JP2018181936A - 光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い光電変換効率を有するCIS系光電変換素子を提供する。【解決手段】光電変換素子10は、第1電極層12と、前記第1電極層12上に配置され、I族元素と、III族元素と、硫黄以外のVI族元素とを含み、硫黄を含まないベース層13aと、ベース層13a上に配置され、I族元素と、III族元素と、セレン以外のVI族元素とを含み、セレンを含まないキャップ層13bと、を有する光電変換層13と、光電変換層13上に配置される第2電極層15と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子に関する。
薄膜の光電変換素子において、I−III−VI族化合物半導体であるカルコパイライト結晶を、光電変換層として有するCIS系光電変換素子が知られている。CIS系光電変換素子の内、特にIII族元素としてIn及びGaを用いるものは、CIGS系光電変換素子とも呼ばれる。
CIGS系光電変換素子において、VI族元素としてSe又はSを用いることにより、光電変換効率の向上が図られている。このようなCIGS系光電変換層の材料として、Cu(In、Ga)Se、Cu(In、Ga)(Se、S)、CuInS、Cu(In、Ga)S等が挙げられる。
例えば、CIGS系光電変換層であるCu(In、Ga)Seを、硫黄(S)含有雰囲気でアニールして、CIGS系光電変換層の表面のSeの一部をSに置換することで、エネルギーバンドプロファイルを制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平10−135498号公報
しかしながら、現在、開発されているCIS(CIGSを含む)系光電変換素子の光電変換効率は、その理論効率値には到達していないので、光電変換効率は更に向上可能であると考えられる。
本明細書では、高い光電変換効率を有するCIS系光電変換素子を提供することを課題とする。
本明細書に開示する光電変換素子によれば、第1電極層と、上記第1電極層上に配置され、I族元素と、III族元素と、硫黄以外のVI族元素とを含み、硫黄を含まないベース層と、上記ベース層上に配置され、I族元素と、III族元素と、セレン以外のVI族元素とを含み、セレンを含まないキャップ層と、を有する光電変換層と、上記光電変換層上に配置される第2電極層と、を備える。
上述した本明細書に開示する光電変換素子によれば、高い光電変換効率を有する。
本明細書に開示する光電変換素子の一実施形態を示す図である。 光電変換効率と多数キャリア濃度との関係を示す図である。 光電変換効率とキャップ層の厚さとの関係を示す図である。 (A)は、本実施形態の光電変換素子及び比較形態の光電変換層の光電変換層のエネルギーバンドプロファイルを説明する図であり、(B)は、本実施形態の光電変換素子の光電変換層のエネルギーバンドプロファイルを説明する図である。 本明細書に開示する光電変換素子の製造方法の一実施形態の製造工程を説明する図(その1)である。 本明細書に開示する光電変換素子の製造方法の一実施形態の製造工程を説明する図(その2)である。 本明細書に開示する光電変換素子の製造方法の一実施形態の製造工程を説明する図(その3)である。 本明細書に開示する光電変換素子の製造方法の一実施形態の製造工程を説明する図(その4)である。 本明細書に開示する光電変換素子の一実施形態の変形例を示す図である。 (A)は、変形例の光電変換素子の光電変換層のエネルギーバンドプロファイルの例1を説明する図であり、(B)は、変形例の光電変換素子の光電変換層のエネルギーバンドプロファイルの例2を説明する図である。
以下、本明細書で開示する光電変換素子の好ましい一実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
図1は、本明細書に開示する光電変換素子の一実施形態を示す図である。
本実施形態の光電変換素子10は、基板11と、基板11上に配置される第1電極層12と、p型の導電性を有し、第1電極層12上に配置される光電変換層13と、光電変換層13上に配置され、i型又はn型の導電性を有し且つ高抵抗を有するバッファ層14と、n型の導電性を有し、バッファ層14上に配置される第2電極層15を備える。
光電変換層13は、いわゆるCIS系光電変換層、好ましくはCIGS系光電変換層であり、カルコパイライト結晶構造を有するI−III−VI族化合物半導体を用いて形成される。本明細書において、I−III−VI族化合物半導体は、I族元素と、III族元素と、VI族元素との組成比が、1:1:2である場合と、厳密には1:1:2でない場合とを含む。
光電変換層13は、第1電極層12上に配置されるベース層13aと、ベース層13a上に配置されるキャップ層13bを有する。光電変換層13は、ベース層13aとキャップ層13bとが積層された積層構造を有する。
ベース層13aは、I族元素と、III族元素と、硫黄以外のVI族元素とを含み、硫黄を含まないI−III−VI族化合物半導体を用いて形成される。なお、ベース層13aが、硫黄を含まないとは、製造工程において意図して硫黄をベース層13aに含ませないことを意味しており、工程能力の及ばない範囲において硫黄がベース層13aに混入することを排除するものではない。
