JP2018203939A - ポリウレタン樹脂、接着剤及びポリウレタン樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]金属に対する良好な密着性を有する熱可塑性ポリウレタンであって、その構造中に、ソフトセグメントを形成する数平均分子量が500〜3000であるポリオール成分由来の構造と、水酸基と、ウレタン結合と、2級アミノ基に環状酸無水物を反応させてなるカルボキシル基とを有し、且つ、前記ポリオール成分由来の構造を10〜50質量%の範囲内で含有することを特徴とするポリウレタン樹脂を提供する。
[2]その水酸基価が70〜200mgKOH/g、その酸価が10〜100mgKOH/g、その重量平均分子量が10000〜100000、そのTgが10〜40℃であることが挙げられる。
[3]上記した本発明のポリウレタン樹脂を必須成分として含有してなることを特徴とする接着剤を提供する。
[4]その構造中に、ソフトセグメントを形成する数平均分子量が500〜3000であるポリオール成分由来の構造と、水酸基と、ウレタン結合と、2級アミノ基に環状酸無水物を反応させてなるカルボキシル基とを有するポリウレタン樹脂を製造する方法であって、
数平均分子量が500〜3000であるポリオール[E]成分由来の構造と、2以上の五員環環状カーボネート構造とを有するカーボネート化合物(aII)を含む、2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物[A]と、
2以上の1級アミノ基を有するアミン化合物[B]と、
2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物[C]とを用い、
前記2以上の1級アミノ基を有するアミン化合物[B]に対して、前記2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物[C]と、前記2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物[A]とを重付加反応させて、その構造中に、前記数平均分子量が500〜3000であるポリオール成分由来の構造と、水酸基と、ウレタン結合と、2級アミノ基とを有する中間体のポリウレタン樹脂[G]を得る重合工程と、
前記2級アミノ基に環状酸無水物を反応させて、前記中間体のポリウレタン樹脂[G]の構造中に、さらに、カルボキシル基を導入する、カルボキシル基の導入工程とを有することを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法を提供する。
[5]前記カーボネート化合物(aII)が、前記数平均分子量が500〜3000であるポリオール[E]と、2以上のイソシアネート基を有する化合物[D]とを、イソシアネート基が過剰となる条件で反応させ、その後、未反応のイソシアネートと下記式で表される化合物[F]とを反応させることによって得られたものであり、且つ、該カーボネート化合物(aII)の使用量を、最終的に得られるポリウレタン樹脂中に、前記ポリオール[E]成分由来の構造が10〜50質量%の範囲内で含まれるようにすることが挙げられる。
(式中Rは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい)
[7]前記当量比で過剰となる量が、1級アミノ基/エポキシ基=5/2以上の量であること;
[8]前記数平均分子量が500〜3000であるポリオール[E]が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群から選択される少なくともいずれかのポリオールであること;が挙げられる。
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、下記の通り、中間体であるポリウレタン樹脂[G]を得るための重合工程と、該重合工程で得られたポリウレタン樹脂[G]の構造中に、さらに、カルボキシル基を導入する、カルボキシル基の導入工程とを有することを特徴とする。以下、これらの工程及び使用する材料について説明する。
前記2以上の1級アミノ基を有するアミン化合物[B]に対して、前記2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物[C]と、前記(aII)を含む、2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物[A]とを重付加反応させて、その構造中に、前記[E]の数平均分子量が500〜3000であるポリオール成分由来の構造と、水酸基と、ウレタン結合と、2級アミノ基とをともに有する中間体のポリウレタン樹脂[G]を得る。
まず、本発明で利用する、従来より行われている五員環カーボネート化合物とアミノ化合物との反応について説明する。五員環カーボネートとアミノ化合物は、例えば、以下のスキームのように反応する。五員環カーボネートが開裂することにより、反応物は、その構造中に水酸基と、ウレタン結合とをもつものになる。また、開裂の仕方は2種類あり、それにより1級水酸基と2級水酸基の両方が存在することとなる。このため、反応物中には式(1)〜(4)の構造が混在することになる。
