JP2018510142A - 抗ヒトpd−1モノクローナル抗体の結晶 - Google Patents

抗ヒトpd−1モノクローナル抗体の結晶 Download PDF

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Abstract

ペンブロリズマブおよび構造的に類似した抗PD−1モノクローナル抗体の結晶、ならびにそのような結晶の製造方法、ならびに例えば癌の治療における、そのような抗体結晶を含む組成物の使用が提供される。本発明は、ペンブロリズマブ結晶およびペンブロリズマブ結晶の製造方法を提供することにより、これらの要求を満たして余りあるものである。本発明の製造方法の実施形態の1つは、X線回折に適した結晶を製造し、本発明者らはそのような結晶を本発明において使用して、ペンブロリズマブの三次元構造を2.3オングストロームまでの分解能で解明した。【選択図】図8B

Description

本発明は全般的にはモノクローナル抗体の結晶形態に関する。より詳細には、本発明は、ペンブロリズマブ(pembrolizumab)およびその構造変異体の結晶、そのような抗体結晶を含む医薬組成物、ならびに癌の治療におけるそのような組成物の使用に関する。
多数の腫瘍は、腫瘍に対する内因性免疫応答をもたらす抗原を産生する。しかし、腫瘍細胞は、局在化免疫抑制を引き起こす重要な免疫チェックポイントを活性化しうるため、この応答はしばしば無効である。これらの免疫チェックポイントの1つはヒト細胞表面受容体PD−1(プログラム死−1またはプログラム細胞死−1)であり、これは、活性化T細胞の表面上で発現される抑制性シグナリング受容体である。PD−1のリガンド(PD−L1またはPD−L2)の1つの結合によるPD−1抑制性シグナリングの活性化は、腫瘍細胞に対するT細胞媒介性免疫応答の抑制をもたらす。腫瘍に対する抗腫瘍免疫応答のこのPD−1経路媒介性抑制に対処するために、幾つかの企業が、ヒトPD−1に結合しPD−1とそのリガンドとの相互作用を遮断するモノクローナル抗体(mAb)を開発中である。
これらの抗PD−1 mAbの1つはペンブロリズマブであり、これは、イピリムマブに続いて、およびBRAF V600突然変異陽性の場合のBRAFインヒビターに続いて、切除不能または転移性黒色腫および疾患進行を伴う患者の治療に関して米国において承認されたヒト化IgG4 mAbである。幾つかの他の癌適応症の治療におけるペンブロリズマブの有効性および安全性が研究されているところである。
ペンブロリズマブは現在、静脈内(IV)注入用に製剤化されており、25mg/mlのmAbを含むペンブロリズマブの凍結乾燥および溶液製剤がWO2012/135408に記載されている。しかし、皮下投与されるように設計された高濃度製剤が望ましい代替物であろう。その1つの理由として、それは、患者がペンブロリズマブを自己投与することを可能にしうることが挙げられる。
治療用抗体は伝統的には凍結乾燥形態または溶液中で製造される。凍結乾燥形態は長期安定性の増強を示しうるが、使用前に再構成を要するため、それらは自己投与に理想的なものではない。溶液製剤は再構成を要さないが、安定性の低減を被り、典型的には使用前に冷却保存を要しうる。1.2mlが皮下投与のための最大の好ましい体積であるため(Yang,M.X.ら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.(USA)100:6934−1939(2003))、凍結乾燥製剤および溶液製剤は共に、皮下投与による高用量運搬を可能にするのに十分な程度に高い濃度をもたらさない可能性がある。しかし、抗体の高濃度溶液製剤は、達成可能であったとしても、溶液からの沈殿を生成し易い可能性もあり、あるいは例えば皮下投与、特に自己投与に必要とされる小口径針での運搬には粘度が高すぎる可能性がある。
高濃度抗体製剤を達成するための1つの提案されているアプローチは、抗体結晶を含有する製剤を製造することである。例えば、Yangら,前掲;米国特許第7,833,525号およびWO2012/135035を参照されたい。抗体結晶の治療用抗体組成物を製造する理論的根拠には、室温における液体溶液中のタンパク質結晶の安定性の改善、高抗体濃度溶液の粘度の低さ、および所望の制御放出(コントロールリリース)特性のための種々の形態学的特徴を得るために結晶化条件を操作することが可能であることが含まれる(例えば、Yangら,前掲およびBasu,S.K.ら,Expert Opin.Biol.Thera.4:301−317(2004)を参照されたい)。
抗体は重鎖および軽鎖の柔軟性ゆえに結晶化が特に困難であると考えられている。過去30年間で無傷抗体の結晶化の多数の報告が存在するが、RCSB Proteinデータバンクには4つの構造体が寄託されているに過ぎず、これは、Fabアポまたは複合構造の800個を超える構造体が寄託されていることと対照的である。Altus Pharmaceuticalsの研究者が、商業的に入手可能な3つのモノクローナル抗体、すなわち、リツキシマブ、トラスツズマブおよびインフリキシマブを結晶化するための結晶化方法を最初に記載した(WO02/072636)。他の公開特許出願は抗IL−13 mAb(WO2005/121177)、抗TNFアルファmAb(WO2008/057240)、抗スクレロスチンmAb(WO2012/135035)および抗IL−23 mAb(WO2014/004436)の結晶の製造方法を記載している。抗体を結晶化するための方法のこれらの例にもかかわらず、個々の抗体に関する適当な結晶化条件の特定は尚も経験的課題であること、およびどのような結晶化条件がその抗体の結晶を産生するのかを信頼可能な様態で予測するために個々の対象抗体に適用されうる一般則は存在しないことが、タンパク質結晶化の分野において一般に受け入れられている。
したがって、ペンブロリズマブの結晶形態の製造方法が必要とされている。そのような結晶は、X線回折分析によりペンブロリズマブの構造を解明するのに、および癌治療用のペンブロリズマブの改良された医薬組成物を製造するのに有用でありうる。
発明の概括
本発明は、ペンブロリズマブ結晶およびペンブロリズマブ結晶の製造方法を提供することにより、これらの要求を満たして余りあるものである。本発明の製造方法の実施形態の1つは、X線回折に適した結晶を製造し、本発明者らはそのような結晶を本発明において使用して、ペンブロリズマブの三次元構造を2.3オングストロームまでの分解能で解明した。
したがって、1つの態様においては、本発明は抗PD−1抗体の結晶を提供する。該抗体はペンブロリズマブ、ペンブロリズマブ変異体、またはペンブロリズマブバイオシミラーにおける抗体である。1つの実施形態において、該結晶は該抗体および溶媒を含む。1つの実施形態において、結晶の長さは以下の範囲のいずれかの間である:1〜200ミクロン、1〜100ミクロン、1〜20ミクロン、5〜100ミクロン、5〜50ミクロン、または5〜20ミクロン。1つの実施形態において、該抗体結晶は、a=63.5〜78.9オングストローム、b=110.2〜112.2オングストローム、c=262.5〜306オングストローム、α=90、β=90、γ=90°の単位格子寸法、およびP2の空間群により特徴づけられる。1つの実施形態において、該抗体結晶はX線を3.5オングストロームまたはそれより良好な(すなわち、3.5オングストローム未満の)分解能で回折する。
もう1つの態様において、本発明は抗PD−1モノクローナル抗体(mAb)の結晶の製造方法を提供し、ここで、該mAbはペンブロリズマブ、ペンブロリズマブ変異体、またはペンブロリズマブバイオシミラーにおける抗体である。該方法は、(a)結晶形成(結晶化)に十分な時間にわたって少なくとも25℃かつ50℃以下の温度でmAbの溶液(抗体溶液)を沈殿剤溶液に曝露し、(b)結晶を集めることを含む。1つの実施形態において、該曝露工程を約40℃以下〜約45℃の温度で行う。1つの実施形態において、該方法において使用される沈殿剤溶液は約4.0〜5.0のpHを有し、1.0M〜2.5M リン酸二水素アンモニウム(ADP)を含む。1つの実施形態において、該沈殿剤溶液は、該沈殿剤溶液のpHをpH4.0〜5.0に調節するための十分な量の緩衝剤をも含む。1つの実施形態において、該バッファー(緩衝剤)はTris−HClまたは第二リン酸アンモニウムである。1つの実施形態において、該抗体溶液は3〜100mg/ml、10〜90mg/ml、20〜80mg/ml、30〜70mg/ml、40〜60mg/mlまたは約50mg/mlの濃度の抗PD−1 mAbを含む。1つの実施形態において、該抗体は少なくとも3、4または5日間のいずれかにわたって実施に付される。1つの実施形態において、該抗体溶液は10mM ヒスチジン(pH5.6)を含む。1つの実施形態において、該抗体溶液は更に、約0.01%の最大濃度のポリソルベートを含む。1つの実施形態において、該曝露工程は、ハンギングドロップ(懸滴)蒸気拡散、シッティングドロップ蒸気拡散、透析、マイクロバッチおよびバッチからなる群から選択される結晶化技術を行うことを含む。1つの実施形態において、該曝露工程は、等体積の抗体溶液および沈殿剤溶液を混合して結晶化混合物を形成させることを含む。
もう1つの態様において、本発明は、抗PD−1モノクローナル抗体(mAb)を、抗PD−1 mAbを含む溶液から結晶化するための方法を提供し、ここで、該抗体はペンブロリズマブ、ペンブロリズマブ変異体、またはペンブロリズマブバイオシミラーにおける抗体である。該方法は、(a)抗PD−1 mAb溶液を沈殿剤溶液および抗PD−1 mAbの種晶と一緒にして播種(seeded)結晶化混合物を得、(b)少なくとも20℃かつ40℃以下の温度で該播種結晶化混合物をインキュベートし、(c)結晶を集めることを含む。1つの実施形態において、インキュベート温度は約30℃であり、沈殿剤溶液は、(1)20% ポリエチレングリコール4000(PEG 4K)および20% イソプロパノール、(2)18% ポリエチレングリコール10000(PEG 10K)、20% グリセロール、100mM Tris−HCl(pH8.5)、ならびに(3)2.0M リン酸二水素アンモニウムおよび100mM Tris−HCl、からなる群から選択される混合物を含む。もう1つの実施形態において、インキュベート温度は約22℃であり、沈殿剤溶液は、(1)20% PEG 4K、100mM Tris−HCl(pH8.5)および100mM CaCl、ならびに(2)1.26M 硫酸アンモニウム、酢酸ナトリウム(pH4.5)および0.2M NaCl、からなる群から選択される混合物を含む。幾つかの実施形態において、種晶は、4.0〜5.0のpHを有し1.0〜2.5M ADPを含む沈殿剤溶液中の約30℃の温度での結晶化により製造された抗PD−1 mAbの結晶の種ストックに由来する。
