JP2017068104A - 採光シート、採光パネル、及び建物 - Google Patents

採光シート、採光パネル、及び建物 Download PDF

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Abstract

【課題】採光効率を低下させずに他方側の遮像性を高めることが可能な採光シートを提供する。
【解決手段】シート面が鉛直となるように建物開口部に配置されるシート状である採光シート15であって、シート面に沿って間隔を有して配置される複数の光透過部18、及び隣り合う2つの光透過部18の間に形成される光制御部19を有し、光制御部は、連続して隣り合う10個の光制御部19において、隣り合う光制御部19のピッチの最大値と最小値との差が、3μm以上5μm以下の範囲で異なっている。
【選択図】図3

Description

本発明は、建物等の内部に日光等の外光を採り入れるための装置である採光シート、該採光シートを備える採光パネル及び建物に関する。
屋内の照明の照明強度を弱めて二酸化炭素の排出量の削減と消費電力の低減を図る一環として、窓に入射された外光を屋内の天井方向に偏向させて採光効率を向上させる採光シートが提案されている。例えば、特許文献1には、透過部と遮光部を交互に並べた構造の光制御シートを例えば窓ガラスに貼り付けて、太陽光の入射角度の違いにより、夏季は屋内への太陽光の取り込みを減少させ、冬季は太陽光の取り込みを増加させる技術が開示されている。
特開2010−259406号公報
特許文献1の採光シートや、その他の採光を目的とした従来の採光シートでは、複数の溝を有するベース部と、これら溝内に充填される複数のルーバー部とを備えており、ベース部とルーバー部との屈折率差を利用して、採光シートに入射された外光を室内の天井や壁方向に導光するようにしている。ところが、ルーバー部は、所定間隔ごとに設けられているため、太陽光の入射角度によっては、ルーバー部の間を通って太陽光が屋内に入り込む際に、採光シートを挟んで反対側を見難くすることがあった。
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、採光効率を低下させずに室内外の観察者に対して光学的幻惑を生じさせず、かつ他方側の遮像性を高めることが可能な採光シートを提供することを課題とする。また、当該採光シートを備える採光パネル及び建物を提供する。
以下、本発明について説明する。
請求項1に記載の発明は、シート面が鉛直となるように建物開口部に配置されるシート状である採光シートであって、シート面に沿って間隔を有して配置される複数の光透過部、及び隣り合う2つの光透過部の間に形成される光制御部を有し、光制御部は、連続して隣り合う10個の光制御部において、隣り合う光制御部のピッチの最大値と最小値との差が、3μm以上5μm以下の範囲で異なっている、採光シートである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の採光シートにおいて、光制御部は、連続して隣り合う10個の光制御部において、光制御部の厚さの最大値と最小値との差が厚さが10μm以上である。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の採光シートにおいて、光制御部には光透過部と異なる屈折率を有する樹脂が充填されている。
請求項4に記載の発明は、透光性を有する板状のパネルと、パネルの一方の面に貼付される請求項1乃至3のいずれかに記載の採光シートと、を備える採光パネルである。
請求項5に記載の発明は、開口部に請求項4に記載の採光パネルが設置された建物である。
本発明によれば、採光効率を低下させずに室内外の観察者に対して光学的幻惑を生じさせず、かつ採光シートの他方側の遮像性を高めることができる。
採光パネル10を具備する窓2が配置された建物1の斜視図である。 採光パネル10が適用された窓2の正面図である。 採光パネル10の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。 ロール金型21の作製を説明する図である。 光制御層17の形態例の一つにおける一部を拡大した図である。 光制御層17における光路例を説明する図である。 南中高度が高い場面を説明する図である。 南中高度が低い場面を説明する図である。 採光パネル50の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。 光制御層57の一部を拡大した図である。 図11(a)は光制御部59’を説明する図、図11(b)は光制御部59”を説明する図である。 光制御層57における光路例を説明する図である。 光制御層57における他の光路例を説明する図である。 光制御層67の一部を拡大した図である。 光制御層77の一部を拡大した図である。 光制御層87の一部を拡大した図である。 合わせガラスの一態様を説明する図である。 合わせガラスの他の態様を説明する図である。 実施例を説明する図である。
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す形態に基づき説明する。ただし本発明は当該形態に限定されるものではない。
図1は第一の形態を説明する図であり、窓2(図2参照)が備えられた建物1の外観斜視図である。建物1はいわゆるオフィスビルであり、南側に面する外壁には室内外を連通する複数の開口部が設けられ、ここに採光パネル10を具備する窓2が配置されている。
図2は、採光シート15(図3参照)により採光パネル10が形成され、採光パネル10が適用された窓2を正面から見た図である。窓2は、採光パネル10と、該採光パネル10のうち、少なくともパネル11(図3参照)の外周部に沿ってパネル11を縁取るように配置された枠3を有して構成されている。そして当該窓2が建物1の開口部に配置される。このように枠及びその枠内にパネルが備えられることにより窓が形成されること自体は公知の構成と同様である。従って枠3の形状も公知のものを適用することができる。
ここで当該窓2は、建物に予め配置されている窓に採光シート15を貼付することにより形成することもできる。このときには建物には通常パネル及びその外周部を縁取る枠を備えているので、このパネルに採光シート15を貼付することで窓2とすることができる。
図3は、図2にIII−IIIで示した線に沿った鉛直方向における断面図のうち採光パネル10の部分に注目した断面であり、その層構成を模式的に表した図である。図3では見易さのため、繰り返しとなる符号は一部省略している(以降に示す各図において同じ。)。
採光パネル10は、パネル11、及びパネル11に接着層12により貼付された採光シート15を有している。そして採光シート15は、基材層16、光制御層17、ハードコート層20を備えている。以下、採光パネル10を構成するこれらの構成要素について説明する。なお、図3では採光パネル10が鉛直になるように建物等に取り付けられた姿勢で表されており、図3の紙面左が室外側、紙面右が室内側、紙面上方が天、紙面下方が地となる。
パネル11は、窓ガラスや樹脂パネル等、通常の建物や乗り物の窓等に用いられる透光性を有する板状の透光パネルである。従って、パネル11を構成する部材としては公知の板ガラスや樹脂パネルを用いることができる。
ここでパネル11は上記のように建物に予め配置されている窓ガラスを用いてもよい。すなわち、建物に備えられた窓に採光シート15を貼付することにより採光パネル10を形成することもできる。
接着層12は、パネル11に採光シート15を接着するための層である。接着層12を構成する材料としては、このような接着が可能であれば特に限定されず、公知の粘着剤、接着剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。粘着剤を例示すれば、例えばアクリル系の粘着剤を挙げることができ、さらに具体的にはアクリル系共重合体とイソシアネート化合物とを組み合わせた粘着剤がある。ただし、接着層12を構成する材料は、採光パネル10の性質上、透光性、耐候性に優れた材料によることが好ましい。
接着層12の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。接着層12が薄過ぎるとパネル11と採光シート15との密着性が低下する虞がある。また、接着層12が厚過ぎると接着層12の厚さを均一にすることが困難になる。
接着層12には、赤外線、紫外線、及び可視光線の少なくとも1つを吸収する機能を有してもよい。「赤外線、紫外線、及び可視光線の少なくとも1つを吸収する」とは、赤外線、紫外線、および可視光線のいずれかに分類される電磁波のうち所定の波長の電磁波を吸収することを意味する。また、「吸収する」とは、上記所定の波長の電磁波を10%以上吸収することを意味する。
かかる機能を有する層とするためには、赤外線、紫外線、及び可視光の少なくとも1つを吸収できる吸収剤を含有させればよい。
赤外線を吸収する吸収剤としては、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)またはスズドープ酸化インジウム(ITO)、フタロシアニン化合物などの金属酸化物超微粒子などが挙げられる。これらの吸収剤を添加したり表面に塗布したりすることによって、赤外線を吸収できる。このように採光シートに赤外線を吸収する機能を付加することによって、例えば、特に夏場における室内温度の上昇を抑制して冷房の使用を抑えられる等の効果を奏する。
紫外線を吸収する吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(TINUVIN P、TINUVIN P FL、TINUVIN 234、TINUVIN 326、TINUVIN 326 FL、TINUVIN 328、TINUVIN 329、TINUVIN 329 FL、全てBASFジャパン株式会社製)や、トリアジン系紫外線吸収剤(TINUVIN 1577 ED、BASFジャパン株式会社製)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(CHIMASSORB 81、CHIMASSORB 81 FL、全てBASFジャパン株式会社製)、ベンゾエート系紫外線吸収剤(TINUVIN 120、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。これらの吸収剤を添加したり表面に塗布したりすることによって、紫外線を吸収できる。採光シートに紫外線を吸収する機能を付加することによって、例えば、室内に居る人の皮膚への悪影響や室内にある家具の退色等を抑制する等の効果を奏する。
