JP2018154780A - プリプレグ及び炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

プリプレグ及び炭素繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 プレス成形におけるハイサイクル成形可能なプリプレグと、常温下で圧縮強度や靭性の機械強度に優れ、高湿環境に長期間暴露した後でも機械強度維持を実現し、構造材料として好適な炭素繊維強化複合材料を提供する。【解決手段】 エポキシ樹脂(A)及びジシアンジアミド(B)を含むエポキシ樹脂組成物、及び特定の炭素繊維(C)を含むプリプレグであって、140℃で成形して得られる成形体のガラス転移点が130℃以上となるプリプレグ。【選択図】 なし

Description

本発明は、プリプレグ及び炭素繊維強化複合材料に関する。さらに詳しくは、高温多湿の厳しい使用環境での吸湿を遅延させるとともに低減させ、機械強度に優れ、構造材料として好適な炭素繊維強化複合材料を与えるプリプレグ、及びこれを用いて得られる炭素繊維強化複合材料に関する。
強化繊維とマトリクス樹脂組成物とからなる繊維強化複合材料、特に炭素繊維強化複合材料は、軽量で優れた機械的特性を有するために、航空機用、自動車等の車両用、船舶用の構造材料、建造物等の構造材料、ゴルフシャフト、釣竿、テニスラケット等のスポーツ用品等に広く用いられている。
航空機や自動車などの構造材用途では、近年、使用部位が増えるに従い、この炭素繊維強化複合材料に対する要求特性は厳しくなってきている。特に、航空機部材や自動車部材等の構造材に適用される場合、炭素繊維強化複合材料に対して、常温下での高い機械特性に加えて、高温高湿下の様な厳しい使用環境での高強度化が要求される。特に自動車用途に於いては、上記特性に加え、高い生産性も要求され、炭素繊維強化複合材料のハイサイクル成形方法とこれに適した材料開発が要求される。
炭素繊推強化複合材料の製造方法には、強化繊維からなる繊維基材に未硬化のマトリクス樹脂組成物が含浸されたシート状中間材料であるプリプレグを用い、それを硬化させる方法や、成形型中に配置した強化繊維基材に液状の樹脂を流し込んで中間材料を得て、それを硬化させるレジン・トランスファー・モールディング法などが用いられている。これらの製造方法のうち、プリプレグを用いる方法では、通常、プリプレグを複数枚積層した後、加熱加圧することによって炭素繊維強化複合材料を得る。プリプレグに用いられるマトリクス樹脂組成物としては、生産性などの面から、熱硬化性樹脂組成物、特にエポキシ樹脂組成物が用いられることが多い。
従来技術では、ハイサイクル成形可能な材料において、得られる成形体(繊維強化複合材料)の高温高湿条件下での強度を向上させると、常温下で要求される物性や靭性が損なわれる事が多く、また逆に高温高湿下での特性を向上させようとすると、成形時の硬化性が損なわれる事が多かった。すなわちハイサイクル成形において、得られる成形体の常温下と高温高湿下の物性を高度に両立させることは非常に困難であった。
国際公開パンフレットWO2011/132674 国際公開パンフレットWO2014/017340
高温高湿下における炭素繊維強化複合材料の機械物性を向上させるためには、例えば、その耐熱性を上げる為にマトリクス樹脂組成物の耐熱性を上げることや、吸湿量を低下あるいは吸湿を遅らせる為にマトリクス樹脂を吸湿し難い化学構造に改変することが考えられる。
マトリクス樹脂組成物の耐熱性を上げる手法としては、例えば、硬化樹脂の架橋密度を大きくするために多官能の樹脂を添加する方法や、分子骨格が剛直な樹脂化合物を添加する方法が挙げられるが、これらの方法では得られる硬化樹脂が脆くなる傾向がある。またマトリックス樹脂組成物がエポキシ樹脂組成物である場合、硬化剤として硬化時の反応温度が高いものを使用したり、各種イミダゾール誘導体や酸無水物を用いると、硬化樹脂は高い耐熱性を示すと共に吸湿し難い特性を示すが、脆くなったり、反応性が低下して成形サイクルが低下したりする傾向がある。
特許文献1ではイミダゾール化合物を硬化剤として用い、エポキシ樹脂にシアネート樹脂やBT樹脂を添加し、マトリクス樹脂組成物を高ガラス転移化することによる湿熱特性改善が提案されている。しかしその成形には220℃で20分間の加熱を要することから、ハイサイクル成形性を見出す事ができない。
また、特許文献2では吸湿性の低いエポキシ樹脂組成物をマトリクス樹脂組成物としたプリプレグが開示されているが、推奨硬化条件として硬化剤にジシアンジアミドを用いたものでは130℃以上で90分以上の加熱、非ジシアンジアミド系硬化剤では180℃で2時間以上の加熱が挙げられておりハイサイクル成形性を有しない。
