JP2018155776A - 撮像レンズおよび撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】合焦時の非点収差の変動が抑えられ、像面湾曲が小さく、良好な光学性能を有する撮像レンズ、およびこの撮像レンズを備えた撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像レンズは、物体側から順に、遠距離から近距離への合焦時に物体側へ移動する正の第1レンズ群G1、合焦時に不動の第2レンズ群G2からなる。第1レンズ群G1は、第1Bサブレンズ群G1Bを有し、第1Bサブレンズ群G1Bは、物体側から順に、正のb1レンズ、像側に凹面を向けた負のb2レンズ、開口絞りSt、物体側に凹面を向けた負のb3レンズ、正のb4レンズとからなる。第2レンズ群G2は、物体側から順に、負レンズ、正レンズ、負レンズからなる。所定の条件式を満足する。
【選択図】図1

Description

本発明は、撮像レンズおよび撮像装置に関し、特に、FA(factory automation)用カメラ、MV(Machine Vision)用カメラ、デジタルカメラ、監視用カメラ、および車載用カメラ等に好適な撮像レンズ、並びにこの撮像レンズを備えた撮像装置に関するものである。
従来知られている合焦機能を有する撮像レンズとして、例えば下記特許文献1〜3に記載のものを挙げることができる。特許文献1〜3には、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、正または負の屈折力を有する第2レンズ群とからなり、少なくとも第1レンズ群を移動させて合焦を行うレンズ系が記載されている。
特開2013−178365号公報 特開2013−210604号公報 特開2013−231941号公報
MV用カメラでは、多様な形状の物体を様々な物体距離で撮像することが要求され、さらに近年では高画素化が進んだ撮像素子に対応可能なことが要求される。そのため、使用される撮像レンズは、撮影範囲全域にわたって良好に収差が補正されて高性能であること、特に、合焦時の非点収差の変動が少ないこと、および像面湾曲が小さいことが望まれる。
しかしながら、特許文献1、2に記載のレンズ系は像面湾曲が大きいという不都合がある。特許文献3に記載のレンズ系は合焦時の非点収差の変動が大きいという不都合がある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、合焦時の非点収差の変動が抑えられ、像面湾曲が小さく、良好な光学性能を有する撮像レンズ、およびこの撮像レンズを備えた撮像装置を提供することを目的とする。
本発明の撮像レンズは、物体側から順に、遠距離物体から近距離物体への合焦時に物体側へ移動する正の屈折力を有する第1レンズ群と、合焦時に像面に対して固定されている第2レンズ群とからなり、第1レンズ群は内部に開口絞りを含む第1Bサブレンズ群を有し、第1Bサブレンズ群は、物体側から順に、正レンズであるb1レンズと、像側に凹面を向けた負レンズであるb2レンズと、開口絞りと、物体側に凹面を向けた負レンズであるb3レンズと、正レンズであるb4レンズとからなり、第2レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズとからなり、b1レンズの物体側の面からb2レンズの像側の面までの光軸上の距離をDb12、第1レンズ群の最も物体側の面から第1レンズ群の最も像側の面までの光軸上の距離をDG1、最大像高をYmax、第2レンズ群が有するレンズ面の総数をk、第2レンズ群の物体側からi番目のレンズ面を構成する物体側の媒質のd線に対する屈折率をNif、第2レンズ群の物体側からi番目のレンズ面を構成する像側の媒質のd線に対する屈折率をNir、第2レンズ群の物体側からi番目のレンズ面の曲率半径をsRiとしたとき、下記条件式(1)および(2)を満足することを特徴とする。
0.1<Db12/DG1<0.25 (1)
本発明の撮像レンズにおいては、下記条件式(1−1)および/または(2−1)を満足することが好ましい。
0.12<Db12/DG1<0.22 (1−1)
また、本発明の撮像レンズにおいては、b2レンズの像側の面の曲率半径をRb2r、b3レンズの物体側の面の曲率半径をRb3fとしたとき、下記条件式(3)を満足することが好ましく、下記条件式(3−1)を満足することがより好ましい。
