JP2004357509A - 乳酸発酵食品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】免疫増強効果が高くかつ風味も良好な野菜と果実の乳酸発酵食品を得る。
【解決手段】キャベツ、ダイコン等の野菜及びバナナ、スイカ等の果実よりなる群から選ばれた1種又は2種以上を破砕した発酵原料を、エンテロコッカス・フェカーリスを所定の比率以上含む乳酸菌で発酵させた液状又は粉末状の乳酸発酵食品。また、この発酵原料の野菜及び果実として、キャベツ、ダイコン、ナス及びバナナの4種を所定の比率で配合したものを用いる。乳酸菌としては、少なくとも球菌であるエンテロコッカス・フェカーリスを含み、他の球菌、桿菌、ビフィズス菌と適宜組合わせたものを用いる。
【解決手段】キャベツ、ダイコン等の野菜及びバナナ、スイカ等の果実よりなる群から選ばれた1種又は2種以上を破砕した発酵原料を、エンテロコッカス・フェカーリスを所定の比率以上含む乳酸菌で発酵させた液状又は粉末状の乳酸発酵食品。また、この発酵原料の野菜及び果実として、キャベツ、ダイコン、ナス及びバナナの4種を所定の比率で配合したものを用いる。乳酸菌としては、少なくとも球菌であるエンテロコッカス・フェカーリスを含み、他の球菌、桿菌、ビフィズス菌と適宜組合わせたものを用いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、野菜や果実を乳酸菌で発酵させた液状又は粉末状の食品に関し、とくに白血球のサイトカイン産生能を高めることにより、生体の免疫機能を活性化することのできる乳酸発酵食品とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品の分野においても、従来から知られている六大栄養素に含まれない新たな有用成分として、生理応答調節物質(Biological Response Modifier;BRM)が注目されている。このBRMは、免疫賦活物質とも呼ばれ、白血球のサイトカイン産生能を高めて、マクロファージを始めとする白血球の働きを活発にする作用を有するため、生体の免疫・防御機能に直接関連し、各種感染症、癌、動脈硬化、糖尿病、各種アレルギー症等の治療や予防に重要なかかわりを持つと考えられている。
【0003】
このようなBRMの機能を発現する化学物質を特定することは現状では困難であるが、食品におけるBRMとしての機能は、薬剤におけると同様に、in vivo又はin vitroでサンプル物質を投与した時の、白血球のサイトカイン産生量の増分を測定することにより、評価することができる。
【0004】
従来から薬剤の分野においては、天然物由来の免疫賦活剤が多数提案されているが、近年、一部の食品例えば野菜、果実、海藻等の植物性食品の中にも、高い免疫賦活機能を示すものがあることが知られるようになってきた(例えば、山崎正利著「サイトカインの秘密」(PHP研究所刊)など)。
【0005】
このような免疫賦活作用を有する植物性食品の例として、サツマイモ、ジャガイモ、サトイモ、ユリネおよびオクラより成る群から選ばれる野菜に、バチルス・ズブチリス等の微生物を接種、培養して得られる発酵物を有効成分として含有する免疫増強用飲食品添加剤が開示されている。
【0006】
また、タマネギ、キャベツ等の野菜、バナナ、リンゴ等の果実からなる群から選ばれる一種以上の野菜及び/又は果実の汁液並びに乳原料を含む原料に対して、先ず酵母を添加して発酵処理を施した後、乳酸菌を添加して発酵処理を施すことを特徴とする発酵飲料の製造方法が提案されており、さらに、上記と同様の群から選ばれる一種以上の野菜及び/又は果物の汁液と乳原料を含有し、さらにショウガ汁液を0.001〜0.05重量%含有する飲料が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−7115号公報
【特許文献2】
特開2001−190251号公報
【特許文献3】
特開2001−190252号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来から、ある種の乳酸菌は免疫賦活作用を有することが知られており、この効果の高い菌種についての提案や、これら乳酸菌の菌体又はその処理物の経口摂取を容易にする手段についての提案が多数なされている。
【0009】
本発明者らは、前述したようなそれ自体免疫賦活作用を有する植物性食品を乳酸発酵させることにより、相乗的に免疫賦活作用を高め得ることに着眼した。野菜や果実を乳酸発酵させた飲料は従来から多数提案されているが、いずれも風味の改善を目的とするもので、免疫賦活作用に着眼したものではない。前述の特開2001ー190251号の製造方法も、野菜のえぐ味やくさみ等を消すために乳酸発酵させるものであって、これによる免疫賦活作用の向上を目的とするものではない。
【0010】
そこで、本発明の第一の目的は、適切な植物性食品の発酵原料と乳酸菌の菌種とを選定して、乳酸発酵によって相乗的に免疫賦活作用を高めた飲食品を提供することにある。
【0011】
また、飲食品としてはその風味がきわめて重要であり、かつ日常的に摂取する食品としては安価であることも重要であるから、本発明の第二の目的は、上記のような植物性食品の発酵原料と乳酸菌との組み合わせにおいて、風味がよく違和感なく飲食に供することができ、かつ安価で容易に入手しうるような原料を用いて、上記のような免疫賦活作用の高い飲食品を製造しうる手段を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の乳酸発酵食品の第一は、
キャベツ、ダイコン、カブ、ハクサイ、タマネギ、ナス、キュウリ、ニンニク、ホウレンソウ、ピ−マン、パセリ、ニンジン、バナナ、スイカ、パイナップル、ブドウ、ナシ、カキ、リンゴ及びキウイよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の野菜及び/又は果実を、エンテロコッカス・フェカーリスを所定の比率以上含む乳酸菌で発酵させた発酵物を主成分とする、液状又は粉末状の乳酸発酵食品である。
【0013】
また、本発明の乳酸発酵食品の第二は、
キャベツ、ダイコン、ナス及びバナナを主体とする野菜及び果実を、エンテロコッカス・フェカーリスを所定の比率以上含む乳酸菌で発酵させた発酵物を主成分とする、液状又は粉末状の乳酸発酵食品である。
【0014】
上記第二発明の乳酸発酵食品においては、発酵原料の植物性食品中に、カブ、ハクサイ、キュウリ、ナシ、リンゴ等の淡色系の野菜及び/又は果実の1種以上が30重量%以内の範囲内で含まれていてもよい。
【0015】
また、上記第二発明の乳酸発酵食品においては、
生の状態でのキャベツ、ダイコン、ナス及びバナナの総量100重部に対して、キャベツが20〜40重量部、ダイコンが5〜15重量部、ナスが5〜15重量部、であり、かつバナナが40〜60重量部であることが好ましい。
【0016】
上記第一及び第二発明の乳酸発酵食品のいずれにおいても、前記乳酸菌としては、発酵前の状態において、乳酸球菌であるエンテロコッカス・フェカーリスを菌体数で30%以上、より好ましくは40%以上含むものを用いる。
