JP2020130006A - 小麦粉を含有するバッターを用いた食品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フライの衣や春巻の皮等を油ちょう等した際にサクサク感、パリパリ感などを与える製造方法を提供する。
【解決手段】小麦粉を含有するバッターを用いた食品の製造方法であって、バッターを脱気してから用いることを特徴とする方法である。小麦粉を含有するバッターを用いた食品の製造方法において、バッターを脱気してから用いることにより加熱後の食品の物性を改変する方法である。加熱方法が油ちょう、焼成、蒸煮のいずれかであり、バッターを用いた食品が、春巻、フライ、フリッター、天ぷらのいずれかであることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、小麦粉を含有するバッターを用いた食品の製造方法に関する。詳細には、小麦粉を含有するバッターを用いた食品の物性を改変する方法に関する。
小麦粉を含有するバッターは、フライ、フリッター、天ぷら等の衣、春巻の皮など、広く加工食品で用いられている。油ちょうや焼成などの加熱処理されたそれらバッターは衣や皮の食感に大きな影響を与え、ひいては食品全体の食感に影響を及ぼす。揚物や焼き物食品の特徴として、加熱後に表面はサクサク、パリパリとしたクリスピーな食感が求められる一方、中種はジューシー、しっとり、ふっくらというような食感が求められる。
代表的な揚物食品であるフライは、肉や野菜などの中種に、打ち粉、バッター、パン粉などの衣を付着させ、油ちょうする料理であるが、揚げたての衣のサクサク感を時間の経過や冷凍解凍処理などを経ても維持することが求められている。そのため、中種の下処理、バッターの配合、パン粉の配合など、各種の工夫がされてきた(例えば、特許文献1、2)。
春巻は、豚肉、タケノコ、シイタケ、ニラなどを千切りにして炒めて醤油などで調味したものを、小麦粉で作った皮で棒状に包み、食用油で揚げたものであり、広く知られた調理食品である。家庭で調理するには手間がかかることから、冷凍食品や惣菜製品としても、多く販売されている。春巻についても、油ちょう後の時間経過、冷凍処理などを経ても、中種の水分が皮に移行してパリパリ感が損なわれることを防ぐために、各種の工夫がなされてきた(例えば、特許文献3、4)。
バッターと同様に小麦粉と水分を含有する製品ではあるが、バッターと異なり、粉に対する水分の添加量が少ない、うどんなどの麺類では、古くから減圧下で混合、混捏、ロール圧延などの処理をすることが知られている(例えば、特許文献5)。
特許5692784号 特開2018−148845号 特許3682505号 特許4009631号 特公平5−71217号
本発明は、小麦粉を含有するバッターを用いた食品の衣や皮の食感を改良する方法を提供することを課題とする。特に、フライの衣や春巻の皮等を油ちょうした際にサクサク感、パリパリ感などを与える製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、(1)〜(6)の小麦粉を含有するバッターを用いた食品の製造方法を要旨とする。
(1)小麦粉を含有するバッターを用いた食品の製造方法であって、バッターを脱気してから用いることを特徴とする方法。
(2)小麦粉を含有するバッターを用いた食品の製造方法において、バッターを脱気してから用いることにより加熱後の食品の物性を改変する方法。
(3)加熱方法が油ちょう、焼成、蒸煮のいずれかである請求項2の方法。
(4)バッターを用いた食品が、春巻、フライ、フリッター、天ぷらのいずれかである請求項1ないし3いずれかの方法。
(5)バッターを脱気する方法が、真空ミキサー、減圧ミキサー、脱泡機、真空冷却器のいずれかを用いる方法である請求項1ないし4いずれかの方法。
(6)脱気の程度がゲージ圧-0.04MPa〜-0.095MPaの減圧下で1秒間〜1時間の撹拌に相当する程度である請求項1ないし5の方法。
本発明の方法により、小麦粉を含有するバッターの加熱後の物性を変化させることができる。それにより、フライの衣や春巻の皮のサクサク感、パリパリ感を増強することができる。
