JP2018185930A - 銅電極を有する電子部品 - Google Patents

銅電極を有する電子部品 Download PDF

Info

Publication number
JP2018185930A
JP2018185930A JP2017086154A JP2017086154A JP2018185930A JP 2018185930 A JP2018185930 A JP 2018185930A JP 2017086154 A JP2017086154 A JP 2017086154A JP 2017086154 A JP2017086154 A JP 2017086154A JP 2018185930 A JP2018185930 A JP 2018185930A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
thin film
copper electrode
substrate
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017086154A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6381731B1 (ja
Inventor
小池 淳一
Junichi Koike
淳一 小池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Material Concept Inc
Original Assignee
Material Concept Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Material Concept Inc filed Critical Material Concept Inc
Priority to JP2017086154A priority Critical patent/JP6381731B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6381731B1 publication Critical patent/JP6381731B1/ja
Publication of JP2018185930A publication Critical patent/JP2018185930A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】銅ペーストを用いて形成した電極への液体又は気体の侵入を抑制し、電極と基板とが強固な密着性を有し、低抵抗且つ安価な電極を有する電子部品を提供すること。【解決手段】本発明に係る電子部品は、セラミック基板と、界面層と、銅電極と、を備え、銅電極は空隙を有し、空隙の銅電極に対する体積分率は2%以上40%以下であり、空隙の内部に、シリコンを含有し、界面層は、第一の元素及び第二の元素を含有し、第一の元素は、Cr、Mn、V、Si、Mg、Al、Tiからなる群から選択されるいずれか1種以上であり、第二の元素は、Ag、Ir、Au、Pd、Ptからなる群から選択されるいずれか1種以上である。界面層の厚さとしては、0.01〜10μmであることが好ましい。また、【選択図】図1

Description

本発明は、銅電極を有する電子部品に関する。
従来より、電子部品に用いる代表的な基板材料として、酸化物基板(ガラス、水晶、酸化アルミ、酸化ガリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、フェライト酸化物など)、窒化物基板(窒化アルミ、窒化ケイ素、窒化ガリウムなど)、炭化物基板(炭化ケイ素など)のようなセラミック基板が挙げられる。このようなセラミック基板は、無線通信デバイスや電力変換デバイスなど、広範な用途の電子部品に用いられている。
このようなセラミック基板の表面に平面電極を形成し、又はビア電極を形成することにより、電子部品用の基板を形成する。
ところで、セラミック基板上に電極を形成する方法としては、導電性ペーストを印刷し、焼成する方法が挙げられる。このような方法により、安価な電子部品を提供し得る。また、導電性ペーストとして、銅ペーストを用いることで、さらに安価な電子部品を提供し得る。
しかしながら、銅ペーストを焼成して電極を形成した場合には、その電極中に微細な空隙が存在するため、電極形成後のメッキ工程などにおいてメッキ液が空隙に浸透し、又は空隙を通じて気体が侵入し、電極特性が劣化するという課題がある。
また、銅はセラミックとの密着性に乏しいため、電子部品の作製工程中の応力負荷、又は電子部品として使用中の温度サイクルなどに起因する応力負荷によって、銅電極がセラミック基板から剥離するという課題がある。
特許文献1には、セラミック基板上にAuからなる電極層を形成するために、Tiを密着層として形成し、Ptを中間層として形成した薄膜コンデンサが記載されている。しかしながら、この特許文献1においては、電極層としてAuを用いているため、形成される電子部品は高価となる。低抵抗かつ安価な電極材料として、銅を利用することが望まれている。
また、特許文献2には、誘電率の異なる2種類の強誘電体酸化物の界面に内部電極を形成するにおいて、少なくとも1種類の酸化物の添加成分と共通する成分を内部電極に含むことによって剥離の発生が抑制できることが記載されている。この特許文献2においては、電極層として銅を用いているが、電極に隣接する酸化物の添加成分を電極に加えて界面密着強度を確保するため、800〜1000℃という高温で焼成される。しかし、焼成温度から室温に冷却する過程で、大きい温度差に対応して発現する熱応力が大きくなり、基板が容易に破壊するというおそれがある。
特許文献3には、銅ペーストで作製したビア電極の収縮を8%以下に抑制し、高密度の焼結体を得るために、中心径が1μm未満の銅粒子を10〜30質量%と中心径が1μm以上50μm以下の銅粒子を70〜90質量%の割合で混合して銅ペーストを作製する方法が記載されている。この特許文献3によれば、銅粗大粒子と銅微細粒子を混合することで電極の緻密性を高めているが、空隙をなくすことはできず、浸透する液体や気体による劣化を抑制する方策は示されていない。
特開2002−299144号公報 特開2013−134999号公報 特開2011−119343号公報