更にもう1つの態様において、本発明は、(a)抗PD−1抗体の結晶であって、ここで、該抗体はペンブロリズマブ、ペンブロリズマブ変異体、またはペンブロリズマブバイオシミラーにおける抗体である、及び、(b)少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤、を含む医薬組成物を提供する。1つの実施形態において、賦形剤は、結晶を封入すること、結晶を包埋すること、および結晶を安定に維持することから選択される少なくとも1つの機能を果たす。幾つかの実施形態において、組成物における結晶の平均長は1〜20ミクロン、5〜20ミクロン、5〜50ミクロン、または5〜100ミクロンである。1つの実施形態において、該組成物は、液体媒体中に懸濁された抗PD−1 mAb結晶を含む。1つの実施形態において、該組成物中の抗PD−1 mAb濃度は少なくとも約50mg/mlかつ約250mg/ml以下である。もう1つの実施形態において、該組成物は、結晶の液体懸濁液を脱水または凍結乾燥することにより製造された固体である。1つの実施形態において、室温(例えば、20℃〜25℃)で少なくとも1カ月間の液体または固体医薬組成物の貯蔵の後で、抗PD−1 mAbの生物活性の少なくとも95%、97%または99%が存在する。
もう1つの態様においては、本発明は、前記医薬組成物のいずれかを含む容器を提供する。該容器は単一用量バイアル、複数用量バイアル、予充填シリンジまたは自己注射装置でありうる。1つの実施形態において、該容器は抗PD−1 mAb、すなわち、ペンブロリズマブ、ペンブロリズマブ変異体またはペンブロリズマブバイオシミラーの約200〜約250mgの単一用量を含む。
更にもう1つの態様において、本発明は、前記医薬組成物のいずれかの治療的有効量を患者に投与することを含む、癌に対するヒト対象の治療方法を含む。1つの実施形態において、癌は固形腫瘍、例えば膀胱癌、乳癌、明細胞腎癌、頭頸部扁平上皮癌、肺扁平上皮癌、悪性黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎細胞癌、小細胞肺癌(SCLC)またはトリプルネガティブ乳癌である。もう1つの実施形態において、癌はヘム悪性疾患、例えば急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、EBV陽性DLBCL、原発性縦隔大B細胞リンパ腫、T細胞/組織球リッチ大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄細胞白血病−1タンパク質(Mcl−1)、骨髄異形成症候群(MDS)、非ホジキンリンパ腫(NHL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)である。1つの実施形態において、医薬組成物は少なくとも200mg/mlのペンブロリズマブを含み、皮下投与される。1つの実施形態において、医薬組成物の最初の投与の前に被験者から摘出された癌の組織切片はPD−L1およびPD−L2の一方または両方の発現に関して陽性の試験結果を示した。1つの実施形態において、該組織切片における腫瘍細胞の少なくとも50%が免疫組織化学的(IHC)アッセイによりPD−L1発現に関して陽性の試験結果を示した。
詳細な説明
I.略語
本発明の詳細な説明および実施例の全体にわたって、以下の略語を用いる。
ADP リン酸二水素アンモニウム
AHP リン酸水素アンモニウム
CDR 相補性決定領域
CHO チャイニーズハムスター卵巣
DFS 無病生存
FR フレームワーク領域
IHC 免疫組織化学または免疫組織化学的
NCBI National Center for Biotechnology Information
NCI National Cancer Institute
PD 進行性疾患
PD−1 プログラム死1
PD−L1 プログラム細胞死1リガンド1
PD−L2 プログラム細胞死1リガンド2
PFS 無進行生存
PR 部分的応答
OR 全応答
OS 全生存
Q2W 2週間ごとに1用量
Q3W 3週間ごとに1用量
QD 1日当たり1用量
RECIST 固形腫瘍における応答評価基準
SD 安定した疾患
VH 免疫グロブリン重鎖可変領域
VK 免疫グロブリンカッパ軽鎖可変領域
II.定義
本発明がより容易に理解されうるように、ある科学技術用語を以下に明確に定義する。本明細書中の他の箇所において特に示されていない限り、本明細書中で用いられる全ての他の科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されている意味を有する。
添付の特許請求の範囲を含む本明細書において用いる単数形の単語は、文脈に明らかに矛盾しない限り、それらの対応複数形対象物を含む。
数的に定義されるパラメーター(例えば、溶液中の成分の濃度)を修飾するために用いる「約」(about)は、該パラメーターが、そのパラメーターに関する示されている数値の上下10%も変動しうることを意味する。例えば、特定されている抗体の約200mg/mlを含む組成物は該抗体の180mg/ml〜220mg/mlを含有しうる。同様に、約30℃の温度は27℃〜33℃の任意の温度を意味する。
「投与」および「治療(処理)」は、それが動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官または生物学的流体に適用される場合には、該動物、ヒト、対象、細胞、組織、器官または生物学的流体との外因性医薬、治療用物質、診断剤または組成物の接触を意味する。「投与」および「処理(治療)」は、例えば治療方法、薬物動態学的方法、診断方法、研究方法および実験方法を意味しうる。細胞の処理は、該細胞との試薬の接触、および該細胞に接触している流体との試薬の接触を含む。「投与」および「処理(治療)」は、試薬、診断剤、結合性化合物または別の細胞による、例えば細胞の、インビトロおよびエクスビボ(ex vivo)処理をも意味する。「対象(被験者)」なる語は、任意の生物、好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ)、最も好ましくはヒトを含む。
本明細書中で用いる「抗体」なる語は、ポリペプチド鎖の、2つの同一ペアを含む四量体を意味し、各ペアは1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識をもたらす約100〜110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。重鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主にもたらす定常領域を定めうる。各軽/重鎖ペアの可変領域は抗体結合部位を形成する。したがって、一般に、無傷抗体は2つの結合部位を有する。二官能性または二重特異性抗体の場合を除き、それらの2つの結合部位は通常に同一である。
典型的には、重鎖および軽鎖のそれぞれの可変領域は、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)内に位置する、相補性決定領域(CDR)とも称される3つの超可変領域を含む。CDRは、通常、特定のエピトープへの結合が可能になるように、フレームワーク領域により整列されている。一般に、N末端からC末端方向に、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方はFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む(すなわち、軽鎖可変ドメイン内のCDRL1、CDRL2およびCDRL3ならびに重鎖可変ドメイン内のCDRH1、CDRH2およびCDRH3)。各ドメインへのアミノ酸の帰属は、一般に、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Kabatら;National Institutes of Health,Bethesda,Md.;5th ed.;NIH Publ.No.91−3242(1991);Kabat(1978)Adv.Prot.Chem.32:1−75;Kabatら(1977)J.Biol.Chem.252:6609−6616;Chothiaら(1987)J Mol.Biol.196:901−917またはChothiaら(1989)Nature 342:87x8−883の定義に基づいている。
本明細書中で用いるリン酸二水素アンモニウム(NHPO4)またはADPは、一塩基リン酸アンモニウム、リン酸モノアンモニウムおよび第一リン酸アンモニウムと同義である。
本明細書中で用いるリン酸水素アンモニウム((NHHPO)またはAHPは、二塩基リン酸アンモニウム、リン酸水素ジアンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウムと同義である。
「癌」、「癌性」または「悪性」なる語は、無制御な細胞増殖により典型的に特徴づけられる哺乳動物における生理的状態を意味し又は示す。癌の例には、癌腫、リンパ腫、白血病、芽腫および肉腫が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのような癌の更に詳細な例には、扁平上皮癌、骨髄腫、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、胃腸(管)癌、腎臓癌、卵巣癌、肝臓癌、リンパ芽球性白血病、リンパ性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、メラノーマ(黒色腫)、軟骨肉腫、神経芽細胞腫、膵臓癌、多形性膠芽腫、子宮頸癌、脳癌、胃癌、膀胱癌、肝癌、乳癌、結腸癌および頭頸部癌が含まれる。本発明に従い治療されうる特に好ましい癌には、被検組織サンプルにおけるPD−L1およびPD−L2の一方または両方の発現の上昇により特徴づけられる癌が含まれる。
本発明の結晶性抗体懸濁液に関して用いた場合の「濃度」は、与えられた巨視的単位溶液体積中に存在する抗体(例えば、ペンブロリズマブ)の量を意味する。通常の溶液と比べて懸濁液は固有の不均一性を有するにもかかわらず、濃度なる語はその通常の意味で用いられる。結晶懸濁液中の抗体の濃度は、抗体が結晶形態でない同等サンプルの濃度に等しい。
