JP2018171044A - 経口用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、プロテアーゼやアミラーゼ等といった消化酵素の活性に優れた組成物を提供することにある。
【解決手段】本発明は、消化酵素と、植物処理物とを含有する経口用組成物を提供する。植物処理物が、アシタバ、大麦、クマイザサ、チャノキ、キャベツ、ショウガ及び大豆から選ばれる、少なくとも1種の処理物であることも好ましい。植物処理物が、前記消化酵素の活性を実質的に有しない粉末であることも好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、消化酵素を含有する経口用組成物に関する。
従来、消化器官内におけるプロテアーゼ、アミラーゼといった消化酵素は、消化器官において食物性タンパク質やペプチド、デンプンやグリコーゲン等の糖質を分解することによる栄養吸収、不要なタンパク質や糖質の分解、タンパク質の活性調節などに大きな役割を担っていることが知られている。生物代謝促進や健康維持の観点から、これらの酵素の活性を高めることの重要性が近年、広く知られるようになっている。
一方、従来経口用又は経皮用の消化酵素活性化剤として、ヤグルマギク、ガジュマル、キイチゴ、グレープフルーツ、セイヨウキズタ、サンザシ、ナツメ及びキバナオランダセンニチから選ばれる1種を用いることが知られている(特許文献1を参照)。
特開2008-081441号公報
近年、消化酵素そのもの或いは消化酵素を含有する組成物を経口摂取することが広く行われている。消化酵素を含有する従来の経口用組成物は、その多くが失活した消化酵素を含有している。また経口摂取された消化酵素は、一部は胃酸により分解される可能性がある。しかしながら一般には、活性を有する消化酵素を経口摂取した場合、食物の消化を助け代謝を促進するのに一定の効果があると考えられている。従って、単に消化酵素のみを含有する場合に比べて、高い酵素活性を有する消化酵素含有組成物を経口摂取することの実益が存在する。
しかしながら、特許文献1に記載の消化酵素活性化剤を含め、従来の消化酵素活性を高める技術はその作用が十分ではなく、また、活性を促進させるべき消化酵素に対して、非常に高濃度の有効成分を要するといった課題が存在した。
そこで、本発明は、高い消化酵素活性を有し、天然物由来成分を有効成分として含有する組成物を提供することを課題とする。
本発明は、植物処理物と、該植物処理物に由来しない消化酵素とを含有する経口用組成物を提供するものである。
本発明によれば、高い消化酵素活性を有する経口用組成物を提供することができる。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。
本実施形態の経口用組成物は、消化酵素に加えて植物処理物を含有することにより、該消化酵素活性が優れて高いものである。
(消化酵素)
本実施形態の経口用組成物は、消化酵素を有する。
消化酵素とは、食品成分を消化する酵素をいい、経口用組成物の投与対象が生成しうる酵素であってもよく、生成できない酵素であってもよい。本実施形態の経口用組成物に含まれる消化酵素は活性型であることが好ましい。活性型酵素とは酵素活性を有する酵素をいう。酵素活性を有するとは、活性を完全に失った状態ではないことをいう。酵素活性の失活は加熱やpHの変化等によって、酵素タンパク質が変性し、活性部位の立体構造が変わることで、基質が酵素に結合できなくなることによって起こる。
一般に、消化酵素としては、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ及びガラクトシダーゼが知られている。
プロテアーゼはタンパク質やペプチドなどにおけるペプチド結合を加水分解することを触媒する酵素の総称である。プロテアーゼは、触媒作用によって大きく2つに分類され、タンパク質やペプチドなどの分子の内部のペプチド結合を加水分解してペプチドを遊離することを触媒するものがエンドプロテーゼ(プロテイナーゼ)であり、該分子のアミノ基末端又はカルボキシル基末端からペプチド結合を加水分解することによりアミノ酸を遊離することを触媒するものがエキソプロテアーゼである。
プロテアーゼとしては、植物処理物による酵素活性促進効果が高い点でシステインプロテアーゼを含有することが好ましく、特にパパインを含有することが好ましい。