ベース層13aは、I族元素として、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)若しくは金(Au)又はこれらの元素の組み合わせを含むことができる。
ベース層13aは、III元素として、例えば、インジウム(In)若しくはガリウム(Ga)若しくはアルミニウム(Al)又はこれらの元素の組み合わせを含むことができる。
ベース層13aは、VI族元素として、例えば、セレン(Se)、テルル(Te)若しくは酸素(O)又はこれらの元素の組み合わせを含むことができる。
例えば、ベース層13aは、I族元素として銅(Cu)を含み、III族元素としてインジウム(In)又は/及びガリウム(Ga)を含み、VI族元素としてセレン(Se)を含むことができる。
ベース層13aが、III族元素としてガリウム(Ga)を含む場合、ベース層13aの厚さ方向において、III族元素の原子数に対するGaの原子数の比(Ga/III族比)が、第1電極層12側からキャップ層13b側に向かって減少するような組成を有することが好ましい。これにより、ベース層13aのエネルギーバンドギャップが、ベース層13aの厚さ方向において、第1電極層12側からキャップ層13b側に向かって減少するような勾配を有することにより、開放電圧を増大することができる。
ベース層13aの厚さは、例えば、1.0〜3.0μmとすることができる。
ベース層13aは、アルカリ金属元素を含有してもよい。ベース層13aにおいて、アルカリ金属元素は、アルカリ金属又はアルカリ金属化合物又はこれらの混合物の形態で含まれ得る。アルカリ金属としては、例えばリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)があり、アルカリ金属化合物としては、フッ化物(LiF、NaF、KF、RbF、CsF)、セレン化物(LiSe、NaSe、KSe、RbSe、CsSe)、塩化物(LiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsCl)等がある。また、アルカリ金属化合物として、LiMoO、NaMoO、KMoO、RbMoO、CsMoOを用いることができる。
キャップ層13bは、I族元素と、III族元素と、セレン以外のVI族元素とを含み、セレンを含まないI−III−VI族化合物半導体を用いて形成される。キャップ層13bは、ベース層13aとヘテロ接合している。なお、キャップ層13bが、セレンを含まないとは、製造工程において意図してセレンをキャップ層13bに含ませないことを意味しており、工程能力の及ばない範囲においてセレンがキャップ層13baに混入することを排除するものではない。
キャップ層13bは、I族元素として、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)若しくは金(Au)又はこれらの元素の組み合わせを含むことができる。
キャップ層13bは、III元素として、例えば、インジウム(In)若しくはガリウム(Ga)若しくはアルミニウム(Al)又はこれらの元素の組み合わせを含むことができる。
キャップ層13bは、VI族元素としては、例えば、硫黄(S)、テルル(Te)若しくは酸素(O)又はこれらの元素の組み合わせを含むことができる。
例えば、キャップ層13bは、I族元素として銅(Cu)を含み、III族元素としてインジウム(In)を含み、VI族元素として硫黄(S)を含むことができる。
キャップ層13bの厚さは、例えば、10〜150nmとすることができる。
キャップ層13bは、アルカリ金属元素を含有してもよい。キャップ層13bにおいて、アルカリ金属元素は、アルカリ金属又はアルカリ金属化合物又はこれらの混合物の形態で含まれ得る。アルカリ金属としては、例えばリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)があり、アルカリ金属化合物としては、フッ化物(LiF、NaF、KF、RbF、CsF)、硫化物(LiS、NaS、KS、RbS、CsS)、塩化物(LiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsCl)等がある。また、アルカリ金属化合物として、LiSO、NaSO、KSO、RbSO、CsSO、LiMoO、NaMoO、KMoO、RbMoO、CsMoOを用いることができる。
次に、上述した本実施形態の光電変換素子の光電変換効率をシミュレーションにより求めた結果を、図2及び図3を参照しながら、以下に説明する。
図2は、光電変換効率と多数キャリア濃度との関係を示す図である。
図2のプロットC1は、図1に示す本実施形態の光電変換素子10について、光電変換効率とベース層13aにおける多数キャリア濃度との関係を示す。ベース層13aは、p型の極性を有するので、多数キャリアはホールである。
光電変換素子10において、ベース層13a中の多数キャリア濃度は、III族原子数に対するI族原子数の比、又は、アルカリ金属の添加濃度により制御され得る。
光電変換層におけるキャリア濃度は、例えば、ホール測定法又はC−V測定法(容量電圧測定法)を用いて、測定される。
