患、関節炎リウマチ、変形性関節症、粥状動脈硬化症、心筋梗塞等の閉塞性疾患等がある。
【0004】
例えば、悪性腫瘍が増殖する際には、腫瘍細胞の増殖に必要な栄養や酸素を得るために腫瘍細胞が自ら血管新生促進因子による血管の新生を誘導し、新生された血管を通して栄養分を得て腫瘍細胞はさらに増殖する。他の臓器や部位への転移も血管新生を誘導し、血流にのって腫瘍細胞が移動する。又、糖尿病性網膜症の場合には、糖尿病による粘性血液よって毛細血管が詰まり障害を受け、網膜に出血や浮腫を生じ、これが慢性化すると網膜は酸素や栄養の不足を起こすため、網膜上や神経系乳頭上に新生血管が発生し、その周囲に繊維組織が形成される。この繊維組織によって網膜が引張り上げられたり(網膜剥離)、網膜の血管が引き裂かれて出血を起こし(硝子体出血)、やがて高度視力障害や失明に至る。
【0005】
このように、血管新生は様々な疾病の発症や進行に深く関与しているため、これら疾病の治療と予防をねらいとして血管新生を抑制する物質の探索がこれまでに数多く行われ、現在も鋭意研究がすすめられている。血管新生を抑制する作用のある物質や薬剤として、硫酸化多糖体(例えば、特許文献1参照)、トラフェルミン、ヘパリン及びステロイド(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)、アスコルビン酸エーテル及びこの関連化合物(例えば、特許文献4参照)、インターフェロンα又はインターフェロンβ(例えば、非特許文献1参照)、イソフラボン類のアグリコンを含有する担子菌培養物(特許文献5参照)、鮫軟骨エキス(コンドロイチン及びムコ多糖類)、ストレプトコッカス細菌由来のポリサッカライド(例えば、特許文献6参照)、エルゴステロール及びサイクロデキストリンの併用組成物(例えば、特許文献7参照)、O−置換フマギロール誘導体(例えば、特許文献8参照)、アミノプタン酸誘導体(例えば、特許文献9参照)等が提案されている。
【0006】
しかしながら、これまで血管新生を阻害する作用を示す物質として提案、検討された物質は、その効果が実用的ではない投与条件下での実験結果に基づくものであったり、副作用の懸念があったり、あるいは利用形態において多量に摂取しなければならず、実用面まで考慮するといずれも十分に満足できる効果を発揮し得るものではなかった。このため、血管新生をより強力に阻害し、安全性の点でも懸念のない物質を開発することが求められている。
【0007】
ところで、霊芝(Ganoderma lucidum)はヒダナシタケ目サルノコシカケ科に属する担子菌であり、和名をマンネンタケといい、古くから漢方薬として利用されてきた。霊芝中には遊離単糖類、糖アルコール、オリゴ糖、アミノ酸、ステロイド、クマリン誘導体、蛋白質、トリテルペノイド、多糖類等の成分が含まれ、その薬理作用として代謝促進、免疫増強、抗アレルギー、抗腫瘍、血圧上昇抑制、血中脂質改善、血小板凝集抑制、抗炎症等の作用が知られている。霊芝に含まれる成分と薬理作用との相関性については未だ明らかになっていない部分が多いが、従来の研究結果から、β−グルカン骨格をもつ多糖類及び多糖蛋白複合体とガノデリン酸及びその類縁物とが重要成分として注目されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0008】
β−グルカン骨格をもつ多糖類は霊芝以外にも多くの担子菌類(シイタケ、アガリクス茸、スエヒロタケ等)にも含まれるが、ガノデリン酸及びその類縁物は霊芝に特有の成分である。ガノデリン酸はトリテルペノイド類に属し、その類縁物としてガノデリン酸A,B,C1,C2,D〜I,J,K,Ma〜Mk及びO〜Zが知られており、子実体にはガノデリン酸A,B,C1,C2,D〜I及びKが見出され、菌糸体にはガノデリン酸Ma〜Mk及びO〜Zが見出されている。霊芝の薬理作用との関係では、例えば、血圧降下作用を示すものはガノデリン酸B,D,F,H,K,S及びYであり、抗腫瘍作用を示すものはガノデリン酸U,V,W,X,Y及びZであり、又、肝臓障害抑制作用を示すものはガノデリン酸R,S等であるといわれている(例えば、特許文献10及び非特許文献2参照)。尚、ガノデリン酸及びその類縁物が血管新生を阻害する作用は知られていなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63−119500号公報
【特許文献2】
米国特許第4,994,443号明細書
【特許文献3】
米国特許第5,001,116号明細書
【特許文献4】
特開昭58−131978号公報
【非特許文献1】
シドキー・ワイ・エイ(Sidky Y.A.)ら,「キャンサー・リサーチ(Cancer Research)」,(米国),1987年,第47巻,第19号,p.5155−5161
【特許文献5】
特開2002−60344号公報
【特許文献6】
特公平6−62426号公報
