以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、一実施形態に係る住宅の1階平面図である。図2は、一実施形態に係る住宅の2階平面図である。図3は、図1におけるIII−III線に沿った断面図である。図4は、図1におけるIV−IV線に沿った断面図である。本実施形態では、部屋の配置説明を容易にするため、図1及び図2中の上方向を北側として説明する。なお、東西南北の方角については、厳密に決定されるものではなく、45°程度のずれを許容するものとする。
住宅1は、南側が例えば道路に接し、他の3方向は隣地に接した敷地Sに建造されている。敷地Sの南西の角部分には、玄関ポーチPが設けられたアプローチAが配置されている。敷地Sの北東側の領域には、ウッドデッキWが設置されている。また、敷地Sの南側には、道路に接したカーポートCが配置されている。
住宅1は、外周壁2に囲まれた略矩形状の陸屋根形式の2階建て建物である。住宅1は、標準的な家族構成である、夫婦と2人の子供とからなる4人家族の居住を想定した間取りになっている。
続いて、住宅1の構造について詳細に説明する。住宅1は、1階床FFを有する1階と、2階床SFと有する2階と、中間床MFを有する中間階と、を有している。中間床MFは、1階床FFと2階床SFとの中間的高さに位置している。
[1階の構成]
最初に、住宅1の1階について図1を参照しながら説明する。図1に示すように、住宅1の1階には、玄関3、シューズクローゼット4、玄関ホール5、廊下6、主寝室7、ウォークインクローゼット8、子供部屋9、書斎11、多目的室13、トイレ15、及び収納スペース17が形成されている。1階の天井高は、床が低く設定された領域(玄関3、書斎11及び多目的室13)を除き、例えば2400mm程度である。
玄関3は、南西の角部に配置されている。玄関3は、外周壁2により屋外(外部)に設けられた玄関ポーチPと区画されている。外周壁2には、玄関ドア3aが設けられている。玄関3は、玄関ドア3aにより、玄関ポーチPと出入り可能とされている。玄関3の床3fは、玄関ポーチPの床と段差なく連続しており、タイル等の土足歩行可能な床材で仕上げられている。また、玄関3の床3fレベルは1階床FFよりも200mm弱低く設定されている。
シューズクローゼット4は、玄関3に隣接して配置されており、玄関3の土間を形成する床3fから段差なく連続する床4fを有する。玄関3とシューズクローゼット4との間の間仕切り壁には、ドア4aが設けられている。
玄関ホール5は、玄関3に隣接して配置されている。玄関ホール5と玄関3との間には、間仕切り壁等の仕切りはなく、玄関ホール5と玄関3とは連続した一体の空間を構成する。玄関ホール5の床5fにおける、玄関3の床3fとの境界部(段差部)には上がり框が設けられている。
廊下6は、玄関ホール5に対し連続的に配置されている。玄関ホール5と廊下6との間の間仕切り壁には、ドア5aが設けられている。このドア5aは玄関3及び玄関ホール5と他の空間とを遮断し空調効果を高めるものである。廊下6は、玄関ホール5から北側に南北方向に沿って延びると共に、北側の端部から略90°屈曲して東側に向かって東西方向に沿って延びており、平面視において略L字形状を呈している。廊下6により、玄関ホール5、主寝室7、子供部屋9、多目的室13、トイレ15及び収納スペース17が互いに連絡可能とされている。
主寝室7は、北西の角部に配置されている。主寝室7は、夫婦の寝室として使用され、ベッド、鏡台等が設置される。主寝室7の北側の外周壁2には窓7aが、東側の外周壁2には窓7bが夫々設けられている。主寝室7と廊下6との間の間仕切り壁には、ドア7cが設けられている。
ウォークインクローゼット8は、主寝室7の南側に隣接して配置されており、内部の壁面に沿ってハンガーパイプや棚板が設置されている。主寝室7とウォークインクローゼット8との間の間仕切り壁には、ドア8aが設けられている。
