JP6934480B2 - ポリヒドロキシウレタン塗料組成物及び塗料皮膜 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリヒドロキシウレタン樹脂を必須成分とする塗料組成物及び該組成物からなる塗料皮膜に関し、更に詳しくは、塗料皮膜(塗膜)が自己修復性に優れたものになる塗料組成物の技術に関する。本発明は、自己修復塗料として用いられている既存の材料と比較して、環境問題への対応の点でも優れたものにできる自己修復塗料を提供する技術に関する。
従来、プラスチック、紙、金属、繊維、ガラス、木材などの基材表面には、摩擦による擦傷や熱による変質、埃や水の付着による汚染などから基材を保護し、美観や意匠性を維持するために樹脂成分が含まれる塗料によるコーティングが施されている。特に軽量化の目的で、電子機器や自動車用部品などの各種工業製品には、ABS樹脂、ポリカーボネートなどのプラスチック基材が用いられている。プラスチック基材の表面は、製品の輸送時や組み立て時、特に使用時に製品表面に偶発的に生じる多数の擦傷や汚れから製品を保護する必要があるため、コーティングは重要である。その際のコーティング材料には、コーティングを施す目的に応じて、各種基材に対する密着性、傷に対する耐性、薬品などによる汚染に対する耐性などが求められる。
中でも、黒や濃紺などの暗色をベースとした光沢感のあるコーティングにおいては、塗料皮膜上に生じた少しの傷や汚れでも目立ちやすく外観上の美観を損なう原因となることから、特に、傷や汚れに対する耐性が求められる。ここで、塗料皮膜の傷や汚れを生じにくくするための手段として、プラスチック基材を紫外線硬化型樹脂などでハードコートする方法が用いられることがある。例えば、特許文献1には、1コート1ベーク塗装工程において、プラスチック基材に対し、優れた、耐擦り傷性、硬度、外観、付着性、及び、紫外線吸収剤などを含有する組成物に対する耐性、を示す塗料皮膜を形成できるとされた塗料組成物が開示されている。しかし、金属ブラシなどで強く擦ると塗料皮膜が破壊されて、傷跡が残ってしまうという問題がある。
このような問題を解消する方法として、近年、生じた傷が短時間で消失する自己修復性の塗料皮膜を各種基材の表面に形成できる塗料組成物が提案されている。例えば、特許文献2では、特定のポリオールを用いた、実質的にイソシアヌレート基を含有しないアロファネート変性イソシアネート化合物を基本組成とする、柔軟で且つ強靱性に優れた塗膜を形成することができるとしたポリウレタン塗料組成物についての提案がされている。
一方、近年、新しいポリウレタン系材料として、化学構造中に水酸基を有するポリウレタン系材料であるポリヒドロキシウレタン樹脂の開発が進められている(例えば、特許文献3参照)。ポリヒドロキシウレタン樹脂は、その主鎖中に水酸基を有することから、架橋反応による熱硬化性被膜を簡易に形成することができ、更には、二酸化炭素を原材料として製造することが可能であるため、環境対応型の樹脂としても注目されている。そして、ポリヒドロキシウレタン樹脂は、硬く脆い特性が強いため、バリアコーティングなど、従来のポリウレタン樹脂が使用されない特殊用途での利用が考案されている(特許文献4参照)。
特許第5692481号公報 特許第4707013号公報 特開2006−9001号公報 特許第5604329号公報
しかしながら、前記した従来技術で提案されているポリオールとポリイソシアネートとの反応で得られる従来のポリウレタン塗料組成物は、各種の基材に対して、良好な密着性を示し、塗料皮膜にクラックや割れが生じることもなく、擦傷に対しても良好な耐性を示すものの、各組成が低分子量なことから、架橋反応を十分に行わないと十分な強度が得られず、また、十分な強度が得られても加飾フィルムとして各種加工に対して伸度が不十分になるという課題がある。
一方、近年、注目されているポリヒドロキシウレタン樹脂は、前記したように、硬く脆い特性が強いため、バリアコーティングなど、従来のポリウレタン樹脂が使用されない特殊用途での利用が考えられているにとどまっており、勿論、前記した金属ブラシなどで強く擦ると塗料皮膜が破壊されて傷跡が残ってしまうという問題に対して、ポリヒドロキシウレタン樹脂を適用することについては全く考えられていない。
したがって、本発明の目的は、金属ブラシなどにより強い力で傷をつけても塗料皮膜が破壊され難く、生じた傷が経時で消失する強靭な自己修復性を示す塗料皮膜を形成できる塗料組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、形成した塗料皮膜が耐溶剤性を併せ持ち、更に、基材の成型加工時に複雑な形状に対応できる高い破断伸度を有する塗料組成物を提供することにある。
上記課題は、以下に示す本発明によって解決される。すなわち、本発明は、
[1]自己修復性を有するポリヒドロキシウレタン架橋塗膜を形成するための塗料組成物であって、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリヒドロキシウレタン樹脂と、硬化剤として、分子中にイソシアネート基を2個以上含むポリイソシアネート化合物を含有してなり、架橋塗膜の25℃での20%モジュラスが10MPa以下であることを特徴とするポリヒドロキシウレタン塗料組成物を提供する。
Figure 0006934480
[一般式(1)中、Xは、直接結合であるか、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基又は炭素数4〜40の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜40の芳香族炭化水素基の何れかの基であり、これらの基は、その構造中に、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる何れかの結合、或いは、水酸基又はハロゲン原子又は繰り返し単位1〜30の炭素数2〜6からなるポリアルキレングリコール鎖の何れかを有していてもよい。Yは、炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜15の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基の何れかの基であり、これらの基は、その構造中に、エーテル結合又はスルホニル結合の何れかの結合、或いは、水酸基又はハロゲン原子の何れかを有していてもよい。Zは、それぞれ独立に、下記一般式(2)〜(5)から選ばれる少なくとも何れかの構造を示し、繰り返し単位内及び繰り返し単位間のいずれにおいても、これらの一般式(2)〜(5)から選ばれる2種以上の構造が混在してもよい。]
Figure 0006934480
[一般式(2)〜(5)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、これらの何れの式を選択した場合も、右側の結合手は酸素原子と結合し、且つ、左側の結合手はXと結合し、Xが直接結合の場合は、他方のZの左側の結合手と結合する。]
上記した本発明の塗料組成物の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。
[2]前記ポリヒドロキシウレタン樹脂中に含まれるウレタン結合の一部又は全部が、エポキシ基と二酸化炭素との反応物である五員環環状カーボネート基と、アミノ基との付加反応物であり、該付加反応物中における前記二酸化炭素に由来する−O−CO−構造の、ポリヒドロキシウレタン樹脂中に占める割合が1〜20質量%である上記[1]に記載の塗料組成物。
[3]前記一般式(1)中のXは、下記一般式(6)で示される化学構造を含む[1]又は[2]に記載の塗料組成物。
