JP2018507249A - Ras変異と関連するがんの治療方法 - Google Patents

Ras変異と関連するがんの治療方法 Download PDF

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Abstract

RASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんの治療方法を本明細書で開示する。いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することによるがん治療に関する。

Description

関連技術
本願は、2015年3月6日に出願された米国特許仮出願第62/129,654号および2015年11月2日に出願された米国特許仮出願第62/249,788号(これらの開示は全文を参照することにより本明細書に組み入れられるものとする)の優先権を主張する。
技術分野
本発明は、化学および医薬の分野に関する。より詳細には、本発明は、プリナブリンを用いた、RAS変異に関連するがんの治療方法に関する。
RASタンパク質は、細胞内シグナル伝達ネットワークを制御するバイナリー分子スイッチの役割を果たす。RAS調節シグナル経路は、アクチン細胞骨格完全性、増殖、分化、細胞接着、アポトーシス、および細胞遊走などの過程を制御する。RASサブファミリーは、KRAS、NRAS、およびHRASなどの少なくとも21のメンバーを含む。RASまたはRAS関連タンパク質は、細胞の外側から細胞核へシグナルを中継する。これらのシグナルは、細胞に分裂・成長を指示または成熟して特定の機能を獲得する(分化する)ように指示する。RASタンパク質は、GTPと呼ばれる分子をGDPと呼ばれる別の分子に転換することを意味するGTPアーゼと呼ばれるタンパク質の分類に属する。RASタンパク質は、スイッチの様に作用し、GTP分子およびGDP分子によりオンオフされる。シグナルを伝達するため、RASタンパク質は、GTP分子とくっつくこと(結合)によりオンされなければならない。GTPをGDPに転換する場合、RASタンパク質はオフ(不活性化)される。タンパク質がGDPと結合している場合、シグナルを細胞核に中継しない。RASタンパク質が特定のコドンにおいて変異している場合、RASタンパク質は、そのGTP結合状態で動きが取れないので、核にシグナルを送信し続けて細胞は分裂を止めることができず、これは制御されない細胞成長またはがんである。
RAS遺伝子は、がん遺伝子として公知の遺伝子分類に属する。RAS遺伝子の変異型は、正常な細胞をがんにする可能性を有する。これらのRAS遺伝子から産生したタンパク質は、GTPアーゼである。これらのタンパク質は、細胞分裂、細胞分化、および細胞アポトーシスにおいて重要な役割をする。しかしながら、発がん性RASが腫瘍増殖を持続する代謝、特に腫瘍内微小環境における変化を調整することによる機序、および特定の代謝経路がRAS媒介腫瘍維持に必須であるかどうかは、今なお、活発に研究されている。RAS変異を特徴とするがんは、公知の治療法を用いて治療するのが困難であり、これらのがんの治療用の承認薬はない。RAS変異は、がん患者生存の負の予測因子であり;患者のがんがRAS変異を有する場合、がん患者の予後はより不良となる(またはより短い全生存)。従って、発がん性RAS遺伝子変異と関連するがんのより効果的な治療の切迫したアンメットニーズがある。
いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む、RASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんの治療方法に関する。
いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む、KRASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんの治療方法に関する。
いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む、NRASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんの治療方法に関する。
いくつかの実施形態は、細胞をプリナブリンと接触させることを含む、RAS変異を有する細胞の増殖阻害方法に関する。
いくつかの実施形態は、細胞をプリナブリンと接触させることを含む、RAS変異を有する細胞のアポトーシス誘導方法に関する。
いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む、対象のRASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんの進行阻害方法に関する。
図1a〜1dは、ヒト病態を模倣するグリオブラストーマ(GBM)の前神経遺伝子組み換えマウスモデル(GEMM)を示す。図1aは、腫瘍周囲の浮腫を示すヒトGBMのT2 MRI画像を示し;図1bは、腫瘍周囲の浮腫を示すマウスGBMのT2 MRI画像を示し;図1cは、特徴的な偽柵状ネクローシスおよび微小血管増殖を示すGBMのH&E染色のヒト顕微鏡写真画像を示し;図1dは、特徴的な偽柵状ネクローシスおよび微小血管増殖を示すGBMのH&E染色のマウス顕微鏡写真画像を示す。 媒体、テモゾロミドまたは分割放射線照射で治療したPDGF誘導グリオーマを有するマウスの腫瘍サイズを示す。 媒体のみ、ドセタキセルのみ、ならびにプリナブリンおよびドセタキセルの組合せで治療したマウスの腫瘍重量剖検を示す。 コントロールおよびプリナブリンで治療されたKRAS変異の発現を特徴とするPDGF誘導グリオーマを有するマウスの生存率を示す。 プリナブリン、テモゾロミド、および放射線の組合せならびにテモゾロミドおよび放射線の組合せで治療されたKRAS変異の発現を特徴とするPDGF誘導グリオーマを有するマウスの生存率を示す。 媒体コントロール、プリナブリン、イリノテカン、またはプリナブリンおよびイリノテカンの組合せで治療されたマウスの試験過程を通じたHCT−15(Kras変異G13D)ヒト結腸腫瘍異種移植片を有するマウスの腫瘍量の変化を示す。 媒体コントロール、プリナブリン、イリノテカン、またはプリナブリンおよびイリノテカンの組合せで治療されたマウスの試験過程を通じたLovo(Kras変異、p.G13D)ヒト結腸腫瘍異種移植片を有するマウスの腫瘍量の変化を示す。
プリナブリン、(3Z,6Z)−3−ベンジリデン−6−{[5−(2−メチル−2−プロパニル)−1H−イミダゾール−4−イル]メチレン}−2,5−ピペラジンジオンは、天然化合物フェニルアヒスチンの合成類似体である。
プリナブリンを、米国特許第7,064,201号および同第7,919,497号(その全文を参照することにより本明細書に組み入れられるものとする)に記載の方法および手順に従って容易に製造できる。いくつかの実施形態は、発がん性RAS変異と関連するがん治療のためのプリナブリンの使用に関する。
いくつかの実施形態は、対象のRASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがん治療のためのプリナブリンの使用に関する。いくつかの実施形態は、RAS変異を有する細胞の増殖阻害のためのプリナブリンの使用に関する。いくつかの実施形態は、RAS変異を有する細胞のアポトーシス誘導のためのプリナブリンの使用に関する。いくつかの実施形態は、対象のRASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんの進行阻
害のためのプリナブリンの使用に関する。いくつかの実施形態では、RASタンパク質はKRASタンパク質である。いくつかの実施形態では、RASタンパク質はNRASタンパク質である。
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用する全技術および科学用語は、本開示に属する分野の当業者により共通に理解されるのと同じ意味を有する。全特許、出願、公開された出願、および他の出版物は、その全文を参照することにより組み入れられる。本明細書の用語の複数の定義がある場合、特に指定されない限り、本節中のものが適用される。
本明細書で使用するとき、「対象」は、ヒトまたは非ヒト哺乳類、例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、雌ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、非ヒト霊長類または鳥類、例えば、ニワトリ、ならびにその他の脊椎動物または無脊椎動物を意味する。
「哺乳類」という語は、その通常の生物学上の意味で使用される。従って、詳細には、サル(チンパンジー、類人猿、サル)を含む霊長類およびヒト、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、げっ歯類、ラット、マウス、モルモット等が挙げられるが、これに限定されない。
本明細書で使用するとき、「効果量」または「治療効果量」は、疾病もしくは病状の1つ以上の症状をある程度軽減する、またはその発症の可能性を減らす効果があり、疾病または病状を治癒させることを含む治療薬の量を表す。
本明細書で使用するとき、「治療する」、「治療」、または「治療すること」は、予防および/または治療目的のために対象に化合物または医薬組成物を投与することを表す。「予防的治療」という語は、疾病もしくは病状の徴候をまだ示していないが特定の疾病もしくは病状に罹患し易い、さもなければそのリスクがある対象を治療して、それにより、治療が、患者が該疾病もしくは病状にかかる可能性を減らすことを表す。「治療処置」という語は、既に疾病または病状に罹患している対象への投与治療を表す。
「薬剤的に許容可能な塩」という語は、化合物の生物学的効果および特性を保持し、生物学的またはその他の意味において医薬品用途に有害でない塩を表す。ほとんどの場合、本明細書で開示された化合物は、アミノ基および/もしくはカルボキシル基またはそれと類似の基の存在によって酸塩および/または塩基塩を形成できる。薬剤的に許容可能な酸付加塩を無機酸および有機酸と生成できる。塩を誘導できる無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。塩を誘導できる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等が挙げられる。薬剤的に許容可能な塩も、無機塩基および有機塩基を用いて生成できる。塩を誘導できる無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム等を含有する塩基が挙げられ;特に好ましいのは、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩である。いくつかの実施形態では、無機塩基との本明細書に開示の化合物の治療は、該化合物の反応活性水素を失って、Li、Na、K、Mg2+およびCa2+等の無機カチオンを含む塩形態を得る。塩を誘導できる有機塩基としては、例えば、第一級、第二級、および第三級アミン、天然置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂等、特に、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンが挙げられる。1987年9月11日に公開されたJohnstonらの国際公開第87/05297