可視光線を吸収する吸収剤としては、カーボンブラック等の光吸収性の着色粒子が好ましく用いられる。ただし、これに限定されず、例えば吸収すべき光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収する着色粒子を用いてもよい。着色粒子の具体例としては、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。これらの中では、コスト面、品質面、入手の容易さ等の観点から着色した有機微粒子が好ましい。より具体的には、カーボンブラックを含有したアクリル架橋微粒子や、カーボンブラックを含有したウレタン架橋微粒子等が好ましい。これらの吸収剤を添加したり表面に塗布したりすることによって、可視光線を吸収できる。採光シートに可視光線を吸収する機能を付加することによって、例えば、夏など太陽高度の高い季節に生じる高い光量や、室内におけるまぶしさを和らげることができる。
上記のような吸収剤を含有させることによって、採光シートを建物の採光部に配置したときに、より快適な室内環境を提供することができる。当該吸収剤は、赤外線、紫外線、および可視光線のいずれかに分類される電磁波のうち所定の波長の電磁波を吸収できればよく、赤外線のみを吸収するように構成してもよく、紫外線のみを吸収するように構成してもよく、可視光線のみを吸収するように構成してもよく、赤外線、紫外線、および可視光線のうち2種以上の電磁波を吸収できるように構成してもよい。いずれの波長の電磁波を吸収できるように構成するかは、採光シートの設置場所や設置目的に応じて適宜選択可能である。また、吸収する電磁波の波長や吸収率は、上述した吸収剤の種類や量を適宜調整することによって調節できる。
なお、吸収剤を含む層における上記所定の波長の電磁波の吸収率は10%以上であり、90%以下であることが好ましい。吸収率が10%未満であれば吸収剤を含有させる効果を得難く、90%以下とすれば吸収剤を構成する組成物の調整が容易である。
基材層16は、光制御層17を形成するための基材となる層であり、透光性を有するとともに、光制御層17の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材層16を構成する材料の具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等のうちの1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
基材層16の厚さは特に限定されないが、25μm以上300μm以下であることが好ましい。基材層16の厚さがこの範囲を外れると、加工性に問題を生じる虞がある。例えば、基材層16が薄過ぎればしわが生じやすくなる。また、基材層16が厚過ぎれば、中間工程において巻き取ることが難しくなる。
光制御層17は、一方の面側から入射した光(後述するように、特に斜め上方から入射した光)の向きを変えて(偏向させて)他方の面側に出射する層である。光制御層17は、図3に示した断面を有して紙面奥/手前側に延在する形状を有する。すなわち、図3に表れる断面において、台形である光透過部18、及び、隣り合う光透過部18の間に形成された断面が台形の凹部内に形成された光制御部19を備えている。本形態では光透過部18の基材層16側が連結している。そして、光透過部18及び光制御部19は当該断面を有してシート面の一方向(本形態では水平方向)に延び、当該一方向とは異なる方向(本形態では鉛直方向)に複数の光透過部18及び光制御部19が配列されている。
光制御層17のいずれかの部位には、赤外線、紫外線、及び可視光の少なくとも1つを吸収できる吸収剤を含有してもよい。特に、赤外線吸収剤を入れることで、太陽高度の高い夏は光制御層で赤外線を吸収させやすいため涼しく、太陽高度の低い冬は光制御層で赤外線を吸収させ難いため暖かく、過ごしやすい室内環境にすることができる。
光透過部18は光を透過する部位であり、光透過部18の基材層16側の面とその反対側の面(保護層21側の面)とが平行に形成されていることが好ましい。これによって、後に説明するように採光パネル10を窓2に適用した場合に室内側から室外側の景色がさらに見やすくなる。好ましくは光透過部18は光を散乱させることなく透過する。これにより背面側の景色の見易さが向上する。ここに「光を散乱させることなく透過する」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成された部位であることを意味し、材料中を光が透過するときに不可避的に散乱が生じることは許容される。
光透過部18を構成する材料は、基材層16と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし両者間で屈折率差があるとその界面で光が偏向されてしまう可能性が高まるので、同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差が小さい、あるいは屈折率差がないことが好ましい。
光透過部18と基材層16とを同じ材料で構成する場合には、基材層16と光透過部18とを一体に形成することもできる。また、光透過部18と基材層16とを異なる材料で構成する場合、及び同じ材料で構成する場合であっても、基材層16と光透過部18とを別々に形成し、公知の手段により積層してもよい。
光透過部18の形成方法の具体例は後で説明する。
光透過部18を構成する材料としては、例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の一以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
光透過部の具体的な屈折率としては、1.50〜1.80の範囲内であることが好ましく、特に1.55〜1.65の範囲内であることが好ましい。
光透過部18はシート面に沿った方向に後で説明する間隔で配列される。従って、隣り合う光透過部18の間には、台形断面を有する凹部が形成されている。該凹部は、光透過部18の上底側に下底を有し、光透過部18の下底側に上底を有する台形状の断面を有した溝であり、ここに後述する必要な材料が充填されることにより光制御部19が形成される。すなわち、図3に表れる断面において、光透過部18は、基材層16側となる面(本形態では室内側)に下底を有し、これとは反対側の面(本形態では室外側)に該下底より短い上底を有する台形の断面を有する要素である。
光制御部19は、上述したようにここに到達した光の向きを変える(偏向する)部位であり、本形態では、光透過部18と光制御部19との界面に到達した光を全反射して向きを変えるように構成されている。そのため、光制御部19は光透過部18よりも屈折率が低い材料が充填されている。これによれば、光制御部19と光透過部18との屈折率差、及びその界面に入射する光の角度の関係により、該入射した光が全反射条件を満たせばここでその光を全反射して向きを変えさせることができる。後で詳しく説明するが、向きが変えられた光は例えば天井に照射されるなどしてまぶしさを与える直達光でなくなることができる。光制御部19を形成する材料の屈折率は1.56以下が好ましく、原材料の汎用性から1.45以上1.56以下の範囲が好ましく、1.47以上1.50以下であることがより好ましい。
具体的には電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマーモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
また、そのときにおける光透過部18と光制御部19との屈折率差は、0.03以上が好ましく、より好ましくは0.05以上0.13以下である。屈折率差が0より大きく0.03より小さい範囲では、全反射時の波長分散(波長により全反射角度が異なることによる分散。)が生じた際に長波長の成分が全反射せず、短波長の成分のみが全反射することがあり、色彩の変化が生じる虞がある。一方、屈折率差が0.13より大きいと、短波長の成分の屈折率が長波長の屈折率の成分の屈折率に対して大きくなる傾向にあり、虹状のムラが顕著に表れる虞がある。
ただし、より多くの光を全反射させる必要がある場合に、大きく屈折率差を取ることを妨げるものではなく、その場合には、光制御部19に空気等の気体を充填して多くの光を全反射させることもできる。
また、光制御部19と光透過部18との界面において光を拡散させて眩しさを軽減する観点からは、光透過部18と光制御部19との界面を微材な凹凸面(マット面)としてもよい。
このように光制御部19は隣合う光透過部18の間の凹部に形成されるので、その形状も凹部に沿ったものとなる。従って本形態では光制御部19は基材層16側(本形態では室内側)に短い上底、それとは反対側(本形態では室外側)に長い下底を有する略台形断面を有し、その間に斜辺を有している。この斜辺は光透過部18との界面を構成し、共通の斜辺となる。
光制御部19(光透過部18)の断面における台形断面における脚部の角度θは、シート面法線に対して0度以上20度以下であることが好ましい。θが0度未満(これは図3に表れる断面において、光制御部19の基材層16側の幅よりパネル11側の幅が短い形状になることを意味する。)になるように光制御部19を形成するとすれば、後述するようにして光制御層17を形成する際に用いる金型の作製が困難になり、また、作製しても離型性に問題が生じる虞がある。一方、θが大き過ぎると開口幅(図3に表れる断面において、光制御部19のパネル11側の幅)に対する高さ(光制御層17の厚さ方向の大きさ)のアスペクト比を大きくする事が困難になり、光制御層17によって後述する所望の効果を得ることが難しくなる。
