JP2018158881A - 光制御機能付合わせガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、温度変化が大きい環境における長時間使用に耐えうる光制御機能付合わせガラスを提供することを主目的とする。【解決手段】本発明は、対向するガラス板に光制御層が挟持されている光制御機能付合わせガラスであって、上記光制御層は、一方の表面に複数の溝部を有する光透過部、および、上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記光制御層と、上記光制御層の上記光制御部が形成されている側の面と対向する上記ガラス板との間には、接着層が配置されており、上記光制御層の前記光制御部が形成されている側の面と、上記接着層との間には、樹脂層または無機層で形成された緩衝層が配置されていることを特徴とする光制御機能付合わせガラスを提供することにより、上記目的を達成する。【選択図】図1

Description

本発明は、採光量を制御する機能を有する、光制御機能付合わせガラスに関する。
近年、地球温暖化等の環境問題の深刻化に伴い、省エネルギーやCOの削減を目的として、外光の吸収、偏光、反射、透過等の調整を可能とする光制御部材の開発が進められている。
例えば、光制御部材を用いて太陽等の光源から住宅、自動車等の窓ガラスを介して室内へ入射する光の量(採光量)を増やすことにより、照明を用いずに室内照度を向上させることができ、電力消費の低減を図ることが可能である。このような光制御は、光透過部と、光制御部(遮光部)群とからなる光制御シート(特許文献1参照)を、窓ガラス等の光取り入れ部に用いることにより、行うことができる。
このような光制御シートは、当該光制御シートの表面に設けられた粘着層を介して、窓ガラス等に貼り付けて使用することができる。また、同様の光制御は、ガラス板の片面に、光透過部および光制御部を有する光制御層が、接着層を介して積層された光制御機能付ガラスや、対向する2枚のガラス板の間に、接着層を介して上記光制御層が挟持されている光制御機能付合わせガラスによっても行うことができる。
建物等の内部と外部とでは、ある程度の温度差があり、かつ、上記建物等の内部および外部の温度は常に変化するものである。そのため、上記建物等の開口部に設けられた上記光制御機能付合わせガラスを構成する各部材は、上記温度変化に曝されて、膨張・収縮を繰り返すこととなり、その結果として異部材の界面における剥離が生じる場合がある。一般に、上記光制御層においては、入射した光をそのまま透過する光透過部と、入射した光を選択的に吸収、偏光、反射、透過等を行うことにより、取り込まれる光を制御する光制御部とが、光制御機能付合わせガラスの平面視上でストライプ状に交互に隣接して配置される。そのため、特に、上記光透過部と光制御部との界面において剥離が生じると、合わせガラスに筋が入ったように見え、外観上も問題となる。
上述したような光制御層(光透過部および光制御部)は、樹脂から構成されることが一般的であるところ、上記剥離は、ガラス板と光制御層との熱膨張率の違いに起因する応力が、光制御層内の光制御部と、光透過部との界面に集中することによるものと考えられる。しかしながら、このような剥離は、光制御層/接着層/ガラス板という、光制御層の片側のみにガラス板が配置された構成においては発生しない。これは、ガラス板が光制御層の片側のみに配置されている場合は、上記応力は分散されるが、光制御層の両側にガラス板が配置されている場合は、上記応力が分散されず、光制御部と、光透過部との界面に集中することに起因すると考えられる。
特開2010−259406号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、温度変化が大きい環境における長時間使用に耐えうる光制御機能付合わせガラスを提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、対向するガラス板に光制御層が挟持されている光制御機能付合わせガラスであって、上記光制御層は、一方の表面に複数の溝部を有する光透過部、および、上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記光制御層と、上記光制御層の上記光制御部が形成されている側の面と対向する上記ガラス板との間には、接着層が配置されており、上記光制御層の前記光制御部が形成されている側の面と、上記接着層との間には、樹脂層または無機層で形成された緩衝層が配置されていることを特徴とする光制御機能付合わせガラスを提供する。
本発明によれば、上記光制御層の上記光制御部が形成されている側の面と、上記接着層との間に配置された緩衝層によって、ガラス板と光制御層との熱膨張率の違いに起因する応力を緩衝することができるため、上記応力が光制御層内の光制御部と、光透過部との界面に集中することによる剥離を防止することができる。
上記発明においては、上記樹脂層が、熱硬化樹脂層であることが好ましい。熱硬化樹脂層は、適度な硬度を有するものであるため、上記光制御層へ上記応力が伝搬されることを効果的に防止することができるからである。
上記発明においては、上記樹脂層が、樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムは、適度な硬度を有するものであるため、上記光制御層へ上記応力が伝搬されることを効果的に防止することができるからである。