−0.3<(Rb2r+Rb3f)/(Rb2r−Rb3f)<0.3 (3)
−0.2<(Rb2r+Rb3f)/(Rb2r−Rb3f)<0.1 (3−1)
また、本発明の撮像レンズにおいては、無限遠物体に合焦時の全系の焦点距離をf、第2レンズ群の焦点距離をf2としたとき、下記条件式(4)を満足することが好ましく、下記条件式(4−1)を満足することがより好ましい。
−0.7<f/f2<0.3 (4)
−0.6<f/f2<0.2 (4−1)
また、本発明の撮像レンズにおいては、無限遠物体に合焦時の全系の焦点距離をf、第2レンズ群の物体側からj番目のレンズの焦点距離をf2j、第2レンズ群の物体側からj番目のレンズのd線基準のアッベ数をν2jとしたとき、下記条件式(5)を満足することが好ましく、下記条件式(5−1)を満足することがより好ましい。
また、本発明の撮像レンズにおいては、b3レンズの物体側の面の曲率半径をRb3f、b3レンズの像側の面の曲率半径をRb3rとしたとき、下記条件式(6)を満足することが好ましく、下記条件式(6−1)を満足することがより好ましい。
−0.8<(Rb3f+Rb3r)/(Rb3f−Rb3r)<0 (6)
−0.75<(Rb3f+Rb3r)/(Rb3f−Rb3r)<−0.05 (6−1)
また、本発明の撮像レンズにおいては、b2レンズの物体側の面の曲率半径をRb2f、b2レンズの像側の面の曲率半径をRb2rとしたとき、下記条件式(7)を満足することが好ましく、下記条件式(7−1)を満足することがより好ましい。
0.3<(Rb2f+Rb2r)/(Rb2f−Rb2r)<1.5 (7)
0.35<(Rb2f+Rb2r)/(Rb2f−Rb2r)<1.2 (7−1)
また、本発明の撮像レンズにおいては、第1レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1Aサブレンズ群と、第1Bサブレンズ群と、正の屈折力を有する第1Cサブレンズ群とからなることが好ましい。その際に、第1Aサブレンズ群は、1枚または2枚のレンズからなることが好ましい。また、第1Cサブレンズ群は、1枚または2枚のレンズからなることが好ましい。
また、本発明の撮像レンズにおいては、b1レンズとb2レンズは互いに接合されていることが好ましい。また、b3レンズとb4レンズは互いに接合されていることが好ましい。
また、本発明の撮像レンズにおいては、第2レンズ群の正レンズは両凸レンズであることが好ましい。
本発明の撮像装置は、本発明の撮像レンズを備えたものである。
なお、本明細書の「〜からなり」、「〜からなる」は、構成要素として挙げたもの以外に、実質的にパワーを有さないレンズ、絞り、フィルタ、カバーガラス等のレンズ以外の光学要素、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、および/または手振れ補正機構等の機構部分、等が含まれていてもよいことを意図するものである。
なお、本明細書において「正の屈折力を有する〜群」とは、群全体として正の屈折力を有することを意味する。「負の屈折力を有する〜群」についても同様である。「〜レンズ群」とは、必ずしも複数のレンズから構成されるものだけでなく、1枚のレンズのみで構成されるものも含むものとする。上記で規定した群の屈折力の符号、レンズの屈折力の符号、レンズの面形状、および曲率半径は、非球面が含まれているものは近軸領域で考えることとする。「負メニスカスレンズ」は負の屈折力を有するメニスカスレンズである。条件式は全て無限遠物体に合焦した状態でd線(波長587.6nm(ナノメートル))を基準としたものである。条件式(2)および(2−1)の算出の際には接合面は1つの面として数えることにする。
本発明によれば、物体側から順に、遠距離物体から近距離物体への合焦時に物体側へ移動する正の第1レンズ群、合焦時に不動の第2レンズ群からなるレンズ系において、第1レンズ群と第2レンズ群の構成を詳細に好適に設定し、所定の条件式を満足するように構成することにより、合焦時の非点収差の変動が抑えられ、像面湾曲が小さく、良好な光学性能を有する撮像レンズ、およびこの撮像レンズを備えた撮像装置を提供することができる。