子供部屋9は、北東の角部に配置されている。子供部屋9は、2人の子供の学習や就寝の場として使用される。子供部屋9の中央部には、例えば、可動式の収納家具CLが配置されている。収納家具CLにより、子供部屋9は2つの空間に区画されており、夫々の空間にベッドと勉強机が設置される。なお、子供部屋9は将来的に可動式の収納家具を壁際に移動して一つの空間として使用することも可能である。
子供部屋9の北側の外周壁2には、窓9a,9bが設けられている。窓9a,9bは、東西方向において所定の間隔をあけて配置されており、子供部屋9とウッドデッキWとを出入り可能に連絡している。子供部屋9の南側において廊下6に面する部分には、天地丈の4枚引きのドア(建具)9cが設けられている。ドア9cを構成する4枚の障子は夫々独立した溝に沿って東西方向にスライド可能であり、全ての障子が一端に寄せられることにより、3枚分を開放することができる。子供部屋9における2つの空間は夫々1枚以上の障子に面しており、夫々の空間には他方の空間を経由することなく出入りすることができる。ドア9cの面材は、透光性及びある程度(人の気配は感じ取れる程度)の透視性を有する部材からなり、本実施形態では半透明のアクリルパネルである。
書斎11は、南東の角部に配置されている。書斎11は、後述する中間床MFの下方に位置している。書斎11は、1階床FFよりも所定寸法(例えば、400mm程度)低い床11fを有している。書斎11の南側の外周壁2には、東西方向において所定の間隔をあけて同一仕様の2つの窓11a,11bが設けられている。書斎11と多目的室13との間の間仕切り壁には、天地丈の3枚引きのドア11cが設けられている。ドア11cを構成する各障子の構成は、高さ寸法を除きドア9cを構成する障子と略同一である。また、書斎11と玄関ホール5との間の間仕切り壁には、ドア11dが設けられている。書斎11の南側には、外周壁2の内面に沿って、東西方向に延在するカウンター11eが設けられている。カウンター11eは、床座の際の座卓、椅子座の際の腰かけ或いは飾り棚等として利用が可能な高さに設定されている。書斎11の北西側には、収納スペース11gが配置されている。
多目的室13は、東側で且つ子供部屋9と書斎11との間に配置されている。多目的室13の床13fは、書斎11の床11fと同じ高さであり、書斎11の床11fと面一で連続している。多目的室13の東側の外周壁2には、窓13aが設けられている。窓13aは、床13fに居住者が座ったときに、目線の高さ位置となるところに配置されている。また、多目的室13の東側の外周壁2の内面に沿って、南北方向に延在するカウンター13bが設けられている。カウンター13bは、床座の際の座卓、椅子座の際の腰かけ或いは飾り棚等として利用が可能な高さ、且つ、窓13aの下端部の高さ位置と略同等となるように設定されている。多目的室13の上方は、南側の領域は後述する吹抜け部25となっている。
子供部屋9のドア9cと書斎11のドア11cとを開放すると、子供部屋9、多目的室13及び書斎11は、連続した一体的な空間となる。これにより、書斎11から子供部屋9(或いは子供部屋9から書斎11)を見渡すことができる。
トイレ15は、1階の中央部であり、後述する上階段29の下の空間に配置されている。収納スペース17は、廊下6を挟んでトイレ15の向かい側、且つウォークインクローゼット8に隣接して配置されており、廊下6側に折れ戸形式の扉が設置されている。
[中間階の構成]
続いて、住宅1の中間階について図2を参照しながら説明する。図2に示すように、中間階は、中間床MFの上の空間に形成されている。中間床MFは、住宅1の南東の角部において、2階床SFが設けられていない矩形状の領域Rの一部に矩形状に形成されており、図3に示すように、2階床SFよりも所定寸法(例えば、800mm程度)低い位置に形成されている。2階床SFが設けられていない領域Rは、平面視において略矩形状を呈している。図2に示すように、住宅1の中間階には、リビングルーム(第2居室)20が形成されている。
リビングルーム20は、書斎11の上方に位置している。図3に示すように、リビングルーム20の天井面20aは、2階のダイニングキッチン30(後述)の天井面30aと同じ高さとされている。リビングルーム20の天井高(中間床MFから天井面20aまでの高さ寸法)は、例えば3200mm程度である。