号(その全文を参照することにより本明細書に組み入れられる)に記載されているように、多くのこのような塩は当技術分野で公知である。
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の薬剤的に許容可能な希釈剤をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、薬剤的に許容可能な希釈剤は、コリフォール(登録商標)(ポリエチレングリコール(15)−ヒドロキシステアレート)を含むことができる。いくつかの実施形態では、薬剤的に許容可能な希釈剤は、プロピレングリコールを含むことができる。いくつかの実施形態では、薬剤的に許容可能な希釈剤は、コリフォールおよびプロピレングリコールを含むことができる。いくつかの実施形態では、薬剤的に許容可能な希釈剤は、コリフォールおよびプロピレングリコールを含むことができ、希釈剤の総重量に対して、コリフォールは約40重量%であり、プロピレングリコールは約60重量%である。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の他の薬剤的に許容可能な賦形剤をさらに含むことができる。
標準的製剤処方技術を、Remington's The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., Lippincott Williams & Wilkins (2005)(その全文を参照することにより本明細書に組み入れられる)に記載のものなど、本明細書に記載の医薬組成物を製造するために使用できる。従って、いくつかの実施形態は:(a)プリナブリンまたはその薬剤的に許容可能な塩の安全かつ治療効果のある量;および(b)薬剤的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤またはその組合せを含む医薬組成物を含む。
他の実施形態は、別々の組成物または同じ組成物で、プリナブリンおよび追加の治療薬の同時投与を含む。従って、いくつかの実施形態は、(a)プリナブリンまたはその薬剤的に許容可能な塩の安全かつ治療効果のある量および(b)薬剤的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤またはその組合せを含む第一医薬組成物;ならびに(a)追加の治療薬の安全かつ治療効果のある量および(b)薬剤的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤またはその組合せを含む第二医薬組成物を含む。いくつかの実施形態は、(a)プリナブリンまたはその薬剤的に許容可能な塩の安全かつ治療効果のある量;(b)追加の治療薬の安全かつ治療効果のある量;および(c)薬剤的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤またはその組合せを含む医薬組成物を含む。
本明細書に記載の医薬組成物の投与は、これに限定されないが、経口、舌下、口腔、皮下、静脈内、鼻腔内、局所、経皮、皮内、腹腔内、筋肉内、肺内、腟内、直腸内、または眼内を含む同様な有用性を果たす薬剤の投与の許容された方法のいずれでもよい。経口および非経口投与は、好ましい実施形態の対象である徴候を治療する際にお決まりのことである。
「薬剤的に許容可能な担体」または「薬剤的に許容可能な賦形剤」という語は、いずれかおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等を包含する。医薬作用物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は当技術分野で周知である。従来の媒体または薬剤が有効成分と相溶性がない場合を除き、治療組成物での使用が期待される。加えて、当技術分野で共通に使用されるような様々なアジュバントを含有してもよい。医薬組成物中への様々な成分の含有についての考察は、例えば、Gilman et al. (Eds.) (1990); Goodman and Gilman’s: The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Ed., Pergamon Press(その全文を参照することにより本明細書に
組み入れられる)に記載されている。
薬剤的に許容可能な担体またはその成分の役割ができる物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコースおよびショ糖などの糖類;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン類;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、お
よびメチルセルロースなどのセルロースおよびその誘導体;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸およびステアリン酸マグネシウムなどの固形潤滑剤;硫酸カルシウム;ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびカカオ油などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール類;アルギン酸;ツイーンなどの乳化剤;ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤;着色剤;香味料;打錠薬剤、安定剤;酸化防止剤;防腐剤;発熱物質なしの水;等張食塩水;およびリン酸緩衝液である。
本明細書に記載の組成物を好ましくは単位剤形で提供する。本明細書で使用するとき、「単位剤形」は、適正な医療行為に従って、1回の投与で動物、好ましくは哺乳類対象に投与するのに適切な化合物または組成物の量を含有する組成物である。しかしながら、1回または単位剤形の製剤は、該剤形を1日1回または治療過程当たり1回投与することを意味しない。このような剤形は、1日1回、2回、3回またはそれ以上投与されると考えられ、ある期間(例えば、約30分から約2〜6時間まで)にわたって点滴で投与してもよく、または持続点滴として投与してもよく、1回の投与を特に除外しないが、治療過程中に1回より多く与えられてもよい。製剤形態が治療全過程を特に予期せず、このような決定は製剤形態よりむしろ治療の当業者に委ねられると当業者は認識するだろう。
上記有用な組成物は、様々な投与経路、例えば、経口、舌下、口腔、鼻腔、直腸、局所(経皮および皮内を含む)、眼、脳内、頭蓋内、くも膜下腔内、動脈内、静脈内、筋肉内、または他の非経口投与経路用に適切な形態のいずれでもよい。経口および鼻腔用組成物は、吸入により投与され、利用可能な方法により製造される組成物を含むと当業者は認識するだろう。所望の特定の投与経路に応じて、当技術分野で周知の様々な薬剤的に許容可能な担体を使用してもよい。薬剤的に許容可能な担体としては、例えば、固形または液体充填剤、希釈剤、ヒドロトロピー剤、界面活性剤、およびカプセル化物質が挙げられる。必要に応じて、化合物または組成物の活性と実質的に干渉しない医薬活性物質を含有してもよい。化合物または組成物と共に使用する担体の量は、化合物の単位用量当たり投与する物質の実用量を提供するのに充分なものである。本明細書に記載の方法で有用な剤形を製剤するための技術および組成物は、以下の参考文献(全て参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている:Modern Pharmaceutics, 4th Ed., Chapters 9 and 10 (Banker & Rhodes, editors, 2002); Lieberman et al., Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets (1989); and Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 8th Edition
(2004)。
錠剤、カプセル剤(例えば、液体ゲルカプセルおよび固体ゲルカプセル)、顆粒剤および混合散剤などの固体形態を含む様々な経口用剤形を使用できる。適切な結合剤、潤滑剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味料、流動誘導剤、および溶融剤を含み、圧縮錠剤、粉薬錠剤、腸溶錠剤、糖衣錠剤、フィルムコート錠剤、または多重圧縮錠剤であり得る。液体経口用剤形としては、適切な溶媒、防腐剤、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味料、溶融剤、着色剤および香味料を含有する、水性液剤、乳剤、懸濁剤、非発泡性顆粒剤から再構成した液剤および/または懸濁剤、ならびに発泡性顆粒剤から再構成した発泡性製剤が挙げられる。
経口投与用単位剤形の製剤に適切な薬剤的に許容可能な担体は、当技術分野で周知である。錠剤は、通常、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトースおよびセルロースなどの不活性希釈剤;デンプン、ゼラチンおよびショ糖などの結合剤;デンプン、アルギン酸およびクロスカルメロースなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびタルクなどの潤滑剤として従来の薬剤的に適合するアジュバントを含む。二酸化ケイ素などの流動促進剤を使用して、粉末混合物の流動特性を改良できる。FD&C染料などの着色剤を外観のために使用できる。アスパルテーム、サッカリン、メント
ール、ペパーミント、および果実フレーバーなどの甘味料および香料はチュアブル錠用に有用なアジュバントである。カプセル剤は、通常、上記に開示の1つ以上の固体希釈剤を含む。担体成分の選択は、味、費用、および保存性など、重要でない二次的考察に依存し、当業者により容易に製造できる。
経口用組成物としては、液剤、乳剤、懸濁剤等も挙げられる。このような組成物の製剤に適切な薬剤的に許容可能な担体は、当技術分野で周知である。シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および懸濁剤用担体の典型的成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液状ショ糖、ソルビトールおよび水が挙げられる。懸濁剤のため、典型的懸濁剤としては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、AVICEL RC−591、トラガントおよびアルギン酸ナトリウムが挙げられ;典型的な湿潤剤としては、レクチンおよびポリソルベート80が挙げられ;典型的防腐剤としては、メチルパラベンおよび安息香酸ナトリウムが挙げられる。経口用液体組成物は、上記開示の甘味料、香料および着色剤などの1つ以上の成分を含有してもよい。