本発明の目的は、ハイサイクル成形可能なプリプレグと、該プリプレグを用いて得られる常温下で圧縮強度や靭性などの機械強度に優れ、高湿環境に長期間暴露した後でも機械強度を維持し、自動車の構造部材等として好適な炭素繊維強化複合材料を提供することである。
本発明の要旨は以下に存する。
[1] エポキシ樹脂(A)、並びにジシアンジアミド(B)を含むエポキシ樹脂組成物、及び平均単繊維繊度が1.0dtex以上2.4dtex以下の炭素繊維(C)を含有し、140℃に余熱した金型で挟んで4MPaに加圧し、5分間保持して得られる成形体のガラス転移点が130℃以上となるプリプレグ。
[2] 前記炭素繊維(C)がPAN系炭素繊維である[1]に記載のプリプレグ。
[3] 前記炭素繊維(C)の、単繊維の繊維軸に垂直な断面の形状の真円度が0.7以上0.9以下である、[1]又は[2]に記載のプリプレグ。
[4] 前記炭素繊維(C)の、単繊維の繊維軸に垂直な断面の断面積に対する表面積の比が0.5以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載のプリプレグ。
[5] さらに硬化促進剤(D)として、2,4−ジ(N,N−ジメチルウレイド)トルエンを含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載のプリプレグ。
[6] 前記ジシアンジアミド(B)の含有量が、エポキシ樹脂100質量部に対して4質量部以上8質量部以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載のプリプレグ。
[7] 前記エポキシ樹脂(A)が下記式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂を含む、[1]〜[6]いずれかに記載のプリプレグ。
(1)
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載のプリプレグの硬化物である炭素繊維強化複合材料。
本発明によれば、ハイサイクル成形可能なプリプレグを提供することができ、当該プリプレグを用いることにより、常温での圧縮強度や靭性などの機械強度に優れ、且つ高湿環境に長期間暴露した後でも機械強度を維持し、自動車の構造部材などとして好適な炭素繊維強化複合材料を提供することが可能という効果を奏する。
以下、本発明に係るプリプレグおよび炭素繊維強化複合材料に関して、詳細に説明する。
なお本発明において、炭素繊維強化複合材料を「成形体」、エポキシ樹脂組成物の硬化物を「硬化樹脂」と称することがある。またジシアンジアミド(B)の粒子が、強化繊維基材を構成する繊維間に入りこむことを、便宜的に「含浸する」と称し、その入りこみやすさを「含浸性」と称することがある。
本発明のプリプレグは、エポキシ樹脂(A)、並びにジシアンジアミド(B)を含むエポキシ樹脂組成物、及び平均単繊維繊度が1.0dtex以上2.4dtex以下の炭素繊維(C)を含むものであり、該プリプレグを、140℃に余熱した金型で挟んで4MPaに加圧し、5分間保持して得られる成形体のガラス転移点が130℃以上である。
<エポキシ樹脂組成物>
(エポキシ樹脂(A))
本発明に用いられるエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、イソシアネート変性したオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂等の液状エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ウレタン変性型エポキシ樹脂、等が挙げられる。また下記式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂を用いてもよい。
(1)
前記式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂と4,4’−ジアミノジフェニルスルホンとの予備反応物が挙げられる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂と4,4’−ジアミノジフェニルスルホンとの反応は、例えば国際公開パンフレットWO2013/081060などの記載に準じて行えばよい。