【0017】
また、上記第一及び第二発明の乳酸発酵食品のいずれにおいても、前記乳酸菌は、発酵前の状態において、エンテロコッカス・フェカーリスを菌体数で30%以上含み、残余がストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベティクス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロングム及びビフィドバクテリウム・ブレーベよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の乳酸菌からなるものであることが好ましい。
【0018】
さらに、上記第一及び第二発明の乳酸発酵食品のいずれにおいても、前記乳酸菌は、発酵前の状態において、エンテロコッカス・フェカーリスを菌体数で30〜70%含み、残余が(実質的に)乳酸桿菌であるラクトバチルス・プランタルムからなるものであることがより好ましい。
【0019】
さらに、本発明の乳酸発酵食品においては、前述の発酵原料を乳酸菌と酵母菌とを共棲培養して発酵させてもよい。このように乳酸菌と酵母菌とで発酵させることにより乳酸菌単独での発酵の場合より、免疫増強活性を高めることを可能にし、かつ発酵物の風味をさらに改善することができる。
【0020】
このような共棲培養の場合に用いる乳酸菌は上述のとおりであるが、酵母菌としては、例えばサッカロマイセス・セレビシエ及び/又はサッカロマイセス・ロゼイを用いることができる。これらの酵母菌は、食品に用いられる酵母菌の代表的なものであり、かつ上記原料の乳酸発酵物の風味を改善する効果及び乳酸発酵の発酵度を安定化させる効果も良好である。
【0021】
本発明の乳酸発酵食品の製造方法の第一は、
上記第一及び第二発明のずれかの乳酸発酵食品のうち液状のもの(液中に固形物が懸濁した懸濁液状のものを含む)を製造する方法であって、
生の野菜を煮沸するか又は乾燥野菜及び/又は乾燥果実を水に戻す前処理工程と、次いで上記で前処理した野菜と皮をむいた生の果実若しくは水に戻した乾燥果実とをジュース状又はピューレ状に粉砕する工程と、
次いで該工程で粉砕された食品を加熱殺菌する工程と、
次いで該工程で殺菌された食品に、必要に応じて酵素スターターを添加し、乳酸菌を添加・培養して、所定条件で乳酸発酵させる工程と、
発酵後該食品を再度加熱して発酵を停止させる工程と
を具備することを特徴とする乳酸発酵食品の製造方法である。
【0022】
また、本発明の乳酸発酵食品の製造方法の第二は、
上記第一及び第二発明のずれかの乳酸発酵食品のうち粉末状のものを製造する方法であって、
上記第一発明の製造方法の各工程により液状の発酵食品を製造するとともに、前記の破砕工程以降のいずれかの段階で破砕された食品中に石灰乳又は水酸化カルシウム(アルカリ性カルシウム化合物)を添加して発酵で生成する乳酸を中和し、その後該発酵食品を乾燥して、液中の固形物を粉末化することを特徴とする乳酸発酵食品の製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
まず、乳酸菌発酵の原料とする植物性食品について説明する。
本発明者らの知見によれば、野菜の中では淡色野菜に免疫賦活能の高いものが多い。具体的にはキャベツ、ダイコン、カブ、ハクサイ、タマネギ、ナガネギ、ナス、キュウリ、ニンニク等である。一般に緑黄色野菜には免疫賦活作用を示すものが少ないが、その中ではホウレンソウ、ピーマン、パセリ、ニンジンの免疫賦活能が高い。
【0024】
食品の免疫賦活作用を評価する一方法として、代表的なサイトカインであるTNF−α(腫瘍壊死因子)に着目し、白血球によるTNF−αの産生誘導活性(以下、TNF活性という)を測定する方法がある。上述の免疫賦活能が高い野菜は、いずれもTNF活性が高いが、中でもキャベツ、ダイコン、ナスのTNF活性が高い。果実では、バナナ、スイカ、パイナップル、ブドウ、ナシ、カキ、リンゴ、キウイのTNF活性が高く、柑橘類や苺等はTNF活性が低い。とくにTNF活性が高いのは、バナナとスイカである。
【0025】
本発明の発酵食品は、上記のTNF活性の高い野菜及び/又は果実のうちの1種又は2種以上を発酵原料とするものである。また、原料の野菜や果実の種類は1種類であってもよいが、白血球が産生するサイトカインは多様であり、食品の種類によって、産生され易いサイトカインの種類も異なると考えられるので、できるだけ多種類の野菜、果実を混合して発酵原料とすることが好ましい。
【0026】
次に、本発明で用いる乳酸菌について説明する。野菜を発酵させる菌種であれば、発酵野菜の製造は可能であるが、本発明のようにTNF活性の高い発酵野菜を作る上で菌株の選択は重要である。TNF活性は一般に乳酸球菌が高く、乳酸桿菌やビフィズス菌は弱いと言われている。球菌の中でもTNF活性の最も強いのはエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)である。
【0027】
したがって、本発明においては、エンテロコッカス・フェカーリスを含む乳酸菌を用いる。その中でも、本発明の発明者の一部が先に微生物の寄託を行なっている、エンテロコッカス・フェカーリス2001(受託番号IFO16804)を主体に用いることが好ましい。発酵前の乳酸菌におけるエンテロコッカス・フェカーリスの比率は、菌体数で30%以上であることが、発酵後の食品のTNF活性を高める上で好ましく、より好ましくは40%以上含むものを用いる。
【0028】
しかしながら、エンテロコッカス・フェカーリスは野菜培地によく増殖するものの、pHの下がりが悪く、発酵野菜としては酸味が弱く、中途半端な味になってしまう。また特有の発酵臭があり、野菜の青くさみも強く残って味が悪い。
本発明者らは味の改良法につき種々検討した結果、TNF活性の高いエンテロコッカス・フェカーリスと、到達pHのより低い乳酸球菌、乳酸桿菌、ビフィズス菌とを混合培養した乳酸菌で発酵させれば、上記の問題を解決しうることを知見した。
【0029】
この場合、混合する乳酸菌として、乳酸球菌ではストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、乳酸桿菌ではラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベティクス、ビフィズス菌ではビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロングム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ等の酪農乳酸菌や腸内由来の乳酸菌を広く用いることができ、これらのうちの1種でも2種以上であってもよい。
【0030】