またアミラーゼは、デンプンやグリコーゲン中のアミロースやアミロペクチンを、グリコシド結合を加水分解することで単糖類であるブドウ糖や二糖類であるマルトース及びオリゴ糖に変換する酵素の総称である。アミラーゼには、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼがある。
α−アミラーゼは、別名を1,4−α−D−グルカングルカノヒドロラーゼ、グリコゲナーゼといい、デンプンやグリコーゲンのα−1,4−結合を不規則に切断し、多糖ないしマルトース、オリゴ糖を生み出す酵素である。
β−アミラーゼは別名を1,4−α−D−グルカングルカノマルトヒドロラーゼ、グリコゲナーゼあるいはサッカロゲンアミラーゼといい、デンプンやグリコーゲンをマルトース(麦芽糖)に分解する。
グルコアミラーゼは正式名称がグルカン1,4−α−グルコシダーゼといい、1,4−α−D−グルカングルコヒドロラーゼは、エキソ1,4−α−グルコシダーゼ、γアミラーゼ、リソソーマルα−グルコシダーゼあるいはアミログルコシダーゼを別名とする。糖鎖の非還元末端のα−1,4−結合をエキソ型に加水分解してブドウ糖1分子を産生する。α−1,6−結合も切断するものも知られている。
リパーゼとしては、トリアシルグリセリドリパーゼ、ホスホリパーゼが挙げられる。セルラーゼとしては、エンドグルカナーゼ及びエキソグルカナーゼが挙げられる。ガラクトシダーゼとしては、β-ガラクトシダーゼなどが挙げられる。リパーゼとしては、トリア
シルグリセリドリパーゼ、ホスホリパーゼが挙げられる。セルラーゼとしては、エンドグルカナーゼ及びエキソグルカナーゼが挙げられる。ガラクトシダーゼとしては、β-ガラ
クトシダーゼなどが挙げられる。
消化酵素としては、プロテアーゼ及びアミラーゼが、植物処理物による酵素活性向上効果が高いために好ましい。
消化酵素としては、市販の酵素製剤であってもよく、消化酵素を含有する食材加工物であってもよい。例えば、プロテアーゼの一種である前記のパパインは、未成熟パパイヤ果実及び/若しくは果汁又はそれらの加工物中に多く含まれることが知られており、本実施
形態では、未成熟パパイヤ果実及び/若しくは果汁又はそれらの加工物をパパインとして使用できる。パパイヤは熱帯アメリカ原産の果物として知られる、パパイヤ属植物であれば特に限定されず、例えば、Carica papayaが挙げられる。パパインは、パパイヤの果実
又は果汁の抽出物及びその乾燥粉末が特に好ましい。
例えば、プロテアーゼ及びそれを含有する食材加工物は、そのタンパク質分解力価が乾燥質量で、5,000単位/g以上のものを用いることが好ましく、10,000単位/g以上のものを用いることがより好ましく、20,000単位/g以上のものを用いることが特に好ましく、30,000単位/g以上のものを用いることが一層好ましい。本明細書でいうタンパク質分解力価とは、カゼイン(乳製)を基質とし、37℃、pH6.0において、反応初期の1分間に1μgのL−チロシンに相当する波長275nmの吸光度を増加させる活性を1単位とするものである。タンパク質分解力価はタンパク質消化力と呼ばれることもあり、後述する実施例に記載の方法にて測定できる。また上述した理由から、パパインとしては、タンパク質分解力価が5,000単位/g以上のものを用いることが好ましく、10,000単位/g以上のものを用いることがより好ましく、50,000単位/g以上のものを用いることが特に好ましい。
また例えばアミラーゼ及びそれを含有する食材加工物は、後述するデンプン分解力価が1〜5000000単位/gであることが好ましく、10〜500000単位/gであることが好ましく、100〜100000単位/gであることがより好ましい。
デンプン分解力価は、測定方法は定法に従えばよいが、例えば以下の方法が挙げられる。
デンプン分解力価測定方法:デンプン(溶性)を基質とし、40℃、pH5.0において、30分間に1%デンプン溶液1mlをヨウ素呈色度が波長670nm、光路長10nmで66%の透過率を与えるまで分解する活性を1単位として測定することが出来る。
本実施形態の経口用組成物において、消化酵素は固体状であってもよく、液状、シロップ状、ペースト状、ゲル状、ゼリー状、クリーム状、エマルション状、スプレー状、ムース状、ローション状等の流動状であってもよい。固体状としては、粉末状、顆粒状、粒状、タブレット状、チュアブル状、カプセル状、ソフトカプセル状、などが挙げられる。
(植物処理物)