これらのなかでも、エポキシ樹脂(A)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、イソシアネート変性したオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、並びに、これらエポキシ樹脂の臭素化物、及び前記式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
(ジシアンジアミド(B))
本発明に用いられるエポキシ樹脂組成物はジシアンジアミド(B)を含有する。ジシアンジアミド(B)は、エポキシ樹脂に対して室温で難溶性あるいは不溶性であり、潜在性を有する潜在性硬化剤である。当該エポキシ樹脂組成物は1液性の硬化性樹脂組成物であることから、硬化剤とエポキシ樹脂が有するエポキシ基とは常時接し得る状態にある。エポキシ樹脂に対して室温で難溶性あるいは不溶性であるジシアンジアミドを用いる事で保存安定性が良好なプリプレグとなる。
ジシアンジアミド(B)のメディアン径(D50)は、2μm以上6μm以下であることが好ましい。6μmより大きいと、マトリクス樹脂組成物を炭素繊維(C)からなる強化繊維基材に含有させる際に、粉体として分散しているジシアンジアミド(B)が炭素繊維束にろ過されて、炭素繊維層の表層に偏在してしまう可能性がある。また、メディアン径が2μmより小さいと、エポキシ樹脂組成物中でジシアンジアミド(B)が不安定になり、プリプレグの保存安定性が損なわれる可能性がある。
また、本発明に用いられるジシアンジアミド(B)の含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、4質量部以上8質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5質量部以上7質量部以下である。4質量部より小さいと、これを含むプリプレグを140℃に加熱した金型中で5分間加温した時点で十分に硬化せず、8質量部より多いと、ジシアンジアミド(B)とエポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基との反応により生じる水酸基の影響で、成形体の耐吸水性が不十分になるおそれがある。ジシアンジアミド(B)の含有量が5質量部以上であれば、前記硬化条件において十分に硬化した成形体がより安定的に得られ、7質量部以下であれば、耐吸水性の高い成形体がより安定的に得られる。
(硬化促進剤(D))
本発明に用いられるエポキシ樹脂組成物において、ジシアンジアミド(B)の硬化活性を高めるために、硬化促進剤(D)(硬化助剤)を用いてもよい。ジシアンジアミド(B)と、その硬化活性を高める潜在性を有する硬化促進剤(D)とを組み合わせて用いることで、本発明に係るプリプレグをより短時間で硬化させることができ、炭素繊維強化複合材料をより好適に製造することができる。但し、エポキシ樹脂組成物中の硬化促進剤(D)の含有量が多すぎると、得られる成形体の耐熱性が低下したり、プリプレグの保存安定性が悪くなったりするおそれがあるため、少量の添加に留めておくことが好ましい。具体的には、エポキシ樹脂(A)100質量部に対し、通常、2質量部以上7質量部以下が好ましい。
本発明のプリプレグにおけるハイサイクル成形性の観点から、硬化促進剤(D)としては、2,4−ジ(N,N−ジメチルウレイド)トルエンが特に好ましい。
(添加剤(E))
本発明に用いられるエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、添加剤(E)として、熱可塑性樹脂、およびエラストマーから選択される少なくとも一種の樹脂を添加することができる。このような添加剤(E)は、エポキシ樹脂組成物の粘弾性を変化させて、粘度、貯蔵弾性率、およびチキソトロープ性を適正化するだけでなく、エポキシ樹脂組成物の硬化物(硬化樹脂)やこれを含む成形体の靭性を向上させる役割がある。添加剤(E)は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。また添加剤(E)は、エポキシ樹脂組成物中に溶解した状態で存在していてもよく、微粒子、長繊維、短繊維、織物、不織布、メッシュ、パルプ等の形状でプリプレグの表層に配置されていてもよい。このように添加剤(E)をプリプレグの表層に配置した場合には、前記プリプレグを積層し硬化して得られる炭素繊維強化複合材料の層間剥離を抑制することができる。