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、銅ペーストを用いて形成した電極への液体又は気体の侵入を抑制し、電極と基板とが強固な密着性を有し、低抵抗且つ安価な電極を有する電子部品を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、体積分率が2%以上40%以下の空隙を有する銅電極において、その空隙の内部にシリコンを含有する空隙充填相を形成することにより、液体や気体の侵入を抑制し、銅電極と基板とが強固な密着性を有し、低抵抗且つ安価な電極を有する電子部品を完成するに至った。
具体的に、本発明は、以下の(1)〜(7)に係る電子部品及びその製造方法を提供する。
(1)セラミック基板と、界面層と、銅電極と、を備え、
前記銅電極は空隙を有し、前記空隙の前記銅電極に対する体積分率は2%以上40%以下であり、該空隙の内部に、シリコンを含有し、
前記界面層は、第一の元素及び第二の元素を含有し、
前記第一の元素は、Cr、Mn、V、Si、Mg、Al、Tiからなる群から選択されるいずれか1種以上であり、
前記第二の元素は、Ag、Ir、Au、Pd、Ptからなる群から選択されるいずれか1種以上である、
電子部品。
(2)前記界面層の厚さが、0.01〜10μmである、(1)に記載の電子部品。
(3)前記第一の元素の少なくとも一部が酸化物の状態で存在する、(1)又は(2)に記載の電子部品。
(4)前記界面層が、前記第一の元素を含有する第一の薄膜と、前記第二の元素を含有する第二の薄膜とを含む、(1)〜(3)いずれかに記載の電子部品。
(5)前記第一の薄膜及び前記第二の薄膜の厚さが0.005〜5μmである、(1)〜(4)いずれかに記載の電子部品。
(6) セラミック基板上に、第一の元素及び第二の元素を含む界面層を形成する界面層形成工程と、
前記界面層上に、銅を含むコロイド溶液又はペーストを塗布する塗布工程と、
260℃以上440℃以下で酸化焼成を行う酸化工程と、
260℃以上440℃以下で還元焼成を行い、銅電極を形成する還元工程と、
前記銅電極を、シリコンを含有する有機化合物溶液で含浸し、大気中において110℃以上440℃以下で熱処理を行い、空隙充填相を形成する空隙充填相形成工程を含み、
前記第一の元素は、Cr、Mn、V、Si、Mg、Al、Tiからなる群から選択されるいずれか1種以上であり、
前記第二の元素は、Ag、Ir、Au、Pd、Ptからなる群から選択されるいずれか1種以上である、
電子部品の形成方法。
(7) セラミック基板上に、第一の元素を含む第一の薄膜を形成する第一の薄膜形成工程と、
前記第一の薄膜上に、第二の元素を含む第二の薄膜を形成する第二の薄膜形成工程と、
前記第二の薄膜上に、銅を含むコロイド溶液又はペーストを塗布する塗布工程と、
260℃以上440℃以下で酸化焼成を行う酸化工程と、
260℃以上440℃以下で還元焼成を行い、銅電極を形成する還元工程と、
前記銅電極を、シリコンを含有する有機化合物溶液で含浸し、大気中において110℃以上440℃以下で熱処理を行い、シリコンを含有する空隙充填相を形成する工程を含み、
前記第一の元素は、Cr、Mn、V、Si、Mg、Al、Tiからなる群から選択されるいずれか1種以上であり、
前記第二の元素は、Ag、Ir、Au、Pd、Ptからなる群から選択されるいずれか1種以上である、
電子部品の形成方法。
本発明によれば、液体や気体の侵入を抑制し、銅電極と基板とが強固な密着性を有し、低抵抗且つ安価な電極を有する電子部品を提供することが可能である。
本発明の第一の実施形態である電子部品の構造を示す模式図である。 本発明の第二の実施形態である電子部品の構造を示す模式図である。 実施例3のサンプルについてSEM−EDSで組成分析を行った結果である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態によって限定的に解釈されるものではない。
[電子部品]
本発明の電子部品は、セラミック(酸化物、窒化物又は炭化物)の基板と、界面層と、銅電極と、を備え、銅電極は空隙を有し、空隙の体積分率は2%以上40%以下であり、空隙の内部に、シリコンを含有することを特徴とするものである。ここで、界面層は、Cr、Mn、V、Si、Mg、Al、Tiからなる群から選択されるいずれか1種以上である第一の元素、及びAg、Ir、Au、Pd、Ptからなる群から選択されるいずれか1種以上である第二の元素を含有するものである。
図1は、本発明の第一の実施形態の電子部品の構造の一例を示す模式図である。図1に示すように、電子部品10は、基板11と、界面層12と、銅電極13とを備えるものである。この銅電極13は、空隙を有し、その内部にシリコンを含有する空隙充填相131を備える。
(基板)
基板11は、電子部品10において配線を形成するセラミック基板であり、より具体的には、酸化物、窒化物又は炭化物の基板である。酸化物基板としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス、水晶、酸化アルミニウム、酸化ガリウムなどを用いることができる。また、Pb(Zr,Ti)O(チタン酸ジルコン酸鉛)、BaTiO(チタン酸バリウム)などの強誘電体酸化物、又はスピネルフェライト、六方晶フェライト、ガーネットフェライトなどの強磁性フェライト酸化物などを用いることもできる。窒化物基板としては、特に限定されるものではないが、例えば、窒化アルミ、窒化ケイ素、窒化ガリウムなどを用いることができる。炭化物基板としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化チタン、炭化タンタルなどを用いることができる。
窒化物基板や炭化物基板を用いる場合には、例えば、大気中600℃以上の温度で1分〜30分程度の熱処理を施すことができる。これにより、基板表面に酸化物層を形成することができ、銅電極の密着強度を改善することができる。また、シランカップリング剤を含有する溶液を基板表面に塗布し、大気中300℃以上の温度で熱処理を行うことで、基板表面にシリコンを含有する酸化物層を形成して用いることもできる。
基板11の厚さとしては、電子部品の用途に応じて適宜調整でき、特に限定されるものではないが、抗折強度の観点から50μm〜5mmであることが好ましい。