図2に示すように、リビングルーム20には、例えば、ソファF及びテレビボードVB等が配置されている。東側の外周壁2から西側の下階段27(後述)にかけて、リビングルーム20の北側の縁部に沿って透視性を有する手摺20bが設けられている。手摺20bの高さは、居住者(例えば、夫婦)の腰の高さ位置程度(例えば中間床MFから900mm程度)とされている。手摺20bとしては、透明のアクリルパネルやガラスパネルからなるもの、或いは、所定の間隔で配列された複数の桟材からなるものを用いることができる。
リビングルーム20の南側の外周壁2には、開閉自在な窓21が設けられている。窓21は、リビングルーム20(住宅1)内への採光及び通風が可能な採光通風窓である。窓21は、2階床SFの高さ位置近傍からリビングルーム20の天井面20a近傍までの高さを有する。詳細には、窓21の下端部は、2階床SFよりも180mm程度高い位置(中間床MFから980mm程度高い位置)に設定され、窓21の上端部は、天井面20aよりも70mm程度低い位置(中間床MFから2130mm程度高い位置)に設定されている。窓21の幅は、2800mm程度であり、リビングルーム20の南側の外周壁2の略全体にわたって設けられている。この窓21は、2階の居室部分に一般的に用いられるものである。
窓21は、略全開放型の折り畳み窓である。窓21は、ガラスと枠体とを有する複数(本実施形態では4枚)の障子21a,21b,21c,21dと窓枠とにより構成されている。4枚の障子21a〜21dのうち、2枚の障子21a,21b及び21c,21d(窓21の幅方向の端部に位置する障子21a及び21dとその内側に位置する障子21b及び21c)は、ヒンジ(蝶番)で連結されており、障子体(窓部)21A,21Bをそれぞれ構成している。つまり、窓21は、2組の障子体21A,21Bと窓枠とにより構成されている。
障子21a〜21dは、東西方向に沿ってスライド可能に設けられている。障子体21A,21Bは、図2に示すように、それぞれを両端部側にスライドさせると障子21a〜21dが外側に突出して折り畳まれ、それぞれ一端部に寄せられる。具体的には、障子体21A,21Bにおいては、各障子21a〜21dの上枠及び下枠の端部(ヒンジで連結されていない側)寄りの位置からは軸部材が上方向及び下方向に突設しており(合計4本の軸部材)、軸部材が窓枠の上下のレール部に回転及び摺動自在に噛み合うことで、障子体21A,21Bのスライド及び外側に突出させて折り畳むことが可能となっている。2組の障子21a,21b及び21c,21dは一端に寄せることも、両端に振り分けることも可能とされている。
リビングルーム20の南側の外周壁2の外側には、庇22が配置されている。庇22は、窓21の上端近傍に配置されており、外周壁2から外側に突出している。庇22の外周壁2からの突出寸法は、窓21が開けられたとき、すなわち障子21a〜21dが外側に突出したときの障子21a〜21dの外周壁2からの突出寸法と略同等とされている。つまり、庇22の先端22aは、障子21a〜21dが外側に突出したときの先端の位置に略一致している。また、庇22の幅寸法は、窓21の幅寸法と略同等とされている。
図2及図4に示すように、リビングルーム20とベランダ36とを区画する外周壁2には、窓23が設けられている。窓23は、透明なガラスを有する横すべり出し窓である。窓23の下端部は、中間床MFから1200mm程度高い位置(2階床SFよりも400mm程度高い位置)に設定され、窓23の上端部は、中間床MFから2000mm程度高い位置(2階床SFから1200mm程度高い位置、天井面20aから1200mm程度低い位置)に設定されている。つまり、窓23は、外周壁2において、ベランダ36から見て下端側に配置されている。また、窓23の上端部は、後述するベランダ36に設けられた物干し金物37a,37bの取り付け位置よりも下方に設定されており、窓23の南側(ベランダ36から窓23を見た場合の右側)の端部は、図2(図5も参照)に示すように、後述するベランダ36に設けられた物干し金物37a,37bの先端部よりも北(外観視で左)に位置している。