シミュレーションに用いた光電変換素子10のベース層13aのモデルとして、I族元素として銅(Cu)を含み、III族元素としてインジウム(In)及びガリウム(Ga)を含み、VI族元素としてセレン(Se)を含むCu(In、Ga)Seが用いられた。また、ベース層13aは、ベース層13aの厚さ方向において、III族の原子数に対するGaの原子数の比(Ga/III族比)が、第1電極層12側からキャップ層13b側に向かって減少するような組成を有するモデルが用いられた。ベース層13aの厚さは、1.9μmである。
シミュレーションに用いた光電変換素子10のキャップ層13bのモデルとして、I族元素として銅(Cu)を含み、III族元素としてインジウム(In)を含み、VI族元素として硫黄(S)を含むCuInSが用いられた。キャップ層13bにおける多数キャリアの濃度は、1E+16cm−3である。キャップ層13bの厚さは、25nmである。
光電変換素子10の基板、第1電極層、バッファ層及び第2電極層は、後述する比較形態1及び比較形態2と同じモデルである。
光電変換素子10に対して、ベース層13aの多数キャリア濃度を変化させて、光電変換効率を求めた結果として、プロットC1を得た。なお、この光電変換効率は、光電変換素子10に所定の波長分布(太陽光に近似)の入射光を照射したものとして求められた。
図2のプロットC2は、比較形態1の光電変換素子について、光電変換効率と光電変換層中の多数キャリア濃度との関係を示す。
比較形態1の光電変換素子のモデルは、基板と、基板上に配置される第1電極層と、p型の導電性を有し、第1電極層上に配置される光電変換層と、光電変換層上に配置され、i型又はn型の導電性を有し且つ高抵抗を有するバッファ層と、n型の導電性を有し、バッファ層上に配置される第2電極層を備える。シミュレーションに用いた光電変換層のモデルとして、I族元素として銅(Cu)を含み、III族元素としてインジウム(In)及びガリウム(Ga)を含み、VI族元素としてセレン(Se)を含むCu(In、Ga)Seが用いられた。比較形態1の光電変換層は、光電変換層の厚さ方向において、III族元素の原子数に対するGaの原子数の比(Ga/III族比)が、第1電極層側からバッファ層側に向かって減少するような組成を有するモデルが用いられた。
図2のプロットC3は、比較形態2の光電変換素子について、光電変換効率と光電変換層における多数キャリア濃度との関係を示す。
比較形態2の光電変換素子のモデルは、基板と、基板上に配置される第1電極層と、p型の導電性を有し、第1電極層上に配置される光電変換層と、光電変換層上に配置され、i型又はn型の導電性を有し且つ高抵抗を有するバッファ層と、n型の導電性を有し、バッファ層上に配置される第2電極層を備える。シミュレーションに用いた光電変換層のモデルとして、I族元素として銅(Cu)を含み、III族元素としてインジウム(In)及びガリウム(Ga)を含み、VI族元素としてセレン(Se)及び硫黄(S)を含むCu(In、Ga)(Se、S)が用いられた。光電変換層は、光電変換層の厚さ方向において、III族元素の原子数に対するGaの原子数の比(Ga/III族比)が、第1電極層側からバッファ層側に向かって減少するような組成を有するモデルが用いられた。また、比較形態2の光電変換層のモデルは、III属元素の原子数に対する硫黄(S)の原子数の比が、バッファ層側の表面(表面から200〜300nmの深さの部分)における厚さ方向において、バッファ層側から第1電極層側に向かって減少する組成を有する。これにより、光電変換層のエネルギーバンドギャップが、光電変換層の厚さ方向において、バッファ層側から第1電極層側に向かって減少するような勾配を有する。このような光電変換層は、例えば、特許文献1に記載されている方法を用いて形成され得る。
図2において、プロットC1に示す本実施形態の光電変換素子10の光電変換効率は、比較形態1(プロットC2)及び比較形態2(プロットC3)と比べて、同じ多数キャリア濃度において、より高い光電変換効率を示す。
プロットC3は、全ての多数キャリア濃度の範囲にわたって、プロットC2よりも高い光電変換効率を示す。
多数キャリア濃度が1.0E+16cm−3と2.0E+16cm−3との間において、プロットC1は、プロットC2が示す最大の光電変換効率と同じ値を示している。
従って、ベース層13aの多数キャリア濃度が2.0E+16cm−3以上であれば、プロットC1は、プロットC2及びプロットC1よりも高い光電変換効率を示す。なお、ベース層13aの多数キャリア濃度の上限値は、現実的には1.0E+17cm−3位である。
図3は、光電変換効率とキャップ層の厚さとの関係を示す図である。
図3は、キャップ層13bにおける多数キャリア濃度をパラメータとして、1.0E+15〜1.0E+17cm−3の範囲の5水準の多数キャリア濃度において、本実施形態の光電変換素子10の光電変換効率と、キャップ層13bの厚さとの関係をシミュレーションにより求めた結果を示す。
ベース層13aにおける多数キャリア濃度は、6.0E+16cm−3である。
その他のシミュレーションの条件は、図2と同様である。
また、図3には、比較形態1の光電変換層の最大の光電変換効率値である20.8%と、比較形態2の光電変換層の最大の光電変換効率値である22.6%を鎖線で示している。