Figure 0006934480
[一般式(6)中、Aは、ポリイソシアネート由来の化学構造であり、Bは、ポリオール由来の化学構造である。mは1〜6の何れかの数である。]
[4]前記ポリヒドロキシウレタン樹脂の25℃での20%モジュラスが、0.3〜9.5MPaである[1]〜[3]のいずれかに記載の塗料組成物。
[5]前記ポリイソシアネート化合物のNCO含有率が、3〜35%である[1]〜[4]のいずれかに記載の塗料組成物。
[6]前記ポリヒドロキシウレタン樹脂の水酸基のモル数(OH)と、前記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数(NCO)との比率(NCO/OH)が、0.2〜1.1である[1]〜[5]のいずれかに記載の塗料組成物。
[7]更に、ウレタン硬化触媒を含有する[1]〜[6]のいずれかに記載の塗料組成物。
また、本発明は、別の実施形態として、
[8]塗工された[1]〜[7]のいずれかに記載の塗料組成物が硬化してなることを特徴とする塗料皮膜を提供する。
本発明によれば、各種基材の表面に自己修復性の塗料皮膜を形成し、その表面に生じた傷を経時で消失できるだけでなく、塗料皮膜に有機溶剤に対する耐性を付与することが可能な塗料組成物が提供できる。また、本発明の塗料組成物によって形成される塗料皮膜は、各種基材に対する密着性に優れる他、硬度、硬化性、伸度、耐ブロッキング性にも優れるものになる。それゆえ、本発明の塗料組成物は、プラスチック基材に限らず、金属素材へのコーティング、複雑な形状への追従が必要なインモールド成形、フィルムインサート成形、真空圧空成型などの加飾フィルムへのコーティングなどにも適用が可能である。本発明の塗料組成物の必須成分に利用される、本発明で規定する特定の構造を有するポリヒドロキシウレタン樹脂の製造には、原材料として二酸化炭素を利用することができることから、本発明によれば、省資源・環境保護にも貢献できる製品の提供が可能になる。
次に、発明を実施するための好ましい形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明の塗料組成物は、自己修復性皮膜の形成を可能にできるものであり、必須成分として、前記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリヒドロキシウレタン樹脂と、硬化剤として、分子中にイソシアネート基を2個以上含むポリイソシアネート化合物とを含有してなり、架橋塗膜の25℃での20%モジュラスが、10MPa以下であることを特徴とする。
本発明を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂は、少なくとも、前記した一般式(1)で示される化学構造を繰り返し単位とする。該樹脂は、例えば、1分子中に少なくとも2つの五員環環状カーボネート基を有する化合物(以下、単に「環状カーボネート」と呼ぶ場合がある)と、1分子中に少なくとも2つのアミノ基を有する化合物とをモノマー単位として、これらの重付加反応物として得ることができる。そして、高分子鎖を形成する環状カーボネートと、アミノ基との重付加反応では、下記に示すように、環状カーボネートの開裂が2種類あるため、2種類の構造の生成物が得られることが知られている。
Figure 0006934480
従って、上記したモデル反応の多官能モノマーの重付加反応によって得られるポリヒドロキシウレタン樹脂は、下記一般式(1)中のZ部の構造として、下記一般式(2)〜(5)の何れかがランダムに混在して含まれる構造になる。なお、下記の一般式(4)及び(5)に示されるように、一般式(1)中のX部の構造の脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基には、脂肪族炭化水素基が結合した基も含まれる。
Figure 0006934480
[一般式(1)中、Xは、直接結合であるか、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基又は炭素数4〜40の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜40の芳香族炭化水素基の何れかの基であり、これらの基は、その構造中に、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる何れかの結合、或いは、水酸基又はハロゲン原子又は繰り返し単位1〜30の炭素数2〜6からなるポリアルキレングリコール鎖の何れかを有していてもよい。Yは、炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜15の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基の何れかの基であり、これらの基は、その構造中に、エーテル結合又はスルホニル結合の何れかの結合、或いは、水酸基又はハロゲン原子の何れかを有していてもよい。Zは、それぞれ独立に、下記一般式(2)〜(5)から選ばれる少なくとも何れかの構造を示し、繰り返し単位内及び繰り返し単位間のいずれにおいても、これらの一般式(2)〜(5)から選ばれる2種以上の構造が混在してもよい。]
Figure 0006934480
[一般式(2)〜(5)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、これらの何れの式を選択した場合も、右側の結合手は酸素原子と結合し、且つ、左側の結合手はXと結合し、Xが直接結合の場合は、他方のZの左側の結合手と結合する。]
上記したように本発明を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂は、主鎖に、ウレタン結合と水酸基を有した化学構造を持つことに特徴がある。これに対し、従来から工業的に広く利用されているポリウレタン樹脂の製法では、ウレタン結合を、イソシアネート化合物とポリオール化合物とから得ており、主鎖に水酸基を有する構造体を得ることは不可能である。このため、上記構造を有するポリヒドロキシウレタン樹脂は、従来型のポリウレタン樹脂とは明確に区別される構造を持った樹脂である。
ポリヒドロキシウレタン樹脂の水酸基の存在は、本発明において特に重要なポイントであり、この水酸基を、後述するように、分子中にイソシアネート基を2個以上含むポリイソシアネート化合物で架橋することで、容易に良好な架橋塗膜(硬化皮膜)が得られる。この架橋塗膜は、耐溶剤性や弾性が向上し、また、基材との密着性の向上にも寄与する。上記特有の構造を有する本発明を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂は、最終的な架橋塗膜(硬化皮膜)の強度と加工性の点から、重量平均分子量が、10000〜100000であることが好ましい。
また、本発明は、擦傷に対する自己修復性に優れるポリヒドロキシウレタン塗膜及びその塗料組成物を見出すことを目的としていることから、本発明の塗料組成物は、得られる塗膜の機械的特性が適度な範囲にあることを必要とする。本発明者らは、この点について鋭意検討した結果、後述するように、塗料組成物によって形成した架橋塗膜の25℃での20%モジュラスが、10MPa以下であることが必要であることを見出した。また、より好ましくは、上記20%モジュラスが、8MPa以下、更には、5MPa以下である塗料組成物が好ましいことがわかった。そして、本発明者らが鋭意検討した結果、上記した特性の塗膜の形成を可能にするためには、塗料組成物の構成を、先に述べた繰り返し単位を有する特有の構造のポリヒドロキシウレタン樹脂に、硬化剤として、分子中にイソシアネート基を2個以上含むポリイソシアネート化合物を併用することが必要であることを見出した。