リビングルーム20の北側には、吹抜け部25が形成されている。吹抜け部25は、2階床SFが設けられていない領域Rにおいて、中間床MFが形成されていない領域に設けられている。詳細には、吹抜け部25は、リビングルーム20と子供部屋9との間に位置し、東側の領域は1階の多目的室13の上方に位置している。図3に示すように、吹抜け部25の天井面25aは、リビングルーム20の天井面20aと同じ高さとされている。すなわち、リビングルーム20の天井面20a、吹抜け部25の天井面25a及びダイニングキッチン30の天井面30aは、全て同じ高さとされており、略面一となっている。
リビングルーム20から北側を見下ろすと、吹抜け部25を介して、子供部屋9のドア9cを視認することができ、ドア9cが開放されている場合に子供部屋9内部の様子が伺えるのはもちろん、ドア9cが閉鎖されている場合も、面材が半透明のアクリルパネルからなるので、子供部屋9内部の様子をぼんやりと視認することができる。
吹抜け部25内の西側には、1階床FFと中間床MFとを連絡する下階段27と、中間床MFと2階床SFとを連絡する上階段29と、が形成されている(吹抜け部25は下階段27及び上階段29が形成された領域も含む概念である)。下階段27は、直線状の階段であり、1階の廊下6と中間階(リビングルーム20)とを連絡する。
上階段29は、下階段27の西側に下階段27と桁側面(長辺)同士が隣接するように配置されており、中間階(リビングルーム20)と2階(ダイニングキッチン30)とを連絡する。上階段29は、2階床SFに連続し且つ2階床SFと面一に延在する平坦部分29aと、平坦部分29aの南側の端部と中間床MFとを直線的に連結する傾斜部分29bと、を有する。平坦部分29aは、踊り場として機能する。
[2階の構成]
続いて、住宅1の2階について図2を参照しながら説明する。図2に示すように、住宅1の2階には、ダイニングキッチン(第1居室)30と、ユーティリティ室32と、浴室34と、ベランダ(外部室)36と、ベランダ40と、トイレ42と、が形成されている。
ダイニングキッチン30は、2階の北側に配置されている。ダイニングキッチン30は、2階床SF上の空間に形成された居室である。ダイニングキッチン30は、1階の主寝室7及び子供部屋9の上方に位置している。図3に示すように、ダイニングキッチン30の天井面30aの高さ寸法は、2階床SFから2400mm程度とされている。ダイニングキッチン30の天井面30aは、リビングルーム20の天井面20a及び吹抜け部25の天井面25aと同じ高さとされている。これにより、リビングルーム20、吹抜け部25及びダイニングキッチン30は、一体的な空間となっている。ダイニングキッチン30から南側を見ると、吹抜け部25を介して、リビングルーム20は見下ろす位置に配置されている。
ダイニングキッチン30に北東側の外周壁2には、東西方向に沿って所定の間隔をあけて同一の構成の3つの窓30b,30c,30dが並設されている。ダイニングキッチン30の東側の外周壁2には、南北方向に沿って所定の間隔をあけて同一の構成の2つの窓30e,30fが並設されている。
ダイニングキッチン30は、東西方向に延在しており、東側に食堂スペース30gが設けられている。食堂スペース30gには、例えばダイニングセットDが配置されている。ダイニングキッチン30の西側には、台所スペース30hが設けられている。台所スペース30hには、キッチンセット(厨房設備)31が配置されている。キッチンセット31は、アイランド型であり、南側を向いて作業するようにシンクや加熱調理機器(IHクッキングヒーター、ガスコンロ等)が配置されている。