このような組成物を、対象組成物が所望の局所用途の近傍の胃腸管内で、または所望の作用が広がる様々な時間において放出されるように、通常、pHまたは時間依存性コーティングを用いた従来方法によりコーティングしてもよい。このような剤形としては、典型的には、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、オイドラギットコーティング、ワックスおよびシェラックの1つ以上が挙げられるが、これに限定されない。
本明細書に記載の組成物は、必要に応じて他の薬効成分を含んでもよい。
対象化合物の全身送達を達成するために有用な他の組成物としては、舌下、口腔および鼻腔用剤形が挙げられる。このような組成物は、典型的には、ショ糖、ソルビトールおよびマンニトールなどの可溶充填物質;およびアカシア、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤の1つ以上を含む。上記開示の流動促進剤、潤滑剤、甘味料、着色料、酸化防止剤および香料も含んでもよい。
局所用眼科用途に処方された液体組成物を、眼に局所投与できるように製剤する。時々、製剤検討(例えば、薬剤安定性)があまり最適な快適さを必要としなくてもよいが、快適さを可能な限り最大化してもよい。快適さが最大化できない場合、局所眼科用途の患者に受け入れられるように液体を製剤してもよい。加えて、眼科的に許容可能な液体を、単回使用用に包装してもよく、あるいは複数回の使用にわたって汚染を防止するために防腐剤を含有してもよい。
眼科用途のため、液剤または薬剤を多くの場合主要な媒体として生理食塩水を用いて製剤する。好ましくは、眼科用液剤を適切な緩衝系を用いて快適なpHに維持してもよい。製剤は、従来の薬剤的に許容可能な防腐剤、安定剤および界面活性剤も含有してもよい。
本明細書に開示の医薬組成物中に使用してもよい防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、PHMB、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、および硝酸フェニル水銀が挙げられるが、これに限定されない。有用な界面活性剤は、例えば、ツイーン80である。同様に、様々な有用な媒体を、本明細書に開示の眼科用製剤で使用してもよい。これらの媒体としては、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水が挙げられるが、これに限定されない。
等張調整剤を必要に応じてまたは都合に応じて添加してもよい。等張調整剤としては、塩、特に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールおよびグリセリン、または他の適切な眼科的に許容可能な等張調整剤が挙げられるが、これに限定されない。
得られた製剤が眼科的に許容可能である限り、様々な緩衝液およびpHを調節するための手段を使用してもよい。多くの組成物のため、pHは、4〜9であるだろう。従って、緩衝液としては、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液およびホウ酸緩衝液が挙げられる。酸または塩基を使用して、必要に応じて、これらの製剤のpHを調節してもよい。
眼科的に許容可能な酸化防止剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンが挙げられるが、これに限定されない。
眼科用製剤に含有してもよい他の賦形剤成分は、キレート剤である。他のキレート剤も代わりにまたはこれと共に使用してもよいが、有用なキレート剤はエデト酸二ナトリウム(EDTA)である。
局所用途のため、本明細書に開示の組成物を含有するクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、液剤または懸濁剤、他を使用する。局所用製剤は、概して、医薬用担体、共溶媒、乳化剤、浸透促進剤、防腐剤系、および皮膚軟化薬から成り得る。
静脈内投与のため、本明細書に記載の組成物を、食塩水またはブドウ糖液などの薬剤的に許容可能な希釈剤中に溶解または分散してもよい。適切な賦形剤を含有して、所望のpHを達成してもよく、NaOH、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HCl、およびクエン酸が挙げられるが、これに限定されない。様々な実施形態では、最終組成物のpHは、2〜8、または好ましくは4〜7の範囲である。酸化防止賦形剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、アセトン−重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、チオ尿素、およびEDTAが挙げられ得る。最終静脈内組成物中に見られる適切な賦形剤の他の非限定的な例としては、リン酸ナトリウムまたはカリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、およびブドウ糖、マンニトール、およびデキストランなどの炭水化物が挙げられ得る。さらに許容可能な賦形剤は、Powell, et al., Compendium of Excipients for Parenteral Formulations, PDA J Pharm Sci and Tech 1998, 52 238-311および Nema et al., Excipients and Their Role in Approved Injectable Products: Current Usage and Future Directions, PDA J Pharm Sci and Tech 2011, 65 287-332(これら両方ともその全文を参照することにより本明細書に組み入れられる)に記載されている。抗菌剤を含有して、静菌性または静真菌性溶液を達成してもよく、硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、およびクロロブタノールが挙げられるが、これに限定されない。
静脈内投与用組成物を、投与のすぐ前に滅菌水、食塩水またはブドウ糖水溶液などの適切な希釈剤で再構成する1つ以上の固体の形態で医療提供者に提供してもよい。他の実施形態では、組成物をすぐに非経口投与できる液剤で提供する。さらに他の実施形態では、組成物を投与前にさらに希釈する液剤で提供する。本明細書に記載の組成物および別の薬剤の組合せを投与することを含む実施形態では、この組合せを混合物として医療提供者に提供してもよく、または医療提供者が投与前に2つの薬剤を混合してもよく、2つの薬剤を別々に投与してもよい。
本明細書に記載の活性化合物の実際の用量は具体的な化合物、および治療する病状に依存し;適切な用量の選択は充分に熟練技術者の知見の範囲内である。いくつかの実施形態
では、プリナブリンまたは他の治療薬の単回用量は、体表面積の約5mg/m〜約150mg/m、体表面積の約5mg/m〜約100mg/m、体表面積の約10mg/m〜約100mg/m、体表面積の約10mg/m〜約80mg/m、体表面積の約10mg/m〜約50mg/m、体表面積の約10mg/m〜約40mg/m、体表面積の約10mg/m〜約30mg/m、体表面積の約13.5mg/m〜約100mg/m、体表面積の約13.5mg/m〜約80mg/m、体表面積の約13.5mg/m〜約50mg/m、体表面積の約13.5mg/m〜約40mg/m、体表面積の約13.5mg/m〜約30mg/m、体表面積の約15mg/m〜約80mg/m、体表面積の約15mg/m〜約50mg/m、体表面積の約15mg/m〜約30mg/mであり得る。いくつかの実施形態では、プリナブリンまたは他の治療薬の単回用量は、体表面積の約13.5mg/m〜約30mg/mであり得る。いくつかの実施形態では、プリナブリンまたは他の治療薬の単回用量は、体表面積の約5mg/m、約10mg/m、約12.5mg/m、約13.5mg/m、約15mg/m、約17.5mg/m、約20mg/m、約22.5mg/m、約25mg/m、約27.5mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、または約100mg/mであり得る。
いくつかの実施形態では、プリナブリンまたは他の治療薬の単回用量は、約5mg〜約300mg、約5mg〜約200mg、約7.5mg〜約200mg、約10mg〜約100mg、約15mg〜約100mg、約20mg〜約100mg、約30mg〜約100mg、約40mg〜約100mg、約10mg〜約80mg、約15mg〜約80mg、約20mg〜約80mg、約30mg〜約80mg、約40mg〜約80mg、約10mg〜約60mg、約15mg〜約60mg、約20mg〜約60mg、約30mg〜約60mg、または約40mg〜約60mgであり得る。いくつかの実施形態では、プリナブリンまたは他の治療薬の単回用量は、約20mg〜約60mg、約27mg〜約60mg、約20mg〜約45mg、約27mg〜約45mgであり得る。いくつかの実施形態では、プリナブリンまたは他の治療薬の単回用量は、約5mg、約10mg、約12.5mg、約13.5mg、約15mg、約17.5mg、約20mg、約22.5mg、約25mg、約27mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約125mg、約150mg、または約200mgであり得る。
腫瘍が制御下にあり続け、レジメンが臨床的に忍容される限り、投与期間は複数週治療サイクルであり得る。いくつかの実施形態では、プリナブリンまたは他の治療薬の単回投薬量を、週1回、好ましくは3週(21日)治療サイクルの1日目および8日目の各々に1回投与できる。いくつかの実施形態では、プリナブリンまたは他の治療薬の単回投薬量を、週1回、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、または1週間、2週間、3週間、4週間、もしくは5週間治療サイクル中毎日投与できる。治療サイクルの各週の同日または異なる日に投与できる。
レジメンが臨床的に忍容される限り、治療サイクルを繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、治療サイクルをn回繰り返し、nは2〜30の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。いくつかの実施形態では、前の治療サイクル完了直後に新しい治療サイクルを起こすことができる。いくつかの実施形態では、前の治療サイクル完了後ある期間で新しい治療サイクルを起こすことができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物を、他の治療薬と併用して使用できる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物を、化学療法、放射線療法、およ