【特許文献7】
特開2002−308777号公報
【特許文献8】
特許第2858724号公報
【特許文献9】
特許第3155536号公報
【非特許文献2】
水野卓ら,「化学と生物」,1985年,第23巻,第12号,p.797−802
【特許文献10】
特開平4−304890号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、さまざまな疾病との関連性が強い血管新生を抑制する阻害剤を開発しようとする試みはこれまで種々行われてきたが、実効性のあるものは見当たらなかった。かかる現状に鑑み、本発明では、前記疾病の予防や治療に有効利用でき、血管新生を強力に抑制する新規な血管新生阻害剤を提供すること、又、これを産業上有効に活用できる態様の組成物として提供することを課題とした。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために、種々の植物原料及びその成分と血管新生阻害作用との関連性について鋭意検討を行った結果、ガノデリン酸類が本発明の所望の効果を顕著に奏することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によれば、霊芝の子実体の水抽出物を疎水性溶媒及び親水性溶媒を用いて処理して得られる、特定のガノデリン酸及び/又はその誘導体を有効成分として含有してなる血管新生阻害剤であって、腫瘍細胞の増殖抑制、転移抑制又は腫瘍による貧血改善のためのものである前記血管新生阻害剤が提供される。又、この血管新生阻害剤を配合してなる血管新生阻害用組成物が提供される。
【0012】
本発明の血管新生阻害剤において、有効成分とするガノデリン酸は下記式(1)で表されるガノデリン酸F(12−アセトキシ−3,7,11,15,23−ペンタオキソラノスト−8−エン−26−オイック アシッド)が望ましく、ガノデリン酸の誘導体はガノデリン酸の塩及び/又はエステルであることが好ましい。
【0013】
【化2】
Figure 0004506079
【0014】
本発明に係るガノデリン酸及び/又はその誘導体は、その態様として天然物、その抽出物、精製物又は化学合成物を採用することができるが、とりわけ、霊芝(Ganoderma lucidum)を原料とし、これから得られるものが望ましく、具体的には、霊芝の子実体、その乾燥粉末、抽出物又は精製物を用いる態様のものがより好適であり、特に子実体の抽出物又は精製物が最適である。
【0015】
又、前記のガノデリン酸及び/又はその誘導体に、更に、シイタケ、アガリクス茸、メシマコブ茸、ヤマブシタケ、カワラタケ、ハラタケ、マイタケ、ハナビラタケ、スエヒロタケ、シロキクラゲ及び冬虫夏草からなる群から選ばれる1種又は2種以上を併用してなるものは本発明の好ましい血管新生阻害剤である。
【0016】
本発明によって提供される前述の血管新生阻害剤を配合してなる血管新生阻害用組成物の望ましい態様は飲食品又は医薬品である。
【0017】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の血管新生阻害剤及びその製造方法について説明する。本発明の血管新生阻害剤に必須成分として使用するガノデリン酸及び/又はその誘導体において、公知のガノデリン酸その同族体であるガノデリン酸A,B,C1C2,D,E,G,H,I,J,K,MaMk,O,P,Q,R,S,T,U,V,W,X,Y及びZ等のガノデリン酸類の含有物でも差し支えないが、前記の式(1)で表されるガノデリン酸(12−アセトキシ−3,7,11,15,23−ペンタオキソラノスト−8−エン−26−オイック アシッド)を必須とし、これにガノデリン酸U,V,W,X,Y又はZを含むものが望まし
【0018】
ガノデリン酸の誘導体としては、前記ガノデリン酸とりわけガノデリン酸Fの塩類、アミド、エステル等を対象にすることができ、望ましい態様としてナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の食用に供され又は薬学的に許容される塩類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級一価アルコール類やプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類とのエステルを例示することができる。尚、ガノデリン酸と化学構造が類似する類縁物であるガノルシデン酸類(A,B,C等)、ルシデニン酸類(A,B,C,D1,D2,E1,E2,F等)、ルシドン類(A,B等)は本発明に含まれる。
【0019】