前記熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合、およびカルボニル結合から選択される結合を有する熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。前記熱可塑性樹脂として、例えば、PVF(ポリビニルホルマール)、フェノキシ樹脂、ポリパラバン酸、PES(ポリエーテルスルホン)、PS(ポリスルホン)、PA(ポリアリレート)等を溶解してエポキシ樹脂(A)に混合して用いると、得られるエポキシ樹脂組成物は高粘度であるにもかかわらずドレープ性に優れる。従って、このエポキシ樹脂組成物をプリプレグ用のマトリックス樹脂組成物として用いた場合には、プリプレグの取り扱い性が温度環境に依存せず、良好になるという特徴を有する。前記熱可塑性樹脂のうち、特に、PVF、フェノキシ樹脂、ポリパラバン酸は、エポキシ樹脂(A)への溶解性に優れるため、好適に用いられる。
これら添加剤(E)を用いることは、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性を向上させる上で好ましい。また、エポキシ樹脂組成物の硬化物の靭性向上および耐環境性維持の観点から、熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂[A]との反応性を有する官能基を有していることがより好ましい。このような官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、および水酸基等が挙げられる。
(平均単繊維繊度が1.0dtex以上2.4dtex以下の炭素繊維(C))
本発明における、平均単繊維繊度が1.0dtex以上2.4dtex以下の炭素繊維(C)(以下、単に「炭素繊維(C)」と称することがある)としては、PAN系炭素繊維が好ましい。PAN系炭素繊維はピッチ系炭素繊維に比べて強度が高く、例えば自動車の構造部材等への利用において好ましい。
炭素繊維(C)の平均単繊維繊度は1.0dtex以上である。平均単繊維繊度が1.0dtex未満の場合は、該炭素繊維(C)からなる繊維束の中へのジシアンジアミド(B)の含浸性が低下するため、プリプレグ内部のジシアンジアミド濃度の低下が生じ、硬化性が低下する傾向がある。一方、瀘別されたジシアンジアミドはプリプレグ表層に堆積して濃度上昇し、タックに経時的な変化が生じやすくなるとともに、硬化剤過剰による硬化物の物性低下が生じる傾向がある。平均単繊維繊度が1.2dtex以上である場合には、ジシアンジアミド(B)の含浸状態が更に良好となるので好ましい。
また炭素繊維(C)の平均単繊維繊度は2.4dtex以下である。平均単繊維繊度が2.4dtexより大きい場合、当該炭素繊維(C)の製造過程における耐炎化反応が不十分となり、得られる繊維束の強度や弾性率低下を招く。
また本発明における炭素繊維(C)は、単繊維の繊維軸に垂直な断面の真円度が0.7以上0.9以下であることが望ましい。真円度は下記式(I)にて求められる値であって、Sは単繊維の繊維軸に垂直な断面をSEM観察して画像解析することにより得られる単繊維の断面積であり、Lは同様に単繊維の断面の周長の長さである。
真円度 = 4πS/L (I)
真円度が1の場合は単繊維の断面形状は真円である。
真円度が0.7未満の場合は断面形状が異形になりすぎて炭素繊維(C)の収束性が低下し、炭素繊維(C)の製造工程における工程通過性の低下や、プリプレグを製造する際に炭素繊維(C)間に大きな空隙が生じて繊維含有率を高くすることができず、得られる炭素繊維強化複合材料の力学特性が低下する場合がある。また、ジシアンジアミド(B)の含浸性も低下する傾向がある。真円度が0.9を超える場合には、真円に近づくために、単繊維繊度が大きすぎる場合と同様に耐炎化反応が不十分となり、繊維束の強度や弾性率低下に至る傾向がある。また、プリプレグを製造する際に炭素繊維(C)同士の収束性が高くなりすぎ、ジシアンジアミド(B)の含浸性が低下する傾向がある。
本発明のプリプレグに用いられる炭素繊維(C)は、その単繊維の繊維軸に垂直な断面の断面積と、該断面の周長の比が0.5以下であると、これを用いて作製される成形体中の炭素繊維(C)の含有体積に対して、炭素繊維(C)とマトリクス樹脂組成物の界面積が小さく、成形体の吸水時の通水経路が減少する為、吸水を遅延させる効果がある。
