JP2018161103A - フライ用ミックス粉、フライ用バッター、及びフライ製品 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明に係るフライ用ミックス粉は、小麦粉と、膨張剤と、澱粉と、糖類及び/又は糖アルコールとを含むことに特徴がある。フライ用バッターは、そうしたフライ用ミックス粉と水とを含んで構成される。
小麦粉は、特に限定されず、従来のフライ用ミックス粉に使用される薄力粉、中力粉、強力粉等を使用することができる。薄力粉、中力粉、強力粉は、含まれるタンパク質(主にグリアジン、グルテニン)の割合と形成されるグルテンの性質とによって分類されるものであり、強力粉はタンパク質の割合が12質量%以上程度のものであり、中力粉はタンパク質の割合が9質量%前後のものであり、薄力粉はタンパク質の割合8.5質量%以下程度のものである。いずれを用いるかは、フライ製品の種類によっても異なり、特に限定されず、1種だけ用いてもよいし、2種以上を任意の割合で配合させて用いてもよい。
フライ用ミックス粉は、膨張剤を含有する。膨張剤は、ドーナツ等の菓子、天ぷらの衣、蒸しパン生地等に添加され、膨張剤を含有させることにより、調理時に膨張剤中のガス発生剤と酸性剤とが反応して炭酸ガスを発生し、菓子等の内部に気泡を形成し、菓子等をふんわりと焼き上げる効果がある。
フライ用ミックス粉は、澱粉を含有する。澱粉は、フライ製品における衣層(特にバッター層)から適度に水分を飛散させる作用があり、得られたフライ製品の食感を向上させる役割を有する。澱粉としては、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉及びタピオカ澱粉からなる群より選択された1種又は2種以上であることが好ましい。澱粉の含有量は特に限定されないが、フライ用ミックス粉全質量中、10質量%以上、30質量%以下の範囲内で含有させることができる。澱粉の含有量が10質量%未満の場合、揚げ時に衣層の火通りが悪くなって、得られたフライ製品がべたついたり、又は得られたフライ製品のサックリとした食感が低下したりすることがある。一方、澱粉の含有量が30質量%を超えると、バッターの具材に対する付着性が低下することがある。
フライ用ミックス粉は、糖類及び/又は糖アルコールを含有する。すなわち、糖類だけ、糖アルコールだけ、又は、糖類と糖アルコールの両方を含有する。糖類や糖アルコールは、フライ製品の衣層(特にバッター層)の水分を飛散させて衣層に適切な硬さを付与するように作用する。そのため、フライ製品を真空冷却する際に衣層に形成されている貫通孔から具材の水分が放出されても、貫通孔の周囲の部分はその形状を保持することができ、衣層の破裂・破壊や、具材の飛び出し現象を低減し、美観に優れたフライ製品を製造することができる。
フライ用ミックス粉は、上記したものの他に、公知の添加物を適宜加えてもよい。添加物としては、例えば、穀物類(玄米粉、米粉、とうもろこし粉、大豆粉、大麦粉等)、植物性蛋白質、食物せんい、油脂類、塩、卵粉末、増粘多糖類、調味料類、香辛料、香料、ビタミン類、ミネラル類等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を任意に含有させることができる。なお、後述の実施例のように、ポリデキストロース等の食物繊維を好ましく配合させてもよい。これら添加物の含有割合は、本発明の効果を阻害しない範囲で任意に配合されることが好ましい。
フライ用バッターは、上述したフライ用ミックス粉、及び、水を含有してなるものである。フライ用バッターの濃度、すなわち水の配合量については、対象となるフライ製品の種類によって異なり、特に限定されず、任意の範囲に調整することができる。
フライ用ミックス粉は、小麦粉と、膨張剤と、澱粉と、糖類及び/又は糖アルコールとを含むものを公知の方法により混合することにより得られる。また、必要に応じて食物繊維等の添加物を同時に混合してもよい。混合の際は、すべての物質を同時に混合してもよいし、配合量の多い物質から順番に一種類ずつを混合してもよい。