基板11の形状としては、特に限定されないが、例えば、平坦な表面を有する基板上に平面銅電極を形成することができ(例えば、図1)、また、貫通孔を有する基板の貫通孔内に銅電極を形成することもできる。
(界面層)
界面層12は、第一の元素及び第二の元素を含有し、基板11と銅電極13との間に介在するものである。
第一の元素としては、酸化物形成の標準反応ギブズエネルギーが亜鉛より低い元素であれば、特に限定されない。このように、界面層中の第一の元素を、酸化物形成の標準反応ギブズエネルギーが亜鉛より低い元素とすることによって、基板の酸化物に対して強い化学的相互作用を発現し、銅電極と基板間の密着強度が強固になる。第一の元素としては、酸化物形成の標準反応ギブスエネルギーはエリンガム図を参照し、亜鉛より低い値を持つ元素として、具体的には、Cr、Mn、V、Si、Mg、Al、Tiが挙げられる。
第一の元素としては、例えば、少なくとも一部の元素が酸化物を形成しているものを用いることが好ましい。これにより、界面層中の第一の元素が基板の酸化物と一体となり、基板11と銅電極13との間の密着強度がより強固となる傾向にある。
第二の元素としては、酸化物形成の標準反応ギブズエネルギーが銅より高い元素であれば特に限定されない。このように、界面層中の第二の元素を、酸化物形成の標準反応ギブズエネルギーが銅より高い元素とすることによって、銅ペーストを焼成して銅電極13を形成する際に界面層12の酸化が抑制され、銅電極と金属的相互作用を発現し、基板11と銅電極13との間の密着強度が強固になる。第二の元素としては、例えば、Ag、Ir、Au、Pd、Ptが挙げられる。
第二の元素としては、例えば、金属元素であることが好ましい。すなわち、第二の金属は、酸化されずに金属状態を維持していることが好ましい。これにより、銅電極13と第二の元素がそれぞれの金属の自由電子を共有し、基板11と銅電極13との間の密着強度がより強固となる傾向にある。
界面層12においては、第一の元素と第二の元素とが、二元系状態図において、融点まで金属間化合物を形成する元素であることが好ましい。ここで、「融点まで金属間化合物を形成する」とは、融点までの温度上昇によって金属間化合物の構造や組成の変化がないことを意味する。これによって、第二の元素は、第一の元素と強い化学的相互作用を発現し、基板11と銅電極13との間の密着強度がより強固となる傾向にある。
表1において、第一の元素(Cr、Mn、V、Si、Mg、Al、Ti)と第二の元素(Ag、Ir、Au、Pd、Pt)とが、二元系状態図において融点まで金属間化合物を形成する元素の組み合わせを「B」とした。その中でも、金属間化合物が安定的に形成される特に好ましい組み合わせを「A」とした。一方、二元系状態図において融点まで金属間化合物が形成されない元素の組み合わせは「C」とした。なお、表1中にカッコ書きで記した部分は、二元系状態図が調べられていないが、周期律表の同族元素が類似する化学的特性を有するという原理に基づく推測により記載したものである。
Figure 2018185930
界面層12において、第二の元素としては、特に限定されないが、銅との二元系状態図において全率固溶体を形成する金属であることが好ましい。このような第二の元素としては、具体的には、Au、Pd、Ptを用いることが好ましい。X−Y二元系金属合金において、融点まで安定な金属間化合物を形成する場合は、X中でYが非常に安定となり、X−Y結合が強固となる。一方で、広範囲の濃度にわたって固溶体を形成する場合は、X中のYの化学的安定性は減少し、X−Y結合が弱くなる。よって、第二の元素は、銅との結合より、第一の元素との結合の方が安定となる。このため、第二の元素は徒に銅配線中に固溶して銅電極13の電気抵抗を上昇することや、界面密着性を劣化することがなく、むしろ第一の元素とともに界面に集中的に存在することで、電極の電気抵抗を低い値に維持するとともに界面密着性も維持することができる。
なお、基板11の有する表面のうち、界面層12に接する表面は酸化され、酸化物層を形成していてもよい(図示せず)。このような場合において、酸化物層の厚さとしては、特に限定されるものではないが、銅電極との密着性向上の観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜5μmであることがより好ましく、0.1〜1μmであることがさらに好ましい。
界面層12の厚さとしては、特に限定されないが、基板11と銅電極13との間の密着性を向上させる観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、0.02〜5μmであることがより好ましく、0.02〜2μmであることがさらに好ましい。
(銅電極)
銅電極13としては、例えば、銅のナノ粒子(平均粒径200nm未満)を含有するコロイド溶液、又は銅の微粒子(平均粒径200nm以上)を含有するペーストを塗布し、高温焼成によって形成されたものを用いることができる。コロイド溶液を用いる場合には、例えば、窒素雰囲気において120℃以上の温度に保持することで、銅電極を形成できる。また、ペーストの場合には、例えば、窒素雰囲気であれば500℃以上の温度に保持することで電極を形成できる。また、例えば、酸素雰囲気においては、150℃以上の温度で銅粒子を酸化して粒子間結合し、その後、還元雰囲気において200℃以上の温度で銅酸化物を還元することによって、銅電極を形成することもできる。
銅電極13は、例えば、銅ペーストの塗布と焼成によって形成され、内部に空隙を有するものである。そして、その空隙の体積分率は2%以上40%以下である。そして、その空隙の内部にシリコンを含有する空隙充填相131を備える。
空隙充填相131の体積分率(以下、「空隙体積分率」ともいう)が2%以上40%以下であることにより、基板11と銅電極13との間の熱膨張係数差に起因する熱応力を緩和することができ、温度サイクル下における長期信頼性に優れた電子部品を提供することができる傾向にある。一方で、空隙体積分率が40%より大きくなると、構造体としての銅電極の強度が低下するおそれがある。また、2%未満にすると、焼成条件の高温下と長時間化、さらには圧力付加の必要性が生じるため、製造コストが高騰し好ましくない。したがって、銅電極13の空隙の体積分率は、2%以上40%以下とする。