び生物学的療法などの治療と組み合わせて投与または使用できる。
治療方法
いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む、RASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんの治療方法に関する。いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む、発がん性RAS変異と関連するがんの治療方法に関する。
いくつかの実施形態では、RASタンパク質の変異型は、KRAS、NRAS、またはHRASタンパク質の変異型である。いくつかの実施形態では、RASタンパク質は、KRAS、NRAS、またはHRASタンパク質である。いくつかの実施形態では、RASの変異型は、KRASタンパク質の変異型である。いくつかの実施形態では、RASの変異型は、NRASタンパク質の変異型である。いくつかの実施形態では、RAS遺伝子変異は、KRAS遺伝子変異である。いくつかの実施形態では、RAS遺伝子変異は、NRAS遺伝子変異である。
いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む、KRASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんの治療方法に関する。いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む、発がん性KRAS変異と関連するがんの治療方法に関する。
いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む、NRASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんの治療方法に関する。いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む、発がん性NRAS変異と関連するがんの治療方法に関する。
本発明のいくつかの実施形態は、プリナブリンおよび本明細書に記載のプリナブリンを含む組成物を用いたがんの治療方法を含む。いくつかの方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載の化合物、組成物、医薬組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は動物、例えば、哺乳類、ヒトであり得る。
いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸がん、膵がん、腎がん、肺がん、肝がん、乳がん、前立腺がん、胃腸がん、腹膜がん、メラノーマ、子宮内膜がん、卵巣がん、子宮頚がん、子宮がん、膀胱がん、グリオブラストーマ、転移性脳腫瘍、唾液腺がん、甲状腺がん、脳がん、リンパ腫、骨髄腫、および頭頚部がんから選択される。いくつかの実施形態では、がんは、扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、肺の扁平上皮がん、肝細胞がん、結腸がん、子宮内膜がん、および肝細胞がんから選択される。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸がん、前立腺がん、乳がん、肺がん、子宮内膜がん、多発性骨髄腫、膵がん、腎がん、およびグリオブラストーマから選択される。いくつかの実施形態では、がんは、非小細胞肺がん、膵がん、およびグリオブラストーマから選択される。いくつかの実施形態では、がんは、非小細胞肺がんである。
いくつかの実施形態では、KRASは、コドン12、13、59、および61から選択される1つ以上の位置において変異を含む。いくつかの実施形態では、KRASタンパク質の変異型は、G12、G13、S17、P34、A59、およびQ61から選択される1つ以上のアミノ酸位置において変異を有する。いくつかの実施形態では、KRASタンパク質の変異型は、G12C、G12S、G12R、G12F、G12L、G12N、G12A、G12D、G12V、G13C、G13S、G13D、G13V、G13P、S17G、P34S、A59E、A59G、A59T、Q61K、Q61L、Q61R、およびQ61Hから成る群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する。いくつかの実
施形態では、KRASタンパク質の変異型は、G12、G13、A59、Q61、K117およびA146から選択される1つ以上のアミノ酸位置において変異を有する。いくつかの実施形態では、KRASタンパク質の変異型は、G12C、G12R、G12S、G12A、G12D、G12V、G13C、G13R、G13S、G13A、G13D、G13V、A59E、A59G、A59T、Q61K、Q61L、Q61R、Q61H、K117N、K117R、K117E、A146P、A146TおよびA146Vから成る群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、KRASタンパク質の変異型は、G12、G13、A59およびQ61から選択される1つ以上のアミノ酸位置において変異を有する。いくつかの実施形態では、KRASタンパク質の変異型は、G12C、G12R、G12S、G12A、G12D、G12V、G13C、G13R、G13S、G13A、G13D、A59E、A59G、A59T、Q61K、Q61L、Q61RおよびQ61Hから成る群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、KRASタンパク質の変異型は、G12、G13およびD153から選択される1つ以上のアミノ酸位置において変異を有する。いくつかの実施形態では、KRASタンパク質の変異型は、G12A、G12C、G12D、G12V、G12S、G13D、およびD153Vから成る群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、KRASタンパク質の変異型は、G12C、G12SおよびD153Vから選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する。
いくつかの実施形態では、NRASは、コドン12、13、59、61、および146から選択される1つ以上の位置において変異を含む。いくつかの実施形態では、KRASタンパク質の変異型は、G12、G13、A59、Q61、K117およびA146から選択される1つ以上のアミノ酸位置において変異を有する。いくつかの実施形態では、KRASタンパク質の変異型は、G12C、G12R、G12S、G12A、G12D、G12V、G13C、G13R、G13S、G13A、G13D、G13V、A59D、A59T、Q61K、Q61L、Q61R、Q61H、K117N、K117R、K117E、A146P、A146TおよびA146Vから成る群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、NRASタンパク質の変異型は、Q61またはA146の1つ以上のアミノ酸位置において変異を有する。いくつかの実施形態では、NRASタンパク質の変異型は、Q61K、Q61H、Q61R、Q61L、Q61N、Q61E、Q61P、A146T、A146P、A146V、およびそのいずれかの組合せから選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、NRASタンパク質の変異型は、Q61H、Q61R、Q61L、およびそのいずれかの組合せから選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する。
いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含むRAS変異を有する細胞の増殖阻害方法に関する。いくつかの実施形態は、細胞をプリナブリンと接触させることを含む、RAS変異を有する細胞のアポトーシス誘導方法に関する。いくつかの実施形態では、接触は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む。いくつかの実施形態は、細胞をプリナブリンと接触させることを含む、対象のRASの変異型を発現することを特徴とするがんの進行阻害方法に関する。いくつかの実施形態では、接触は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む。
いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含むKRAS変異を有する細胞の増殖阻害方法に関する。いくつかの実施形態は、細胞をプリナブリンと接触させることを含む、KRAS変異を有する細胞のアポトーシス誘導方法に関する。いくつかの実施形態は、細胞をプリナブリンと接触させることを含む、対象のKRASの変異型を発現することを特徴とするがんの進行阻害方法に関する。
いくつかの実施形態は、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含むN
RAS変異を有する細胞の増殖阻害方法に関する。いくつかの実施形態は、細胞をプリナブリンと接触させることを含む、NRAS変異を有する細胞のアポトーシス誘導方法に関する。いくつかの実施形態は、細胞をプリナブリンと接触させることを含む、対象のNRASの変異型を発現することを特徴とするがんの進行阻害方法に関する。
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
さらなる実施形態は、それを必要とする対象に化合物の組合せを投与することを含む。組合せは、追加の薬物と一緒に、本明細書に記載の化合物、組成物、医薬組成物を含むことができる。
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の化合物、組成物、および/または医薬組成物を追加の薬物と一緒に同時投与することを含む。「同時投与」とは、いつまたはどのようにそれらを実際に投与するかにかかわらず、2つ以上の薬剤が同時に患者の血流中に見られ得ることを意味する。1つの実施形態では、薬剤を同時に投与する。1つのこのような実施形態では、1つの剤形中に薬剤を混ぜ合わせることにより組合せ投与を行う。別の実施形態では、薬剤を逐次投与する。1つの実施形態では、経口など同じ経路により薬剤を投与する。別の実施形態では、1つは経口投与し、もう1つは静脈内投与するなど異なる経路により薬剤を投与する。
