JP2018176602A - 多層フィルム及び包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
これに対して、特許文献1で開示されている包装体では、十分に小さいヘーズを実現できるかは定かではない。
[1]第1のポリエステルを含む未延伸の第1フィルム層と、前記第1のポリエステルとは異なる第2のポリエステルを含む未延伸の第2フィルム層と、が交互に繰り返して積層された構成を有するバリア層を備えた多層フィルムであって、
前記第1フィルム層の1層当りの平均厚さが、500nm未満であり、
前記バリア層中の前記第1フィルム層の層数が、200〜5000であり、
前記多層フィルムの偏光ラマンスペクトル測定における面内配向度が、1.2未満である、多層フィルム。
[2]前記多層フィルムが、さらに一対の未延伸の樹脂層を備え、
前記バリア層が、前記一対の樹脂層の間に、これら樹脂層に隣接して設けられている、[1]の多層フィルム。
[3]前記一対の樹脂層が、いずれも前記第1のポリエステルを含む樹脂層である、[1]又は[2]の多層フィルム。
[4]前記一対の樹脂層が、いずれも前記第2のポリエステルを含む樹脂層である、[1]又は[2]の多層フィルム。
[5]前記一対の樹脂層のうち、一方が前記第1のポリエステルを含む樹脂層であり、他方が前記第2のポリエステルを含む樹脂層である、[1]又は[2]の多層フィルム。
[6]前記バリア層の厚さが10〜500μmである、[1]〜[5]のいずれか一つの多層フィルム。
[7]前記一対の樹脂層の合計の厚さが、5〜125μmである、[1]〜[6]のいずれか一つの多層フィルム。
[8]前記第1のポリエステルが、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートである、[1]〜[7]のいずれか一つの多層フィルム。
[9]前記第2のポリエステルが、ポリブチレンテレフタレートである、[1]〜[8]のいずれか一つの多層フィルム。
[10][1]〜[9]のいずれか一つの多層フィルムを備えた、包装体。
本発明の多層フィルムは、第1のポリエステルを含む未延伸の第1フィルム層と、前記第1のポリエステルとは異なる第2のポリエステルを含む未延伸の第2フィルム層と、が交互に繰り返して積層された構成を有するバリア層を備えた多層フィルムであって、前記第1フィルム層の1層当りの平均厚さが、500nm未満であり、前記バリア層中の前記第1フィルム層の層数が、200〜5000であり、前記多層フィルムの偏光ラマンスペクトル測定における面内配向度が、1.2未満となっている。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ここに示す多層フィルム1は、一対の未延伸の樹脂層、すなわち第1樹脂層12及び第2樹脂層13を備え、第1樹脂層12と第2樹脂層13との間に、第1樹脂層12と第2樹脂層13とに隣接して、バリア層11を備えて、構成されている。
バリア層11は、第1フィルム層111と、第2フィルム層112と、が交互に繰り返して積層された構成を有する。
第1フィルム層111は、未延伸のフィルム層であり、第1のポリエステルを含む。
第1フィルム層111は、第1のポリエステルのみを含んでいてもよい(すなわち、第1のポリエステルからなるものでもよい)し、第1のポリエステルと、第1のポリエステル以外の成分を含んでいてもよい(すなわち、第1のポリエステルと、第1のポリエステル以外の成分と、からなるものでもよい)。
ただし通常は、第1フィルム層111の、第1のポリエステル以外の成分の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、例えば、1質量%以下、0.5質量%以下及び0.1質量%以下等のいずれかであってもよい。第1フィルム層111の、第1のポリエステル以外の成分の含有量の下限値は、特に限定されず、0質量%であってもよい。
換言すると、第1フィルム層111の、第1のポリエステルの含有量は、特に限定されないが、通常は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、99質量%以上、99.5質量%以上及び99.9質量%以上等のいずれかであってもよい。第1フィルム層111の、第1のポリエステルの含有量の上限値は、特に限定されず、前記含有量は100質量%であってもよい。
前記ジカルボン酸として、より具体的には、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の鎖状脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の環状脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、前記ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸又はナフタレンジカルボン酸であることが好ましい。