炭素繊維(C)からなる強化繊維基材の形態としては、強化繊維基材の形態は、連続繊維を一方向に引き揃えてなるシート状の形態、連続繊維を経緯にして織物とした形態、トウを一方向に引き揃えて横糸(補助糸)で保持した形態、連続繊維を一方向に引き揃えてなる強化繊維のシートを複数枚、互いに異なる方向に重ねて補助糸で留め、マルチアキシャルワープニットとした形態、又は不織布等が挙げられる。なかでもプリプレグの製造し易さの観点から、連続繊維を一方向に引き揃えてなるシート状の形態、連続繊維を経緯にして織物とした形態、トウを一方向に引き揃えて横糸(補助糸)で保持した形態、連続繊維を一方向に引き揃えてなる強化繊維のシートを複数枚、互いに異なる方向に重ねて補助糸で留め、マルチアキシャルワープニットとした形態が好ましい。得られる繊維強化複合材料の強度発現の観点からは、連続繊維を一方向に引き揃えてなるシート状の形態がさらに好ましい。
(エポキシ樹脂組成物の製造方法)
本発明のプリプレグに用いるエポキシ樹脂組成物は、従来公知の方法で製造することができる。製造方法としては、例えば、前記エポキシ樹脂組成物を構成する各成分を同時に混合してエポキシ樹脂組成物を調製してもよく、あるいは、予め、エポキシ樹脂(A)にジシアンジアミド(B)および必要に応じて硬化促進剤(D)等を適宜分散させた硬化剤マスターバッチを調製し、これを用いてエポキシ樹脂組成物を調製してもよい。また、製造時に、混練による剪断発熱等で、混練釜内の温度が上昇する場合には、混練速度を調整したり、混練釜を水冷する等して、混練中にエポキシ樹脂組成物の温度を上げない工夫をすることが好ましい。混練釜を備えた混練装置としては、例えば、らいかい機、アトライタ、プラネタリミキサー、ディゾルバー、三本ロール、ニーダー、万能攪拌機、ホモジナイザー、ホモディスペンサー、ボールミル、およびビーズミルが挙げられる。また、混練装置は二種以上を併用することができる。
前記炭素繊維(C)からなる強化繊維基材の目付は、炭素繊維強化複合材料の使用目的(用途)に応じて自由に設定することができるが、50g/m以上、2000g/m以下が実用的に好ましい範囲である。但し、エポキシ樹脂組成物の含浸が良好なプリプレグを得るには、強化繊維基材の目付は、50g/m以上、600g/m以下であることがより好ましく、50g/m以上、300g/m以下であることがさらに好ましい。
本発明のプリプレグは、前記エポキシ樹脂組成物を前記炭素繊維(C)からなる強化繊維基材に含浸させることにより製造することができる。例えば、離型紙などの表面に所定量の前記エポキシ樹脂組成物を塗工し、その表面に強化繊維基材を供給した後、押圧ロールを通過させることにより強化繊維基材にエポキシ樹脂組成物を含浸させる、或いは、強化繊維基材に所定量の前記エポキシ樹脂組成物を直接塗工した後、必要に応じて前記強化繊維基材を離型紙などで挟み、押圧ロールを通過させることにより、強化繊維基材にエポキシ樹脂組成物を含浸させることによって製造できる。
<炭素繊維強化複合材料>
本発明のプリプレグを加熱加圧し硬化させることにより、本発明に係る炭素繊維強化複合材料を製造することができる。
本発明の炭素繊維強化複合材料を製造する方法としては、オートクレーブ成形、真空バッグ成形、プレス成形等の方法が挙げられる。このうち、本発明のプリプレグにおいて好ましく用いられるエポキシ樹脂組成物の特徴を活かして、生産性が高く、良質な炭素繊維強化複合材料が得られるという観点から、プレス成形が好ましい。プレス成形で炭素繊維強化複合材料を作製する場合における製造方法は、本発明のプリプレグ、または本発明のプリプレグを積層してなるプリフォームを、予め硬化温度に調整した金型に挟んで加熱加圧する工程を含むことが好ましい。
プレス成形時の金型内の温度は、100〜150℃であることが好ましい。また、プレス成形時においては、プリプレグ又はプリフォームを、前記温度および圧力1〜15MPaの条件下で、1〜20分間硬化させることが好ましい。
前記条件のプレス成形によって炭素繊維強化複合材料を製造する場合には、プレス成形後、炭素繊維強化複合材料を金型から取り出すときに望ましくない変形を避けるために、硬化後の炭素繊維強化複合材料のガラス転移温度、特に、貯蔵剛性率(G’)が低下し始める温度として決定されるG’−Tgが、成形時の金型内の温度よりも高いことが望ましい。ここで、G’−Tgとは、プリプレグの硬化物(炭素繊維強化複合材料)の動的粘弾性測定によって得られる貯蔵剛性率(G’)の温度依存性により、後述の方法によって決定されるガラス転移点を意味する。
本発明のプリプレグは、これを140℃に予熱した金型で挟んで4MPaに加圧し、5分間保持して作製される炭素繊維強化複合材料のガラス転移点(G’−Tg)が130℃以上である。