本明細書に記載の治療方法は、プリナブリンを追加の活性薬剤と一緒に同時投与することを含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、追加の治療薬を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の治療薬がドセタキセルであり、がんがヒト非小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、追加の治療薬がベバシズマブであり、がんがヒト非小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、追加の治療薬がイリノテカンであり、がんが結腸がんである。いくつかの実施形態では、追加の治療薬がテモゾロミドであり、がんがグリオブラストーマである。いくつかの実施形態では、追加の治療薬がイリノテカンであり、がんが結腸がんである。
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、テモゾロミド、ベバシズマブ(bevicizumab)、エベロリムス、カルムスチン、ロムスチン、プロカルバジン、ビンクリスチン、イリノテカン、シスプラチン、カルボプラチン、メトトレキサート(methatrexate)、エトポシド、ビンブラスチン(vinblasatine)、ブレオマイシン、アクチノマイシン、シクロホスファミド、またはイホスファミドであり得る。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、ベバシズマブ、ドセタキセル、イリノテカン、およびテモゾロミドから選択される。いくつかの実施形態では、追加の治療薬はドセタキセルである。いくつかの実施形態では、追加の治療薬はイリノテカンである。いくつかの実施形態では、追加の治療薬はベバシズマブである。いくつかの実施形態では、追加の治療薬はテモゾロミドである。いくつかの実施形態では、追加の治療薬はゲムシタビンである。いくつかの実施形態では、追加の治療薬はカルムスチンである。いくつかの実施形態では、追加の治療薬はロムスチンである。
本明細書に記載の治療方法は、放射線療法と併用して使用もできる。
本明細書に記載の方法は、RASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんを有する患者を同定することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、患者の同定は、該患者がRAS変異を有するかどうかを決定することを含むことができる。いくつかの実施形態は、RAS変異を有すると確認された患者のがんの治療方法に関し、該方法は、プリナブリンの薬剤的に効果のある量を患者に投与することを含み、該患者は、(i)患者から試料を集め;(ii)試料からDNAを単離し;(iii)単離DNAの
RAS遺伝子またはそのフラグメントを増幅し;および(iv)増幅したRAS遺伝子中に変異があるかどうか検出することにより患者がRAS変異を特徴とするがんを有するかどうかを決定することにより同定される。RAS変異の検出方法の例としては、拡大難治性変異システム(ARMS)PCR、BEAMingアッセイ、デジタルPCR、および他の適切なプライマー、およびシークエンシングまたはPCR用プローブが挙げられるが、これに限定されない。
本明細書に記載の方法は、KRASの変異型を発現することを特徴とするがんを有する患者を同定することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、患者の同定は、該患者がKRAS変異を有するかどうかを決定することを含むことができる。いくつかの実施形態は、KRAS変異を有すると確認された患者のがんの治療方法に関し、該方法は、プリナブリンの薬剤的に効果のある量を患者に投与することを含み、該患者は、(i)患者から試料を集め;(ii)試料からDNAを単離し;(iii)単離DNAのKRAS遺伝子またはそのフラグメントを増幅し;および(iv)増幅したKRAS遺伝子中に変異があるかどうか検出することにより患者がKRAS変異を特徴とするがんを有するかどうかを決定することにより同定される。
本明細書に記載の方法は、KRAS変異についての試験をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、例えば、コドン12、13、59、61および/または146におけるKRAS変異を、患者から採取した病変試料から検出してもよい。このような試験のいくつかの実施形態では、DNAを試料から取り出し、検出可能になるように標的の変異DNAを増幅するためにPCRを用いて標識化オリゴヌクレオチドプローブに対して試験する。いくつかの実施形態では、商業試験センターはこのような試験を実施できる。いくつかの実施形態では、TheraScreen:K−RAS変異キット(DxS Ltd、英国マンチェスターM1 3 9XX、グラフトンストリート48)などの試験キットを使用してもよい。例えば、TheraScreenキットは、K−RAS発がん遺伝子のコドン12および13の変異を検出できる:
GIy 12 Asp(GGT>GAT)GIy 12 Arg(GG1>CGT)
GIy 12 Ala(GGT>GCT)GIy 12 Cys(GGT>TGT)
GIy 12 VaI(GGT>GTT)GIy 13 Asp(GGOGAC)
Gly l2 Ser(GGT>AGT)
本明細書に記載の方法は、NRASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんを有する患者を同定することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、患者の同定は、該患者がNRAS変異を有するかどうかを決定することを含むことができる。いくつかの実施形態は、NRAS変異を有すると確認された患者のがんの治療方法に関し、該方法は、プリナブリンの薬剤的に効果のある量を患者に投与することを含み、該患者は、(i)患者から試料を集め;(ii)試料からDNAを単離し;(iii)単離DNAのNRAS遺伝子またはそのフラグメントを増幅し;および(iv)増幅したNRAS遺伝子中に変異があるかどうか検出することにより患者がNRAS変異を特徴とするがんを有するかどうかを決定することにより同定される。
本明細書に記載の方法は、NRAS変異についての試験をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、例えば、コドン12、13、59、61および/または146におけるNRAS変異を、患者から採取した病変試料から検出してもよい。このような試験のいくつかの実施形態では、DNAを試料から取り出し、検出可能になるように標的の変異DNAを増幅するためにPCRを用いて標識化オリゴヌクレオチドプローブに対して試験する。いくつかの市販キット(Dxs Diagnostic Innovations、Applied Biosystems、およびQuest diagnostics参照)、シークエンシングまたはPCR用プライマーおよびプローブを、NRASのコ
ドン変異に基づいて設計できる。
本明細書に記載の方法は、HRASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんを有する患者を同定することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、患者の同定は、該患者がHRAS変異を有するかどうかを決定することを含むことができる。いくつかの実施形態は、HRAS変異を有すると確認された患者のがんの治療方法に関し、該方法は、プリナブリンの薬剤的に効果のある量を患者に投与することを含み、該患者は、(i)患者から試料を集め;(ii)試料からDNAを単離し;(iii)単離DNAのHRAS遺伝子またはそのフラグメントを増幅し;および(iv)増幅したHRAS遺伝子中に変異があるかどうか検出することにより患者がHRAS変異を特徴とするがんを有するかどうかを決定することにより同定される。
本発明をさらに例証するため、以下の実施例を記載する。もちろん、実施例は、本発明を具体的に限定するものと解釈すべきでない。請求の範囲内のこれらの実施例の変化形は、当業者の範囲内であり、本明細書に記載、および特許請求された本発明の範囲内と見なされる。本開示、および当分野の技術を用いて当業者は実施例を網羅しなくとも本発明を製造および使用できると読者は認識するだろう。
実施例1
2〜10%FBSを添加したそのそれぞれの適切な成長培地内で全セルラインを成長し、37℃、5%COの雰囲気で収容した。
100μL容積の96ウェルマイクロタイタープレート内の成長培地に細胞を播種した。それから、加湿インキュベーター内で37℃、24時間、細胞をインキュベートした。HP D300デジタルディスペンサーを用いて試験薬剤(プリナブリン)の用量を得た。手短に言えば、デジタルディスペンサーは、培地含有ウェルに正確な体積でDMSO溶媒中の試験薬剤(プリナブリン)を添加した。試験薬剤(プリナブリン)ウェルが受けたDMSOと等体積をコントロールウェル中に入れた。試験薬剤の添加後、加湿インキュベーター内で37℃、72時間、表1に記載の濃度および希釈で細胞を暴露した。72時間の暴露後、プリナブリンおよびコントロール培地を取り出し、200μlの培地およびCellTiter−Glo(登録商標)Reagentの1:1混合物を各ウェルに添加した。加湿インキュベーター内で37℃、60分間、プレートをインキュベートした。インキュベート後、ルミノメーターを用いて発光を記録した。
発光信号から算出された未治療(媒体)コントロールの細胞増殖パーセントとしてデー
タを表した。未治療コントロールの平均発光値によりプリナブリンで治療した試料の平均発光値を割ることによって細胞の生存率を決定した。プリナブリン治療試料およびコントロールの阻害濃度(IC50)値を、Prism6ソフトウェア(GraphPad Software, Inc.)を用いて、非線形回帰分析を用いたデータのカーブフィッティングにより推定した。
表2に示すように、単一の活性薬剤としてプリナブリンは、KRASおよびNRAS変異の両方を含むRAS変異を有する様々な腫瘍セルラインに対する低IC50濃度において細胞毒性効果を有する。
実施例2
プリナブリンおよびドセタキセルの組合せを試験し、その活性を、A549(KRAS
G12S)ヒト肺腫瘍異種移植モデルにおける標準化学療法薬ドセタキセルと比較した。実験データから、A549モデルにおいてドセタキセルと併用したプリナブリンの有望な相加効果または相乗効果を決定した。
A549ヒト肺腫瘍異種移植モデル