さらに、できた発酵野菜の酸味の質、野菜の青臭さの消去、発酵臭の良さ等、総合的な評価でラクトバチルス・プランタルムとの組み合せ、すなわち、エンテロコッカス・フェカーリスを所定比率含み、かつ残余が(実質的に)乳酸桿菌であるラクトバチルス・プランタルムからなる乳酸菌が最も優れている。このような混合培養した乳酸菌を用いる場合、発酵前の状態でエンテロコッカス・フェカーリスが菌体数で30〜70%であることが好ましい。この範囲の下限未満では、TNF活性が不十分となり、上限を超えると発酵物の酸味が弱く、野菜の青くささが残るためである。
【0031】
本発明において、野菜等の乳酸発酵物は、そのままの形態では保存や貯蔵に不便であるため、液状(懸濁液を含む)に加工した野菜等を乳酸発酵させるか、或いは乳酸発酵させた野菜等を液状に加工する。さらに液状の発酵食品を乾燥して粉末状にしてもよい。粉末状のものは、そのまま食用とすることもできるが、水や乳飲料に添加して飲用に供しても良く、他の加工食品に添加しても良い。これら液状又は粉末状の発酵食品の好ましい製造方法については、後に詳述する。
【0032】
なお、本発明の発酵食品を「上記の野菜等の乳酸菌発酵物を主成分とする」と規定した理由は、上記の乳酸発酵物の他に、風味の改善を目的として添加される糖類や果汁等の調味成分を含んでいても良いとの意である。
【0033】
本発明の乳酸菌発酵食品は、TNF活性の高い植物性食品と乳酸菌とを一つの食品として同時に摂取し得るのみならず、両者単独でのTNF活性の和を上回る相乗的な効果を期待することができる。また、免疫賦活作用は、TNF活性のみでなく各種のサイトカインの産生能を総合的に高めることが重要であるが、乳酸菌発酵により、元の食品よりも幅広い多種類のサイトカインの産生能を付与することが期待できる。
【0034】
本発明者らは、上述の免疫賦活用発酵食品をより飲み易いものにし、かつ製造コストの低減を図るべく種々検討を重ねた。その結果、上記の野菜と果実の中でもキャベツ、ダイコン、ナス、バナナの4種を適当な比率で混合したものを発酵原料とするのが好ましいことを知見した。すなわち、本発明の乳酸発酵食品の第二は、キャベツ、ダイコン、ナス、バナナ(実)を主体とする植物性食品を、エンテロコッカス・フェカーリスを所定比率含む乳酸菌で発酵させた発酵物を主成分とする液状又は粉末状の乳酸菌発酵食品である。
【0035】
発酵原料として、上記の4種の野菜と果実を選択した理由は下記の通りである。
▲1▼これらの4種は、いずれもTNF活性がきわめて高い。
▲2▼淡色野菜をベースとする飲料は、白色に近いものである方が違和感が無い。
▲3▼淡色野菜の中で、タマネギ、ナガネギ、ニンニク等は、少量でも製品飲料にえ
ぐ味やくさみを与えるので避けた方が良い。
▲4▼果実の中で、ごく安価であり、淡色野菜と馴染みの良いのはバナナのみである。他の果実は、高価であったり、褐変し易かったり、淡色野菜と馴染みが悪かったりして適切でない。
▲5▼これらの4種は、いずれもきわめて安価である。とくに、これらの野菜は、形状や外観不良で規格外となるものや、生産過剰時に産地において廃棄される野菜が多い。本発明では、これらの市場に流通しない野菜を原料として用いることができ、かつ乾燥野菜を水に戻して発酵原料とすることもできるため、食糧資源の有効利用という観点からも意義が大きい。
【0036】
また、これらの4種の野菜と果実の全てを原料とする理由は、下記の通りである。
▲1▼上記の野菜のみを原料とすると、発酵飲料の青くささが強くなり、飲み易さの点で十分でない。一方、バナナのみを原料とすると、カロリーが高くなりかつ植物繊維が少なくなって、野菜ジュースとしての栄養バランス上好ましくない。したがって、発酵原料の半量程度以上が上記3種の野菜であることが好ましい。
▲2▼野菜の中では、キャベツを主体にした方が飲みやすい飲料になるが、キャベツのみでは、青くささがやや強くなるので、これに適量のダイコンとナスを加えた方が製品飲料の風味のバランスが良い。
▲3▼栄養素のバランスという観点からも上記の4種が全て含まれていた方がよい。
また、食品によって産生され易いサイトカインの種類が異なるため、できるだけ多種類の食品を原料とする方が好ましいと考えられる。
【0037】
なお、この第二発明の発酵食品の原料を、「上記4種の野菜と果実を主体とする植物性食品」と規定した理由は、上記▲1▼〜▲5▼項の目的に反しない範囲内において、他の野菜及び/又は果実等を含んでいても良いとの意である。
【0038】
すなわち、上記4種の他に、カブ、ハクサイ、キュウリ、ナシ、リンゴ等の淡色系の野菜及び/又は果実の1種以上が、総量で30重量%程度以内の範囲で含まれていてもよい。ただし、有色系の野菜、果実の場合は、これらの総量が10重量%程度をこえると、製品飲料が濁った白色となり好ましくない。また、タマネギ、ナガネギ、ニンニク等の臭いの強い野菜も、総量で5重量%程度をこえると、製品飲料の風味が著しく阻害されて好ましくない。
【0039】
本発明者らは、上記4種を原料とした発酵飲料の風味や外観を最適にするために、原料の配合比について種々検討した。その結果、ナスが多すぎると、アントシアン系色素により粉砕液が灰色となり、飲料としての外観上好ましくないことが知れた。また、ダイコンが多過ぎると、刺激臭が強くなり、味の良い乳酸発酵飲料にならないことが知れた。また、キャベツとバナナの配合比は、バナナをやや多くした方が、まろやかな味になり飲み易くなることも判明した。
【0040】
したがって、キャベツ、ダイコン、ナス、バナナ(実)の配合比は、30:10:10:50程度にすることが好ましい。許容しうる範囲は、ダイコン、ナスでは上記の±5程度、キャベツ、バナナでは上記の±10程度である。すなわち、上記4種の総量100重量部に対して、キャベツ20〜40重量部、ダイコン5〜15重量部、ナス5〜15重量部、バナナ(実)40〜60重量部とすることが好ましい。
【0041】
上記第二発明の発酵飲料においても、好ましい乳酸菌の種類は前記の第一発明の場合と同様である。また、食品の形態を液状(懸濁液を含む)又は粉末状とすることや、乳酸菌発酵物の他に少量の調味成分等を含んでいてもよいことも前述と同様である。
【0042】
次ぎに、本発明の乳酸菌発酵食品の製造方法について説明する。
まず、液状の発酵食品を製造するための本発明の方法は、
生の野菜を煮沸するか又は乾燥野菜と乾燥果実を水に戻す前処理工程と、
次いで上記で前処理した野菜と皮をむいた生の果実若しくは水に戻した乾燥果実とをジュース状又はピューレ状に粉砕する工程(粉砕工程)と、
次いで上記工程での粉砕物を加熱・殺菌する工程(殺菌工程)と、
次いで殺菌された粉砕物に、必要に応じて酵素スターターを添加し、乳酸菌を添加・培養して、所定条件で発酵させる工程(発酵工程)と
発酵終了後再度加熱して発酵を停止させる工程(発酵停止工程)と
を有することを特徴とする。
【0043】
上記の各工程についてさらに説明を加えると、生の野菜の場合、粉砕工程で野菜が褐変するのを防止するために予め軽度に煮沸することが好ましいが、バナナ等の果実はとくに煮沸の必要はない。煮沸の条件はとくに限定を要しないが、予めある程度の大きさにカットした野菜を、煮え過ぎない(柔かくなり過ぎ無い)程度に煮沸すれば良い。一方、乾燥野菜の場合は、粉砕工程で褐変することはほとんど無いので、水に戻した後果実とともに(果実も乾燥されている場合はともに水に戻した後)粉砕すればよい。