実施例2と比較例2の春巻の油ちょう直後の官能評価の結果を示す図である。 実施例2と比較例2の春巻の油ちょう4時間後の官能評価の結果を示す図である。 実施例2と比較例2の春巻の油ちょう直後と4時間後の皮の水分量を示す図である。 実施例2と比較例2の春巻の外観を示す写真である。 実施例3−1、3−2と比較例3のカキフライの油ちょう3時間後の官能評価の結果を示す図である。 実施例3−1と比較例3のカキフライの油ちょう後のパン粉部分の水分量を示す図である。 実施例3−1と比較例3のカキフライの油ちょう後のバッター層部分の水分量を示す図である。 実施例4の常圧下と減圧下で調製したモデルバッター液の光学顕微鏡写真(40倍)である。 実施例4のモデルバッター液の比重を示す図である。 実施例5で得られたモデルバッター(ゲージ圧-0.08MPa)の加熱物の写真である。 実施例5で得られたモデルバッターの加熱物の水分量を示す図である。 実施例5で得られたモデルバッター(ゲージ圧-0.08MPa)の加熱物の破断強度を示す図である。 実施例7のアメリカンドッグの衣の水分量を示す図である。 実施例7のアメリカンドッグの官能検査の結果を示す図である。
本発明は、小麦粉を含有するバッターを用いた食品の製造方法であって、使用前のバッターを脱気することを特徴とする方法である。
小麦粉を含有するバッターとは、基本的には小麦粉と水を混合したものである。小麦粉に水を入れて練るパン生地やうどん生地とは異なり、水分量が多く、通常、小麦粉を含む粉体に対して等重量以上の水を用いるものである。すなわち、バッターの水分量は40〜90重量%、好ましくは、50〜90重量%、さらに好ましくは50〜80重量%である。水分の一部を植物油等の油脂に置換することもできる。小麦粉には、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉など、グルテンの含有量が異なる種類があり、目的とする製品によって使い分けられている。本発明に用いる小麦粉はいずれのタイプであってもよく、目的とする製品に通常用いられている小麦粉を用いればよい。一般にフライのバッターには薄力粉又は中力粉、春巻の皮には中力粉、準強力粉、強力粉が用いられることが多い。バッターには小麦粉以外に、他の穀粉、澱粉、油脂、乳化剤、調味料、卵、乳製品、食品添加物などが必要に応じて添加されるが、本発明では、バッターの原料に含まれる粉体(穀粉及び澱粉(加工澱粉を含む)の総量)中に少なくとも小麦粉を20重量%含むのが好ましい。粉体中の小麦粉は、20〜100重量%、30〜100重量%、40〜100重量%、50〜100重量%で有りうる。小麦粉以外の穀粉としては、各種麦粉、米粉、大豆粉、トウモロコシ粉などを含んでもよい。また、最終製品に求められる物性によって、澱粉も併用される。どのような澱粉を用いてもよい。各種加工澱粉も使用することができる。通常、薄力粉では6.5〜8%、中力粉では8〜9%、準強力粉では9〜11.5%、強力粉では11.5〜12.5%程度のタンパク質(グルテン)を含むとされている。粉体中に小麦粉を20重量%以上含むことにより、少なくとも粉体中に小麦グルテンが2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上含まれるような配合にするのが好ましい。上限は特になく、小麦粉100%用いた場合、それらに含まれるグルテン量が上限となる。精製されたグルテンを添加してもよい。
小麦粉を含有するバッターを用いた食品には、フライの衣、フリッターの衣、天ぷらの衣、春巻の皮などがある。
フライは、肉や野菜などの中種に、打ち粉、バッター、パン粉などの衣を付着させ、油ちょうする料理である。揚げたては衣がサクサクし、中種はジューシーであっても、油ちょう後時間の経過とともに、中種の水分が衣に移行し、サクサク感が失われる。
フリッター、天ぷらは中種に打ち粉、バッターを付着させ、油ちょうする料理である。フライと同様に油ちょう直後はサクサクした軽い触感の衣が、時間の経過とともに失われる。フリッターのバッターには泡立てた卵白等の膨張剤が使用され、軽いふわふわした食感も求められるが、これも時間の経過とともにしぼんで失われる。
春巻は具材を、小麦粉を原料とする皮で包んで揚げた食品である。この皮は、バッターを焼成して製造される。春巻の具材はとろみが付けられているが水分を多く含有する。揚げたての春巻の皮はパリパリした軽い食感であるが、時間の経過にともない、パリパリ感は失われる。
本発明の方法により、バッターを加熱した皮や衣を有する食品に共通する上記の問題を低減することができる。すなわち、バッターを使用前に脱気することにより、加熱後の衣や皮のサクサク感、パリパリ感の低下を抑制することができる。