ダイニングキッチン30の北側(キッチンセット31の北側)には、冷蔵庫置き場(冷蔵庫)30i、家電品置場を兼ねた食器棚30jが配置されている。冷蔵庫置き場30iは、キッチンセット31の加熱調理機器の北側に配置されている。食器棚30jは、ダイニングキッチン30の北側の外周壁2の内面に沿って、東西方向に延在している。ダイニングキッチン30の南西側には、食品や飲料等を収納するパントリー30kが配置されている。パントリー30kの東側には、パントリー30kに隣接して収納棚30nが配置されている。ダイニングキッチン30の西側及び北側には、アイロンがけ等の家事や子供の学習などに使用できる作業スペース30lが配置されている。作業スペース30lには、カウンター30mが設けられている。ダイニングキッチン30の南側において吹抜け部25に面する縁部には、透視性を有する手摺30qが設けられている。手摺30qとしては、透明のアクリルパネルやガラスパネルからなるもの、或いは、所定の間隔で配列された複数の桟材からなるものを用いることができる透視性を有するパネルからなるもの、或いは、所定の間隔で配列された複数の桟材からなるものを用いることができる。
ユーティリティ室32は、2階の南西側に配置されている。詳細には、ユーティリティ室32は、ダイニングキッチン30の南側で、且つ、リビングルーム20の西側に配置されている。ユーティリティ室32は、平面視において略L字形状を呈している。詳細には、ユーティリティ室32は、ダイニングキッチン30から南側に向かって南北方向に延在する第1スペース32Aと、第1スペース32Aの南側の端部から西側に向かって東西方向に延在する第2スペース32Bとを有している。
ユーティリティ室32とダイニングキッチン30との間の間仕切り壁には、ドア32aが設けられている。ドア32a(ユーティリティ室32の入口)を開放した状態で、居住者がキッチンセット31の加熱調理機器の前に立つと、ユーティリティ室32内及び後述するベランダ36を見渡すことができる。ユーティリティ室32には、洗濯機置き場32bと、洗面化粧台32cと、収納スペース32dと、が配置されている。
洗濯機置き場32bは、洗濯機を配置するスペースであって、給排水設備を備え、第2スペース32Bの西側の突き当りに配置されている。洗面化粧台32cは、第1スペース32Aの南側に位置し、洗濯機置き場32bに対向する位置に配置されている。収納スペース32dは、第1スペース32Aの北側で洗面化粧台32cに隣接して配置されている。
浴室34は、ダイニングキッチン30とユーティリティ室32の第2スペース32Bとの間に配置されている。浴室34には、南側にドア34aが設けられている。ドア34aは、浴室34とユーティリティ室32の第2スペース32Bとを出入り可能に連絡している。浴室34には、西側にバスタブ34bが配置されている。浴室34の西側の外周壁2には、窓34cが設けられている。
ベランダ(外部室)36は、南西の角部に配置されている。ベランダ36は、ユーティリティ室32及びリビングルーム20に隣接している。ベランダ36とユーティリティ室32との間の外周壁2には、掃出しタイプの窓36aが設けられている。窓36aにより、ユーティリティ室32とベランダ36とが出入り可能に連絡されている。図4に示すように、ベランダ36の上方は陸屋根38で覆われ、当該陸屋根38の下面には軒天井38aが設けられている。軒天井38aにおけるリビングルーム20の外周壁2側の部分は、陸屋根38及び軒天井38aが矩形状に取り除かれて陸屋根38を貫通する開口部39が形成されている。ベランダ36の西側の縁部には、手摺36bが設けられている。
図5は、ベランダを西側から見た図である。図2及び図5に示すように、ベランダ36には、物干し設備として物干し金物37a,37bが設けられている。物干し金物37a,37bは、物干し竿を挿通したりハンガー等を引っ掛けたりするための複数の孔を有し、図2に示すように、外部壁2aの内側面において東西方向で所定の間隔をあけて北側に向かって突出するように設けられている。物干し金物37a,37bの床36fからの高さ寸法は、例えば1800mm程度である。つまり、物干し金物37a,37bは、窓23の上端部よりも上方に位置している。この構成により、図5に示すように、洗濯物Lが物干し金物37a,37bに支持された物干し竿に掛けられたときに、例えば、シャツ等の比較的丈の短い洗濯物Lが窓23の上端部よりも上方に位置する。また、物干し金物37a,37bの先端部の位置は、窓23の南側(外部壁2a側)の端部よりも北に位置している。