【0044】
粉砕工程は、通常はミキサーを用いるが、その方法についてはとくに限定を要しない。粉砕時には、被砕物を所定量(被砕物と同量程度)の水で希釈しても良い。殺菌工程は、発酵工程における雑菌の繁殖を防止するためのもので、通常の殺菌条件に従えばよく、発酵工程又は殺菌工程に先立って、粉砕物に加水してpH調製しておくことが好ましい。
【0045】
発酵工程では、乳酸菌の添加に先立って(又は添加と同時か添加後に)、必要に応じて、酵素スターター(例えば、アミラーゼ、プロテアーゼなど)を添加する。発酵条件は通常の条件に従えばよく、発酵を停止させるためには、上記の発酵物を所定温度に保持する加熱工程を設ければ良い。
【0046】
次ぎに粉末状の発酵食品を製造する方法は、上記と同じ煮沸工程、粉砕工程、殺菌工程、発酵工程及び発酵停止工程を順次実施して、液状又は懸濁液状の乳酸発酵飲料を製造するが、前記の破砕工程以降のいずれかの段階で破砕された食品中に中和剤を添加して、発酵で生成する乳酸を中和した後、乾燥して液中の固形物を粉末化することを特徴とする。
【0047】
乾燥に先立って、中和剤で中和する理由は、乳酸発酵液が多量の乳酸を含むため、このままで乾燥すると飴状になって、粉末化が困難となるためである。なお、中和剤としては、アルカリ性カルシウム化合物、例えば石灰乳液や水酸化カルシウムが好適であり、乾燥方法としては、凍結乾燥法(又は噴霧乾燥法)が好適である。
【0048】
【実施例】
実施例1(生野菜からの製法)
キャベツ、ナス、ダイコン、バナナをカットし(重量比3:1:1:5、総量1kg)、2L(リットル)の沸騰水に投入して5分間煮沸処理を行った。これをミキサーで粉砕し、加水して総量を3Lとした。これに20%(w/w)石灰乳液を加えてpH8.0に調整し、110℃、10分間殺菌した。冷却した後、グルコアミラーゼ(ユニアーゼ2K、ヤクルト薬品工業株式会社)とプロテアーゼ(ユニアーゼNP・2、ヤクルト薬品工業株式会社)のそれぞれ300mgを10mlの水に溶解し、無菌濾過したものを、酵素スターターとして加えた。
【0049】
上記の発酵原料について、本発明例では乳酸菌のスターターとして、エンテロコッカス・フェカーリスとラクトバチルス・プランタルムをそれぞれ3mL加えた。比較例では、ラクトバチルス・プランタルムを6mL加え、ともに37℃で3日間培養した。
【0050】
本発明例、比較例ともに、この培養液を90℃10分間加熱殺菌した後冷却し、乳酸発酵野菜液を得た。両者ともにこの発酵液のpHは3.2以下、固形分濃度約5%であり、淡黄色で、まろやかさとすっきりとした酸味を併せ持つ発酵野菜液であり、風味上は両者に差は認められなかった。しかし、本発明例及び比較例の乳酸発酵野菜液について、以下の方法で免疫調整能(マクロファージ活性化)を評価した結果、両者に顕著な差があることが明らかになった。
【0051】
<評価方法>
常法により、ddY系雄性マウスの腹腔より、マクロファージを採取し、上記発酵液と5%CO2 存在下に37℃、20時間培養した。その後に、培地中に蓄積した一酸化窒素(NO)の量をグリース試薬により測定し、マクロファージ活性化の指標とした。NO産生の程度を、産生せず(−)、ほとんど産生せず(±)、産生しているが弱い(+)、産生している(++)、強く産生している(+++)の五段階評価を行った。
【0052】
また、同様にBiosource International 社製マウスTNF−(Tumor necrosis factor − ・) 測定用ELISAキット、および同社製マウスIL−12(Interleukin 12 )測定用ELISAキットにて、それぞれ6時間培養したときに培地中に放出されるTNF−およびIL−12生成量を測定した。NO産生量と同様に、産生せず(−)、ほとんど産生せず(±)、産生しているが弱い(+)、産生している(++)、強く産生している(+++)の五段階評価を行った。評価結果を表1に示す。この結果から、本発明例と比較例ではサイトカイン産生能に顕著な差があることが確かめられた。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例2.(粉末野菜からの製法)
キャベツ、ナス、ダイコン、バナナの乾燥粉末(重量比3:1:1:5、総量100g)を90度の熱水900mLに投入し、これにアミラーゼ(コクゲンTR、大和化成工業株式会社)100mgを加えて10分間処理し、澱粉質を分解した。以後、実施例1と同様にpH調整、殺菌、冷却、酵素添加、乳酸菌(エンテロコッカス・フェカーリスとラクトバチルス・プランタルムを各3mL)の培養、殺菌、冷却を行い、乳酸発酵野菜液を得た。この発酵野菜液はpH3.3、固形分濃度が10%であり、黄色でペースト状であった。また野菜特有の青臭さが全くない、すっきりとしてコク味のある発酵野菜であった。この本発明の発酵液についても、実施例1と同じ方法で、NO産生能及びTNF−産生能を評価した結果、いずれも強く産生している(+++)ことが確かめられた。
【0055】
実施例3(乳酸発酵野菜粉末の製法)
実施例1の本発明例と同様にして調製した乳酸発酵野菜液1Lに20%石灰乳液を加えてpH5.5に調製し、ロータリーエバポレーターで300gまで濃縮した。これを凍結乾燥し、淡灰白色の発酵野菜粉末60gを得た。この粉末の水溶液は、野菜特有の青臭さが全くない、すっきりとしてコクのある味であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明により、生体の免疫機能を活性化する効果も高く、かつ風味も良好な乳酸発酵食品を得ることが可能になった。すなわち、原料の野菜と果実を適切に選択しかつ乳酸菌の菌種を適切に選択することにより、免疫活性作用と食品としての風味とを両立させることを可能にしたものである。これにより、風味がよく違和感なく飲食に供することができ、かつ安価で容易に入手しうるような原料を用いて、免疫賦活作用の高い飲食品を製造することが可能になった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、野菜や果実を乳酸菌で発酵させた液状又は粉末状の食品に関し、とくに白血球のサイトカイン産生能を高めることにより、生体の免疫機能を活性化することのできる乳酸発酵食品とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品の分野においても、従来から知られている六大栄養素に含まれない新たな有用成分として、生理応答調節物質(Biological Response Modifier;BRM)が注目されている。このBRMは、免疫賦活物質とも呼ばれ、白血球のサイトカイン産生能を高めて、マクロファージを始めとする白血球の働きを活発にする作用を有するため、生体の免疫・防御機能に直接関連し、各種感染症、癌、動脈硬化、糖尿病、各種アレルギー症等の治療や予防に重要なかかわりを持つと考えられている。
【0003】