図3にPで示した、光制御部19が配列されるピッチPは、特に限定されることはないが、10μm以上200μm以下であることが好ましく、25μm以上200μm以下であることがさらに好ましい。光制御部19のピッチが狭すぎると、光制御層17によって後述する所望の効果を得ることが難くなり、回折現象により、光透過部18を透過した像が虹状になる不具合が生じる虞がある。また、光制御部19のピッチが広すぎると、光制御部19を形成することが困難になったり、後述するようにして光制御層17を作製する際に金型の離型性や加工性に問題を生じる虞がある。
さらに、ある1つの光制御部19に隣接する光制御部19とのピッチPについて、連続する10個の光制御部を考える。当該10個の光制御部において、隣り合う光制御部のピッチPの最大値と最小値との差が、3μm以上5μm以下の範囲で異なっている。これにより、採光性能を低下させることなく他方側の遮像性を高めることが可能となる。これは、光制御部19のピッチを複数の光制御部間で適切に変えることにより、偏向する入射光(外光)や、偏向後の光の状態の規則性が緩和され、また副次的に、光制御部の配置規則性を緩和する事で規則的配置に起因する視認性をも低くし、特に窓から離れた位置において採光シート越しに観察を行う際に、モアレや干渉による像の分離などの光学的幻惑を与える事なく、かかる観点において採光シートを挟んで遮像性を高めることができたと考えられる。
ここで、「当該10個の光制御部において、隣り合う光制御部のピッチPの最大値と最小値との差が、3μm以上5μm以下の範囲で異なっている」について、1つの採光シートには非常に多くの光透過部及び光制御部が含まれるところ、そのうちの少なくとも50%の光制御部において上記を満たしていればよい。また、上記の通り互いに隣接している必要もない。
また、光制御部19の開口幅Wは特に限定されないが、上記ピッチの関係を満たす範囲において、5μm以上150μm以下であることが好ましい。光制御部19の開口幅Wが狭すぎると、光制御層17によって後述する所望の効果を得ることが難くなる。また、光制御部19の開口幅が広すぎると、光制御部19を形成することが困難になったり、後述するようにして光制御層17を作製する際に金型の離型性や加工性に問題を生じる虞がある。
光制御部19の厚さDは特に限定されないが、50μm以上300μm以下であることが好ましい。光制御部19が薄過ぎると後述する所望の効果を得難くなったり、微細な加工(光制御部19の形成など)を施すことが難しくなったりする虞がある。また、光制御部19が厚過ぎると後述するようにして光制御層17を作製する際に、金型から離型し難くなるなど、加工性に問題を生じる虞がある。
ここで、ある1つの光制御部19に隣接する光制御部19との厚さの差について、連続する10個の光制御部を考える。当該10個の光制御部において、厚さDの最大値と最小値との差が10μm以上であることが好ましい。これにより、採光性能を低下させることなく採光シートを挟んで遮像性を高める効果がさらに顕著なものとなる。ただし、当該差は20μm以下であることが好ましい。この差20μmを超えると金型からの離型性が落ちる虞がある。
ここで、「当該10個の光制御部において、厚さDの最大値と最小値との差が10μm以上である」について、1つの採光シートには非常に多くの光透過部及び光制御部が含まれるところ、そのうちの少なくとも50%の光制御部において上記を満たしていればよい。また、前記のとおり互いに隣接している必要もない。
本発明において光透過部及び光制御部の形状は図3に示した形態に限定されない。したがって、図3に表れる断面に相当する断面において、光透過部は矩形であってもよく、上記台形の斜辺に相当する部分が曲線状(当該曲線の接線が各部において上記θと同じ条件であることが好ましい。)や折れ線状(折れ線を構成する各線が上記θと同じ条件であることが好ましい。)となっていてもよい。後で他の形態としてその一部を説明する。
ハードコート層20は、表面保護を目的として、採光パネル10のうちパネル11とは反対側の最表面に設けられる層である。ハードコート層20は透明な樹脂層として形成することができ、擦り傷、表面汚染に対する耐性の観点から、硬化性樹脂が硬化してなる樹脂硬化層として形成することが好ましい。
具体的には電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマーモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
また、ハードコート層20には、耐汚染性向上の機能を追加してもよい。これは例えばシリコーン系化合物、フッ素系化合物などを添加することにより可能となる。さらにその他の機能として帯電防止性向上、撥水性向上の機能を有するものとしてもよい。帯電防止性向上のために用いることができる材料としては、電子伝導タイプではPEDOT−PSS(PEDOT(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene);3,4−エチレンジオキシチオフェンポリマー)とPSS(poly(styrenesulfonate);スチレンスルホン酸ポリマー)とが共存)などが挙げられ、イオン導電タイプではリチウム塩系材料などが挙げられる。また、撥水性向上のために用いることができる材料としては、フッ素系化合物などが挙げられる。
以上説明した採光パネル10は例えば次のように製造することができる。
採光パネル10は、パネル11に接着層12により採光シート15を貼合することによって製造することができる。そして採光シート15は、例えば次のように作製する。
光制御層17は金型ロールを用いる方法により形成する。すなわち、円筒状であるロールの外周面に光制御層17の光透過部18を転写可能な凹凸が設けられた金型ロールを準備する。このとき、金型ロールは例えば次のように作製することができる。図4に説明のための図を示した。金型ロール21の表面に対しては、光透過部18に対応する断面形状を有する溝21a、21b、21bを複数の切削工具22、23、24により形成する。すなわち、隣り合う溝同士は異なる切削工具により形成されるように溝21a、21b、21cにより形成されるように切削を行う。そして切削工具22、23、24ごとに、上記説明した光透過部18、光制御部19のピッチP及び光制御部19の厚さDの関係を満たすことができるように条件を設定する。これによれば、一つの工具については一つの切削条件を設定すればよく、設定が複雑になることを回避することができる。また、安定した加工が可能となり、工具の寿命向上や、切削精度の向上も図られる。
用いられる切削工具の員数は複数であれば特に限定されることはないが、3つの工具を用いることが効率の観点から好ましい。また、必ずしも複数の切削工具を同時に用いることはなく、一つの工具による切削が完了してから次の切削工具による切削が開始されても良いし、時間差で切削を開始してもよい。
次に、このようにして作製された金型ロールとこれに対向するように配置されたニップロールとの間に、基材層16となる基材を挿入する。基材の一方の面と金型ロールとの間に光透過部18を構成する組成物を供給しながら金型ロール及びニップロールを回転させる。これにより金型ロールの表面に形成された凹凸の凹部内に光透過部18を構成する組成物が充填され、該組成物が金型ロールの凹凸の表面形状に沿ったものとなる。
ここで、光透過部18を構成する組成物としては、上記したものが好ましいが、さらに具体的には次の通りである。すなわち、光硬化型プレポリマー(P1)に、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)を配合した光硬化型樹脂組成物を用いることができる。
上記光硬化型プレポリマー(P1)としては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等のプレポリマーを挙げることができる。
また、上記反応性希釈モノマー(M1)としては、例えば、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
また、上記光重合開始剤(I1)としては、例えば、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置及び光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。なお、光透過部18の着色防止の観点から好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
これらの光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)は、それぞれ、1種類で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金型ロールと基材との間に挟まれ、ここに充填された光透過部18を構成する組成物に対し、基材側から光照射装置により光を照射する。これにより、光透過部18を構成する組成物を硬化させ、その形状を固定させることができる。そして、離型ロールにより金型ロールから基材層16及び成形された光透過部18を離型する。
次に、光透過部18の凹部に光制御部19を構成する組成物を充填して硬化させることによって、光制御部19を形成することができる。具体的には、光透過部18の凹部に光制御部19を構成する組成物を過剰に供給し、その余剰分をブレードにより掻き取ることによりその量を調整するとともに凹部に組成物を充填する。そして凹部内に充填された組成物を適切な方法で硬化させる。
このようにして、基材層16上に光制御層17が形成された中間シートを得ることができる。
そして、一方、中間シートのうち、基材層16上にハードコート層20、光制御層17の上に接着層12を積層し、採光シート15を得る。
以上のように作製した採光シート15を接着層12によりパネル11に貼合することで採光パネル10とする。
次に、採光パネル10により窓2を形成し、これを建物1の開口部に配置した場面における主要な光路について説明する。図3に模式的な光路例を示した。なお当該光路例は概念的に示したものであり、屈折、反射の程度等を厳密に表したものではない。
日光が想定される斜め上方から採光パネル10に照射された外光L31は、パネル11、接着層12を透過して光制御層17の光制御部19に到達する。光制御部19に到達した外光L31は、光制御部19によって向きが変えられる。本形態では、当該外光L31の入射角と、光透過部18と光制御部19との屈折率差により、当該界面で全反射により偏向される。そして、全反射された光は、基材層16及びハードコート層20を透過して室内側に入射する。このとき、室内側に入射する光は上方に偏向されているので、外光の直射を防止することが可能であり、さらに室内側空間の広い範囲を外光で照らす。
