以下、本発明の住宅の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1から図6は、本発明の住宅の一実施例を示す図であり、図1は一階の構成を示す平面視の間取り図、図2は二階の構成を示す平面視の間取り図、図3は三階の構成を示す平面視の間取り図、図4は正面図、図5は右側面図、図6は図4における概略A-A断面図である。本実施例の住宅1は、複数階建ての戸建て住宅であって、二階の天井の高さよりも高く形成されて外壁2との間に間隔をあけて屋外に配置される壁3を有している。ここでは、住宅1は、三階建ての戸建て住宅とされ、住宅1が有する壁3は、右側面視において住宅1の一階部分、二階部分および三階部分の一部を覆う高さに形成されている。なお、壁3の上端部は、前後方向中央部が前後両端部よりも高い凸形状に形成されている。具体的には、壁3は、前後方向中央部が住宅1の三階部分の上下方向中央部まで延出して形成され、残りの前後両端部が住宅1の三階部分の下端部まで延出して形成されている。
住宅1が有する壁3は、平面視略矩形状の住宅1の右側の外壁2との間に左右方向へ間隔をあけて立設される。この際、壁3は、板面を左右に向けて配置される。また、壁3は、外壁2の前後方向ほぼ全体を覆うように形成されている。このような壁3を有する本実施例の住宅1は、一階に外壁2から壁3へ膨出して設けられる膨出空間4と、この膨出空間4に面して設けられる屋外の一方側吹き抜け空間5とを備える。
膨出空間4は、平面視略矩形状で、住宅1の一階において右側の外壁2から壁3へ膨出して設けられる。膨出空間4は、左側面へ開口して屋内空間と連通し、右側壁が前記壁3とされて、壁3に面する空間とされる。なお、本実施例では、膨出空間4と連通する屋内空間は、後述する廊下6とされる。膨出空間4の前後一対の外壁部7,8は、住宅1の右側の外壁2と壁3とを架け渡すように設けられる。前後一対の外壁部7,8は、膨出空間4の天井よりも上方へ延出して形成される。本実施例では、前後一対の外壁部7,8は、住宅1の三階の上下方向中央部まで延出して形成され、前側の外壁部7が住宅1の右側の外壁2と壁3の前後方向中央部の前端部との間を架け渡すように設けられ、後側の外壁部8が住宅1の右側の外壁2と壁3の前後方向中央部の後端部との間を架け渡すように設けられる。すなわち、前後一対の外壁部7,8と壁3の前後方向中央部とはほぼ同一高さに形成される。
膨出空間4内には、炉などが設けられて茶事を行うことができる茶室9が設けられる。茶室9は、平面視略矩形状で、周囲が壁に囲まれている。本実施例の茶室9は、右側壁が壁3とされ、それ以外の前後壁10,11および左側壁12を有しており、膨出空間4の後側の外壁部8との間に間隔をあけて配置される。すなわち、茶室9の後壁11と膨出空間4の後側の外壁部8との間には空間13が形成される。この空間13は、住宅1の屋内空間である廊下6と連通して、廊下6と互いに行き来可能とされる。
茶室9の前側には、茶室9で使用した茶碗などを洗うことができる洗い場14が隣接して配置される。洗い場14は、平面視略矩形状で、茶室9の前壁10と膨出空間4の前側の外壁部7との間に設けられる。洗い場14と茶室9との間の壁(茶室9の前壁10)には、それらの間を行き来できるように出入口15が設けられ、その出入口15には戸16が開閉可能に設けられる。洗い場14と屋内空間である廊下6との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口17が設けられ、その出入口17には戸18が開閉可能に設けられる。一方、茶室9の後側には、前述したように廊下6と連通する空間13が配置される。空間13と茶室9との間の壁(茶室9の後壁11)には、それらの間を行き来できるように出入口19が設けられ、その出入口19には戸20が開閉可能に設けられる。
一方側吹き抜け空間5は、平面視略矩形状で、膨出空間4の後側に膨出空間4に面して配置される。本実施例の一方側吹き抜け空間5は、膨出空間4の一方の外壁部である後側の外壁部8、この後側の外壁部8に対面して配置される一方側壁体21、住宅1の右側の外壁2の後端部および壁3の後端部により囲まれた屋外の空間で、上方へ開口して形成される。ここで、一方側壁体21は、住宅1の右側の外壁2の後端部と壁3の後端部とを架け渡すように設けられ、板面を前後に向けて配置される。この際、一方側壁体21は、膨出空間4の後側の外壁部8との間に後方へ間隔をあけて配置される。本実施例では、一方側壁体21は、住宅1の三階部分の下端部まで延出し、壁3の後端部とほぼ同一高さに形成される。なお、一方側壁体21の上部には、前後に貫通して略矩形状の貫通穴22が形成される。