前記したように、本発明の製造方法では、その重合工程で、2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物[A]と、2以上の1級アミノ基を有するアミン化合物[B]と、2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物[C]とを用い、その構造中に、数平均分子量が500〜3000であるポリオール[E]成分由来の構造と、水酸基と、ウレタン結合と、2級アミノ基とをともに有する中間体のポリウレタン樹脂[G]を得る。
(2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物[A])
本発明の製造方法では、前記したカーボネート化合物(aII)を含む、2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物[A](以下、単に「カーボネート化合物[A]」と記載する場合がある)を用いる。具体的には、カーボネート化合物[A]として、少なくとも、ソフトセグメントを形成する数平均分子量が500〜3000であるポリオール[E]成分由来の構造と、2以上の五員環環状カーボネート構造とを有するカーボネート化合物(aII)を使用することを要する。本発明の製造方法によれば、使用するカーボネート化合物[A]中における、上記カーボネート化合物(aII)の使用比率を適宜に設計することで、最終的に得られるポリウレタン樹脂の柔軟性を適宜なものにすることができる。なお、本発明では、本発明を特徴づけるカーボネート化合物(aII)と区別するため、本発明で使用する、それ以外の2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物[A]に該当する化合物を、カーボネート化合物(aI)と呼んでいる。
本発明で使用するカーボネート化合物(aI)は、例えば、下記式のように、エポキシ化合物と二酸化炭素とを反応させることによって容易に合成することができる。具体的には、原材料であるエポキシ化合物を、触媒の存在下、0〜160℃、大気圧〜1MPa程度に加圧した二酸化炭素雰囲気下で4〜24時間反応させることにより、2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物を得ることができる。この際に使用するエポキシ化合物には、前記した中間体のポリウレタン樹脂[G]の重合工程で使用するエポキシ化合物[C]と同じものを使用してもよいし、異なるものを使用してもよい。エポキシ化合物[C]については後述する。
本発明の製造方法に使用され、得られるポリウレタン樹脂の柔軟性の発現に寄与する、カーボネート化合物(aII)について説明する。本発明で使用されるカーボネート化合物(aII)は、数平均分子量が500〜3000であるポリオール[E]成分由来の構造と、2以上の五員環環状カーボネート構造とを有するものであることを要する。先に述べたように、カーボネート化合物(aII)は、例えば、下記の方法で容易に合成することができる。すなわち、従来のイソシアネート化合物を用いるポリウレタンの合成方法を利用して、数平均分子量が500〜3000であるポリオール[E]と、2以上のイソシアネート基を有する化合物[D]とを、イソシアネート基が過剰となる条件で反応させ、その後に、未反応のイソシアネートと、下記式で表される化合物[F]とを反応させることによって容易に得ることができる。
上記で使用するポリオール[E]としては、2以上の水酸基を有する、従来公知のポリオールを用いることができる。本発明では、数平均分子量が500〜3000であるものを用いる。上記範囲よりも分子量が小さい場合は、ポリオールによって構成されるソフトセグメントの鎖長が短く、最終的に得られるポリウレタン樹脂が、十分な柔軟性のものにならない場合があり、一方、分子量が上記範囲より大きい場合は、末端官能基濃度が低下し、反応性が低くなり、目的とする共重合体が得られない可能性がある。
本発明で使用するカーボネート化合物(aII)を得る際に、前記した合成方法で用いるイソシアネート化合物[D]としては、2以上のイソシアネート基を有する化合物であればよく、従来公知のジイソシアネートなどのポリイソシアネートを用いることができる。上記で使用する好適なイソシアネート化合物としては、例えば、下記に挙げるような芳香族ジイソシアネートや、脂肪族ジイソシアネートや、脂環式ジイソシアネートや、さらには、末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマーなどが使用できる。
本発明で使用するカーボネート化合物(aII)を得る際に、前記した合成方法で用いる下記式で表させる化合物[F]は、五員環環状カーボネート構造と、水酸基を有する化合物である。そして、前記した合成方法において、この化合物[F]の水酸基が、未反応のイソシアネート基と反応することで、前記したポリオール[E]成分由来の構造と、2以上の五員環環状カーボネート構造とを有するカーボネート化合物(aII)を得ることができる。