また、このように採光シート15を備える採光パネル10では上記偏向の際に光制御部19で外光を積極的に吸収することなく室内側に反射させて採り入れることができるため、効率良く光を採り入れることもできる。
また、本形態では、光制御部19において上記したように複数の光制御部間でピッチ差が設けられているので、採光性能を落とすことなく採光シートを挟んで他方側の遮像性を高めることができる。また、光制御部19の厚さについても複数の光制御部間で上記のように差が構成されていれば、その効果はさらに顕著になる。
一方、室内側から室外を見たとき、観察者における採光シートから近い位置からの視線は図3の光L32による。すなわち、パネル11に対して平行な面である光透過部18の基材層16側の面及びその反対側面を介して室外を観察することができる。この部分では界面における大きな屈折がないので、室外側の景色を鮮明に見ることが可能である。
以上のように、採光パネル10によれば、外光を効率良く室内に採り入れつつ、室内側から外の景色を比較的鮮明に見ることが可能である。
さらに、本形態において次のように光制御層17を構成することができる。図5には光制御層17の一部を拡大した図を示した。上記のように、2つの光制御部19の間には上記のように光透過部18が配置される。従って、図5にVaで示したように光透過部18の対角線に相当する線を定義することができる。より詳しくは、隣り合う光制御部19の向かい合う辺について、下方に配置される光制御部19の辺の室内側端部と、隣接して上方に配置される光制御部19の辺の室外側端部とを結ぶ線Vaを見込み線とし、該見込み線Vaが水平面となす角のうち90度以下の方の角を見込み角θとする。本形態では当該θが所定の値をとることが好ましい。
また、光制御部19の台形断面における脚部は、図5からわかるように、上方側となる脚部は水平面(採光シート15のシート面の法線)に対してθを有して傾斜し、下方側となる脚部は同様にθを有して傾斜している。
見込み角θの好ましい値について主要な光路に基づいて説明する。説明に必要な光路例を以下に示す図面に適宜表した。
図6に1つの光路例である太陽からの光LS1を示した。図6からわかるようにLS1はそのときの太陽高度に基づいて仰角(水平面からなす角)θS1で採光パネル15に照射される。採光パネル15に入射した光LS1は採光パネル15を透過するうちに光制御層17の光透過部18内を進む。光透過部18内では、該光透過部の屈折率をN、室外の屈折率をNとすれば、光LS1は、式(1)で表される太陽光進行角θP1で進む。
Figure 2017068104
太陽光進行角θP1で進行した太陽光が光透過部18と光制御部19との界面に達したとき、上記のように、太陽光を全反射することができる。これにより太陽光が偏向されて、まぶしさの原因となる直達光を抑制することが可能となる。
上記のように採光シート15によれば、見込み角θによらず、効率よく室内に太陽光を取り入れつつも直達光の少なくとも一部をなくすことができる。ただし、より効果的に太陽光を光制御部19に照射させ、太陽光を向きを変えて室内側に出射させる観点から見込み角θを所定の角度範囲に規定することができる。以下に詳しく説明する。
図7に説明図を示した。ここでは、一年のうち最も南中高度が高いときの仰角θSHを考える。すなわち、少なくとも一年のうちで最も南中高度が高いときの仰角θSHで太陽光が採光パネル15に入射したときに、太陽光からの直接光を全て光制御部19に到達させる観点からθを規定することができる。図7からわかるように、仰角θSHで入射した光LSHが必ず光制御部19に達するための限度は、光透過部18内を光LSHが見込み線に沿って進む状況である。すなわち、光透過部18内における太陽光進行角θPHが見込み角θと同じとなっていればよい。従って、これは、空気の屈折率をN、光透過部の屈折率をNとしたとき、屈折率、及び入射角の関係式により下記式(2)で表される。
Figure 2017068104
式(2)から、見込み角θを下記式(3)を満たすように構成することにより、少なくとも一年のうちで最も南中高度が高いときの仰角θSHで太陽光が採光パネル15に入射したときに、太陽光からの直接光を全て光制御部19に到達させることができる。
Figure 2017068104
θSHは、所定の場所における南中高度が最も高い位置における仰角であるから、当該所定の場所ではこれ以上角度の大きい仰角は存在しない。従って、これより低い所定の仰角の太陽光までをも同様に光制御部19に全て到達させるためには、式(1)を満たしつつ、さらに式(2)、式(3)のθSHのかわりに当該所定の仰角を考慮すれば同様にθのとるべき値を得ることができる。
例えば、一年のうち南中高度が最も高い時の仰角θSHと、一年のうち南中高度が最も低い時の仰角θSLとの間の仰角θSM以上の仰角からの直接の太陽光を光制御部に到達させたいときには、式(3)を満たしつつ式(4)を満たすように見込み角θを形成すればよい。
Figure 2017068104
このように見込み角θを所定の角度にするための手段は、光制御部のピッチ、光制御部の脚部の角度(図5のθ、θ)、光制御部の厚さ方向(図5の紙面左右方向)の大きさを変更することを挙げることができる。これらを単独、又は複数組み合わせてθを所定の角度に調整することが可能である。
このようにθを小さくすることにより、季節による南中高度の違いだけでなく、一日のうちにおける太陽の高さの移動に伴う仰角の変化に対しても対応することができ、より多くの太陽光を光制御部に到達させて全反射し、室内側に提供することが可能となる。
一方で、θを小さくすることにより光制御層17が厚くなったり、光透過部が小さくなったりすることもある。これらにより、室外側の視認性が低下する虞もある。かかる観点から、θの下限は特に限定されるものではないが、例えば図8に示したように一年のうち最も南中高度が低いときの仰角θSLからの直接の太陽光を全て光制御部19に到達させる観点からθの下限を決めてもよい。図8に説明のための図を示した。
基本的な考え方は式(2)、式(3)の算出と同様であるから、図8からわかるように、仰角θSLによる太陽光LSLが見込み線に沿うように進むことを考えればよいので、式(5)を得ることができる。
Figure 2017068104
ここで、θPLは、仰角θSLのときの光透過部の太陽光進行角である。従って、式(3)及び式(5)を求めた趣旨から式(6)を得ることができる。
Figure 2017068104
ここでより具体的な例を挙げる。日本国内を考えたとき、札幌、東京、沖縄における一年のうち南中高度が最も高い時の仰角(θSH)、一年のうち南中高度が最も低いときの仰角(θSL)をそれぞれ表1に示した。
Figure 2017068104
表1に基づいて、日本国内におけるθの範囲を式(7)又は式(8)のように構成してもよい。
Figure 2017068104
Figure 2017068104
式(7)によれば、日本国内の概ね全域において少なくとも夏至における南中高度からの太陽光の全ての直射光を光制御部に到達させることができる。また、式(8)によれば、さらに高い視認性を有しつつ、多くの太陽光を光制御部に到達させることが可能である。
図9は、第二の形態を説明する図であり、採光パネル50の層構成を模式的に表す断面図で図3に相当する。図9において、図3と同様の構成のものには同じ符号を付しており、これらについては説明を省略する。
採光パネル50は、パネル11、接着層12、及び接着層12によりパネル11に貼合された採光シート55を備えている。また、採光シート55は、光制御層57、基材層16、ハードコート層20を備えている。
光制御層57は光透過部58及び光制御部59を有している。光透過部58は、図9に示した断面を有して基材層16の面に沿った一方向(建物1に配置された姿勢で水平方向)に延びるように配置されるとともに、該一方向とは異なる方向の基材層16の面に沿って(建物1に配置された姿勢で鉛直方向)複数の光透過部58が所定の間隔で配列されている。本形態では隣り合う光透過部58は基材層16側の端部で連結され、一体化されている。
一方、光制御部59は隣り合う光透過部58の間に配置されている。
図10には光制御層57の一部を拡大した図を示した。
光透過部58は、光を透過する部位であり、光制御層57のうち光透過部58が配置された部位における基材層16側の面とその反対側面(接着層12側の面)とは平行に形成されている。好ましくは光透過部58は光を散乱させることなく透過する。これにより背面側の景色の見易さが向上する。ここに「光を散乱させることなく透過する」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成された部位であることを意味し、材料中を光が透過するときに不可避的に散乱が生じることは許容される。
本形態では光透過部58は図9、図10に表れる断面で2つの光制御部59間において略台形の断面を有しており、室外側が短い上底、室内側が長い下底であり光制御部59との界面を構成する辺が脚部となっている。ただし、脚部は後述する光制御部59の形状に沿った形状となるので、必ずしも一直線ではない。
光透過部58を構成する材料、光制御部59を構成する材料は、上記した光透過部18、光制御部19と同様である。
さらに、本形態では光制御部59は次のような形状を構成を備えている。図10を参照しつつ説明する。
光制御部59は図10に表れる断面において、多角形状を有している。そのうち、採光パネル50を建物1に配置した姿勢において、上部となる側は2つの辺59a、59bが室内外方向に連続するように配置され下に凸になるように形成されている。すなわち、室外側に辺59a、室内側に辺59bが配置されている。
これら2つの辺59a、59bは、図10に表された姿勢とされたとき、その傾斜角が水平面(採光シート55のシート面の法線)に対してそれぞれ異なる角度θU1及びθU2を具備している。ここで、θU1及びθU2は室外側(太陽側)に向けて上となるように傾斜し、θU1はθU2より大きな角度とされる。これにより、季節や時間により異なる太陽の高度を考慮し、太陽光を光透過部58と光制御部59との界面で全反射して偏向することができる場面を拡大することができる。従って、角度θU1及び角度θU2もかかる観点から決められることが好ましい。詳しくは光路例を示しつつ後で説明する。