バッターの脱気は、使用前であれば、どの時点で行ってもよいが、小麦粉等と水を混合する際に真空ミキサー、減圧ミキサー、脱泡機、真空冷却器等を用いて混合するのが合理的である。脱気の程度は、ゲージ圧-0.04MPa〜-0.095MPaの減圧下で1秒間〜1時間、運転周波数20Hz〜60Hzの撹拌に相当する程度とするのが好ましい。より好ましくは、ゲージ圧-0.06MPa〜-0.095MPaの減圧下で1秒間〜15分間、運転周波数30Hz〜60Hzの撹拌、さらに好ましくは、ゲージ圧-0.07MPa〜-0.095MPaの減圧下で1秒間〜10分間、運転周波数40Hz〜50Hzの撹拌である。
脱気したバッターは通常のバッターと同様に使用することができる。脱気後の工程で多少の空気が混入しても脱気の効果は損なわれない。実施例3に示したように、脱気後常圧下で撹拌して含気させても、脱気処理の効果は維持される。
脱気したバッターを用いた食品の加熱処理は、油ちょうに限定されない。焼成、蒸煮等の処理であっても、同様の効果が見られる。
本発明の方法により、加熱後の食品の物性を改変することができる。ここで改変とは、第一に、上述のようなパリパリ感、サクサク感などの食感の低下を抑制することである。この効果は、脱気することにより、熱伝導がよくなり加熱によるバッターからの水分の飛散が促進されること、加熱後のバッター層に気泡が少なくなり水分を吸収しにくいことなどによるものと考えられる。また、実施例5に示したように、澱粉のみのバッターでは脱気による効果が得られないことから、小麦粉に含まれるタンパク質(グルテン)のネットワークの構築に脱気処理が影響を与えていると考えられる。これは実施例3に示したようにバッターを脱気後含気させても脱気による効果が維持された結果とも一致する。
副次的な効果として、バッターの混合時に空気が存在しないことにより、撹拌効率が高まり、小麦粉の濡れが促進され、バッターの均質化が促進する。これらの効果は春巻の皮の揚げ色にムラがなくなり、白っぽい斑点が生じないなどの効果として現れてくる。
さらに、フライでは、油ちょう時のパンクが発生しにくくなる効果、焼成後の春巻の皮の強度が増し、具材を包む際に破れが発生しにくくなる効果などが観察された。
このように、同じ配合で製造しても、脱気の有無により、さまざまな変化をもたらすことができる。概して、脱気されることにより、加熱後のバッターの硬さはやや硬めになる。目的の食品に応じて、バッターの濃度や使用量、添加物などを調整し、目的にあった食感の製品を製造することができる。
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
春巻の皮の製造
表1の配合で春巻の皮を製造した。表1記載の成分を真空ミキサー(サン・プラント工業株式会社製、SM-BM-60ZV)を用い、ゲージ圧-0.08MPa、撹拌速度50Hzで6分間脱気しながら混合しバッターを調製した。真空ミキサー(SM-BM-60ZV)は、容器部分は底面半径265mm、上面半径220mm、高さ600mmの逆さ円錐台形の形状で、撹拌羽根は4枚羽根で、半径105mm、高さ90mm(羽根先が上又は下にカーブしている)、容量100L、使用時液量は50〜70L程度である。ドラム焼成機(大英技研株式会社製、HT-45)を用いて、バッターを約130℃で30秒間焼成し、一辺20cm、厚さ約0.6mmの春巻の皮を得た(実施例1)。比較例1として、同じ配合を常圧下で混合して、同様に春巻の皮を製造した。
実施例1と比較例1の皮の物性及び水分を測定した。物性については、皮を20mm×50mmのサイズにカットし、株式会社山電のレオナー(CREEP METER RE2-3305S、プランジャー速度:5mm/s)を用いて、引張強度及び進展性を測定した。進展性とは、引っ張った時の切れにくさの指標で、しなやかさの程度を示す。水分は、簡易水分計(エー・アンド・ディ社、AP-4715)を用いて測定した。
結果を表2に示した。バッターを脱気することにより、進展性には影響を与えず、引張強度が大幅に強くなった。すなわち、皮の強度が強くなっており、これは、春巻の皮で具材を包む工程など製造工程上での利便性が増したことを意味する。また、水分値が低下しているのは、脱気したバッターでは、同じ焼成時間でも水分が飛びやすくなっているものと考えられる。
春巻の製造
実施例1で製造した皮を用いて春巻を製造した。中種は、表3の材料を混合加熱したものを用いた。春巻の皮で中種を19gずつ包み、170℃のパーム油で5分間油ちょうして春巻を得た(実施例2)。比較例2として、比較例1の皮を用いて、同様に春巻を製造した。