一方側吹き抜け空間5と膨出空間4との間の壁(後側の外壁部8)には、それらの間を行き来できるように出入口23が設けられ、その出入口23には戸24が開閉可能に設けられる。この出入口23は、茶室9の後壁11に形成された出入口19と前後に対応して配置される。従って、一方側吹き抜け空間5と膨出空間4内の茶室9とは、後側の外壁部8に形成された出入口23を介して行き来可能とされる。また、一方側吹き抜け空間5には、左面へ開口して、一方側吹き抜け空間5と屋外とを行き来可能とする出入口25が設けられる。
一方側吹き抜け空間5内には、前記出入口25から後側の外壁部8に形成された出入口23にかけて、床部に飛石26が設けられる。また、一方側吹き抜け空間5内には、客人が腰をおろすことができる椅子27、および手水鉢28が設けられる。さらに、一方側吹き抜け空間5内には、庭木29が適宜に設けられる。このようにして、一方側吹き抜け空間5は、茶室9に隣接して設けられる露地とすることができる。
膨出空間4と連通する住宅1の屋内には、廊下6が設けられる。この廊下6は、茶室9の壁3側とは逆側の壁部に面して設けられる。すなわち、廊下6は、茶室9の出入口15,19が形成されていない左側壁12に面して配置される。廊下6の長手方向の両端部の内、一方側吹き抜け空間5が配置された側の端部とは逆側の端部に、展示物を展示する居室である展示空間30が設けられる。本実施例では、展示空間30は、平面視略矩形状で、前後方向へ延出する廊下6の前端部に設けられる住宅1の屋内空間である。この際、展示空間30は、茶室9および前側の外壁部7よりも前方で、住宅1の前側の外壁31および住宅1の右側の外壁2の前端部に面して配置される。
茶室9と廊下6とは、互いに行き来可能とされる。本実施例では、茶室9からその後壁11の出入口19を介して空間13へ出て、その空間13の左端部に連続して形成される廊下6へ出ることができる。また、廊下6と展示空間30とは、互いに行き来可能とされる。本実施例では、廊下6と展示空間30とは、連続して形成されており、互いに行き来可能とされる。従って、茶室9から廊下6を通って展示空間30へ移動することができる。展示空間30には、椅子や机などが配置され、茶室9からの客人を展示空間30に招いて談笑する談笑スペースとしても利用することができる。
一方、廊下6の長手方向の両端部の内、一方側吹き抜け空間5が配置された側の端部には、住宅1の玄関33が配置される。本実施例では、廊下6の後端部に玄関33が設けられており、具体的には、住宅1の後側の外壁32に廊下6と屋外とを互いに行き来可能とする玄関口34が形成され、その玄関口34に玄関扉35が開閉可能に設けられる。なお、本実施例では、一階部分において、住宅1の後側の外壁32と膨出空間4の後側の外壁部8とが連続しており、住宅1の玄関口34と後側の外壁部8に形成された出入口23とが隣接して配置される。
展示空間30および膨出空間4に面して、住宅1の右側の外壁2と壁3との間には、他方側吹き抜け空間36が設けられる。他方側吹き抜け空間36は、平面視略矩形状で、膨出空間4の前側に隣接して配置されると共に、展示空間30の右側に隣接して配置される。具体的には、他方側吹き抜け空間36は、膨出空間4の他方の外壁部である前側の外壁部7、この前側の外壁部7に対面して配置される他方側壁体37、住宅1の右側の外壁2の前端部および壁3の前端部により囲まれた屋外の空間で、上方へ開口して形成される。ここで、他方側壁体37は、住宅1の右側の外壁2の前端部と壁3の前端部とを架け渡すように設けられ、板面を前後に向けて配置される。この際、他方側壁体37は、膨出空間4の前側の外壁部7との間に前方へ間隔をあけて配置される。本実施例では、他方側壁体37は、住宅1の前側の外壁31と連続して形成されており、住宅1の三階部分の下端部まで延出して壁3の前端部とほぼ同一高さに形成される。