カーボネート化合物(aII)を得るための合成方法において、ポリオール[E]とイソシアネート化合物[D]との反応、或いは、未反応のイソシアネート基と前記した化合物[F]との反応の際には、必要に応じて触媒を加えてもよい。触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、スタナスオクトエート、オクチル酸亜鉛、テトラn−ブチルチタネートなどの、金属と有機酸又は無機酸との塩;有機金属誘導体;トリエチルアミンなどの有機アミン;ジアザビシクロウンデセン系触媒などを挙げることができる。
前記した中間体であるポリウレタン樹脂[G]を得るための重合工程で使用するアミン化合物[B]は、2以上の1級アミノ基を有するアミン化合物であれば、従来公知のものをいずれも用いることができる。好適なアミン化合物としては、下記に挙げるようなものが使用できる。例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノへキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの鎖状脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,6−シクロヘキサンジアミン、ピペラジンなどの環状脂肪族ポリアミン;キシリレンジアミンなどの芳香環を持つ脂肪芳香族ポリアミン;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミン、2,5−ジアミノピリジンなどを挙げることができる。これらのアミン化合物は、最終的に得られるポリウレタン樹脂の機械物性に合わせて適宜選択して用いることができる。また、2種類以上のアミン化合物を併用してもよい。
前記した中間体であるポリウレタン樹脂[G]を得るための重合工程で使用するエポキシ化合物[C]は、2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物であれば、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、前記した化合物(aI)を合成する際に使用したエポキシ化合物を用いた場合には、最終的に得られるポリウレタン樹脂[H]の主骨格の構造に化合物(aI)由来構造と同一の構造が組み込まれる。具体的なエポキシ化合物[C]としては、例えば、先にカーボネート化合物(aI)として使用可能な化合物として構造式を挙げて例示したカーボネート化合物の、環状カーボネート構造部分がエポキシ基であるものを使用することができる。なお、本発明の樹脂を合成する際には、カーボネート化合物(aI)とエポキシ化合物[C]は、同一の構造を有する化合物を用いてもよく、また別の構造を有する化合物を用いてもよいのは勿論である。
その構造中に、前記したポリオール[E]成分由来の構造と、水酸基と、ウレタン結合と、2級アミノ基とをともに有する中間体としてのポリウレタン樹脂[G]は、上記した、2以上の1級アミノ基を有するアミン化合物[B]と、2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物[C]と、カーボネート化合物[A]とを用い、重付加反応することにより得ることができる。上記成分を用い、少なくともアミン化合物[B]が、エポキシ化合物[C]に対して過剰となる量で反応させることによって、反応物の構造中に、水酸基と、ウレタン結合と、2級アミノ基を形成させることができる。なお、形成される水酸基には、エポキシ基由来のものとカーボネート基由来のものとがあるが、その構造に大きな差異はないため、本発明では、いずれの水酸基も区別することなくポリウレタン樹脂の有する「水酸基」とする。そのため、後述する水酸基価や、実施例に記載の水酸基価では、上記エポキシ化合物[C]由来のものと、上記カーボネート化合物[A]由来のものを合算して計算した値を用いた。
本発明の製造方法では、上記のようにして得られる中間体のポリウレタン樹脂[G]が基本構造中に有する2級アミノ基に対して、環状酸無水物を反応させることで、カルボキシル基を導入して、最終目的の、構造中に、ソフトセグメントを形成する数平均分子量が500〜3000であるポリオール成分由来の構造と、水酸基と、ウレタン結合と、2級アミノ基に環状酸無水物を反応させてなるイオン性基となるカルボキシル基とを有するポリウレタン樹脂[H]を得ている。
上記したカルボキシル基の導入工程において、使用可能な環状酸無水物は、特に限定されるものではない。複数のカルボキシル基を有する化合物のカルボキシル基が分子内で脱水縮合したものであれば使用可能である。具体的には、例えば、コハク酸無水物、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、カロン酸無水物、シトラコン酸無水物、グルタル酸無水物、ジグリコール酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族酸無水物や、その誘導体、フタル酸、トリメリット酸無水物、1,2−ナフタル酸無水物、ピロメリット酸無水物などの芳香族酸無水物、1,1−シクロヘキサン二酢酸無水物、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,1−シクロペンタン二酢酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、などの脂環族酸無水物などを挙げることができ、いずれも使用可能である。