空隙体積分率としては、上述したように2%以上40%以下であれば特に限定されず、例えば、5%以上40%以下であることが好ましく、10%以上40%以下であることがより好ましく、20%以上40%以下であることがさらに好ましく、25%以上40%以下であることが特に好ましい。
(空隙充填相)
銅電極13の空隙には、その内部にシリコンが含有され、これにより空隙が充填されている空隙充填相131が存在する。銅電極13に空隙が生じていると、メッキ工程で用いられるニッケルメッキ液、金メッキ液などの液体が電極内部に容易に浸透し、電子部品の特性を劣化するおそれがある。これに対し、銅電極13の空隙にシリコンを含む空隙充填相131が存在することによって、この空隙を閉鎖し、銅電極中に好ましくない液体が導入されることを抑制することができる。
シリコンを含有する空隙充填相131の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、銅電極13の形成後に、銅電極13を、テトラエトキシオルソシランや種々の官能基を有するメトキシシランやエトキシシランなどのシランカップリング剤を含有する有機化合物溶液に含浸させ、銅電極13の表面からシランカップリング剤を浸透させた後、大気中120℃以上の温度で熱処理を行うことによって、空隙部にシリコンを含有する非晶質酸化物を形成し、空隙充填相131を得ることができる。
ところで、界面層は、第一の元素を含有する第一の薄膜と、第二の元素を含有する第二の薄膜との二層構造として構成することもできる。図2は、本発明の第二の実施形態の電子部品の構造を示す模式図である。図2に示すように、電子部品20は、基板21と、界面層22と、銅電極23とを備える。そして、この界面層22は、第一の元素を含有する第一の薄膜221と、第二の元素を含有する第二の薄膜222とからなる電子部品である。
この電子部品20は、界面層22が、第一の元素を含有する第一の薄膜221と、第二の元素を含有する第二の薄膜222との二層構造として構成される以外、電子部品10と同様の構成を有している。
第一の薄膜及び/又は第二の薄膜の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、それぞれ0.005〜5μmであることが好ましく、0.01〜3μmであることがより好ましく、0.01〜1μmであることがさらに好ましい。第一の薄膜及び/又は第二の薄膜の厚さがそれぞれ0.005〜5μmであることによって、基板21と銅電極23との間の密着強度がより強固となる傾向にある。
このような電子部品によれば、空隙の内部にシリコンを含有する空隙充填相が存在することにより、液体や気体の侵入を抑制し、低抵抗且つ安価な電極を有する電子部品を提供することが可能である。
[電子部品の製造方法]
上述のような電子部品10の製造方法は、基板11上に、第一の元素及び第二の元素を含む界面層12を形成する界面層形成工程と、銅を含むコロイド溶液又はペーストを塗布する塗布工程と、260℃以上440℃以下で酸化焼成を行う酸化工程と、260℃以上440℃以下で還元焼成を行い、銅電極13を形成する還元工程と、銅電極13を、シリコンを含有する有機化合物溶液で含浸し、大気中において110℃以上440℃以下で熱処理を行い、空隙充填相131を形成する空隙充填相形成工程を含む。
(界面層形成工程)
界面層形成工程においては、基板11の表面に、界面層12を形成する。
界面層12の形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、種々の真空蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法)を用いることができる。
また、必須の態様ではないが、電子部品20に例示される構成を有する電子部品を製造する場合、界面層形成工程の代わりに、基板上に第一の元素を含む第一の薄膜を形成する第一の薄膜形成工程と、第一の薄膜上に第二の元素を含む第二の薄膜を形成する第二の薄膜形成工程とを設けることができる。この場合、後述する塗布工程においては、第二の薄膜上に、銅を含むコロイド溶液又はペーストを塗布する。
(第一の薄膜形成工程)
第一の薄膜形成工程においては、基板21の表面に、第一の元素からなる第一の薄膜221を形成する。
(第二の薄膜形成工程)
第二の薄膜形成工程においては、第一薄膜形成工程において形成された第一の薄膜221の表面に、第二の薄膜222を形成する。
第一の薄膜221及び第二の薄膜222の形成方法としては、特に限定されるものではないが、第一の薄膜形成工程と同様の方法、例えば、種々の真空蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法)を用いることができる。
(塗布工程)
塗布工程においては、基板11上に、銅を含むコロイド溶液又はペーストを塗布する。
具体的に、銅を含むコロイド溶液又はペーストの塗布においては、例えば、銅のナノ粒子(平均粒径200nm未満)を含有するコロイド溶液、又は銅のマイクロ粒子(平均粒径200nm以上)を含有するペーストを用いることができる。そして、このようなコロイド溶液又はペーストは、例えば、スクリーン印刷用のメタルマスクを用いて塗布することができる。
(酸化工程)
酸化工程においては、260℃以上440℃以下で酸化焼成を行う。これにより、銅を酸化し、粒子間で結合させる。
酸化焼成温度が260℃未満の場合は銅粒子の粒子間結合が不十分となるおそれがある。一方で、酸化焼成温度が440℃超であると銅粒子の焼結が進行して基板貫通孔の側壁と銅電極との間にスリット状の欠陥が形成されるおそれがある。
酸化焼成温度としては、上述した範囲にあれば特に限定されないが、265℃以上であることが好ましく、270℃以上であることがより好ましく、275℃以上であることがさらに好ましく、280℃以上であることが特に好ましい。また、酸化焼成温度としては、430℃以下であることが好ましく、420℃以下であることがより好ましく、410℃以下であることがさらに好ましく、400℃以下であることが特に好ましい。
(還元工程)
還元工程においては、260℃以上440℃以下で還元焼成を行う。これにより、銅電極13を形成させる。
還元焼成温度が260℃未満の場合は銅粒子の還元が不十分となるおそれがある。一方で、還元焼成温度が440℃超であると、酸化時工程と同様に、銅粒子の焼結が進行して基板貫通孔の側壁と銅電極との間にスリット状の欠陥が形成されるおそれがある。