本発明者らの検討によれば、上記構成を有する本発明の塗料組成物から得られる架橋塗膜の上記20%モジュラスが10MPaよりも大きいと、傷がつくときの力に逆らって応力が働き、塗膜が変形しないことから、ある一定の力以上で塗膜が破壊し、この場合は、回復できない傷が生じる。また、塗膜が変形できたとしても、元の形に戻るまでに多くの時間やエネルギー(熱など)を要するため、塗膜は自己修復性に劣るものになる。上記したように、本発明の塗料組成物で形成した架橋塗膜の上記20%モジュラスは、10MPa以下であることを要し、より好ましくは5MPa以下であり、その下限値は特に限定されない。例えば、下限値は0.5MPaであれば、表面にタックが生じにくいので、好ましい。
本発明の塗料組成物を構成する分子中にイソシアネート基を2個以上含むポリイソシアネート化合物(ポリイソシアネート硬化剤)としては、固形分換算でイソシアネート(NCO)含有率が3〜35%であるものが好ましい。また、より好ましくは5〜25%、更には7〜14%であるものが好ましい。本発明者らの検討によれば、イソシアネート含有率が25%より大きいイソシアネート化合物は、分子量が小さいことから架橋点間の距離が短くなることにより塗膜の変形がしにくくなり、傷の回復性が劣る。更に、揮発性が高く、塗料硬化時の加熱により蒸発し、安全及び環境に影響を与えるので好ましくない。また、3%より小さいときは、使用するイソシアネート化合物の量が多くなり、反応性が低くなる。
本発明を構成する分子中にイソシアネート基を2個以上含むポリイソシアネート化合物としては、従来から使用されている公知のものが使用でき、特に限定されない。例えば、2,4−トルイレンジイソシアネートの二量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス−(p−イソシアネートフェニル)チオフォスファイト、多官能芳香族イソシアネート、多官能芳香族脂肪族イソシアネート、多官能脂肪族イソシアネート、脂肪酸変性多官能脂肪族イソシアネート、ブロック化多官能脂肪族イソシアネートなどのブロック型ポリイソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマーなどが挙げられる。これらのうち、芳香族系或いは脂肪族系のどちらでも使用可能である。好ましくは、芳香族系では、ジフェニルメタンジイソシアネート及びトリレンジイソシアネートなどの変性体、脂肪族系ではヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートなどの変性体であり、本発明では、これらの中から、分子中にイソシアネート基を2個以上含むものを使用する。例えば、ビウレット、イソシアヌレートなどのポリイソシアネートの多量体や、アダクトなどの他の化合物との付加体、更には、低分子量のポリオールやポリアミンとを末端イソシアネートになるように反応させたウレタンプレポリマーなどが好ましく使用される。より具体的には、例えば、デュラネートD101、デュラネートD201、デュラネートE402−100、デュラネート24A−100(旭化成ケミカルズ社製)、D−120N、D−160N、D−376N(三井化学社製)などが挙げられる。また、形成した塗料塗膜の耐光性の面からは、脂肪族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
ここで、脂肪族ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートと比較して反応性に劣ることから、アロファネート結合を利用する従来型のポリウレタン樹脂の硬化剤としては使用が困難であるという問題があった。しかし、本発明を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂は、従来型のポリウレタン樹脂とは異なり、その構造中に水酸基を有しており、水酸基とイソシアネート基とは反応性が高いことから、本発明においては、比較的反応性の低い脂肪族ポリイソシアネートであっても硬化剤として実用的に使用可能である。
本発明では、塗料組成物を構成する、前記したポリヒドロキシウレタン樹脂の水酸基のモル数(OH)と、前記した2以上のイソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基のモル数(NCO)との比率(NCO/OH)が、0.2〜1.1であることが好ましい。より好ましい比率(NCO/OH)は、0.5〜1.0である。上記比率(NCO/OH)が、0.2よりも小さいと、耐溶剤性が低くなるので好ましくない。一方、上記比率(NCO/OH)が、1.1よりも大きいと、ポリイソシアネートが過剰となり、片方のイソシアネート基だけが反応して橋掛け状態にならなかったり、後から水分と反応して凝集力の高いウレア結合になり、経時で自己回復力が低下したりするので好ましくない。
本発明の塗料組成物は、形成した架橋塗膜をより低い温度で得るために、更に、ウレタン硬化触媒を含んでもよい。ウレタン硬化触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ジオクテート、モノブチル錫トリオクテート及びジブチル錫脂肪酸塩などが挙げられる。通常、ポリヒドロキシウレタン樹脂の固形分換算で、0〜2質量%程度、好ましくは0.01〜0.1質量%となる範囲で使用する。
本発明を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂は、環状カーボネート化合物とアミン化合物とから得ることができる。この際に使用する環状カーボネート化合物は、エポキシ化合物と二酸化炭素との反応によって得られた反応物であることが好ましい。具体的には、下記のようにして得られる環状カーボネート化合物を用い、本発明を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂を合成することが好ましい。例えば、原材料であるエポキシ化合物を、触媒の存在下、0℃〜160℃の温度にて、大気圧〜1MPa程度に加圧した二酸化炭素雰囲気下で4〜24時間反応させる。この結果、二酸化炭素を、エステル部位に固定化した環状カーボネート化合物を得ることができる。
Figure 0006934480
上記のようにして二酸化炭素を原料として合成された環状カーボネート化合物を使用することで、得られたポリヒドロキシウレタン樹脂は、その構造中に二酸化炭素が固定化された−O−CO−結合を有したものとなる。二酸化炭素由来の−O−CO−結合(二酸化炭素の固定化量)のポリヒドロキシウレタン樹脂中における含有量は、二酸化炭素の有効利用の立場からはできるだけ高くなる方がよい。例えば、上記した環状カーボネート化合物を用いることで、本発明の塗料組成物を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂の構造中に、1〜20質量%の範囲で二酸化炭素を含有させることができる。すなわち、上記のポリヒドロキシウレタン樹脂は、その質量のうちの1〜20質量%を、原料の二酸化炭素由来の−O−CO−結合が占める樹脂であることを意味する。
エポキシ化合物と二酸化炭素との反応に使用される触媒としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウムなどのハロゲン化塩類や、4級アンモニウム塩が好ましいものとして挙げられる。その使用量は、原料のエポキシ化合物100質量部当たり1〜50質量部が好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。また、これら触媒となる塩類の溶解性を向上させるために、トリフェニルホスフィンなどを同時に使用してもよい。
