JP3914440B2 - 上包み包装体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飴やチューインガムをはじめとして、主に食品用の包装材料として有用な引き裂き性に優れた上包み包装体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飴やチューインガムをはじめとする、主に食品用途に使用される上包み包装体には、一般にはセロハンに紙やアルミニウム箔をラミネートした構成体が用いられている。この場合、セロハンの優れた引き裂き性により、包装体端部より容易に引き裂くことが可能となっている。しかし、セロハンは吸湿性が高く吸湿により寸法が変化しやすいため、季節により特性が変動し一定の品質の製品を供給することが困難であった。またセロハンは引き裂き性が良好である反面、二次加工工程においてフィルム切断などのトラブルが多いため、引き裂き性と力学的強度のバランスに優れるフィルムが望まれていた。
【0003】
耐久性、防湿性、力学的強度、耐熱性、耐油性が優れたフィルムとして、二軸延伸ポリエステルフィルムが知られている。しかし、二軸延伸ポリエステルフィルムは一般的に力学的強度が高いため切断されにくく、たとえば各種包装材料や粘着テープとして用いた際に手で開封、切断が容易にできないという問題点があった。
【0004】
この二軸延伸ポリエステルフィルムに引き裂き性を付与する方法として、フィルム端部にノッチを付与する方法が挙げられる。しかしながらこのような方法ではノッチ以外の場所から引き裂くことはできないため開封方法の自由度が低く、またノッチからの引き裂きに失敗した場合には手切れ性が失われるという問題点があった。また、二軸延伸ポリエステルフィルムの全面に穴あけ加工を施すことによって引き裂き性を付与する方法が挙げられるが、この穴あけ加工は非常にコストが高く、加工工程が煩雑になるという問題点があった。
【0005】
二軸延伸ポリエステルフィルムの手切れ性を改良する方法として、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称す)に所定量のジエチレングリコールを共重合する方法(特開昭50−103574号公報)、比較的高分子量のPETに対し低分子量のPETを混合する方法(特開昭51−104618号公報)、極限粘度が0.35〜0.58の範囲にあり特定の屈折率分布を付与する方法(特公昭62−20016号公報)、多官能モノマーを共重合した架橋ポリエステルを用いる方法(特開平2−47038号公報)、高融点ポリエステルと低融点ポリエステルからなる多層フィルムを2軸延伸後、低融点層の融点より10℃低い温度以上、高融点層の融点未満で熱処理する方法(特開平5−104618号公報)、ポリエステルフィルムの厚みを薄くし、厚みを3μm以上、12μm未満、特に好ましくは4μm以上、10μm以下とする方法(特開2001−162753号公報)などが開示されている。
【0006】
しかしながら、特開昭50−103574号公報に記載された方法ではジエチレングリコールの共重合量が比較的多いため、融点降下によりPETの耐熱性が損なわれるといった問題や、得られたフィルムの破断強度(約170MPa)がセロハンの一般的な破断強度約50〜70MPaに比して非常に大きく、このフィルムの手切れ性はセロハンには全くおよばないという問題があった。
特開昭51−104618号公報に記載された方法では、十分な手切れ性を付与するためには低分子量のPET樹脂を比較的多量に高分子量PETに混合する必要があるために、樹脂の溶融張力低下が著しく安定な未延伸フィルム製膜が困難となることや、低分子量体のブリードアウトが起こりやすいという問題点があった。
特公昭62−20016号公報に記載された方法により得られたフィルムは、極限粘度が非常に小さい場合には、セロハンに近い手切れ性を示すものの、極限粘度の小さい、すなわち溶融張力の小さい樹脂を用いた場合には、未延伸フィルムの製膜が困難になることや、強度が低いため延伸時にフィルムの破断が起こりやすいという問題があった。
特開平2−47038号公報に記載された方法では、架橋性コモノマーと他のコモノマー成分を併用した場合に良好な手切れ性を示すフィルムが得られるものの、重合時に生成するゲルにより、フィルムにフィッシュアイが発生しやすいといった問題や、フィルムが脆いために延伸時にフィルム破断などのトラブルが発生しやすいという問題点があった。
特開平5−104618号公報に記載された方法によると手切れ性の非常に良好なフィルムが得られるが、低融点層の配向緩和とともに比較的サイズの大きい結晶が生成するため、フィルムの透明性が悪化したり、また結晶化に伴う寸法変化により寸法安定性が損なわれる問題があった。さらに低融点層の配向緩和を均一に起こさせることが困難であるために、フィルムの平坦性が損なわれやすいといった問題点があった。