本発明に係るフライ製品は、上記した本発明に係るフライ用ミックス粉又はフライ用バッターを使用して製造される。フライ製品としては特に限定されないが、例えば牛肉コロッケ、ポテトコロッケ、メンチカツ、豚カツ、チキンカツ、ビーフカツ、海老フライ、牡蠣フライ、烏賊フライ、魚のフライ、野菜のフライ、等を挙げることができる。
実施例1では、以下に示す各構成要素を、表1に示す割合で混合してフライ用ミックス粉を得た。さらに、得られたフライ用ミックス粉を冷水に加えて、1分20秒で300回攪拌し、フライ用バッターを得た。フライ用ミックス粉と水との割合は加水率として表1に示した。この加水率は、揚げ物用ミックス粉の質量を100質量%としたときの水の質量である。
コーンスターチ:日本澱粉工業株式会社製、商品名:コーンスターチY(IP)
ソルビトール:MCフードスペシャリティー株式会社製、商品名:ソルビットKKパウダー50M
ポリデキストロース:Tate&Lyle Food&Industrial Ingredients, America Inc.社製、商品名:スターライトIII
膨張剤:奥野製薬工業株式会社製、商品名:トップエーワン
増粘剤1:太陽化学株式会社製、商品名:ネオソフトG
増粘剤2:Pakistan Gum & Chemicals Limited社製、商品名:グアパックPF−20
全卵粉末:株式会社全農キユーピー・エツグステーシヨン社製、商品名:乾燥全卵No.1
着色料(ビタミンB2):DSM Nutritional Products Asia Pacific Pte.Ltd.社製、商品名:エンチイエローFL−D
実施例2〜5も、表1に示す含有割合のフライ用ミックス粉を準備し、さらに実施例1と同様の方法で一次バッター、二次バッターを得た。
比較例1〜4も、表2に示す含有割合のフライ用ミックス粉を準備し、さらに実施例1と同様の方法で一次バッター、二次バッターを得た。
コロッケのパテ(具材)には冷凍の牛肉コロッケ(約35g/個)を使用し、このパテを上記で得た一次バッターにくぐらせた後、微粉パン粉(旭トラストフーズ株式会社製、商品名:こまかくそろったパン粉)をまぶした。さらに上記で得た二次バッターにくぐらせ、生パン粉(トーホーフードサービス株式会社製、商品名:East bee生パン粉)をまぶした。パン粉をまぶしたパテを−40℃で急速冷凍した後、175℃の油で5分30秒間揚げてコロッケを得た。
真空冷却装置として、真空冷却機(日空工業株式会社製)及び真空タンブラー(有限会社竹下食品機械、型式:VT−5)を使用した。上記の方法で得られたコロッケを冷却機内に入れた後、冷却機内を減圧し、冷却時のコロッケの破裂の程度を目視で観察した。コロッケの破裂の程度の評価は、3段階(◎:破裂していない、〇:ほぼ破裂していない、×:破裂している)で評価した。
膨張剤の種類を下記のものに変更した以外は、実施例4と同様にフライ用ミックス粉を準備し、フライ用バッターを得た。膨張剤の組成を表3に示す。小麦粉、コーンスターチ、ソルビトール、ポリデキストロース、増粘剤、全卵粉末、着色料(ビタミンB2)については、実施例4で使用したものと同じである。実施例4と同様にコロッケを作製し、真空冷却時の破裂の程度を評価した。その結果を表4に示す。
実施例7:奥野製薬工業株式会社製、商品名:トップベーキングパウダー(KU−126)
実施例8:奥野製薬工業株式会社製、商品名:トップふくらし粉RK8
実施例9:奥野製薬工業株式会社製、商品名:トップベーキングパウダーデラックス
実施例10:MCフードスペシャリティーズ株式会社製、商品名:BP−KK
実施例11:旭硝子株式会社製、商品名:重炭酸ナトリウム
実施例4,7〜11では、膨張剤の成分について、様々な種類・組み合わせを網羅するように選択し、その結果としてフライ製品の破裂の程度にどのように影響するかを観察した。すなわち、膨張剤の種類によってガス発生の速度が速いものと遅いものが存在するが、その種類の違いがフライ製品の破裂の程度に影響を及ぼすかを観察した。