エポキシ化合物と二酸化炭素との反応は、有機溶剤(反応溶媒)の存在下で行うこともできる。この際に用いる有機溶剤としては、前述の触媒を溶解するものであれば使用可能である。具体的には、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤が挙げられる。
本発明を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂の製造に使用可能な環状カーボネート化合物の構造には特に制限がなく、一分子中に2以上の環状カーボネート構造を有するものであれば使用可能である。例えば、ベンゼン骨格、芳香族多環骨格、縮合多環芳香族骨格を持つものや、脂肪族系や脂環式系のいずれの環状カーボネートも使用可能である。以下に使用可能な化合物を例示する。
ベンゼン骨格、芳香族多環骨格、縮合多環芳香族骨格を持つものとして、以下の化合物が例示される。なお、式中のRは、H又はCHである。
Figure 0006934480
脂肪族系や脂環式系の環状カーボネートとして、以下の化合物が例示される。なお、式中のRは、H又はCHである。
Figure 0006934480
Figure 0006934480
Figure 0006934480
本発明を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂は、25℃での20%モジュラスが0.3〜9.5MPaであると、得られる架橋塗膜の自己修復性や伸度が向上するので、このようなものを使用することが好ましい。本発明を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂の20%モジュラスを上記範囲に調整する方法としては、前記に例示した各種環状カーボネート化合物を組み合わせることで可能になる。例えば、樹脂の20%モジュラスを低下させる目的においては、樹脂原料に脂肪族系環状カーボネート化合物を用いることが好ましく、特に、ポリプロピレングリコール骨格や、ポリテトラメチレングリコール骨格などの繰り返し単位を有する脂肪族系カーボネート化合物を用いることが有用である。しかし、特殊な構造の環状カーボネートを使用することは工業的にコスト増となる点で課題を有しており、そのような化合物の代用として、以下の一般式(7)で表される環状カーボネート化合物を使用することが好ましい。
Figure 0006934480
[一般式(7)中、Aはポリイソシアネート由来の化学構造であり、Bは、ポリオール由来の化学構造である。mは1〜6の何れかの数である。]
上記した一般式(7)で表される環状カーボネート化合物は、(a)ポリオール、(b)ポリイソシアネート及び、(c)グリセリンカーボネート或いはグリシドールを原料として製造することが可能である。
上記(a)成分であるポリオールは特に限定されず、従来のポリウレタン樹脂の製造に一般的に使用されるものが使用できる。例えば、カプロラクトン系やアジペート系のポリエステ系ポリオール、ポリプロピレングリコール系やポリエチレンオキサイド系、ポリテトラメチレングリコール系などのポリエーテル系ポリオールや、ポリカーボネート系ポリオールなどのいずれのポリオールも使用可能である。これらの中でも、脂肪族ポリエーテル系ポリオールが有用である。ポリオールの分子量は特に限定されないが、数平均分子量が400〜3000であるものが好ましい。
上記(b)成分であるポリイソシアネートについても、特に限定されない。好ましい化合物を例示すると、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートなどが挙げられる。
上記(c)成分としては、グリセリンカーボネートが使用される。代わりに、グリシドールを使用し、得られたエポキシ末端の化合物から二酸化炭素を使用し、環状カーボネート化合物を得てもよい。
一般式(7)で表される環状カーボネート化合物は、上記した(a)成分、(b)成分及び(c)成分を反応させることにより簡便に得られる。その反応順は、特に限定されない。中でも、まず、(a)成分と(b)成分とを反応させ、次に、イソシアネート基が一定量減少した段階で、(c)成分を添加する反応方法が好ましい。反応順をこのようにすれば、分子量が低く反応しやすい(c)成分による反応熱を抑えることができるため、工業的に有利であり好ましい。
それぞれの成分の配合比率は、最終的なカーボネート基の濃度を制御するために重要である。例えば、(a)成分と(b)成分の反応モル比率(OH基:NCO基のモル比率)は、1:2〜1:1.2の範囲であることが好ましく、より好ましい範囲は、1:2〜1:1.5の範囲である。また、(c)成分の配合比率は、過剰なイソシアネート基のモル比に対して当量が基本であり、当量から10%前後の範囲であれば使用可能である。
前記した一般式(7)で表される化合物の合成は、無溶剤でも有機溶剤(反応溶媒)下でも行うことが可能である。また、通常のポリウレタン樹脂の合成で使用される溶剤であれば特に制限なく使用することが可能である。好ましい溶剤を例示すると、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。使用した溶剤は、そのままとし、環状カーボネート化合物の溶液として次工程に使用してもよい。或いは、必要に応じて減圧留去して、無溶剤状態の環状カーボネート化合物とし、これを次工程に使用してもよい。
また、上記反応は、触媒を使用することで促進させることが可能になる。その際、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミン(DABCO)、ピリジン、ヒドロキシピリジンなどの塩基性触媒や、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウリレートなどのルイス酸触媒などが使用できる。これらの触媒の好ましい使用量は、反応物の総量(100質量部)に対して、0.001〜0.1質量部程度である。
反応温度は、前記した溶剤、触媒の種類により最適な温度が変化する。好ましくは、20℃〜140℃の範囲内であり、より好ましくは、60℃〜120℃で反応が進行するように触媒量を調整するとよい。
本発明を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂は、先に列挙したような環状カーボネート化合物と、多官能アミン化合物との反応によって容易に製造できる。製造の際に使用する多官能アミン化合物としては、従来公知の化合物のいずれのものも使用できる。好ましいものとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノへキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの鎖状脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,6−シクロヘキサンジアミン、ピペラジン、2,5−ジアミノピリジンなどの環状脂肪族ポリアミンや、キシリレンジアミンなどの芳香環を持つ脂肪族ポリアミンや、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
上記した成分から得られるポリヒドロキシウレタン樹脂の製造方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、下記のような方法によって容易に得ることができる。すなわち、反応溶媒の存在下或いは反応溶媒の非存在下で、前記したような環状カーボネート化合物とアミン化合物とを混合し、40〜200℃の温度で4〜24時間反応させることで得ることができる。