特開2001−162753号公報に記載された方法では、十分な引き裂き性を得るためにはポリエステルフィルムの厚みを6μm程度以下にまで薄くしなければならず、それにより、ポリエステルフィルムの耐熱性や力学的強度が損なわれ、印刷、貼り合わせといった二次加工工程に支障をきたすという問題や、フィルムの腰がなくなり包装体となった時に内容物が浮き出て見えるといった外観状の問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決し、セロハンの有する良好な手切れ性を実現しつつ、ポリエステルフィルムの優れた力学特性、耐熱性、防湿性、透明性および二次加工性を具備する上包み包装体を工業的に安定に供給することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を解決するために検討を行った結果、特定のポリエステルフィルムを用いることにより上記課題の解決が達成されることを見いだし、本発明に至った。
すなわち本発明の要旨は、フィルム厚みが7μm以上であり、かつ端裂抵抗が39〜70Nである二軸延伸ポリエステルフィルムに、アルミニウム箔及び/又は紙が積層されてなる上包み包装体であって、前記二軸延伸ポリエステルフィルムが、非晶性ポリエステル樹脂層と結晶性ポリエステル樹脂層とを少なくとも一層ずつ有する積層ポリエステルフィルムであって、非晶性ポリエステル樹脂層の厚みが、積層ポリエステルフィルム全厚みに対し20〜95%である積層ポリエステルフィルムであることを特徴とする上包み包装体である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における二軸延伸ポリエステルフィルムは、フィルム厚みが7μm以上であり、かつ端裂抵抗が5〜70Nであることが必要である。
【0010】
本発明において、上記二軸延伸ポリエステルフィルムは、主としてポリエステル系樹脂から構成される。
ポリエステル系樹脂の主成分であるポリエステルとしては、主としてポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレートなどが用いられる。このようなポリエステル系樹脂は、酸変性及び/又はジオール変性した共重合ポリエステルであってもよい。共重合に用いられる酸変性成分として、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸や、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸などのオキシカルボン酸や、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多官能化合物などが挙げられる。これらの酸変性成分は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、共重合に用いられるジオール変性成分として、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,6−へキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体などのグリコールや、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物などが挙げられる。これらのジオール変性成分は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0011】
ポリエステル系樹脂には、必要とされる特性が損なわれない範囲において他の高分子成分、スリップ剤、無機フィラー、酸化防止剤、帯電防止剤などの各種添加剤が含まれていてもよい。これらの高分子成分、添加剤は分子論的に相溶であっても、非相溶であっても構わない。
【0012】
本発明に用いられる二軸延伸ポリエステルフィルムは単層、または少なくとも二層以上の層を有する積層ポリエステルフィルムであってもよい。その積層は同一樹脂、または2種以上の樹脂を用いた構成であってもよい。
【0013】
本発明の上包み包装体は、上記二軸延伸ポリエステルフィルムからなるが、包装体に優れた引き裂き性能を付与するためには、二軸延伸ポリエステルフィルムは、非晶性ポリエステル樹脂層と結晶性ポリエステル樹脂層とを少なくとも一層ずつ有する積層ポリエステルフィルムであって、非晶性ポリエステル樹脂層の厚みが、積層ポリエステルフィルム全厚みに対し20〜95%であることが好ましい。
【0014】
上記積層ポリエステルフィルムを構成する非晶性ポリエステル樹脂とは、実質的に結晶性を示さないポリエステル樹脂のことを指す。すなわちガラス転移温度から融点までの温度領域においてその樹脂を放置した際に、結晶化度が5%以下の樹脂のことをいう。このような非晶性ポリエステル樹脂として例えばポリエチレンテレフタレートを先に挙げた化合物で酸変性、及び/又はジオール変性した非晶性共重合ポリエステルが好ましい。このような非晶性ポリエステル樹脂の中でも、耐熱性、力学的特性、透明性などの観点から、テレフタル酸を主とする二塩基酸成分と、1,4−シクロヘキサンジメタノールを10〜70モル%含むジオール成分とからなるポリエステル樹脂が好ましい。