一方、辺59a、59bとは反対側となる下部となる側の辺59dは、その傾斜角が水平面(採光シート55のシート面の法線)に対してθD1とされている。θD1は特に限定されることはないが、製造の観点から0度以上30度以下とすることが好ましい。
そして本形態においても光制御部59のピッチ、及び光制御部の厚さに関する考え方は上記光制御部19と同じである。
図11には、変形例に係る光制御部の断面形状を表した。
図11(a)は、上部となる側の辺が下に凸(すなわち凹状)である光制御部59’の例を示した。この例では、最も室外側となる部位における接線の傾斜角が水平面(採光シート50のシート面の法線)に対して角度θU1、最も室内側となる部位における接線の傾斜角が水平面(採光シート50のシート面の法線)に対して角度θU2となればよい。
図11(b)は、上部となる側の辺が室外側から3つの辺59’’a、59’’c、59’’bにより形成されて下に凸(すなわち凹状)となる光制御部59’’の例である。この例では、最も室外側となる辺59’’aの傾斜角が水平面(採光シート50のシート面の法線)に対して角度θU1、最も室内側となる辺59’’bの傾斜角が水平面(採光シート50のシート面の法線)に対して角度θU2となり、間に配置される辺59’’cの傾斜角は、水平面(採光シート50のシート面の法線)に対して角度θU3であり、θU2<θU3<θU1であることが好ましい。
ここでは3つの辺3つの辺59’’a、59’’c、59’’bからなる光制御部の例を説明したが、これに限らずさらに多くの辺により形成されていてもよい。
これら図11(a)、図11(b)に記載のような光制御部によっても図10で示した形状の光制御部と同様の効果を奏するものとなる。さらに図11(a)、図11(b)による形状によれば、全反射による波長分散による虹状のムラの発生を抑制することが可能となる。
次に、このように採光シート50が建物1に配置された場面における作用、及び上記説明した角度θU1、θU2の好ましい値について、主要な光路に基づいて説明する。説明に必要な光路例を以下に示す図面に適宜表した。
図12に1つの光路例である太陽からの光LS2を示した。図12からわかるようにLS2はそのときの太陽高度に基づいて仰角(水平面からなす角)θS2で採光パネル50に照射される。採光パネル50に入射した光LS2は採光パネル50を透過するうちに光制御層57の光透過部58内を進む。光透過部58内では、該光透過部の屈折率をN、室外の屈折率をNとすれば、光LS2は、式(9)で表される太陽光進行角θP2で進む。
Figure 2017068104
太陽光進行角θP2で進行した太陽光が光透過部58と光制御部59との界面のうち傾斜角がθU2である部位に達したとき、光透過部58と光制御部59との屈折率差、及び太陽光進行角θP2の関係が全反射臨界角以上であれば図12のように界面で全反射する。これにより太陽光が偏向されて、まぶしさの原因となる直達光を抑制することが可能となる。
図13には他の光路例である太陽からの光LS3を示した。図13からわかるようにLS3はそのときの太陽高度に基づいて仰角(水平面からなす角)θS3で採光パネル50に照射される。ここで、θS3はθS2よりも大きい角度である。採光パネル50に入射した光LS3は採光パネル50を透過するうちに光制御層57の光透過部58内を進む。光透過部58内では、該光透過部の屈折率をN、室外の屈折率をNとすれば、光LS3は、式(10)で表される太陽光進行角θP3で進む。
Figure 2017068104
この例では、太陽光進行角θP3で進行した太陽光が光透過部58と光制御部59との界面のうち傾斜角がθU1である部位に達したとき、光透過部58と光制御部59との屈折率差、及び太陽光進行角θP3の関係が全反射臨界角以上であれば図15のように界面で全反射する。これにより太陽光進行角θP3より仰角が小さい角で光透過部58を進み、さらに室内側に配置される傾斜角がθU2である部位に達してここで全反射される。これにより太陽光が偏向されて、まぶしさの原因となる直達光を抑制することが可能となる。
すなわち、この例では光透過部58と光制御部59との界面のうち傾斜角がθU1である部位と傾斜角がθU2である部位とで2回太陽光を全反射して偏向し、まぶしさの原因となる直達光を防止している。
仮に光制御部の当該傾斜角が全部に亘ってθU2であったとすれば、LS3は大きな仰角(太陽光進行角)θP3で光透過部に入射するので、光制御部と光透過部との界面で全反射することができず、透過してしまい、直達光として室内に入射してしまう。
これに対して、光制御部59によれば、このような太陽光LS3をも全反射させて直達光とならないように偏向させることが可能となる。
以上からわかるように、採光シート50によれば、傾斜角θU1、θU2がθU1>θU2の関係を有していれば、光LS2、LS3のように進行角が異なる太陽光の少なくとも一部を全反射で偏向させて室内側に提供することができ、太陽光の室内への入射量を大きく減じることなく、かつ、少なくとも一部の直達光(いわゆる直射日光)をなくすことが可能となる。これにより明るく、快適な室内空間を形成することができる。
さらに、採光シート50には上記したように光透過部58が備えられており、光透過部58が配置される部位の光制御層57の表裏面は平行、平滑に形成されている。これにより、上記他の形態例と同様、室内側から室外側の景色を視認することができる。
また、本形態においても、上記説明したような光制御部のピッチP及び厚さDの関係を有しており、さらに採光シートを挟んで他方側の遮像性を高めることができる。
ここで、偏向される向きは界面に入射する角度である太陽光進行角θ、及び光制御部の傾斜角であるθU1、θU2に依存する。従って、ここで全反射した光が最終的に水平より上向きとなるようにθU1、θU2が決められることが好ましい。
また、上記のように採光シート50によれば、θU1>θU2であれば、効率よく室内に太陽光を取り入れつつも直達光の少なくとも一部をなくすことができる。ただし、より効果的に太陽光を光制御部59で全反射させ、太陽光を偏向して室内側に出射させる観点から好ましいθU1、θU2を規定することができる。以下に詳しく説明する。
θU1は、上記光路例からもわかるように、太陽の仰角が高い場合に採光シートに入射した太陽光を適切に全反射することができる角度を設定することができる。これには例えば一年のうちで最も南中高度が高いときの仰角θSHを設定することができる。すなわち、仰角θSHとしたときの光透過部内の太陽光進行角θPHは上記式(2)で表されるので、この角度θPHで進行する光を全反射することができるようにθU1を設定する。ただし、仰角θSHは緯度により異なるので、異なる緯度を跨ぐように広がる所定の領域(例えば国や地域等)におけるθSH1乃至θSH2により(θSH1<θSH2)、θU1の範囲を規定することができる。すなわち、式(11)をθU1の好ましい範囲とすることができる。
Figure 2017068104
ここで日本国内では、表1の通りであることから、θU1は式(12)の範囲にあることが好ましい。
Figure 2017068104
一方、θU2は、上記光路例からもわかるように、太陽の仰角が低い場合に採光シートに入射した太陽光を適切に全反射することができる角度を設定することができる。これには例えば一年のうちで最も南中高度が低いときの仰角θSLを設定することができる。すなわち、仰角θSLとしたときの光透過部内の太陽光進行角θPLは上記式(5)で表されるので、この角度θPLで進行する光を全反射することができるようにθU2を設定する。
ただし、仰角θPLは緯度により異なるので、異なる緯度を跨ぐように広がる所定の領域(例えば国や地域等)におけるθSL1乃至θSL2により(θSL1<θSL2)、θU2の範囲を規定することができる。ここで、θU2は0度より小さくなる(図10とは反対に傾く。)と製造が困難になることから、0度以上であることが好ましい。以上より、式(13)をθU2の好ましい範囲とすることができる。
Figure 2017068104
ここで日本国内では、沖縄におけるθSLは40.5度であることから、θU2は式(14)の範囲にあることが好ましい。
Figure 2017068104
図14は、第三の形態を説明する図であり、第三の形態に含まれる光制御層67の断面の一部を拡大して表した図であり、図10に相当する。本形態は光制御層67の断面形状に特徴を有するので、光制御層67についてのみ説明する。他の部位については上記説明したものと同様である。
光制御層67は光透過部68及び光制御部69を有している。光透過部68は、図14に示した断面を有して基材層の面に沿った一方向(建物1に配置された姿勢で水平方向)に延びるように配置されるとともに、該一方向とは異なる方向(建物1に配置された姿勢で鉛直方向)の基材層の面に沿って複数の光透過部68が所定の間隔で配列されている。本形態では隣り合う光透過部68は基材層側の端部で連結され、一体化されている。
一方、光制御部69は隣り合う光透過部68の間に配置されている。
光透過部68は、光を透過する部位であり、光制御層67のうち光透過部68が配置された部位における基材層16側(図9参照)の面とその反対側(接着層12側、図9参照)の面とは平行、平滑に形成されていることが好ましい。これによって、上記のように室外側の景色がさらに見やすくなる。
本形態では光透過部68は図14に表れる断面で、2つの光制御部68間において略台形の断面を有しており、室外側が短い上底、室内側が長い下底であり光制御部69との界面を構成する辺が脚部となっている。ただし、脚部は後述する光制御部69の形状に沿った形状となるので、必ずしも一直線ではない。
光制御部69は、隣り合う2つの光透過部68間に形成される部位である。すなわち、上記したように光透過部68はシート面に沿った方向に所定の間隔で並列され、光透過部68間には、所定の形状を有する溝状の凹部が形成されている。本形態における凹部は、後述する光制御部69の断面形状に応じた断面形状を有する溝であり、ここに光制御部69を構成する材料が充填されることにより光制御部69が形成されている。従って光制御部69は凹部に基づいた断面形状を具備している。