本発明においては、光制御機能付合わせガラスを構成する部材間に剥離が生じることを防止でき、温度変化が大きい環境における長時間使用に耐えうる光制御機能付合わせガラスとすることができるという効果を奏する。
本発明の光制御機能付合わせガラスの一例を示す概略断面図である。 本発明における光制御層の一例を示す概略斜視図および断面図である。 本発明の光制御機能付合わせガラスにおける光経路の一例を説明するための説明図である。 本発明における光制御部の縦断面形状の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の光制御機能付合わせガラスについて、詳細に説明する。
本発明の光制御機能付合わせガラスは、対向するガラス板に光制御層が挟持されている光制御機能付合わせガラスであって、上記光制御層は、一方の表面に複数の溝部を有する光透過部、および、上記溝部内に形成された光制御部を有し、上記光制御層と、上記光制御層の上記光制御部が形成されている側の面と対向する上記ガラス板との間には、接着層が配置されており、上記光制御層の前記光制御部が形成されている側の面と、上記接着層との間には、樹脂層または無機層で形成された緩衝層が配置されていることを特徴とするものである。
本発明の光制御機能付合わせガラスについて、図を参照して説明する。図1は、本発明の光制御機能付合わせガラスの一例を示す概略断面図である。本発明の光制御機能付合わせガラス10は、対向するガラス板1に光制御層2が挟持されているものである。上記光制御層2は、一方の表面に複数の溝部4を有する光透過部5、および、上記溝部4内に形成された光制御部6を有し、上記光制御層2と、上記光制御層2の上記光制御部6が形成されている側の面と対向する上記ガラス板1との間には、接着層3が配置されており、上記光制御層2の上記光制御部6が形成されている側(図1中の上側)の面と、上記接着層3との間には、緩衝層7が配置されている。
本発明の光制御機能付合わせガラスは、光制御層の光制御部が外光の光源側(図1中のL側)に配置されるようにして、建物等の開口部に用いることにより、建物等の内部に取り込まれる光を制御することができる。例えば、上記光制御部が光を特定の方向へ反射する機能を有する場合は、太陽等の光源から光制御機能付合わせガラスを介して室内へ入射する光を天井側へ偏向させ、偏向させた光を室内の間接照明として利用することができる。
本発明によれば、上記光制御層の上記光制御部が形成されている側の面と、上記接着層との間に緩衝層が配置されているため、ガラス板と光制御層との熱膨張率の違いに起因する応力を緩衝することができ、上記応力が光制御層内の光制御部と、光透過部との界面に集中することによる剥離を防止することができる。
以下、本発明の光制御機能付合わせガラスの各構成について説明する。
1.緩衝層
本発明における緩衝層は、上記光制御層の、上記光制御部が形成されている側の面と、上記接着層との間に配置されるものであり、樹脂層または無機層で形成される。
上記光制御層は、ガラスよりも熱膨張・収縮しやすい樹脂等の材料から構成されることが一般的であるため、光制御層と、ガラス板との熱膨張・収縮の程度の違いに起因する応力が発生する。上記応力は、ガラス板に隣接する接着層に加えられるが、接着層は比較的柔らかく、かつ薄い層であるため、接着層に加えられた応力がそのまま光制御層へと伝搬され、上記光制御部と光透過部との剥離を引き起こすものと考えられる。
ここで、上記光制御層の、上記光制御部が形成されている側の面と、上記接着層との間に、緩衝層を配置することにより、当該応力は上記緩衝層によって緩衝され、接着層へ加えられた応力の光制御層への伝搬を低下させることができる。
本発明における緩衝層は、樹脂層から構成されるものであっても、無機層から構成されるものであってもよい。以下、それぞれについて説明する。
(1)樹脂層
緩衝層が樹脂層である場合、当該樹脂層を構成する材料は、接着層へ加えられた応力が光制御層へ伝搬されることを防止することができるものであれば特に限定されるものではない。本発明においては、中でも、上記接着層よりも硬度が高いものが好ましい。上記緩衝層が上記接着層よりも硬度が低いと、熱膨張の差により応力が加わった際に大きく変形し、応力が光制御層に伝搬される可能性があるが、上記緩衝層が上記接着層よりも硬度が高ければ、変形は抑えられ光制御層への応力伝搬を抑制することができるからである。
なお、上記「接着層よりも硬度が高い」とは、接着層と、当該接着層と同等の膜厚を有する樹脂層との硬度を、ビッカース硬度測定(JIS Z 2244)により測定した場合に、上記接着層の測定値よりも、上記樹脂層の測定値の方が大きいことを意味するものとする。
本発明において上記樹脂層は、硬度の点、製造方法が容易である点等の観点から、中でも硬化性樹脂が硬化されてなる硬化樹脂層、または、樹脂フィルムであることが好ましい。以下、それぞれについて、説明する。
(i)硬化樹脂層
本発明において用いられる硬化樹脂層は特に限定されるものではなく、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂が硬化されてなる硬化樹脂層が好ましい。中でも、熱硬化性樹脂が硬化されてなる熱硬化樹脂層が好ましい。このような熱硬化樹脂層の材料である熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂の架橋硬化態様は特に限定されず、一般に使用される架橋剤、硬化剤を用いて架橋硬化されるものである。