本発明のポリウレタン樹脂[H]は、その構造中に、ソフトセグメントを形成する数平均分子量が500〜3000であるポリオール成分由来の構造と、水酸基と、ウレタン結合と、2級アミノ基に環状酸無水物を反応させてなるカルボキシル基とを有することを特徴とする。特に、本発明では、提供するポリウレタン樹脂[H]の構成を、前記ポリオール成分由来の構造を10〜50質量%の範囲内で含有したものとすることで、後述するように、例えば、接着剤に適用した場合に、柔軟性のある金属箔などに対しても良好な密着性(接着性)を実現できるものになる。
本発明で提供するポリウレタン樹脂[H]は、その水酸基価が70〜200mgKOH/g、その酸価が10〜100mgKOH/gであることが望ましい。より好ましい水酸基価は90〜180mgKOH/g、特に好ましくは160〜180mgKOH/gである。また、好ましい酸価が20〜70mgKOH/g、特に好ましくは50〜70mgKOH/gである。それぞれ上記範囲よりも小さいと、例えば、接着剤として使用した場合に、十分な接着力が得られなくなる。一方、それぞれ上記範囲より大きいと、水素結合の凝集力により、例えば、接着剤として使用した場合に、接着剤として適切な柔軟性が得られなくなる場合がある。
本発明で提供するポリウレタン樹脂[H]は、熱可塑性を有するため、これを必須成分とすることで様々な製品を提供することができる。具体的には、接着剤のみならず、例えば、塗料、インキ、アンカーコート材に適用することができる。本発明のポリウレタン樹脂は、金属に対する良好な密着性を示すが、上記したように、金属箔のような柔軟な基材に対しても良好な密着性を有し追従することができるため、特に、これらの金属素材に対する接着剤として有用である。以下、接着剤として使用する場合を例に、添加剤等について説明する。他の用途に適用する場合にも、同様の添加剤を使用することができ、用途に合わせて、必要に応じて適宜に調整すればよい。
(製造例1)
撹拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器に、エポキシ当量187g/eqのビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名「YD−128」、新日鉄住金化学社製)100部、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)100部、及び、ヨウ化ナトリウム(和光純薬社製)20部を入れて均一に溶解した。撹拌下、炭酸ガス(CO2ガス)を0.5L/minの速度で導入しながら、100℃で10時間反応した。反応後、イソプロピルアルコールを2000部加えて、析出した白色沈殿をろ取し、乾燥機で乾燥して白色の粉末を得た。
製造例1で使用したビスフェノールAジグリシジルエーテルに替えて、エポキシ当量138g/eqのネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(商品名「デナコールEX−211」、ナガセケムテックス社製)を用いた以外は同様にして反応を行った。反応終了後、酢酸エチル400部及び水800部を加え1時間撹拌した。その後、酢酸エチル相を回収し、エバポレーターにて溶剤除去を行い、粘稠液体状の化合物を得た。製造例1と同様の方法で、下記の構造であることを確認した。
製造例1で使用したビスフェノールAジグリシジルエーテルに替えて、エポキシ当量117g/eqのレゾルシノールジグリシジルエーテル(商品名「デナコールEX201」、ナガセケムテックス社製)を用いたこと以外は、前述の製造例1と同様にして、下記式(I−C)で表される化合物を得た。なお、下記の構造であることは、製造例1と同様の方法で確認した。
(製造例4)
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に、ポリオール[E]として、数平均分子量1000のポリエステルポリオール(商品名「クラレポリオールP−1010」、社クラレ製)100部と、イソシアネート化合物[D]として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)33.64部を入れた。そして、固形分30%になるように、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を入れて均一に溶解した後、60℃で、7時間反応させた。そして、イソシアネート%(NCO%)が1.89%となったことを確認した後、化合物[F]として、グリセリンカーボネートを23.62部加え、さらに5時間反応した。IR分析によって、2260cm-1付近のNCOピークが消失していることで反応の終了を確認して、化合物(II−A)を得た。