前記グリコールとして、より具体的には、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の鎖状脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の環状脂肪族ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族ジオール;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレングリコール等が挙げられる。
これらの中でも、前記グリコールは、エチレングリコールであることが好ましい。
これらの中でも、第1のポリエステルは、PET、PETG又はPBTであることが好ましく、PETG又はPBTであることがより好ましい。
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、ここで「第1フィルム層111の1層当りの平均厚さ」とは、バリア層11中に存在するすべての第1フィルム層111の厚さの合計値を、バリア層11中に存在する第1フィルム層111の層数で除した値([バリア層11中に存在するすべての第1フィルム層111の厚さの合計値]/[バリア層11中に存在する第1フィルム層111の層数])を意味する。
第2フィルム層112は、未延伸のフィルム層であり、第1のポリエステルとは異なる種類の第2のポリエステルを含む。
第2フィルム層112は、第2のポリエステルのみを含んでいてもよい(すなわち、第2のポリエステルからなるものでもよい)し、第2のポリエステルと、第2のポリエステル以外の成分を含んでいてもよい(すなわち、第2のポリエステルと、第2のポリエステル以外の成分と、からなるものでもよい)。
ただし通常は、第2フィルム層112の、第2のポリエステル以外の成分の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、例えば、1質量%以下、0.5質量%以下及び0.1質量%以下等のいずれかであってもよい。第2フィルム層112の、第2のポリエステル以外の成分の含有量の下限値は、特に限定されず、0質量%であってもよい。
換言すると、第2フィルム層112の、第2のポリエステルの含有量は、特に限定されないが、通常は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、99質量%以上、99.5質量%以上及び99.9質量%以上等のいずれかであってもよい。第2フィルム層112の、第2のポリエステルの含有量の上限値は、特に限定されず、前記含有量は100質量%であってもよい。
第2のポリエステルにおいて、ジカルボン酸から誘導された構成単位と、グリコールから誘導された構成単位は、いずれも、1種のみでもよいし2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
すなわち、第2のポリエステルは、PET、PETG又はPBTであることが好ましく、PETG又はPBTであることがより好ましい。
ただし、多層フィルム1において併用する第1のポリエステルと第2のポリエステルとは、互いに種類が異なる。
第2のポリエステル以外の成分のうち、非樹脂成分としては、第1のポリエステル以外の成分としての前記添加剤が挙げられる。
なお、第2フィルム層112の層数は、上述の第1フィルム層111の層数の場合と同じ方法で確認できる。
例えば、バリア層11の層数は、400〜10000であることが好ましい。
なお、ここで「第2フィルム層112の1層当りの平均厚さ」とは、バリア層11中に存在するすべての第2フィルム層112の厚さの合計値を、バリア層11中に存在する第2フィルム層112の層数で除した値([バリア層11中に存在するすべての第2フィルム層112の厚さの合計値]/[バリア層11中に存在する第2フィルム層112の層数])を意味する。
すなわち、多層フィルム1においては、第1のポリエステルがPET若しくはPETGであり、かつ第2のポリエステルがPBTであるか、又は第1のポリエステルがPBTであり、かつ第2のポリエステルがPET若しくはPETGであることが好ましい。
第1樹脂層12及び第2樹脂層13は、いずれも熱可塑性樹脂を含む外層であり、多層フィルム1において、第1樹脂層12が一方の最表層を構成し、第2樹脂層13が他方の最表層を構成している。
多層フィルム1においては、これら一対の樹脂層により、バリア層11が保護される。
これらの中でも、前記熱可塑性樹脂は、ポリエステルであることが好ましく、このポリエステルは、前記第1のポリエステル、前記第2のポリエステル、並びに前記第1のポリエステル及び第2のポリエステル以外の他のポリエステルのいずれであってもよい。
第1樹脂層12及び第2樹脂層13の含有成分(組成)は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
より好ましい多層フィルム1の一実施形態としては、例えば、第1樹脂層12及び第2樹脂層13が、いずれも前記第1のポリエステルを含むものが挙げられる。
より好ましい多層フィルム1の他の実施形態としては、例えば、第1樹脂層12及び第2樹脂層13が、いずれも前記第2のポリエステルを含むものが挙げられる。