「保存的に修飾された変異体」または「保存的置換」は、ポリペプチドの必須領域内でさえも、生じる分子の生物活性を改変することなく一般に施されうる当業者に公知のアミノ酸の置換を意味する。そのような典型的な置換は、好ましくは、以下のとおり表1に記載されているものに従い施される。
Figure 2018510142
Figure 2018510142
本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって用いる「からなる」またはその変形、例えば「から実質的になる」もしくは「から実質的になり」は、任意の列挙されている要素または要素群の包含、および特定されている投与レジメン(投与計画)、方法または組成物の基本的または新規特性を実質的に変化させない、列挙されている要素と類似した又は異なる性質の他の要素の随意的包含を示す。非限定的な例としては、抗体結晶および特定の医薬上許容される賦形剤から実質的になる医薬組成物は、該医薬組成物の特性に実質的に影響を及ぼさない1以上の他の賦形剤をも含みうる。
本明細書中で用いる「抗PD−1 mAb結晶」または「結晶性抗PD−1 mAb」は、三次元で規則的に反復する格子構造内に整列した抗体を含有する結晶を意味する。これとは対照的に、mAbの固体、無定形形態(例えば、溶液中に溶解したmAbを凍結乾燥することにより製造されたもの)は、結晶性抗体形態に典型的である屈折率および複屈折のような光学的特性を示さない。
本明細書中で、そして透析に基づく結晶化方法に関して用いる「透析溶液」は、本発明の結晶性抗体の形成を誘導するためにペンブロリズマブの溶液(「抗体溶液」)が透析される溶液を意味する。「残余液」は透析後の抗体溶液を意味し、これは、回収される抗体結晶を含みうる。抗体溶液/残余液は透析膜の一方の側に存在し、透析溶液は反対側に存在する。
「ミクロン」および「マイクロメートル」なる語は本明細書において互換的に用いられ、それぞれはメートルの1/1000000を意味する。
本明細書中で用いる「モノクローナル抗体」または「mAb」または「Mab」は、実質的に均一な抗体の集団を意味し、すなわち、該集団を構成する抗体分子は、僅かな量で存在しうる考えられうる自然突然変異以外は、アミノ酸配列において同一である。これとは対照的に、通常の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的には、異なるエピトープに対して特異的であることが多いそれらの可変ドメイン、特にCDR内に異なるアミノ酸配列を有する多数の異なる抗体を含む。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られる該抗体の特性を示しており、いずれかの特定の方法による該抗体の製造を要するとは解釈されない。例えば、本発明に従い使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら(1975)Nature 256,495により最初に記載されたハイブリドーマ法により製造可能であり、あるいは組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)により製造可能である。また、「モノクローナル抗体」は、例えば、Clacksonら(1991)Nature 352:624−628およびMarksら(1991)J.Mol.Biol 222:581−597に記載されている技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離されうる。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731も参照されたい。
本明細書中で用いる「PD−L1」または「PD−L2」発現は、細胞表面における示されているPD−Lタンパク質の、または細胞もしくは組織内の示されているPD−L mRNAの任意の検出可能なレベルの発現を意味する。PD−Lタンパク質発現は、腫瘍組織切片のIHCアッセイにおいて診断用PD−L抗体で、またはフローサイトメトリーにより検出されうる。あるいは、腫瘍細胞によるPD−Lタンパク質発現は、所望のPD−L標的、例えばPD−L1またはPD−L2に特異的に結合する結合剤(例えば、抗体フラグメント、アフィボディなど)を使用して、PETイメージングにより検出されうる。PD−L mRNA発現を検出し測定するための技術にはRT−PCRおよびリアルタイム定量RT−PCRが含まれる。
腫瘍組織切片のIHCアッセイにおいてPD−L1タンパク質発現を定量するための幾つかのアプローチが記載されている。例えば、Thompson,R.H.ら,PNAS 101(49);17174−17179(2004);Thompson,R.H.ら,Cancer Res.66:3381−3385(2006);Gadiot,J.ら,Cancer 117:2192−2201(2011);Taube,J.M.ら,Sci Transl Med 4,127ra37(2012);およびToplian,S.L.ら,New Eng.J Med.366(26):2443−2454(2012)を参照されたい。
1つのアプローチは、PD−L1発現に関する陽性または陰性の単純な二成分(バイナリー)エンドポイントを用いるものであり、陽性結果は、細胞表面膜染色の組織学的証拠を示す腫瘍細胞の割合に関して定められる。腫瘍組織切片がPD−L1発現に関して陽性とみなされるのは、全腫瘍細胞の少なくとも1%、好ましくは5%である場合である。
もう1つのアプローチにおいては、腫瘍組織切片におけるPD−L1発現は、リンパ球を主に含む浸潤性免疫細胞および腫瘍細胞において定量される。膜染色を示す腫瘍細胞および浸潤性免疫細胞の割合は<5%、5〜9%、そしてついで10%の増量で100%まで、別々に定量される。腫瘍細胞の場合、スコアが<5%スコアであればPD−L1発現は陰性とみなされ、スコアが5%であれば陽性とみなされる。免疫浸潤物におけるPD−L1発現は、補正(adjusted)炎症スコア(AIS)と称される半定量的測定値として示され、これは膜染色細胞の百分率に浸潤物の強度を掛け算することにより決定され、これは、無し(0)、軽度(1のスコア、希少リンパ球)、中等度(2のスコア、リンパ組織球凝集物による腫瘍の病巣浸潤)または重度(3のスコア、びまん性浸潤)として評価される。AISが5であれば、腫瘍組織切片は免疫浸潤物によるPD−L1発現に関して陽性とみなされる。
PD−L1 mRNA発現のレベルは、定量的RT−PCRにおいて頻繁に使用される1以上の参照遺伝子(例えば、ユビキチンC)のmRNA発現レベルと比較されうる。
幾つかの実施形態において、悪性細胞による及び/又は腫瘍内の浸潤性免疫細胞によるPD−L1発現(タンパク質および/またはmRNA)のレベルは、適当な対照によるPD−L1発現(タンパク質および/またはmRNA)のレベルとの比較に基づいて、「過剰発現」または「上昇」していると判定される。例えば、対照PD−L1タンパク質またはmRNA発現レベルは、同じタイプの非悪性細胞において、または釣り合わされた正常組織からの切片において定量されたレベルでありうる。幾つかの好ましい実施形態において、腫瘍サンプルにおけるPD−L1発現は、サンプル中のPD−L1タンパク質(および/またはPD−L1 mRNA)が対照の場合より少なくとも10%、20%または30%大きいならば、上昇していると判定される。
本明細書中で用いる「ペンブロリズマブ」は、WHO Drug Information,Vol.27,No.2,pp.161−162(2013)に記載されている構造を有するヒト化IgG4 mAbであり、これは、Merck Sharp & Dohme Corp.(MSD)、MSDを管理する若しくはMSDにより管理される企業、またはそれと利害関係を有する承継者(個々に及び一括して「MSD」)により又はその代理で製造されている。ペンブロリズマブの各軽鎖は、図1に示されている3つのCDR配列(CDRL1としての配列番号1、CDRL2としての配列番号2およびCDRL3としての配列番号3)を含み、ペンブロリズマブの各重鎖は、図2に示されているCDR配列(CDRH1としての配列番号4、CDRH2としての配列番号5およびCDRH3としての配列番号6)を含む。ペンブロリズマブの完全長重鎖および軽鎖は、図3に示されている重鎖および軽鎖配列(それぞれ配列番号7および配列番号8)を含む。
ペンブロリズマブバイオシミラーは、MSD以外の企業体により製造されている生物学的製品であって、ペンブロリズマブバイオシミラーとして販売することに関して、いずれかの国の規制機関により承認されている生物学的製品を意味する。1つの実施形態において、ペンブロリズマブバイオシミラーは薬物としてペンブロリズマブ変異体を含む。1つの実施形態において、ペンブロリズマブバイオシミラーはペンブロリズマブと同じアミノ酸配列を有する。
本明細書中で用いる「ペンブロリズマブ変異体」は、軽鎖CDRの外部に位置する3、2または1個の保存的アミノ酸置換、および重鎖CDRの外部に位置する6、5、4、3、2または1個の保存的アミノ酸置換を有すること以外はペンブロリズマブにおけるもの(それぞれ配列番号7および8)と同じ重鎖および軽鎖配列を含むモノクローナル抗体を意味し、例えば、変異位置はフレームワーク領域または定常領域内に位置する。換言すれば、ペンブロリズマブおよびペンブロリズマブ変異体は同一CDR配列を含むが、それぞれ、それらの完全長軽鎖および重鎖配列における3または6個以下の他の位置における保存的アミノ酸置換を有する点でそれぞれとは異なる。ペンブロリズマブ変異体は、以下の特性、すなわち、PD−1に対する結合アフィニティ、ならびにPD−1へのPD−L1およびPD−L2のそれぞれの結合を遮断する能力の点で、ペンブロリズマブと実質的に同じである。
「沈殿剤」は、濃縮溶液中のポリペプチド、例えば抗体の溶解度を減少させる化合物である。バッチ結晶化法においては、沈殿剤は「沈殿剤溶液」中に含まれ、バルク透析法においては、沈殿剤は「透析溶液」中に含まれる。沈殿剤は、エネルギー的に不利な沈殿剤空乏層をポリペプチド分子の周囲に形成させることにより、結晶化を誘発する。この空乏層の相対量を最小にするために、該ポリペプチドは会合を生成し、最終的には結晶を形成する。この過程はWeber(1991)Advances in Protein Chemistry 41:1において説明されている。種々の沈殿剤が当技術分野で公知であり、硫酸アンモニウム、エタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、3−エチル−2,4−ペンタンジオール、およびポリグリコールの多く、例えばポリエチレングリコール(例えば、PEG 300およびPEG 400)を包含する。沈殿剤に加えて、他の物質がポリペプチド沈殿剤溶液に添加されることがある。これらは、溶液のpH(したがって該ペプチド上の表面電荷)を調節するためのバッファー、例えばTrisまたはHEPES、ならびにポリペプチドの溶解度を減少させるための塩、例えば塩化ナトリウム、塩化リチウムおよびクエン酸ナトリウムを包含する。