還元焼成温度としては、上述した範囲にあれば特に限定されないが、265℃以上であることが好ましく、270℃以上であることがより好ましく、275℃以上であることがさらに好ましく、280℃以上であることが特に好ましい。また、還元焼成温度としては、430℃以下であることが好ましく、420℃以下であることがより好ましく、410℃以下であることがさらに好ましく、400℃以下であることが特に好ましい。
(空隙充填相形成工程)
空隙充填相形成工程においては、シリコンを含有する有機化合物溶液で含浸し、大気中において110℃以上440℃以下で熱処理を行い、空隙充填相131を形成する。
熱処理温度が110℃未満の場合は有機化合物溶液中の溶媒が十分に揮発せず、空隙充填相が十分に固化しないおそれがある。一方で、熱処理温度が440℃超であると、固化した空隙充填相が脆くなり、多数の亀裂が発生して充填効果が劣化するおそれがある。
熱処理温度としては、上述した範囲にあれば特に限定されないが、115℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。また、熱処理温度としては、430℃以下であることが好ましく、420℃以下であることがより好ましく、400℃以下であることがさらに好ましく、380℃以下であることが特に好ましい。
シリコンを含有する空隙充填相131の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、銅電極13の形成後に、銅電極13を、テトラエトキシオルソシランや種々の官能基を有するメトキシシランやエトキシシランなどのシランカップリング剤を含有する有機化合物溶液に含浸させ、銅電極13の表面からシランカップリング剤を浸透させた後、大気中120℃以上の温度で熱処理を行うことによって、空隙部にシリコンを含有する非晶質酸化物を形成し、空隙充填相131を得ることができる。
本実施形態の電子部品の評価方法について、以下に説明する。
(評価1:平面銅電極の電気抵抗率の評価)
平面銅電極の電気抵抗率については、例えば以下のように測定できる。50mm×50mm×0.5mmのサイズを有する基板の上表面の領域において、端部5mmの部分を除外して電極を形成する。具体的には、基板上表面の端部5mmの部分を薄膜蒸着用のメタルマスクで覆い、スパッタ法によって第一の元素と第二の元素からなる薄膜層を形成する。その後、スクリーン印刷用のメタルマスクを用いて薄膜層の上部に銅ペーストを塗布して焼成し、平面形状の銅電極を形成する。電気抵抗率の計算に必要な銅電極の厚さ(t)は、ペーストの場合はレーザー顕微鏡を用いて測定し、コロイド溶液の場合は原子間力顕微鏡を用いて測定する。電気抵抗率の測定は、直流四端子法を用い、端子間距離は1mm、電流値(I)は10mAとすればよい。得られた電圧(V)より、以下の式(1)を用いて電気抵抗率(ρ)を算出する。
ρ=4.532t(V/I) ・・・(1)
そして、上記式(1)により算出された電気抵抗率(ρ)が10μΩcm未満のものを「A」、10以上50μΩcm未満のものを「B」として、好ましい平面銅電極と判定でき、50μΩcm以上のものは好ましくない平面銅電極として「C」と判定する。
(評価2:貫通孔内部に充填した銅電極の電気抵抗率の評価)
貫通孔内部に充填した銅電極の電気抵抗率については、例えば以下のように測定できる。まず、厚さが0.5mmのアルミニウム酸化物基板にレーザー光を用いて直径が0.6mmの貫通孔を形成する。次に、スパッタ法によって第一の元素と第二の元素からなる薄膜層を形成し、貫通孔内部を充填するように銅ペーストを塗布し焼成する。その後、基板厚さが0.3mmになるように基板の上下面を研磨する。このようにしてできた貫通孔の銅電極の上部に電流負荷用と電圧測定用の端子、下部にも同様の端子を接続する。上下の電流端子に10mAの電流を付加し、上下電圧端子間の電圧(I)を測定し、測定電圧(V)を付加電流で除することで電気抵抗(R)を算出する。さらに、貫通孔の直径から得た断面積S(例えば0.283mm)と貫通孔の長さL(例えば0.3mm)より、次式(2)を用いて電気抵抗率(ρ)を算出する。
ρ=(V/I)×(S/L)=R×(S/L) ・・・(2)
そして、上記式(2)により算出された電気抵抗率(ρ)が10μΩcm未満のものを「A」、10以上50μΩcm未満のものを「B」として好ましい貫通孔内部銅電極と判定でき、50μΩcm以上のものは好ましくない貫通孔内部銅電極として「C」と判定する。
(評価3:平面銅電極と基板間の界面密着強度の評価)
平面銅電極と基板間の界面密着強度の評価については、例えば以下のように測定できる。酸化物基板、窒化物基板、又は炭化物基板のそれぞれに対して、必要に応じて基板表面処理を行い、上記評価1に記載の方法で平面銅電極を形成する。例えば、基板の厚さは0.5mmとし、銅電極の厚さは約20μmとする。銅電極の表面に対して、一方の端が直径3mmの円盤状に加工されたスタッドピンを、エポキシ樹脂を用いて接着する。このサンプルの基板側を引張試験機の保持台に固定し、スタッドピンの接着されていないもう一方の端をクロスヘッドの治具で保持する。クロスヘッド速度を毎分0.001mmとして引張試験を行い、荷重が急速に減少する点を剥離荷重とする。さらに、スタッドピンの円盤面積で除して剥離応力とする。剥離荷重が2kgf以上の場合を「A」、1kgf以上2kgf未満の場合を「B」とし、好ましい密着強度と判定でき、1kgf未満のものは好ましくない密着強度として「C」と判定する。
(評価4:貫通孔内部に充填した銅電極と基板間の界面密着強度の評価)
貫通孔内部に充填した銅電極と基板間の界面密着強度の評価については、例えば以下のように測定できる。酸化物基板、窒化物基板、又は炭化物基板のそれぞれに対して、必要に応じて基板表面処理を行う。上記評価2に記載の方法で直径が0.3mmの貫通孔を形成し、その内部に銅電極を形成する。その後、基板の厚さが0.3mmになるまで研磨をして、サンプルを引張試験機の保持台に固定し、直径0.1mmのタングステン棒をクロスヘッドの治具で保持する。このタングステン棒を貫通孔の銅電極の中心部に向けて差し込む際の荷重と変位の関係を測定する。クロスヘッド速度を毎分0.001mmとして圧縮試験を行い、荷重が急速に減少する点を剥離荷重とする。剥離荷重が1kgf以上の場合を「A」、0.3kgf以上1kgf未満の場合を「B」とし、好ましい密着強度と判定でき、0.3kgf未満のものは好ましくない密着強度として「C」と判定する。