より好ましい多層フィルム1のさらに他の実施形態としては、例えば、第1樹脂層12及び第2樹脂層13のいずれか一方が前記第1のポリエステルを含み、他方が前記第2のポリエステルを含むものが挙げられる。すなわち、このような多層フィルム1としては、第1樹脂層12が前記第1のポリエステルを含み、第2樹脂層13が前記第2のポリエステルを含むもの、及び、第1樹脂層12が前記第2のポリエステルを含み、第2樹脂層13が前記第1のポリエステルを含むもの、がそれぞれ挙げられる。
第1樹脂層12及び第2樹脂層13の厚さは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
多層フィルム1は、本発明の効果を損なわない範囲内において、バリア層11、第1樹脂層12及び第2樹脂層13以外に、他の層を備えていてもよい。
前記他の層は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
ただし、多層フィルム1は、例えば、図1に示すように、第1樹脂層12及び第2樹脂層13が、いずれもバリア層11に直接接触して設けられていることが好ましい。
例えば、図1に示す多層フィルム1は、一対の樹脂層、すなわち第1樹脂層12及び第2樹脂層13を備えているが、本発明の多層フィルムは、これら一対の樹脂層を備えていなくてもよい。ただし、本発明の多層フィルムは、上述の効果が得られて有利である点では、前記一対の樹脂層を備えていることが好ましい。
本発明における面内配向度は以下の手順に従って求めることができる。
例えば、本発明の多層フィルムのヘーズは、好ましくは1.6%以下、より好ましくは1.4%以下、さらに好ましくは1.2%以下とすることが可能である。一方、前記ヘーズの下限値は、特に限定されず、例えば、0.5%とすることができるが、これは一例である。
本発明の多層フィルムは、例えば、以下の方法で製造できる。
すなわち、まず、最終的に第1フィルム層と第2フィルム層との積層構造を構成するための、複数層構造の第1積層フィルムを作製する。前記第1積層フィルムは、より具体的には、最終的に未延伸の第1フィルム層となる第1のポリエステル含有層と、最終的に未延伸の第2フィルム層となる第2のポリエステル含有層と、が交互に繰り返して積層された構成を有する。前記第1積層フィルムとしては、例えば、最外層の2層がいずれも第1のポリエステル含有層であり、第2のポリエステル含有層の層数が第1のポリエステル含有層の層数よりも1だけ少ない複数層構造のものや、これとは逆に、最外層の2層がいずれも第2のポリエステル含有層であり、第1のポリエステル含有層の層数が第2のポリエステル含有層の層数よりも1だけ少ない複数層構造のもの等が挙げられる。ただし、第1積層フィルムは、これらに限定されない。
次いで、この第2積層フィルムを、その表面に対して平行な方向において引き伸ばして拡張した後、第1積層フィルムの場合と同じ方法で、この拡張後の第2積層フィルムを切断、積層して第3積層フィルムを作製する。
以降、このような積層フィルムの拡張、切断及び積層を繰り返し行うことで、バリア層を作製する。例えば、前記第1積層フィルムとして、最外層の2層がいずれも第1のポリエステル含有層であるものを用いた場合には、第1積層フィルム同士を積層して第2積層フィルムを作製したときに、重ね合わされた最外層の2層の第1のポリエステル含有層は、第2積層フィルムにおいては見かけ上、1層の第1のポリエステル含有層を形成する。これは、第2積層フィルム以降の積層フィルム及びバリア層の作製時も同様である。ただし、ここに示すバリア層は、本発明の多層フィルムにおける一例に過ぎない。
上述の製造方法における、これ以降の第1積層フィルムからの、目的とするバリア層の作製までは、マルチプライヤーを用いて行うことができる。
アニール処理の条件は、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、多層フィルムの配向度を増大させる場合であれば、処理温度が90〜130℃であることが好ましく、処理時間が15〜90分であることが好ましい。
本発明の包装体は、上述の本発明の多層フィルムを備えたものである。
本発明の包装体は、優れた水蒸気バリア性を有する本発明の多層フィルムを用いているため、優れた防湿性を有する。
本発明の包装体は、防湿性が求められる各種用途で用いるのに好適であり、例えば、食品や医薬品等を包装するための包装袋又は包装容器として好適である。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
包装体10は、ブリスターパックとしてのPTPフィルム(包装容器)であり、収納部10aには、錠剤102を密封収納できる。
また、包装体10において、多層フィルム1は優れた防湿性を有しており、収納部10aに収容された錠剤102は、品質の劣化が抑制される。