本明細書中で用いる「治療的有効量」または「有効量」は、単独で又は追加的治療用物質と組合せて細胞、組織または対象(被験者)に投与された場合に癌の治療に有効である抗PD−1抗体の量を意味する。単独で投与される抗PD−1抗体に適用される場合、治療的有効量はその成分のみに関するものである。組合せに適用される場合、治療的有効量は、組合せ投与、連続的投与または同時投与のいずれであっても、治療効果をもたらす抗PD−1抗体および追加的治療用物質の組合せ量を意味する。
「組織切片」は、組織サンプルの単一の部分または断片、例えば、正常組織または腫瘍のサンプルから切断された組織の薄片を意味する。
本明細書中で用いる、癌を「治療」または「治療する」は、本発明の医薬組成物を、癌を有する又は癌を有すると診断された対象に投与して、少なくとも1つの陽性(正)の治療効果、例えば、癌細胞数の減少、腫瘍サイズの減少、末梢器官内への癌細胞浸潤の速度の低下、または腫瘍転移もしくは腫瘍成長の速度の低下を達成することを意味する。癌における陽性の治療効果は幾つかの方法で測定されうる(W.A.Weber,J.Nucl.Med.50:1S−10S(2009)を参照されたい)。例えば、腫瘍成長抑制に関しては、NCI標準に従い、T/C42%が抗腫瘍活性の最小レベルである。T/C<10%は高い抗腫瘍活性とみなされ、ここで、T/C(%)=治療された腫瘍体積中央値/対照の腫瘍体積中央値×100である。幾つかの実施形態において、本発明の組合せにより達成される治療は、PR、CR、OR、PFS、DFSおよびOSのいずれかである。PFSは「腫瘍進行までの時間」とも称され、癌が成長(増殖)しない治療中または治療後の時間の長さを示し、CRまたはPRを患者が経験した時間の長さ、およびSDを患者が経験した時間の長さを含む。DFSは、患者が無疾患状態のままである治療中または治療後の時間の長さを意味する。OSは、無処置または未治療の個体または患者と比較した場合の寿命の延長を意味する。幾つかの好ましい実施形態において、本発明の組合せに対する応答は、RECIST 1.1応答基準を用いて評価されるPR、CR、PFS、DFS、ORまたはOSのいずれかである。癌患者を治療するのに有効である本発明の組合せのための治療レジメンは、患者の病態、年齢および体重ならびに対象において抗癌応答を惹起する該療法の能力のような要因に応じて変動しうる。本発明の態様のいずれかの実施形態は全ての対象において陽性治療効果を達成するのに有効だとは限らないが、当技術分野で公知のいずれかの統計的検定、例えばスチューデントt検定、カイ2乗検定、マンおよびホイットニーによるU検定、クラスカル・ウォリス検定(H検定)、ヨンケーレ−テルプストラ検定およびウィルコクソン検定により判定された場合、統計的に有意な数の対象においては有効であるはずである。
本明細書中で用いる「トリス」(2−アミノ−2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3−ジオール)はTRIS、トリス(Tris)塩基、トリズマ(Trizma)、トリスアミン(Trisamine)、THAM、トロメタミン(Tromethamine)、トロメタモール(Trometamol)、トロメタン(Tromethane)およびトリスアミノール(Trisaminol)と同義である。
「腫瘍」は、癌を有すると診断された又は癌を有する疑いのある対象に適用される場合には、任意のサイズの悪性または潜在的に悪性の新生物または組織塊を意味し、原発腫瘍または続発性新生物を含む。固形腫瘍は、嚢胞または液体領域を通常は含有しない組織の異常成長または塊を意味する。種々のタイプの固形腫瘍が、それらを形成する細胞のタイプにちなんで命名されている。固形腫瘍の例としては、肉腫、癌腫およびリンパ腫が挙げられる。白血病(血液の癌)は、一般に、固形腫瘍を形成しない(National Cancer Institute,Dictionary of Cancer Terms)。
「腫瘍量」は「腫瘍負荷」とも称され、全身に分布する腫瘍物質の総量を意味する。腫瘍負荷は、リンパ節および骨髄を含む身体全体にわたる癌細胞の総数または腫瘍の全サイズを意味する。腫瘍負荷は当技術分野で公知の種々の方法により決定可能であり、例えば、被験者からの摘除に際して例えばカリパスを使用して、あるいはイメージング技術、例えば超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)または磁気共鳴撮像(MRI)スキャンを用いて全身において、腫瘍の寸法を測定することにより決定されうる。
「腫瘍サイズ」なる語は、腫瘍の長さおよび幅として測定されうる腫瘍の全サイズを意味する。腫瘍サイズは技術分野で公知の種々の方法により決定可能であり、例えば、被験者からの摘除に際して例えばカリパスを使用して、あるいはイメージング技術、例えば骨スキャン、超音波、CTまたはMRIスキャンを用いて全身において、腫瘍の寸法を測定することにより決定されうる。
III.抗体結晶化
本発明は、部分的には、ペンブロリズマブの結晶化条件の特定に基づく。該結晶化条件は、(1)高塩濃度(すなわち、1.0M〜2.5Mまたは1.5M〜2.0MのADP)を含み、酸性pH(すなわち、4.0〜5.0、4.2〜4.8、4.4〜4.6または4.5のいずれかのpH)を有する沈殿剤溶液、および(2)高温(すなわち、少なくとも25℃かつ50℃以下)、の特有の組合せを含む。1つの実施形態において、pHは、沈殿剤溶液中に緩衝剤を含有させることにより必要範囲内に維持されうる。適当な緩衝剤には、例えばTris−HCl、リン酸水素アンモニウム、ヒスチジンおよび水酸化アンモニウムが含まれる。沈殿剤溶液のpHは、好ましくは、結晶化を行おうとする温度に応じて決定され、該温度は、1つの実施形態において、27℃〜約30℃の温度である。本発明の結晶化条件は幾つかの結晶化技術に適合し、1〜20ミクロンおよび5〜100ミクロンを含む種々の長さの抗PD−1 mAbの結晶形態、および結晶の意図される用途に応じて低い分解能(例えば、3.5オングストローム)または高い分解能(例えば、2.3オングストローム)を示す結晶(3.5オングストロームの回折分解能より劣るもの、種々の回折特性のものを含む)を産生しうる。
タンパク質結晶化の種々の方法が公知である。Giegeら(1994)Acta Crystallogr.D50:339;McPherson(1990)Eur.J.Biochem.189:1。そのような技術には、ハンギングドロップ蒸気拡散(McPherson(1976)J.Biol.Chem.251:6300)、シッティングドロップ蒸気拡散、マイクロバッチおよび透析が含まれる。
ハンギングドロップ蒸気拡散およびシッティングドロップ蒸気拡散は共に、精製タンパク質、バッファーおよび沈殿剤を含有する液滴が、類似バッファーおよび沈殿剤をより高濃度で含有する、より大きなリザーバーと平衡化することを伴う。最初は、タンパク質溶液液滴は、結晶化には不十分である沈殿剤の濃度を含むが、水が液滴から蒸発しレザーバーに移るにつれて、沈殿剤濃度は、結晶化に最適なレベルまで増加する。該系は平衡状態にあるため、これらの最適条件は、結晶化が完了するまで維持される。ハンギングドロップ法は系内のタンパク質溶液の液滴の垂直配向においてシッティングドロップ法とは異なる。
マイクロバッチ法においては、ポリペプチドを沈殿剤と混合して過飽和にし、容器を密封し、結晶が出現するまで放置する。
透析法においては、沈殿剤を含有する溶液と接触した透析膜の一方の側にポリペプチドを保持させる。膜を越えた平衡化は沈殿剤濃度を増加させ、それにより、ポリペプチドは過飽和レベルに達する。
実施例1〜7において更に詳細に記載されているとおり、これらの技術の幾つかは、本発明のペンブロリズマブ結晶を製造するために使用された。そのようなハイスループットの例は、大規模な結晶製造のためではなく、沈殿剤溶液を最適化するためのスクリーニングに最も適している。
本発明の結晶化方法において使用される抗PD−1 mAb溶液は3〜100mg/mlの抗体濃度を有し、約5.5のpHの約10mM ヒスチジンのバッファー中で簡便に提供される。
抗PD−1 mAb結晶(例えば、治療用のもの)の大規模製造に関しては、実施例5および9〜11がバッチ結晶化法を要約している。1つの実施形態において、ペンブロリズマブを溶液から結晶化するためのバッチ法は、1.8〜2.5M ADP中に少なくとも10mg/mlのペンブロリズマブを含み、約4.4〜4.6のpHを有する結晶化混合物を調製することを含む。1つの実施形態において、結晶化混合物は更に、3% 1,5−ジアミノペンタン二塩酸塩、3% イソプロパノールおよび4% プロピレングリコールからなる群から選択される添加剤を含む。結晶は、当技術分野で公知の方法、例えば遠心分離、透析および種々の濾過方法(中空繊維接線流濾過を含む)を用いて、バッチ結晶化混合物から集められうる。
抗PD−1 mAb結晶は、その物理的特性、例えば結晶サイズ、形状、表面形態、総表面積および多孔性を調べ又は特徴づけるために、種々の方法により分析されうる。そのような分析技術には、例えば、電子線回折および固体核磁気共鳴(ssNMR)、光学顕微鏡検査、透過型電子顕微鏡検査、走査電子顕微鏡検査、原子間力顕微鏡検査および種々の光散乱技術が含まれる。
本発明の結晶における抗PD−1 mAbの生物活性および/または生物物理学的特性は、所望の分析技術に適したバッファー中に抗体結晶を「再溶解」または可溶化することにより分析されうる。例えば、可溶化された抗PD−1 mAbは、ELISA、サイズ排除クロマトグラフィー、SDS PAGEおよび動的光散乱の1以上により分析されうる。本明細書に記載されている結晶化条件は、ペンブロリズマブの及び構造的に類似した抗PD−1 mAb、すなわち、ペンブロリズマブ変異体およびペンブロリズマブバイオシミラーの結晶懸濁液を製造するためのバッチ結晶化技術において有用である、と本発明者らは本発明において想定している。用いる高い結晶化温度(少なくとも25℃かつ50℃以下)ゆえに、これらの条件を用いて製造された結晶懸濁液およびそのような結晶を含む医薬組成物は、抗PD−1 mAbの生物活性または安定性における変化をほとんど又は全く伴うことなく、少なくとも1カ月の期間にわたって室温で貯蔵されうる、と本発明者らは想定している。