又、アミドの例としては、各種アミノ酸とりわけ生体蛋白質を構成する中性アミノ酸(アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン、グルタミン)、酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン)、ヒドロキシアミノ酸(セリン、スレオニン)、環状アミノ酸(ヒスチジン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン)、含硫アミノ酸(システイン、シスチン、メチオニン)等とのアミド類や、前記各種アミノ酸の任意組合わせからなるペプチドとのアミド類、前記各種アミノ酸とグルコース、ガラクトース等の糖類とからなるアミノ糖とのアミド類を挙げることができる。
【0020】
本発明に係るガノデリン酸及びその誘導体は化学的合成法、酵素法、天然物からの抽出法のいかなる方法で調製したものでも差し支えないが、ガノデリン酸は天然物から抽出し適宜に精製する方法が簡便であり、又、前記誘導体は、ガノデリン酸を化学合成法や酵素法により調製すればよい。
【0021】
本発明に係るガノデリン酸を天然物から調製するには、霊芝(Ganoderma lucidum)の子実体及び/又は菌糸体、より好ましくは子実体を原料として用い、これを乾燥して粉末物となし、あるいは、溶媒で抽出処理して抽出液となし、濃縮液となし、又は乾燥処理して固形状や粉末状の抽出物となし、更には有機溶媒、吸着剤等を用いて分別、分画処理して高濃度の精製物となすことにより可能となる。
【0022】
すなわち、本発明において原料とする霊芝は、その種類や生産条件には特に限定なく任意のものを利用でき、赤芝、青芝、黄芝、黒芝や鹿角霊芝、王角霊芝、牛角霊芝、雲芝等の品種、ホダ木法、瓶栽培法又は液体培養法等による生産物を適宜使用できる。本発明では、霊芝の子実体は生のまま又は乾燥物のいずれも原料として使用できるが、取扱い上、保存性及び抽出効率等の点から乾燥物がよい。又、菌糸体は適当な炭素源と窒素源を含む培地を用いて種菌を培養して得られる生又は乾燥菌糸体を利用できるが、子実体同様に乾燥物が簡便である。
【0023】
かかる霊芝の粉末物は、子実体の場合には、乾燥物にあっても含有多糖類に起因して粘性が著しく大きいため、乾燥処理後、望ましくは−10℃程度以下の低温下でボールミル等の粉砕装置を用いて約50〜200メッシュの粒度に凍結粉砕処理して粉末物となすのがよい。菌糸体は常法により容易に乾燥及び粉砕処理できる。
【0024】
次に、本発明に係る抽出物を得るには、他種の茸類の抽出処理と同様に単に熱水抽出処理して濃縮及び乾燥処理してもよいが、本発明の特徴的成分が疎水性のガノデリン酸とその誘導体であることに鑑み、抽出用溶媒は疎水性溶媒(以下、親油性溶媒ということがある)を主体としたものがよい。すなわち、霊芝の細断物や粉砕物を直接あるいは前記熱水抽出物を、疎水性溶媒のみで抽出するか、疎水性溶媒に少量の親水性溶媒を混合した混合溶媒で抽出処理することが好ましい。疎水性溶媒の例としてヘキサン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルエーテル、石油エーテル等の単一物又は混合物があり、親水性溶媒として水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等及びこれらの混合物を例示できる。抽出用溶媒は子実体や菌糸体の乾燥物に対して3〜20倍(重量基準)程度用いる。3倍未満では抽出物の収率が低く、逆に20倍を超えて多量使用しても抽出効率が更に向上することはない。
【0025】
抽出処理は、霊芝の子実体又は菌糸体と前記抽出用溶媒とを接触させ、常圧ないし加圧下、より好ましくは1〜5気圧下で、室温ないし100℃付近で適宜に攪拌しながら又は還流させて約10分〜約10時間抽出することにより抽出液を得ることができる。該抽出液を減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等の処理に供して溶媒を除去し、ガノデリン酸及び/又はその誘導体を含む抽出物を調製することができる。又、前記抽出物を親水性溶媒及び疎水性溶媒で分別処理することによって本発明の必須成分の含量がさらに高められた濃縮物とすることができ、更にシリカゲル、オクタデシル化シリカゲル、活性アルミナ、ケイ酸マグネシウム、活性炭、セルロース、イオン交換樹脂等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィーに供して分画処理することにより高濃度の精製物を製造することができる。
【0026】
ガノデリン酸の誘導体は常法により得ることができ、例えば、エステル類を調製するには、ガノデリン酸を酸性触媒(硫酸、パラトルエンスルホン酸等)又はアルカリ性触媒(水酸化ナトリウム、酸化亜鉛等)又は酵素(リパーゼ等)の存在下に前記アルコール類と共に加熱して又は常温下でエステル化反応を行わせ、必要に応じて精製処理すればよい。
【0027】