また、熱硬化性樹脂は上記樹脂の他に、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候性改善剤、酸化防止剤、架橋剤、ハードコート剤、耐傷フィラー、重合禁止剤、帯電防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤等の添加剤を、緩衝層としての機能を損なわない範囲内において含有してもよい。
熱硬化樹脂層は、単層の熱硬化樹脂膜から構成されるものであっても、複数の熱硬化樹脂膜が積層されたものでもよい。このような熱硬化樹脂層の膜厚(複数の膜が積層されたものである場合は、その合計)は、5μm〜100μmの範囲内、中でも20μm〜70μmの範囲内とすることができる。熱硬化樹脂層の膜厚が上記範囲に満たないと、応力を十分に緩衝することができない可能性があり、膜厚が上記範囲を越えると、光制御機能付合わせガラス全体としての膜厚や重量の増加につながる可能性がある。
熱硬化樹脂層は透明であればよく、その可視光線透過率としては、70%以上であることが好ましく、中でも80%以上、特に90%以上であることが好ましい。なお、上記可視光線透過率は、赤外可視紫外分光光度計((株)島津製作所社製 UV3100PC)を使用し、JIS A5759−2008に従い380nm〜780nmの波長域における分光透過率測定し、同規格に規定される算出式により算出したものである。以下に説明する、本発明の光制御機能付合わせガラスの各部材における可視光線透過率についても、同様の測定方法が用いられる。
緩衝層としての熱硬化樹脂層は、未硬化の熱硬化性樹脂を含有する緩衝層形成用塗工液を光制御層上に塗布し、加熱して硬化させること等により形成することができる。緩衝層形成用組成物の塗布方法としては、均一の膜厚で塗布することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、バーコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
(ii)樹脂フィルム
本発明において緩衝層として用いられる樹脂フィルムは、接着層へ付与された応力が光制御層へ伝搬されることを防止することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば別途形成された一般的な樹脂フィルムを、接着層を介して光制御層上に配置すること等により、緩衝層として用いることができる。
このような樹脂フィルムは、樹脂性のフィルムであれば特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルムを用いることができ、中でも、耐熱性の観点からPETフィルムが好適に用いられる。
上記樹脂フィルムから構成される緩衝層は、単層の樹脂フィルムから構成されるものであっても、複数の樹脂フィルムが積層されたものでもよい。このような樹脂フィルムの膜厚(複数の膜が積層されたものである場合は、その合計)は、5μm〜100μmの範囲内、中でも20μm〜70μmの範囲内とすることができる。膜厚が上記範囲に満たないと、応力を十分に緩衝することができない可能性があり、膜厚が上記範囲を越えると、光制御機能付合わせガラス全体としての膜厚や重量の増加につながる可能性がある。
樹脂フィルムは透明であればよく、その可視光線透過率としては、70%以上であることが好ましく、中でも80%以上、特に90%以上であることが好ましい。
(2)無機層
本発明において緩衝層が無機層である場合、当該無機層を構成する材料は、接着層へ加えられた応力が光制御層へ伝搬されることを防止することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、金属、無機化合物などを用いることができる。
上記金属としては、銀、アルミニウム、ケイ素、スズ、インジウム、アンチモン、若しくは、これらの合金等を用いることができ、色味、透明性の観点から、銀が好適に用いられる。上記無機層が上記金属から構成される場合、無機層の膜厚は、5nm〜100nmの範囲内、中でも7nm〜50nmの範囲内とすることができる。上記金属から構成される無機層の膜厚が上記範囲に満たないと、応力を十分に緩衝することができない可能性があり、膜厚が上記範囲を越えると、光制御機能付合わせガラス全体として、所望の光透過率を確保できない可能性がある。
また、上記無機化合物としては、上記金属やその他の無機物の酸化物や窒化物など、無機物と他の元素との化合物として存在しているもの等を用いることができる。具体的には、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)、アンチモン・ティン・オキサイド(ATO)などを挙げることができ、色味、透明性の観点から、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物が好適に用いられる。上記無機層が金属化合物から構成される場合、無機層の膜厚は、5nm〜300nmの範囲内、中でも50nm〜150nmの範囲内とすることができる。上記無機層の膜厚が上記範囲に満たないと、応力を十分に緩衝することができない可能性があり、膜厚が上記範囲を越えると、光制御機能付合わせガラス全体として、所望の光透過率を確保できない可能性がある。
このような無機層は、単層の無機膜であっても、無機膜が複数積層されたものであってもよい。また、上記無機層は、光制御層上に形成されたものでも、別途形成された無機膜が光制御層上に配置されたものでもよい。具体的には、光制御層上に蒸着法等により無機層を形成してもよく、別途形成された金属箔等の無機膜を、必要であれば接着剤を介して光制御層上に配置してもよい。