植物処理物は、植物体が、発酵、乾燥、粉砕、抽出、ろ過、搾汁、スラリー化、加熱などの何れかの処理により得られたものである。本発明において、植物処理物は消化酵素とは異なる成分である。但し、上述したように消化酵素は、食材加工物であってよく当該食材には植物も含まれる。ここでいう加工物の加工方法としては、植物処理物における処理方法と同様のものが挙げられる。従って、本実施形態の経口用組成物には、2種以上の植物加工物を含有し、そのうち1種以上が本実施形態の植物処理物であり、そのうち1種以上が消化酵素であるものが含まれる。
植物処理物における植物体としては、セリ科(Apiaceae)、イネ科(Poaceae)、ツバ
キ科(Theaceae)、アブラナ科(Brassicaceae)、ショウガ科(Zingiberaceae)、マメ科
(Fabaceae)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。植物体の部位としては、葉、根、根茎、花、茎、種子等各部位が挙げられるが、葉、根茎又は種子を用いることが好ましく、特に、セリ科、イネ科、ツバキ科若しくはアブラナ科植物の葉、ショウガ科植物の根茎、又はマメ科植物の種子から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。葉は茎を含んでいてもよい。
セリ科植物としては、セリ科シシウド属の植物を用いることが好ましく、とりわけ、アシタバ(Angelica keiskei)を用いることが好ましい。
イネ科植物としては、麦類又はササ類の植物を用いることが好ましい。麦類としては大麦、小麦、ライ麦、エンバク等を用いることが好ましいが、とりわけ大麦(Hordeum vulgare)を用いることが好ましい。大麦である場合、大麦の若葉を用いることが好ましい。
大麦若葉は、成熟期前、すなわち分けつ開始期から出穂開始前期に収穫される葉である。ササ類としては、ササ属やアズマザサ属等が挙げられるが、ササ属が好ましく、とりわけクマイザサ(Sasa veitchii)が好ましい。
ツバキ科植物としては、ツバキ属の植物を用いることが好ましく、とりわけ、チャノキ(Camellia sinensis)を用いることが好ましい。チャノキは、単に「茶」や「チャ」と
呼ばれることもある。
アブラナ科植物としては、アブラナ属の植物を用いることが好ましく、とりわけ、キャベツ(Brassica oleracea var. capitata)を用いることが好ましい。
ショウガ科植物としては、ショウガ属の植物を用いることが好ましく、とりわけショウガ(Zingiber officinale)を用いることが好ましい。
マメ科植物としては、ダイズ属の植物を用いることが好ましく、とりわけ大豆(Glycine max)を用いることが好ましい。
植物体から植物処理物を得る場合、当該植物体は、収穫直後のもの又は収穫後直ちに処理されたものであることが好ましい。処理までに時間を要する場合、植物体の変質を防ぐために低温貯蔵などの当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵することが好ましい。
植物処理物としては、例えば、植物体を乾燥処理及び粉砕処理して得られる乾燥粉末(以下、「乾燥粉砕末」ともいう)、植物体の細片化物及びその乾燥物、植物体の搾汁及びその乾燥粉末、植物体の抽出物及びその乾燥粉末などが挙げられるが、これらに限定されない。ただし、加工、貯蔵、運搬などの容易性や使用形態の汎用性といった観点から、最終的に粉末の形態をしていることが好ましい。本明細書で単に粉末という場合、通常、乾燥粉砕末、細片化物の乾燥粉末、搾汁の乾燥粉末及び抽出物の乾燥粉末のいずれをも含む。
また、植物処理物は、植物体の発酵物やその乾燥粉末であってもよい。植物体の発酵物とは、植物体又はその粉砕物、搾汁、抽出物若しくは細片化物を発酵させたものが含まれる。
とりわけ、植物体が葉である場合、植物処理物は葉の乾燥粉砕末であるか、葉の発酵物の乾燥粉末であることが好ましく、植物体が根茎である場合は、植物処理物は根茎の発酵物の乾燥粉末であることが好ましく、植物体が種子である場合は、植物処理物は種子の抽出物の乾燥粉末であることが好ましい。
例えば、特定の植物体を乾燥粉砕末化するには従来公知の方法を用いることができる。そのような方法としては、植物体に対して、乾燥処理及び粉砕処理を組み合わせた方法を用いることができる。乾燥処理及び粉砕処理はいずれを先に行ってもよいが、乾燥処理を先に行うことが好ましい。乾燥粉砕末化は、この方法に、さらに必要に応じて殺菌処理などの処理から選ばれる1種又は2種以上の処理を組み合わせてもよい。また、粉砕処理を行う回数は1回又は2回以上の処理を組み合わせてもよいが、粗粉砕処理を行った後に、より細かく粉砕する微粉砕処理を組み合わせることが好ましい。
