JP2018158319A - フッ素含有排水の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フッ素を含有するpH5以下の酸性溶液において、汚泥返送を行うことなく、排水基準を満足するようにフッ素を有効に除去することができるフッ素含有排水の処理方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、フッ素を含有する排水(フッ素含有排水)にカルシウム塩を添加してそのフッ素を難溶性沈殿として分離除去する方法であって、フッ素含有排水にカルシウム塩を添加することによって生じるフッ化カルシウムを、スルホン酸系アニオン凝集剤を用いて凝集させる。または、フッ素含有排水にカルシウム塩を添加することによって生じるフッ化カルシウムを、ノニオン凝集剤を用いて凝集させた後に、アニオン凝集剤を用いて凝集させる。【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素を含有する排水の処理方法に関する。
フッ素含有排水からフッ素を除去して処理する技術に関しては、Ca塩を添加することによってフッ素をフッ化カルシウムとして沈殿させる方法(フッ化カルシウム沈澱法)が通常である。一般的に、フッ化カルシウムを沈澱させるに際しては、排水のpHを中性から弱アルカリ性の領域として処理する。しかしながら、この方法では、得られる沈殿物中に、中性から弱アルカリ性で沈澱する性質を有する金属成分が共存するという問題がある。したがって、そのようなpH領域に調整してフッ化カルシウムを沈殿させる方法では、フッ素を十分に選択的に分離して除去することが困難となる。
また、フッ化カルシウム沈澱法では、処理水中のフッ素濃度規制(8mg/L)を満足しない場合には、さらにアルミニウム塩を添加してフッ素濃度の低減を図るというフッ素処理も一般的に行われている。しかしながら、このようなアルミニウム塩を添加する方法では、添加したアルミニウムがフッ素と共に沈澱することを前提としているため、アルミニウムが沈澱しない、概ねpH5以下の領域ではこの方法を用いることができない。
酸性側のpH領域でフッ素を除去する方法として、例えば特許文献1に記載された方法がある。具体的に、特許文献1に記載の方法とは、pH3〜5の間で繰り返しフッ化カルシウムを生成させることによって、フッ素の除去を行うというものである。しかしながら、この方法は、凝集沈殿−沈降分離の操作を複数回行う必要があることから、実際の排水処理設備としては複数の凝集沈殿反応槽/沈降槽の組み合わせを備える必要があり、設備建設費等のコストが大きくなる。
なお、この方法の基本的な考え方は、特許文献1にも説明されているように、カルシウムの余剰投入を避けつつフッ素の2次処理が可能な100mg/L程度までフッ素濃度を低減することを目指したものであり、この方法単独でフッ素イオン濃度を排水基準まで低減させようとするものではない。
また、特許文献2においても、弱酸性であるpH5の条件でフッ素を除去する方法が記載されている。しかしながら、特許文献2の方法では、その実施例でも示されるように、生成したフッ化カルシウムを返送しないとフッ素濃度が排水基準(8mg/L)に到達せず、汚泥返送を行うことによって初めて排水基準までフッ素が除去できている。このように、汚泥返送が必須の処理となると、原水中のスラリー濃度が元々高い場合には、返送によってさらにスラリー濃度を高めてしまうことになるため、ハンドリングが困難となる。すなわち、汚泥返送が必須であるという点は、フッ素の除去処理において制約となる。
また、特許文献2に記載の方法では、高分子凝集剤としてノニオン系凝集剤を用いることとしているが、例えば非特許文献1に示されるように、pH5以下の領域ではフッ化カルシウムの表面電位はさらに大きくなると考えられる(非特許文献1のfig.4を参照)。そのため、特許文献2には、pH5よりも低pH域において、ノニオン凝集剤のみでフッ化カルシウムを完全に凝集させることが示唆されているとは言えず、本明細書において後述する実施例で説明するように、より低pH域で、電荷がないノニオン系凝集剤のみではフッ化カルシウムを完全に凝集させることはできない。
特許3378362号公報 特開2008−104946号公報
藤田豊久、韋悦周、真宮三男 蛍石鉱山廃水の高勾配磁気ろ過−マグネタイト付着法を用いた高勾配磁選に関する研究(第2報)−日本鉱業会誌/103 1194 (’87−8) p513−518
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、フッ素を含有するpH5以下の酸性溶液において、汚泥返送を行うことなく、排水基準を満足するようにフッ素を有効に除去することができるフッ素含有排水の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、フッ素含有排水にカルシウム塩を添加することによって生じるフッ化カルシウムを、特定の高分子凝集剤を用いて凝集させる処理を施すことで、汚泥返送を行うことなく、排水基準を満足するようにフッ素を除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、フッ素を含有する排水(フッ素含有排水)にカルシウム塩を添加して該フッ素を難溶性沈殿として分離除去する方法であって、前記フッ素含有排水にカルシウム塩を添加することによって生じるフッ化カルシウムを、スルホン酸系アニオン凝集剤を用いて凝集させる、フッ素含有排水の処理方法である。