本発明の実施例1の撮像レンズの構成と光路を示す断面図である。 本発明の実施例2の撮像レンズの構成と光路を示す断面図である。 本発明の実施例3の撮像レンズの構成と光路を示す断面図である。 本発明の実施例4の撮像レンズの構成と光路を示す断面図である。 本発明の実施例5の撮像レンズの構成と光路を示す断面図である。 本発明の実施例6の撮像レンズの構成と光路を示す断面図である。 本発明の実施例1の撮像レンズの各収差図であり、左から順に、球面収差図、非点収差図、歪曲収差図、および倍率色収差図である。 本発明の実施例2の撮像レンズの各収差図であり、左から順に、球面収差図、非点収差図、歪曲収差図、および倍率色収差図である。 本発明の実施例3の撮像レンズの各収差図であり、左から順に、球面収差図、非点収差図、歪曲収差図、および倍率色収差図である。 本発明の実施例4の撮像レンズの各収差図であり、左から順に、球面収差図、非点収差図、歪曲収差図、および倍率色収差図である。 本発明の実施例5の撮像レンズの各収差図であり、左から順に、球面収差図、非点収差図、歪曲収差図、および倍率色収差図である。 本発明の実施例6の撮像レンズの各収差図であり、左から順に、球面収差図、非点収差図、歪曲収差図、および倍率色収差図である。 本発明の一実施形態に係る撮像装置の概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1〜図6は、本発明の実施形態に係る撮像レンズの構成と光路を示す断面図であり、それぞれ後述の実施例1〜6に対応している。図1〜図6に示す例の基本構成および図示方法は同様であるため、以下では主に図1に示す例を参照しながら説明する。図1では、無限遠物体に合焦している状態を示し、左側が物体側、右側が像側であり、光路として軸上光束2、最大画角の軸外光束3の光路を示している。
この撮像レンズは、単焦点レンズであり、光軸Zに沿って物体側から像側へ向かって順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は内部に開口絞りStを有する。なお、図1に示す開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。
この撮像レンズを撮像装置に適用する際には、撮像装置の仕様に応じた各種フィルタおよび/または保護用のカバーガラスを備えることが好ましいため、図1では、これらを想定した平行平面板状の光学部材PPをレンズ系と像面Simとの間に配置した例を示している。しかし、光学部材PPの位置は図1に示すものに限定されないし、光学部材PPを省略した構成も可能である。
第1レンズ群G1は、正の屈折力を有し、遠距離物体から近距離物体への合焦時に物体側へ移動するように構成されている。第2レンズ群G2は、合焦時に像面Simに対して固定されるように構成されている。このような構成とすることによって、合焦時の球面収差および非点収差の変動を抑制することができる。なお、図1の例では、合焦時に第1レンズ群G1全体が一体的に移動するように構成されており、これによって駆動機構の簡素化を図ることができる。
第1レンズ群G1は内部に開口絞りStを含む第1Bサブレンズ群G1Bを有する。第1Bサブレンズ群は、物体側から順に、正レンズであるb1レンズLb1と、像側に凹面を向けた負レンズであるb2レンズLb2と、開口絞りStと、物体側に凹面を向けた負レンズであるb3レンズLb3と、正レンズであるb4レンズLb4とからなるように構成される。このように開口絞りStに対して対称的な構成を持つ第1Bサブレンズ群G1Bを有することによって、コマ収差を良好に抑制することができる。b1レンズLb1は物体側に凸面を向けていることが好ましく、b4レンズLb4は像側に凸面を向けていることが好ましく、このようにした場合は、コマ収差をより良好に抑制することができる。
b1レンズLb1とb2レンズLb2は互いに接合されていることが好ましく、このようにした場合は軸上色収差の補正に有利となる。同様に、b3レンズLb3とb4レンズLb4は互いに接合されていることが好ましく、このようにした場合は軸上色収差の補正に有利となる。
第1レンズ群G1は第1Bサブレンズ群G1B以外のサブレンズ群を有していてもよく、例えば第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1Aサブレンズ群G1Aと、第1Bサブレンズ群G1Bと、正の屈折力を有する第1Cサブレンズ群G1Cとからなるように構成してもよい。このようにした場合は、コマ収差を良好に抑制することができる。