本発明に係るプリプレグを用いて得られる炭素繊維強化複合材料の用途は特に限定されるものではなく、航空機用、自動車等の車両用、船舶用の構造材料を始めとして、建造物等の構造材料、ゴルフシャフト、釣竿、テニスラケット等のスポーツ用品、風車やロール等の一般産業用品等の用途に広く用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
<原材料>
実施例で用いた強化繊維、樹脂原料、および各物性の測定方法を、次に示す。
炭素繊維(C)
・C−1:PAN系炭素繊維基材、平均単繊維繊度1.4dtex、真円度0.85、フィラメント数24000本、CF単繊維断面積77.5μm、CF単繊維断面周長、33.9 μm、CF断面周長断面積比0.44、フィラメント強度3680MPa、フィラメント弾性率240GPa。
・C−2:PAN系炭素繊維基材、平均単繊維繊度0.67dtex、真円度0.95、フィラメント数15000 本、CF単繊維断面積36.4μm、CF単繊維断面周長22.0μm、CF断面周長断面積比0.60、フィラメント強度4900MPa、フィラメント弾性率240GPa。
・C−3:PAN系炭素繊維基材、平均単繊維繊度0.73dtex、真円度0.95、フィラメント数50000本、CF単繊維断面積41.6μm、CF単繊維断面周長23.4μm、CF断面周長断面積比0.56、フィラメント強度4120MPa、フィラメント弾性率240GPa。
エポキシ樹脂(A)
・A−1:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量184〜194g/eq、三菱化学(株)製、商品名:jER828)。
・A−2:A−1と4,4’−ジアミノジフェニルスルフォンとの反応物(予備反応物):
A−1と4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン(和歌山精化工業(株)製、商品名:セイカキュアーS)とをA−1/4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン=100/9の質量比で室温にて混合した後に150℃にて混合加熱して得た反応物(エポキシ当量266g/eq)。
エポキシ樹脂硬化剤(B)
・B−1:ジシアンジアミド(三菱化学(株)製、商品名:Dicy15、メディアン径(D50):代表値4μm)。
・B−2:ジシアンジアミド(Air Products and Chemicals, Inc.製、商品名:Dicyanex1400F、メディアン径(D50):代表値3μm)。
硬化促進剤(D)
・D−1:2,4−ジ(N,N−ジメチルウレイド)トルエン(CVC Specialty Chemicals, Inc.製、商品名:OMICURE U−24)。
・D−2:メチレンビスジメチルウレア(CVC Specialty Chemicals, Inc.製、商品名:OMICURE 52)。
添加剤(E)
・E−1:ポリエーテルスルホン(BASF社製、商品名:ULTRASON E2020P)
<実施例1〜2、比較例1〜2>
(1)エポキシ樹脂組成物の調製
表1に記載したエポキシ樹脂組成物1及び2(実施例1〜2、比較例1〜2に使用)を、下記方法によって調製した。
先ず、エポキシ樹脂(A−2)を表1に記載した配合比に従ってニーダーに計量して投入し80℃にて加熱溶解した後、60℃以下に冷却した。一方、(E−1)と、(E−1)の2倍量のエポキシ樹脂(A−1)とを混合し、170℃で溶解物が均一に混ざるまで撹拌し、その後100℃まで冷却して、添加剤(E−1)を含有する添加剤マスターバッチを得た。次いで、この添加剤マスターバッチを前述のエポキシ樹脂(A−2)と混合し、100℃で均一に成るまで撹拌し、その後60℃まで冷却したものをベース樹脂とした。
更に、エポキシ樹脂(A−1)の残量と、硬化剤(B−1)又は(B−2)と、硬化促進剤(D−1)又は(D−2)を表1の配合比で混合して予練し、三本ロールミルで均一に分散して硬化剤マスターバッチを得た。得られた硬化剤マスターバッチと、エポキシ樹脂(A−1)の残量がある場合はその残量と前記ベース樹脂を混合し、均一になるまでよく撹拌してエポキシ樹脂組成物1又は2を得た。
(2)プリプレグの製造
前記「(1)エポキシ樹脂組成物の調製」で得られたエポキシ樹脂組成物1又は2を、離型紙(リンテック(株)製、商品名:CFP−45)上に樹脂目付が53.6g/mとなるように、コンマコーターを用いて均一に塗布して樹脂層を形成した。
前記樹脂層を形成した離型紙をドラムワインドに巻き付け、次いで、繊維目付が250g/mのシートになるように、炭素繊維(C−1)〜(C−3)のいずれかを巻き付けて炭素繊維シートを形成した。従って、ドラムワインドへの巻き付け方向が、炭素繊維を一方向に引き揃えた方向に相当する。