(2)本発明の第2の発明は、フッ素を含有する排水(フッ素含有排水)にカルシウム塩を添加して該フッ素を難溶性沈殿として分離除去する方法であって、前記フッ素含有排水にカルシウム塩を添加することによって生じるフッ化カルシウムを、ノニオン凝集剤を用いて凝集させた後に、アニオン凝集剤を用いて凝集させる、フッ素含有排水の処理方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第2の発明において、前記ノニオン凝集剤及び/又は前記アニオン凝集剤が、スルホン酸系凝集剤である、フッ素含有排水の処理方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記フッ素含有排水に前記カルシウム塩を添加することでpHを3〜5の範囲とする、フッ素含有排水の処理方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記上澄み液の濁りを指標として、前記フッ化カルシウムの凝集処理を制御する、フッ素含有排水の処理方法である。
(6)本発明の第6の発明は、第5の発明において、前記上澄み液の透視度を濁りの指標とした場合に、透視度38cm以上の上澄み液となるように凝集させる、フッ素含有排水の処理方法である。
(7)本発明の第7の発明は、第1乃至第6のいずれかの発明において、汚泥返送を行わない、フッ素含有排水の処理方法である。
本発明によれば、汚泥返送を行うことなく、排水基準を満足するようにフッ素を有効に除去することができるフッ素含有排水の処理方法を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
本実施の形態に係るフッ素を含有する排水(以下、「フッ素含有排水」あるいは単に「排水」という)の処理方法は、フッ素含有排水にカルシウム塩を添加することによって排水中のフッ素を難溶性沈殿として分離除去する方法である。具体的には、フッ素含有排水にカルシウム塩を添加して排水のpHを所定の範囲とし、これにより生じるフッ化カルシウムを、高分子凝集剤を用いて凝集させることを特徴としている。
ここで、この処理方法においては、フッ化カルシウムの沈殿物(凝集沈殿物)を、カルシウム塩を添加してフッ化カルシウム生成処理の処理対象である排水に返送しない、すなわち、汚泥返送を行わない。それは、本実施の形態に係る処理方法では、特定の高分子凝集剤を用いてフッ化カルシウム沈澱の凝集処理を行っているからであり、よって汚泥返送を行わなくても、排水中のフッ素濃度を排水基準以下とすることができる。また、汚泥返送を行わないことにより、処理対象の排水のハンドリング性を高め、より効率的な処理が可能となる。
[カルシウム塩の添加(フッ化カルシウムの生成)]
本実施の形態に係る処理方法においては、フッ素含有排水に対してカルシウム塩を添加し、排水のpHを所定の範囲に調整することによって、フッ素をフッ化カルシウムの難溶性沈殿とする。
具体的に、排水にカルシウム塩を添加することで、排水のpHを5以下とし、好ましくはpH3〜5の範囲とし、これによりフッ化カルシウム沈殿を生成させる。pHが3を下回ると、フッ化カルシウムの沈殿を効率的に生成させることができない可能性がある。
カルシウム塩としては、例えば、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム等の溶液又はスラリー、あるいは固体を用いることができる。また、これらのカルシウム塩に必要に応じて水酸化ナトリウム等を添加したものであってもよい。
カルシウム塩の添加量は、特に限定されず、排水中のフッ素量に対してフッ化カルシウムを生成するのに必要な量のカルシウムが添加され適切なpHに調整されればよい。
ここで、上述したカルシウム塩の添加による生成するフッ化カルシウムの沈殿は、微細結晶又はコロイド状となる。すなわち、非特許文献1に記載されているように、フッ化カルシウムは、水中で大きな正の表面電位を有し、その電位はpHが低下するほど大きくなる傾向にある(非特許文献1のFig.4参照)。大きな表面電位を有していると、粒子同士が電気的に反発し、凝集を妨げ、その結果として微細結晶やコロイド状、さらには疑似的に可溶化された状態となる。このような微細結晶やコロイド状のフッ化カルシウムが生成すると、沈降分離が困難になるほか、濾過性も悪くなる。また、疑似的に可溶化された状態になると、フッ素が除去されていないことと同等になる。
そこで、本実施の形態においては、フッ化カルシウムの沈殿が生成した排水中に特定の高分子凝集剤を添加し、フッ化カルシウムの沈殿物を凝集させることを特徴する。
[高分子凝集剤の添加(フッ化カルシウムの凝集)]
上述したように、本実施の形態に係るフッ素含有排水の処理方法においては、カルシウム塩を添加してフッ化カルシウムの難溶性沈殿を生成させた後、その排水に高分子凝集剤を添加する。これによって、そのフッ化カルシウムの沈殿物を凝集させる。高分子凝集剤は、排水の上澄み液が清澄になるまで添加する。
本実施の形態に係る処理方法では、このように特定の高分子凝集剤を用いてフッ化カルシウム沈澱の凝集処理を行っているため、汚泥返送を行わなくても、排水中のフッ素濃度を排水基準以下とすることができる。また、汚泥返送を行わないことにより、処理対象の排水のハンドリング性を高め、より効率的な処理が可能となる。
(第1の態様)
高分子凝集剤を添加してフッ化カルシウム沈澱を凝集させるに際して、第1の実施態様としては、スルホン酸系アニオン凝集剤を用いる。
ここで、大きな表面電位を有する粒子を凝集させるためには、反対側の電荷を有する凝集剤、具体的に、特に酸性領域において大きな正の表面電位を有するフッ化カルシウムの粒子を凝集させる場合には、負の電荷を有する凝集剤を用いることが望ましく、すなわち、アニオン凝集剤が望ましいということになる。一般的に、アニオン凝集剤としては、アニオンとなる部分の官能基がカルボキシル基であるものが多い。しかしながら、カルボキシル基自体は弱酸であるため、酸性溶液中では解離しにくく、その官能基がアニオンとして作用しにくい。