乾燥処理及び粉砕処理に追加して殺菌処理を行ってもよい。殺菌処理は当業者に通常知られている処理であれば特に限定されないが、例えば、温度、圧力、電磁波、薬剤などを用いて物理的又は化学的に微生物を殺滅させる処理であるということができる。乾燥処理及び粉砕処理に追加して殺菌処理を行う場合、殺菌処理は、乾燥処理の後か、粉砕処理の前又は後に行われることが好ましい。
乾燥処理は特に限定されないが、例えば、植物体の水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように乾燥する処理が挙げられる。乾燥処理は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の任意の方法により行われ得る。加熱による乾燥は、例えば、40℃〜140℃、好ましくは80℃〜130℃にて加温により植物体が変色しない温度及び時間で行われ得る。
粉砕処理は特に限定されないが、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの粉砕用の機器や器具などを用いて、当業者が通常使用する任意の方法により植物体を粉砕する処理が挙げられる。粉砕された植物体は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、30〜250メッシュを通過するものを植物体の粉末として用いることが好ましい。粒径が250メッシュ通過のもの以下とすることで、さらなる加工時に植物体の粉末が取り扱いやすくなり、粒径が30メッシュ通過以上のものとすることで、植物体の粉末と他の素材との均一な混合が容易になる。
具体的な乾燥粉砕末化の方法としては、例えば、植物体を切断した後、水分含量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥し、その後粉砕する方法が挙げられる。この他にも、例えば、植物体を切断した後、揉捻し、その後、乾燥し、粉砕する方法;植物体を乾燥し、粗粉砕した後、110℃以上で加熱し、さらに微粉砕する方法などが挙げられる。
また、植物体を細片化する方法は特に限定されないが、例えば、スライス、破砕、細断などの当業者が植物体を細片化する際に通常使用する方法を用いることができる。細片化の一例として、スラリー化してもよい。スラリー化は、植物体をミキサー、ジューサー、ブレンダー、マスコロイダーなどにかけ、どろどろした粥状(液体と固体との懸濁液)にすることにより行う。種子の細片化物を加熱する場合は、この液に水を入れて煮詰めた後、篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去して液分を用いてもよい。
植物体を搾汁する方法は特に限定されないが、例えば、植物体又はその細片化物を圧搾する方法、植物体の細片化物を遠心やろ過する方法などを挙げることができる。具体的な搾汁方法の例としては、ミキサー、ジューサーなどの機械的破砕手段によって搾汁し、必要に応じて、篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去することにより搾汁液を得る方法が挙げられる。
植物体の抽出物(エキス)を得る方法は特に限定されないが、例えば、植物体又はその細片化物或いは乾燥物等に、エタノール、水、含水エタノールなどの当業者が通常用いる抽出溶媒を加え、必要に応じて攪拌又は/及び加温して抽出する方法などを挙げることができる。その後の篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去して抽出物を得てもよい。例えば、大豆の細片化物(磨砕物)に水を加えて煮詰めた後固形物をろ過して得られる抽出液は、豆乳として知られている。抽出物は、必要に応じて濃縮してもよい。
更に植物体を発酵する方法は、植物体又はその粉砕物、搾汁、抽出物若しくは細片化物に対して、乳酸菌、酵母、麹菌、納豆菌、酢酸菌等を添加して行うことができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。ここでいう乳酸菌はビフィズス菌であってもよく、ビフィズス菌を除く一般乳酸菌であってもよい。