【0015】
一方、積層ポリエステルフィルムを構成する結晶性ポリエステル樹脂としては通常融点が230℃以上のものが用いられ、中でもPETを主骨格とするポリエステル樹脂が好適に用いられる。このような結晶性ポリエステル樹脂には、必要とされる特性が損なわれない限り他の共重合成分が共重合されていてもよい。非晶性ポリエステル樹脂層に結晶性ポリエステル樹脂層を積層することにより、非晶性ポリエステル樹脂のみによっては得られない耐熱性、力学的特性および良好な延伸性、厚み精度が付与される。
【0016】
積層ポリエステルフィルムは、非晶性ポリエステル樹脂層(A)と結晶性ポリエステル樹脂層(B)とを少なくとも一層ずつ有することが好ましい。積層ポリエステルフィルムの具体的な層構成としては、A/B、B/A/B、をはじめ、A/B/A、B/A/B/A/B等が挙げられる。好ましい構成としては、B/A/Bが挙げられる。また、積層ポリエステルフィルムには、上記非晶性ポリエステル樹脂層と結晶性ポリエステル樹脂層以外に、層間接着性を付与するために、接着剤層等を積層してもよい。
【0017】
積層ポリエステルフィルムにおいて、非晶性ポリエステル樹脂層の厚み構成比は、全厚みの20〜95%であることが好ましく、30〜85%であることがさらに好ましい。ここでいう厚み構成比とは、フィルムの全厚みに対する非晶性ポリエステル樹脂層の厚みのパーセンテージのことである。非晶性ポリエステル樹脂層の厚みが全厚みの95%を超えると、結晶性ポリエステル層の寄与により得られる耐熱性、力学的特性および良好な延伸性、厚み精度が損なわれるため好ましくない。また非晶性ポリエステル樹脂層の厚みが全厚みの20%未満の場合、目的とする手切れ性が得られにくくなるため好ましくない。
【0018】
本発明において二軸延伸ポリエステルフィルムは、JIS C 2318 6.3.4項に準じて測定されたフィルムの端裂抵抗(平均値)が5〜70Nであることが必要であり、10〜60Nであることが好ましい。端裂抵抗がこれより大きい場合、目的とするフィルムの手切れ性が得られにくくなり、これより小さい場合はフィルムの強度が低すぎ、延伸工程や、スリット、印刷、製袋などの2次加工工程において切断トラブルが発生しやすくなるため好ましくない。
【0019】
本発明において二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みは7μm以上であること必要である。これより薄い場合、フィルムの強度、腰が低下し、印刷、貼り合わせなどの2次加工工程に支障が発生したり、充填後に内容物が浮き出て見えるという外観状の問題が発生したりするため好ましくない。厚みの上限は特に限定されるものではなく、結果的にフィルムの端裂抵抗が本発明に規定された範囲内にあればよく、例えば通常100μm以下である。
【0020】
二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法は公知の方法を利用できるが、以下積層ポリエステルフィルムの製造方法を例に挙げて説明する。
積層ポリエステルフィルムの製造方法として、複数の押出機等の中で、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂を別々に溶融し、ダイス出口から押出して未延伸フィルムに成形し、次いで未延伸フィルム同士を加温状態でラミネートする方法が挙げられる。別の方法としては一方の未延伸フィルムの表面に、他方の溶融フィルムを溶融ラミネートする方法がある。さらに別の方法としては共押出し法により積層した状態でダイス出口より押出してフィルムを成形する方法がある。
例えば、十分に乾燥した非晶性ポリエステル樹脂(A)及び結晶性ポリエステル樹脂(B)をそれぞれ別の2台の押出機に供給し、溶融押出しし、複合アダプターを通過させ、2種2層(A/B)または2種3層(B/A/B)としてTダイのダイオリフィスからシート状に押出し吐出する。ダイオリフィスから吐出された軟化状態にあるシートは、冷却ドラムに密着して巻きつけられて冷却される。
【0021】
続いて、得られた未延伸シートを90〜140℃の温度で、通常、縦横それぞれ3.0〜5.0倍の延伸倍率で二軸延伸する。延伸温度が90℃未満であると均質な延伸フィルムを得ることができない場合があり、140℃を超えると、結晶性ポリエステル樹脂(B)の結晶化が促進されて透明性が悪くなる場合がある。また、延伸倍率が3.0倍未満であると強度が小さく、包装体にしたときにピンホールが発生しやすく、5.0倍を超えると延伸が困難になる。