図2に示すように、ベランダ40は、北西の角部に配置されている。ベランダ40とダイニングキッチン30との間の外周壁2には、掃出しタイプの窓40aが設けられている。窓40aは、ダイニングキッチン30とベランダ40とを出入り可能に連絡している。ベランダ40の西側の縁部には、手摺40bが設けられている。
図2に示すように、トイレ42は、北側においてダイニングキッチン30に隣接して配置されている。
住宅1の外周壁2の南西の角部には、庇46が設けられている。庇46は平面視でL字状であり、玄関ポーチPを覆うように配置されている。外周壁2における子供部屋の窓9a,9bの上方の位置には、庇48が設けられている。庇48は、ウッドデッキWを覆うように配置されている。外周壁2における主寝室7の窓7a上方の位置には、庇50が設けられている。
以上説明したように、本実施形態に係る住宅1では、南東の角部に2階床SFが設けられていない領域Rを有し、領域Rの南側には、1階床FFと2階床SFとの中間の中間床MFが設けられている。中間床MF上には、リビングルーム20が形成されている。領域Rにおいてリビングルーム20の北側には、吹抜け部25が形成されている。住宅1の2階の北には、ダイニングキッチン30が形成されている。そして、リビングルーム20の天井面20a、吹抜け部25の天井面25a及びダイニングキッチン30の天井面30aの高さは、いずれも同等となっている。
このように、住宅1では、南側のリビングルーム20と北側のダイニングキッチン30との間で高さ方向のずれが小さい(ずれが無い)。したがって、住宅1では、リビングルーム20とダイニングキッチン30とが一体的な連続した空間となるため、開放感がある空間を実現することができる。また、住宅1では、リビングルーム20及びダイニングキッチン30の一体的な空間において、最も高い位置の天井面20a,30aと最も低い位置のリビングルーム20の床面(中間床MF)との高さの差が小さいため、高さ方向での温度分布に差が生じ難い。したがって、住宅1では、空調時の温度差を小さくすることができ、全体として温熱的な快適性を維持し易い。
本実施形態では、1階の北東の角部に子供部屋9が配置されており、子供部屋9と廊下6との間仕切りは、半透明のアクリルパネルを面材とするドア9cである。ドア9cは、天地丈のスライド式である。したがって、ドア9cを開放することにより、子供部屋9とリビングルーム20とを一体的な空間にすることができる。また、ドア9cを閉めることにより、子供部屋9においてプライバシーを保護することができる。このとき、ドア9cを閉じた場合であっても、面材が半透明であるため、リビングルーム20側からの光を吹抜け部25を介して子供部屋9に取り入れること、更には子供部屋9外の空間から子供部屋9内の気配を感じ取ることができる。
本実施形態では、リビングルーム20の南側の外周壁2に開閉自在な窓21が設けられている。これにより、リビングルーム20を開放的な空間とすることができ、且つ、リビングルーム20に光を取り入れることができると共に、換気を行うこうことができる。また、窓21の下端部は、中間床MFから980mm程度高い位置(2階床SFよりも180mm程度高い位置)に設けられている。つまり、窓21の下部は、外周壁2となっている。これにより、例えば住宅1の南側に他の住宅が隣接して建てられている場合であっても、リビングルーム20の下部が外周壁2により外部から視認されないため、居住者のプライバシーを保護することができる。また、窓21の上端部がリビングルーム20の天井面20a近傍に位置しているため、特に夏季において天井面20a近傍に滞留する熱気を効果的に排出することができる。
ここで、窓21の上端部の高さを維持しつつ、窓21の下端部を中間床MF近傍の高さとすると、窓21の高さ寸法が大きくなる(例えば、3000mm程度)。この場合、窓21自体のコストが高くなると共に、窓21に合わせたカーテン(窓掛け)を作成する必要があり、その分もコストが高くなる。本実施形態では、窓21の高さ寸法は、2200mm程度であるため、一般的に市販されている窓及びカーテンを用いることができる。したがって、コストの増大を抑制できる。また、リビングルーム20の南側の一部(下部側)を外周壁2とすることにより、家具のレイアウトを行い易くなる。