製造に使用可能な反応溶媒としては、使用する原料及び得られたポリヒドロキシウレタン樹脂に対して不活性な有機溶剤であれば、いずれも使用可能である。好ましいものを例示すると、例えば、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド、パークロルエチレン、トリクロルエチレン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。
本発明を構成するポリヒドロキシウレタン樹脂の製造は、特に触媒を使用せずに行うことができる。しかし、反応を促進させるために、下記に挙げるような触媒の存在下で行うことも可能である。例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)トリエチレンジアミン(DABCO)、ピリジンなどの塩基性触媒や、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウリレートなどのルイス酸触媒などが使用できる。これらの触媒の好ましい使用量は、使用するカーボネート化合物とアミン化合物の総量(100質量部)に対して、0.01〜10質量部である。
本発明の塗料組成物には、上記で説明した本発明で規定する特有の構造を有するポリヒドロキシウレタン樹脂以外に、必要に応じて、下記に挙げるような種々の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系など)や、光安定剤(ヒンダードアミン系など)や、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系など)や、ガス変色安定剤(ヒドラジン系など)や、加水分解防止剤(カルボジイミドなど)や、金属不活性剤などが挙げられる。これらの添加剤は、2種類以上を併用してもよい。同様に、本発明の塗料組成物には、意匠性を付与する目的で、金属フィラーや艶消し材、各種顔料を、添加して含有させてもよい。
上記のようにして得られる本発明の塗料組成物の塗付方法については、特に限定されず、スプレー法、ナチュラルロールコート法、リバースロールコート法、カーテンフローコート法などが挙げられ、塗工量は、通常10〜30g/m程度である。また、塗料皮膜の形成の条件も特に限定されないが、通常は、70〜170℃程度、20分〜1時間程度である。
上述した本発明の塗料組成物を塗工して架橋硬化してなる塗料皮膜もまた本発明の1つである。硬化方法としては、特に限定されず、例えば、乾燥機などを用いて熱硬化する方法などが挙げられる。塗料皮膜の膜厚は、良好な自己修復性及び乾燥性の点で3〜200μm程度が好ましい。より好ましくは、10〜50μm程度である。本発明の塗料皮膜は、傷や有機溶剤などの汚れに対する耐性に優れるので、各種基材のトップコートに好適に用いることができる。
次に、具体的な製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における「部」及び「%」は、特に断りのない限り質量基準である。
<製造例1>[環状カーボネート含有化合物(I)の合成]
エポキシ当量187のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「エポトートYD−128」、新日鉄住金化学社製)100部と、ヨウ化ナトリウム(和光純薬社製)20部と、N−メチル−2−ピロリドン150部とを、撹拌装置及び大気解放口のある還流器を備えた反応容器内に仕込んだ。次いで、撹拌しながら二酸化炭素を連続して吹き込み、100℃にて10時間の反応を行った。その後、反応液に300部の水を加え、生成物を析出させ、ろ別した。得られた白色粉末をトルエンにて再結晶を行い、白色の粉末52部(収率42%)を得た。
得られた白色の粉末を、赤外分光法(IR)(日本分光社製の装置、商品名「FT/IR−350」を使用、他の例も同様のものを使用した)にて分析したところ、910cm−1付近の原材料のエポキシ由来のピークは消失しており、1800cm−1付近に原材料には存在しないカーボネート基のカルボニル由来のピークが確認された。また、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(日本分光社製の装置、商品名「LC−2000」を使用)による分析(カラム:FinePakSIL C18−T5、移動相:アセトニトリル+水)の結果、原材料のピークは消失し、高極性側に新たなピークが出現し、その純度は98%であった。また、示差走査熱量測定(DSC測定)の結果、融点は178℃であり、融点の範囲は±5℃であった。以上のことから、この粉末は、エポキシ基と二酸化炭素の反応により環状カーボネート基が導入された、下記式(I)で表される構造の化合物と確認された。これを環状化合物(I)と呼ぶ。この環状化合物(I)の化学構造中に占める二酸化炭素由来の成分の割合は、20.5%であった(計算値)。
Figure 0006934480
<製造例2>[環状カーボネート含有化合物(II)の合成]
エポキシ当量435のエポキシ樹脂(商品名「エポゴーセーPT」、四日市合成社製)100部と、ヨウ化ナトリウム8.6部と、N−メチル−2−ピロリドン150部とを、撹拌装置及び大気解放口のある還流器を備えた反応容器内に仕込んだ。次いで、撹拌しながら二酸化炭素を連続して吹き込み、100℃にて10時間の反応を行った。その後、反応終了後、酢酸エチル400部及び水800部を加え1時間撹拌した。その後、酢酸エチル相を回収し、エバポレーターにて溶剤除去を行い、オイル状の化合物90.4部(収率82.1%)を得た。
得られた化合物をIRにて分析したところ、910cm−1付近の原材料エポキシ由来のピークは消失しており、一方、1800cm−1付近に原材料には存在しないカーボネート基のカルボニル基に由来するピークが確認された。また、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を移動相としたゲル滲透クロマトグラフィー(GPC)の測定の結果、得られた物質の重量平均分子量は970(ポリエチレンオキサイド換算)であった。以上のことから、この物質は、エポキシ基と二酸化炭素の反応により5員環環状カーボネート基が導入された、下記式(II)で表される構造の化合物と確認された。これを環状化合物(II)と呼ぶ。この環状化合物(II)の化学構造中に占める二酸化炭素由来の成分の割合は、9.2%であった(計算値)。
Figure 0006934480
<製造例3>[ポリオール環状カーボネート含有化合物(III)の合成]
撹拌機、温度計、及び還流冷却器を備えた反応容器に、数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール(商品名「PTHF−1000S」、BASF社製)100部及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)44.4部を入れた。そして、固形分30%になるようにN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記)を入れて均一に溶解させた後、60℃で7時間反応させた。NCO%が1.7%となったことを確認した後、グリセリンカーボネート23.6部を加え、更に5時間反応させた。反応物は、IRで2260cm−1付近のNCOピークが消失していることが確認され、本発明で規定する、一般式(6)に該当する、より具体的には前記した一般式(7)の化学構造を有する、下記式(III)で表される化合物であることが確認された。これを環状化合物(III)と呼ぶ。
Figure 0006934480