他方側吹き抜け空間36と展示空間30との間の壁(住宅1の右側の外壁2)には、前後に離隔して掃き出し窓38が設けられる。従って、他方側吹き抜け空間36と展示空間30とは、掃き出し窓38を介して互いに行き来することができる。なお、本実施例では、他方側吹き抜け空間36と茶室9に隣接する洗い場14との間の壁(前側の外壁部7)に小窓39が設けられる。
このようにして、住宅1の右側には、茶室9、両吹き抜け空間5,36、廊下6および展示空間30が配置される。一方、住宅1の左側には、車庫40、トイレ41、階段42およびエレベータ43などが配置される。車庫40は、住宅1の内部に設けられるビルトインガレージであって、平面視略矩形状で後側に車の出入口44が開口している。具体的には、車庫40は、茶室9に隣接する廊下6の左側であって、廊下6の前後方向中途部から左方へ延出する廊下45およびその廊下45の先の空間46の後側に配置される。本実施例では、住宅1の一階部分において、廊下6と車庫40との間の壁から後方へ延出して袖壁47が設けられており、袖壁47の右側に、廊下6と玄関口34を介して行き来可能とされる玄関ポーチ48が設けられる。すなわち、一方側吹き抜け空間5は、一階部分において左方へ膨出して形成されており、その膨出部に前記玄関ポーチ48が設けられる。また、本実施例では、袖壁47と一方側壁体21との間に形成された開口が一方側吹き抜け空間5と屋外とを行き来可能とする出入口25とされる。従って、一方側吹き抜け空間5と車庫40とが出入口25を介して行き来可能とされる。また、車庫40の左側の壁49は、住宅1の左側の外壁から後方へ延出する袖壁である。
廊下6の前後方向中途部から左方へ延出して形成される廊下45と車庫40との間の壁、および廊下45の先の空間46と車庫40との間の壁は、連続して形成されており、廊下6と玄関ポーチ48との間の壁よりも前方に配置される。すなわち、住宅1の後側の外壁32は、一階部分において、段付き状に形成される。廊下45の左端部に設けられる空間46は、平面視略矩形状で、廊下45および車庫40と互いに行き来可能とされる。具体的には、空間46と廊下45との間の壁に出入口50が設けられ、その出入口50には戸51が開閉可能に設けられる。また、空間46と車庫40との間の壁に出入口52が設けられ、その出入口52には戸53が開閉可能に設けられる。なお、本実施例では、茶室9と一方側吹き抜け空間5との間の空間13、廊下6、展示空間30、廊下45および空間46は、土足で歩いてもよい空間である土間部から形成される。
左右方向へ沿って延出する廊下45の前側には、靴などの外履きを脱いであがる平面視略矩形状の床部54が設けられる。床部54の左端部から前方へ延出して、廊下55が設けられる。廊下55の先である前方には、平面視略L字形状のトイレ41が設けられる。トイレ41は、廊下55へ開口しており、その開口部には戸56が開閉可能に設けられる。また、廊下55と展示空間30との間には、平面視略矩形状の収納部57が設けられる。収納部57は、廊下55側へ開口しており、その開口部には戸58が開閉可能に設けられる。なお、本実施例の収納部57は、展示空間30側へ開口しており、展示空間30から収納部57内の被収納物を取り出すことができる。従って、たとえば、収納部57にワインなどの酒類とグラスを置いておくことで、展示空間30側から酒とグラスを取り出して、展示空間30で酒を酌み交わしながら談笑することができる。
廊下55の前後方向中途部から左方へ延出して廊下59が設けられ、その廊下59の先である左端部には、エレベータ43が設置される。廊下59の後側には、前述した空間46が配置される。廊下59と空間46との間の壁には、互いを行き来可能とする出入口60が設けられ、その出入口60には戸61が開閉可能に設けられる。さらに、廊下55の前端部の左側には、住宅1の一階と二階とを接続する階段42が接続される。この階段42は、住宅1の前側左隅部に配置される。