上記の細片化処理で得られた搾汁や抽出処理で得られた液状抽出物、発酵後の液状物やスラリー等はいずれも熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の任意の方法により乾燥粉末化されうる。この際にデキストリン等の賦形剤を添加してもよい。
本実施形態の経口用組成物において、植物処理物は固体状であってもよく、液状、シロップ状、ペースト状、ゲル状、ゼリー状、クリーム状、エマルション状、スプレー状、ムース状、ローション状等の流動状であってもよい。固体状としては、粉末状、顆粒状、粒状、タブレット状、チュアブル状、カプセル状、ソフトカプセル状、などが挙げられる。
有効成分として用いられる植物処理物は市販されているものを用いてもよい。市販品としては、例えば、後述する実施例に記載されているものが挙げられる。
本発明の組成物における消化酵素及び植物処理物の含有量は、少なくとも高い消化酵素活性作用を奏し得る有効量であれば、有効成分のみからなるものであってもよいが、例えば下記の量であると、より一層高い消化酵素活性作用を奏しうるために好ましい。本発明の組成物は植物処理物を含有することで特定の消化酵素を単独で含有する場合に比べて当該消化酵素活性が高まるものである。例えば本実施形態の組成物はプロテアーゼを含有する場合、プロテアーゼを単独で含有する場合に比べて高いプロテアーゼ活性を有するものであり、アミラーゼを含有する場合、アミラーゼを単独で含有する場合に比べて高いアミラーゼ活性を有するものである。
組成物の消化酵素及び植物処理物の乾燥質量比([消化酵素]:[植物処理物])は、1:0.0001以上1:1000,000以下であり、好ましくは1:0.001以上1:100,000以下であり、より好ましくは1:0.01以上1:10,000以下であり、特に好ましくは1:0.1以上1:1,000以下である。例えば組成物が消化酵素として、食材加工物を含む場合、食材加工物の量をパパインの量とみなす(以下同様)。
組成物の固形分中、消化酵素及び植物処理物の含有量の総量は、0.001質量%以上99質量%以下が好ましく、0.01質量%以上90質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上80質量%以下が特に好ましい。
消化酵素及び植物処理物の含有量の総量は、1日あたりの使用量として下限値を消化酵素及び植物処理物の乾燥質量で、例えば、10mg以上、好ましくは100mg以上、より好ましくは200mg以上となるように設定することができる。また、1日あたりの使用量として上限値を消化酵素及び植物処理物の乾燥質量で、例えば、20000mg以下、好ましくは15000mg以下、より好ましくは10000mg以下となるように設定することができる。
本発明の組成物は、植物処理物を含有することにより、後述する実施例によって実証されているとおり、アミラーゼ活性やプロテアーゼ活性等の消化酵素活性が、消化酵素又は植物処理物を単独で含有する場合に比べて優れて高いものとなる。
経口用組成物は固体状であってもよく、液状、シロップ状、ペースト状、ゲル状、ゼリー状、クリーム状、エマルション状、スプレー状、ムース状、ローション状等の流動状であってもよい。固体状としては、粉末状、顆粒状、粒状、タブレット状、チュアブル状、カプセル状、ソフトカプセル状、などが挙げられる。
本発明の組成物の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック;ストリップ包装;ヒートシール;アルミパウチ;プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装;バイアルなどのガラス容器;アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、使用態様に応じて当業者に知られる一般的な製造方法に準じて製造される。例えば、顆粒状や固形状のものについては、そのまま又は上記のその他の成分や第2の生理活性成分と同時又は数段階に分けて混和したものを、流動層造粒法、攪拌造粒法、押出造粒法などの造粒方法に従って造粒して顆粒状とし、さらに打錠機などを用いる常法に従って圧縮成形することによって錠状に成形できる。
本発明の組成物における消化酵素及び植物処理物以外の成分としては特に制限されず、賦形剤、増粘剤、油脂、ビタミン類、製造用剤など、他の成分と任意に組み合わせることができる。