本発明の血管新生阻害剤では、前述のものをガノデリン酸及び/又はその誘導体の好適な態様として利用することができるが、これにシイタケ、アガリクス茸、メシマコブ茸、ヤマブシタケ、カワラタケ、ハラタケ、マイタケ、ハナビラタケ、スエヒロタケ、シロキクラゲ及び冬虫夏草からなる群から選ばれる1種又は2種以上を併用することによって、更に顕著な所望の効果を奏する血管新生阻害剤を提供することができる。
【0028】
これらのキノコの子実体はいずれも人工的に栽培され又は多量に収穫されて流通しており、容易に入手可能であり、生のまま、乾燥物、その粉末や抽出エキス等として食用に供されている。又、シイタケ、カワラタケ、スエヒロタケのように抽出物に含まれる多糖体が医薬品として利用されているものもある。本発明では、強力な血管新生阻害作用を有する点から判断して、アガリクス茸、メシマコブ、ヤマブシ茸及び冬虫夏革からなる群から選択される1種又は2種以上を併用することがより好適である。
【0029】
アガリクス茸はハラタケ科のキノコで、アガリクス属に属するものをいい、アガリクス ブラゼイ ムリル(Agaricus blazei Murill)、マッシュルーム等を例示できる。前者は多糖体(β−D−グルカン)や多糖蛋白複合体を含み、抗腫瘍作用、血糖低下作用等があることが知られている。メシマコプ(Phellinus linteus)はタバコウロコタケ科のキノコで、その熱水抽出物の多糖体が抗癌作用を示すといわれている。ヤマプシ茸(Hericium erinaceum)はサンゴハリタケ科に属し、ヘテロβ−D−グルカン成分による抗癌作用や活性酸素消去作用が知られている。本発明の血管新生阻害剤で併用する前記茸類の態様は乾燥粉末、抽出物、濃縮物又は精製物が好適で、該併用率は所望効果から50重量%以下がよい。
【0030】
前述のように、化学的合成法又は霊芝からの抽出法により調製されるガノデリン酸及び/又はその誘導体、これを含有する抽出液、抽出物、濃縮物及び精製物、更にはこれらと併用する前記茸類の乾燥粉末、抽出物、濃縮物又は精製物は、これらをそのまま又は適当な担体、賦型剤、添加物等を併用して本発明の血管新生阻害剤となすことができる。本発明の血管新生阻害剤では、本発明の趣旨に反しない限り適宜に種々の原料や成分を併用して配合することができ、例えば、通常の食品や医薬品に使用される賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料等がよい。又、血管新生を抑制する作用をもつ公知の素材を併用することは本発明の望ましい形態のひとつである。
【0031】
次に、本発明の血管新生阻害用組成物について説明する。この組成物は、前記のガノデリン酸及び/又はその誘導体を有効成分として含有してなる血管新生阻害剤を配合してなることを特徴とするものであり、具体的な態様として飲食品、医薬品、ペットフード、家畜・家禽用飼料等を例示できる。とりわけ飲食品及び医薬品が好適である。
【0032】
この飲食品の態様としては、前記の血管新生阻害剤を液状、ゲル状、粉末状あるいは固形状の食品、例えば、果実飲料、清涼飲料、茶、スープ、ゼリー、ヨーグルト、プリン、ケーキミックス、ふりかけ、味噌、醤油、ドレッシング、マヨネーズ、焼肉のたれ等の調味料、麺類、ハムやソーセージ等の畜肉魚肉加工食品、ジャム、牛乳、クリーム、バターやチーズ等の粉末状、固形状又は液状の乳製品、マーガリン、パン、ケーキ、クッキー等に添加した形態となすことができる。
【0033】
又、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉又はその加工素材、セルロース末等の賦形剤、ビタミン、ミネラル、動植物や魚介類の油脂、たん白質、糖質、色素、香料、その他の前記食用添加剤等と共に粉末、顆粒、ペレット、錠剤等に加工したり、ゼラチン等で被覆してカプセルに成形したり、あるいはドリンク類にして、栄養補助食品や健康食品として利用できる。このとき、血管新生阻害作用を有する公知の食用素材を併用した組成物は好適である。尚、本発明の飲食品は極めて多種類にわたり、前記の例示に限定されるものではないが、栄養補助食品や健康食品の形態が望ましい。
【0034】
前記の食品類や食用組成物における本発明の血管新生阻害剤の配合量は、当該飲食品の種類、形態、利用目的や本血管新生阻害剤の種類、形態等により一律に規定し難いが、一般の加工食品類に添加する場合では、ガノデリン酸ベースで概ね0.01〜50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%である。この範囲を外れて少ないと経口摂取による本発明の所望効果が小さく、逆に多すぎると食品の種類によっては風味を損ねたり、当該飲食品を調製することが不可能になる場合がある。尚、本発明の血管新生阻害剤はそのまま食用に供しても差し支えない。
【0035】