さらに、ドラムワインドに巻き付けたままの前記炭素繊維シートの表面に、前記樹脂層を形成した離型紙を、当該樹脂層が炭素繊維シートに対向するように貼り合わせた後、ローラにて80℃、線圧0.4MPaで加熱および加圧して、エポキシ樹脂組成物を炭素繊維シートに含浸させた。これにより、離型紙が両面に貼り合わされたプリプレグ1〜4を製造した。当該プリプレグの繊維目付はいずれも250g/m、樹脂含有率は30質量%、厚さは約0.22mmであった。
(3)炭素繊維強化複合材料の製造
前記「(2)プリプレグの製造」で得られたプリプレグを、298mm×298mmの大きさに複数枚切断した。そして、切断したプリプレグを、縦糸の繊維方向が一方向になるように5枚積層した一方向積層プリフォーム1(厚さ:1.1mm、層体積:97.7cm、片面表面積S1(下面の表面積):888.0cm)と、同様に10枚積層した一方向プリフォーム2(厚さ:2.2mm、層体積:195.4cm、片面表面積S1(下面の表面積):888.0cm)を作製した。
金型として、クロムめっき処理した300mm×300mmの正方形状(表面積900cm)の平板成型用金型を用い、プレス機の上にオス型、下にメス型を配置した。予め140℃に加熱した金型に、前記一方向積層プリフォーム1を配置し、すぐに上型を降ろして金型を閉め、4MPaの圧力をかけて5分間加熱加圧して硬化させ、金型から取り出して成形品1(炭素繊維強化複合材料1)を得た。同様に、前記一方向積層プリフォーム2を用いて成形品2(炭素繊維強化複合材料2)を得た。
<プリプレグ硬化性の評価>
前記成形方法において、金型からの脱型時の成形物の状態を確認した。不具合無く成形物を取得できれば良好な硬化性であり、成形体が大きく変形したり、割れが発生したりした場合は、硬化不足による非硬化と判断した。
<乾燥試験片の室温における0°圧縮特性の評価>
前記「(3)炭素繊維強化複合材料の製造」にて得られた炭素繊維強化複合材料1から、幅12.7mm、長さ80mm厚み1mmの試験片を各々6個作製した(乾燥試験片)。なお、試験片の長さ方向が繊維の0°方向となるよう作製した。得られた試験片について、SACMA SRM 1Rに準拠し、100kNロードセルを備えたINSTRON 5882測定機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、クロスヘッドスピード1.27mm/minの条件で、圧縮強度を測定した。測定値をVf(繊維体積含有率)60%に換算し、6個の試験片におけるその平均値を測定結果とした。結果を表1に示す。なお測定は、同じ炭素繊維強化複合材料1から切り出したタブを各試験片に接着して行った。
<吸水試験片の80℃における0°圧縮特性の評価>
前記<乾燥試験片の室温における0°圧縮特性の評価>と同様に、前記「(3)炭素繊維強化複合材料の製造」にて得られた炭素繊維強化複合材料2から、SACMA SRM 1Rに準拠する様に9個の試験片を各々作製した。9個の内6個の試験片を70℃の温水中に14日間浸漬して吸水させた(吸水試験片)。試験片を温水中に浸漬させる際、試験片同士が重なって水と接する面積が変化しないように間隔を開けて配置した。温水から取り出した吸水後の試験片につき、直ちに80℃に加熱したオーブンを備えた前記INSTRONを用いて0°圧縮強度を測定した。測定値をVf(繊維体積含有率)60%に換算し、6個の試験片におけるその平均値を測定結果とした。結果を表1に示す。
<強度保持率及び吸水率の測定>
前記<乾燥試験片の室温における0°圧縮特性の評価>で得られた0°圧縮強度(D)と、前記<吸水試験片の80℃における0°圧縮特性の評価>で得られた圧縮強度(HW)の比(D)/(HW)を強度保持率とした。結果を表1に示す。
また、炭素繊維強化複合材料の吸水率は以下のように求めた。
まず、前記<吸水試験片の80℃における0°圧縮特性の評価>における、70℃温水への浸漬期間中の試験片の吸水量は、6個の吸水試験片の吸水による重量増加量の平均値とした。次いで、浸漬前の試験片の吸湿量を、浸漬に使用していない残り3個の試験片を90℃のオーブン中で重量変化がなくなるまで絶乾させた時の重量減少分の平均として求めた。続いて、前記6個の試験片の吸水量と3個の試験片の吸湿量から炭素繊維複合材料の吸水率を算出した。結果を表1に示す。
<乾燥試験片の耐熱性(ガラス転移点:G’−Tg)の測定>