また、本発明の組成物は、消化酵素及びスーパーフードを含有することにより、高いプロテアーゼ活性作用、アミラーゼ活性等の酵素作用を通じて、栄養吸収促進剤、タンパク質分解剤、タンパク質活性調節剤、デンプン質分解剤などの態様を採り得る。
一般に体内が酵素不足になると、代謝酵素が食物の消化に優先して使用されるため、体内の代謝が低下するといわれている。消化酵素を経口摂取により体内に供給すると、体内での代謝酵素の産生が増加するか又はその消費を抑制し、これにより代謝が増加または改善することでダイエット効果があるといわれている。また、消化酵素を経口摂取により体内に供給すると、消化器官での消化力が向上し、これが整腸につながり、便秘や腹部肥満が解消されやすいとされている。
本発明の組成物は消化酵素活性が高いため、これを経口摂取により体内に供給することで、これらのダイエット効果並びに便秘又は腹部肥満を解消する効果を高めるものと期待される。
本発明の組成物は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、期待される作用効果が奏される限り特に限定はなく、ヒト以外の動物に対して適用することができる。本発明の組成物の使用者は特に限定されず、例えば、健常者であってもよいが、プロテアーゼやアミラーゼ等の消化酵素による生理活性が期待される者であることが好ましく、40歳以上の中高年者がより好ましい。本発明の組成物の使用頻度は特に限定されず、例えば、1週間に1度以上であり、好ましくは1週間に2度以上である。
本発明の組成物は、有効成分に加えて、プロテアーゼやアミラーゼ等の消化酵素若しくはそれらの促進作用を示す第2の生理活性成分を含有することができる。このような第2の生理活性成分としては、これまでに知られている消化酵素活性を示すものであれば特に限定されない。例えば、特許文献1に記載のプロテアーゼ活性促進作用を示す組成物や剤の有効成分が挙げられる。本発明の特定成分に加えて第2の生理活性成分を含有することにより、本発明の組成物は、相乗的な消化酵素活性を示す組成物であり得る。第2の生理活性成分は、1種又は2種以上の成分であり得る。第2の生理活性成分の配合量は、本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されず、適宜調整される。
以上のように好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されない。例えば、本発明は、植物処理物を含有する消化酵素活性向上用組成物を提供するものであってもよい。植物処理物としては上記で説明したものを使用できる。また消化酵素としては、上記で説明したものが挙げられる。消化酵素活性向上用組成物の組成は、それ自体は消化酵素の含有を必須としない(もちろん消化酵素を含有していてもよいが)点以外は上記の本発明の経口用組成物と同様である。従って上記の経口用組成物の説明は消化酵素の含有を必須としていない点以外は、消化酵素活性向上用組成物にすべて当てはまる。このような消化酵素活性向上用組成物は、消化酵素を含有する食品や経口用製剤と共に摂取することで、当該食品や製剤中の消化酵素の活性を効果的に高めることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
(1)被験試料
下記表1及び表2に示す被験試料として以下のものを用いた。
(1−1)α−アミラーゼ:市販の酵素製剤粉末(デンプン分解力価:〜30単位/mg)を用いた。
パパイン:未成熟パパイヤの種子から抽出した市販のパパイヤ抽出物粉末、(タンパク質分解力価:90,000単位/g)を用いた。
(1−2)植物処理物として下記の粉末を用いた。
・アシタバ:市販のアシタバの乾燥粉砕末を用いた。
・大麦の葉:α−アミラーゼ活性測定には東洋新薬社製の大麦若葉の乾燥粉砕末を、プロテアーゼ活性測定には東洋新薬社製の大麦若葉乾燥粉砕末のエタノール抽出物(大麦若葉の乾燥粉砕末を、100%エタノールで16時間抽出し、遠心後、上清を凍結乾燥により、乾燥粉末化させたもの)を用いた。
・抹茶:東洋新薬社製の碾茶の乾燥粉砕末を用いた。
・発酵ショウガ:東洋新薬社製の商品名「発酵黒ショウガ末」(原料ショウガを、黒麹菌で発酵させた後、乾燥及び粉砕処理してなる乾燥粉砕末)を用いた。
・発酵キャベツ:東洋新薬社製の商品名「キャベツ発酵エキス」(原料キャベツを、乳酸菌で発酵させた後、乾燥及び粉砕処理してなる乾燥粉砕末)を用いた。