本発明の医薬品としての態様は、前記の血管新生阻害剤に本発明の趣旨に反しない公知の賦形剤や添加剤を必要に応じて加え、常法により加工して錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、注射剤等の製剤となしたものである。経口投与あるいは経腸投与、血管投与又は皮内投与して、血管新生及びこれにともなう各種疾病の予防又は治療のために適用する。本発明の血管新生阻害剤の配合量はその形態や前記医薬用製剤の種類、形態、用法及び用量等により一律に設定し難いが、ガノデリン酸ベースで概ね0.01〜70重量%である。経口投与する場合の摂取量は特に限定されるものではないが、ガノデリン酸をベースとして、成人(体重50Kg)1日あたり0.01〜20g、より好ましくは0.1〜10gである。この範囲を外れて少ないと所望の効果が低下し、逆に多すぎても更に顕著な効果は期待できない。
【0036】
【実施例】
実施例1
霊芝の乾燥子実体(3kg)を細断し、80〜90℃で45分間熱水抽出後、減圧濃縮して黒褐色の熱水抽出物(255g)を得た。該抽出物にアセトンを加えてアセトン可溶部を分取し、このアセトン可溶部をヘキサン洗浄して脱脂後、ジエチルエーテルで分別処理してエーテル可溶部(43g)を採取した。ついで、該エーテル可溶部をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シリカゲル:メルク社製、溶出溶媒:クロロホルム/メタノール混液=200/0〜25/1(v/v、以下同様))に供し、該混液=200/1〜25/1で溶出した画分(20g)を得た。この画分は酢酸−濃硫酸で濃暗赤紫色を呈し、トリテルペノイド特有の呈色反応を示し、霊芝特有の苦味を有していたためトリテルペノイド画分(料1)とした。
【0037】
次に、前記トリテルペノイド画分をジエチルエーテルに溶かし、5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液で酸性部(試料2)と中性部(試料3)とに分け、後述する血管新生抑制試験の結果を考慮しつつ、酸性部を更にクロロホルム/メタノール混液=200/1〜25/1で溶出させるクロマト処理を繰り返して画分1(試料4:クロロホルム/メタノール混液=200/1で溶出)〜画分7(試料10:クロロホルム/メタノール混液=25/1で溶出)に分画し、活性画分(クロロホルム/メタノール混液=200/1〜100/1で溶出する画分)を特定した。更に、この活性画分を高速液体クロマトグラフィ(カラム:ナカライテスク社製COSMOSIL 5C18−MS−2、150×4.6ID、溶出溶媒:40%アセトニトリル及び50%アセトニトリル溶液、流量:0.5mL/min、検出波長:280nm)で繰り返し精製処理し、単一成分(試料11)を採取した。
【0038】
前記の単一成分は、無晶形の淡黄色粉末で酢酸−濃硫酸混液によって赤色を呈したほか、機器分析に供し以下の結果を得た。すなわち、赤外吸収スペクトル分析(Perkin Elmer社製、Model 1720FT−IR、KBr法):3,900〜3,400cm−1(ν−OH)、1,751及び1,703cm−1(ν−C=0−)、旋光分散(ORD)スペクトル分析(日本分光(株)製、ORD/U
Figure 0004506079
【0039】
H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルはVarian Unity Inova 500を用い、CDCl溶液として分析した。H−NMRスペクトル(499.83Hz)は、δppm:0.85(3H,singlet(以下、sと略す),18CH),0.99(3H,doublet(以下、dと略す),J=6.4Hz,21CH),1.12(3H,s,31CH),1.14(3H,s,30CH),1.23(3H,d,J=7.1Hz,27CH),1.34(3H,s,19CH),1.80(3H,s,32CH),2.25(3H,s,OCOCH),5.68(1H,s,12CH)であった。13C−NMRスペクトル(125.68Hz)は、δppm:37.4(1C),34.0(2C),215.5(3C),46.9(4C),50.8(5C),33.7(6C),198.8(7C),149.9(8C),145.9(9C),39.3(10C),194.0(11C),79.0(12C),47.6(13C),58.6(14C),205.9(15C),37.8(16C),44.4(17C),12.0(18C),18.6(19C),29.4(20C),21.6(21C),48.3(22C),207.5(23C),46.4(24C),34.4(25C),180.6(26C),16.9(27C),20.8(28C),27.6(29C),20.4(30C)であり、170.3(OCOCHのカルボニル炭素)及び20.9(OCOCHのメチル炭素)の各シグナルが認められ、5個のC=Oに相当するシグナル(194.0,198.8,205.9,207.5及び215.5)、1個のC−OCOCHに相当するシグナル(20.9(quartet),70.9(doublet)及び170.3)と酷似していた。