本実施形態の光電変換素子10の光電変換効率は、キャップ層13bの厚さが10〜130nmの範囲では、比較形態1及び比較形態2よりも高い光電変換効率を示す。
また、本実施形態の光電変換素子10の光電変換効率は、キャップ層13bの厚さが、10〜150nmの範囲であり、且つ、ベース層13aにおける多数キャリア濃度が1.0E+15〜6.0E+16cm−3の範囲にある場合には、比較形態1及び比較形態2よりも高い光電変換効率を示す。
次に、本実施形態の光電変換素子10が比較形態1及び比較形態2よりも高い光電変換効率を示すと推定される理由を、以下に説明する。
図4(A)は、本実施形態の光電変換素子及び比較形態の光電変換素子の光電変換層のエネルギーバンドプロファイルを説明する図である。図4(B)は、本実施形態の光電変換素子の光電変換層のエネルギーバンドプロファイルを説明する図であり、比較形態の光電変換素子の光電変換層のエネルギーバンドプロファイルは示されていない。
図4(A)及び図4(B)において、カーブD1は、本実施形態の光電変換素子10の光電変換層13におけるエネルギーバンドプロファイルを模式的に示している。カーブD2は、比較形態1の光電変換層におけるエネルギーバンドプロファイルを模式的に示している。カーブD3は、比較形態2の光電変換層におけるエネルギーバンドプロファイルを模式的に示している。図4(B)は、図4(A)に示すカーブD1だけを示している。
カーブD1に示すように、ベース層13aのエネルギーバンドギャップは、第1電極層側からキャップ層13b側に向かって減少するように変化している。キャップ層13bにおけるエネルギーバンドギャップは、ベース層13aにおけるエネルギーバンドギャップに対して、ステップ状に増大した後、一定の値を示している。
キャップ層13bにおけるエネルギーバンドギャップが、ベース層13aにおけるエネルギーバンドギャップに対してステップ状に増大する理由は、キャップ層13bがベース層13aとヘテロ接合しており、バンドギャップが異なる半導体層が接合しているためである。
カーブD2に示すように、比較形態1の光電変換素子では、光電変換層におけるエネルギーバンドギャップは、第1電極層側からバッファ層側に向かって減少するように変化する。
カーブD3に示すように、比較形態2の光電変換素子では、光電変換層におけるエネルギーバンドギャップは、第1電極層側からバッファ層側に向かって減少するように変化した後、光電変換層のバッファ層側の表面において、バッファ層側に向かって増大するように変化する。
比較形態2の光電変換素子の光電変換効率が、比較形態1よりも高い理由として、光電変換層におけるエネルギーバンドギャップが、光電変換層のバッファ層側の表面において増大することが一因として考えられる。
本実施形態の光電変換素子10の光電変換効率が、比較形態2よりも高い理由として、キャップ層13bにおけるエネルギーバンドギャップが、ベース層13aにおけるエネルギーバンドギャップに対して、ステップ状に急激に増大していることが一因として考えられる。キャップ層13bにおけるエネルギーバンドギャップが、ベース層13aにおけるエネルギーバンドギャップに対して、ステップ状に急激に増大する増大率は、比較形態2の光電変換層におけるエネルギーバンドギャップが光電変換層のバッファ層側の表面においてバッファ層側に向かって増大する増大率よりも大きいと考えられる。
従って、ベース層13a及びキャップ層13bは、それらのエネルギーバンドギャップが、ステップ状に変化するような異なる組成を有することが好ましいと考えられる。このようなエネルギーバンドプロファイルは、キャップ層13bとベース層13aとのヘテロ接合により実現され得る。
次に、上述した光電変換素子10の製造方法の好ましい一実施形態を、図5〜図8を参照しながら、以下に説明する。
まず、図5に示すように、基板11上に、第1電極層12が形成される。基板11として、例えば、ソーダライムガラス若しくは高歪点ガラス若しくは低アルカリガラス等のガラス基板、ステンレス板等の金属基板、又はポリイミド樹脂等の樹脂基板を用いることができる。基板11は、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属元素を含んでいてもよい。
第1電極層12として、例えば、Mo、Cr、Ti等の金属を材料とする金属導電層を用いることができる。金属導電層を形成する材料は、Se又はS等のVI族元素との反応性の低い材料を用いることが、後述するセレン化法等を用いて光電変換層を形成する時に、第1電極層12が腐食することを防止する観点から好ましい。第1電極層12の厚さは、例えば、0.1〜2μmとすることができる。第1電極層12は、例えば、スパッタリング(DC、RF)法、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法:CVD法)、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition法:ALD法)、蒸着法、イオンプレーティング法等を用いて形成される。
次に、図6に示すように、第1電極層12上に、ベース層13aが形成される。
ベース層13aは、I族元素と、III族元素と、硫黄以外のVI族元素と含むI−III−VI族化合物半導体を用いて形成される。