ここに示す包装体20は、一対の多層フィルム1,1の第2面1b,1b同士の一部、より具体的には、周縁部近傍の領域同士が接着されて、構成されている。このように、包装体20には、一対の多層フィルムの周縁部近傍の領域同士が接着されていることにより、収納部20aが形成されている。収納部20aには、目的とする保存対象物(図示略)が収容される。
包装体20は、例えば、食肉、加工肉、青果物等の食材;注射針、シリンジ、検査キット、カテーテル等の医療器具等を、収納部20aに収容するのに好適である。
また、包装体20において、多層フィルム1は優れた防湿性を有しており、収納部20aに収容された保存対象物は、品質の劣化が抑制される。
本発明の包装体は、前記多層フィルムを用い、目的とする収納部を形成するように、多層フィルム同士、又は多層フィルムと他のフィルム等とを貼り合わせることにより、製造できる。
より具体的には、まず、真空成形、圧空成形又はプラグ成形等により、多層フィルム1に突出部1cを成形する。
次いで、多層フィルム1の突出部1cに、保存対象物である錠剤102を充填した後、カバーフィルム101を多層フィルム1と重ね合せて、多層フィルム1とカバーフィルム101とを接着する。
次いで、必要に応じて、多層フィルム1及びカバーフィルム101に、ミシン刃又はハーフカット刃等を用いて、スリット10bを形成する。
以上により、包装体10が得られる。
多層フィルム1同士の接着は、例えば、公知の各種ラミネート法を適用することで、行うことができる。
[実施例1]
第1のポリエステルとしてPBT(長春社製「1100−630S」)を、第2のポリエステルとしてPETG(SKケミカル社製「SKYGREEN S2008」)を、それぞれ用意した。そして、押出機(株式会社サン・エヌ・ティー社製、「SNT40−28型番」)を用いて、第1のポリエステル及び第2のポリエステルをそれぞれ250℃の溶融状態とし、フィードブロックを用いて、最終的に未延伸の第1フィルム層となるPBT層と、最終的に未延伸の第2フィルム層となるPETG層と、が交互に繰り返して積層された構成を有し、最外層の2層がいずれもPBT層であり、3層の前記PBT層と2層の前記PETG層とからなる、5層の溶融積層体(上述の第1積層フィルム)を作製した。
次いで、マルチプライヤーを用いて、得られた5層の溶融積層体を2枚に切断し、切断後のこれら2枚の溶融積層体をさらに積層して、9層の溶融積層体(上述の第2積層フィルム)を作製した。
次いで、得られた9層の溶融積層体を、その表面に対して平行な方向において引き伸ばして拡張した後、5層の溶融積層体(第1積層フィルム)の場合と同じ方法で、この拡張後の9層の溶融積層体を切断、積層して、17層の溶融積層体(上述の第3積層フィルム)を作製した。
以降、同様の手順により、溶融積層体の拡張、切断及び積層を繰り返し行って、未延伸の第1フィルム層と未延伸の第2フィルム層とが交互に繰り返して積層された構成を有し、1025層の前記第1フィルム層と1024層の前記第2フィルム層とからなる、2049層のバリア層を作製した。
得られた多層フィルムの厚さは100μmであり、そのうち、第1樹脂層及び第2樹脂層の厚さはいずれも25μmであり、バリア層の厚さは50μmであった。すなわち、第1フィルム層の層数は1025であり、第1フィルム層の1層当りの平均厚さは24.4nmであった。得られた多層フィルムの融点の測定結果を表1に示す。
前記PETG、PBT及びPETGを、この順番で共押出成形することにより、3層構造、すなわち、PETG層、PBT層及びPETG層がこの順に、これらの厚さ方向において積層された多層フィルムを作製した。
得られた多層フィルムの厚さは100μmであり、PETG層の1層当りの平均厚さと、PBT層の厚さと、の比率は、ほぼ1:1であった。
[比較例2]
前記PETGを押出成形することにより、単層構造で未延伸のPETG層からなる単層フィルムを作製した。
得られた単層フィルムの厚さは100μmであった。
前記PBTを押出成形することにより、単層構造で未延伸のPBT層からなる単層フィルムを作製した。
得られた単層フィルムの厚さは100μmであった。
前記PETG(1質量部)と、前記PBT(1質量部)と、を混合することで、樹脂組成物を調製した。
次いで、得られた樹脂組成物を押出成形することにより、PETG及びPBTの含有量がいずれも50質量%である、単層構造で未延伸の単層フィルムを作製した。
得られた単層フィルムの厚さは100μmであった。
上記で得られた多層フィルム及び単層フィルムについて、下記項目の評価を下記方法で行った。結果を表1に示す。なお、表1中の評価結果の欄における「−」との記載は、その項目が未評価であることを意味する。
JIS K 7136:2000に準拠して、多層フィルム、単層フィルムのヘーズ(%)を測定した。
(光線透過率)
JIS K 7375:2008に準拠して、多層フィルム、単層フィルムの光線透過率(%)を測定した。
JIS K 7161:1994に準拠して、多層フィルム、単層フィルムのMD方向及びTD方向におけるヤング率(MPa)を測定した。
(引張強度)
JIS K 7161:1994に準拠して、多層フィルム、単層フィルムのMD方向及びTD方向における引張強度(MPa)を測定した。
(破断伸び)