【0040】
質量分析は日立製作所(株)製、M−4000Hを用いて測定した結果、m/z:570.28(M+、C3242)であった。以上の機器分析データは既報(Komoda,Y.et.al.,Chem.Pharm.Bull.,1985年,第33巻,p.4829−4835)のガノデリン酸Fのデータと一致した。
【0041】
試験例1
本発明に係わる霊芝由来の前記抽出物及び精製物の血管新生阻害作用を、Laboratory Invest.,第67巻,第519頁〜第528頁,1992年に記載のPassanitiらの方法により、マトリゲル マトリックス(MATRIGEL matrix:Becton Dickinson Labware社製)によって誘導される血管新生の度合いから評価した。
【0042】
すなわち、6週齢のC57BL/6J雌性マウス(日本クレア(株)から購入。)を1週間予備飼育後、健康なマウス(1群5匹)を用い、ヘパリン:64ユニット/mL及び酸性線維芽細胞増殖因子(以下、aFGFと略す。):1ng/mLを添加したMATRIGEL matrixを対照群投与物とし、該投与物に以下の試験物質:800又は400μg/mLを添加したMATRIGELmatrixを試験群投与物とし、前記マウスの右腹部皮下に冷却下で移植した。尚、正常群はヘパリン及びaFGFを無添加のMATRIGEL matrixのみ用い、前記試験物質はその8mgを2%シクロデキストリン含有リン酸・生理食塩緩衝液(PBS、pH7.4)1mLに懸濁させたものを用いた。移植後5日目にMATRIGEL matrixを取り出して血管新生の状態を観察し、又、MATRIGEL matrixを凍結乾燥して重量を測定した。更に、摘出したMATRIGEL matrixに純水1mlを加え、ポリトロンでホモジネートし、2,000rpmで5分間遠心分離した後、上清を0.2μmのフィルターで濾過し、ヘモグロビン−テストワコー(和光純薬(株)製)を用いてMATRIGEL matrix中のヘモグロビン量を測定した。
【0043】
・正常群:Matrigel matrix
・対照群:Matrigel matrix、ヘパリン(64ユニット/mL)、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF:1ng/mL)
・試験物質添加群1:Matrigel matrix、ヘパリン(64ユニット/mL)、aFGF(1ng/mL)、試料1(800μg/mL)
・試験物質添加群2:Matrigel matrix、ヘパリン(64ユニット/mL)、aFGF(1ng/mL)、試料2(800μg/mL)
・試験物質添加群3:Matrigel matrix、ヘパリン(64ユニット/mL)、aFGF(1ng/mL)、試料3(800μg/mL)
・試験物質添加群4:Matrigel matrix、ヘパリン(64ユニット/mL)、aFGF(1ng/mL)、試料4(800μg/mL)
・試験物質添加群5:Matrigel matrix、ヘパリン(64ユニット/mL)、aFGF(1ng/mL)、試料5(800μg/mL)
・試験物質添加群6:Matrigel matrix、ヘパリン(64ユニット/mL)、aFGF(1ng/mL)、試料6(800μg/mL)
・試験物質添加群7:Matrigel matrix、ヘパリン(64ユニット/mL)、aFGF(1ng/mL)、試料7(800μg/mL)
・試験物質添加群8:Matrigel matrix、ヘパリン(64ユニット/mL)、aFGF(1ng/mL)、試料8(800μg/mL)
・試験物質添加群9:Matrigel matrix、ヘパリン(64ユニット/mL)、aFGF(1ng/mL)、試料9(800μg/mL)
・試験物質添加群10:Matrigel matrix、ヘパリン(64ユニット/mL)、aFGF(1ng/mL)、試料10(800μg/mL)
・試験物質添加群11:Matrigel matrix、ヘパリン(64ユニット/mL)、aFGF(1ng/mL)、試料11(800μg/mL)
・試験物質添加群12:Matrigel matrix、ヘパリン(64ユニット/mL)、aFGF(1ng/mL)、試料11(400μg/mL)
【0044】