合わせガラスとしての透明性を確保し、意匠性を良好に保つために、上記無機層の可視光線透過率は、30%以上であることが好ましく、中でも60%以上、特に70%以上であることが好ましい。
(3)その他
本発明における緩衝層は、1層の樹脂層または1層の無機層から構成されていても、異なる材質の膜が複数層積層されていてもよい。例えば、樹脂の膜(熱硬化樹脂の膜および/または樹脂フィルム)と、無機膜とが、それぞれ1層または複数層積層されていてもよい。
2.光制御層
本発明における光制御層は、一方の表面に複数の溝部を有する光透過部と、上記溝部内に形成された光制御部とを有するものである。このような本発明における光制御層について、図を参照して説明する。図2(a)は、本発明における光制御層の一例を示す概略斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のx−x線断面図である。図2(a)、(b)に例示するように、光制御層2は、光透過部5に直線かつ並列に複数の溝部4が形成され、上記溝部4内に光制御部6を有するものである。なお、上記光透過部5は、基材上(図示せず)に形成されていてもよい。
このような光制御層においては、光制御部の材料等に応じて、光の制御方法を選択することが可能となる。例えば、光制御部を、光透過部よりも低屈折率を示す樹脂材料から構成することにより、光透過部と光制御部との界面において、屈折率の違いによる光の全反射を生じさせることで、反射光を利用した採光量の増加を図ることができる。
図3は、光制御部を、光透過部よりも低屈折率を示す樹脂材料から構成した場合の、光制御機能付合わせガラス内における光の透過経路を説明するための説明図である。図3で説明しない符号については、図1で説明したものと同様とする。例えば図3で示すように、ガラス板1から入射された太陽光Lは、光制御層2内の光透過部5と光制御部6との界面において、図の上側へ反射される。
このような光制御機能付合わせガラスを建物等に用いることにより、外部から取り込まれた光を、建物の床方向ではなく、天井方向へ導くことができるため、天井灯などの照度を低くしても、室内の照度を十分に確保することができる。
以下、光制御層の各構成について説明する。
(1)光透過部
本発明における光透過部は、一方の表面に複数の溝部を有するものである。このような光透過部を構成する材料としては、高い光透過性を有する材料であれば特に限定されず、例えば熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等が挙げられる。中でも硬化性の観点から電離放射線硬化型樹脂が好適である。
熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂の架橋硬化態様は特に限定されず、一般に使用される架橋剤、硬化剤を用いて架橋硬化されるものである。
また、電離放射線硬化型樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられるが、中でも汎用性、硬化性、光透過性の観点から紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂としては、従来から慣用されている重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。例えば、重合性オリゴマーないしはプレポリマー、特には、多官能の重合性オリゴマーないしはプレポリマーが挙げられる。
重合性オリゴマーないしプレポリマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系やポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートやカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを指す。
また、上記重合性オリゴマーないしプレポリマーに加え、ポリチオール系等の反応性オリゴマー、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリテート等の反応性のモノマー等を用いてもよい。
また光透過部の材料として電離放射線硬化型樹脂を用いる場合、光重合開始剤が含まれていることが好ましい。上記光重合開始剤としては、電離放射線の種類に応じて適宜選択することができ、例えばケトン系、アセトフェノン系等の光重合開始剤を用いることができる。なお、上記光重合開始剤の含有量としては、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1質量部〜5質量部程度が好ましい。
光透過部は上記樹脂の他に、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候性改善剤、酸化防止剤、架橋剤、ハードコート剤、耐傷フィラー、重合禁止剤、帯電防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤等の添加剤を含有してもよい。