約20gの重量で5〜6週齢の雌ヌードマウス(nu/nu)を、Harlan,Inc.(ウィスコンシン州マディソン)から得た。A549ヒト肺腫瘍セルラインを、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)から得た。A549ヒト肺腫瘍セルラインは、KRAS G12Sにおいて変異を有した。腫瘍は、58歳白人男性の肺がん性組織の移植片培養に由来する。動物は、ヌードマウスホスト内において皮下増殖腫瘍から収穫したA549ヒト腫瘍がんのフラグメントを用いてトロカールにより皮下(s.c.)に移植した。腫瘍が約46mgの大きさになった場合(移植後18日)、動物を治療群およびコントロール群にペアマッチングした。ネガティブコントロール群は8匹の腫瘍マウスを含み、他の全群は9匹の腫瘍マウスを含んだ。各マウスの耳にタグを付け、実験中ずっと個別にフォローした。非GLP設定において試験を実施した。ペアマッチング後1日目に初回投与した。2つの異なるスケジュール−1日目、4日目、8日目、11日目および15日目、ならびにqdx5(5日間毎日1回投与)で、7.5mg/kgのプリナブリンを腹腔内投与した。ネガティブコントロールの役割のため、12.5%ジメチルスルホキシド(DMSO)、5%クレモフォール、および82.5%ピーナッツ油を混合して腹腔内投与した;qdx5。12.5mg/kgで、1日目、3日目、および5日目にドセタキセル(Aventis)を静脈内投与し、ポジティブコントロールの役割のため、wklyx3で100mg/kgを腹腔内投与した。また、qdx5スケジュールで7.5mg/kgのプリナブリンを、単剤と同じ用量、経路、およびスケジュールでドセタキセルと併用して投与した。プリナブリンおよびドセタキセル併用群では、プリナブリンの15〜30分前にドセタキセルを投与した。
プリナブリンの重量を量ってから、12.5%DMSO、5%クレモフォール、および82.5%ピーナッツ油をそれぞれ添加した。最終的に、ボルテックスにより化合物を混合し、1時間内に注射した。
各群は8匹のマウスを含んだ。1日目からスタートして、マウスの重量を週2回量り、ノギスを用いて週2回腫瘍測定を行った。標準式、(W2×L)/2により、これらの腫瘍測定を腫瘍重量mgに換算した。コントロール群腫瘍サイズが1グラムの平均値に達した場合、実験を止めた。中止の際、マウスの重量を量り、殺処分してその腫瘍を切除した。腫瘍の重量を量り、群当たりの平均腫瘍重量を算出した。このモデルでは、平均治療腫瘍重量/平均コントロール腫瘍重量×100を100%から差引いて、各群について腫瘍増殖阻害(TGI)を得た。
GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア(Machintoshバージョン3.0)を用いた片側t検定を使用してp値算出した。
この腫瘍異種移植モデルでは、いくつかの薬剤は腫瘍縮小を引き起こしたかもしれない。これらの薬剤で、所与の腫瘍の最終重量を、治療開始1日目のそれ自身の重量から差し引いた。この差を、初期腫瘍重量により割って、退縮%を得た。平均腫瘍退縮%を、腫瘍退縮した群のマウスのデータから算出した。
ネガティブおよびポジティブコントロール
ネガティブコントロール群は、870.4mg±305.1の56日目最終平均腫瘍重量を有した。ドセタキセル(12.5mg/kg;静脈内;1日目、3日目、5日目)は、試験のポジティブコントロールの役割を果たし、それぞれ655.1mg±109.2および691.4±175.8の最終平均腫瘍重量を有した。これは、媒体コントロール群と比較してドセタキセルが26.1%のTGIになり、過去実施したA549試験で見られた期待される活性範囲内であった。ドセタキセル群またはイリノテカン群で観察された中毒死はなかった。
ドセタキセル群の動物は、いくらか重量減少した。11日目、初期平均重量減少を2.7%と記録した。22日目までに、動物はその重量を戻し、15.4%のポジティブな重量増加を示した。ポジティブコントロール群で観察された中毒死はなかった。
プリナブリンおよびドセタキセルの併用
1〜5日目に7.5mg/kgのプリナブリンを腹腔内投与することにより、1525.7mg±355.3の平均最終腫瘍重量となった。プリナブリン(7.5mg/kg;1〜5日目)およびドセタキセル(12.5mg/kg;静脈内;1日目、3日目、5日目)の併用群は、265.8mg±113.1の56日目最終平均腫瘍重量を有した。これは、74.3%のTGIという結果であった。この併用は、655.1mg±109の平均最終腫瘍重量を有したドセタキセル治療群より優れており、併用群とドセタキセル単剤群との差は、統計的に有意(p<0.05)であった。
プリナブリン単剤群の動物は、重量増加した。11日目および22日目、平均重量増加を、それぞれ10.6%および21.8%と記録した。この投与群で観察された中毒死はなかった。併用群の動物は、重量減少した。11日目、初期平均重量減少を2.7%と記録した。22日目までに、動物はその重量を戻し、16%の重量増加を示した。
この投与レベルおよび評価スケジュールにおいて、動物は、単剤としてプリナブリンによる有害性を受けなかった。全5つの試験では、単剤で投与した場合、プリナブリン群において1匹の死のみであった。図3は、プリナブリン(7.5mg/kg)をドセタキセル(12.5mg/kg)と併用で腹腔内経路により使用した場合のマウスの腫瘍重量剖検を示す。A549肺腫瘍モデルに対するドセタキセルと併用のプリナブリンは、ドセタキセル単独と比較した場合、統計的に有意な(p<0.05)TGIの増加を示した(74.3%対26.1%)。この結果は、ドセタキセル単剤と比較した場合、プリナブリンとドセタキセルの併用の強力な腫瘍増殖阻害は、A549(KRAS G12S)ヒト肺腫瘍異種移植モデルにおいてドセタキセルと併用したプリナブリンの有望な相加効果または相乗効果を示していることを示した。
実施例3
使用したグリオーマのマウスモデルは、グリオブラストーマ(GBM)の前神経分子サブグループを模倣するグリオーマのPDGF誘導GEMMであった。このモデルは、体細胞特異性遺伝子導入に基づき;複製可能なALVスプライスアクセプター(RCAS)レトロウイルスシステムは、細胞型特異的に分化の厳密に調節されたウインドウ内の特定の遺伝子変異の滴下注入を可能とした。RCAS/tv−aシステムは、RCASレトロウイルスベクターを使用して、特定の細胞集団においてRCAS受容体(tv−a)を発現するように遺伝子組換えしたマウスを感染させた。ここで、脳内のネスチン発現細胞にPDGFをRCAS媒介導入することにより、グリオーマを生成した。脳内の幹細胞/前駆細胞集団においてネスチンを発現し、ヒトおよびマウス脳腫瘍の両方において血管周辺部(PVN)にあるがん幹細胞のマーカーであることを示した。PDGF誘導グリオーマは、感染後4〜5週間までにInk4a−arf−/−欠失と組み合わせた場合、完全な浸透率を有して発生した。これらの腫瘍は、CDKN2A(p16INK4Aおよびp14ARFの両方をコードする)欠失が「前神経」ヒトグリオーマの56%で観察されたGBMの「前神経」サブタイプを密接に模倣した。シェーレル構造、微小血管増殖および偽柵状ネクローシスなどのヒトグリオーマを規定する腫瘍細胞構造を、図1a〜1dに示すようにこのGEMMにおいて再形成した。さらに、グリオーマ細胞は白質トラックに沿って遊走し、ニューロンおよび血管を囲み、軟膜下の空間内の脳の縁に蓄積した。これに関して、グリオーマのPDGF誘導GEMMは、PN−GBMに酷似し、腫瘍内微小環境において腫瘍細胞と非新生細胞との間の相互作用を規定する優れた実験システムを示す。
グリオーマのPDGF誘導モデルを使用して、図2に示すように、放射線およびテモゾロミドに対する応答を決定した。グリオーマ保持マウスを症状により同定して、T2強調MRIにより確認した。媒体、12日間の毎日25mg/kgのテモゾロミド、または2週間毎週5日で1日2Gy(グレイ)の線量で分割放射線照射(合計20Gy)のいずれかでこれらのマウスを治療した。図2の上2つの画像は、未治療(媒体)の腫瘍増殖を示し;対照的に、テモゾロミド治療および放射線照射した腫瘍はその同じ期間にわたって体積縮小した。これらの腫瘍は治療後に再発し、これらの対応するマウスのコホートの生存率曲線で示すように再発腫瘍で全動物は死んだ。放射線およびテモゾロミドでの治療についての試験データは:1)このマウスモデルで試験を行った、2)マウス生存に対するこれらの治療効果はヒト状態に酷似していた、3)全マウスは病気で死んだ、および4)これらのマウスコホートの比較的同じ結果は、試験における生存差を検出するためにこの実験的パラダイムの使用を支持したことを例証した。
上記方法を用いて準備したグリオーマのPDGF誘導モデルを生成した。マウスは、ネスチンプロモーターからのRCAS受容体(tv−a)の発現およびink4a/arf−/−のバックグラウンドおよびlox−stop−loxルシフェラーゼを有するトランスジェニックであり、G12D変異KRASを発現するRCAS−PDGFおよびRCAS−KRASで感染させた。得られた腫瘍は、最初の3〜4週間内で発生した。腫瘍はGBMの組織学的特徴を有し、嗜眠の症状および不充分なグルーミング、T2強調シークエンスを用いたMRIスキャン、またはIVISシステムを用いたバイオルミネセンスイメージングを用いて同定することができる。治療群(KRAS腫瘍)のマウスに、10週間毎週2回7.5mg/kgのプリナブリンを腹腔内投与し、コントロール群のマウスに、プリナブリン希釈液(40重量%コリフォールおよび60重量%プロピレングリコール)のみを投与した。これらの治療マウスは重量増加し始めたが、数日内で症状の改善を示す。
G12D変異KRASを発現するPDGF誘導グリオーマを有するマウスに対してプリナブリンを試験した。4〜6週齢ネスチン−tv−a/ink4a−arf−/−マウスをイソフルランで麻酔し、Df−1細胞にトランスフェクトしたRCAS−PDGF−B−HA、RCAS−KRASを注射した。ハミルトンシリンジに装着した26ゲージニードルにより定位フレームを用いて、2×10RCAS−PDGF−B−HA/RCAS−KRASの1:1混合物1マイクロリットルをマウスに注射した。細胞を右前頭葉内に注射したが、十字縫合1.75mm、側方−0.5mm、および深さ2mmに調整する。マウスを重量減少に対して注意深くモニターし、合計2連続日にわたって>0.3グラム減少した場合または腫瘍の外的徴候を示した場合試験を供した。マウスを試験群に入れ、嗜眠、猫背姿勢、食欲喪失、腫瘍増殖の外的徴候、興奮、重量減少および全体的な成長障害について継続的にモニターしながら、プリナブリンまたは上記プリナブリン希釈液のいずれかで治療した。体重の20%より多く減少、移動性、摂食の無力さまたは雄で14グラム/雌で12グラム未満の重量になった場合、マウスを殺処分した。マウスをCOを用いて殺処分した;脳を回収し、10%中性緩衝ホルマリンにO/N貯蔵してから、Flex80と入れ換えて4℃で貯蔵した。
図4は、G12D Kras変異を含むグリオブラストーマを有するマウスの生存率を示す。図4に示すように、グリオブラストーマのPDGF誘導モデルを有するマウスは、概して、コントロール群と比較したとき、プリナブリン治療群において有意により良好な生存率を有した(p=0.001)。
実施例4
G12D変異KRASを発現するPDGF誘導グリオーマを有するマウスを、実施例3に記載の手順を用いて準備してこの実験で使用した。4〜6週齢ネスチン−tv−a/i