この試験結果を表1に示した。同表数値はn=5、平均値±標準誤差である。表1から明らかなように、対照群では正常群と比較して、血管新生が著しく促進され、MATRIGEL matrixの重量及びMATRIGEL matrix内のヘモグロビン量が増加し、血管新生が生じていることを確認した。これに対して、試験物質添加群では、トリテルペノイド画分(試料1)及びその酸性部(試料2)は対照群に比べて、MATRIGEL matrixの重量及びヘモグロビン量の増加を有意に阻害すること(P<0.05)、中性部(試料3)はMATRIGEL matrixの重量及びそのヘモグロビン量の増加を抑制しないことが明らかになった。又、酸性部の各画分(試料4〜10)では、画分3(試料6)が対照群と比較してMATRIGEL matrixの重量及びそのヘモグロビン量の増加を有意に阻害し(P<0.05)、画分2(試料5)もMATRIGEL matrixの重量の増加を顕著に阻害したが、ヘモグロビン量の増加の抑制度合いがやや小さかった。その他の画分には対照群と比べて差異は認められなかった。更に、活性画分から精製した単一成分(試料11)はMATRIGEL matrixの重量及びそのヘモグロビン量の増加を顕著に阻害し(P<0.05)、優れた血管新生阻害作用を有していることが明確になった。
【0045】
【表1】
Figure 0004506079
【0046】
試験例2
本発明に係わる霊芝由来の前記抽出物について、腫瘍の増殖抑制作用及び転移抑制作用を以下の方法で試験し評価した。すなわち、理化学研究所から分譲を受けたルイス肺癌(以下、LLCと略す。)細胞:5×10細胞数/mLをリン酸・生理食塩緩衝液(pH7.4)に懸濁させ、該細胞懸濁液に1mg/mLのMATRIGEL matrix(試験例1記載のもの)を加えた。次に、6週齢のC57BL/6J雌性マウス(日本クレア(株)から購入。)を1週間予備飼育後、健康なマウス(1群5匹)をネンブタール麻酔下に背部に小切開を加え、露出させた脾臓にLLC細胞懸濁液0.2mL(1×10細胞数/脾臓)を注入した後、直ちに小切開を縫合した。LLC細胞を移植した翌日から、霊芝抽出物(試料1)100mg/kg(体重)又は200mg/kg(体重)を1日1回、20日間連続経口投与した。正常群及び対照群には2%β−シクロデキストリン水溶液のみを投与した。前記移植後21日目にエーテル麻酔下、下大静脈からヘパリン採血して白血球数、赤血球数及びヘモグロビン量を血球コールカウンターにより測定し、又、マウス採血屠殺後、脾臓、肝臓、肺及び胸腺を摘出して各組織の重量を測定した。併せて各組織に転移したLLC細胞コロニー数を計測した。
【0047】
LLC細胞移植マウスにおける各組織の重量を表2に、又、血球数、ヘモグロビン量及び肝臓中のLLC細胞転移コロニー数を表3にそれぞれ示した。表2のデータから、脾臓重量は対照群で増加するが、試験物質投与群では増加の抑制が認められ(P<0.05で有意差あり)、LLC細胞の移植により脾臓内で癌細胞は増殖するものの、霊芝抽出物の経口摂取により癌細胞の増殖が抑制されることが明らかになった。胸腺重量は、対照群では正常群と比較して有意に低下した(P<0.05)が、試験物質投与群では正常群及び対照群との間に有意な差は認められなかった。
【0048】
【表2】
Figure 0004506079
【0049】
【表3】
Figure 0004506079
0050
表3から、白血球数は、対照群では正常群に比べて有意に増加するが、試験物質投与群との間には有意差は認められなかった。赤血球数及びヘモグロビン量は、対照群において著しく低下して貧血状態を示したが、試験物質投与群では有意に増加し(P<0.05)、霊芝抽出物の経口投与によって貧血状態が回復したことが認められた。又、肝臓におけるLLC細胞の転移コロニー数は、霊芝抽出物の経口投与により対照群と比較して有意に減少しており、霊芝抽出物の経口摂取によるに癌細胞の転移抑制効果を認めた。
0051
実施例2
霊芝の乾燥子実体を約5mm角に細断したものを90〜95℃で熱水抽出処理し、該抽出液を減圧乾燥処理して霊芝子実体の熱水抽出物を得た。この抽出物に15重量倍のヘキサンで脱脂処理し、ヘキサン不溶部を10重量倍のエタノールで抽出処理した。抽出溶媒を減圧留去して霊芝の子実体の抽出物を調製した。一方、アガリクス茸(アガリクス ブラゼイ ムリル)の乾燥子実体を粗砕し、85〜95℃で1時間熱水抽出した後、減圧濃縮及び乾燥処理してアガリクス茸の熱水抽出物を得た。両抽出物を所定量混合して霊芝及びアガリクス茸の混合抽出物(霊芝/アガリクス茸(重量比)=70/30のとき試料12、50/50のとき試料13、30/70のとき試料14)を調製した。
0052
実施例3
メシマコブの種菌をグルコース及びペプトン含有培地で25〜27℃にて60時間培養して菌糸体を採取した。これを乾燥及び粉砕処理して菌糸体粉末とし、65容量%含水エタノールを20重量倍加え、室温で2時間抽出処理した後、抽出溶媒を留去してメシマコブの菌糸体の抽出物を調製した。該抽出物と、実施例1記載の方法により得た霊芝の抽出物(試料1に相当)とを等量混合して霊芝及びメシマコブの混合抽出物(試料15)を得た。
0053
実施例4