次に、本実施例の住宅1の二階の構成について説明する。住宅1の上階である二階には、他の二階の空間よりも大きい空間からなる居室62が住宅1の外壁2に面して配置される。本実施例では、居室62は、台所63、食堂64および居間65を有するLDKとされ、住宅1の前後方向中央部に住宅1の右側の外壁2に面して配置される。このLDK62では、左側に台所63が配置され、その台所63の右側に連続するようにして食堂64および居間65が前後方向へ連続して配置される。LDK62と壁3との間には、LDK62と互いに行き来可能な床部66が設けられる。本実施例では、床部66は、平面視略矩形状に形成されており、LDK62が面する住宅1の右側の外壁2と壁3とを架け渡すように設けられる。LDK62と床部66との間の壁(住宅1の右側の外壁2)には、掃き出し窓67が設けられており、これにより、LDK62と床部66とが互いに行き来可能とされる。なお、LDK62の食堂64の後端部は、一方側吹き抜け空間5の前端部の左側に配置される。LDK62と一方側吹き抜け空間5との間の壁(住宅1の右側の外壁2)には、窓68が設けられる。
住宅1の二階に配置される床部66は、住宅1の一階に配置される膨出空間4の天井の上方に配置される。そして、床部66の前側の開口部は、前側の外壁部7により閉塞され、床部66の後側の開口部は、後側の外壁部8により閉塞される。すなわち、床部66を床とする壁で囲まれた空間は、一階の膨出空間4の直上階とされる。このようにして、床部66は、床部66よりも上方へ延出して形成される前側の外壁部7に面して配置されると共に、床部66よりも上方へ延出して形成される後側の外壁部8に面して配置される。なお、本実施例では、床部66を床とする壁で囲まれた空間は、天井を有している。
LDK62の居間65の前側には、床から二階の天井まで吹き抜ける吹抜け空間である展示空間30が配置される。展示空間30とLDK62との間の壁、および展示空間30と他方側吹き抜け空間36との間の壁(住宅1の右側の外壁2)には、窓69,70が設けられる。LDK62の居間65の前端部から前方へ延出して廊下71が設けられ、その廊下71の先の外壁31には窓72が設けられる。廊下71とLDK62との間の壁には、それらの間を互いに行き来できるように出入口73が設けられ、その出入口73には戸74が開閉可能に設けられる。
廊下71の前部には、右方へ延出して廊下75が設けられ、その廊下75の先には前記展示空間30が配置される。廊下75と展示空間30との間の壁には、窓76が設けられる。廊下71の前部の左側には、住宅1の一階と二階とを接続する前述した階段42が接続される。この階段42と廊下71を介して連続するようにして、廊下71の前部の左側には、住宅1の二階と三階とを接続する階段77が接続される。廊下75の後側には、トイレ78が設けられる。トイレ78は、LDK62の居間65の前側であって、廊下71と展示空間30との間に配置される。トイレ78は、廊下75へ開口しており、その開口部には戸79が開閉可能に設けられる。廊下75の前側には、トイレ78と対向するようにして、手などを洗う洗面台80が設けられる。
廊下71の後部には、左方へ延出して廊下81が設けられ、その廊下81の先である左端部にはエレベータ43が設置される。廊下81の後側には、平面視略矩形状の収納室82が設けられる。収納室82は、LDK62の台所63の前側であって、LDK62の居間65の左側に配置される。収納室82と廊下81との間の壁には、それらの間を互いに行き来可能にする出入口83が設けられ、その出入口83には戸84が開閉可能に設けられる。なお、本実施例では、収納室82は、展示空間30に展示する展示物を保管する空間である。従って、閉じられた空間で次に展示する展示物を見渡すことができるので、落ち着いた雰囲気の中で展示物を選択することができ、芸術の世界に陶酔することができる。
LDK62の台所63の後端部から後方へ延出した後に右方へ延出して、平面視略L字形状の廊下85が設けられ、その廊下85の先に居室86が設けられる。廊下85とLDK62の台所63との間の壁には、それらの間を互いに行き来できるように出入口87が設けられ、その出入口87には戸88が開閉可能に設けられる。廊下85の先の居室86は、平面視略矩形状で、LDK62の食堂64の後側であって、一方側吹き抜け空間5の左側に配置される。居室86と廊下85との間の壁には、それらの間を互いに行き来することができるように出入口89が設けられ、その出入口89には戸90が開閉可能に設けられる。居室86と一方側吹き抜け空間5との間の壁(住宅1の右側の外壁2)には、窓91が設けられる。