撹拌機、温度計、及び還流冷却器を備えた反応容器に、ポリオール[E]として、数平均分子量2000のポリカーボネートポリオール(商品名「エタナコールUH200」、宇部興産社製)を100部と、イソシアネート化合物[D]として、トリレンジイソシアネート(TDI)を17.42部入れた。そして、固形分30%になるように、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を入れて均一に溶解した後、60℃で、7時間反応させた。そして、イソシアネート%(NCO%)が1.12%となったことを確認した後、化合物[F]として、グリセリンカーボネートを11.81部加え、さらに5時間反応させた。IR分析によって、2260cm-1付近のNCOピークが消失していることで、反応の終了を確認して、化合物(II−B)を得た。
撹拌機、温度計、及び還流冷却器を備えた反応容器に、ポリオール[E]として、数平均分子量1500のポリエチレングリコール100部と、イソシアネート化合物[D]として、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を29.6部入れた。そして、固形分30%になるように、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を入れて均一に溶解した後、60℃で、7時間反応させた。そして、イソシアネート%(NCO%)が1.36%となったことを確認した後、化合物[F]として、グリセリンカーボネートを15.75部加え、さらに5時間反応した。IR分析によって、2260cm-1付近のNCOピークが消失していることで、反応の終了を確認して化合物(II−C)を得た。
(実施例1)
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器を用意して、内部を窒素置換した後、アミン化合物[B]として、ヘキサメチレンジアミン(HMD)を9.91部、エポキシ化合物[C]として、YD−128を8.67部入れた。そして、固形分が35%となるようにN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を入れ、均一に溶解させた後、撹拌しながら、60℃で10時間反応させた。次に、カーボネート化合物[A]として、先に調製した化合物(I−A)を8.67部、化合物(II−A)を68.19部加えて、さらに、80℃で12時間反応を行った。反応後の樹脂溶液をIR分析したところ、1800cm-1付近のカーボネート基(カルボニル基)由来の吸収ピークが消失しており、新たに1760cm-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収ピークが生じていることが確認された。
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器を用意して、内部を窒素置換した後、メタキシレンジアミン(MXDA)を20.70部、デナコールEX211を15.80部入れた。そして、固形分が35%となるように、DMFを入れ、均一に溶解させた後、撹拌しながら、60℃で10時間反応させさた。次に、カーボネート化合物[A]として、先に調製した化合物(I−B)を31.61部、化合物(II−B)を20.42部加えて、さらに、80℃で12時間反応を行った。反応後の樹脂溶液をIR分析したところ、1800cm-1付近のカーボネート基(カルボニル基)由来の吸収ピークが消失しており、新たに1760cm-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収ピークが生じていることが確認された。
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器を用意して、内部を窒素置換した後、ジアミノドデカン(DAD)を18.81部、デナコールEX201を7.65部入れた。そして、固形分が35%となるように、DMFを入れ、均一に溶解させた後、撹拌しながら、60℃で10時間反応させた。次に、カーボネート化合物[A]として、先に調製した化合物(I−C)を11.48部、化合物(II−C)を55.64部加えて、さらに80℃で12時間反応を行った。反応後の樹脂溶液をIR分析したところ、1800cm-1付近のカーボネート基(カルボニル基)由来の吸収ピークが消失しており、新たに1760cm-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収ピークが生じていることが確認された。