・クマイザサ:市販のクマイザサの乾燥粉砕末を用いた。
・豆乳:市販の豆乳乾燥粉末を用いた。
(2)実施例1〜5、比較例1〜6
特定の植物処理物が、消化酵素であるα−アミラーゼの活性を顕著に向上させることを以下のとおりに実証した。
<α−アミラーゼ活性測定>
(2−1)試料調製
酢酸及び酢酸ナトリウムを水に溶解させて室温にてpH5の20mM酢酸緩衝液を調製した。調製した20mM酢酸緩衝液に、デンプン(和光純薬:191−03985)を0.5mg/mlで溶解し、デンプン溶液とした。
1M塩酸にヨウ化カリウムを1mg/mlになるように溶解した後、ヨウ素を0.1mg/mlになるように溶解し、ヨウ素液とした。
前記20mM酢酸緩衝液に下記表1に示す被験試料を表1に示す濃度となるように分散ないし溶解させることにより、被験試料溶液を調製した。
(2−2)検量線
20mM酢酸緩衝液及び、0.5mg/mlデンプン溶液を用いて、デンプン濃度を0mg/ml、0.06mg/ml、0.125mg/ml、0.25mg/ml及び0.5mg/mlの各濃度に調整したデンプン溶液を用意した。各濃度のデンプン溶液1mlに、20mM酢酸緩衝液125μl、ヨウ素液125μlを順に加え、620nmにおける吸光度を測定し検量線を作成した。
(2−3)デンプン分解力価の測定
0.5mg/mlデンプン溶液1mlを30℃に保ち、(2−1)で調製した被験試料溶液を125μl加えて反応を開始させ、20分後にヨウ素液を125μl加えよく混合し、酵素反応20分の溶液とした。
それとは別に、0.5mg/mlデンプン溶液1mlにヨウ素液125μl、被験試料
溶液125μlを順に加えよく混合したものを酵素反応0分の溶液とした。酵素反応0分の溶液及び酵素反応20分の溶液のそれぞれの620nmにおける吸光度を測定した。
酵素反応0分及び20分の吸光度差Δから、(2−2)で得た検量線に基づき、被験試料により消化されたデンプン当量値を算出した。
得られたデンプン当量値の平均値について、α−アミラーゼ単体の平均値(比較例1)を100%としたときの相対値を求め、デンプン分解力価(相対値)とした。結果を下記表1に示す。なお、下記表において、〇は、上記(2−1)で調製した被験試料溶液が、左欄に記載の被験試料を同表に記載の濃度で含有していたことを示す(下記表2においても同様)。
上記表1に示すように、植物処理物のみを用いた比較例2〜6によれば、α−アミラーゼを単独で用いた比較例1に比べて、デンプン分解力価は大幅に低いのに対し、植物処理物とα−アミラーゼとの組み合わせた各実施例では、各植物処理物単独、及びα−アミラーゼ単独の場合のデンプン分解力価の合計値よりも大幅に高いデンプン分解力価が得られた。
従って、植物処理物とα−アミラーゼとを組み合わせた本発明の経口用組成物によるα−アミラーゼ活性向上効果が優れていることが判る。
(3)実施例6〜10、比較例7〜12
特定の植物処理物が、消化酵素であるプロテアーゼ活性を顕著に向上させることを以下のとおりに実証した。
<プロテアーゼ活性測定>
(3−1)チロシン検量線の作成
チロシンを105℃で3時間乾燥させた後、0.100gを正確に量り、0.2N 塩酸を加えて溶解し、正確に100μlとしたものを、チロシン標準溶液とした。このチロシン標準溶液 100μlを正確に量り、0.2N 塩酸で5mlにメスアップ後(20μg/ml)、15μg/ml、10μg/ml及び5μg/mlの各濃度に希釈し、検量線試液とした。
0.2N 塩酸及び検量線試液の各溶液 200μlに0.55M 炭酸ナトリウム 500μl、Foline試薬 100μlを加え、37℃で30分間インキュベートした。ここで、Foline試薬はタングステン酸ナトリウム 5gとリンモリブテン酸 1gを純水 50mlに溶解し、リン酸 2.5mlを加え還流抽出後、200mLにメ
スアップすることによって調製した。試験は繰返し数2で実施した。
96ウェルプレートに200μlずつ移し、660nmにおけるそれぞれの吸光度A0
、A1、A2、A3及びA4を測定した。ここで、A0、A1、A2、A3及びA4のチロシン濃
度は、それぞれ0、5、10、15及び20μg/mlである。
測定値について、縦軸に吸光度差(An−A0)、横軸に各溶液のチロシン濃度(μg/ml)をとり、検量線を作成した。得られた検量線から吸光度差1.000に対するチロシン量([F]μg/ml)を算出した。
(3−2)タンパク質分解力価の測定