第1レンズ群G1が上記の3つのサブレンズ群からなる場合、第1Aサブレンズ群G1Aは、1枚または2枚のレンズからなるように構成することが好ましい。このようにした場合は、レンズ系全長の抑制と良好な収差補正の両立が容易となる。図1および図3の例の第1Aサブレンズ群G1Aは、物体側から順に、負レンズと、正レンズとからなる。このように全系の最も物体側に負レンズを配置した場合は広角化に有利となる。図2および図4の例のように第1Aサブレンズ群G1Aが1枚の正レンズからなる構成とした場合は小型化に有利となる。図5および図6の例のように第1Aサブレンズ群G1Aが2枚の正レンズからなる構成とした場合は球面収差の補正に有利となる。
第1レンズ群G1が上記の3つのサブレンズ群からなる場合、第1Cサブレンズ群G1Cは、1枚または2枚のレンズからなるように構成することが好ましい。このようにした場合は、レンズ系全長の抑制と良好な収差補正の両立が容易となる。図1、図3、図5および図6の例の第1Cサブレンズ群G1Cは、2枚の正レンズからなる。図2および図4の例の第1Cサブレンズ群G1Cは、1枚の正レンズからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、負レンズであるレンズL21と、正レンズであるレンズL22と、負レンズであるレンズL23とからなるように構成される。これによって、比較的少ないレンズ枚数で小型化を図りつつ、合焦時の非点収差の変動を良好に抑制することができる。
第2レンズ群G2の正レンズは、両凸レンズであることが好ましく、このようにした場合は、球面収差と歪曲収差のバランスをとることが容易となる。
第2レンズ群G2を構成する上記3枚のレンズは種々の態様をとることができる。図1の例ではレンズL22とレンズL23とが互いに接合されており、これによって倍率色収差の補正に有利となる。図3および図5の例ではレンズL21とレンズL22とが互いに接合されており、これによって軸上色収差の補正に有利となる。図2の例のレンズL21は物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズであり、これによって球面収差の補正に有利となる。図4および図6の例では、レンズL21とレンズL22の空気間隔、およびレンズL22とレンズL23の空気間隔を広くとっており、これによってコマ収差の補正に有利となる。
次に本実施形態の撮像レンズの条件式に関する構成について述べる。この撮像レンズは、b1レンズLb1の物体側の面からb2レンズLb2の像側の面までの光軸上の距離をDb12、第1レンズ群G1の最も物体側の面から第1レンズ群G1の最も像側の面までの光軸上の距離をDG1としたとき、下記条件式(1)を満足するように構成されている。条件式(1)の下限以下とならないようにすることによって、像面湾曲の補正を良好に行うことができる。条件式(1)の上限以上とならないようにすることによって、像面湾曲が補正過剰となるのを防ぐことができる。条件式(1)に関する効果を高めるためには、下記条件式(1−1)を満足することが好ましい。
0.1<Db12/DG1<0.25 (1)
0.12<Db12/DG1<0.22 (1−1)
また、この撮像レンズは、最大像高をYmax、第2レンズ群G2が有するレンズ面の総数をk、iを1以上の自然数とした場合に第2レンズ群G2の物体側からi番目のレンズ面を構成する物体側の媒質のd線に対する屈折率をNif、第2レンズ群G2の物体側からi番目のレンズ面を構成する像側の媒質のd線に対する屈折率をNir、第2レンズ群G2の物体側からi番目のレンズ面の曲率半径をsRiとしたとき、下記条件式(2)を満足するように構成されている。条件式(2)は、第2レンズ群G2のレンズ面のペッツバール和に関する式である。条件式(2)の範囲を満足するように構成することによって、合焦時の非点収差の変動を抑制することができる。条件式(2)に関する効果を高めるためには、下記条件式(2−1)を満足することが好ましい。
この撮像レンズは、b2レンズLb2の像側の面の曲率半径をRb2r、b3レンズLb3の物体側の面の曲率半径をRb3fとしたとき、下記条件式(3)を満足することが好ましい。条件式(3)はb2レンズLb2の像側の面とb3レンズLb3の物体側の面によって形成される空気レンズの形状に関する式である。条件式(3)の範囲を満足するように構成することによって、コマ収差を抑制することができる。条件式(3)に関する効果を高めるためには、下記条件式(3−1)を満足することが好ましい。
−0.3<(Rb2r+Rb3f)/(Rb2r−Rb3f)<0.3 (3)