ベース層13aのI族元素としては、例えば、銅(Cu)又は銀(Ag)又は金(Au)を用いることができる。III族元素として、例えば、ガリウム(Ga)又はインジウム(In)又はAl(アルミニウム)を用いることができる。VI族元素として、例えば、セレン(Se)又は酸素(O)又はテルル(Te)を用いることができる。具体的には、CIS系化合物半導体として、Cu(In、Ga)Se2、CuInSe2等が挙げられる。
ベース層13aを形成する方法として、例えば、(1)I族元素及びIII族元素のプリカーサ膜を形成し、プリカーサ膜と、硫黄以外のVI族元素との化合物を形成する方法(セレン化法)と、(2)蒸着法を用いて、I族元素及びIII族元素及び硫黄以外のVI族元素を含む膜を成膜する方法(同時蒸着法)が挙げられる。
(セレン化法)
プリカーサ膜を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition法:ALD法)、又はインク塗布法が挙げられる。スパッタリング法は、ターゲットであるスパッタ源を用いて、イオン等をターゲットに衝突させ、ターゲットから叩き出された原子を用いて成膜する方法である。原子層堆積法は、原料ガスを交互に供給し、自己停止機構を利用して原子層レベルで原子を堆積させて成膜する方法である。インク塗布法は、プリカーサ膜の材料の粉体、もしくはプリカーサ膜の材料のイオンが、有機溶剤等の溶媒に分散された溶液を第1電極層上に塗布した後、溶媒を蒸発させて、プリカーサ膜を形成する方法である。特に、広い面積を有するプリカーサ膜を、良好な膜厚均一性を有するように形成する観点からは、スパッタリング法を用いて、プリカーサ膜を形成することが好ましい。更に、スパッタリング法は蒸着法に比べて、チャンバー内の真空度を弱く(圧力を高く)できるため、装置コストを低減できる利点がある。
例えば、I族元素としてCuを用い、III族元素としてIn及びGaを用いて、プリカーサ膜が形成される。
I族元素であるCuを含むスパッタ源としては、Cu単体、Cu及びGaを含むCu−Ga、Cu及びInを含むCu−In、Cu及びGa及びInを含むCu−Ga−In等を用いることができる。III族元素であるGaを含むスパッタ源としては、Ga単体、Cu及びGaを含むCu−Ga、Cu及びGa及びInを含むCu−Ga−In等を用いることができる。III族元素であるInを含むスパッタ源としては、In単体、Cu及びInを含むCu−In、Cu及びGa及びInを含むCu−Ga−In等を用いることができる。
Cu及びIn及びGaを含むプリカーサ膜は、上述したスパッタ源を用いて形成される層を単体又は積層して構成され得る。
プリカーサ膜の具体例として、Cu−Ga−In、Cu−Ga/Cu−In、Cu−In/Cu−Ga、Cu−Ga/Cu/In、Cu−Ga/In/Cu、Cu/Cu−Ga/In、Cu/In/Cu−Ga、In/Cu−Ga/Cu、In/Cu/Cu−Ga、Cu−Ga/Cu−In/Cu、Cu−Ga/Cu/Cu−In、Cu−In/Cu−Ga/Cu、Cu−In/Cu/Cu−Ga、Cu/Cu−Ga/Cu−In、Cu/Cu−In/Cu−Ga等が挙げられる。
ここで、上述したCu−Ga−Inは、単体の膜を意味する。また、「/」は、左右の膜の積層体であることを意味する。例えば、Cu−Ga/Cu−Inは、Cu−Ga膜とCu−In膜との積層体を意味する。Cu−Ga/Cu/Inは、Cu−Ga膜とCu膜とIn膜との積層体を意味する。またプリカーサ膜は、これらの膜を更に積層した多重積層構造を有していてもよい。
プリカーサ膜は、I族元素として、Cuと共に、Ag又はAuを含んでいてもよい。また、プリカーサ膜は、III族元素として、Alを含んでいてもよい。
更に、プリカーサ膜は、アルカリ金属又はアルカリ金属化合物を含有してもよい。アルカリ金属としてはリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)があり、アルカリ金属化合物としては、フッ化物(LiF、NaF、KF)、セレン化物(LiSe、NaSe、KSe)等がある。アルカリ金属化合物としてセレン化物を用いる場合、プリカーサ膜中にセレンを含むことになるが、このセレンは、アルカリ金属元素との化合物であって、蒸着法で適用したVI族のように、I族元素又はIII族元素をカルコゲン化(カルコゲン元素との化合物に反応させる)するものではない。
ベース層13aは、上述したプリカーサ膜を、硫黄以外のVI族元素と反応させて形成される。例えば、VI族元素のセレンを含む雰囲気において、プリカーサ膜を加熱することにより、プリカーサ膜とセレンとの化合物が形成(セレン化)されて、ベース層13aが得られる。なお、VI族元素を含むようにプリカーサ膜を形成してもよい。
例えば、まず、プリカーサ膜を、VI族元素であるSeを含む雰囲気において加熱(基板温度が250〜650℃)し、プリカーサ膜とSeとの化合物を形成して、ベース層13aが得られる。Seを含む雰囲気は、例えば、セレン化水素(HSe)、又はセレンを加熱して形成したセレン蒸気を用いて形成することができる。プリカーサ膜と、硫黄以外のVI族元素との反応を複数回行ってもよい。以上が、セレン化法の説明である。
(蒸着法)