二軸延伸されたフィルムは、続いて、結晶性ポリエステル層の融点以下の温度で熱処理される。熱処理温度が高すぎるとフィルムが溶断するため好ましくない。
なお、二軸延伸方法としては、テンター同時二軸延伸法、ロールとテンターによる逐次二軸延伸方法、あるいはチューブラー法のいずれでもよい。
【0022】
本発明に用いられる二軸延伸ポリエステルフィルムは、その少なくとも片面に、目的に応じて各種機能層を形成してもよい。例えばヒートシール性を付与するために、熱可塑性共重合ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂などからなるヒートシール層を、またバリア性を付与するために、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素などの蒸着層や、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体などの樹脂層を、さらに接着性を付与するために、コロナやフレーム処理などやポリウレタン系樹脂、ポリウレタンポリ尿素系樹脂層などが形成されてあってもよい。
【0023】
本発明における二軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面に付与されるヒートシール層の形成方法は、特に限定されない。例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱接着性樹脂とのラミネート法、熱可塑性共重合ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂などのエマルジョンのコーティング法、ホットメルトコーティング法や共押出し法などが挙げられる。その際、予めベース素材にヒートシール層が付与されてあっても、後工程または最終工程にて付与されてあってもよい。
また、ヒートシール層の付与される部分は、二軸延伸ポリエステルフィルムの全面であっても、または包装体として必要な部分のみであってもよい。必要な部分のみにヒートシール層を付与する方法として、例えばグラビア印刷機によるパートコート法が挙げられる。
【0024】
本発明の上包み包装体は、二軸延伸ポリエステルフィルムにヒートシール層のみを形成して使用することもできるが、他の素材を積層しても使用することが可能である。積層する素材としては特に限定されないが、内容物保存性、デッドホールド性や腰などの観点から、アルミニウム箔及び/又は紙を含んだ包装体であることが望ましい。
【0025】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。なお、実施例及び比較例の評価に用いた原料及び測定方法は、次の通りである。
【0026】
〔原料〕
PET:
ユニチカ社製ポリエチレンテレフタレート樹脂、固有粘度0.67、融点256℃。
AP:
グリコール成分としてエチレングリコールと、酸成分としてテレフタル酸、共重合比1mol%のトリメリット酸、及び共重合比5mol%のイソフタル酸をエステル化槽に仕込み、240℃で4時間反応させ、エステル化物を得た。次に、三酸化アンチモン触媒下、1.3hPaの減圧下、300℃で溶融重合し、固有粘度0.63、融点232℃のポリエステル樹脂APを得た。
PETG:
イーストマンケミカル社製 EASTER 6763(エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5mol%、及びテレフタル酸を共重合したポリエステル)、固有粘度0.75。
IPET:
ユニチカ社製共重合ポリエステル樹脂 IP−11(テレフタル酸とイソフタル酸11mol%、及びエチレングリコールを共重合したポリエステル)、固有粘度0.67、融点211℃。
【0027】
〔端裂抵抗の測定〕
端裂抵抗は、JIS C 2318 6.3.4項に準じて測定し、平均値を示した。
【0028】
〔引き裂き性の評価〕
100mm角に切り出された包装体の端部を両手で引き裂くことによりフィルムのハンドカット性能を3段階で評価した。容易に手で引き裂けたものを○、やや抵抗が高かったが引き裂きは可能なものを△、手で引き裂くのが非常に困難であったものを×とした。
【0029】
参考例1
非晶性ポリエステル樹脂層を構成する樹脂(A)としてPETG、結晶性ポリエステル樹脂層を構成する樹脂(B)としてPETを各々温度270℃で別々の押出機により溶融し、この溶融体を複合アダプターで合流させた後にTダイより押出し、冷却ドラムで急冷してB/A/B構成の3層の未延伸積層フィルムを得た。この時、最終的な二軸延伸ポリエステルフィルムにおいてPETおよびPETGの厚み構成比が表1の割合とようになるように各押出機の吐出量を調整した。