nk4a−arf−/−マウスをイソフルランで麻酔し、Df−1細胞にトランスフェクトしたRCAS−PDGF−B−HA、RCAS−KRASを注射した。ハミルトンシリンジに装着した26ゲージニードルにより定位フレームを用いて、2×10RCAS−PDGF−B−HA/RCAS−KRASの1:1混合物1マイクロリットルをマウスに注射した。細胞を右前頭葉内に注射したが、十字縫合1.75mm、側方−0.5mm、および深さ2mmに調整する。マウスを重量減少に対して注意深くモニターし、合計2連続日にわたって>0.3グラム減少した場合または腫瘍の外的徴候を示した場合試験を供した。
マウスを2つの試験群に入れた。1つの群を、テモゾロミド(TMZ)、放射線およびプリナブリンの組合せで治療した:10gy×1で照射し、TMZおよびプリナブリン希釈液中プリナブリン7.5mg/kgを10週間月曜日と木曜日の週2回腹腔内投与した。他の群、コントロール群を、TMZおよび放射線の組合せで治療した:10gy×1で照射し、TMZを10週間月曜日と木曜日の週2回腹腔内投与した。マウスを、嗜眠、猫背姿勢、食欲喪失、腫瘍増殖の外的徴候、興奮、重量減少および全体的な成長障害についてモニターした。体重の20%より多く減少、移動性、摂食の無力さまたは雄で14グラム/雌で12グラム未満の重量になった場合、マウスを殺処分した。マウスをCOを用いて殺処分した;脳を回収し、10%中性緩衝ホルマリンにO/N貯蔵してから、Flex80と入れ換えて4℃で貯蔵した。図5に示すように、グリオブラストーマのPDGF誘導モデルを有するマウスは、概して、プリナブリン、TMZおよび放射線を受けるコントロール群と比較したとき、TMZおよび放射線治療群において有意により良好な生存率を有した(p=0.0149)。
実施例5
プリナブリンおよびイリノテカンの組合せを試験し、その活性を、HCT−15(KRAS変異G13D;P53変異S241F)ヒト結腸腫瘍異種移植モデルにおける標準化学療法薬イリノテカンと比較した。実験データから、HCT−15モデルにおいてイリノテカンと併用したプリナブリンの相乗効果を決定した。
HCT−15ヒト結腸腫瘍異種移植モデル
雌胸腺欠損ヌードマウス(Hsd:Athymic Nude−Foxn1nu)は、Harlan(インディアナ州インディアナポリス)により供給された。マウスを4週齢で受け取った。全マウスを取り扱う前に気候順化した。HCT−15ヒト結腸腫瘍セルラインをATCC(バージニア州マナサス)から受け取った。10%ウシ胎児血清(FBS:Seradigm;ペンシルバニア州ラドナー)を添加したRPMI−1640(Lonza;メリーランド州ウォーカーズビル)で培養液を維持し、5%CO2雰囲気中に収容した。充分な量の細胞を回収するまで、1:10分割比で組織培養フラスコ内に培養液を広げた。HCT−15ヒト結腸腫瘍セルラインは、KRAS G13DおよびP53 S241Fにおいて変異を有した。
雌マウスに、皮下右側に、HCT−15腫瘍細胞(5×10細胞/マウス)の懸濁液を含有する50%培地/50%マトリゲル混合物0.1mlを接種した。
プリナブリン(40%ソルトール:60%プロピレングリコール中80mg/20mL)を無菌5%ブドウ糖溶液で0.75mg/mLの濃度まで希釈した。試験終了まで週2回、プリナブリン7.5mg/kgを腹腔内投与した。プリナブリン媒体(40%ソルトール:60%プロピレングリコール)を、プリナブリンと同じ比で、無菌5%ブドウ糖溶液で希釈し、ネガティブコントロールとして使用した。10ml/kgの用量体積で100mg/kgの用量を届けるために、イリノテカン(Teva Pharmaceuticals、カリフォルニア州アーバイン)を0.9%塩化ナトリウム溶液で10mg/m
lの濃度まで希釈した。3週間週1回100mg/kgの用量でイリノテカンを腹腔内投与し、ポジティブコントロールとした。また、単剤と同じ用量、経路、およびスケジュールでイリノテカンと併用してプリナブリンを投与した。プリナブリンおよびイリノテカン併用群では、プリナブリンの120分前にイリノテカンを投与した。
接種後7日間、デジタルノギスを用いて腫瘍を測定した。ノギスを使用して腫瘍の幅および長さ直径を測定した。測定値を、動物試験管理ソフトウェア、Study Director V.2.1.1(Study Log)を用いてデジタル的に記録した。腫瘍量を、式:腫瘍量(mm)=(a×b/2)(式中、「b」は最小直径であり「a」は最大直径である)を利用して算出した。104〜125mmの腫瘍サイズを有する40匹のマウスを10匹毎の4群にランダムに分け、Study Directorを用いたランダム平衡により、各々は約112mmの平均を有する(1日目)。マウスをランダム化し、その後週2回取り出す場合、腫瘍量および体重を記録した。臨床観察を毎日行った。
コントロール群腫瘍サイズが1グラムの平均値に達した場合、実験を止めた。中止の際、マウスの重量を量り、殺処分してその腫瘍を切除した。腫瘍の重量を量り、群当たりの平均腫瘍重量を算出し、ならびに腫瘍ネクローシスの視覚的評価を行った。
平均腫瘍増殖阻害(TGI)を27日目(試験の最終日)に算出した。異種移植試験の全統計解析を、Prism GraphPad(登録商標)v6.00ソフトウェアで行った。27日目の腫瘍量の差をVariance(ANOVA)試験を用いて確認した。
ネガティブおよびポジティブコントロール
ネガティブコントロール群は、1701.4mm±178.0の27日目最終平均腫瘍量を有した。イリノテカン(100mg/kg;腹腔内;1日目、8日目、15日目)は、試験のポジティブコントロールの役割を果たし、1196.2mm±121.7の最終平均腫瘍量を有した。媒体ネガティブコントロール群と比較して、これは、イリノテカンについて31.8%のTGIという結果であった。ネガティブコントロールまたはポジティブ群で観察された中毒死はなかった。
媒体ネガティブコントロール、プリナブリン、およびイリノテカンでの治療の忍容性は良好であった。試験の最終数日で、いくつかの軽度の重量減少が、媒体コントロール群およびプリナブリン群で発生したが、体重減少は大幅なものではなかった。臨床観察は、この腫瘍モデルで典型的である腫瘍ネクローシスで主に構成された。プリナブリンおよびイリノテカンの併用治療は、中程度の体重減少が観察されており、かなり良好な忍容性であった。
プリナブリン(7.5mg/kg;1〜5日目)およびイリノテカン(100mg/kg、1日目、8日目および15日目)の併用群は、766.8mm±84.2の27日目最終平均腫瘍量を有した。これは、58.8%のTGIという結果であった。この併用は、1196.2mm±121.7の平均最終腫瘍量を有したイリノテカン治療群より優れており、併用群とイリノテカン単剤群との差は、統計的に有意(p<0.05)であった。
この投与レベルおよび評価スケジュールにおいて、動物は、単剤としてプリナブリンによる有害性を受けなかった。図6は、プリナブリン(7.5mg/kg)をイリノテカン(100mg/kg)と併用で腹腔内経路により使用した場合のマウスの試験過程にわたる腫瘍量を示す。HCT−15結腸腫瘍モデルに対するイリノテカンと併用のプリナブリンは、イリノテカン単独と比較した場合、統計的に有意な(p<0.05)TGIの増加
を示した(58.8%対31.8%)。この結果は、イリノテカン単剤と比較した場合、プリナブリンとイリノテカンの併用の強力な腫瘍増殖阻害は、HCT−15(KRAS G13D)ヒト肺腫瘍異種移植モデルにおいてイリノテカンと併用したプリナブリンの有望な相加効果または相乗効果を示していることを示した。
実施例6
プリナブリンおよびイリノテカンの組合せを試験し、その活性を、LoVo(KRAS変異 p.G13D)ヒト結腸腫瘍異種移植モデルにおけるイリノテカン単独と比較した。実験データから、LoVoモデルにおいてイリノテカンと併用したプリナブリンの有望な相加効果または相乗効果を決定した。
LoVoヒト結腸腫瘍異種移植モデル:雌胸腺欠損ヌードマウス(Hsd:Athymic Nude−Foxn1nu)は、Harlan(インディアナ州インディアナポリス)により供給された。マウスを4週齢で受け取った。全マウスを取り扱う前に気候順化した。LoVoヒト結腸腫瘍セルラインをATCC(バージニア州マナサス)から受け取った。10%ウシ胎児血清(FBS:Seradigm;ペンシルバニア州ラドナー)を添加したF12−K(Corning/Cellgro、バージニア州マナサス)で培養液を維持し、5%CO2雰囲気中に収容した。充分な量の細胞を回収するまで、1:3の分割比で組織培養フラスコ内に培養液を広げた。LoVoヒト結腸腫瘍セルラインは、KRAS p.G13Dにおいて変異を有した。
雌マウスに、皮下右側に、LoVo腫瘍細胞(1×10細胞/マウス)の懸濁液を含有する50%培地/50%マトリゲル混合物0.1mlを接種した。
プリナブリン(40%ソルトール:60%プロピレングリコール中80mg/20mL)を無菌5%ブドウ糖溶液で0.75mg/mLの濃度まで希釈した。試験終了まで週2回、プリナブリン7.5mg/kgを腹腔内投与した。プリナブリン媒体(40%ソルトール:60%プロピレングリコール)を、プリナブリンと同じ比で、無菌5%ブドウ糖溶液で希釈し、ネガティブコントロールとして使用した。10ml/kgの用量体積で100mg/kgの用量を届けるために、イリノテカン(Teva Pharmaceuticals、カリフォルニア州アーバイン)を0.9%塩化ナトリウム溶液で10mg/mlの濃度まで希釈した。3週間週1回80mg/kgの用量でイリノテカンを腹腔内投与し、ポジティブコントロールとした。また、単剤の各々と同じ用量、経路、およびスケジュールでイリノテカンと併用してプリナブリンを投与した。プリナブリンおよびイリノテカン併用群では、プリナブリンの120分前にイリノテカンを投与した。
接種後7日間、デジタルノギスを用いて腫瘍を測定した。ノギスを使用して腫瘍の幅および長さ直径を測定した。測定値を、動物試験管理ソフトウェア、Study Director V.2.1.1(Study Log)を用いてデジタル的に記録した。腫瘍量を、式:腫瘍量(mm)=(a×b/2)(式中、「b」は最小直径であり「a」は最大直径である)を利用して算出した。104〜125mmの腫瘍サイズを有する40匹のマウスを10匹毎の4群にランダムに分け、Study Directorを用いたランダム平衡により、各々は約112mmの平均を有する(1日目)。マウスをランダム化し、その後週2回取り出す場合、腫瘍量および体重を記録した。臨床観察を毎日行った。
プロトコールに沿って15日目1500mm以上の平均腫瘍量に達した後、媒体コントロールを殺処分した。死んでいるまたは瀕死であることが分かったマウスを殺処分するために、イリノテカン群が774mmの平均腫瘍量に達した場合、治療群を終了した。剖検の時に、腫瘍を切除し、湿重量測定を記録し、ならびに腫瘍ネクローシスの視覚的評
価を行った。
平均腫瘍増殖阻害(TGI)を27日目に算出した。異種移植試験の全統計解析を、Prism GraphPad(登録商標)v6.00ソフトウェアで行った。27日目の腫瘍量の差をVariance(ANOVA)試験を用いて確認した。ウェルチ補正を用いる片側スチューデントt検定も使用して、各群と媒体コントロールとのいずれもの差も検証し、両側スチューデントt検定を使用して併用群とそのそれぞれの単剤との差を検証した。