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器を用意して、内部を窒素置換した後、数平均分子量1000のポリエステルポリオールであるクラレポリオールP−1010を42.42部、2,2−ビス(4−ポリオキシエチレンオキシフェニル)プロパン(製品名「BA−2グリコール」、日本乳化剤社製)を23.57部、2,2ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(bis−MPA)を6.60部、HDIを27.42部入れた。そして、固形分が35%となるようにN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を入れ、均一に溶解させた後、撹拌しながら、80℃で10時間反応して、比較例のポリウレタン樹脂の溶液を得た。本比較例のポリウレタン樹脂は、通常の水酸基を有する化合物と、イソシアネート基を有する化合物との重付加反応によって得られたものであり、その構造中に本発明で規定するポリオール成分由来の構造及び側鎖にカルボキシル基を導入した構造を有する。
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器を用意して、内部を窒素置換した後、ヘキサメチレンジアミン(HMD)を9.90部、2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物である、先に調製した化合物(I−A)を18.27部、化合物(II−A)を71.82部入れた。そして、固形分が35%となるように、DMFを入れ、均一に溶解させた後、撹拌しながら、80℃で12時間反応させた。反応後の樹脂溶液をIR分析したところ、1800cm-1付近のカーボネート基(カルボニル基)由来の吸収ピークが消失しており、新たに1760cm-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収ピークが生じていることが確認された。本比較例のポリウレタン樹脂は、ジアミンと、2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物との反応により得られたものであり、ヒドロキシウレタン構造を有する。
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器を用意して、内部を窒素置換した後、ヘキサメチレンジアミン(HMD)を18.93部、エポキシ当量187g/eqのビスフェノールAジグリシジルエーテルである「YD−128」を20.15部入れた。そして、固形分が35%となるように、DMFを入れ、均一に溶解させた後、撹拌しながら、60℃で10時間反応させた。次に、2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物である、先に調製した化合物I−Aを50.36部加えて、さらに、80℃で12時間反応を行った。反応後の樹脂溶液をIR分析したところ、1800cm-1付近のカーボネート基(カルボニル基)由来の吸収ピークが消失しており、新たに1760cm-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収ピークが生じていることが確認された。
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器を用意して、内部を窒素置換した後、HMD8.08部、エポキシ当量187g/eqのビスフェノールAジグリシジルエーテルである「YD−128」を5.25部入れた。そして、固形分が35%となるように、DMFを入れ、均一に溶解させた後、撹拌しながら、60℃で10時間反応させた。次に、2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物である、先に調製した化合物(I−A)を1.4部、化合物(II−A)を82.52部加えて、さらに、80℃で12時間反応を行った。反応後の樹脂溶液をIR分析したところ、1800cm-1付近のカーボネート基(カルボニル基)由来の吸収ピークが消失しており、新たに1760cm-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収ピークが生じていることが確認された。
上記した実施例及び比較例のポリウレタン樹脂について、それぞれ、下記の評価及び測定を行い、結果を表2にまとめて示した。
ポリオール含有量は、それぞれのポリウレタン樹脂の合成で使用した化合物の配合量より、樹脂中に占めるポリオール[E]成分由来の構造の質量%を算出して求めた。
示差走査熱量計(リガク社製)を使用した熱分析により、実施例及び比較例のポリウレタン樹脂について、ガラス転移点(Tg(℃))を測定した。
実施例及び比較例のポリウレタン樹脂について、JIS K−1557 に準拠した滴定法により測定し、樹脂1g当たりの各官能基の含有量を、KOHのmg当量(単位は、mgKOH/g)で表した。
実施例及び比較例のポリウレタン樹脂について、その分子量を、DMFを移動相としたGPC測定(東ソー製、GPC−8820;カラムSuper AW2500+AW3000+AW4000+AW5000)により測定した。表2中に、ポリスチレン換算値として、重量平均分子量を表した。
基材として、厚み40μmのアルミニウム箔を用い、該アルミ箔に、実施例及び比較例のポリウレタン樹脂溶液をそれぞれ用い、乾燥膜厚が2.5μmとなるように塗布し、熱風乾燥器で溶剤を除去した。次に、塗装面に熱接着テープ(ポリコテープ、奥田産業社製)を重ね合わせ、温度100℃で30秒間圧着した。冷却後、Tピール剥離強度をオートグラフにて測定し、得られた測定値を用いて下記基準で評価した。また、剥離面を目視にて観察して、表面状態を表中に記載した。