本発明に従い製造された抗体結晶から可溶化された抗PD−1 mAb(ペンブロリズマブ、ペンブロリズマブ変異体またはペンブロリズマブバイオシミラー)は、結晶化前の出発物質の特性を認容可能な許容範囲内で保有するはずである。種々の機能パラメーターに関する認容可能な許容範囲は、意図される用途に基づいて変動しうるが、結合アフィニティまたは生物活性に関しては、元の(未結晶化)アフィニティまたは活性の少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の保有を包含しうる。例えば、該抗PD−1 mAbがPD−1へのPD−L1の結合を遮断する能力は、実施例12に記載されている方法を用いて測定されうる。
本明細書の実施例11〜12に記載されているとおり、ペンブロリズマブ結晶を溶解することにより得られたペンブロリズマブおよび結晶化されなかったペンブロリズマブの生物活性および生物物理学的特性を、ELISAおよびサイズ排除クロマトグラフィーを用いて比較したところ、それらは実質的に類似していると判定された。これらの結果は、ヒト対象の治療のための、ペンブロリズマブ結晶を含む医薬組成物の使用を支持している。
IV.医薬組成物
医薬組成物を製造するために、本発明の抗PD−1 mAb結晶またはそのような結晶から可溶化された抗PD−1 mAbを少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤と混合する。例えば、Remington’s Pharmaceutical SciencesおよびU.S. Pharmacopeia:National Formulary,Mack Publishing Company,Easton,PA(1984)を参照されたい。本発明の医薬組成物において使用される抗PD−1 mAb結晶は、該抗体の生物活性および安定性が所望の範囲内で維持される限り、いずれかの特定の回折特性を有することは要求されない。
幾つかの実施形態において、結晶化の途中または後で結晶化液に賦形剤を直接加える。他の実施形態において、まず、結晶を該液体から集め、安定化溶液中の懸濁により洗浄し、該安定化溶液から集め、ついで、賦形剤を含む液体溶液中に懸濁させる。液体の組成物は任意の医薬上許容される媒体であることが可能であり、例えば水溶液および油中水型混合物を含みうる。
固体形態の結晶の医薬組成物は、例えば、窒素、空気または不活性ガスの気流を該結晶上に通過させることにより、空気乾燥、真空乾燥または凍結乾燥により、結晶と所望の賦形剤とを含む液体懸濁液を乾燥させることにより製造されうる。最終産物中の水分含有率は典型的には10重量%未満、7重量%未満、5重量%未満または3重量%未満である。
液体懸濁液中または乾燥固体中のペンブロリズマブ結晶から可溶化されたペンブロリズマブを含む医薬組成物は、所望の量の該結晶を医薬上許容される溶解バッファーに加え、結晶が溶解するまで4℃でインキュベートすることにより製造されうる。1つの実施形態において、溶解バッファーは10mM ヒスチジン(pH5.6)、0.02% ポリソルベート80および4%までのスクロース(w/v)を含む。1つの実施形態において、生じた組成物中の粒状物を投与前に例えば遠心分離または濾過により除去する。
V.治療方法
特定の患者において特定の癌を治療するための本発明の医薬組成物の適当な用量の決定は、例えば、治療に影響を及ぼすことが当技術分野で公知である若しくはそのように疑われる又は治療に影響を及ぼすと予想されるパラメーターまたは因子を使用することにより、臨床家によりなされうる。例えば、医師は、最適用量または承認された用量より幾らか少ない用量で治療を開始し、ついで、いずれかの負の副作用との比較において所望の又は最適な効果が得られるまで、用量を少しずつ増加させることを選択することが可能である。
1つの実施形態において、組成物の用量および投与経路は、200mg Q2WまたはQ3Wの用量で未結晶化ペンブロリズマブによりもたらされるものに実質的に類似したペンブロリズマブ抗体に対する中間的な曝露をもたらす。
以下に列挙する典型的な特定の実施形態を含む本発明のこれらの及び他の態様は、当技術分野における一般的知識と組合された本明細書に含まれる教示から明らかであろう。
VI.本発明の典型的な特定の実施形態
1.抗PD−1モノクローナル抗体(mAb)の結晶であって、該mAbがペンブロリズマブ、ペンブロリズマブ変異体、またはペンブロリズマブバイオシミラーにおける抗体である、結晶。
2.結晶が、1〜200ミクロン、1〜100ミクロン、1〜20ミクロン、5〜100ミクロン、5〜50ミクロン、5〜40ミクロン、5〜30ミクロン、5〜20ミクロン、5〜10ミクロン、10〜100ミクロン、10〜50ミクロンおよび10〜20ミクロンからなる群から選択される範囲内の長さを有することにより特徴づけられる、実施形態1記載の結晶。
3.結晶が、5〜10ミクロン、5〜20ミクロンまたは5〜40ミクロンの長さを有することにより特徴づけられる、実施形態3記載の結晶。
4.結晶が、50〜100ミクロンの長さを有することにより特徴づけられる、実施形態2記載の結晶。
5.a=63.5〜78.9オングストローム、b=110.2〜112.2オングストローム、c=262.5〜306オングストローム、α=90、β=90、γ=90°の単位格子寸法、およびP2の空間群により特徴づけられる、実施形態1〜4のいずれか1項記載の結晶。
6.2.3オングストローム〜3.5オングストローム、2.3オングストローム〜3.0オングストローム、2.3オングストローム〜2.75オングストローム、2.3オングストローム〜2.5オングストロームおよび2.3オングストロームからなる群から選択される分解能までX線を回折しうる、前記実施形態のいずれか1項記載の結晶。
7.同じ抗PD−1 mAbの追加的な結晶を含む液体媒体中に懸濁された、前記実施形態のいずれか1項記載の結晶。
8.抗PD−1 mAbがペンブロリズマブである、前記実施形態のいずれか1項記載の結晶。
9.抗PD−1モノクローナル抗体(mAb)の結晶の製造方法であって、該mAbがペンブロリズマブ、ペンブロリズマブ変異体、またはペンブロリズマブバイオシミラーにおける抗体であり、該製造方法が、結晶形成に十分な時間にわたって、少なくとも25℃かつ50℃以下、45℃以下、40℃以下または37℃以下の温度で、該抗PD−1 mAbを含む溶液を沈殿剤溶液に曝露することを含み、ここで、沈殿剤溶液は、4.0〜5.0のpHを有し、そして、1.0M〜2.5M リン酸二水素アンモニウムを含む、製造方法。
10.曝露工程が、抗体溶液および沈殿剤溶液を混合して結晶化混合物を得て、そして結晶化プロセスを該混合物に適用することを含む、実施形態9記載の製造方法。
11.結晶化プロセスが、ハンギングドロップ蒸気拡散、シッティングドロップ蒸気拡散およびバッチからなる群から選択される、実施形態10記載の製造方法。
12.結晶化プロセスがバッチプロセスであり、製造方法が、結晶化混合物を抗PD−1 mAbの結晶で播種することを更に含む、実施形態11記載の製造方法。
13.結晶化混合物中の抗体濃度が約10mg/mlまたは約20mg/mlである、実施形態9〜12のいずれか1項記載の製造方法。
14.曝露工程が、30kD 分子量カットオフ膜を使用して沈殿剤溶液に対して抗体溶液を透析することを含む、実施形態9記載の製造方法。
15.抗体溶液が、2〜200mg/ml、3〜100mg/ml、10〜90mg/ml、20〜80mg/ml、30〜70mg/ml、40〜60mg/mlまたは約50mg/mlの濃度の抗PD−1 mAbを含む、実施形態9〜14のいずれか1項記載の製造方法。
16.沈殿剤溶液が、4.2〜4.8、4.4〜4.6および4.5からなる群からpHを有する、実施形態9〜15のいずれか1項記載の製造方法。
17.沈殿剤溶液が緩衝剤を更に含む、実施形態9〜16のいずれか1項記載の製造方法。
18.緩衝剤が、Tris−HCl、リン酸水素アンモニウム、水酸化アンモニウムまたはヒスチジンである、実施形態17記載の製造方法。
19.沈殿剤溶液が、1.5M〜2.0M リン酸二水素アンモニウムおよび100〜120mM Tris−HClから実質的になる、実施形態9〜18のいずれか1項記載の製造方法。
20.沈殿剤溶液がリン酸二水素アンモニウムとリン酸水素アンモニウムとの混合物を含む、実施形態9〜17のいずれか1項記載の製造方法。
21.沈殿剤溶液が、1.9M リン酸二水素アンモニウムおよび0.09M リン酸水素アンモニウムから実質的になる、実施形態20記載の製造方法。
22.曝露工程を少なくとも3、4または5日間にわたって約30℃の温度で行う、実施形態9〜21のいずれか1項記載の製造方法。
23.抗PD−1モノクローナル抗体(mAb)を、抗PD−1 mAbを含む溶液から結晶化するための方法であって、ここで、該抗体がペンブロリズマブ、ペンブロリズマブ変異体、またはペンブロリズマブバイオシミラーにおける抗体であり、そして、該方法が、(a)抗PD−1 mAb溶液を沈殿剤溶液および抗PD−1 mAbの種晶と一緒にして播種(seeded)結晶化混合物を得、(b)少なくとも20℃かつ40℃以下の温度で該播種結晶化混合物をインキュベートし、そして、(c)結晶を集めること、を含む方法。
24.インキュベート温度が約30℃であり、沈殿剤溶液が、(1)20% ポリエチレングリコール4000(PEG 4K)および20% イソプロパノール、(2)18% ポリエチレングリコール10000(PEG 10K)、20% グリセロール、100mM Tris−HCl(pH8.5)、ならびに(3)2.0M リン酸二水素アンモニウムおよび100mM Tris−HCl、からなる群から選択される混合物を含む、実施形態23記載の方法。
25.インキュベート温度が約22℃であり、そして、沈殿剤溶液が、(1)25% PEG 4K、100mM Tris−HCl(pH8.5)および100mM CaCl、ならびに(2)1.26M 硫酸アンモニウム、酢酸ナトリウム(pH4.5)および0.2M NaCl、からなる群から選択される混合物を含む、実施形態23記載の方法。
26.種晶が、実施形態9〜22のいずれか1項記載の製造方法により製造された抗PD−1 mAbの結晶の種ストックに由来する、実施形態23〜25のいずれか1項記載の方法。
27.抗PD−1 mAbがペンブロリズマブである、実施形態9〜26のいずれか1項記載の方法。
28.実施形態9〜27のいずれか1項記載の製造方法により製造される抗PD−1 mAb結晶。