媒体コントロールは、15日目に2078.1mmの平均腫瘍量に達した。この群は、試験全体を通して特記すべき平均体重減少はなかった。10匹のマウスのうち9匹は、12日目に軽微〜中程度の腫瘍ネクローシスを最初に観察した。全動物は最後の殺処分まで生存した。
プリナブリン7.5mg/kgでの治療により、15日目に1279.2mm平均腫瘍量となった。この群では、15日目に41.0%のTGI(n=7)を得た。15日目での媒体コントロールと比較した場合、平均腫瘍量の有意な減少が観察された(p<0.05)(スチューデントt検定)。この群は、試験全体を通して平均体重減少はなかった。10匹のマウスのうち9匹は、12日目に軽微〜重度の腫瘍ネクローシスを最初に観察した。重度腫瘍ネクローシスによる罹患を示す臨床観察が理由でマウス5を19日目に瀕死状態で殺処分した。マウス2、3、4、7、および10は、試験中に死んだことが分かった。マウス8は、技術的な誤りが理由で死んだことが分かった。10匹のマウスのうち3匹は、最後の殺処分まで生存した。
イリノテカン80mg/kgでの治療により、15日目に1156.7mm平均腫瘍量となった。この群では、15日目に媒体コントロールと比較した場合、47.2%のTGI(n=10)を得た。15日目での媒体コントロールと比較した場合、平均腫瘍量の有意な減少が観察された(p<0.05)(スチューデントt検定)。この群は、試験最終日20日目に最大7.4%の中程度の体重減少であった。10匹のマウスのうち8匹は、12日目に軽微〜重度の腫瘍ネクローシスを最初に観察した。重度腫瘍ネクローシスによる罹患を示す臨床観察が理由でマウス3、4、および5をそれぞれ19日目、15日目、および18日目に瀕死状態で殺処分した。マウス1および10は、それぞれ17日目および20日目に死んだのが分かった。10匹のマウスのうち5匹は、最後の殺処分まで生存した。
プリナブリン7.5mg/kgおよびイリノテカン80mg/kgでの治療により、15日目に468.4mm平均腫瘍量となった。この群では、15日目に媒体コントロールと比較した場合、82.4%のTGI(n=10)を得た。15日目での媒体コントロール(スチューデントt検定)および単剤プリナブリン(スチューデントt検定)と比較した場合、平均腫瘍量の有意な減少が観察された(p<0.05)。15日目に単剤イリノテカンと比較した場合、平均腫瘍量の有意な差は観察されなかった。この群は、試験最終日20日目に最大5.8%の中程度の体重減少であった。10匹のマウスのうち5匹は、15日目に軽微〜中程度の腫瘍ネクローシスを最初に観察した。全10匹のマウスは最後の殺処分まで生存した。図7に示すように、プリナブリンおよびイリノテカンの併用は、単剤としてのイリノテカンより優れた。イリノテカン単独群のマウスの減少が理由で、平均腫瘍量は、15日目の1157mmから20日目の774mmに減少し、認識できる変化を引き起こした。

Claims (34)

  1. それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む、RASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんの治療方法。
  2. 前記RASタンパク質が、KRAS、NRASまたはHRASタンパク質である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記RASタンパク質の変異型が、KRASタンパク質の変異型である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記がんが、結腸直腸がん、膵がん、腎がん、肺がん、肝がん、乳がん、前立腺がん、胃腸がん、腹膜がん、メラノーマ、子宮内膜がん、卵巣がん、子宮頚がん、子宮がん、膀胱がん、グリオブラストーマ、転移性脳腫瘍、唾液腺がん、甲状腺がん、脳がん、リンパ腫、骨髄腫、および頭頚部がんから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記がんが、扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、肺の扁平上皮がん、肝細胞がん、結腸がん、子宮内膜がん、および肝細胞がんから選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記がんが、結腸直腸がん、前立腺がん、乳がん、肺がん、子宮内膜がん、多発性骨髄腫、膵がん、腎がん、およびグリオブラストーマから選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記がんが、非小細胞肺がん、膵がん、およびグリオブラストーマから選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記がんが、非小細胞肺がんである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記KRASタンパク質が、コドン12、13、59、61、および146から選択される1つ以上の位置において変異を含む、請求項3〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記KRASタンパク質の変異型が、G12、G13、S17、P34、A59、およびQ61から選択される1つ以上のアミノ酸位置において変異を含む、請求項3〜8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記KRASタンパク質の変異型が、G12C、G12S、G12R、G12F、G12L、G12N、G12A、G12D、G12V、G13C、G13S、G13D、G13V、G13P、S17G、P34S、A59E、A59G、A59T、Q61K、Q61L、Q61R、およびQ61Hから成る群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記KRASタンパク質の変異型が、G12、G13、A59、Q61、K117およびA146から選択される1つ以上のアミノ酸位置において変異を含む、請求項3〜8のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記KRASタンパク質の変異型が、G12C、G12R、G12S、G12A、G12D、G12V、G13C、G13R、G13S、G13A、G13D、G13V、A59E、A59G、A59T、Q61K、Q61L、Q61R、Q61H、K117N、A
    146P、A146TおよびA146Vから成る群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記KRASタンパク質の変異型が、G12、G13、A59、およびQ61から選択される1つ以上のアミノ酸位置において変異を含む、請求項3〜8のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記KRASタンパク質の変異型が、G12C、G12R、G12S、G12A、G12D、G12V、G13C、G13R、G13S、G13A、G13D、A59E、A59G、A59T、Q61K、Q61L、Q61RおよびQ61Hから成る群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記KRASタンパク質の変異型が、G12、G13、およびD153から選択される1つ以上のアミノ酸位置において変異を含む、請求項3〜8のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記KRASタンパク質の変異型が、G12A、G12C、G12D、G12V、G12S、G13D、およびD153Vから成る群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記KRASタンパク質の変異型が、G12C、G12S、およびD153Vから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記対象が、KRAS変異を有するかどうかを決定することを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記RASタンパク質の変異型が、NRASタンパク質の変異型である、請求項2に記載の方法。
  21. 前記NRASタンパク質が、コドン12、13、59、61、および146から選択される1つ以上の位置において変異を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記NRASタンパク質の変異型が、Q61またはA146において変異を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記NRASタンパク質の変異型が、Q61K、Q61H、Q61R、Q61L、Q61N、Q61E、Q61P、A146T、A146P、およびA146Vから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記対象が、NRAS変異を有するかどうかを決定することを含む、請求項20〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記対象が、HRAS変異を有するかどうかを決定することを含む、請求項20〜23のいずれか一項に記載の方法。
  26. プリナブリンを追加の活性薬剤と同時投与することを含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記追加の活性薬剤が追加の治療薬である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記追加の治療薬がドセタキセルであり、前記がんがヒト非小細胞肺がんである、請求項27に記載の方法。
  29. 前記追加の治療薬がイリノテカンであり、前記がんがヒト結腸がんである、請求項27に記載の方法。
  30. 細胞をプリナブリンと接触させることを含む、RAS変異を有する前記細胞の増殖阻害方法。
  31. 前記接触が、前記細胞を有する対象にプリナブリンを投与することを含む、請求項30に記載の方法。
  32. 細胞をプリナブリンと接触させることを含む、RAS変異を有する前記細胞のアポトーシス誘導方法。
  33. 前記接触が、それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む、請求項32に記載の方法。
  34. それを必要とする対象にプリナブリンを投与することを含む、対象のRASタンパク質の変異型を発現することを特徴とするがんの進行阻害方法。
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