(評価5:銅電極の耐液浸性の評価)
銅電極の耐液浸性の評価については、例えばJIS Z2343−1に記載の方法に従って以下のように測定できる。上記評価2に記載の方法で直径が0.3mmの貫通孔を形成し、その内部に銅電極を形成する。その後、基板の厚さが0.3mmになるまで研磨をしてサンプルとする。このサンプルの銅電極上部表面に赤色浸透液を塗布し、1時間経過後に赤色浸透液を塗布する。さらに1時間放置後に除去液を用いて余剰浸透液を除去し、乾燥後速やかに現像液を塗布し、30分放置する。その後、目視及び光学顕微鏡によって銅電極下部表面に赤色が現れるか否かを観察し、赤色が現れなければ耐液浸性は良好と判定する。なお、この評価手法は、一般的に「レッドチェック」と呼ばれるものである。
本実施形態の電子部品としては、具体的には、例えば水晶振動子、通信機器、LED、パワーモジュールなどが例示できる。
以下に、本発明の実施の例を記載する。なお、本発明は、以下の実施例によって限定的に解釈されるものではない。
なお、以下の実施例においては、基板として酸化物基板であるアルミナ基板を用いているが、他の酸化物基板、窒化物基板又は炭化物基板においても、得られる結果は以下の実施例と同様である。
(実施例1)
基板はアルミナ製とし、貫通孔の有る基板と、貫通孔の無い基板とを準備した。アルミナ基板に対して、表1に示した第一の元素からなる第一の薄膜層を高周波スパッタ法によって形成し、次に第二の元素から成る第二の薄膜層を、第一の薄膜層と同じ方法で形成した。それぞれの薄膜層の厚さは0.02μmとした。
次に、銅ペーストを基板表面の薄膜層上部に塗布、又は、基板に形成した貫通孔に充填し、大気中150℃で5分間乾燥した後に、大気中400℃で10分間の焼成を行ってバインダー樹脂を分解除去するとともに銅ペーストを酸化した。その後、窒素ガス96体積%と水素ガス4体積%の混合ガス中500℃で30分還元して銅電極とした。ここで用いる銅ペーストは、特開2013−258128号公報に記載の銅ペーストである。なお、この銅ペーストはバインダー樹脂を含まず、極性溶媒と非極性溶媒の単体か混合体に銅粒子を混練したペーストを用いれば、酸化・還元熱処理後の銅粒子間の焼結性を高めることができる。ここでは、平面銅電極を形成する場合にバインダー樹脂を含んだ銅ペーストを用い、貫通銅電極を形成する場合にバインダー樹脂を含まない銅ペーストを用いた。
このようにして得られたサンプルにおいて、上記評価1〜5に基づき、電気抵抗率と界面密着強度を評価した。得られた結果を表2に示す。
Figure 2018185930
表2において、各評価項目の判定結果は、第一の元素と第二の元素の組合せによって異なる場合がある。本実施形態においては、全ての評価項目を同時に満足する元素の組合せを選択する。このため、表3に全ての評価項目において、A又はBとなる組み合わせがどの組み合わせかを示した。この表3と上記表1とを対比すると、選択すべき元素の組合せが良く合致していることを示した。なお、評価が「C」となる組み合わせは比較例に相当するものであった。
Figure 2018185930
(実施例2)
基板はアルミナ製とし、貫通孔を有する基板を準備した。上記実施例1の表3において「A」と判定された第一の元素と第二の元素の組合せを選択した。アルミナ基板に対して、第一の元素からなる薄膜層を高周波スパッタ法によって形成し、次に第二の元素から成る薄膜層を同じ方法で形成した。それぞれの薄膜層の厚さは平面上において0.05μmになるようにした。
次に、基板に形成した貫通孔に銅ペーストを充填し、大気中150℃で5分間乾燥した後に、大気中200、300、400、500、600、700℃の範囲の種々の温度で10分間の焼成を行って銅ペーストを酸化した。その後、窒素ガス96体積%と水素ガス4体積%の混合ガス中500℃で30分還元して銅電極とした。ここで用いる銅ペーストは、特開2013−258128に記載の銅ペーストであって、バインダー樹脂を含まない銅ペーストを用いた。このようにして得たサンプルを半分に割り、一方のサンプルを乾燥大気中において−40℃〜150℃の温度範囲で500回の熱サイクルを行った後に、上記評価4に記載した方法で、貫通銅電極と基板の界面密着強度を測定した。また、他方のサンプルは熱サイクル試験を実施せずに、貫通銅電極断面が現れるようにサンプルを割断し、割断面を加速電圧が5kVのアルゴンイオンビームで平坦化し、走査型電子顕微鏡を用いて貫通銅電極の断面組織を観察した。得られた組織写真より空隙の面積率を得た。この面積率は、即ち空隙の体積分率である。
表4に、大気中での酸化焼成温度、空隙体積分率、密着強度の結果を示す。密着強度の判定基準は、上記評価4に準じた。酸化焼成温度が200℃の場合は比較例に相当した。
Figure 2018185930
(実施例3)
実施例2に記載した方法で基板に形成した貫通孔に銅ペーストを充填し、酸化焼成温度及び還元焼成温度を、それぞれ250℃、280℃、300℃、350℃、400℃、450℃にして酸化焼成及び還元焼成を行った。それぞれのサンプルには貫通銅電極が20個存在した。これらのサンプルに対して、シリコンを含む溶液(等体積量のシランカップリング剤とテキサノールを混合した溶液)を、貫通銅電極の上部から含浸し、その後、大気中で、それぞれ100℃、120℃、150℃、250℃、350℃、400℃、450℃の温度で熱処理を施した。これらのサンプルを「含浸有り」とする。
上記と同様にして、250℃、280℃、300℃、350℃、400℃、450℃にして酸化焼成及び還元焼成を行い得られたサンプルについて、シリコンを含む溶液を含浸せず、さらにその後の熱処理を施さなかった。このようにして得られたサンプルを「含浸無し」とする。各々のサンプルに対して、上記評価5に記載の方法で、白色浸透液と赤色浸透液を貫通銅電極の上部にたらし、反対側の下部における赤色の有無を観察した(いわゆる、「レッドチェック」試験)。