光透過部の厚さは、溝部の高さに応じて適宜選択されるものであるが、例えば10μm〜300μmの範囲内、中でも25μm〜250μmの範囲内、特に50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。光透過部の厚さが上記範囲よりも大きいと、光透過部において入射光が吸収されることにより室内側への出射光量が減少し、本発明の光制御機能付合わせガラスの視認性が低下する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、溝部を所望の形状に形成することが困難になる場合がある。なお、光透過部の厚さは、すなわち光制御層の厚さであり、図2(b)においてT1で示される部分である。
光透過部の有する溝部の形状等については、後述する光制御部の形状等と同様であるため、この項での説明は省略する。
光透過部の屈折率としては、光制御部の種類に応じて適宜選択されるが、例えば1.40〜1.80の範囲内、中でも1.45〜1.70の範囲内、特に1.50〜1.65の範囲内であることが好ましい。なお、光透過部の屈折率は、JIS K 7142に規定された屈折率の測定方法に従い、アッベ屈折計((株)アタゴ社製)を用いて、温度23℃の条件下で、測定波長589nmのナトリウム光源を用いて測定された値である。以下の説明において、屈折率の測定方法は、この方法により測定されるものとする。
また、光透過部の可視光線透過率は70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。光透過部が上記の可視光線透過率を有することにより、光透過部における入射光の吸収による室内側への出射光量の減少が抑制され、本発明の光制御機能付合わせガラスの視認性を向上させることができる。
(2)光制御部
光制御部は、光透過部の溝部内に形成されるものである。すなわち光制御部と溝部とは、通常、同形状となる。また、光制御部は、構成材料に応じてその機能を選択することができる。
光制御部は、光透過部よりも低屈折率を示す樹脂材料から成るものであることが好ましい。光制御部を、光透過部よりも低屈折率を示す樹脂材料から構成することにより、光透過部と光制御部との界面において屈折率の違いによる光の全反射を生じさせることができ、反射光を利用した採光量の増加を図ることができる。
光制御部の材料としては、所望の機能を有する光制御部を形成できるものであればよく、電離放射線硬化性樹脂であることが好ましい。上記電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられるが、中でも、紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂が好ましい。
上記紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂としては、従来から慣用されている重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。例えば、重合性オリゴマーないしはプレポリマー、中でも多官能の重合性オリゴマーないしはプレポリマーが挙げられる。重合性オリゴマーないしはプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーやプレポリマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエーテル系のウレタン(メタ)アクリレート、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマー、さらにエチレンオキシド(EO)変性、プロピレンオキシド(PO)変性、プロポキシ化エトキシ化等の変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等を構成単位に含むオリゴマーやプレポリマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合開始剤を併用することが好ましい。上記光重合開始剤の種類としては、従来から慣用されているものを用いることができる。光重合開始剤の含有率としては、紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部程度であることが好ましい。
また、上記光制御部は、他の任意の材料を含んでいても良いが、形状安定性の観点から紫外線吸収剤、光安定剤については含まないことが好ましい。
光制御部の屈折率としては、光透過部の屈折率よりも低いことが好ましく、例えば、1.40〜1.55の範囲内であることが好ましい。
光制御部は所望の可視光線透過率を有することが好ましい。具体的には、上述した光透過部の可視光線透過率と同様であるため、ここでの記載は省略する。
光制御部の縦断面形状としては、三角形、正方形、長方形、台形状、縦断面形状を構成する2側面のうち少なくとも一方において、斜辺が2本以上の直線または曲線にて構成されるテーパー形状、四辺が曲線である形状等が挙げられる。また、溝部の形状に応じて上記光制御部の角部が曲面を有していてもよく、さらに上記縦断面形状を成す側面の辺は直線であってもよく曲線であってもよい。なお、図4は光制御部の縦断面形状の一例を示す説明図であり、図4(a)は台形状、図4(b)は両側面の斜辺が2本の直線にて構成されるテーパー形状、図4(c)は角に曲率を有する三角形の形状から成る光制御部の縦断面形状の例をそれぞれ示すものである。
光制御部の平面視上における形状としては、特に限定されるものではなく、例えば直線状であってもよく、曲線等の形状であってもよい。さらに、平面視上における光制御部の配置は、並列して配置されていてもよく、平行に並んで配置されていてもよく、他方向にランダムに配置されていてもよい。中でも図2(a)で示すように、光制御部6が平面視上において直線状に平行に配置されることが好ましい。