29.(a)ペンブロリズマブ、ペンブロリズマブ変異体、またはペンブロリズマブバイオシミラーにおける抗体である抗PD−1モノクローナル抗体(mAb)の結晶、及び、(b)少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤、を含む医薬組成物。
30.賦形剤が、結晶を封入すること、結晶を包埋すること、および結晶を安定に維持すること、から選択される少なくとも1つの機能を果たす、実施形態29記載の組成物。
31.抗PD−1 mAbのそれぞれが、実施形態1〜8または27のいずれか1項記載の結晶である、実施形態29または30記載の組成物。
32.液体である、実施形態29〜31のいずれか1項記載の組成物。
33.固体である、実施形態29〜31のいずれか1項記載の組成物。
34.組成物中の抗PD−1 mAb濃度が少なくとも50mg/ml、少なくとも100mg/ml、少なくとも200mg/mlまたは少なくとも250mg/mlである、実施形態29〜32のいずれか1項記載の組成物。
35.組成物を20℃〜25℃で少なくとも1カ月間貯蔵した後に、抗PD−1 mAbの生物活性の少なくとも95%が存在する、実施形態29〜34のいずれか1項記載の組成物。
36.実施形態29〜35のいずれか1項記載の医薬組成物の治療的有効量を患者に投与することを含む、癌に対するヒト対象の治療方法。
37.癌が、膀胱癌、乳癌、明細胞腎癌、頭頸部扁平上皮癌、肺扁平上皮癌、悪性黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎細胞癌、小細胞肺癌(SCLC)、トリプルネガティブ乳癌、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、EBV陽性DLBCL、原発性縦隔大B細胞リンパ腫、T細胞/組織球リッチ大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄細胞白血病−1タンパク質(Mcl−1)、骨髄異形成症候群(MDS)、非ホジキンリンパ腫(NHL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)である、実施形態36記載の方法。
38.医薬組成物が少なくとも200mg/mlのmAbを含み、そして皮下投与される、実施形態36または37記載の方法。
39.癌が固形腫瘍であり、そして、医薬組成物の最初の投与の前に被験者から摘出された癌の組織切片がPD−L1およびPD−L2の一方または両方の発現に関して陽性の試験結果を示した、実施形態36〜38のいずれか1項記載の方法。
40.該組織切片における腫瘍細胞の少なくとも50%が免疫組織化学的(IHC)アッセイによりPD−L1発現に関して陽性の試験結果を示した、実施形態39記載の方法。
本特許または出願書類は、着色して作成された少なくとも1つの図面を含む。着色図面を含む本特許または特許出願公開のコピーは請求および必要料金の支払いにより当局によって提供される。
図1はペンブロリズマブに関する及び本明細書に記載されているペンブロリズマブ変異体に関する軽鎖CDR配列のアミノ酸配列(配列番号1〜3)を示す。 図2はペンブロリズマブに関する及び本明細書に記載されているペンブロリズマブ変異体に関する重鎖CDR配列のアミノ酸配列(配列番号4〜6)を示す。 図3はペンブロリズマブの重鎖(図3A)および軽鎖(図3B)のアミノ酸配列を示す(それぞれ配列番号7および8)。 図4は、2.0M リン酸二水素アンモニウム、100mM Tris−HClの沈殿剤溶液を使用して30℃での蒸気拡散により得られたペンブロリズマブ結晶懸濁液中の結晶の顕微鏡写真を示す。3日後、SONICCイメージングシステムを使用して、100倍の倍率で顕微鏡写真を撮影した。図4Aは、SHGモードを使用して得られたものであり、図4Bは、UV−TPEFモードを使用して得られたものである。実施例1を参照されたい。 図5は、0.02% ポリソルベート80の存在下(図5A)または非存在下(図5B)で、2.0M リン酸二水素アンモニウム、100mM Tris−HClの沈殿剤溶液を使用して30℃での自由界面拡散により得られたペンブロリズマブ結晶懸濁液中の結晶の顕微鏡写真を示す。2日後、Fluidigm Automated Imagingシステムを使用して、100倍の倍率で顕微鏡写真を撮影した。実施例2を参照されたい。 図6は、1.5M リン酸二水素アンモニウム、100mM Tris−HClの沈殿剤溶液を使用して30℃でのハンギングドロップ蒸気拡散により得られたペンブロリズマブ結晶懸濁液中の結晶の顕微鏡写真を示す。3日後、Nikon SMZ1500 Stereo MicroscopeおよびNikon ES400カメライメージングシステムを使用して、100倍の倍率で顕微鏡写真を撮影した。実施例4を参照されたい。 図7は、1.8M リン酸二水素アンモニウム、120mM Tris−HClの沈殿剤溶液を使用して30℃でのバッチ結晶化により得られたペンブロリズマブ結晶懸濁液中の結晶の顕微鏡写真を示す。実施例5を参照されたい。5日後、Nikon SMZ1500 Stereo MicroscopeおよびNikon ES400カメライメージングシステムを使用して、100倍の倍率で顕微鏡写真を撮影した。両方向矢印は約20ミクロンの長さの結晶を示す。 図8は、沈殿剤として1.8M リン酸二水素アンモニウム、120mM Tris−HClを使用して30℃でのハンギングドロップ拡散法により得られた結晶のX線回折分析により解析されたペンブロリズマブの三次元構造のリボンダイヤグラムを示す。実施例7を参照されたい。該リボンダイヤグラムは図8Aにおいてはカラー表示されており、2本の重鎖は黄色およびシアン色で示されており、2本の軽鎖はマゼンタ色(FAB−1)および緑色(FAB−2)で示されており、一方、同じリボンダイヤグラムは図8Bにおいては灰色の色調で示されている。 図9は、沈殿剤として1.9M リン酸二水素アンモニウムおよび0.09M リン酸水素アンモニウムを使用して30℃での蒸気拡散法により得られたペンブロリズマブ結晶懸濁液中の結晶の顕微鏡写真を示す。実施例8を参照されたい。3日後、Rock Imagerシステム(Formulatrix,Bedford,MA)を使用して、70倍の倍率で顕微鏡写真を撮影した。両方向矢印は約20ミクロンの距離を示す。 図10は、実施例13に記載されている種々のペンブロリズマブ溶液のUPLC−SEC特徴づけにより得られたプロットを示し、図10Aにおいては、これまで結晶化されたことがないペンブロリズマブを示し、図10Bにおいては、ペンブロリズマブ結晶から可溶化されたペンブロリズマブを示す。
本発明の広範な範囲は、以下の実施例を参照することによって最も良く理解される。これらの実施例は本発明を特定の実施形態に限定するものではない。ここに記載されている特定の実施形態は単なる例示として記載されているに過ぎず、本発明は、添付の特許請求の範囲の条項、およびそのような特許請求の範囲が及ぶ均等物の全範囲によって限定されるべきである。
実施例
実施例1:ペンブロリズマブのドロップ蒸気拡散結晶化スクリーニング
34mg/mlの完全長ペンブロリズマブの溶液を10mM ヒスチジン(pH5.6)中で製造した。この溶液を、Hampton Research(Aliso Viejo,CA,USA)のMRC96ウェル結晶化プレートならびにRigaku Corporation(Seattle,WA,USA)およびJena Bioscience(Jena,DE,USA)の4つの商業的に入手可能なハイスループットスクリーンにおいて、シッティングドロップ蒸気拡散実験でスクリーニングした。各スクリーンは、以下の表2に要約する96個の特有の溶液からなるものであった。
Figure 2018510142
各スクリーン実験の場合に、ペンブロリズマブ溶液(0.2μl)をスクリーン溶液(0.2μl)と混合し、Douglas Instruments,Inc.(Hungerford,Berkshire,UK)のOryx結晶化ロボットを使用して、プレートウェル内の80μlのスクリーン溶液の上に層状に載せた。各スクリーン溶液に関して4℃、18℃および30℃のそれぞれにおいて実験を行った。したがって、合計1,152個の異なる結晶化条件を試験した。該プレートウェルを結晶形成に関して顕微鏡で経時的にモニターした。
該試験条件のただ1つ[Jena 2(Salt)#91(100mM Tris−HCl,pH8.5,2.0M リン酸二水素アンモニウム)で30℃]に関して3日後に結晶を観察した。Formulatrix(Bedford,MA,USA)のSONICCイメージングシステムを使用して結晶を可視化した。SONICCシステムは、以下の2つのイメージング法を有する:結晶化度を調べる第2高調波発生(Second Harmonic Generation)(SHG)、およびタンパク質サンプルに特異的である紫外線2光子励起蛍光(Ultraviolet Two−Photon Excited Fluorescence)(UV−TPEF)。観察した結晶のイメージを図4A(SHG)および図4B(UV−TPEF)に示す。
実施例2:ペンブロリズマブの自由界面拡散結晶化スクリーニング
実施例1における30℃のみでの結晶形成に基づき、自由界面拡散技術を用いてペンブロリズマブに関するスクリーニング条件を更に調べるために、この温度を選択した。
34mg/mlのペンブロリズマブを含有する抗体溶液を、0.02% ポリソルベート80の存在下または非存在下で10mM ヒスチジン(pH5.6)中で調製し、Topazチップおよび晶析装置[Fluidigm Corporation(South San Francisco,CA,USA)]において、実施例1と同じスクリーン溶液を使用してスクリーニングした。該チップを30℃でインキュベートし、フルイダイム自動イメージング(Fluidigm Automated Imaging)システムを使用して顕微鏡でモニターした。Jena 2(Jena Bioscience)# 91溶液:100mM Tris,pH8.5、2.0M リン酸二水素アンモニウムのみを使用して、結晶を再び観察した。それらの2つの異なるペンブロリズマブ溶液からの観察した結晶のイメージを図5A(0.02% ポリソルベート80を含有する抗体溶液)および図5B(ポリソルベート80を含有しない抗体溶液)に示す。
実施例3:ペンブロリズマブのマイクロシーディング・マトリックス・スクリーニング
この実施例は、既存ペンブロリズマブ結晶で播種された溶液からペンブロリズマブが結晶化されうる条件を検討した。スクリーニングした沈殿剤溶液は、実施例1に記載されているのと同じ4つの商業的に入手可能なスクリーンであった。