澱粉の種類を下記のものに変更した以外は、実施例1と同様にフライ用ミックス粉を準備し、フライ用バッターを得た。小麦粉、コーンスターチ、ソルビトール、膨張剤、増粘剤、全卵粉末、着色料(ビタミンB2)については、実施例1で使用したものと同じである。実施例1と同様にコロッケを作製し、真空冷却時の破裂の程度を評価した。その結果を表5に示す。
甘藷澱粉:日本澱粉工業株式会社製、商品名:ハイスターチ
ワキシーコーンスターチ:株式会社J−オイルミルズ、商品名:ワキシーコーンスターチY
酢酸加工タピオカ澱粉:VEDAN(VIETNAM) ENTERPRISE CORP.,LTD.社製、商品名:V−110AA
表5に示すように、コーンスターチ(実施例12)、馬鈴薯澱粉(実施例13)、甘藷澱粉(実施例14)、ワキシーコーンスターチ(実施例15)、酢酸加工タピオカ澱粉(実施例16)を添加したもののいずれにおいてもやや破裂がみられたが、その程度は軽減されていた。したがって、いずれの澱粉も破裂の軽減に効果があると考えられた。
糖類、糖アルコール、食物繊維の種類を下記のものに変更した以外は、実施例1と同様にフライ用ミックス粉を準備し、フライ用バッターを得た。食物繊維として下記に示すポリデキストロースを使用し、糖アルコールから一部置換えた場合の効果を調査した。小麦粉、コーンスターチ、膨張剤、増粘剤、全卵粉末、着色料(ビタミンB2)については、実施例1で使用したものと同じである。実施例1と同様にコロッケを作製し、真空冷却時の破裂の程度を評価した。その結果を表6及び表7に示す。
トレハロース:株式会社林原製、商品名:トレハ
乳糖:Glanbia Foods, Inc.社製、商品名:Refined Edible Lactose AVONMOR 100mesh
ポリデキストロース:Tate&Lyle Food&Industrial Ingredients, America Inc.社製、商品名:スターライトIII
表6及び表7に示すように、ソルビトール(実施例17)、麦芽糖(実施例18)、トレハロース(実施例19)、乳糖(実施例20)を添加したもののいずれにおいても破裂の程度が軽減された。また、ソルビトールを23質量%配合したもの(実施例12)だけでなく、ポリデキストロースへ2質量%を置き換えたもの(実施例21)及び4質量%置き換えたもの(実施例4)においても破裂の程度が軽減され、しかも、ポリデキストロースへ置換えたもの(実施例21及び実施例4)では完全に破裂を防ぐことができた。したがって、糖アルコールはもちろん、ポリデキストロース等の食物繊維も破裂の軽減に効果があることがわかった。
Claims (8)
- 小麦粉と、膨張剤と、澱粉と、糖類及び/又は糖アルコールとを含むことを特徴とする、フライ用ミックス粉。
- 前記膨張剤の含有量が0.8質量%以上である、請求項1に記載のフライ用ミックス粉。
- 食物繊維をさらに含んでいる、請求項1又は2に記載のフライ用ミックス粉。
- 前記澱粉が、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉及びタピオカ澱粉からなる群より選択された1種又は2種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフライ用ミックス粉。
- 前記糖類として麦芽糖、トレハロース及び乳糖から選択され、又は、前記糖アルコールとしてソルビトールが選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフライ用ミックス粉。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフライ用ミックス粉と、水と、を含むことを特徴とするフライ用バッター。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフライ用ミックス粉、又は請求項6に記載のフライ用バッターにより製造されたことを特徴とするフライ製品。
- 揚げ後の衣層に、具材から蒸発する水分を放出するための貫通孔を有する、請求項7に記載のフライ製品。
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