一方、ノニオン凝集剤は、アニオンとなる官能基の割合が少なく、負の電荷そのものをほとんど有しない。そして、官能基の解離を前提としていないため、酸性溶液中でもある程度の凝集性能を有している。ところが、ノニオン凝集剤は、フッ化カルシウムによる濁りが完全になくなるまでの十分な凝集性能は有していない。
この点、スルホ基を官能基として有するスルホン酸系凝集剤が知られており、スルホ基は強酸であり、酸性条件下でも解離するため、スルホ基を官能基として有する凝集剤は酸性領域側でフッ化カルシウムを凝集させるために有効である。
したがって、カルシウム塩を添加してpH3〜5程度の領域としてフッ化カルシウム沈澱を生成させた後、そのフッ化カルシウムの沈殿物を、スルホン酸系アニオン凝集剤を用いて凝集させることによって、効率的にかつ効果的に沈澱物を凝集させることができ、フッ素を有効に除去することができる。また、スルホン酸系アニオン凝集剤を用いて凝集させることにより、それ単独で有効に凝集させることができることから、他の高分子凝集剤の使用を要せず、効率的な処理が可能になる。
スルホン酸系アニオン凝集剤の種類としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、1種類を単独で又は2種類以上を併せて用いることができる。具体的には、例えば、スルホ基を官能基として有するアニオン性ポリアクリルアミドを用いることができる。また、スルホン酸系アニオン凝集剤の添加量についても、特に限定されず、排水中のフッ化カルシウムの凝集度合に応じて適宜調整することができる。なお、後述するが、排水の上澄み液の濁りを指標として、凝集剤の添加量を制御することができる。
(第2の態様)
また、第2の実施態様としては、ノニオン凝集剤を用いてフッ化カルシウム沈澱を凝集させた後に、さらにアニオン凝集剤を用いて凝集させる。すなわち、ノニオン凝集剤を添加して沈殿物を一旦凝集させておき、その後、アニオン凝集剤を添加して、ノニオン凝集剤によっては凝集しきれずに残存しているフッ化カルシウムを上澄み液が清澄になるまで添加する。このように、ノニオン系凝集剤と、アニオン系凝集剤とを用いて、2段階で凝集処理を行う。
ここで、アニオン凝集剤は、結晶成長を阻害する性質があることが知られている(例えば、特許文献2参照)。そのため、アニオン凝集剤を単独で用いた場合には、上澄み液は清澄になるものの、全体の結晶が成長するには多量の凝集剤が必要となる。
そこで、ノニオン凝集剤を用いて粗方のフッ化カルシウム沈澱を凝集させておき、残りの濁った部分を、アニオン凝集剤を添加して凝集させる。このことによって、清澄な上澄み液を効果的に得ることができる。また、この場合、アニオン系凝集剤を単独で用いて処理するよりも、高分子凝集剤のトータルの添加量を少なくすることができる。
このとき、ノニオン凝集剤とアニオン凝集剤との両方で、スルホ基を官能基として有するスルホン酸系凝集剤であることが望ましいが、どちらか一方がスルホン酸系凝集剤であっても、十分に効果を得ることができる。なお、ノニオン凝集剤、アニオン凝集剤のそれぞれの種類としては、上述したように少なくともいずれか一方がスルホン酸系のものであればよく、その他は特に限定されない。例えば、ポリアクリルアミド等の公知のノニオン凝集剤、アニオン凝集剤を用いることができ、1種類を単独で又は2種類以上を併せて用いることができる。
ノニオン凝集剤の添加量についても、特に限定されず、排水中のフッ化カルシウムを粗方凝集させることができる程度で適宜調整することができる。また、その後に添加するアニオン凝集剤の添加量についても、特に限定されず、凝集により得られる上澄み液の清澄度に応じて適宜調整することができる。
(凝集処理の制御)
さて、上述した高分子凝集剤を添加してフッ化カルシウムの沈殿物を凝集させるに際しては、排水中に得られる上澄み水(上澄み液)の濁りを指標として、そのフッ化カルシウムの凝集処理を制御することができる。
具体的に、微細結晶やコロイド状のフッ化カルシウムが排水中に存在していると、上澄み液の全体に濁りが生じる。そして、高分子凝集剤の添加によってフッ化カルシウムが凝集して粗大化していくと、その凝集物は容易に沈降して上澄み液が次第に清澄する。上澄み液の濁りの原因はフッ化カルシウムであることから、濁った上澄み液を分析することでフッ素濃度の割合を把握することができる。すなわち、上澄み液が濁った状態であればフッ素濃度が高く、清澄すればフッ素濃度が低くなるため、上澄み液の濁りの程度を指標とすることによって、フッ素の除去性能を把握することができる。そして、このように上澄み液)の濁りを指標としてフッ素の除去性能を把握することで、添加する高分子凝集剤の添加量等を的確に制御することができる。なお、濾過してしまうと上澄み液の清澄度の区別がつかなくなるため、上澄み液の濁りがフッ素除去性能の指標となる。
上澄み液の濁り指標としては、特に限定されないが、濁度、透視度等が挙げられる。例えば、上澄み液の濁りの指標として透視度を用いた場合、その上澄み液の透視度が38cm以上となるように高分子凝集剤を添加してフッ化カルシウムを凝集させる。ここで、透視度とは、JIS K 0102に準拠した方法で測定されるものであり、10mmごとに目盛を施した下口付きのガラス製のシリンダーであって、底部に二重十字を記した標識板を備えた透視度計を用いて測定することができる。具体的には、透視度計に測定試料を満たし、上部から底部を透視して、標識板の二重十字が明確に識別できるまで下口から試料を速やかに流出させたときの水面の目盛を読み、この操作を複数回行った場合の平均値から測定することができる。
なお、清澄したときのフッ素濃度は、高分子凝集剤としてスルホン酸系凝集剤を用いた場合の方が他の凝集剤を用いた場合より低くなる。このことは、疑似的に可溶化したフッ化カルシウムを凝集させる能力が高いためであると考えられる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