酸化焼成温度及び還元焼成温度をいずれも250℃、280℃、300℃、350℃、400℃、450℃にそれぞれ設定した。表5に250℃のとき、表6に280℃のとき、表7に300℃のとき、表8に350℃のとき、表9に400℃のとき、表10に450℃のときの結果を示す。この表5〜10において、貫通銅電極20個中5個以下で赤色が見られた場合を「A」としてレッドチェック合格、20個中6個以上で赤色が見られた場合を「B」としてレッドチェック不合格とした。
含浸有りのサンプルのうち、熱処理温度が120〜400℃であり、且つ銅ペーストの酸化焼成温度が280〜400℃のものはレッドチェック合格であった。
溶液の熱処理温度が100℃のサンプルでは、空隙充填相が十分に固化しなかった。また、溶液の熱処理温度が400℃超のサンプルでは、空隙充填相の熱収縮によって固化後のペーストにクラックが形成された。
銅ペーストの酸化・還元焼成温度が250℃のサンプルでは、銅粒子の粒子間結合が不十分であった。また、酸化・還元焼成温度が400℃のサンプルでは、銅粒子の焼結による形状収縮が進行して基板貫通孔の側壁と銅電極との間にスリット状の欠陥が形成された。このため、銅電極と基板との密着強度が劣化したことに加えて、電極形成工程の後工程となるNiメッキの際に空隙やスリット欠陥にメッキ液が混入して、その後の工程でメッキ液が噴き出した。
一方で、含浸無しのサンプルは、銅ペーストの酸化・還元焼成温度に係わらず赤色への変化が見られた。
Figure 2018185930
Figure 2018185930
Figure 2018185930
Figure 2018185930
Figure 2018185930
Figure 2018185930
銅電極の空隙にシリコンを含有する空隙充填相が存在するか否かについては、以下の方法で確認した。まず、貫通孔に銅電極が形成されている部分をカッターで切断した後に研磨をして断面観察試料を作製した。その後、断面上に金(Au)を蒸着した。走査電子顕微鏡(SEM)とそれに付随するX線エネルギー分散分光器(EDS)を用いて銅電極断面の構成元素を同定するとともに、構成元素ごとの組成分布像を取得した。
含浸有りでレッドチェック合格と判断したサンプルのうち、銅ペーストの酸化・還元焼成を300℃、30分の条件で行い、含浸後の熱処理を150℃、30分で行ったサンプルを用いた。図3は、このサンプルの銅電極断面の異なる位置に電子線を照射し、SEM−EDSで組成分析を行った結果である。ここで、図3において、各スペクトルの右側の数字は断面においてそれぞれ異なる位置であることを示している。具体的に、0は銅粒子内部であり、その他(1〜10)はそれぞれ異なる空隙部を示すものである。全ての位置からAuが観測されたが、これはSEM観察の際に電子照射によって電荷が蓄積して画像に歪みが生じるのを防ぐために断面全面にAu薄膜を蒸着したことによる。また、炭素(C)と酸素(O)に由来するピークが観測されたのは、サンプル表面の汚染によるものである。さらに、位置1、2、7、10において観測されるアルミニウム(Al)はアルミナ基板の研磨粉が混入したものと思われる。ここで、銅(Cu)とシリコン(Si)の強度だけに着目すると、銅粒子内部(位置0)からはCuが検出されSiは検出されないことがわかる。全ての空隙部(位置1〜10)からはCuに加えてSiが検出される。このように、溶液を含浸した銅電極の空隙部はシリコンを含んでいる。
10,20・・・電子部品
11,21・・・基板
12,22・・・界面層
13,23・・・銅電極
131,231・・・空隙充填相
221・・・第一の薄膜層
222・・・第二の薄膜層

Claims (7)

  1. セラミック基板と、界面層と、銅電極と、を備え、
    前記銅電極は空隙を有し、前記空隙の前記銅電極に対する体積分率は2%以上40%以下であり、該空隙の内部に、シリコンを含有し、
    前記界面層は、第一の元素及び第二の元素を含有し、
    前記第一の元素は、Cr、Mn、V、Si、Mg、Al、Tiからなる群から選択されるいずれか1種以上であり、
    前記第二の元素は、Ag、Ir、Au、Pd、Ptからなる群から選択されるいずれか1種以上である、
    電子部品。
  2. 前記界面層の厚さが、0.01〜10μmである、
    請求項1に記載の電子部品。
  3. 前記第一の元素の少なくとも一部が酸化物の状態で存在する、
    請求項1又は2に記載の電子部品。
  4. 前記界面層が、前記第一の元素を含有する第一の薄膜と、前記第二の元素を含有する第二の薄膜とを含む、
    請求項1〜3いずれか一項に記載の電子部品。
  5. 前記第一の薄膜及び前記第二の薄膜の厚さが0.005〜5μmである、
    請求項1〜4いずれか一項に記載の電子部品。
  6. セラミック基板上に、第一の元素及び第二の元素を含む界面層を形成する界面層形成工程と、
    前記界面層上に、銅を含むコロイド溶液又はペーストを塗布する塗布工程と、
    260℃以上440℃以下で酸化焼成を行う酸化工程と、
    260℃以上440℃以下で還元焼成を行い、銅電極を形成する還元工程と、
    前記銅電極を、シリコンを含有する有機化合物溶液で含浸し、大気中において110℃以上440℃以下で熱処理を行い、空隙充填相を形成する空隙充填相形成工程を含み、
    前記第一の元素は、Cr、Mn、V、Si、Mg、Al、Tiからなる群から選択されるいずれか1種以上であり、
    前記第二の元素は、Ag、Ir、Au、Pd、Ptからなる群から選択されるいずれか1種以上である、
    電子部品の形成方法。
  7. セラミック基板上に、第一の元素を含む第一の薄膜を形成する第一の薄膜形成工程と、
    前記第一の薄膜上に、第二の元素を含む第二の薄膜を形成する第二の薄膜形成工程と、
    前記第二の薄膜上に、銅を含むコロイド溶液又はペーストを塗布する塗布工程と、
    260℃以上440℃以下で酸化焼成を行う酸化工程と、
    260℃以上440℃以下で還元焼成を行い、銅電極を形成する還元工程と、
    前記銅電極を、シリコンを含有する有機化合物溶液で含浸し、大気中において110℃以上440℃以下で熱処理を行い、シリコンを含有する空隙充填相を形成する工程を含み、
    前記第一の元素は、Cr、Mn、V、Si、Mg、Al、Tiからなる群から選択されるいずれか1種以上であり、
    前記第二の元素は、Ag、Ir、Au、Pd、Ptからなる群から選択されるいずれか1種以上である、
    電子部品の形成方法。