本実施形態では、窓21は、障子21a,21b,21c,21dにより構成されており、障子21a〜21dは、東西方向に沿ってスライド可能に設けられており、障子体21A,21Bをそれぞれ構成している。障子体21A,21Bでは、障子21a,21b及び21c,21dのそれぞれを両端部側にスライドさせると障子21a,21b及び21c,21dが外側に突出して折り畳まれ、それぞれ一端部に寄せられる。このように、窓21を複数の障子21a〜21dで構成すると、窓21を開けたときに、障子21a,21b及び21c,21dが外側に突出する。これにより、障子21a,21b及び21c,21dが袖壁として機能する。これにより、リビングルーム20の内部が建物外部の横方向から見え難くなるためプライバシーを保護することができると共に、横方向からの雨の吹き込みを抑制することができる。
本実施形態では、窓21の上方に庇22が設けられている。これにより、窓21との協働により、雨の吹き込みを更に抑制することができる。
本実施形態では、ダイニングキッチン30にアイランド型のキッチンセット31が配置されている。これにより、キッチンセット31が配置された空間が閉鎖的とならないため、キッチンセット31において開放感を得ることができる。
本実施形態では、ダイニングキッチン30に連通すると共にリビングルーム20の西側に形成されたユーティリティ室32と、ユーティリティ室32に連通するベランダ36とを備えている。ユーティリティ室32とベランダ36とは、南北方向において連続して配置されており、キッチンセット31は、ダイニングキッチン30において西側に配置されている。このような構成により、家事を行う際の動線を短くすることができる。また、ダイニングキッチン30の西側にキッチンセット31を配置することにより、ダイニングキッチン30の東側の空間とリビングルーム20とを更に一体的且つ開放的な空間とすることができる。
本実施形態では、リビングルーム20とベランダ36とが外周壁2を介して隣接しており、外周壁2に窓23が設けられている。窓23の下端部は、2階床SFよりも所定高さ(400mm程度)高い位置とされている。これにより、例えば外周壁2側にテレビボードVBを配置してテレビボードVBにテレビ等を配置した場合であっても、テレビと窓23とが重ならない。また、ベランダ36に配置した例えば植物等がリビングルーム20にいる居住者の視野に入り易くなる。また、窓23の上端部を物干し金物37a,37bよりも下方とすることにより、物干し金物37a,37bにおいて洗濯物Lを干しているときに、リビングルーム20にいる居住者の視野に洗濯物Lが入り難くなる。
本実施形態では、軒天井38a及び軒天井38a上部の陸屋根38には、外周壁2側の位置に、軒天井38a及び陸屋根38を貫通する開口部39が設けられている。これにより、開口部39を介して窓23からリビングルーム20に光を取り入れることができる。また、ベランダ36において窓23付近に植物を配置している場合には、その植物に開口部39を介して光を当てること及び水分(雨や露)を供給することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、窓21において、障子21a,21b及び21c,21dが両端部のそれぞれにスライドして配置される構成を一例に説明したが、障子21a〜21dが一端側にスライドしてまとめて配置される構成であってもよい。
上記実施形態では、物干し金物37a,37bがベランダ36の外周壁2の内面側に配置されている構成を一例に説明したが、物干し金物は、軒天井38aから吊り下げられる垂下式であってもよい。
また、窓23の下端部の高さは2階床SFから0〜400mmの範囲、且つ雨仕舞上問題ない範囲で適宜設定できる。2階床SFからある程度情報に設定することで、鉢やプランターは窓23下方の外周壁で視野から除外され、植物のみが視野に入るようにすることができる。
上記実施形態において示した寸法は、一形態を例示するものであり、変更が可能である。