濃度200mg/Lでフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、スルホン酸系アニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するアニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロック(登録商標)A−235H,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が30mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ2mg/Lであった。
[比較例1]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、カルボン酸系アニオン凝集剤(アニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−130,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が30mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ10mg/Lであり、実施例1に比べて処理後の排水中のフッ素濃度が高かった。
[比較例2]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、スルホン酸系ノニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックN−210,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が30mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。しかしながら、清澄な上澄み液は得られず、濁りが残った。
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ16mg/Lであった。また、その上澄み液を濾過し、濾液のフッ素濃度を測定したところ4mg/Lであった。
[比較例3]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、カルボン酸系ノニオン凝集剤(ノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックN−100,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が30mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。しかしながら、清澄な上澄み液は得られず、濁りが残った。
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ30mg/Lであった。また、その上澄み液を濾過し、濾液のフッ素濃度を測定したところ14mg/Lであった。
[実施例2]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH4に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、スルホン酸系アニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するアニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−235H,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が30mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ2mg/Lであった。
[実施例3]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH5に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、スルホン酸系アニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するアニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−235H,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が30mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ2mg/Lであった。
[実施例4]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、スルホン酸系ノニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックN−210,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。清澄な上澄み液は得られず、濁りが残った。
次に、さらにその排水に、スルホン酸系アニオン系凝集剤(スルホ基を官能基として有するアニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−235H,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が5mg/Lとなるように添加した。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ5mg/Lであった。