蒸着法では、I族元素の蒸着源及びIII族元素の蒸着源及び硫黄以外のVI族元素の蒸着源又はこれら複数の元素を含む蒸着源を加熱し、気相となった原子等を第1電極層12上に成膜して、ベース層13aが形成される。蒸着源としては、上述したセレン化法で説明したものを用いることができる。
上述したように形成されたベース層13aは、この時点で所定の光電変換機能を有している。
次に、図7に示すように、ベース層13a上に、キャップ層13bが形成される。
キャップ層13bを形成する方法として、例えば、(1)スパッタリング法と、(2)蒸着法と、(3)インク法が挙げられる。
(1)スパッタリング法
スパッタリング法の第1形態では、I−III−VI族化合物の結晶(例えば、CuInS結晶)を、ターゲットであるスパッタ源として用いて、イオン等をターゲットに衝突させ、ターゲットから叩き出された原子を用いて、ベース層13a上に、キャップ層13bが形成される。
スパッタリング法の第2形態では、I族元素、III族元素及びセレン以外のVI族元素により形成されるプリカーサ膜を、スパッタリング法を用いて、ベース層13a上に形成した後、積層されたプリカーサ膜をアニールして、キャップ層13bを形成してもよい。アニール雰囲気としては、N又はAr雰囲気や、セレン以外のVI族元素含有雰囲気(HS含有雰囲気や、硫黄蒸気含有雰囲気)、又はこれらの混合雰囲気が挙げられる。
スパッタリング法の第3形態では、I−III族化合物の結晶(例えば、CuIn結晶)又はI族元素膜とIII族元素膜との積層膜を、ターゲットであるスパッタ源として用いて、イオン等をターゲットに衝突させ、ターゲットから叩き出された原子を用いて、ベース層13a上に、I族元素及びIII族元素により形成されるプリカーサ膜が形成される。そして、ベース層13a上のプリカーサ膜を、セレン以外のVI族元素含有雰囲気(HS含有雰囲気や、硫黄蒸気含有雰囲気)においてアニールして、キャップ層13bが形成される。
スパッタリング法としては、具体的には、DCスパッタリング、RFスパッタリング又は反応性スパッタリングを用いることができる。
(2)蒸着法
蒸着法の第1形態では、I−III−VI族化合物の結晶(例えば、CuInS結晶)である蒸着源を加熱し、気相となった原子等をベース層13a上に、キャップ層13bが形成される。
蒸着法の第2形態では、I族元素の蒸着源及びIII族元素の蒸着源及びセレン以外のVI族元素の蒸着源の各蒸着源を加熱し、多源同時蒸着法を用いて、気相となった原子等をベース層13a上に、キャップ層13bが形成される。
(3)インク法
インク法の第1形態では、まず、I−III−VI族化合物の結晶(例えば、CuInS結晶)の粉体が、有機溶剤等の溶媒に分散された溶液をベース層13a上に塗布又は付着した後、溶媒を蒸発させて、プリカーサ膜が形成される。なお、ベース層13aを溶液に浸漬して、ベース層13a上に溶媒を付着させてもよい。そして、ベース層13a上に形成されたプリカーサ膜をアニールして、キャップ層13bが形成される。アニール雰囲気としては、N又はAr雰囲気や、VI族元素含有雰囲気(HS含有雰囲気や、硫黄蒸気含有雰囲気)、又はこれらの混合雰囲気が挙げられる。
インク法の第2形態では、まず、I族元素の粉体又はイオンが溶媒に分散された溶液、III族元素の粉体又はイオンが溶媒に分散された溶液、セレン以外のVI族元素の粉体及びイオンが溶媒に分散された溶液を、ベース層13a上に塗布又は付着した後、溶媒を蒸発させて、プリカーサ膜が形成される。なお、ベース層13aを溶液に浸漬して、ベース層13a上に溶媒を付着させてもよい。そして、ベース層13a上に形成されたプリカーサ膜をアニールして、キャップ層13bが形成される。アニール雰囲気としては、N又はAr)雰囲気や、VI族元素含有雰囲気(HS含有雰囲気や、硫黄蒸気含有雰囲気)、又はこれらの混合雰囲気が挙げられる。
インク法の第3形態では、まず、I−III族化合物の結晶(例えば、CuIn結晶)の粉体が、有機溶剤等の溶媒に分散された溶液をベース層13a上に塗布又は付着した後、溶媒を蒸発させて、プリカーサ膜が形成される。なお、ベース層13aを溶液に浸漬して、ベース層13a上に溶媒を付着させてもよい。そして、ベース層13a上のプリカーサ膜を、セレン以外のVI族元素含有雰囲気(HS含有雰囲気や、硫黄蒸気含有雰囲気)においてアニールして、キャップ層13bが形成される。
インク法の第4形態では、I族元素の粉体又はイオンが溶媒に分散された溶液、III族元素の粉体又はイオンが溶媒に分散された溶液をベース層13a上に塗布又は付着した後、溶媒を蒸発させて、プリカーサ膜が形成される。なお、ベース層13aを溶液に浸漬して、ベース層13a上に溶媒を付着させてもよい。そして、ベース層13a上のプリカーサ膜を、セレン以外のVI族元素含有雰囲気(HS含有雰囲気や、硫黄蒸気含有雰囲気)においてアニールして、キャップ層13bが形成される。
ここで、キャップ層13bを形成する工程では、ベース層13aへの熱的な影響を低減するために、工程の処理を400℃以下の温度で行うことが好ましい。
次に、図8に示すように、光電変換層13上に、i型又はn型の導電性を有するバッファ層14が形成される。バッファ層14は、光電変換層13が吸収する波長の光を透過することが好ましい。