このようなBRMの機能を発現する化学物質を特定することは現状では困難であるが、食品におけるBRMとしての機能は、薬剤におけると同様に、in vivo又はin vitroでサンプル物質を投与した時の、白血球のサイトカイン産生量の増分を測定することにより、評価することができる。
【0004】
従来から薬剤の分野においては、天然物由来の免疫賦活剤が多数提案されているが、近年、一部の食品例えば野菜、果実、海藻等の植物性食品の中にも、高い免疫賦活機能を示すものがあることが知られるようになってきた(例えば、山崎正利著「サイトカインの秘密」(PHP研究所刊)など)。
【0005】
このような免疫賦活作用を有する植物性食品の例として、サツマイモ、ジャガイモ、サトイモ、ユリネおよびオクラより成る群から選ばれる野菜に、バチルス・ズブチリス等の微生物を接種、培養して得られる発酵物を有効成分として含有する免疫増強用飲食品添加剤が開示されている。
【0006】
また、タマネギ、キャベツ等の野菜、バナナ、リンゴ等の果実からなる群から選ばれる一種以上の野菜及び/又は果実の汁液並びに乳原料を含む原料に対して、先ず酵母を添加して発酵処理を施した後、乳酸菌を添加して発酵処理を施すことを特徴とする発酵飲料の製造方法が提案されており、さらに、上記と同様の群から選ばれる一種以上の野菜及び/又は果物の汁液と乳原料を含有し、さらにショウガ汁液を0.001〜0.05重量%含有する飲料が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−7115号公報
【特許文献2】
特開2001−190251号公報
【特許文献3】
特開2001−190252号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来から、ある種の乳酸菌は免疫賦活作用を有することが知られており、この効果の高い菌種についての提案や、これら乳酸菌の菌体又はその処理物の経口摂取を容易にする手段についての提案が多数なされている。
【0009】
本発明者らは、前述したようなそれ自体免疫賦活作用を有する植物性食品を乳酸発酵させることにより、相乗的に免疫賦活作用を高め得ることに着眼した。野菜や果実を乳酸発酵させた飲料は従来から多数提案されているが、いずれも風味の改善を目的とするもので、免疫賦活作用に着眼したものではない。前述の特開2001ー190251号の製造方法も、野菜のえぐ味やくさみ等を消すために乳酸発酵させるものであって、これによる免疫賦活作用の向上を目的とするものではない。
【0010】
そこで、本発明の第一の目的は、適切な植物性食品の発酵原料と乳酸菌の菌種とを選定して、乳酸発酵によって相乗的に免疫賦活作用を高めた飲食品を提供することにある。
【0011】
また、飲食品としてはその風味がきわめて重要であり、かつ日常的に摂取する食品としては安価であることも重要であるから、本発明の第二の目的は、上記のような植物性食品の発酵原料と乳酸菌との組み合わせにおいて、風味がよく違和感なく飲食に供することができ、かつ安価で容易に入手しうるような原料を用いて、上記のような免疫賦活作用の高い飲食品を製造しうる手段を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の乳酸発酵食品の第一は、
キャベツ、ダイコン、カブ、ハクサイ、タマネギ、ナス、キュウリ、ニンニク、ホウレンソウ、ピ−マン、パセリ、ニンジン、バナナ、スイカ、パイナップル、ブドウ、ナシ、カキ、リンゴ及びキウイよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の野菜及び/又は果実を、エンテロコッカス・フェカーリスを所定の比率以上含む乳酸菌で発酵させた発酵物を主成分とする、液状又は粉末状の乳酸発酵食品である。
【0013】
また、本発明の乳酸発酵食品の第二は、
キャベツ、ダイコン、ナス及びバナナを主体とする野菜及び果実を、エンテロコッカス・フェカーリスを所定の比率以上含む乳酸菌で発酵させた発酵物を主成分とする、液状又は粉末状の乳酸発酵食品である。
【0014】
上記第二発明の乳酸発酵食品においては、発酵原料の植物性食品中に、カブ、ハクサイ、キュウリ、ナシ、リンゴ等の淡色系の野菜及び/又は果実の1種以上が30重量%以内の範囲内で含まれていてもよい。
【0015】
また、上記第二発明の乳酸発酵食品においては、
生の状態でのキャベツ、ダイコン、ナス及びバナナの総量100重部に対して、キャベツが20〜40重量部、ダイコンが5〜15重量部、ナスが5〜15重量部、であり、かつバナナが40〜60重量部であることが好ましい。
【0016】
上記第一及び第二発明の乳酸発酵食品のいずれにおいても、前記乳酸菌としては、発酵前の状態において、乳酸球菌であるエンテロコッカス・フェカーリスを菌体数で30%以上、より好ましくは40%以上含むものを用いる。
【0017】
また、上記第一及び第二発明の乳酸発酵食品のいずれにおいても、前記乳酸菌は、発酵前の状態において、エンテロコッカス・フェカーリスを菌体数で30%以上含み、残余がストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベティクス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロングム及びビフィドバクテリウム・ブレーベよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の乳酸菌からなるものであることが好ましい。
【0018】
さらに、上記第一及び第二発明の乳酸発酵食品のいずれにおいても、前記乳酸菌は、発酵前の状態において、エンテロコッカス・フェカーリスを菌体数で30〜70%含み、残余が(実質的に)乳酸桿菌であるラクトバチルス・プランタルムからなるものであることがより好ましい。
【0019】
さらに、本発明の乳酸発酵食品においては、前述の発酵原料を乳酸菌と酵母菌とを共棲培養して発酵させてもよい。このように乳酸菌と酵母菌とで発酵させることにより乳酸菌単独での発酵の場合より、免疫増強活性を高めることを可能にし、かつ発酵物の風味をさらに改善することができる。
【0020】
このような共棲培養の場合に用いる乳酸菌は上述のとおりであるが、酵母菌としては、例えばサッカロマイセス・セレビシエ及び/又はサッカロマイセス・ロゼイを用いることができる。これらの酵母菌は、食品に用いられる酵母菌の代表的なものであり、かつ上記原料の乳酸発酵物の風味を改善する効果及び乳酸発酵の発酵度を安定化させる効果も良好である。
【0021】
本発明の乳酸発酵食品の製造方法の第一は、
上記第一及び第二発明のずれかの乳酸発酵食品のうち液状のもの(液中に固形物が懸濁した懸濁液状のものを含む)を製造する方法であって、
生の野菜を煮沸するか又は乾燥野菜及び/又は乾燥果実を水に戻す前処理工程と、次いで上記で前処理した野菜と皮をむいた生の果実若しくは水に戻した乾燥果実とをジュース状又はピューレ状に粉砕する工程と、
次いで該工程で粉砕された食品を加熱殺菌する工程と、
次いで該工程で殺菌された食品に、必要に応じて酵素スターターを添加し、乳酸菌を添加・培養して、所定条件で乳酸発酵させる工程と、