<製造例4>[ポリヒドロキシウレタン樹脂Aの合成]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た環状化合物(I)を100部、製造例3で得た環状化合物(III)を150部、ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)を36.6部加えた。更に、反応溶媒として、DMFを286.6部加え、100℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行い、固形分50%のポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られた溶液を構成する樹脂(HPU−A)の、DMFを移動相としたGPC測定による重量平均分子量は32000(ポリスチレン換算)であった。また、固形分換算の水酸基価は、123.5mgKOH/gであり、二酸化炭素含有量は、7.2%であった。
上記で得られた樹脂溶液を用い、下記のようにして、強度物性の測定を行った。まず、上記で得た樹脂溶液を離型紙上にバーコーターで塗布し、100℃5分で乾燥を行って厚さ50μm程度のフィルムを作製し、JISK7127に準拠した方法で、強度物性の測定に使用する樹脂の試験片を作製した。そして、引張試験装置(型名「オートグラフ AGS−100A」、島津製作所社製、他の例も同様)を使用し、25℃の温度条件下、上記で作成した試験片を、引張速度100mm/minで測定した。その結果、20%モジュラスは3.4MPaであり、また、破断強度は25MPa、破断伸度は630%であった。表1に、ポリヒドロキシウレタン樹脂の形成成分と、得られたポリヒドロキシウレタン樹脂についての特性をまとめて示した。
<製造例5>[ポリヒドロキシウレタン樹脂Bの合成]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た環状化合物(I)を100部、製造例3で得た環状化合物(III)を300部、ヘキサメチレンジアミンを47.3部加えた。更に、反応溶媒としてDMFを447.3部加え、100℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行って、固形分50%のポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られた溶液を構成する樹脂(HPU−B)の、DMFを移動相としたGPC測定による重量平均分子量は38000(ポリスチレン換算)であった。また、固形分換算の水酸基価は102.3mgKOH/gであり、二酸化炭素含有量は、4.6%であった。
上記で得られた樹脂溶液を用い、製造例4と同様にして強度物性の測定を行った。その結果、20%モジュラスは1.7MPaであり、また、破断強度は18MPa、破断伸度は900%であった。結果を表1に示した。
<製造例6>[ポリヒドロキシウレタン樹脂Cの合成]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た環状化合物(I)を100部、製造例2で得た環状化合物(II)を150部、ヘキサメチレンジアミンを44.1部加えた。更に、反応溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)294.1部を加え、100℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行って、固形分50%のポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られた溶液を構成する樹脂(HPU−C)の、DMFを移動相としたGPC測定による重量平均分子量は30000(ポリスチレン換算)であった。また、固形分換算の水酸基価は144.9mgKOH/gであり、二酸化炭素含有量は、11.7%であった。
上記で得られた樹脂溶液を用い、製造例4と同様にして強度物性の測定を行った。その結果、20%モジュラスは4.3MPaであり、また、破断強度は20MPa、破断伸度は650%であった。結果を表1に示した。
<製造例7>[ポリヒドロキシウレタン樹脂Dの合成]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た環状化合物(I)を100部、製造例3で得た環状化合物(III)を150部、1,12−ドデカンジアミン(小倉合成工業社製)を63.1部加えた。更に、反応溶媒としてDMFを313.1部加え、100℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行い、固形分50%のポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られた溶液を構成する樹脂(HPU−D)の、DMFを移動相としたGPC測定による重量平均分子量は40000(ポリスチレン換算)であった。また、固形分換算の水酸基価は113.1mgKOH/gであり、二酸化炭素含有量は、6.5%であった。
上記で得られた樹脂溶液を用い、製造例4と同様にして強度物性の測定を行った。その結果、20%モジュラスは2.4MPaであり、また、破断強度は22MPa、破断伸度は720%であった。結果を表1に示した。
<製造例8>[ポリヒドロキシウレタン樹脂Eの合成]
トルク計付き撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に、製造例1で得た環状化合物(I)を100部、製造例3で得た環状化合物(III)を50部、ヘキサメチレンジアミンを29.5部加えた。更に、反応溶媒としてDMFを179.5部加え、100℃の温度で撹拌しながら、24時間反応を行い、固形分50%のポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られた溶液を構成する樹脂(HPU−E)の、DMFを移動相としたGPC測定による重量平均分子量は34000(ポリスチレン換算)であった。また、固形分換算の水酸基価は158.8mgKOH/gであり、二酸化炭素含有量は、11.4%であった。
上記で得られた樹脂溶液を用い、製造例4と同様にして強度物性の測定を行った。その結果、20%モジュラスは14.8MPaであり、本発明で規定する範囲を超えていたため、比較例に使用した。また、破断強度は30MPa、破断伸度は350%であった。結果を表1に示した。
表1に、製造例4〜8で得た、固形分50%で樹脂(HPU−A)〜(HPU−E)をそれぞれ含む樹脂溶液を得るための成分組成と、得られた樹脂の特性をまとめて示した。
Figure 0006934480
[実施例1]
製造例4で得たポリヒドロキシウレタン樹脂HPU−Aの50%溶液100部に、硬化剤としてデュラネートE402−100(NCO%=9.1)を30.5部、ウレタン硬化触媒としてジブチル錫ジラウレートKS−1260(共同薬品社製)を0.015部、DMFを30.5部加えて均一になるまで25℃で5分撹拌して、不揮発分が50%の塗料組成物を調製した。この塗料組成物を乾燥膜厚が15μmになるように、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETと略)の上に、バーコーターで塗布し、100℃の乾燥機で5分乾燥させて、その後80℃で30分反応させ試験片を作成した。この試験片をFT−IRにて測定し、イソシアネート基がないことを確認した。そして、この試験片を用い、後述する方法及び基準で評価した。その他の例も同様である。
[実施例2]