JP2017086154A 2017-04-25 2017-04-25 銅電極を有する電子部品 Active JP6381731B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017086154A JP6381731B1 (ja) 2017-04-25 2017-04-25 銅電極を有する電子部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017086154A JP6381731B1 (ja) 2017-04-25 2017-04-25 銅電極を有する電子部品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6381731B1 JP6381731B1 (ja) 2018-08-29
JP2018185930A true JP2018185930A (ja) 2018-11-22

Family

ID=63354844

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017086154A Active JP6381731B1 (ja) 2017-04-25 2017-04-25 銅電極を有する電子部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6381731B1 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08170001A (ja) * 1994-08-18 1996-07-02 Dow Corning Corp シリコーン樹脂で改質したフルオロカーボンゴム
JP2015069752A (ja) * 2013-09-27 2015-04-13 東洋紡株式会社 導電性ペースト、金属薄膜及びその製造方法
WO2017051816A1 (ja) * 2015-09-24 2017-03-30 三ツ星ベルト株式会社 ビア充填基板並びにその製造方法及び前駆体
JP2017069201A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 株式会社マテリアル・コンセプト 配線形成方法
JP2017069328A (ja) * 2015-09-29 2017-04-06 日立化成株式会社 配線パターン及びその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08170001A (ja) * 1994-08-18 1996-07-02 Dow Corning Corp シリコーン樹脂で改質したフルオロカーボンゴム
JP2015069752A (ja) * 2013-09-27 2015-04-13 東洋紡株式会社 導電性ペースト、金属薄膜及びその製造方法
WO2017051816A1 (ja) * 2015-09-24 2017-03-30 三ツ星ベルト株式会社 ビア充填基板並びにその製造方法及び前駆体
JP2017069328A (ja) * 2015-09-29 2017-04-06 日立化成株式会社 配線パターン及びその製造方法
JP2017069201A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 株式会社マテリアル・コンセプト 配線形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6381731B1 (ja) 2018-08-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7379899B2 (ja) セラミック電子部品
KR101336902B1 (ko) 메탈라이즈드 기판을 제조하는 방법, 메탈라이즈드 기판
JP5972317B2 (ja) 電子部品およびその製造方法
JP6337909B2 (ja) 電子部品モジュールの製造方法
WO2007007677A1 (ja) 電子部品、電子部品の実装構造および電子部品の製造方法
JP2021182599A (ja) セラミック電子部品
JPWO2015045625A1 (ja) 積層セラミック電子部品
JP2022136821A (ja) セラミック電子部品
JP6381731B1 (ja) 銅電極を有する電子部品
JP4812329B2 (ja) 電子部品、フェライトコアおよびインダクタ
JP6954325B2 (ja) コンデンサおよびその製造方法
JP2017172029A (ja) Niナノ粒子を用いた接合材料及び接合構造体
JPH09190950A (ja) 電子部品の外部電極
JP7310709B2 (ja) 積層型電子部品および積層型電子部品の製造方法
JP6430886B2 (ja) 回路基板およびこれを備える電子装置
JP4211783B2 (ja) 導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品
WO2018151029A1 (ja) コンデンサ
JPH05170552A (ja) メタライズ層を有する窒化アルミニウム基板とそのメタライズ方法
JPH10163067A (ja) チップ型電子部品の外部電極
CN115036136B (zh) 陶瓷电子部件
JP7465069B2 (ja) コイル部品及びその製造方法
JP2005150659A (ja) 導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品
JPS62182182A (ja) 金属化面を有する窒化アルミニウム焼結体
WO2021131693A1 (ja) 配線基板
CN111052879B (zh) 电路基板及具备该电路基板的电子装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180703

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180731

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6381731

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250