カゼイン溶液は次のようにして調製した。すなわち、カゼイン(ウシ乳由来(Hammarsten処方);和光純薬工業社) 約1gを精密に量り、105℃で2時間インキュベートした後、乾燥質量を測定した。得られた乾燥カゼイン 1.20g相当を精密に量り、0.05M リン酸一水素二ナトリウムの水溶液160mlを加え、水浴中で40℃にて、約15分加温して溶解した。1M 塩酸を用いてpH7.5に調製し、超純水で200mlにメスアップすることにより、カゼイン溶液を調製した。
タンパク質沈殿溶液として、溶媒を超純水とし、0.11M トリクロロ酢酸、0.22M 酢酸ナトリウム及び0.33M 酢酸を含有する溶液を調製した。
酵素希釈溶液として、溶媒を超純水とし、0.01M 塩化ナトリウム、0.002M
酢酸カルシウム及び0.002M 硫酸カルシウムを含有する溶液を調製した。
上記の酵素希釈溶液1mlに、下記表2に記載の被験試料を表2に記載の濃度になるように溶解させて被験試料溶液を調製した。
カゼイン溶液 500μlを37℃で10分間インキュベートし、被験試料溶液 100μlを加え、ただちに振り混ぜた。得られた溶液を37℃で10分間インキュベートした(インキュベート時の溶液中のpH=6.0)。タンパク質沈殿溶液 500μlを加え、37℃、30分間でインキュベートした後、10,000rpmで3分間、室温にて遠心した。
また、ブランクとして被験試料溶液 100μlにタンパク質沈殿溶液 500μlを加えて混合後、カゼイン溶液 500μlを添加したものを調製し、37℃、30分間でインキュベートした後、10,000rpmで3分間、室温にて遠心した。
遠心上清 200μlに0.55M 炭酸ナトリウム 500μl及びFoline試薬 100μlを加え、37℃で30分間インキュベートした。96ウェルプレートにインキュベート後の溶液を200μLずつ移し、660nmの吸光度(AT)を測定した。
また、ブランクにおける吸光度をABとした。
得られた吸光度に基づいて、以下の式を用いてタンパク質分解力価を算出した:
タンパク質分解力価(単位/g)=(AT−AB)×F×(反応溶液の量)×(1/10)×(1/W)
F:チロシン検量線より求めた吸光度差が1.000のときのチロシン量(μg/ml)
反応溶液:カゼイン溶液+被験試料溶液+タンパク質沈殿溶液
W:反応溶液中の試料の量(g)
比較例1のタンパク質分解力価を100%としたときの各実施例及び比較例の組成物のタンパク質分解力価の相対値をパパインに対する相対力価として表2に示す。
上記表2に示すように、植物処理物のみを用いた比較例8〜12によれば、パパインを単独で用いた比較例7に比べて、タンパク質分解力価は大幅に低下したのに対し、植物処理物とパパインとの組み合わせた各実施例では、各植物処理物単独の場合のタンパク質分解力価、及びパパイン単独の場合のタンパク質分解力価の合計値よりも大幅に高い分解力価が得られた。
従って、植物処理物とプロテアーゼとを組み合わせた本発明の経口用組成物によるプロテアーゼ活性向上効果が優れていることが判る。
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<製造例1〜10>
下記表3の配合にて、α−アミラーゼ及び植物処理物を含有する粉末飲料を製造した。
<製造例11〜20>
下記表4の配合にて、α−アミラーゼ及び植物処理物を含有する顆粒剤を製造した。
<製造例21〜30>
下記表5の配合にて、プロテアーゼ及び植物処理物を含有する粉末飲料を製造した。
<製造例31〜40>
下記表6の配合にて、プロテアーゼ及び植物処理物を含有する顆粒剤を製造した。
本発明によれば、α−アミラーゼ、プロテアーゼ等の消化酵素活性の高い経口用組成物が得られ、消化酵素による生理活性を期待する者にとって有益な一般飲食品、特定保健用飲食品、栄養機能飲食品、保健機能飲食品、特別用途飲食品、栄養補助飲食品、健康補助飲食品、サプリメント、美容飲食品、その他の健康飲食品、医薬用部外品、化粧品、医薬品として利用できる。

Claims (3)

  1. 消化酵素と、植物処理物とを有する経口用組成物。
  2. 前記消化酵素がプロテアーゼ又はアミラーゼである請求項1に記載の経口用組成物。
  3. 前記植物処理物が、アシタバ、大麦、クマイザサ、チャノキ、キャベツ、ショウガ及び大豆から選ばれる少なくとも1種の処理物である、請求項1又は2に記載の経口用組成物。
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