光制御部の高さとしては、10μm〜300μmの範囲内、中でも25μm〜250μmの範囲内、特に50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。また、光制御部の高さは光透過部の厚さの30%〜100%未満の範囲内、中でも40%〜97.5%の範囲内、特に50%〜95%の範囲内であることが好ましい。光制御層の厚さが相対的に増し、屈曲性が低下する場合があるからである。なお、光制御部の高さとは、図2(b)においてT2で示される部分である。
光制御部の幅としては、光制御部の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、光制御部が、光透過部よりも屈折率が低い低屈折率部であるとき、その幅としては最も広幅の部分が5μm〜50μmの範囲内、中でも7μm〜45μmの範囲内、特に10μm〜40μmの範囲内であることが好ましい。光制御部の幅が上記範囲よりも大きいと、光制御機能付合わせガラス全体として可視光線が透過しにくくなる場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、光制御部が所望の高さを有さない場合や、所望の光制御機能を果たせない場合があるからである。なお、光制御部の幅とは、光制御部の縦断面形状において最も広幅の部分をいい、図2においてWで示される部分である。
光制御部の長さとしては、所望の光制御機能付合わせガラスの大きさに応じて適宜選択されるものである。なお、光制御部の長さとは、平面視上において長尺方向の長さをいう。
光制御部のピッチ幅としては、光制御部の種類に応じて適宜設定することができる。
例えば、光制御部が、光透過部よりも屈折率が低い低屈折率部であるとき、そのピッチ幅は15μm〜200μmの範囲内、中でも20μm〜150μmの範囲内、特に25μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。ピッチ幅が上記範囲よりも大きいと、入射角度の大きい外光が光制御部に入射しにくくなり、光制御部による機能が十分に果たされない場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、光透過部において可視光線が透過しにくくなる場合があるからである。なお、光制御部のピッチ幅とは、隣り合う光制御部の中心間距離をいい、図2(b)においてPで示される部分である。
(3)光制御層
光制御層の光制御部を含む表面は、平坦であってもよく、凹凸を有してもよく、光制御層の機能に応じて適宜選択することができる。例えば、高い視認性が求められる光制御機能付合わせガラスにおいては、光制御層の上記表面が平坦であることが好ましい。光制御層の平均表面粗さ(Ra)としては、0.1nm〜100nmの範囲内、中でも0.1nm〜20nmの範囲内、特に0.1nm〜10nmの範囲内であることが好ましい。
当該表面が凹凸を有する場合、外光の入射面または出射面が平坦である領域と凹部状または凸部状である領域とで、それぞれの入射面または出射面における光の拡散に偏りが生じる。このため、出射光の量に偏りが生じて光の回折現象および干渉現象が誘発されることにより、光制御機能付合わせガラス上に多重像が発現し、視認性が低下する場合がある。
本発明の光制御機能付合わせガラスは上記緩衝層を有するものであるため、上記緩衝層と上記光制御部との屈折率差を小さくすることにより、上述したような光の回折現象および干渉現象を抑制し、視認性を向上することができる。このような緩衝層と光制御部との屈折率差は0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
なお、上記平均表面粗さ(Ra)は、JIS B0601 2001の規定に従い23℃の測定環境下で測定し、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、以下の式(1)によって算出される値とする。
Figure 2018158881
光制御層の形成方法としては、表面に所望の形状の溝部を複数有する光透過部を形成し、上記溝部に光制御部を形成することができる方法であれば、特に限定されない。光透過部の形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、光透過部の材料を含む光透過部形成用組成物を基材上に塗布した後、凸部を有する賦形版を押圧した状態で架橋硬化させて形成することができる。このとき用いられる賦形版は、表面上に複数の凸部を有するものであり、上記凸部の反転形状およびその大きさは、通常、溝部の形状および大きさに相当する。
光透過部形成用組成物の塗布方法としては、均一の膜厚で塗布することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、バーコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
光透過部形成用組成物の硬化方法は、材料によって適宜選択することができるが、電離放射線の照射による硬化が好ましく、中でも実用的である点から紫外線、または電子線を用いることが好ましい。硬化条件等については、材料の種類に応じて適宜設定することができる。
また、光制御部の形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば光制御部の材料を含む光制御部形成用組成物を塗布し、光透過部の溝部に充填して硬化させる方法を用いることができる。