ペンブロリズマブ結晶の種ストックを、実施例1において得られた結晶懸濁液(2.0M ADP、100mM Tris−HCl中のペンブロリズマブ結晶)から、1μlの該ペンブロリズマブ結晶懸濁液と、1.8M ADP、100mM Tris−HClの99μlの安定化溶液(2.5M ADPおよび1M Tris−HCl,pH8.5の適量のストック溶液を混合することにより調製されたもの)とを一緒にすることにより調製した。34mg/mlのペンブロリズマブの抗体溶液を、10mM ヒスチジン(pH5.6)中で調製した。MRC96ウェル結晶化プレート(Hampton Research)においてシッティングドロップ蒸気拡散実験を行った。
各スクリーン実験の場合に、該ペンブロリズマブ溶液(0.3μl)をスクリーン溶液(0.3μl)および0.1μlの種ストックと混合し、Oryx結晶化ロボットを使用して、プレートウェル内の80μlのスクリーン溶液の上に層状に載せた。各スクリーン溶液に関して22℃および30℃のそれぞれにおいて実験を行い、したがって、合計768個の結晶化条件を試験した。該プレートウェルを結晶に関して顕微鏡で経時的にモニターし、以下の表3に示す5つの条件から、1週間後、結晶を顕微鏡で観察した。SONICC(UV陽性)による結晶の可視化は、観察した結晶の内容物がタンパク質であることを証明した。
Figure 2018510142
実施例4:ADP/Tris−HClにおける蒸気拡散結晶化の最適化
回折用品質の結晶の製造に適した最適ADP濃度およびpH条件を特定するために、8.8〜9.4の種々のpHの100mM Tris−HClと1.60〜1.74Mの種々の濃度のADPとの混合物を調べる以下のスクリーニング実験を行った。VDX 24ウェル(6×4アレイ)結晶化プレート(Hampton Research)においてOptiMatrix Maker(商標)液体処理システム(Rigaku Corp.,Seattle,WA,USA)を使用して設計された特製最適化スクリーンに対して、ハンギングドロップ蒸気拡散実験において、ペンブロリズマブ(34mg/ml,10mM ヒスチジン,pH5.6)を準備した。各スクリーン実験において、1.0μlのタンパク質+1.0μlのスクリーン溶液からなる懸滴(ハンギングドロップ)を22mmカバーガラスの下面上に配置し、1mlの該スクリーン溶液を含有するウェル上に配置して、100mM Tris−HCl成分のpHが垂直の4個のウェルにおいて変動し、ADP濃度が6個のウェルにわたって水平に変動するようにした。該プレートを30℃でインキュベートし、顕微鏡で経時的にモニターした。図6は、100mM Tris−HCl,pH8.0、1.5M ADPスクリーン溶液中で3日後に観察された結晶の顕微鏡写真を示す。
実施例5:ADP/Tris−HClにおけるペンブロリズマブのバッチ結晶化
10μlの50mg/ml ペンブロリズマブ溶液(10mM ヒスチジン,pH5.6)を50μlの120mM Tris−HCl,pH8.5、1.8M ADPと22℃で一緒にすることにより、結晶化混合物を調製した。この結晶化混合物を、VDXプレート(Hampton Research)のウェルの内部に配置されたマイクロ・ブリッジ(Micro−Bridge)(Hampton Research)内に配置した。該ウェルは1mlの100mM Tris−HCl,pH8.5、1440mM ADPを含有していた。該ウェルを、22mmカバーガラスを使用して密封し、該プレートを30℃で5日間インキュベートした。生じた結晶懸濁液の顕微鏡写真を図7に示す。約5ミクロン〜少なくとも約20ミクロンの範囲の結晶サイズが観察された。
実施例6:蒸気拡散結晶化条件を最適化するための添加剤スクリーン
34mg/mlのペンブロリズマブの溶液を10mM ヒスチジン(pH5.6)中で調製した。このペンブロリズマブ溶液を、Additive Screen HT(商標)キット(Hampton Research)を使用して調製された96個の沈殿剤溶液に対してシッティングドロップ蒸気拡散実験においてスクリーニングした。このキットは96個の異なる添加剤溶液を含有する。
各添加剤に関して、72μlの1.74mM ADP、100mM Tris−HCl,pH9.0と8.0μlの添加剤溶液とを含有する80μlの沈殿剤溶液をMRC96ウェル結晶化プレートのウェルに加えた。該ペンブロリズマブ溶液(0.2μl)を該ウェル溶液(0.2μl)と混合し、Oryx結晶化ロボット(Douglas Instruments)を使用して、80μlの該ウェル溶液の上に層状に載せた。該プレートを密封し、該プレートを30℃でインキュベートし、顕微鏡で経時的にモニターした。3〜7日後に結晶を観察した。1週間後、以下の添加剤の1つを含有するTris、ADP沈殿剤溶液において結晶が観察された:(a)3% 1,5−ジアミノペンタン二塩酸塩、(b)3% イソプロパノール、または(c)4% プロピレングリコール。しかし、その他の93個の沈殿剤溶液のいずれにおいても結晶は観察されなかった。このことは、それらの溶液中の添加剤は結晶核形成または成長を妨げたことを示唆している。
実施例7:ペンブロリズマブ結晶のX線回折分析
完全長ペンブロリズマブの回折用品質の結晶を、ハンギングドロップ技術を用いて30℃で成長させた。10mM ヒスチジン,pH5.6(1μl)中の34mg/mlのペンブロリズマブ溶液を1.8M リン酸二水素アンモニウム、100mM Tris−HCl,pH8.0(1μl)と一緒にした。結晶を7〜60日後に集め、1.5M 硫酸アンモニウム、0.2M NaCl中の飽和(100%)スクロース溶液または1.5M 硫酸アンモニウム、0.2M NaCl中の35% エチレングリコールを使用して凍結保護した。
X線回折データを、ID−17(Argonne National Laboratory,Argonne,Ill.,USA)におけるシンクロトロン放射を用いて集め、autoPROC(Vonrhein C.ら,Acta Cryst.D67:293−302(2011))を使用して処理し、スケーリングした。最良のデータセットはスクロース保護結晶から得られ、2.28オングストロームまで拡大された。24個のデータセットに基づけば、ペンブロリズマブの結晶はP2系に属し、a=63.5〜78.9オングストローム、b=110.2〜112.2オングストローム、c=262.5〜306オングストロームおよびアルファ=ベータ=ガンマ=90°を有する。
PHASER(McCoy A.J.ら,J.Appl.Cryst.40:658−674(2007))において実行される分子置換法を用いてX線回折データからペンブロリズマブの構造を解析した。抗IL−23p19 mAbのfabの構造およびIgG4 FC構造(PDBエントリー4C54,Davies A.M.ら,J.Mol.Biol.:426(3):630−644(2014))(糖および水が除去されているもの)を検索モデルとして使用した。最初にREFMAC(Murshudov G.N.ら,Acta Crystall.D53:240−25(1997))で、ついでautoBUSTER(Bricogne Gら,BUSTER 2.11.5.[Internet].Cambridge 2011)で精密化を行った。COOTにおいてモデル構築を行った(Emsley Pら,Acta Cryst.D66:486−501(2010))。最終的なモデルは、完全抗体(2個の軽鎖および2個の重鎖、2個の7残基糖鎖)、凍結保護溶液からの5個の硫酸イオンおよび3個のスクロース分子、ならびに480個の水分子を含有する。
ペンブロリズマブ構造は図8に示されており、幅約140オングストロームおよび長さ120オングストロームの四量体である。Fcドメインは両鎖上のCH2ドメイン内のAsn297においてグリコシル化されている。
実施例8:リン酸アンモニウム混合物における蒸気拡散結晶化
本実施例は、沈殿剤溶液におけるTris−HCl以外のバッファーの使用を検討した。96個の異なる一塩基性リン酸アンモニウム/二塩基性リン酸アンモニウム混合物(ここで、一塩基性成分と二塩基性成分との比は様々であったが、総ホスファート濃度は1.99Mに一定に維持された)のスクリーニングマトリックスを使用して、ペンブロリズマブ溶液(34mg/ml 抗体、10mM ヒスチジン,pH5.6)をシッティングドロップ蒸気拡散実験においてスクリーニングした。Oryx結晶化ロボット(Douglas Instruments Ltd)を使用して、0.25μlのペンブロリズマブ溶液+0.75μlのスクリーン溶液からなる液滴をMRC−2 96ウェル結晶化プレート(Hampton Research)のウェル内の80μlの同じスクリーン溶液上に分注した。該プレートを30℃でインキュベートし、Rock Imager1000システム(Formulatrix,Bedford,MA)を使用してモニターした。1〜56日に結晶を観察した。1.9M ADP、0.09M AHP沈殿剤溶液中で3日後に観察した結晶の顕微鏡写真を図9に示す。
実施例9:Tris/ADP中のペンブロリズマブ(1mlスケール)のバッチ結晶化
167μlのペンブロリズマブ溶液(47mg/ml,10mM ヒスチジン,pH5.5)と833μlの沈殿剤溶液(120mM Tris−HCl,pH8.4および1.9M ADP)とを4℃で一緒にすることにより、1.5ml 微量遠心管内で抗体混合物を調製する。該抗体混合物を含有する該管を30℃で5日間インキュベートした。
実施例10:Tris/ADP中のペンブロリズマブのバッチ透析結晶化
20mlの100mM Tris−HCl,pH8.4、1.9M リン酸二水素アンモニウムに対して、30kD分子量カットオフ膜(Spectrum Laboratories,Inc.,Rancho Dominguez,CA USA)を使用して、DispoDialyzer(登録商標)において、200μlのペンブロリズマブ溶液(47mg/ml 抗体,10mM ヒスチジン,pH5.5)を30℃で5日間透析する。実施例11に記載されているのと同様にして、結晶懸濁液を集める
実施例11:結晶懸濁液からのペンブロリズマブ溶液の調製