−0.2<(Rb2r+Rb3f)/(Rb2r−Rb3f)<0.1 (3−1)
また、この撮像レンズは、無限遠物体に合焦時の全系の焦点距離をf、第2レンズ群G2の焦点距離をf2としたとき、下記条件式(4)を満足することが好ましい。条件式(4)の下限以下とならないようにすることによって、合焦時の球面収差および非点収差の変動を抑制することができる。条件式(4)の上限以上とならないようにすることによって、第1レンズ群G1の屈折力を確保でき、合焦時の第1レンズ群G1の移動量を抑制することができ、レンズ系全長の短縮に有利となる。条件式(4)に関する効果を高めるためには、下記条件式(4−1)を満足することが好ましい。
−0.7<f/f2<0.3 (4)
−0.6<f/f2<0.2 (4−1)
また、この撮像レンズは、無限遠物体に合焦時の全系の焦点距離をf、jを1〜3の整数とした場合に第2レンズ群G2の物体側からj番目のレンズの焦点距離をf2j、第2レンズ群G2の物体側からj番目のレンズのd線基準のアッベ数をν2jとしたとき、下記条件式(5)を満足することが好ましい。条件式(5)の範囲を満足するように構成することによって、合焦時の倍率色収差の変動を抑制することができる。条件式(5)に関する効果を高めるためには、下記条件式(5−1)を満足することが好ましい。
また、この撮像レンズは、b3レンズLb3の物体側の面の曲率半径をRb3f、b3レンズLb3の像側の面の曲率半径をRb3rとしたとき、下記条件式(6)を満足することが好ましい。条件式(6)の下限以下とならないようにすることによって、球面収差が補正過剰となるのを防ぐことができる。条件式(6)の上限以上とならないようにすることによって、球面収差の補正、および波長ごとの球面収差の差の抑制に有利となる。条件式(6)に関する効果を高めるためには、下記条件式(6−1)を満足することがより好ましい。
−0.8<(Rb3f+Rb3r)/(Rb3f−Rb3r)<0 (6)
−0.75<(Rb3f+Rb3r)/(Rb3f−Rb3r)<−0.05 (6−1)
また、この撮像レンズは、b2レンズLb2の物体側の面の曲率半径をRb2f、b2レンズLb2の像側の面の曲率半径をRb2rとしたとき、下記条件式(7)を満足することが好ましい。条件式(7)の下限以下とならないようにすることによって、球面収差の補正、および波長ごとの球面収差の差の抑制に有利となる。条件式(7)の上限以上とならないようにすることによって、球面収差が補正過剰となるのを防ぐことができる。条件式(7)に関する効果を高めるためには、下記条件式(7−1)を満足することがより好ましい。
0.3<(Rb2f+Rb2r)/(Rb2f−Rb2r)<1.5 (7)
0.35<(Rb2f+Rb2r)/(Rb2f−Rb2r)<1.2 (7−1)
上述した好ましい構成および/または可能な構成は、任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。本実施形態によれば、合焦時の非点収差の変動が抑えられ、像面湾曲が小さく、良好な光学性能を有する撮像レンズを実現することが可能である。
次に、本発明の撮像レンズの数値実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1の撮像レンズのレンズ構成は図1に示したものであり、その構成および図示方法は上述したとおりであるので、ここでは重複説明を一部省略する。実施例1の撮像レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とからなる。無限遠物体から近距離物体への合焦時、第1レンズ群G1全体が一体的に像側から物体側へ移動し、第2レンズ群G2は像面Simに対して固定されている。第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1Aサブレンズ群G1Aと、第1Bサブレンズ群G1Bと、正の屈折力を有する第1Cサブレンズ群G1Cとからなる。第1Aサブレンズ群G1Aは物体側から順にレンズLa1〜La2の2枚のレンズからなる。第1Bサブレンズ群G1Bは物体側から順に、b1レンズLb1と、b2レンズLb2と、開口絞りStと、b3レンズLb3と、b4レンズLb4とからなる。第1Cサブレンズ群G1Cは物体側から順にレンズLc1〜Lc2の2枚のレンズからなる。第2レンズ群G2は物体側から順に、レンズL21〜L23の3枚のレンズからなる。以上が実施例1の撮像レンズの概略構成である。