発酵後該食品を再度加熱して発酵を停止させる工程と
を具備することを特徴とする乳酸発酵食品の製造方法である。
【0022】
また、本発明の乳酸発酵食品の製造方法の第二は、
上記第一及び第二発明のずれかの乳酸発酵食品のうち粉末状のものを製造する方法であって、
上記第一発明の製造方法の各工程により液状の発酵食品を製造するとともに、前記の破砕工程以降のいずれかの段階で破砕された食品中に石灰乳又は水酸化カルシウム(アルカリ性カルシウム化合物)を添加して発酵で生成する乳酸を中和し、その後該発酵食品を乾燥して、液中の固形物を粉末化することを特徴とする乳酸発酵食品の製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
まず、乳酸菌発酵の原料とする植物性食品について説明する。
本発明者らの知見によれば、野菜の中では淡色野菜に免疫賦活能の高いものが多い。具体的にはキャベツ、ダイコン、カブ、ハクサイ、タマネギ、ナガネギ、ナス、キュウリ、ニンニク等である。一般に緑黄色野菜には免疫賦活作用を示すものが少ないが、その中ではホウレンソウ、ピーマン、パセリ、ニンジンの免疫賦活能が高い。
【0024】
食品の免疫賦活作用を評価する一方法として、代表的なサイトカインであるTNF−α(腫瘍壊死因子)に着目し、白血球によるTNF−αの産生誘導活性(以下、TNF活性という)を測定する方法がある。上述の免疫賦活能が高い野菜は、いずれもTNF活性が高いが、中でもキャベツ、ダイコン、ナスのTNF活性が高い。果実では、バナナ、スイカ、パイナップル、ブドウ、ナシ、カキ、リンゴ、キウイのTNF活性が高く、柑橘類や苺等はTNF活性が低い。とくにTNF活性が高いのは、バナナとスイカである。
【0025】
本発明の発酵食品は、上記のTNF活性の高い野菜及び/又は果実のうちの1種又は2種以上を発酵原料とするものである。また、原料の野菜や果実の種類は1種類であってもよいが、白血球が産生するサイトカインは多様であり、食品の種類によって、産生され易いサイトカインの種類も異なると考えられるので、できるだけ多種類の野菜、果実を混合して発酵原料とすることが好ましい。
【0026】
次に、本発明で用いる乳酸菌について説明する。野菜を発酵させる菌種であれば、発酵野菜の製造は可能であるが、本発明のようにTNF活性の高い発酵野菜を作る上で菌株の選択は重要である。TNF活性は一般に乳酸球菌が高く、乳酸桿菌やビフィズス菌は弱いと言われている。球菌の中でもTNF活性の最も強いのはエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)である。
【0027】
したがって、本発明においては、エンテロコッカス・フェカーリスを含む乳酸菌を用いる。その中でも、本発明の発明者の一部が先に微生物の寄託を行なっている、エンテロコッカス・フェカーリス2001(受託番号IFO16804)を主体に用いることが好ましい。発酵前の乳酸菌におけるエンテロコッカス・フェカーリスの比率は、菌体数で30%以上であることが、発酵後の食品のTNF活性を高める上で好ましく、より好ましくは40%以上含むものを用いる。
【0028】
しかしながら、エンテロコッカス・フェカーリスは野菜培地によく増殖するものの、pHの下がりが悪く、発酵野菜としては酸味が弱く、中途半端な味になってしまう。また特有の発酵臭があり、野菜の青くさみも強く残って味が悪い。
本発明者らは味の改良法につき種々検討した結果、TNF活性の高いエンテロコッカス・フェカーリスと、到達pHのより低い乳酸球菌、乳酸桿菌、ビフィズス菌とを混合培養した乳酸菌で発酵させれば、上記の問題を解決しうることを知見した。
【0029】
この場合、混合する乳酸菌として、乳酸球菌ではストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、乳酸桿菌ではラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベティクス、ビフィズス菌ではビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロングム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ等の酪農乳酸菌や腸内由来の乳酸菌を広く用いることができ、これらのうちの1種でも2種以上であってもよい。
【0030】
さらに、できた発酵野菜の酸味の質、野菜の青臭さの消去、発酵臭の良さ等、総合的な評価でラクトバチルス・プランタルムとの組み合せ、すなわち、エンテロコッカス・フェカーリスを所定比率含み、かつ残余が(実質的に)乳酸桿菌であるラクトバチルス・プランタルムからなる乳酸菌が最も優れている。このような混合培養した乳酸菌を用いる場合、発酵前の状態でエンテロコッカス・フェカーリスが菌体数で30〜70%であることが好ましい。この範囲の下限未満では、TNF活性が不十分となり、上限を超えると発酵物の酸味が弱く、野菜の青くささが残るためである。
【0031】
本発明において、野菜等の乳酸発酵物は、そのままの形態では保存や貯蔵に不便であるため、液状(懸濁液を含む)に加工した野菜等を乳酸発酵させるか、或いは乳酸発酵させた野菜等を液状に加工する。さらに液状の発酵食品を乾燥して粉末状にしてもよい。粉末状のものは、そのまま食用とすることもできるが、水や乳飲料に添加して飲用に供しても良く、他の加工食品に添加しても良い。これら液状又は粉末状の発酵食品の好ましい製造方法については、後に詳述する。
【0032】
なお、本発明の発酵食品を「上記の野菜等の乳酸菌発酵物を主成分とする」と規定した理由は、上記の乳酸発酵物の他に、風味の改善を目的として添加される糖類や果汁等の調味成分を含んでいても良いとの意である。
【0033】
本発明の乳酸菌発酵食品は、TNF活性の高い植物性食品と乳酸菌とを一つの食品として同時に摂取し得るのみならず、両者単独でのTNF活性の和を上回る相乗的な効果を期待することができる。また、免疫賦活作用は、TNF活性のみでなく各種のサイトカインの産生能を総合的に高めることが重要であるが、乳酸菌発酵により、元の食品よりも幅広い多種類のサイトカインの産生能を付与することが期待できる。
【0034】
本発明者らは、上述の免疫賦活用発酵食品をより飲み易いものにし、かつ製造コストの低減を図るべく種々検討を重ねた。その結果、上記の野菜と果実の中でもキャベツ、ダイコン、ナス、バナナの4種を適当な比率で混合したものを発酵原料とするのが好ましいことを知見した。すなわち、本発明の乳酸発酵食品の第二は、キャベツ、ダイコン、ナス、バナナ(実)を主体とする植物性食品を、エンテロコッカス・フェカーリスを所定比率含む乳酸菌で発酵させた発酵物を主成分とする液状又は粉末状の乳酸菌発酵食品である。
【0035】
発酵原料として、上記の4種の野菜と果実を選択した理由は下記の通りである。
▲1▼これらの4種は、いずれもTNF活性がきわめて高い。
▲2▼淡色野菜をベースとする飲料は、白色に近いものである方が違和感が無い。