平面視略L字形状の廊下85の前後方向へ延出する部分の左側には、廊下85から被収納物を取り出すことができる収納部92が設けられる。廊下85の左右方向へ延出する部分の後側には、平面視略矩形状のバルコニ93が設けられる。このバルコニ93は、居室86の左側に配置される。バルコニ93と廊下85との間の壁には、それらの間を互いに行き来できるように掃き出し窓94が設けられる。また、廊下85の左右方向へ延出する部分とLDK62の食堂64との間の壁には、それらの間を互いに行き来できるように出入口95が設けられ、その出入口95には戸96が開閉可能に設けられる。
次に、本実施例の住宅1の三階の構成について説明する。住宅1の上階である三階には、第一洗面室97と第二洗面室98とが浴室99を挟んで互いに行き来可能に設けられる。本実施例では、第一洗面室97、第二洗面室98および浴室99は、平面視略矩形状に形成されており、前後方向へ沿って配置される。なお、第二洗面室98は、洗面台を有する洗面室であり、第一洗面室97は、洗面台を有しておらず、化粧などを行ういわゆるパウダールームである。
第一洗面室97は、浴室99の後側に隣接して配置される。第一洗面室97と浴室99との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口100が設けられ、その出入口100には戸101が開閉可能に設けられる。第一洗面室97には、畳みスペース102を有する寝室103が互いに行き来可能に隣接して配置される。寝室103は、平面視略矩形状に形成されており、内部の後端部に畳が敷かれた畳みスペース102が配置される。本実施例では、寝室103は、平面視略矩形状の収納室104を介して、第一洗面室97の右側に隣接して配置される。収納室104は、たとえば、寝室103のウォークインクローゼットとされる。収納室104と第一洗面室97との間の壁には、それらの間を互いに行き来可能にする出入口105が設けられ、その出入口105には戸106が開閉可能に設けられる。収納室104と寝室103との間の壁には、それらの間を互いに行き来可能にする出入口107が設けられ、その出入口107には戸108が開閉可能に設けられる。この際、収納室104と第一洗面97との間の出入口105と、収納室104と寝室103との間の出入口107とは、互いに対応して配置される。
寝室103は、住宅1の右側の外壁2に面して配置されており、一方側吹き抜け空間5の左側に隣接して配置される。寝室103と一方側吹き抜け空間5との間の壁(住宅1の右側の外壁2)には、複数の窓109が設けられる。寝室103の畳みスペース102を有する後端部の左側には、平面視略矩形状のバルコニ110が配置される。寝室103とバルコニ110との間の壁には、窓111が設けられる。このバルコニ110は、第一洗面室97の後側に隣接して配置される。バルコニ110と第一洗面室97との間の壁には、互いに行き来できるように掃き出し窓112が設けられる。寝室103部分の住宅1の後側の外壁32には、窓113が設けられる。
第二洗面室98は、浴室99の前側に隣接して配置される。第二洗面室98と浴室99との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口114が設けられ、その出入口114には戸115が開閉可能に設けられる。第二洗面室98には、一階の展示空間30に展示される展示物を創作する居室である創作空間116が互いに行き来可能に隣接して配置される。創作空間116は、平面視略矩形状で、室内に創作時に用いる机や椅子などが設けられる。本実施例では、創作空間116は、住宅1の三階に前後方向へ沿って設けられる廊下117を介して、第二洗面室98の右側に隣接して配置される。廊下117とその左側に配置される第二洗面室98との間の壁には、それらの間を互いに行き来できるように出入口118が設けられ、その出入口118には戸119が開閉可能に設けられる。一方、廊下117の右側に配置される創作空間116は、廊下117へ開口して、廊下117と互いに行き来可能とされる。この際、第二洗面室98と創作空間116とは、左右方向へ互いに対応して配置される。