前記「(3)炭素繊維強化複合材料の製造」にて得られた炭素繊維強化複合材料2から、長さ55mm×幅12.7mm×厚さ2.2mmの試験片を作成した。この試験片の耐熱性を、TAインストルメンツ社製のレオメーター ARES−RDAを用いて、測定周波数1Hz、昇温速度5℃/分で測定した。即ち、logG’を温度に対してプロットし、logG’の平坦領域の近似直線と、logG’が急激に低下する領域の近似直線との交点の温度を、ガラス転移点(G’−Tg)として得た。結果を表1に示す。
<吸水試験片の耐熱性(ガラス転移温度:G’−Tg)の測定>
前記<乾燥試験片の耐熱性の測定>と同様に、前記「(3)炭素繊維強化複合材料の製造」にて得られた炭素繊維強化複合材料2から試験片を切り出し、70℃の温水中に14日間浸漬して吸水させた後、直ちにこの試験片のG’−Tgを測定した。結果を表1に示す。
実施例1及び2にて得られたプリプレグは、これを140℃に余熱した金型で挟んで4MPaに加圧し、5分間保持して得られた成形体(炭素繊維強化複合材料)のガラス転移点(G’−Tg)が130℃以上となることが確認された。
また、実施例1及び2にて得られた炭素繊維複合材料の、70℃の温水に2週間浸漬した後の吸水率は1.6%未満であり、ガラス転移点が80℃以上であった。さらに本発明の炭素繊維強化複合材料の強度保持率は40%以上であり、吸水後の80℃における著しい物性の低下を抑制できることが確認された。
実施例1と比較例1〜2の対比から、強化繊維基材に用いる炭素繊維の平均単繊維繊度が1.0dtex未満であるプリプレグは、その成形体である炭素繊維強化複合材料の吸水率が1.6%以上、吸水後のガラス転移点も80℃未満であり、いずれも本発明の炭素繊維強化複合材料より劣ることが分かる。また吸水試験片の80℃下での圧縮強度は600MPa未満であり、圧縮強度保持率が40%未満であった。これにより、強化繊維基材に用いる炭素繊維の平均単繊維繊度が1.0dtex以上であると、温水の吸水時間を遅延させる効果があることが明らかになった。
本発明に係るプリプレグは、プレス成形におけるハイサイクル成形性に優れており、また本発明の炭素繊維強化複合材料は、常温での高い圧縮強度及を有すると共に、高温皇室環境下に長期間さらされた後でもその機械特性を維持することができる。それゆえ、本発明に係るプリプレグおよびそれを用いて得られた炭素繊維強化複合材料は、航空機用、自動車等の車両用、船舶用の構造材料を始めとして、建造物等の構造材料、ゴルフシャフト、釣竿、テニスラケット等のスポーツ用品、風車やロール等の一般産業用品等の用途に広く用いることができる。

Claims (8)

  1. エポキシ樹脂(A)、並びにジシアンジアミド(B)を含むエポキシ樹脂組成物、及び平均単繊維繊度が1.0dtex以上2.4dtex以下の炭素繊維(C)を含有し、
    140℃に余熱した金型で挟んで4MPaに加圧し、5分間保持して得られる成形体のガラス転移点が130℃以上となるプリプレグ。
  2. 前記炭素繊維(C)がPAN系炭素繊維である請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記炭素繊維(C)の、単繊維の繊維軸に垂直な断面の形状の真円度が0.7以上0.9以下である、請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  4. 前記炭素繊維(C)の、単繊維の繊維軸に垂直な断面の断面積に対する表面積の比が0.5以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリプレグ。
  5. さらに硬化促進剤(D)として、2,4−ジ(N,N−ジメチルウレイド)トルエンを含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリプレグ。
  6. 前記ジシアンジアミド(B)の含有量が、エポキシ樹脂100質量部に対して4質量部以上8質量部以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリプレグ。
  7. 前記エポキシ樹脂(A)が下記式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリプレグ。
    (1)
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のプリプレグの硬化物である炭素繊維強化複合材料。
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