実施例1の撮像レンズの基本レンズデータを表1に、諸元と可変面間隔を表2に示す。表1において、Rは各面の曲率半径、Dは面間隔、Ndはd線(波長587.6nm(ナノメートル))に対する屈折率、νdはd線基準のアッベ数である。ここで、曲率半径の符号は、物体側に凸面を向けた面形状のものを正とし、像側に凸面を向けた面形状のものを負としている。表1には開口絞りStおよび光学部材PPも含めて示している。表1では、開口絞りStに相当する面の面番号の欄には面番号と(St)という語句を記載している。Dの最下欄の値は表中の最も像側の面と像面Simとの間隔である。表1では合焦の際に変化する可変面間隔については、DD[ ]という記号を用い、[ ]の中にこの間隔の物体側の面番号を付してDの欄に記入している。
表2に、全系の焦点距離f’、FナンバーFNo.、最大全画角2ω、および可変面間隔の値をd線基準で示す。2ωの欄の(°)は単位が度であることを意味する。表2では、無限遠物体に合焦した状態の各値を「無限遠」と表記した欄に示し、物体距離が0.2m(メートル)の物体に合焦した状態の各値を「0.2m」と表記した欄に示している。
各表のデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはmm(ミリメートル)を用いているが、光学系は比例拡大または比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。また、以下に示す各表では所定の桁でまるめた数値を記載している。
図7に実施例1の撮像レンズの各収差図を示す。図7では左から順に、球面収差、正弦条件違反量、非点収差、歪曲収差、および倍率色収差を示す。図7では「無限遠」と付した上段に無限遠物体に合焦した状態のものを示し、「0.2m」と付した下段に物体距離が0.2m(メートル)の物体に合焦した状態のものを示す。球面収差図では、d線(波長587.6nm(ナノメートル))、C線(波長656.3nm(ナノメートル))、F線(波長486.1nm(ナノメートル))、およびg線(波長435.8nm(ナノメートル))に関する収差をそれぞれ黒の実線、長破線、短破線、および灰色の実線で示す。非点収差図では、サジタル方向のd線に関する収差を実線で示し、タンジェンシャル方向のd線に関する収差を短破線で示す。歪曲収差図ではd線に関する収差を実線で示す。倍率色収差図では、C線、F線、およびg線に関する収差をそれぞれ長破線、短破線、および灰色の実線で示す。球面収差図のFNo.はFナンバーを意味し、その他の収差図のωは半画角を意味する。
上記の実施例1の説明で述べた各データの記号、意味、および記載方法は、特に断りがない限り以下の実施例のものについても同様であるため、以下では重複説明を省略する。
[実施例2]
実施例2の撮像レンズのレンズ構成は図2に示したものである。実施例2の撮像レンズの概略構成は、第1Aサブレンズ群G1AがレンズLa1の1枚のレンズからなる点、および第1Cサブレンズ群G1CがレンズLc1の1枚のレンズからなる点が実施例1のものと異なり、他は同様である。実施例2の撮像レンズの基本レンズデータを表3に、諸元と可変面間隔を表4に、各収差図を図8に示す。
[実施例3]
実施例3の撮像レンズのレンズ構成は図3に示したものである。実施例3の撮像レンズの概略構成は、第2レンズ群G2が負の屈折力を有する点が実施例1のものと異なり、他は同様である。実施例3の撮像レンズの基本レンズデータを表5に、諸元と可変面間隔を表6に、各収差図を図9に示す。
[実施例4]
実施例4の撮像レンズのレンズ構成は図4に示したものである。実施例4の撮像レンズの概略構成は、第2レンズ群G2が負の屈折力を有する点、第1Aサブレンズ群G1AがレンズLa1の1枚のレンズからなる点、および第1Cサブレンズ群G1CがレンズLc1の1枚のレンズからなる点が実施例1のものと異なり、他は同様である。実施例4の撮像レンズの基本レンズデータを表7に、諸元と可変面間隔を表8に、各収差図を図10に示す。
[実施例5]
実施例5の撮像レンズのレンズ構成は図5に示したものである。実施例5の撮像レンズの概略構成は実施例1のものと同様である。実施例5の撮像レンズの基本レンズデータを表9に、諸元と可変面間隔を表10に、各収差図を図11に示す。
[実施例6]
実施例6の撮像レンズのレンズ構成は図6に示したものである。実施例6の撮像レンズの概略構成は、第2レンズ群G2が負の屈折力を有する点が実施例1のものと異なり、他は同様である。実施例6の撮像レンズの基本レンズデータを表11に、諸元と可変面間隔を表12に、各収差図を図12に示す。