実施例2及び比較例2の春巻について、皮の水分の測定、及び官能検査を行った。皮の水分は、春巻から皮をはがし取り、最外層・中央部分・最内層に分け、それぞれを105℃で3時間乾燥して前後の重量の差から水分量を算出した。官能検査は、油ちょう後10分間放冷した直後と放冷後トレーに詰め4時間室温保存後に行った。評価項目は、皮について、「色の均一さ、白っぽい斑点の少なさ、硬さ、パリパリした感じ、ヒキの弱さ」と春巻全体の総合評価とした。10名のパネルにより、それぞれの項目について、「3:非常にそうである、2:そうである、1:ややそうである、0:どちらともいえない、−1:ややそうではない、−2:そうではない、−3:非常にそうではない」の7段階評価をした。「白っぽい斑点」とは、皮の組成が均一でないために、加熱ムラが生じ、皮の表面に周辺の揚げ色よりも薄く白っぽい斑点状の部分が生じることを意味する。
官能検査の結果を図1、2に、皮の水分の結果を図3に示した。脱気処理をしたバッターを用いて製造した春巻の皮は、脱気処理をしていない比較例と比べて、硬めでパリパリした食感であることが確認された。特に油ちょう後4時間経過後ではその差が明確となった。また、脱気処理したものでは、皮の揚げ色が均一であり、白っぽい斑点が少ないという特徴が得られた。脱気していない皮では、春巻の両端部分は揚げ色が濃くなるのに対し、中央部の揚げ色がやや薄くなり、白っぽい斑点が多く発生した(図4)。
また、油ちょう後の皮の水分量は、図3に示すように、脱気した皮では、4時間保存後もほとんど変化がないのに対し、脱気していない比較例では、皮のどの部分においても水分量の上昇が認められ、官能検査の結果と一致していた。
カキフライの製造
表4の配合でフライ用のバッターを製造した。常圧下混合、脱気混合、及び脱気混合後常圧下混合の3通りの条件で製造した。常圧下混合は、表4の成分を常圧下、撹拌速度35Hzで6分間混合した(比較例3)。脱気混合は、真空ミキサー(サン・プラント工業株式会社製、SM-BM-60ZV)を用い、ゲージ圧で-0.08MPaの減圧下、撹拌速度35Hzで6分間、脱気しながら混合した(実施例3-1)。脱気混合後常圧下混合は、ゲージ圧で-0.08MPaの減圧下で5分間、脱気しながら混合後、1分間常圧で混合した(実施例3-2)。
12.5gのカキに、打ち粉1g、バッター3.5g、パン粉8gを順次付着させ、170℃で4分30秒間油ちょうした。油ちょう後10分間放冷したのち、トレーに詰めて3時間室温で保存した。
実施例3-1及び比較例3のカキフライについて、油ちょう後のパン粉とバッター層の水分、及びカキの水分の測定、実施例3-1、実施例3-2、及び比較例3について官能検査を行った。
衣の水分は、油ちょう直後、2時間又は4時間室温保存した後、冷凍し、冷凍状態のままパン粉、バッター層をはがし、105℃で3時間乾燥し、前後の重量の差から水分量を算出した。
カキの水分量としては、遠心ドリップ量を測定した。遠心管の中にろ紙をセットし、一定量の細断したカキを入れ、1500rpmで10分間遠心後、ろ紙に吸収された水分量を測定した。
官能検査は、油ちょう後10分間放冷し、トレーに詰め3時間室温保存後に行った。評価項目は、衣について、「カキとの結着が良い、サクサク感、硬さ、存在感、ヒキの強さ、食感の好み」とした。10名のパネルにより、それぞれの項目について、「3:非常にそうである、2:そうである、1:ややそうである、0:どちらともいえない、−1:ややそうではない、−2:そうではない、−3:非常にそうではない」の7段階評価をした。
官能検査の結果を図5に、パン粉の水分の結果を図6に、バッター層の水分の結果を図7に示した。脱気処理をしたバッターを用いて製造したカキフライの衣は、脱気処理をしていない比較例と比べて、硬めでサクサク感があり、好ましい食感であることが確認された(図5)。さらに、脱気後、常圧下で混合し含気させてもその効果は保持されることが確認された(図5の実施例3-2)。実施例3-2では、実施例3-1よりも引きの強さが低減され、軽くもろい食感となった。脱気したバッターを用いたことにより、バッター層からパン粉への水分の移行が明らかに抑制されていることが確認され(図6、7)、官能検査の結果と一致していた。また、付随する効果として、油ちょう時のパンクの発生率が低下した。
バッターのモデル試験1