以下の規準で3段階評価し、表2に評価結果を示した。
◎:1.0N/mm以上
○:0.5N/mm以上1.0N/mm未満
△:0.2N/mm以上0.5N/mm未満
×:0.2N/mm未満
Claims (8)
- 金属に対する良好な密着性を有する熱可塑性ポリウレタンであって、
その構造中に、ソフトセグメントを形成する数平均分子量が500〜3000であるポリオール成分由来の構造と、水酸基と、ウレタン結合と、2級アミノ基に環状酸無水物を反応させてなるカルボキシル基とを有し、且つ、前記ポリオール成分由来の構造を10〜50質量%の範囲内で含有することを特徴とするポリウレタン樹脂。 - その水酸基価が70〜200mgKOH/g、その酸価が10〜100mgKOH/g、その重量平均分子量が10000〜100000、そのTgが10〜40℃である請求項1に記載のポリウレタン樹脂。
- 請求項1又は2に記載のポリウレタン樹脂を必須成分として含有してなることを特徴とする接着剤。
- その構造中に、ソフトセグメントを形成する数平均分子量が500〜3000であるポリオール成分由来の構造と、水酸基と、ウレタン結合と、2級アミノ基に環状酸無水物を反応させてなるカルボキシル基とを有するポリウレタン樹脂を製造する方法であって、
数平均分子量が500〜3000であるポリオール[E]成分由来の構造と、2以上の五員環環状カーボネート構造とを有するカーボネート化合物(aII)を含む、2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物[A]と、
2以上の1級アミノ基を有するアミン化合物[B]と、
2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物[C]とを用い、
前記2以上の1級アミノ基を有するアミン化合物[B]に対して、前記2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物[C]と、前記2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物[A]とを重付加反応させて、その構造中に、前記数平均分子量が500〜3000であるポリオール成分由来の構造と、水酸基と、ウレタン結合と、2級アミノ基とを有する中間体のポリウレタン樹脂[G]を得る重合工程と、
前記2級アミノ基に環状酸無水物を反応させて、前記中間体のポリウレタン樹脂[G]の構造中に、さらに、カルボキシル基を導入する、カルボキシル基の導入工程とを有することを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。 - 前記カーボネート化合物(aII)が、前記数平均分子量が500〜3000であるポリオール[E]と、2以上のイソシアネート基を有する化合物[D]とを、イソシアネート基が過剰となる条件で反応させ、その後、未反応のイソシアネートと下記式で表される化合物[F]とを反応させることによって得られたものであり、且つ、該カーボネート化合物(aII)の使用量を、最終的に得られるポリウレタン樹脂中に、前記ポリオール[E]成分由来の構造が10〜50質量%の範囲内で含まれるようにする請求項4に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
(式中Rは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい) - 前記中間体のポリウレタン樹脂[G]を得る重合工程で、
前記2以上の1級アミノ基を有するアミン化合物[B]と、前記2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物[C]とを、前記エポキシ化合物[C]のエポキシ基に対して前記アミン化合物[B]の1級アミノ基が当量比で過剰となる量で反応させて、2級アミノ基と両末端に1級アミノ基を有する化合物を得、
少なくとも、得られた化合物の末端の1級アミノ基と、2以上の五員環環状カーボネート構造を有するカーボネート化合物[A]とを反応させる請求項4又は5に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。 - 前記当量比で過剰となる量が、1級アミノ基/エポキシ基=5/2以上の量である請求項6に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
- 前記数平均分子量が500〜3000であるポリオール[E]が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群から選択される少なくともいずれかのポリオールである請求項4〜7のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
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