[実施例5]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、スルホン酸系ノニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックN−210,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。清澄な上澄み液が得られず、濁りが残った。
次に、さらにその排水に、カルボン酸系アニオン系凝集剤(アニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−130,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように添加した。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ6mg/Lであった。
[実施例6]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、カルボン酸系ノニオン凝集剤(ノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックN−100,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。清澄な上澄み液が得られず、濁りが残った。
次に、さらにその排水に、スルホン酸系アニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するアニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−235H,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように添加した。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ6mg/Lであった。
[実施例7]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、カルボン酸系ノニオン凝集剤(ノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックN−100,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。清澄な上澄み液が得られず、濁りが残った。
次に、さらにその排水に、カルボン酸系アニオン系凝集剤(ノニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−130,MTアクアポリマー株式会社製)を添加後の濃度が10mg/Lとなるように添加した。これにより、清澄な上澄み液が得られた。
上澄み液中のフッ素濃度を測定したところ8mg/Lであった。
[実施例8]
濃度200mg/Lのフッ素を含有する塩酸酸性排水を処理対象として、その排水に水酸化カルシウムを添加してpH3に調整し、フッ化カルシウム沈澱を生成させた。なお、この段階では、コロイド状の濁りを生じていた。
次に、フッ化カルシウム沈澱が生成した排水に対し、添加後の濃度が10mg/L〜30mg/Lの範囲となるようにスルホン酸系アニオン凝集剤(スルホ基を官能基として有するアニオン性ポリアクリルアミド)(アコフロックA−235H,MTアクアポリマー株式会社製)を加えて、フッ化カルシウムを凝集させた。これにより生成した上澄み液中のフッ素濃度と、その上澄み液の透視度を測定した。下記表1に、測定結果を示す。
Figure 2018158319

Claims (7)

  1. フッ素を含有する排水(フッ素含有排水)にカルシウム塩を添加して該フッ素を難溶性沈殿として分離除去する方法であって、
    前記フッ素含有排水にカルシウム塩を添加することによって生じるフッ化カルシウムを、スルホン酸系アニオン凝集剤を用いて凝集させる
    フッ素含有排水の処理方法。
  2. フッ素を含有する排水(フッ素含有排水)にカルシウム塩を添加して該フッ素を難溶性沈殿として分離除去する方法であって、
    前記フッ素含有排水にカルシウム塩を添加することによって生じるフッ化カルシウムを、ノニオン凝集剤を用いて凝集させた後に、アニオン凝集剤を用いて凝集させる
    フッ素含有排水の処理方法。
  3. 前記ノニオン凝集剤及び/又は前記アニオン凝集剤が、スルホ基を有するスルホン酸系凝集剤である
    請求項2に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  4. 前記フッ素含有排水に前記カルシウム塩を添加することでpHを3〜5の範囲とする
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  5. 前記上澄み液の濁りを指標として、前記フッ化カルシウムの凝集処理を制御する
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  6. 前記上澄み液の透視度を濁りの指標とした場合に、透視度38cm以上の上澄み液となるように凝集させる
    請求項5に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  7. 汚泥返送を行わない
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフッ素含有排水の処理方法。
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