バッファ層14として、例えば、Zn、Cd、Inを含む化合物を用いることができる。Znを含む化合物としては、例えば、ZnO、ZnS、Zn(OH)又はこれらの混晶であるZn(O、S)、Zn(O、S、OH)若しくは(Zn、Mg)O、ZnSnOが挙げられる。Cdを含む化合物としては、例えば、CdS、CdO、Cd(OH)又はこれらの混晶であるCd(O、S)、Cd(O、S、OH)が挙げられる。Inを含む化合物としては、例えば、In、In又はこれらの混晶であるIn(O、S)、In(O、S、OH)が挙げられる。また、バッファ層14は、これらの内の複数の化合物を積層して形成されてもよい。
バッファ層14の形成方法としては、溶液成長法(Chemical Bath Deposition法:CBD法)、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition法:MOCVD法)、スパッタリング法、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition法:ALD法)、蒸着法、イオンプレーティング法等を用いることができる。なお、CBD法とは、プリカーサとなる化学種を含む溶液に基材を浸し、溶液と基材表面との間で不均一反応を進行させることによって薄膜を基材上に析出させるものである。
バッファ層14の厚さは、例えば、数nm〜200nmとすることができる。
バッファ層14が、CBD法を用いて形成される場合には、バッファ層14を形成した後に、基板11にバッファ層14等が積層された積層体を洗浄して、その表面に付着している粒子又は化学種を含む溶液等の残留物を洗浄することが好ましい。洗浄方法としては、例えば、純水を満たした槽内に、積層体を浸漬すること、又はクイックダンプ洗浄が挙げられる。
次に、バッファ層14上に、第2電極層15が形成されて、図1に示す光電変換素子10が得られる。
第2電極層15は、n型の導電性を有し、禁制帯幅が広く且つ低抵抗の材料によって形成されることが好ましい。また、第2電極層15は、光電変換層13が吸収する波長の光を透過することが好ましい。
第2電極層15は、例えば、III族元素(B、Al、Ga、In)がドーパントとして添加された酸化金属を用いて形成される。具体的には、ZnO:B、ZnO:Al、ZnO:Ga等の酸化亜鉛、ITO(酸化インジウムスズ)及びSnO(酸化スズ)が挙げられる。また、第2電極層15として、ITiO、FTO、IZO又はZTOを用いてもよい。
第2電極層15の形成方法としては、例えば、スパッタリング(DC、RF)法、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition法:MOCVD法)、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition法:ALD法)、蒸着法、イオンプレーティング法等を用いることができる。
第2電極層15の厚さは、例えば、0.05〜3μmとすることができる。
また、バッファ層14上に第2電極層15を形成する前に、実質的にドーパントが添加されていない真性な酸化亜鉛膜(i-ZnO)を形成し、この真性な酸化亜鉛膜上に、第2電極層15を形成してもよい。なお、実質的にドーパントが添加されていないとは、意図的にドーパントを添加しておらず、真性であることをいい、意図せずに微量のドーパントが酸化亜鉛膜に含まれることは許容される意味である。
上述した本実施形態の光電変換素子10によれば、高い光電変換効率する。
例えば、特許文献1の光電変換素子の光電変換層は、特許文献1の図3に示すように、光電変換層のエネルギーバンドギャップが、バッファ層側の表面において、光電変換層の厚さ方向において、第1電極層側からバッファ層側に向かって増大するような勾配を有する。このような光電変換層のエネルギーバンドプロファイルは、例えば、光電変換層であるCu(In、Ga)Seの表面を、硫黄含有雰囲気(HS含有雰囲気や、硫黄蒸気含有雰囲気)に曝して、光電変換層の表面のSeの一部を、Sと置換することにより得られる。
しかし、このようにして得られた光電変換層は、S原子濃度の勾配に基づいて光電変換層のエネルギーバンドギャップの勾配が形成されるが、光電変換層が2つの半導体層のヘテロ接合により形成されるものではない。即ち、特許文献1の光電変換素子の光電変換層は、本実施形態の光電変換層13のように、ベース層13aとキャップ層13bとにより形成されるヘテロ接合を有さない。
本実施形態の光電変換素子10は、ベース層13aとキャップ層13bとにより形成されるヘテロ接合に基づいて、キャップ層13bにおけるエネルギーバンドギャップが、ベース層13aにおけるエネルギーバンドギャップに対してステップ状に急激に増大することにより、従来よりも高い光電変換効率が実現されると考えられる。
次に、上述した本実施形態の光電変換素子の変形例を、図9及び図10を参照しながら、以下に説明する。
図9は、本明細書に開示する光電変換素子の一実施形態の変形例を示す図である。
本変型例の光電変換素子10のベース層13aは、第1ベース層13a1及び第2ベース層13a2が積層して形成される。第1ベース層13a1及び第2ベース層13a2それぞれは、I族元素と、III族元素と、硫黄以外のVI族元素と含むI−III−VI族化合物半導体を用いて形成される。第1ベース層13a1は、第1電極層12上に配置され、第2ベース層13a2は、第1ベース層13a1上に配置される。第1ベース層13a1と第2ベース層13a2とは、ヘテロ接合している。