表13に、実施例1〜6の撮像レンズについて、条件式(1)〜(7)の対応値を示す。表13に示す値はd線を基準とするものである。
以上のデータからわかるように、実施例1〜6の撮像レンズは、合焦時の非点収差の変動が抑えられ、像面湾曲が小さく、各収差が良好に補正されて高い光学性能を実現している。また、実施例1〜6の撮像レンズは、全画角が45°以下であり望遠タイプとして好適なレンズ系である。
次に、本発明の実施形態に係る撮像装置について説明する。図13に、本発明の実施形態の撮像装置の一例として、本発明の実施形態に係る撮像レンズ1を用いた撮像装置10の概略構成図を示す。撮像装置10としては、例えば、FA用カメラ、MV用カメラ、または監視カメラを挙げることができる。
撮像装置10は、撮像レンズ1、撮像レンズ1の像側に配置されたフィルタ4、撮像素子5、撮像素子5からの出力信号を演算処理する信号処理部6、および撮像レンズ1の合焦を行うためのフォーカス制御部7を備える。図13では撮像レンズ1が有する第1レンズ群G1、および第2レンズ群G2を概念的に図示している。撮像素子5は、撮像レンズ1により形成された被写体の像を撮像して電気信号に変換するものであり、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。撮像素子5は、その撮像面が撮像レンズ1の像面に一致するように配置される。本実施形態の撮像装置10は、撮像レンズ1を備えたものであるから、物体距離の変動に好適に対応可能であり、良好な画像を取得することができる。
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、およびアッベ数は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
例えば、上記実施例では無限遠物体から近距離物体に合焦するレンズ系を挙げたが、本発明は有限距離の遠距離物体から近距離物体に合焦する撮像レンズに適用可能であることは言うまでもない。
また、本発明の実施形態に係る撮像装置についても、上記例に限定されず、デジタルカメラ、および車載用カメラとする等、種々の態様とすることができる。
1 撮像レンズ
2 軸上光束
3 最大画角の軸外光束
4 フィルタ
5 撮像素子
6 信号処理部
7 フォーカス制御部
10 撮像装置
Db12 b1レンズの物体側の面からb2レンズの像側の面までの光軸上の距離
DG1 第1レンズ群の最も物体側の面から第1レンズ群の最も像側の面までの光軸上の距離
G1 第1レンズ群
G1A 第1Aサブレンズ群
G1B 第1Bサブレンズ群
G1C 第1Cサブレンズ群
G2 第2レンズ群
La1、La2、Lb1〜Lb4、Lc1、Lc2、L21〜L23 レンズ
PP 光学部材
Sim 像面
St 開口絞り
Ymax 最大像高
Z 光軸

Claims (20)

  1. 物体側から順に、遠距離物体から近距離物体への合焦時に物体側へ移動する正の屈折力を有する第1レンズ群と、合焦時に像面に対して固定されている第2レンズ群とからなり、
    前記第1レンズ群は内部に開口絞りを含む第1Bサブレンズ群を有し、
    該第1Bサブレンズ群は、物体側から順に、正レンズであるb1レンズと、像側に凹面を向けた負レンズであるb2レンズと、開口絞りと、物体側に凹面を向けた負レンズであるb3レンズと、正レンズであるb4レンズとからなり、
    前記第2レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズとからなり、
    前記b1レンズの物体側の面から前記b2レンズの像側の面までの光軸上の距離をDb12、
    前記第1レンズ群の最も物体側の面から前記第1レンズ群の最も像側の面までの光軸上の距離をDG1、
    最大像高をYmax、
    前記第2レンズ群が有するレンズ面の総数をk、
    前記第2レンズ群の物体側からi番目のレンズ面を構成する物体側の媒質のd線に対する屈折率をNif、
    前記第2レンズ群の物体側からi番目のレンズ面を構成する像側の媒質のd線に対する屈折率をNir、
    前記第2レンズ群の物体側からi番目のレンズ面の曲率半径をsRiとしたとき、
    0.1<Db12/DG1<0.25 (1)