上記未延伸積層フィルムをまずロール延伸法により縦方向に約90℃で3.5倍、次いでテンター延伸法により横方向に約110℃で3.8倍に延伸した後、横方法に3%の弛緩を行いつつ225℃の温度で熱処理を行った。さらにフィルムを冷却した後、巻取機においてロール状に巻き取り、厚み12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。このポリエステルフィルムの端裂抵抗を表1に示した。
【0030】
熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂(ユニチカ社製 エリーテルUE3600)をトルエンとメチルエチルケトンの等質量混合溶剤で固形分濃度10質量%に溶解したものを、上記ポリエステルフィルムの片面に塗布、乾燥を行い、ヒートシール層(DRY:1.0g/m2)を形成し、包装体を得た。この包装体の引き裂き性を表1に示した。
【0031】
実施例2
参考例1と同じ製法にて作成した二軸延伸ポリエステルフィルムにアンカー剤(日本曹達社製 チタボンドT−180)を塗布、乾燥した後、LDPE樹脂(住友化学工業社製 スミカセンL211)を厚みが15μmになるように押出し、アルミニウム箔(昭和アルミニウム社製 1N30、厚み7μm)と貼り合わせ、続けてアルミニウム箔にエチレンメタクリル酸共重合体樹脂(EMAA、三井・デュポン・ポリケミカル社製、ニュクレルN1108C)を厚みが20μmになるよう押出すサンドラミネート加工を行い、包装体を得た。この包装体の引き裂き性を表1に示した。
【0032】
実施例3
アルミニウム箔に接着剤(サイデン化学社製 サイビノールAC−320)を塗布後、純白ロール紙(王子製紙社製、55g/m2)とウエットラミネーションを行った。参考例1と同じ製法にて作成し、同じ方法でヒートシール層を設けた二軸延伸ポリエステルフィルムに、アンカー剤を塗布、乾燥した後、LDPE樹脂を厚みが15μmになるように押出し、アルミニウム箔と紙を貼り合わせた上記構成体のアルミニウム箔面と貼りあわせた。続いて、紙面にホットメルト剤(大日本インキ化学工業社製 ディックメルトDX−11B)を塗布し(6g/m2)、包装体を得た。この包装体の引き裂き性を表1に示した。
【0033】
実施例4
二軸延伸ポリエステルフィルムにおける樹脂(A)と(B)の厚み構成比を表1の割合とした以外は実施例3と同じ方法にて包装体を得た。この包装体の引き裂き性を表1に示した。
【0034】
実施例5
二軸延伸ポリエステルフィルムの樹脂(B)をAPに変更した以外は実施例3と同じ方法にて包装体を得た。この包装体の引き裂き性を表1に示した。
【0035】
比較例1
二軸延伸ポリエステルフィルムの樹脂(A)をIPETに変更した以外は実施例3と同じ方法にて包装体を得た。この包装体の引き裂き性を表1に示した。
【0036】
比較例2
二軸延伸ポリエステルフィルムとして単層二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製 エンブレットPET−12、厚み12μm)に変更した以外は実施例3と同じ方法にて包装体を得た。この包装体の引き裂き性を表1に示した。
【0037】
比較例3
二軸延伸ポリエステルフィルムとして単層二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製 エンブレットPET−9、厚み9μm)に変更した以外は実施例3と同じ方法にて包装体を得た。この包装体の引き裂き性を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、飴やチューインガムをはじめとして、主に食品用の包装材料として有用な引き裂き性に優れた上包み包装体を工業的かつ容易に提供することが可能である。

Claims (3)

  1. フィルム厚みが7μm以上であり、かつ端裂抵抗が39〜70Nである二軸延伸ポリエステルフィルムに、アルミニウム箔及び/又は紙が積層されてなる上包み包装体であって、
    前記二軸延伸ポリエステルフィルムが、非晶性ポリエステル樹脂層と結晶性ポリエステル樹脂層とを少なくとも一層ずつ有する積層ポリエステルフィルムであって、非晶性ポリエステル樹脂層の厚みが、積層ポリエステルフィルム全厚みに対し20〜95%である積層ポリエステルフィルムであることを特徴とする上包み包装体。
  2. 非晶性ポリエステル樹脂が、テレフタル酸を主とする二塩基酸成分と、1,4−シクロヘキサンジメタノールを10〜70モル%含むジオール成分とからなるポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1記載の上包み包装体。
  3. 二軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面にヒートシール層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の上包み包装体。
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