創作空間116は、寝室103の前側に隣接して配置される。創作空間116と寝室103との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口120が設けられ、その出入口120には戸121が開閉可能に設けられる。創作空間116と壁との間には、創作空間116と互いに行き来可能に屋外床部122が設けられる。屋外床部122は、平面視略矩形状で、創作空間116が面する住宅1の右側の外壁2と壁3とを架け渡すように設けられる。創作空間116と屋外床部122との間の壁(住宅1の右側の外壁2)には、それらの間を行き来できるように、掃き出し窓123が設けられる。
屋外床部122は、住宅1の二階に配置される床部66を有する空間の天井の上方に配置される。そして、屋外床部122の前端部には、屋外床部122よりも上方へ延出した前側の外壁部7が設けられ、屋外床部122の後端部には、屋外床部122よりも上方へ延出した後側の外壁部8が設けられる。従って、屋外床部122を床とする壁で周囲が囲まれた空間は、二階の床部66を有する空間の直上階とされ、上方へ開口している。
創作空間116と第二洗面室98との間の廊下117は、前述したように前後方向へ沿って配置されており、後端部に前記寝室103が設けられ、そこから前方へ延出した先が住宅1の前側の外壁31とされる。廊下117と寝室103との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口125が設けられ、その出入口125には戸126が開閉可能に設けられる。住宅1の前側の外壁31には、廊下117に対応して窓124が設けられる。廊下117の前後方向略中央部の左側には、第二洗面室98の前側に隣接してトイレ127が設けられる。トイレ127は、廊下117へ開口しており、その開口部には戸128が開閉可能に設けられる。トイレ127の前側には、前述したエレベータ43が配置される。このエレベータ43は、廊下117の前後方向中途部から左方へ延出して設けられる廊下129の先である左端部に設けられる。エレベータ43の前側には、住宅1の二階と三階とを接続する前述した階段77が配置される。この階段77は、廊下117の前部の左側に接続される。このようにして、本実施例では、住宅1の上階と下階とを接続する階段42,77は、住宅1の隅部に配置される。
廊下117の前後方向略中央部の右側には、平面視略矩形状の第一居室130が設けられる。第一居室130と廊下117との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口131が設けられ、その出入口131には戸132が開閉可能に設けられる。この第一居室130は、創作空間116の前側に配置される。廊下117の前部の右側には、平面視略矩形状の第二居室133が設けられる。第二居室133と廊下117との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口134が設けられ、その出入口134には戸135が開閉可能に設けられる。この第二居室133は、第一居室130の前側に配置される。なお、本実施例では、第一居室130および第二居室133は、子供のための個室とされる。
このようにして前後に隣接して配置される第一居室130および第二居室133の右側には、前後方向を長手方向とする平面視略長方形状の空間136が配置される。空間136と各居室130,133とは、互いに行き来可能とされる。また、空間136は、創作空間116と互いに行き来可能とされる。具体的には、空間136は、創作空間116の前部から前方へ延出するようにして設けられ、創作空間116と連続した空間とされる。空間136の右側には、前述した他方側吹き抜け空間36が配置される。空間136と他方側吹き抜け空間36との間の壁(住宅1の右側の外壁2)には、前後に隣接して窓137が設けられる。
ところで、本実施例の住宅1では、前述した壁3に、上下方向に細長いスリット状の貫通穴138が形成される。また、前述した他方側壁体37に、上下方向に細長いスリット状の貫通穴139が形成される。従って、壁3の内部に空気を取り入れることができる。また、本実施例の住宅1では、玄関33が配置される側が北とされ、壁3が配置される側が東とされる。従って、壁3の内部において、一階まで太陽光を届けることができる。また、時間や季節によって壁3に当たる太陽光が異なり、移ろいを愉しむことができる。さらに、壁3の内部に背の高い庭木29を植えることで、壁面に移る木漏れ日を愉しむことができる。