光制御部69は、ここに照射された光を全反射して偏向可能に構成された部位である。そのため、光制御部69は光透過部68よりも屈折率が低い材料が充填されている。これによれば、光制御部69と光透過部68との屈折率差、及びその界面に入射する光の角度の関係により、該入射した光が全反射条件を満たせばここでその光を全反射して偏向することができる。後で詳しく説明するが、偏向された光は、その向きが変わり、例えば天井に照射されるなどしてまぶしさを与える直達光でなくなることができる。光制御部69を形成する材料の屈折率は1.56以下が好ましいが、原材料の汎用性から1.45以上1.56以下の範囲が好ましく、1.47以上1.50以下であることがより好ましい。
また、そのときにおける光透過部68と光制御部69との屈折率差は、0.03以上が好ましく、より好ましくは0.05以上0.13以下である。屈折率差が0より大きく0.03より小さい範囲では、全反射時の波長分散(波長により全反射角度が異なることによる分散。)が生じた際に長波長の成分が全反射せず、短波長の成分のみが全反射することがあり、色彩の変化が生じる虞がある。一方、屈折率差が0.13より大きいと、短波長の成分の屈折率が長波長の屈折率の成分の屈折率に対して大きくなる傾向にあり、虹状のムラが顕著に表れる虞がある。
また本形態でも、上記した各形態と同様に、光制御部69が並列されるピッチに関し、連続して隣り合う10個の光制御部69において、隣り合う光制御部69のピッチの最大値と最小値との差が、3μm以上5μm以下の範囲で異なっている。これにより、採光性能を低下させることなく、特に窓から離れた位置において採光シートを挟んで遮像性を高めることが可能となる。これは、光制御部69のピッチを複数の光制御部間で適切に変えることにより、偏向する入射光(外光)や、偏向後の光の状態の規則性が緩和され、また副次的に、光制御部の配置規則性を緩和する事で規則的配置に起因する視認性をも低くし、特に窓から離れた位置において採光シート越しに観察を行う際に、モアレや干渉による像の分離などの光学的幻惑を与える事なく、かかる観点において採光シートを挟んで遮像性を高めることができたと考えられる。
また、隣り合う光制御部69との間で、連続して隣り合う10個の光制御部69において、光制御部69の厚さの最大値と最小値との差が10μm以上あることが好ましいことについても上記各形態と同様である。これにより、採光性能を低下させることなく採光シートを挟んで他方側の遮像性を高める効果がさらに顕著なものとなる。
さらに、本形態では光制御部69は次のような形状を備えている。図14を参照しつつ説明する。
光制御部69は上記のように隣り合う光透過部68間の凹部に沿った形状となるが、図14に表れる断面で採光パネルを建物に配置した姿勢において上部となる辺69a、及び下部となる辺69bを有している。そのうち上部となる側の辺69aは、上方に凸となるように湾曲して形成されている。これにより、後述するように偏向部69の辺69aで全反射した光が広く拡散して狭い範囲に集中することを抑えることができる。詳しくは光路例を示しつつ後で説明する。
上記のように辺69aは図14に表された姿勢とされたときに上方に凸となっていれば特に限定されることはない。これには辺69aが複数の直線が連続する折れ線により形成される例や、曲線である例を挙げることができる。
曲線状である場合、図14に表したように任意の位置における接線が水平面(採光シートのシート面の法線)に対して角度θU3を具備し、接線が室外側(太陽側)に向けて上となるように傾斜しているとともに、辺69aの各部位における角度θU3が室外側から室内側に向けて連続的に変化していることが好ましい。これにより上記効果をより顕著なものとすることができる。θU3の範囲は特に限定されることはないが、光制御部69の室内外方向中央部において、θU3が0度より大きく30度より小さいことが好ましい。
一方、辺69aとは反対側の下部となる側の辺69bは、その傾斜角が水平面(採光シートのシート面の法線)に対してθD3とされている。θD3は特に限定されることはないが、製造の観点から0度以上30度以下とすることが好ましい。
以上説明した光制御層67を含む採光シートを具備する採光パネルにより採光装置を形成し、これを図1に示したように建物1の開口部に配置する。次に、このように採光シートが配置された場面における作用について、主要な光路に基づいて説明する。説明に必要な光路例を図16に表した。
図14に光路例である太陽からの光LS4、光LS5を示した。図14からわかるように光LS4、光LS5はそのときの太陽高度に基づいて仰角(水平面からなす角)で採光パネルの異なる位置に照射される平行な2つの光である。採光パネルに入射した光LS4、光LS5は光制御層67の光透過部68内を進む。光透過部68を進行した太陽光が光透過部68と光制御部69との界面に達したとき、光透過部68と光制御部69との屈折率差、及び太陽光の進行角の関係が全反射臨界角以上であれば図14のように界面で全反射する。これにより太陽光が偏向されて、まぶしさの原因となる直達光を抑制することが可能となる。ここで、入射したときには平行であった光LS4、光LS5は、光制御部69の辺69aのそれぞれ異なる位置に達する。辺69aは上記したように凸状に形成されているので、当該2つの光LS4、光LS5は異なる方向に全反射される。これにより反射光が異なる方向に進み、拡散され、反射光が狭い範囲に集中することを防止することができる。従って室内側の広い範囲に光を採り入れることが可能となる。
以上からわかるように、採光シートによれば、太陽光の室内への入射量を大きく減じることなく、かつ、少なくとも一部の直達光(いわゆる直射日光)をなくすことが可能となる。これにより明るく、快適な室内空間を形成することができる。その際には本形態では室内側に取り込まれた光が室内側の広い範囲に拡散するように構成されているので効率よく室内を明るくすることが可能である。
さらに、本形態の採光シートには上記したように光透過部68が備えられており、光透過部68が配置される部位の光制御層67の表裏面は平行、平滑に形成されている。これにより、上記した他の形態と同様に室内側から室外側の景色を視認することができる。
そして、光制御部69のピッチ、さらには厚さについて上記したように構成されているので、採光の効率を低下させることなく採光シートを挟んで他方側の遮像性を高めることができる。
図15は、第四の形態を説明する図で、第四の形態に含まれる光制御層77の断面の一部を拡大して表した図であり、図10に相当する。本形態は、光制御層77の断面形状に特徴を有するので、光制御層77についてのみ説明する。他の部位については上記説明したものと同様である。
光制御層77は光透過部78及び光制御部79を有している。光透過部78は、図15に示した断面を有して基材層の面に沿った一方向(建物1に配置された姿勢で水平方向)に延びるように配置されるとともに、該一方向とは異なる方向(建物1に配置された姿勢で鉛直方向)の基材層の面に沿って複数の光透過部78が所定の間隔で配列されている。本形態では隣り合う光透過部78は基材層側の端部で連結され、一体化されている。
一方、光制御部79は隣り合う光透過部78の間に配置されている。
光透過部78は、光を透過する部位であり、光制御層77のうち光透過部78が配置された部位における基材層16(図9参照)側の面とその反対側(接着層12側、図9参照)の面とは平行、平滑に形成されていることが好ましい。これによって、上記した形態と同様に室外側の景色がさらに見やすくなる。
本形態では光透過部78は図15に表れる断面で隣り合う光制御部79の間において略台形の断面を有しており、室外側が短い上底、室内側が長い下底であり光制御部77との界面を構成する辺が脚部となっている。ただし、脚部は後述するように光制御部79の形状に沿った形状となるので、必ずしも一直線状とは限らない。
光制御部79は、隣り合う2つの光透過部78間に形成される部位である。すなわち、上記したように光透過部78はシート面に沿った方向に所定の間隔で並列され、光透過部78間には、所定の形状を有する溝状の凹部が形成されている。本形態における凹部は、光制御部79の断面形状に応じた断面形状を有する溝であり、ここに光制御部79を構成する材料が充填されることにより光制御部79が形成されている。従って光制御部79は当該凹部に基づいた断面形状を具備している。
光制御部79は、上記した光制御部と同様に、ここに照射された光を全反射して偏向可能に構成された部位である。そのため、光制御部79は光透過部78よりも屈折率が低い材料が充填されている。これによれば、光制御部79と光透過部78との屈折率差、及びその界面に入射する光の角度の関係により、該入射した光が全反射条件を満たせばここでその光を全反射して偏向することができる。
さらに上記の形態に加えて、本形態では光制御部79は次のような形状を備えている。図15を参照しつつ説明する。
光制御部79は図15に表れる断面において、台形を有している。長い下底が室外側(光透過部78の上底側)、短い上底が室内側(光透過部78の下底側)となり、上下が脚部となる台形である。
脚部のうち、上側となる辺79aは、図15に表された姿勢であるとき、その傾斜角が水平面(採光シートのシート面の法線)に対して角度θU4で室外側(太陽側)上方に向けて傾斜している。
一方、辺79aとは反対側となる下部の脚部となる側の辺79bは、図15からわかるように微視的には階段状であるが、全体としてはその傾斜角が水平面(採光シートのシート面の法線)に対して所定の角度で室外側下方に向けて傾斜している。当該辺79bの傾斜角は特に限定されることはないが、製造の観点から0度以上30度以下とすることが好ましい。
さらに辺79bは、ここで全反射する光を散乱して反射するように構成されている。これにより後述するように室外側から採光シートを見上げたときに室内側の様子を伺い知ることができるという不具合を防止することができる。
光を散乱して反射するための具体的形態は特に限定されることはないが、例えば辺79bが微小な凹凸を有するように構成してもよい。