光制御部形成用組成物の塗布方法としては、少なくとも溝部内に十分に充填させることができる方法であれば、特に限定されるものではなく、ワイピング法、コーティング法、ドライラミネート法、押出しラミネート法等を用いることができる。また、光制御部形成用組成物を塗布する際に、溝部から光透過部の表面に流れ出た過剰量の光制御部形成用組成物を、スキージ等を用いて摺り切りを行い除去してもよい。
上記光制御部形成用組成物の硬化方法としては、紫外線、電子線等の電離放射線の照射による硬化が好ましく、硬化条件等については、材料および電離放射線の種類に応じて適宜設定することができる。
3.接着層
本発明における接着層は、緩衝層とガラス板とを、または、光制御層とガラス板とを接着するためのものである。このような接着層は、光制御層または緩衝層と、ガラス板とを接着できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的な合わせガラスにおいて接着剤として用いられるものを用いることができる。具体的には、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、などの熱可塑性樹脂等を用いることができ、中でも、EVAやPVBが好適に用いられる。
上記接着層の膜厚は、100μm〜500μmの範囲内、中でも、300μm〜400μmの範囲内であることが好ましい。上記接着層の膜厚が上記範囲に満たないと、異物等が混入した際にそれが核となり気泡を生じる場合があり、接着層の膜厚が上記範囲を越えると、光制御機能付合わせガラス全体としての厚みや重量の増加、強度不足等の不具合をもたらす可能性があるからである。
上記接着層は、可視光線透過率が、好ましくは70%以上であり、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、特に好ましくは85%以上である。可視光線透過率が上記範囲内に収まることにより、本発明の光制御機能付合わせガラスの透明性が向上し、意匠性を良好に保つことができることになり、極めて実用性が高い。
4.ガラス板
本発明の光制御機能付合わせガラスにおいては、光制御層および緩衝層が、接着層を介して、対向するガラス板に挟持されている。このようなガラス板は、上記各層を安定して挟持できるものであれば、特に限定されるものではなく、一般的な合わせガラスに用いられるガラス板を用いることができる。例えば、無機ガラス、有機ガラス、無機・有機ハイブリットガラス等を用いることができる。
上記ガラス板は、可視光線透過率が、好ましくは70%以上であり、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、特に好ましくは85%以上である。可視光線透過率が上記範囲内に収まることにより、本発明の光制御機能付合わせガラスの透明性が向上し、意匠性を良好に保つことができることになり、極めて実用性が高い。
本発明におけるガラス板の厚みは、1μm〜15mmの範囲内、中でも3μm〜12mmの範囲内である。ガラス板の厚みが上記範囲内ですることにより、所望の透明度や機械的強度を有する光制御機能付合わせガラスとすることができる。
本発明において、上記対向するガラス板は、それぞれのガラス板の材質や厚みが同じであっても、異なっていてもよい。本発明の光制御機能付合わせガラスは、対向する2枚のガラス板に挟持された光制御層等により構成されていてもよく、また、所望される機能等により、3枚以上のガラス板を有していてもよい。さらに、上記ガラス板は、すりガラス、曇りガラスのように表面に凹凸を有していてもよく、網入りガラスのように内部にワイヤーが含まれていてもよい。
5.光制御機能付合わせガラス
本発明の光制御機能付合わせガラスは、必要に応じて上記各層以外の構成を有していてもよい。例えば、本発明の光制御機能付合わせガラスにおいては、緩衝層と光制御層とが、接着層を介して配置されていてもよい。また、光制御層(光制御部が形成されていない側の面)とガラス板とが、接着層を介して配置されていてもよい。
本発明の光制御機能付合わせガラス全体としての全光線透過率は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、特に好ましくは80%以上である。本発明の光制御機能付合わせガラスの全光線透過率が上記範囲内に収まることにより、本発明の合わせガラスの透明性が向上し、意匠性を良好に保つことができることになり、極めて実用性が高い。なお、上記全光線透過率はJIS K 7375の規定に従い測定するものとする。
6.光制御機能付合わせガラスの製造方法
光制御機能付合わせガラスを製造する方法は、上述したような層構成を有する光制御機能付合わせガラスを得ることができるものであれば、特に限定されることはなく、一般的な中間膜を有する合わせガラスと同様に製造することができる。例えば、基材上に形成された光制御層上(光制御部が形成されている側の面)に緩衝層が形成されたものを、接着層を介して、対向するガラス板間に配置し、熱圧着すること等により製造することができる。この際、ガラス板と接着される前に、上記基材を光制御層から剥離してもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
(光制御層の形成)
以下の方法により光制御層を形成した。
(1)光透過部および溝部の形成