合計約400mgのペンブロリズマブ結晶を含有し沈殿剤としてADP/Tris−HClを使用する種々の蒸発拡散実験からの多数の液滴を一緒にすることにより、結晶懸濁液の210μlのアリコートを得た。該アリコートを、Fischer商標の微量遠心管内で5000rpm、室温で5分間遠心分離した。上清(母液)を吸引除去し、ペレット(ペンブロリズマブ結晶)を300μlの安定化溶液(100mM Tris−HCl,pH8.4,1.9M ADP)に再懸濁させた。得られた懸濁液を、微量遠心管内で5,000rpm、室温で5分間遠心分離した。上清(洗液)を吸引除去し、得られたペレット(ペンブロリズマブ結晶)を500μlの溶解バッファー(10mM ヒスチジン,pH5.5)に再懸濁させ、4℃で30分間インキュベートした。得られたペンブロリズマブ溶液を、微量遠心管内で5,000rpm、4℃で5分間遠心分離することにより清澄化した。該清澄化ペンブロリズマブ溶液を、実施例12および13に記載されている特徴づけ研究に使用した。
実施例12および13:ペンブロリズマブ結晶から可溶化されたペンブロリズマブの特徴づけ
ELISAおよびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて、以下のサンプルを特徴づけした。
サンプル1:200μlの出発ペンブロリズマブ溶液(10mM ヒスチジン,pH5.6中の40mg/ml 抗体);
サンプル2:500μlの可溶化ペンブロリズマブ(実施例11に記載されているペンブロリズマブ結晶懸濁液から得られた再溶解結晶);および
サンプル3:500μlの10mM ヒスチジン,pH5.6(バッファー対照)。
PD−L1との競合に勝ち、ELISAプレート上に固定化されたPD−1受容体分子に結合するペンブロリズマブの能力を測定する競合結合ELISAにおいて、サンプル1および2におけるペンブロリズマブの生物活性を測定した。一定濃度のPD−L1の存在下で前記サンプルの系列希釈を用いて、用量応答曲線を作成した。最大結合の50%を示すペンブロリズマブの濃度であるEC50値を、4パラメータ・ロジスティック曲線フィッティング解析プログラムを使用して各サンプルに関して決定した。SoftMax(登録商標)Pro 6ソフトウェア(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)において用量応答曲線の平行線解析(Parallel Line Analysis)を適用して、相対効力を計算した。幾何標準偏差および95% 信頼区間と共にサンプル1に対する幾何平均効力として示されている、サンプル2の競合結合効力を以下に示す。
Figure 2018510142
これらの結果は、結晶化されたことがないペンブロリズマブと、結晶性ペンブロリズマブ懸濁液から集められたペンブロリズマブ結晶から可溶化されたペンブロリズマブとが、競合結合ELISAにおいて匹敵する生物活性を有することを示している。
室温(25℃)でWaters Acquity UPLC(登録商標)系においてWaters BEH2000カラム(Waters Corp.,Milford,MA,USA;P/N:186005225)を使用するUP−SECアッセイを用いてSEC特徴づけを行った。サンプラーを4℃で温度制御した。移動相として100mM リン酸ナトリウム、100mM NaCl(pH7.0)を使用して0.5ml/分の流速で分離を行った。推奨検出波長としてA214を用いて、実施時間は5分間であった。A280も集めた。サンプル1および2のそれぞれに関する分離プロットを、それぞれ、図10Aおよび10Bに示す。
本明細書中に引用されている全ての参考文献を、各個の刊行物、データベースエントリー(例えば、GenBank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願または特許が参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されている場合と同様に、参照により本明細書に組み入れることとする。参照により組み入れるという宣誓陳述が明細書中に含まれている場合、それは、参照により組み入れるというこの一般的陳述を何ら弱めるものではない。本明細書における参考文献の引用は、該参考文献が関連先行技術であると自認するものではなく、また、それは該参考文献の内容または公開日に関して何ら自認するものでもない。
表4は配列表における配列の簡潔な説明を示す。
Figure 2018510142

Claims (20)

  1. 抗PD−1モノクローナル抗体(mAb)の結晶であって、抗PD−1 mAbがペンブロリズマブまたはペンブロリズマブ変異体、またはペンブロリズマブバイオシミラーにおける抗体である、結晶。
  2. 結晶が、1〜200ミクロン、1〜100ミクロン、1〜20ミクロン、5〜100ミクロン、5〜50ミクロン、5〜40ミクロン、5〜30ミクロン、5〜20ミクロン、5〜10ミクロン、10〜100ミクロン、10〜50ミクロンおよび10〜20ミクロンからなる群から選択される範囲内の長さを有することにより特徴づけられる、請求項1記載の結晶。
  3. 結晶が、5〜10ミクロン、5〜20ミクロン、5〜40ミクロンまたは50〜100ミクロンの長さを有することにより特徴づけられる、請求項2記載の結晶。
  4. 抗PD−1 mAbがペンブロリズマブであり、結晶がa=63.5〜78.9オングストローム、b=110.2〜112.2オングストローム、c=262.5〜306オングストローム、α=90、β=90、γ=90°の単位格子寸法、およびP2の空間群により特徴づけられる、請求項1〜3のいずれか1項記載の結晶。
  5. 2.3オングストローム〜3.5オングストローム、2.3オングストローム〜3.0オングストローム、2.3オングストローム〜2.75オングストローム、2.3オングストローム〜2.5オングストロームおよび2.3オングストロームからなる群から選択される分解能までX線を回折しうる、請求項1〜4のいずれか1項記載の結晶。
  6. 抗PD−1モノクローナル抗体(mAb)の結晶の製造方法であって、抗PD−1 mAbがペンブロリズマブ、ペンブロリズマブ変異体、またはペンブロリズマブバイオシミラーにおける抗体であり、そして、該製造方法が、結晶形成に十分な時間にわたって、少なくとも25℃かつ50℃以下の温度で、抗PD−1 mAbを含む溶液を沈殿剤溶液に曝露することを含み、ここで、沈殿剤溶液は、4.0〜5.0のpHを有し、1.0M〜2.5M リン酸二水素アンモニウムを含む、製造方法。
  7. 曝露工程が、抗体溶液および沈殿剤溶液を混合して結晶化混合物を得、そして、結晶化プロセスを該混合物に適用することを含み、ここで、結晶化プロセスは、ハンギングドロップ蒸気拡散、シッティングドロップ蒸気拡散およびバッチからなる群から選択される、請求項6記載の製造方法。
  8. 結晶化プロセスがバッチプロセスであり、そして、製造方法が結晶化混合物を抗PD−1 mAbの結晶で播種することを更に含む、請求項7記載の製造方法。
  9. 抗体溶液が、2〜200mg/ml、3〜100mg/ml、10〜90mg/ml、20〜80mg/ml、30〜70mg/ml、40〜60mg/mlまたは約50mg/mlの濃度の抗PD−1 mAbを含み、そして、沈殿剤溶液は、4.2〜4.8、4.4〜4.6および4.5からなる群からpHを有する、請求項6〜8のいずれか1項記載の製造方法。
  10. 沈殿剤溶液が、(a)1.5M〜2.0M リン酸二水素アンモニウムおよび100〜120mM Tris−HCl、または(b)1.9M リン酸二水素アンモニウムおよび0.09M リン酸水素アンモニウムを含む、請求項6〜9のいずれか1項記載の製造方法。
  11. 曝露工程を少なくとも3、4または5日間にわたって約30℃の温度で行う、請求項6〜10のいずれか1項記載の製造方法。
  12. 抗PD−1モノクローナル抗体(mAb)を、抗PD−1 mAbを含む溶液から結晶化するための方法であって、ここで、該抗体がペンブロリズマブ、ペンブロリズマブ変異体、またはペンブロリズマブバイオシミラーにおける抗体であり、そして、該方法が、(a)抗PD−1 mAb溶液を沈殿剤溶液および抗PD−1 mAbの種晶と一緒にして播種結晶化混合物を得、(b)少なくとも20℃かつ約40℃以下の温度で該播種結晶化混合物をインキュベートし、そして、(c)結晶を集めることを含み、ここで、該種晶は、請求項1〜11のいずれか1項記載の製造方法により製造された抗PD−1 mAbの結晶の種ストックに由来する、方法。
  13. (a)ペンブロリズマブ、ペンブロリズマブ変異体、またはペンブロリズマブバイオシミラーにおける抗体である抗PD−1モノクローナル抗体(mAb)の結晶、及び(b)少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤、を含む医薬組成物。
  14. 組成物中の抗PD−1 mAb結晶のそれぞれが請求項1〜5のいずれか1項記載の結晶であるか、または請求項6〜10のいずれか1項記載の製造方法により製造される結晶である、請求項13記載の組成物。
  15. 抗PD−1 mAb結晶が液体中に懸濁しており、組成物中の抗PD−1 mAb濃度が少なくとも50mg/ml、少なくとも100mg/ml、少なくとも200mg/mlまたは少なくとも250mg/mlである、請求項13または14記載の組成物。
  16. 組成物が固体である、請求項13または14記載の組成物。
  17. 請求項13〜16のいずれか1項記載の医薬組成物の治療的有効量を患者に投与することを含む、癌に対するヒト対象の治療方法。
  18. 癌が、膀胱癌、乳癌、明細胞腎癌、頭頸部扁平上皮癌、肺扁平上皮癌、悪性黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎細胞癌、小細胞肺癌(SCLC)、トリプルネガティブ乳癌、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、EBV陽性DLBCL、原発性縦隔大B細胞リンパ腫、T細胞/組織球リッチ大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄細胞白血病−1タンパク質(Mcl−1)、骨髄異形成症候群(MDS)、非ホジキンリンパ腫(NHL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)である、請求項17記載の方法。
  19. 医薬組成物が少なくとも200mg/mlのmAbを含み、皮下投与される、請求項18記載の方法。
  20. 癌が固形腫瘍であり、そして、医薬組成物の最初の投与の前に被験者から摘出された癌の組織切片が、PD−L1およびPD−L2の一方または両方の発現に関して陽性の試験結果を示した、請求項18または19記載の方法。
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