このような凹凸面は図15に表れているように辺79bの傾斜に沿って階段状であることが好ましい。具体的には次のとおりである。凹凸の厚さ方向の大きさ(図15にTで示した大きさ)は1μm以上、50μm以下であることが望ましい。1μmより小さいと光の波長程度になり、幾何光学上の全反射の効果が得られなくなる可能性がある。一方、光制御層77の厚さ方向大きさは50μm以上300μm以下が望ましいことから、Tが50μmより大きくなると階段状にならない場合がある。
また、凹凸の幅方向大きさ(図15にSで示した大きさ)は、0.5μm以上、より望ましくは1.0μm以上である。一方、幅方向大きさは10μm以下であることが望ましい。10μm以上より大きくなると、光制御部79の幅に近くなりすぎ、適切な階段状にならない虞がある。
以上説明した光制御層77を含む採光シートを具備する採光パネルにより採光装置を形成し、これを図1に示したように建物1の開口部に配置する。次に、このように採光シートが配置された場面における作用等について主要な光路に基づいて説明する。
図15からわかるように光LS6はそのときの太陽高度に基づいた仰角(水平面からなす角)で採光パネルに照射される光である。採光パネルに入射した光LS6は採光パネルを透過するうちに光制御層77の光透過部78内を進む。光透過部78を進行した太陽光が光透過部78と光制御部79との界面に達したとき、光透過部78と光制御部79との屈折率差、及び太陽光の進行角の関係が全反射臨界角以上であれば図15のように界面で全反射する。これにより太陽光が偏向されて、まぶしさの原因となる直達光を抑制することが可能となる。
一方、例えば夜間において、室内側の方が室外側よりも明るい場合、図15にLN1で示したような光が室内側から室外側に出光する。この光は室内側の様子を伺える情報を含んでおり、光透過部と光制御部との界面で全反射して室外にこの情報が明確に見える形で出射される虞がある。しかしながら本形態では、光制御部79の下部の辺79bに光を散乱する手段が具備されているので、図15に光LN1で示したように、室内側の様子を伺える情報を含む光を散乱して室外側に出射する。従って、光制御層77を含む採光シートによれば、光透過部と光制御部との界面で反射する光については、室内側からの光が明確さを喪失して室外に出射されるので、室外側から室内の様子を伺える状態が解消される。
図16は、第五の形態を説明する図で、第五の形態に含まれる光制御層87の断面の一部を拡大して表した図であり、図10に相当する。本形態は、光制御層87の断面形状に特徴を有するので、光制御層87についてのみ説明する。他の部位については上記説明したものと同様である。
本形態も光制御層87は光透過部88及び光制御部89を備える点で上記した形態と同様である。ただし本形態では光制御部89のうち室外側には光を吸収する部位である光吸収部89eが備えられている点が異なる。
光吸収部89eはここに照射された光を吸収できるように構成された部位である。光吸収部89eは可視光線(360nm以上830nm以下の波長の光)を10%以上吸収できる部位である。光吸収部89eにおける可視光線の吸収率が10%以上でなければ光吸収部89eが後述する機能を発揮し難い。また、光吸収部89eにおける可視光線の吸収率は90%以下であることが好ましい。光吸収部89eにおける可視光線の吸収率は90%以下とすれば、光吸収部89eを構成する組成物の調整が容易になる。
光吸収部89eの厚さ(図16の紙面左右方向の大きさ)は1μm以上10μm以下であることが好ましい。光吸収部89eをこの程度の厚さにすることによって、光吸収部89eの可視光線の吸収率を均一にしやすくなる。
光吸収部89eは、例えば、光透過性を有する樹脂中に光吸収性を有する粒子(光吸収粒子)が分散された組成物によって構成することができる。
ここで光透過性を有する樹脂としては光透過部88を構成する樹脂と同様のものを用いることができる。
一方、上記光吸収粒子としては、カーボンブラック等の光吸収性の着色粒子が好ましく用いられる。ただし、これに限定されず、例えば吸収すべき光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収する着色粒子を光吸収粒子として用いてもよい。着色粒子の具体例としては、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。これらの中では、コスト面、品質面、入手の容易さ等の観点から着色した有機微粒子が好ましい。より具体的には、カーボンブラックを含有したアクリル架橋微粒子や、カーボンブラックを含有したウレタン架橋微粒子等が好ましい。
本形態では光吸収部89eを上記のように構成したが、光吸収部は光を吸収することができればその形態は限定されることない。例えば、顔料や染料で着色した樹脂
で光吸収部を構成してもよい。
このような光制御層87により、上記したように外光を偏向して室内に取り入れることができるとともに、室内側からは明確に室外側をみることが可能となる。これに加えて光制御層87には光吸収部89eが形成されているので、採光シートのシート面に対して略垂直に採光シートに入射する外光のうち、その一部は光吸収部89eに入射して吸収される。このように光吸収部89eが外光の一部を吸収することによって、室外側から室内側を見たときに不自然に白く見えることを防止し、自然な暗さで室内側を見ることができる。光吸収部89eが備えられていなければ、光制御層に達した光は光制御部に入射して散乱される。このように光が散乱されると、室外側から室内側を見たときに不自然に白く見える虞がある。上記のように光吸収部89eが外光の一部を吸収することによって、光制御部89に達した光の一部を光吸収部89eで吸収して散乱することを抑制し、室外側から室内側を見たときに不自然に白く見えることを抑制できる。
本態様の採光シートは、マットハードコート層や平坦化層等を有していてもよい。
変形例として次のような形態とすることもできる。図17に合わせガラス100の層構成を説明する図を示した。本形態では、入射面側から、第1ガラス層と、第1封止部と、光制御層と、第2封止部と、および第2ガラス層と、をこの順で有し、上記光制御層は、上記した光制御層と同様であり、第1ガラス層または第2ガラス層の一方の面上には、光拡散層が配置された合わせガラスの態様である。
すなわち、合わせガラス100は、第1ガラス層141、第1封止材142、光制御層120、第2封止材143、および第2ガラス層144がこの順で積層されたものであり、第1ガラス層141側を合わせガラス100の入射面側とする。また、第2ガラス層144の表面上には、光拡散層122Aが配置されている。光制御層17、基材層16については、上記と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本態様によれば、上述の構成を有する合わせガラスとすることで、光制御層内の光透過部と光偏向部との界面が光反射面となり、上記光反射面により光が跳ね上げられることで採光量を増加させることができる。また、光拡散層により光が拡散されるため、採光シート全体で高プライバシー隠蔽性を発揮することができる。さらに、上述の構成を有する合わせガラスとすることで、開口部等の所望の場所への設置が容易となる。
本態様における光拡散層122Aは、上記第1ガラス層141または第2ガラス層144の一方の面上に配置される光拡散性を有する層である。
本態様における第1ガラス層141および第2ガラス層144は、光制御層を挟持するものである。第1ガラス層141および第2ガラス層144は、透明であり、高い光透過性を有する。第1ガラス層141および第2ガラス層144に用いられるガラスの材質としては、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス等の無機ガラス、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等の有機ガラス、無機・有機ハイブリットガラス等が挙げられる。
また、第1ガラス層141および第2ガラス層144に用いられるガラスの種類としては、普通ガラス、クリアフロートガラス、高透過ガラス、耐熱ガラス、金網入りガラス等、一般に合わせガラスに用いられる種類のものが挙げられる。また、後述する光拡散層と一体化したガラス層に用いられるガラスの種類も挙げられる。
第1ガラス層141および第2ガラス層144は、それぞれ同じ材質であっても良く、異なっていても良い。また、必要に応じて複数枚のガラス板を有していても良い。
第1ガラス層141および第2ガラス層144の厚さは、同じであってもよく異なってもよい。上記厚さとしては、100μm〜50mmの範囲内、中でも500μm〜30mmの範囲内が好ましい。第1ガラス層および第2ガラス層の厚さを上記範囲内とすることにより、所望の機械的特性および光学特性を有する合わせガラスとすることができる。
第1ガラス層141および第2ガラス層144の可視光線透過率としては、合わせガラス全体での光学特性を損なわない程度であればよく、例えば80%以上、好ましくは82%以上、さらに好ましくは83%以上、特に好ましくは85%以上である。
第1ガラス層141または上記第2ガラス層144の一方が、上記光拡散層122Aと一体であることが好ましい。第1ガラス層141または第2ガラス層144の単一層で、光制御層17を支持する機能と、合わせガラス全体に所望の光学特性を付与する機能とを発揮することができる。
光拡散層が第1ガラス層141または第2ガラス層144の一方と一体であるとは、ガラス層と光拡散層との界面が無いこと、すなわち、ガラス層自体が光拡散機能を有するものである。
具体的には、第1ガラス層141または第2ガラス層144の一方に、光散乱粒子が含まれる態様、第1ガラス層141または第2ガラス層144の一方の面が、所望の凹凸形状を有する態様であることをいう。
このような光拡散層と一体化したガラス層として用いられるガラスの種類としては、例えば、すりガラス、フロストガラス、型板ガラス等が挙げられる。
本態様においては、第1ガラス層141または第2ガラス層144のうち、合わせガラスの出射面側に位置するガラス層が、光拡散層と一体であることが好ましい。なお、図18は、第2ガラス層と光拡散層とが一体である態様(光拡散機能つきガラス層145を有する態様)の一例を示すものである。
本態様における第1封止部142および第2封止部143は、第1ガラス層141と光制御層17との間、および第2ガラス層144と光制御層17との間を封止する部材である。本態様において、第1封止部142および第2封止部143は、光透過性を有する。