    で表される条件式(1)および(2)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
  2. 前記b2レンズの像側の面の曲率半径をRb2r、
    前記b3レンズの物体側の面の曲率半径をRb3fとしたとき、
    −0.3<(Rb2r+Rb3f)/(Rb2r−Rb3f)<0.3 (3)
    で表される条件式(3)を満足する請求項1記載の撮像レンズ。
  3. 無限遠物体に合焦時の全系の焦点距離をf、
    前記第2レンズ群の焦点距離をf2としたとき、
    −0.7<f/f2<0.3 (4)
    で表される条件式(4)を満足する請求項1または2記載の撮像レンズ。
  4. 無限遠物体に合焦時の全系の焦点距離をf、
    前記第2レンズ群の物体側からj番目のレンズの焦点距離をf2j、
    前記第2レンズ群の物体側からj番目のレンズのd線基準のアッベ数をν2jとしたとき、
    で表される条件式(5)を満足する請求項1から3のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  5. 前記b3レンズの物体側の面の曲率半径をRb3f、
    前記b3レンズの像側の面の曲率半径をRb3rとしたとき、
    −0.8<(Rb3f+Rb3r)/(Rb3f−Rb3r)<0 (6)
    で表される条件式(6)を満足する請求項1から4のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  6. 前記b2レンズの物体側の面の曲率半径をRb2f、
    前記b2レンズの像側の面の曲率半径をRb2rとしたとき、
    0.3<(Rb2f+Rb2r)/(Rb2f−Rb2r)<1.5 (7)
    で表される条件式(7)を満足する請求項1から5のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  7. 前記第1レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1Aサブレンズ群と、前記第1Bサブレンズ群と、正の屈折力を有する第1Cサブレンズ群とからなる請求項1から6のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  8. 前記第1Aサブレンズ群は、1枚または2枚のレンズからなる請求項7記載の撮像レンズ。
  9. 前記第1Cサブレンズ群は、1枚または2枚のレンズからなる請求項7または8記載の撮像レンズ。
  10. 前記b1レンズと前記b2レンズは互いに接合されている請求項1から9のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  11. 前記b3レンズと前記b4レンズは互いに接合されている請求項1から10のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  12. 前記第2レンズ群の前記正レンズは両凸レンズである請求項1から11のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  13. 0.12<Db12/DG1<0.22 (1−1)
    で表される条件式(1−1)を満足する請求項1記載の撮像レンズ。
  14. で表される条件式(2−1)を満足する請求項1記載の撮像レンズ。
  15. −0.2<(Rb2r+Rb3f)/(Rb2r−Rb3f)<0.1 (3−1)
    で表される条件式(3−1)を満足する請求項2記載の撮像レンズ。
  16. −0.6<f/f2<0.2 (4−1)
    で表される条件式(4−1)を満足する請求項3記載の撮像レンズ。
  17. で表される条件式(5−1)を満足する請求項4記載の撮像レンズ。
  18. −0.75<(Rb3f+Rb3r)/(Rb3f−Rb3r)<−0.05 (6−1)
    で表される条件式(6−1)を満足する請求項5記載の撮像レンズ。
  19. 0.35<(Rb2f+Rb2r)/(Rb2f−Rb2r)<1.2 (7−1)
    で表される条件式(7−1)を満足する請求項6記載の撮像レンズ。
  20. 請求項1から19のいずれか1項記載の撮像レンズを備えた撮像装置。
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