▲3▼淡色野菜の中で、タマネギ、ナガネギ、ニンニク等は、少量でも製品飲料にえ
ぐ味やくさみを与えるので避けた方が良い。
▲4▼果実の中で、ごく安価であり、淡色野菜と馴染みの良いのはバナナのみである。他の果実は、高価であったり、褐変し易かったり、淡色野菜と馴染みが悪かったりして適切でない。
▲5▼これらの4種は、いずれもきわめて安価である。とくに、これらの野菜は、形状や外観不良で規格外となるものや、生産過剰時に産地において廃棄される野菜が多い。本発明では、これらの市場に流通しない野菜を原料として用いることができ、かつ乾燥野菜を水に戻して発酵原料とすることもできるため、食糧資源の有効利用という観点からも意義が大きい。
【0036】
また、これらの4種の野菜と果実の全てを原料とする理由は、下記の通りである。
▲1▼上記の野菜のみを原料とすると、発酵飲料の青くささが強くなり、飲み易さの点で十分でない。一方、バナナのみを原料とすると、カロリーが高くなりかつ植物繊維が少なくなって、野菜ジュースとしての栄養バランス上好ましくない。したがって、発酵原料の半量程度以上が上記3種の野菜であることが好ましい。
▲2▼野菜の中では、キャベツを主体にした方が飲みやすい飲料になるが、キャベツのみでは、青くささがやや強くなるので、これに適量のダイコンとナスを加えた方が製品飲料の風味のバランスが良い。
▲3▼栄養素のバランスという観点からも上記の4種が全て含まれていた方がよい。
また、食品によって産生され易いサイトカインの種類が異なるため、できるだけ多種類の食品を原料とする方が好ましいと考えられる。
【0037】
なお、この第二発明の発酵食品の原料を、「上記4種の野菜と果実を主体とする植物性食品」と規定した理由は、上記▲1▼〜▲5▼項の目的に反しない範囲内において、他の野菜及び/又は果実等を含んでいても良いとの意である。
【0038】
すなわち、上記4種の他に、カブ、ハクサイ、キュウリ、ナシ、リンゴ等の淡色系の野菜及び/又は果実の1種以上が、総量で30重量%程度以内の範囲で含まれていてもよい。ただし、有色系の野菜、果実の場合は、これらの総量が10重量%程度をこえると、製品飲料が濁った白色となり好ましくない。また、タマネギ、ナガネギ、ニンニク等の臭いの強い野菜も、総量で5重量%程度をこえると、製品飲料の風味が著しく阻害されて好ましくない。
【0039】
本発明者らは、上記4種を原料とした発酵飲料の風味や外観を最適にするために、原料の配合比について種々検討した。その結果、ナスが多すぎると、アントシアン系色素により粉砕液が灰色となり、飲料としての外観上好ましくないことが知れた。また、ダイコンが多過ぎると、刺激臭が強くなり、味の良い乳酸発酵飲料にならないことが知れた。また、キャベツとバナナの配合比は、バナナをやや多くした方が、まろやかな味になり飲み易くなることも判明した。
【0040】
したがって、キャベツ、ダイコン、ナス、バナナ(実)の配合比は、30:10:10:50程度にすることが好ましい。許容しうる範囲は、ダイコン、ナスでは上記の±5程度、キャベツ、バナナでは上記の±10程度である。すなわち、上記4種の総量100重量部に対して、キャベツ20〜40重量部、ダイコン5〜15重量部、ナス5〜15重量部、バナナ(実)40〜60重量部とすることが好ましい。
【0041】
上記第二発明の発酵飲料においても、好ましい乳酸菌の種類は前記の第一発明の場合と同様である。また、食品の形態を液状(懸濁液を含む)又は粉末状とすることや、乳酸菌発酵物の他に少量の調味成分等を含んでいてもよいことも前述と同様である。
【0042】
次ぎに、本発明の乳酸菌発酵食品の製造方法について説明する。
まず、液状の発酵食品を製造するための本発明の方法は、
生の野菜を煮沸するか又は乾燥野菜と乾燥果実を水に戻す前処理工程と、
次いで上記で前処理した野菜と皮をむいた生の果実若しくは水に戻した乾燥果実とをジュース状又はピューレ状に粉砕する工程(粉砕工程)と、
次いで上記工程での粉砕物を加熱・殺菌する工程(殺菌工程)と、
次いで殺菌された粉砕物に、必要に応じて酵素スターターを添加し、乳酸菌を添加・培養して、所定条件で発酵させる工程(発酵工程)と
発酵終了後再度加熱して発酵を停止させる工程(発酵停止工程)と
を有することを特徴とする。
【0043】
上記の各工程についてさらに説明を加えると、生の野菜の場合、粉砕工程で野菜が褐変するのを防止するために予め軽度に煮沸することが好ましいが、バナナ等の果実はとくに煮沸の必要はない。煮沸の条件はとくに限定を要しないが、予めある程度の大きさにカットした野菜を、煮え過ぎない(柔かくなり過ぎ無い)程度に煮沸すれば良い。一方、乾燥野菜の場合は、粉砕工程で褐変することはほとんど無いので、水に戻した後果実とともに(果実も乾燥されている場合はともに水に戻した後)粉砕すればよい。
【0044】
粉砕工程は、通常はミキサーを用いるが、その方法についてはとくに限定を要しない。粉砕時には、被砕物を所定量(被砕物と同量程度)の水で希釈しても良い。殺菌工程は、発酵工程における雑菌の繁殖を防止するためのもので、通常の殺菌条件に従えばよく、発酵工程又は殺菌工程に先立って、粉砕物に加水してpH調製しておくことが好ましい。
【0045】
発酵工程では、乳酸菌の添加に先立って(又は添加と同時か添加後に)、必要に応じて、酵素スターター(例えば、アミラーゼ、プロテアーゼなど)を添加する。発酵条件は通常の条件に従えばよく、発酵を停止させるためには、上記の発酵物を所定温度に保持する加熱工程を設ければ良い。
【0046】
次ぎに粉末状の発酵食品を製造する方法は、上記と同じ煮沸工程、粉砕工程、殺菌工程、発酵工程及び発酵停止工程を順次実施して、液状又は懸濁液状の乳酸発酵飲料を製造するが、前記の破砕工程以降のいずれかの段階で破砕された食品中に中和剤を添加して、発酵で生成する乳酸を中和した後、乾燥して液中の固形物を粉末化することを特徴とする。
【0047】
乾燥に先立って、中和剤で中和する理由は、乳酸発酵液が多量の乳酸を含むため、このままで乾燥すると飴状になって、粉末化が困難となるためである。なお、中和剤としては、アルカリ性カルシウム化合物、例えば石灰乳液や水酸化カルシウムが好適であり、乾燥方法としては、凍結乾燥法(又は噴霧乾燥法)が好適である。
【0048】
【実施例】
実施例1(生野菜からの製法)
キャベツ、ナス、ダイコン、バナナをカットし(重量比3:1:1:5、総量1kg)、2L(リットル)の沸騰水に投入して5分間煮沸処理を行った。これをミキサーで粉砕し、加水して総量を3Lとした。これに20%(w/w)石灰乳液を加えてpH8.0に調整し、110℃、10分間殺菌した。冷却した後、グルコアミラーゼ(ユニアーゼ2K、ヤクルト薬品工業株式会社)とプロテアーゼ(ユニアーゼNP・2、ヤクルト薬品工業株式会社)のそれぞれ300mgを10mlの水に溶解し、無菌濾過したものを、酵素スターターとして加えた。
【0049】
上記の発酵原料について、本発明例では乳酸菌のスターターとして、エンテロコッカス・フェカーリスとラクトバチルス・プランタルムをそれぞれ3mL加えた。比較例では、ラクトバチルス・プランタルムを6mL加え、ともに37℃で3日間培養した。