封止部としては、高光透過性を示し、第1ガラス層141と光制御層17との間、および第2ガラス層144と光制御層17との間を接着可能な部材であればよく、一般的な合わせガラスにおいて用いられる接着層とすることができる。接着層の材料としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、などの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等を用いることができ、これらの樹脂は単独で用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。中でも、EVA、PVBの単独使用、またはEVAおよびPVBの併用が好ましい。
さらに、第1封止部142または第2封止部143の一方には、光拡散層122Aに用いられる光拡散粒子が所望の量、含有されていてもよい。第1封止部142または第2封止部143を、光拡散層としても機能させることができ、別途、光拡散層を設ける必要がないからである。光拡散粒子の含有量等については、光拡散層の第1態様の項で説明した量と同様とすることができる。
封止部の厚さとしては、第1ガラス層141と光制御層17との間、および第2ガラス層144と光制御層17との間を封止することができ、光透過性を損なわない大きさであれば特に限定されず、例えば100μm〜5000μmの範囲内、中でも200μm〜1600μmの範囲内であることが好ましい。
封止部の可視光線透過率としては、上述のガラス層の可視光線透過率と同様とすることができる。
本態様では、一般に合わせガラスに用いられる任意の層を有していても良い。
また、本態様では、合わせガラスとして単独で用いることもでき、また、一対のガラス間に中空層を設けた複層ガラスにおける上記一対のガラスのうち少なくとも一方として用いることもできる。
実施例では、隣り合う光制御部とのピッチの差、及び厚さの差を変更して、採光性能及び採光シートを挟んで反対側の遮像性を調べた。図19に形状を説明するための図を示した。図19からもわかるように、ここでは、図9、図10に示した採光シート55の光制御層57の例に倣った形状とした。表2に図19に示した各寸法、および評価の結果を表した。表2で示した各寸法では、連続して隣り合う10個の光制御部において、最大のピッチをP、最小のピッチをP、最大の厚さをD、最小の厚さをDとした。採光シートは次のように作製した。
<採光シートの作製>
1.光透過部用組成物の調整
(光硬化性プレポリマー(P1)の調整)
まず、ビスフェノールAエチレンオキシド、キシリレンジイソシアネート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、およびビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)を質量比で30:15:50:5:0.02となるように混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P1)を得た。
(光硬化性プレポリマー(P2)の調整)
ビスフェノールAエチレンオキシド、イソホロンジイソシアネート、フェノキシエチルアクリレート、ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)を質量比で30:20:50:0.02となるように混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P2)を得た。
(光透過部用組成物の調整)
次に、光硬化性プレポリマー(P1)を30質量部、光硬化性プレポリマー(P2)を30質量部、反応性希釈モノマー(M1)としてフェノキシエチルアクリレートを10質量部、反応性希釈モノマー(M2)としてビスフェノールAエチレンオキシドを30質量部、金型離型剤(S1)としてテトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステルを0.03質量部、金型離型剤(S2)としてステアリルアミンエチレンオキシド15モル付加物0.03質量部、光重合開始剤(I1)として1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を3質量部を混合し、均一化して、光透過部用組成物を得た。
この光透過部用組成物を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀により800mJ/cmの紫外線を照射して塗膜を硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、波長589nmでの屈折率を測定したところ、1.550であった。
2.金型ロールの作製
光透過部の作製に供される金型ロールを作製した。金型ロールは円柱状であり、銅メッキが施され、当該銅メッキ部分をバイトにより切削して光透過部に対応する複数の溝を形成した。バイトとしてはダイヤモンドバイトを用いた。ロール軸方向に所定のピッチで金型ロールの銅メッキ層の外周を切削し、この切削したロールをクロムメッキした。
3.光制御層の形成
上記で作製した金型ロールとニップロールとの間に基材層を搬送した。この基材層の搬送に合わせ、上記光透過部用組成物を基材層の凹凸形状面と反対側の面上に供給し、金型ロールおよびニップロール間の押圧力により、基材層と金型ロールとの間に光透過部用組成物を充填した。その後、基材層側から高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して光透過部用組成物を硬化させて、光透過部を形成した。その後、剥離ロールにより、金型ロールから光透過部を離型し、上記光透過部の一方の面側に形成された複数の溝部内の光偏光部が空気層である光制御層を基材層上に形成した。
4.接着層の形成
アクリル系樹脂の粘着剤(商品名:SKダイン2094、綜研化学株式会社、固形分25.0%、酢酸エチルおよびメチルエチルケトンの混合溶媒)を100質量部と、架橋剤(E−5XM、L−45、綜研化学株式会社、固形分5.0%)を0.28質量%と、1,2,3−ベンゾトリアゾールを0.25質量部と希釈剤(トルエン/メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=27.69g/27.69g/4.61g)を32.0質量部と、を混合して接着層用組成物を得た。
上記接着層用組成物を離型フィルム(商品名:E7007、東洋紡績社製、厚さ38μm)上に塗布して乾燥させ、上記光制御層の溝部開口を有する面と貼り合わせた。
<評価>
1.採光性能評価
採光部材の採光性能は、以下の方法により測定される。
まず、測定装置として、3次元変角分光測色システム(村上色彩技術研究所社製 GCMS11)を用い、入射面側に光源が、出射面側に受光器が位置するように、測定装置に採光シートを固定する。測定装置の設定は下記の通りとする。
・測定モード:透過測定モード
・入射角度:10°〜70°まで10°毎(入射面の法線方向に対する光の入射角度)
・受光角度:−70°〜+70°まで1°毎(出射面の法線方向に対する光の出射角度。正の符号を天側とする)
・光源:D65
・視野:2°
・測定面積:受光角度が0°で約φ3mm、受光角度が77°で約3mm×13.3mm(楕円)
各入射角度における−70°〜+70°で得られる出射光ピークの総和を100%とし、それに対して各入射角度における0°〜+70°で得られる出射光ピークの総和の割合を採光性能として算出した。
2.遮像性評価
本発明例1、2および比較例1、2で得られた採光シートを窓に貼付し、その後ろに被写体を窓から10cmの間隔を空けて設置し、主観評価にて、被写体の輪郭が判別不可能なレベルを○、さらに判別不可能なレベルを◎、判別可能なレベルを×とした。すなわち◎、〇においては、採光シートを挟んで反対側の遮像性に優れることになる。被写体は造花を使用し、画像は採光シートから十分に離れた位置である1m離隔した位置からカメラで撮影した。また、主観評価は、屋内側から採光シート付き窓を介して屋外側にある被写体を観測する場合と、屋外側から採光シート付き窓を介して屋内側にある被写体を観測する場合との2方向からの観察により行った。造花の花びらの輪郭を認識できないと感じるレベルを被写体の輪郭が判別不可能なレベルとした。
Figure 2017068104
表2からわかるように、いずれの例も採光性能は同じであった。そして、P−Pを3μm以上5μmとすることにより、本発明例1及び本発明例2のように、遮像性において採光シートを挟んで他方側がよく遮像され、◎又は○とすることができた。そして、さらに厚さの差を10μm以上とすることにより、さらに採光シートを挟んで他方側がよく遮像されるものとなった。
2 窓
3 枠
10、50 採光パネル
11 パネル
12 接着層
15、55 採光シート
16 基材層
17、57、67、77、87 光制御層
18、58、68、78、88 光透過部
19、59、69、79、89 光制御部
20 ハードコート層

Claims (5)

  1. シート面が鉛直となるように建物開口部に配置されるシート状である採光シートであって、
    前記シート面に沿って間隔を有して配置される複数の光透過部、及び隣り合う2つの前記光透過部の間に形成される光制御部を有し、
    前記光制御部は、連続して隣り合う10個の前記光制御部において、隣り合う前記光制御部のピッチの最大値と最小値との差が、3μm以上5μm以下の範囲で異なっている、採光シート。
  2. 前記光制御部は、連続して隣り合う10個の前記光制御部において、前記光制御部の厚さの最大値と最小値との差が10μm以上である請求項1に記載の採光シート。
  3. 前記光制御部には前記光透過部と異なる屈折率を有する樹脂が充填されている請求項1又は2に記載の採光シート。
  4. 透光性を有する板状のパネルと、
    前記パネルの一方の面に貼付される請求項1乃至3のいずれかに記載の採光シートと、を備える採光パネル。
  5. 開口部に請求項4に記載の採光パネルが設置された建物。
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