連続帯状の透明2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(膜厚:100μm)の一方の表面に、アクリル系モノマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、光重合開始剤等からなる液状の光透過部形成用組成物を、硬化後の膜厚が120μmとなるように塗布した。
表面の面方向に沿って円周方向に直線状に連なり、その主切断面が、高さ165μm、版表面側の幅が33μm、版表面から遠い側の幅が10μmの台形の凸部を、59μm周期で複数条互いに平行に配列した凸状群(光制御部と同形状且つ逆凹凸)が形成されたロール金型を準備した。
上記ロール金型とPETフィルムとの間に上記光透過部形成用組成物が挟まれた状態で、水銀灯を用いて紫外線照射を行い、上記光透過部形成用組成物を架橋硬化させた後、ロール金型を剥離して溝部を表面に有する光透過部をPETフィルムの片面上に形成した。
溝部の形状は、上述のロール金型の凸状群の反転形状、すなわち縦断面形状が台形の凹状群を有した。
(2)光制御部の形成
次に、溝部内に光制御部を形成した。まず、アクリル系モノマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、光重合開始剤等からなる液状の光制御部形成用組成物を調製し、これを上記光透過部の溝部に塗布後、鉄製ドクターブレードでスキージして凹状溝内のみに充填させた後、水銀灯を用いて紫外線照射を行い架橋硬化させて光制御部を形成し、光制御層を得た。なお、光透過部の屈折率は1.55、光制御部の屈折率は1.47であった。屈折率の測定方法は、「2.光制御層」の項で説明した方法と同様である。
(光制御機能付合わせガラスの形成)
上記光制御層の上記光制御部が形成されている側の表面上に、アクリル系モノマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、光重合開始剤等からなる硬化樹脂層形成用組成物をダイコート法により塗布したのち、水銀灯を用いて紫外線照射を行い架橋硬化させることにより、光制御層上に硬化樹脂層を、緩衝層として形成した。得られた緩衝層の膜厚は40μmであった。
上記光制御層を形成する際に基材として用いられたPETフィルムを光制御層から剥離し、ガラス板/接着層/緩衝層/光制御層/接着層/ガラス板の順に積層したものを加熱・加圧し熱圧着することで、光制御機能付き合わせガラスを得た。なお、上記ガラス板として、膜厚3mmのフロートガラスを、また、上記接着層として、膜厚400μmのエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)フィルムを用いた。
[実施例2]
実施例1と同様に形成された光制御層上(光制御部側)に、アクリル系粘着剤(膜厚:25μm)を介し、PETフィルム(膜厚:16μm)をラミネート貼合により接着して緩衝層としたこと以外は、実施例1と同様にして光制御機能付合わせガラスを得た。
[実施例3]
実施例1と同様に形成された光制御層上(光制御部側)に、無機層として膜厚20nmの銀の膜を蒸着(スパッタ)法により形成し、緩衝層としたこと以外は、実施例1と同様にして光制御機能付合わせガラスを得た。
[比較例]
緩衝層を配置しなかったこと以外は、実施例1と同様にして光制御機能付合わせガラスを得た。
[参考例]
上記実施例1と同様に形成された光制御層上(光制御部側)に、接着層を介してガラス板を接着し、上記光制御層を形成する際に基材として用いられたPETフィルムを、光制御層から剥離することにより、光制御機能付ガラスを得た。
[評価]
実施例および比較例の光制御機能付合わせガラス、および、参考例の光制御機能付ガラスについて、以下の評価を行った。
(ヒートショック試験)
各試験サンプルについて、−40℃の環境下に30分間保持し、その後90℃の環境下に30分間保持することを1サイクルとするヒートショック試験を実施し、光制御層内の光透過部と光制御部との界面における剥離の発生の有無を調べた。各試験サンプルについての結果を表1に示す。
(基準)
○:剥離なし
×:剥離あり




















Figure 2018158881
表1に示されているように、緩衝層を有していない比較例の光制御機能付合わせガラスは、32サイクルを終了した時点で剥離が発生しているのに対し、緩衝層を有する実施例1〜3の光制御機能付合わせガラスは、32サイクルでは剥離が発生しておらず、温度変化への耐性が向上されていることが確認された。なお、光制御層の片側のみにガラス板が配置されている参考例の光制御機能付ガラスについては、85サイクルを終了した時点でも剥離は発生していなかった。
1 … ガラス板
2 … 光制御層
3 … 接着層
4 … 溝部
5 … 光透過部
6 … 光制御部
7 … 緩衝層
10 …光制御機能付合わせガラス

Claims (1)

  1. 対向するガラス板に光制御層が挟持されている光制御機能付合わせガラスであって、
    前記光制御層は、一方の表面に複数の溝部を有する光透過部、および、前記溝部内に形成された光制御部を有し、
    前記光制御層と、前記光制御層の前記光制御部が形成されている側の面と対向する前記ガラス板との間には、接着層が配置されており、
    前記光制御層の前記光制御部が形成されている側の面と、前記接着層との間には、樹脂層または無機層で形成された緩衝層が配置されていることを特徴とする光制御機能付合わせガラス。
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