製造例5で得たポリヒドロキシウレタン樹脂HPU−Bの50%溶液100部に、デュラネートE402−100を25.3部、ジブチル錫ジラウレートKS−1260を0.015部、DMFを25.3部加えて均一になるまで25℃で5分撹拌し、不揮発分が50%の塗料組成物を調製した。この塗料組成物を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。この試験片についてFT−IRにて測定し、イソシアネート基がないことを確認した。
[実施例3]
製造例6で得たポリヒドロキシウレタン樹脂HPU−Cの50%溶液100部に、デュラネートE402−100を35.8部、ジブチル錫ジラウレートKS−1260を0.015部、DMFを35.8部加えて均一になるまで25℃で5分撹拌し、不揮発分が50%の塗料組成物を調製した。この塗料組成物を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。また、この試験片をFT−IRにて測定し、イソシアネート基がないことを確認した。
[実施例4]
製造例7で得たポリヒドロキシウレタン樹脂HPU−Dの50%溶液100部に、デュラネートE402−100を27.9部、ジブチル錫ジラウレートKS−1260を0.015部、DMFを27.9部加えて均一になるまで25℃で5分撹拌し、不揮発分が50%の塗料組成物を調製した。この塗料組成物を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。この試験片についてFT−IRにて測定し、イソシアネート基がないことを確認した。
[実施例5]
実施例1で使用した硬化剤としてのデュラネートE402−100を10.2部にし、DMFの量を10.2部に変えた以外は実施例1と同様にして、不揮発分が50%の塗料組成物を調製した。この塗料組成物を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。この試験片についてFT−IRにて測定し、イソシアネート基がないことを確認した。
[実施例6]
実施例1で使用したデュラネートE402−100を55.9部、DMFの量を55.9部に変えた以外は実施例1と同様にして、不揮発分が50%の塗料組成物を調製した。この塗料組成物を乾燥膜厚が15μmになるように、厚さ100μmのPETの上に、バーコーターで塗布し100℃の乾燥機で5分乾燥させて、その後80℃で30分硬化させ試験片を作成した。この試験片をFT−IRにて測定しイソシアネート基を確認したところ、完全には反応していなかった。そこで、更に80℃で30分反応させたところ、イソシアネート基がないことを確認した。
[実施例7]
実施例1で硬化剤として使用したデュラネートE402−100を、デュラネート24A−100(NCO%=23.5)に変え、その使用量を11.8部に変え、DMFの量を11.8部に変えた以外は、実施例1と同様にして、不揮発分が50%の塗料組成物を調製した。この塗料組成物を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。また、この試験片をFT−IR(島津製作所)にて測定し、イソシアネート基がないことを確認した。
[実施例8]
実施例1で硬化剤として使用したデュラネートE402−100を、デュラネートD−201(NCO%=9.1)に変え、その使用量を17.6部に変え、DMFの量を17.6部に変えた以外は実施例1と同様にして、不揮発分が50%の塗料組成物を調製した。この塗料組成物を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。この試験片についてFT−IRにて測定し、イソシアネート基がないことを確認した。
[実施例9]
実施例1で使用したウレタン硬化触媒であるジブチル錫ジラウレートKS−1260を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、不揮発分が50%の塗料組成物を調製した。この塗料組成物を乾燥膜厚が15μmになるように、厚さ100μmのPETの上に、バーコーターで塗布し100℃の乾燥機で5分乾燥させて、その後80℃で30分反応させ試験片を作成した。この試験片をFT−IRにて測定し、イソシアネート基を確認したところ完全には反応していなかった。そこで、更に80℃で30分反応させたところ、イソシアネート基がないことが確認された。
[比較例1]
製造例8で得た比較用のポリヒドロキシウレタン樹脂HPU−Eの50%溶液100部に、硬化剤としてデュラネートE402−100を39.2部、ジブチル錫ジラウレートKS−1260を0.015部、DMFを39.2部加えて、均一になるまで25℃で5分撹拌し、不揮発分が50%の比較用の塗料組成物を調製した。この塗料組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、比較用の試験片を作成した。また、この試験片をFT−IRにて測定し、イソシアネート基がないことを確認した。本例では、後述するように、架橋塗膜の20%モジュラスの値が本発明で規定するよりも高く、擦傷に対する自己修復性に劣ることがわかった。
[比較例2]
実施例1で硬化剤として使用したデュラネートE402−100を、ヘキサメチレンジイソシアネート(NCO%=49.9%)を5.6部、DMFの量を5.6部に変えた以外は実施例1と同様にして、不揮発分が50%の比較用の塗料組成物を調製した。この塗料組成物を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。また、この試験片をFT−IRにて測定し、イソシアネート基がないことを確認した。本例では、後述するように、架橋塗膜の20%モジュラスの値が本発明で規定するよりも高く、擦傷に対する自己修復性に劣ることがわかった。
[実施例10]
実施例1で硬化剤として使用したデュラネートE402−100を5.1部、DMFの量を5.1部に変えた以外は実施例1と同様にして、不揮発分が50%の塗料組成物を調製した。この塗料組成物を用いた以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。また、この試験片をFT−IRにて測定し、イソシアネート基がないことを確認した。本実施例では、後述するように、架橋塗膜の20%モジュラスの値が本発明で規定する範囲内であり、他の実施例とくらべて擦傷に対して効果が劣るものの、塗膜は良好な自己修復性を示すことがわかった。しかし、表2−2に示したように耐溶剤性に劣るという別の問題があり、用途が制限される場合があることがわかった。
[実施例11]
実施例1で硬化剤として使用したデュラネートE402−100を66.1部に、DMFの量を66.1部に変えた以外は実施例1と同様にして、不揮発分が50%の塗料組成物を調製した。この塗料組成物を乾燥膜厚が15μmになるように、厚さ100μmのPETの上に、バーコーターで塗布し100℃の乾燥機で5分乾燥させて、その後80℃で30分硬化(架橋)させ試験片を作成した。この試験片をFT−IRにて測定し、イソシアネート基を確認したところ完全には反応していなかった。そこで、更に80℃で24時間反応させても、まだ完全には反応していなかった。上記のことから、本実施例の組成物は、加工性が劣ることがわかった。しかし、本実施例では、加工性に劣るものの、後述するように、架橋塗膜の20%モジュラスの値が本発明で規定する範囲内であり、塗膜は良好な自己修復性を示すことが確認された。
[評価]
上記で得られた各試験片(架橋塗膜)に対して以下に示す試験をそれぞれに行い、下記の基準で評価し、得られた結果を表2にまとめて示した。
<透明性>
各試験片を、ヘイズメーターHGM−2DP(スガ試験機)にて基材を含んだヘイズ値(Ha)を測定した。そして、100μmPETのヘイズ値を(Hb)として、下記式より、ポリヒドロキシウレタン塗膜のヘイズ値(H)を算出した。表2に、下記の4段階で評価した結果をまとめて示した。