実施例1記載の方法により調製した霊芝の活性画分(ガノデリン酸F含有)に50重量倍のメタノールを加え、パラトルエンスルホン酸(触媒)の存在下に1時間加熱還流してエステル化反応を行わせた後、水洗及び乾燥処理してガノデリン酸Fのメチルエステル(試料16)を調製した。
0054
比較例1
霊芝の乾燥子実体を粗砕し、更に−10℃以下で、ボールミルを用いて200タイラーメッシュの粒度に凍結粉砕処理し、霊芝の子実体の微粉砕物(比較試料1)を得た。
0055
試料12〜16及び比較試料1について、試験例1記載の方法により血管新生抑制作用を評価した。この結果を表4に示した。同表の数値はn=4、平均値±標準誤差で表示した。表4から、霊芝の抽出物と他種茸類の抽出物との併用物においても対照群と比較して、MATRIGEL matrixの重量及びヘモグロビン量の増加を顕著に抑制すること(P<0.05)が認められ、該併用物では霊芝単独の血管新生阻害効果と同程度又はこれを上回る相乗効果を奏することが明らかになった。
【0056】
【表4】
Figure 0004506079
0057
実施例5
試料12:グアバ葉粉末=3:2(重量比)からなる本発明の血管新生阻害剤10kgを化工澱粉(松谷化学(株)製、商品名:パインフロー)8kg、第三リン酸カルシウム0.5Kg、ビタミンB0.5Kg、ビタミンB0.4Kg、ビタミンB0.4Kg及びビタミンC1.0Kgとともに配合機に仕込み10分間攪拌混合した。該混合物を直打式打錠機に供給して直径7mm、高さ4mm、重量150mgのタブレットを作成した後、コーティング機でシェラック薄膜をコーティングして錠剤形状の食品を試作した。
0058
実施例6
家庭用ホイッパーにバター100g、ショートニング120g、上白糖100g及び牛乳100mLを入れ、攪拌しながら鶏卵1個を加えて十分に混合した後、薄力粉200g、ベーキングパウダー1.5gとともに試料13からなる本発明の血管新生阻害剤10gを添加して十分に捏ねあわせた。これを30分間ねかせた後、金型で50個に分割し、オーブンで焼いてバタークッキーを試作した。
0059
実施例7
市販の野菜ジュース1Lに、試料1:葡萄種子エキス(インターヘルス社製、商品名:アクティビン)=2:1(重量比)からなる本発明の血管新生抑制剤5gを加えて混合し、体内組織の酸化や癌が気になるひとのための血管新生抑制用野菜ジュースを試作した。これは元の野菜ジュースと比較して何ら遜色のないものであった。
0060
実施例8
試料11/試料16=1/1(重量比)の混合物150g、プロポリス70g、ミツロウ15g及びコーン油15gを40℃に加温しながら十分に混合して均質な液状物とした。これをカプセル充填機に供給して1粒内容量が250mgのゼラチン被覆カプセル製剤を試作した。この製剤は血管新生抑制剤又は血管新生をともなう前記各種疾患の予防のための経口摂取が可能な医薬用組成物(医薬品)として利用できる。
0061
【発明の効果】
本発明によれば、ガノデリン酸及び/又はその誘導体を有効成分として含有してなる血管新生阻害剤が提供される。この阻害剤は、ヘパリン及びaFGF(酸性線維芽細胞成長因子)やLLC(ルイス肺癌)細胞の移植によって誘発される血管新生(MATRIGEL Matrix重量及びヘモグロビン量の増加)を顕著に抑制し、この作用により、生体組織中の癌細胞の増殖及び転移を効果的に阻害する。ガノデリン酸及び/又はその誘導体として霊芝の子実体又は菌糸体に由来する抽出物ないしは精製物を用い、これとアガリクス茸、メシマコブ等の茸類とを併用すると血管新生阻害効果はより一層顕著なものとなる。又、本発明によれば、前記血管新生阻害剤を配合してなる組成物が提供され、該組成物は病因となる血管新生をともなう各種疾病の治療や予防のための医薬品、飲食品等として利用できる。

Claims (5)

  1. 霊芝(Ganoderma lucidum)の子実体の水抽出物を疎水性溶媒及び親水性溶媒を用いて処理して得られる、下記式(1)で表されるガノデリン酸F及び/又はその誘導体を有効成分として含有してなる血管新生阻害剤であって、腫瘍細胞の増殖抑制、転移抑制又は腫瘍による貧血改善のためのものである前記血管新生阻害剤。
    Figure 0004506079
  2. ガノデリン酸の誘導体がガノデリン酸の塩及び/又はエステルである請求項1に記載の血管新生阻害剤。
  3. 更に、シイタケ、アガリクス茸、メシマコブ茸、ヤマブシタケ、カワラタケ、ハラタケ、マイタケ、ハナビラタケ、スエヒロタケ、シロキクラゲ及び冬虫夏草からなる群から選ばれる1種又は2種以上を併用してなる請求項1又は2に記載の血管新生阻害剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の血管新生阻害剤を配合してなる血管新生阻害用組成物。
  5. 前記組成物が医薬品である請求項4に記載の血管新生阻害用組成物。
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