また、本変型例の光電変換素子10のキャップ層13bは、第1キャップ層13b1及び第2キャップ層13b2が積層して形成される。第1キャップ層13b1及び第2キャップ層13b2それぞれは、I族元素と、III族元素と、セレン以外のVI族元素を含むI−III−VI族化合物半導体を用いて形成される。第1キャップ層13b1は、第2ベース層13a2上に配置され、第2キャップ層13b2は、第1キャップ層13b1上に配置され、バッファ層14は、第2キャップ層13b2上に配置される。第1キャップ層13b1と第2ベース層13a2とは、ヘテロ接合している。第1キャップ層13b1と第2キャップ層13b2とは、ヘテロ接合している。
本変型例の光電変換素子10のその他の構成は、上述した実施形態と同様である。
図10(A)及び図10(B)は、変形例の光電変換素子の光電変換層のエネルギーバンドプロファイルの例1〜2を説明する図である。
図10(A)及び図10(B)に示すように、ベース層13aを形成する第1ベース層13a1及び第2ベース層13a2は、エネルギーバンドプロファイルにステップを有していても良いし、又はエネルギーバンドプロファイルが連続していてもよい。図10(A)及び図10(B)の例では、第2ベース層13a2のエネルギーバンドギャップは、第1ベース層13a1のエネルギーバンドギャップよりも低くなっている。
また、図10(A)及び図10(B)に示すように、キャップ層13bを形成する第1キャップ層13b1及び第2キャップ層13b2は、エネルギーバンドプロファイルにステップを有していても良いし、又はエネルギーバンドプロファイルが連続していてもよい。図10(A)及び図10(B)の例では、第2キャップ層13b2のエネルギーバンドギャップは、第1キャップ層13b1のエネルギーバンドギャップよりも高くなっている。
本変形例のように、ベース層13aが複数の層により形成される場合、及び/又はキャップ層13bが複数の層により形成される場合、本明細書では、キャップ層13bのエネルギーバンドギャップと、ベース層13aのエネルギーバンドギャップとの差は、キャップ層13bと接合するベース層13aの部分のエネルギーバンドギャップと、キャップ層13bを形成する層の内で最も大きなエネルギーバンドギャップを有するキャップ層13bの部分のエネルギーバンドギャップとの差をいう。
図10(A)及び図10(B)の例では、キャップ層13bのエネルギーバンドギャップと、ベース層13aのエネルギーバンドギャップとの差は、第2キャップ層13b2と第2ベース層13a2との差を意味する。
そして、キャップ層13bのエネルギーバンドギャップと、ベース層13aのエネルギーバンドギャップとの差は、ベース層13a内の複数の層間のヘテロ接合に基づくエネルギーバンドギャップの差よりも大きいことが、光電変換効率を向上する観点から好ましい。
本発明では、上述した実施形態の光電変換素子及び光電変換素子の製造方法は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、上述した変形例では、ベース層13aは、2つの層により形成されていたが、ベース層13aは、1つ又は3つ以上の層により形成されていてもよい。
また、上述した変形例では、キャップ層13bは、2つの層により形成されていたが、キャップ層13bは、1つ又は3つ以上の層により形成されていてもよい。
10 光電変換素子
11 基板
12 第1電極層
13 光電変換層
13a ベース層
13b キャップ層
14 バッファ層
15 第2電極層

Claims (7)

  1. 第1電極層と、
    前記第1電極層上に配置され、I族元素と、III族元素と、硫黄以外のVI族元素とを含み、硫黄を含まないベース層と、
    前記ベース層上に配置され、I族元素と、III族元素と、セレン以外のVI族元素とを含み、セレンを含まないキャップ層と、を有する光電変換層と、
    前記光電変換層上に配置される第2電極層と、
    を備える光電変換素子。
  2. 前記ベース層の多数キャリア濃度は、2.0E+16cm−3以上である請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記ベース層は、I族元素として銅を含み、III族元素としてインジウム及びガリウムを含み、VI族元素としてセレンを含む請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記キャップ層は、I族元素として銅を含み、III族元素としてインジウムを含み、VI族元素として硫黄を含む請求項1〜3の何れか一項に記載の光電変換素子。
  5. 前記ベース層は、Cu(In,Ga)Seを含み、前記キャップ層は、CuInSを含む請求項4に記載の光電変換素子。
  6. 前記キャップ層の膜厚は、10〜150nmの範囲にある請求項1〜5の何れか一項に記載の光電変換素子。
  7. 前記キャップ層の多数キャリア濃度は、1.0E+15〜6.0E+16cm−3の範囲にある請求項1〜6の何れか一項に記載の光電変換素子。
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