H=Ha−Hb
◎:Hが2.0%未満
○:Hが2.0%以上〜5.0%未満
△:Hが5.0%以上〜10.0%未満
×:Hが10.0%以上
<自己修復性>
25℃において、各試験片の塗料皮膜表面を真鍮ブラシ(アズワン社製)で強く擦り、傷をつけた後、塗料皮膜の自己修復性を目視観察して評価した。表2に、下記の4段階で評価した結果をまとめて示した。
(評価基準)
◎:1分以内に擦傷痕が消失する。
○:1分〜10分以内に擦傷痕が消失する。
△:10分〜30分以内に擦傷痕が消失する。
×:30分経過後も擦傷痕が消失しない
<密着性試験>
各試験片について、塗料皮膜面に素地に達するようにカッターで切り込み線を入れ、1mm×1mmのマス目を100個作成した。各試験片の塗面に、セロハンテープを気泡が含まれないように貼り付け、それを急激に剥離した後の塗料皮膜の剥離状態を、塗膜が剥離しない試験片の数を用いて評価した。表2に、下記の4段階で評価した結果をまとめて示した。
(評価基準)
◎:塗膜が剥離しない試験片の数が、100/100
○:塗膜が剥離しない試験片の数が、99/100〜90/100
△:塗膜が剥離しない試験片の数が、89/100〜70/100
×:塗膜が剥離しない試験片の数が、69/100以下
<加工性>
各実施例、参考例及び比較例の塗料組成物を、厚みが100μmのPETに乾燥膜厚が15μmになるように塗布し、100℃の乾燥機で5分乾燥する。その後、80℃の乾燥機で反応を行い、FT−IRにて測定し、イソシアネート基がなくなるまでの時間を測定して評価した。表2に、下記の4段階で評価した結果をまとめて示した。
(評価基準)
◎:80℃/30分以内
○:80℃/30分〜80℃/60分以内
△:80℃/60分〜80℃/24時間以内
×:80℃/24時間でも反応を終了しない
<伸度>
離型紙上に塗料組成物をバーコーターで塗布し100℃の乾燥機で5分乾燥させて、その後80℃で30分硬化させ、厚さ50μm程度の塗膜フィルムを作成し、JISK7127に準拠した方法で、強度物性の測定に使用する試験片を作製した。そして、引張試験装置(型名「オートグラフ AGS−100A」、島津製作所社製)を使用し、25℃の温度条件下、上記で作成した試験片に対し、引張速度100mm/minの条件で伸度を測定し、測定結果を用いて評価した。評価は下記の4段階で行い、表2に結果をまとめて示した。
(評価基準)
◎:150%以上
○:100%以上〜150%未満
△:50%以上〜100%未満
×:50%未満
<架橋塗膜の20%モジュラス>
伸度の測定と同一の試験片、測定装置、測定条件で、架橋塗膜の20%モジュラス(MPa)を測定し、表2に結果をまとめて示した。架橋塗膜の20%モジュラスの値が10MPa以下である場合に、擦傷に対する自己修復性に優れるので、本発明が目的とする効果が得られる。
<耐有機溶剤性>
PETを用いた試験片について、試験片上にMEKをスポイトで1滴滴下し、1分後綿棒にて滴下したところを5往復擦った後、表面の変化を目視にて観察した。評価は下記の3段階で行い、表2に結果をまとめて示した。
(評価基準)
◎:全く変化がない
○:わずかに試験の痕跡がある
×:明らかに変化している
Figure 0006934480
Figure 0006934480

Claims (8)

  1. 自己修復性を有するポリヒドロキシウレタン架橋塗膜を形成するための塗料組成物であって、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリヒドロキシウレタン樹脂と、硬化剤として、分子中にイソシアネート基を2個以上含むポリイソシアネート化合物を含有してなり、架橋塗膜の25℃での20%モジュラスが10MPa以下であることを特徴とするポリヒドロキシウレタン塗料組成物。
    Figure 0006934480
    [一般式(1)中、Xは、直接結合であるか、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基又は炭素数4〜40の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜40の芳香族炭化水素基の何れかの基であり、これらの基は、その構造中に、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合及びウレタン結合から選ばれる何れかの結合、或いは、水酸基又はハロゲン原子又は繰り返し単位1〜30の炭素数2〜6からなるポリアルキレングリコール鎖の何れかを有していてもよい。Yは、炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜15の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜15の芳香族炭化水素基の何れかの基であり、これらの基は、その構造中に、エーテル結合又はスルホニル結合の何れかの結合、或いは、水酸基又はハロゲン原子の何れかを有していてもよい。Zは、それぞれ独立に、下記一般式(2)〜(5)から選ばれる少なくとも何れかの構造を示し、繰り返し単位内及び繰り返し単位間のいずれにおいても、これらの一般式(2)〜(5)から選ばれる2種以上の構造が混在してもよい。]
    Figure 0006934480
    [一般式(2)〜(5)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、これらの何れの式を選択した場合も、右側の結合手は酸素原子と結合し、且つ、左側の結合手はXと結合し、Xが直接結合の場合は、他方のZの左側の結合手と結合する。]
  2. 前記ポリヒドロキシウレタン樹脂中に含まれるウレタン結合の一部又は全部が、エポキシ基と二酸化炭素との反応物である五員環環状カーボネート基と、アミノ基との付加反応物であり、該付加反応物中における前記二酸化炭素に由来する−O−CO−構造の、ポリヒドロキシウレタン樹脂中に占める割合が1〜20質量%である請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 前記一般式(1)中のXは、下記一般式(6)で示される化学構造を含む請求項1又は2に記載の塗料組成物。
    Figure 0006934480
    [一般式(6)中、Aは、ポリイソシアネート由来の化学構造であり、Bは、ポリオール由来の化学構造である。mは1〜6の何れかの数である。]
  4. 前記ポリヒドロキシウレタン樹脂の25℃での20%モジュラスが、0.3〜9.5MPaである請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  5. 前記ポリイソシアネート化合物のNCO含有率が、3〜35%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  6. 前記ポリヒドロキシウレタン樹脂の水酸基のモル数(OH)と、前記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数(NCO)との比率(NCO/OH)が、0.2〜1.1である請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  7. 更に、ウレタン硬化触媒を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  8. 塗工された請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗料組成物が硬化してなることを特徴とする塗料皮膜。

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