本実施例の住宅1の場合、茶室9が膨出空間4内に設けられ、その膨出空間4に隣接して屋外の一方側吹き抜け空間5が配置される。この際、茶室9と一方側吹き抜け空間5とが戸20,24を介して互いに行き来可能とされており、屋外の一方側吹き抜け空間5から屋内の茶室9へ入室することができる。従って、一方側吹き抜け空間5を茶室9に隣接する庭である露地とすることができる。なお、本実施例では、一方側吹き抜け空間5内に椅子27および手水鉢28を設けることで、より露地らしい演出がなされている。これにより、客人は、露地の椅子27に座って亭主の迎えを待ち、手水鉢28で手水を使用することができる。このように、茶室9に入る前の行いをできる露地が設けられるので、客人に茶道を本格的に楽しんでもらうことができる。しかも、本実施例の住宅1では、周りからの視線を遮る壁3の内側に茶室9および一方側吹き抜け空間5が配置されるので、茶室9および一方側吹き抜け空間5を茶道に適した薄暗い空間とすることができる。すなわち、プライバシーを確保するための壁3を用いて、茶室9および一方側吹き抜け空間5を茶道に適した落ち着いた空間としている。
また、本実施例の住宅1の場合、茶室9から廊下6を介して展示空間30へ移動することができる。従って、茶道を行った客人を展示空間30に招いて、展示物を鑑賞しつつ談笑することができる。その際、廊下6に展示物を展示することで、展示空間30への移動時にも展示物を鑑賞することができ、客人を芸術で十分にもてなすことができる。また、本実施例の住宅1の場合、前述した廊下6の端部に玄関33が配置されるので、ギャラリーとしての廊下と屋内の廊下とを共通化することができる。
また、本実施例の住宅1の場合、展示空間30と他方側吹き抜け空間36とが隣接して配置され、展示空間30と他方側吹き抜け空間36との間の壁には掃き出し窓38が設けられる。従って、展示空間30と他方側吹き抜け空間36とを一体的な空間として、展示空間30を大きな空間にみせることができる。しかも、展示空間30は廊下6の先に設けられるので、より大きな空間に感じさせることができる。また、本実施例の住宅1の場合、三階において、第一洗面室97と第二洗面室98との間に浴室99が配置され、第一洗面室97に隣接して寝室103が配置される。寝室103には、前述したように、着物を着たり脱いだりする畳みスペース102が設けられる。従って、茶室9および一方側吹き抜け空間5の一階部分とは異なる階に畳みスペース102が配置されるので、着物の着付けの際などにプライバシー性を確保することができる。また、二つの洗面室97,98の内の一方の洗面室97に寝室103が隣接しているので、畳みスペース102と洗面室97および浴室99が近い位置に配置される。従って、着物を脱いで服に着替える際に、浴室99で汗を流して洗面室97で身支度を整えるのに都合がよい。しかも、その際には、二つの洗面室97,98の内の他方の洗面室98が使用できるので、他の人が洗面室を使用するのを邪魔しない。
また、本実施例の住宅1の場合、創作空間116は、三階に配置されるので、展示空間30や茶室9とは異なる階に配置される。従って、客人が利用する階とは異なるプライベートな階に創作空間116を配置することができ、創作意欲を向上させることができる。また、本実施例の住宅1の場合、第二洗面室98に隣接して創作空間116が配置される。従って、創作空間116で展示物の創作を行った後に洗面室98を利用する際に、使い勝手がよい。しかも、前述したように第一洗面室97を有しているので、着物を脱いだ後に身支度をしている人の邪魔をしない。
さらに、本実施例の住宅1の場合、LDK62と床部66とが掃き出し窓67を介して互いに行き来可能とされる。従って、LDK62と床部66を有する空間とを一体的な空間とすることができ、LDK62をより広く感じさせることができる。しかも、床部66を有する空間は、周りが壁で囲まれると共に天井を有しているので、プライバシー性を確保することができる。
なお、本発明の住宅は、前記実施例の構成に限らず、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。