JIS K 7161:1994に準拠して、多層フィルム、単層フィルムのMD方向及びTD方向における破断伸び(%)を測定した。
(引裂き強度)
JIS K 7128:1998に準拠して、多層フィルム、単層フィルムのMD方向及びTD方向における引裂き強度(N/cm)を測定した。
(面内配向度)
WITec社製alpha300を用いてラマンスペクトルを測定し、前記評価方法で、面内配向度を算出した。
また、比較例4の単層フィルムは、PETG及びPBTを含有する単層構成であり、そのヘーズは、比較例2の単層フィルムのヘーズと同等であった。
[実施例2]
前記バリア層、第1樹脂層及び第2樹脂層の形成条件を変更して、第1樹脂層及び第2樹脂層の厚さがいずれも25μmに代わって30μmであり、バリア層の厚さが50μmに代わって240μmである点以外は、実施例1と同じである多層フィルムを得た。すなわち、得られた多層フィルムの厚さは300μmであり、この多層フィルムにおいて、バリア層は2049層であり、第1フィルム層の層数は1025であり、第1フィルム層の1層当りの平均厚さは117.1nmであった。
[比較例5]
比較例2の場合とは異なる条件で、前記PETGを押出成形することにより、単層構造で未延伸のPETG層からなる単層フィルムを作製した。
得られた単層フィルムの厚さは300μmであった。
実施例2の多層フィルムは、実施例1の多層フィルムと同様に、PBT層である第1フィルム層と、PETG層である第2フィルム層と、が交互に繰り返して積層された多層構成のバリア層を備えており、ヘーズが十分に小さく、透明度が高かった。これに対して、比較例5のPETG層の単層フィルムは、実施例2の多層フィルムよりもヘーズが大きく、透明度が劣っていた。
すなわち、成形機(CKD社製「FBP−300E」)を用い、成形温度を120℃とし、錠剤型用ピンポイント加熱板を利用して、厚さが230μm、高さが4mmの収納部を構成する突出部を、上記の多層フィルム及び単層フィルムに多数形成して、成形体を得た。
その結果、実施例2の多層フィルム及び比較例5の単層フィルムを用いた場合には、これらフィルムに破断、穴あき等の成形異常は見られず、白化等の材質劣化も見られず、優れた成形性を有することが確認された。
これに対して、OPETフィルムを用いた場合には、白化等の材質劣化は見られなかったものの、フィルムに破断、穴あき等の成形異常が多数見られ、成形性に劣ることが確認された。
1a・・・多層フィルムの第1面
1b・・・多層フィルムの第2面
1c・・・多層フィルムの突出部
11・・・バリア層
111・・・第1フィルム層
112・・・第2フィルム層
12・・・第1樹脂層
13・・・第2樹脂層
10,20・・・包装体
10a,20a・・・包装体の収納部
10b・・・包装体のスリット
101・・・カバーフィルム
101a・・・カバーフィルムの第1面
102・・・錠剤
Claims (10)
- 第1のポリエステルを含む未延伸の第1フィルム層と、前記第1のポリエステルとは異なる第2のポリエステルを含む未延伸の第2フィルム層と、が交互に繰り返して積層された構成を有するバリア層を備えた多層フィルムであって、
前記第1フィルム層の1層当りの平均厚さが、500nm未満であり、
前記バリア層中の前記第1フィルム層の層数が、200〜5000であり、
前記多層フィルムの偏光ラマンスペクトル測定における面内配向度が、1.2未満である、多層フィルム。 - 前記多層フィルムが、さらに一対の未延伸の樹脂層を備え、
前記バリア層が、前記一対の樹脂層の間に、これら樹脂層に隣接して設けられている、請求項1に記載の多層フィルム。 - 前記一対の樹脂層が、いずれも前記第1のポリエステルを含む樹脂層である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 前記一対の樹脂層が、いずれも前記第2のポリエステルを含む樹脂層である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 前記一対の樹脂層のうち、一方が前記第1のポリエステルを含む樹脂層であり、他方が前記第2のポリエステルを含む樹脂層である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 前記バリア層の厚さが10〜500μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 前記一対の樹脂層の合計の厚さが、5〜125μmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 前記第1のポリエステルが、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 前記第2のポリエステルが、ポリブチレンテレフタレートである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の多層フィルムを備えた、包装体。
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