【0050】
本発明例、比較例ともに、この培養液を90℃10分間加熱殺菌した後冷却し、乳酸発酵野菜液を得た。両者ともにこの発酵液のpHは3.2以下、固形分濃度約5%であり、淡黄色で、まろやかさとすっきりとした酸味を併せ持つ発酵野菜液であり、風味上は両者に差は認められなかった。しかし、本発明例及び比較例の乳酸発酵野菜液について、以下の方法で免疫調整能(マクロファージ活性化)を評価した結果、両者に顕著な差があることが明らかになった。
【0051】
<評価方法>
常法により、ddY系雄性マウスの腹腔より、マクロファージを採取し、上記発酵液と5%CO2 存在下に37℃、20時間培養した。その後に、培地中に蓄積した一酸化窒素(NO)の量をグリース試薬により測定し、マクロファージ活性化の指標とした。NO産生の程度を、産生せず(−)、ほとんど産生せず(±)、産生しているが弱い(+)、産生している(++)、強く産生している(+++)の五段階評価を行った。
【0052】
また、同様にBiosource International 社製マウスTNF−(Tumor necrosis factor − ・) 測定用ELISAキット、および同社製マウスIL−12(Interleukin 12 )測定用ELISAキットにて、それぞれ6時間培養したときに培地中に放出されるTNF−およびIL−12生成量を測定した。NO産生量と同様に、産生せず(−)、ほとんど産生せず(±)、産生しているが弱い(+)、産生している(++)、強く産生している(+++)の五段階評価を行った。評価結果を表1に示す。この結果から、本発明例と比較例ではサイトカイン産生能に顕著な差があることが確かめられた。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例2.(粉末野菜からの製法)
キャベツ、ナス、ダイコン、バナナの乾燥粉末(重量比3:1:1:5、総量100g)を90度の熱水900mLに投入し、これにアミラーゼ(コクゲンTR、大和化成工業株式会社)100mgを加えて10分間処理し、澱粉質を分解した。以後、実施例1と同様にpH調整、殺菌、冷却、酵素添加、乳酸菌(エンテロコッカス・フェカーリスとラクトバチルス・プランタルムを各3mL)の培養、殺菌、冷却を行い、乳酸発酵野菜液を得た。この発酵野菜液はpH3.3、固形分濃度が10%であり、黄色でペースト状であった。また野菜特有の青臭さが全くない、すっきりとしてコク味のある発酵野菜であった。この本発明の発酵液についても、実施例1と同じ方法で、NO産生能及びTNF−産生能を評価した結果、いずれも強く産生している(+++)ことが確かめられた。
【0055】
実施例3(乳酸発酵野菜粉末の製法)
実施例1の本発明例と同様にして調製した乳酸発酵野菜液1Lに20%石灰乳液を加えてpH5.5に調製し、ロータリーエバポレーターで300gまで濃縮した。これを凍結乾燥し、淡灰白色の発酵野菜粉末60gを得た。この粉末の水溶液は、野菜特有の青臭さが全くない、すっきりとしてコクのある味であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明により、生体の免疫機能を活性化する効果も高く、かつ風味も良好な乳酸発酵食品を得ることが可能になった。すなわち、原料の野菜と果実を適切に選択しかつ乳酸菌の菌種を適切に選択することにより、免疫活性作用と食品としての風味とを両立させることを可能にしたものである。これにより、風味がよく違和感なく飲食に供することができ、かつ安価で容易に入手しうるような原料を用いて、免疫賦活作用の高い飲食品を製造することが可能になった。
Claims (7)
- キャベツ、ダイコン、カブ、タマネギ、ナス、キュウリ、ニンニク、ホウレンソウ、ピ−マン、パセリ、ニンジン、バナナ、スイカ、パイナップル、ブドウ、ナシ、カキ、リンゴ及びキウイよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の野菜及び/又は果実を、エンテロコッカス・フェカーリスを所定の比率以上含む乳酸菌で発酵させた発酵物を主成分とする液状又は粉末状の乳酸発酵食品。
- キャベツ、ダイコン、ナス及びバナナを主体とする野菜及び果実を、エンテロコッカス・フェカーリスを所定の比率以上含む乳酸菌で発酵させた発酵物を主成分とする液状又は粉末状の乳酸発酵食品。
- 生の状態でのキャベツ、ダイコン、ナス及びバナナの総量100重部に対して、キャベツが20〜40重量部、ダイコンが5〜15重量部、ナスが5〜15重量部、バナナが40〜60重量部である請求項2記載の乳酸発酵食品。
- 前記乳酸菌が、少なくともエンテロコッカス・フェカーリスを所定の比率含み、残余がストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベティクス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロングム及びビフィドバクテリウム・ブレーベよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の乳酸菌からなるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の乳酸発酵食品。
- 前記乳酸菌が、少なくともエンテロコッカス・フェカーリスを所定の比率含み、残余が実質的にラクトバチルス・プランタルムからなるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の乳酸発酵食品。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の乳酸発酵食品のうち液状のものを製造する方法であって、
生の野菜を煮沸するか又は乾燥野菜及び/又は乾燥果実を水に戻す前処理工程と、次いで上記で前処理した野菜と皮をむいた生の果実若しくは水に戻した乾燥果実とをジュース状又はピューレ状に粉砕する工程と、
次いで該工程で粉砕された食品を加熱殺菌する工程と、
次いで該工程で殺菌された食品に、必要に応じて酵素スターターを添加し、乳酸菌を添加・培養して、所定条件で乳酸発酵させる工程と、
発酵後該食品を再度加熱して発酵を停止させる工程と
を具備することを特徴とする乳酸発酵食品の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の乳酸発酵食品のうち粉末状のものを製造する方法であって、
請求項6記載の各工程により液状の発酵食品を製造するとともに、前記の破砕工程以降のいずれかの段階で破砕された食品中に石灰乳又は水酸化カルシウムを添加して発酵で生成する乳酸を中和し、その後該発酵食品を乾燥して、液中の固形物を粉末化することを特徴とする乳酸発酵食品の製造方法。
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---|---|---|---|
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