小麦粉に150重量%の水を加え、真空ミキサー(テスコム電機株式会社、TMV2000)を用い、常圧下、またはゲージ圧-0.08MPaの減圧下で1分間撹拌し、モデルバッター液を作製した。図8にそれぞれのバッター液の写真を示した。真空ミキサーで撹拌することにより、脱気され気泡が少なくなっていることがわかる。図9にゲージ圧を-0.04MPa、又は-0.09MPaの減圧下1分間撹拌して調製したモデルバッター液の比重を示した。脱気することによって、比重が1.1以上に上昇していることを確認した。
バッターのモデル試験2
実施例4のモデルバッターを直径1.5cmの円筒状のケーシングに入れ、30分間熱湯でボイルした。その後冷水で冷却し、モデルゲルを得た。得られたゲルを170℃で3分間油ちょうした。得られた加熱物の写真を図10に示した。明らかに気泡の数、大きさが異なる。油ちょう後の水分量を図11に示した。脱気により、水分が抜けやすくなることが確認された。
モデルゲルをテンシプレッサー(有限会社タケトモ電機、TTP 50BX-II、プランジャー速度12/sec)を用いてワンバイト測定でゲルの強度を測定したところ、真空ゲルでは強度が増加していることが示された(図12)。
小麦粉の代わりに、澱粉を用いて、澱粉ゲルを作製し同様の試験をおこなったところ、澱粉のみのゲルでは強度の増加は見られなかった。脱気により、気泡が少なくなっているだけでなく、脱気下の撹拌により、小麦粉に含まれるタンパク質(グルテン)の状態に変化が生じて、本発明の効果が得られていることが示唆された。
掻き揚げの製造
表5に記載の成分を真空ミキサー(テスコム電機株式会社、TMV2000)を用い、ゲージ圧-0.08MPaの減圧下で1分間撹拌し、バッターを調製した。野菜(春菊、人参、玉ねぎ、ゴボウ)を5mmの千切りにし、打ち粉、バッターを付けて油ちょうした。
脱気したバッターを用いることにより、サクサク感が強く、時間がたってもさくみが強く残っていた。
アメリカンドッグの製造
表6に記載の成分を真空ミキサー(テスコム電機株式会社、TMV2000)を用い、常圧下、又は、ゲージ圧-0.08MPaの減圧下で1分間撹拌し、バッターを調製した。魚肉ソーセージを一口大にカットし、その表面に、打ち粉、バッター、パン粉、バッター、パン粉、バッターの順に付着させ、油ちょうし、アメリカンドッグを製造した。製造後冷凍保存した。
冷凍アメリカンドッグを電子レンジ加熱し、官能評価と衣の水分量を測定した。衣の水分量は、加熱後10分ほど粗熱をとり、衣部分を外側・内側で分けてはがし取り、105℃で3時間乾燥させ、重量の減少量を水分量とした。官能評価は、加熱後、10分間放冷したのち行った。評価項目は、衣について、「揚げ色が濃い、詰まった感じがする(外観)、カリッと感がある(外側)、ふんわり感がある(内側)、しっとり感がある(内側)、油っぽくない(全体)、総合評価(全体のおいしさ)」とした。10名のパネルにより、それぞれの項目について、「3:非常にそうである、2:そうである、1:ややそうである、0:どちらともいえない、−1:ややそうではない、−2:そうではない、−3:非常にそうではない」の7段階評価をした。
水分量の結果を図13に、官能評価の結果を図14に示した。脱気バッターを用いることにより、アメリカンドッグの外側のカリッとし、内側は詰まった食感に変わることが分かった。水分量の結果も官能評価の結果と一致していた。
本発明により、従来の製造方法、配合を用いても、フライや春巻などの製品の衣や皮のサクサク感、パリパリ感を増強することができ、そのような製品を提供することができる。


Claims (6)

  1. 小麦粉を含有するバッターを用いた食品の製造方法であって、バッターを脱気してから用いることを特徴とする方法。
  2. 小麦粉を含有するバッターを用いた食品の製造方法において、バッターを脱気してから用いることにより加熱後の食品の物性を改変する方法。
  3. 加熱方法が油ちょう、焼成、蒸煮のいずれかである請求項2の方法。
  4. バッターを用いた食品が、春巻、フライ、フリッター、天ぷらのいずれかである請求項1ないし3いずれかの方法。
  5. バッターを脱気する方法が、真空ミキサー、減圧ミキサー、脱泡機、真空冷却器のいずれかを用いる方法である請求項1ないし4いずれかの方法。
  6. 脱気の程度がゲージ圧-0.04MPa〜-0.095MPaの減圧下で1秒間〜1時間の撹拌に相当する程度である請求項1ないし5の方法。


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