JP2019218445A - シートモールディングコンパウンドおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

シートモールディングコンパウンドおよび繊維強化複合材料 Download PDF

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徳多 石川
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Abstract

【課題】本発明によれば、多湿な条件においても流動特性がばらつかないSMCを提供すること、さらには、かかるSMCを用いることで、ボイドレスでかつ脱型時に割れが発生せず表面品位に優れた繊維強化複合材料を提供することが可能になる。【解決手段】 不連続の強化繊維の束状集合体と樹脂組成物とを含むシートモールディングコンパウンド(SMC)であって、前記束状集合体は、その強化繊維の配列方向に直角な方向の幅が最大となる面において、前記強化繊維の配列方向に対して、前記束状集合体中の強化繊維の両の端部の配列により形成される辺のそれぞれがとる鋭角の角度aおよび角度bがそれぞれ2°以上30°以下であり、前記樹脂組成物は、以下の成分(A)〜成分(C)を含む樹脂組成物である、シートモールディングコンパウンド。成分(A): 芳香族エポキシ樹脂成分(B): 脂肪族エポキシ樹脂成分(C): 脂肪族アミン【選択図】なし

Description

本発明は、航空・宇宙用部材、自動車用部材等の繊維強化複合材料に好適に用いられるシートモールディングコンパウンド、およびそれを用いた繊維強化複合材料に関するものである。
強化繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化複合材料は、強化繊維とマトリックス樹脂の利点を生かした材料設計が出来るため、航空宇宙分野、自動車分野を始め、スポーツ分野、一般産業分野等に用途が拡大しており、プリプレグ法、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法、レジントランスファーモールディング(RTM)、シートモールディングコンパウンド(SMC)成形等の方法により製造される。プリプレグ法は、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸したプリプレグを所望の形状に積層し、加熱することによって成形物を得る方法である。しかし、このプリプレグ法は航空機や自動車等の構造材用途で要求される高い材料強度を有する繊維強化複合材料の生産には向いているが、プリプレグの作製、積層等の多くのプロセスを経ることを必要とするため、少量生産しかできず、大量生産には不向きであり、生産性に問題がある。一方、SMC成形は、強化短繊維とマトリックス樹脂から構成され、強化短繊維に樹脂組成物を含浸させてシート状にしたものをBステージ化することでSMCを作成し、そのSMCを成形型内で加熱圧縮し硬化させて繊維強化複合材料を得る方法である。この方法であれば、成形型を用意することで、煩雑なプリプレグ作製や積層工程を介さずに短時間で繊維強化複合材料を成形できるだけでなく、複雑な形状の繊維強化複合材料でも容易に成形が可能という利点もある。
強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維等が用いられる。マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも用いられるが、強化繊維への含浸が容易な熱硬化性樹脂が用いられることが多い。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂等が用いられる。この中で、樹脂と強化繊維との接着性や寸法安定性、および得られる複合材料の強度や剛性といった機械特性の観点からエポキシ樹脂が好適に用いられる。
SMCに用いられるマトリックス樹脂は強化繊維に充分含浸するために低粘度である必要がある。一方でBステージ化後には、それまでSMCの両面に貼られたフィルムの剥離が容易であり、かつ良好な繊維強化複合材料を与えるような適度な流動特性を有するものでなければならない。
このような状況を鑑み、エポキシ樹脂と脂肪族アミン化合物を配合することによって、強化繊維への濡れ性に優れ、容易にBステージ化可能な樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。
また、エポキシ樹脂と2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミンを配合することによって、容易にBステージ化可能であるだけでなく、ポットライフの長い樹脂組成物が報告されている(非特許文献1)
さらに、脂環式アミン化合物を配合することによって、容易にBステージ化可能であるだけでなく、よりポットライフに優れた樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。
繊維強化複合材料の品位については不連続の強化繊維の束状集合体の形状が検討されており、たとえば、束状集合体端部と強化繊維の配列方向との角度を12°とすることで、束状集合体と樹脂の均質性を向上させる方法が提案されている(特許文献3)。
特開平06−166742号公報 国際公開2017/150521号パンフレット 国際公開2008/149615号パンフレット
日刊工業新聞社、エポキシ樹脂ハンドブック、新保正樹編、昭和62年12月25日、P155
前述の特許文献1に記載の方法では、容易にBステージ化が可能になるものの、増粘後の樹脂組成物のポットライフが短く、さらにこの樹脂組成物を用いたSMCを硬化させて得られる繊維強化複合材料は複雑形状を有する部分において脱型時に割れが発生してしまうという課題があった。次に、前述の特許文献2および非特許文献1に記載の方法では、樹脂組成物のポットライフは改善するものの、SMCのプレス成形において、流動特性がばらつき、繊維強化複合材料にボイドが残存したり、品位が低下したりしてしまうという課題があった。 また、特許文献3に記載の方法では、不連続の強化繊維の束状集合体端部と強化繊維の配列方向との角度が12°である束状集合体とマトリックス樹脂からなるSMCは、束状集合体と樹脂の均質性が高いものの、多湿な条件下で樹脂組成物を保存した場合に流動特性がばらつき、繊維強化複合材料にボイドが残存したり、品位が低下したりしてしまうという課題があった。このように、従来技術では、多湿な条件においても繊維強化複合材料がボイドレスでかつ脱型時に割れが発生せず表面品位に優れたSMCを得ることが困難であった。
そこで、本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を改良し、多湿な条件においても流動特性がばらつかないSMCを提供すること。さらには、かかるSMCを用いることで、ボイドレスでかつ脱型時に割れが発生せず表面品位に優れた繊維強化複合材料を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明のSMCは次の構成を有する。すなわち、不連続の強化繊維の束状集合体と樹脂組成物とを含むシートモールディングコンパウンド(SMC)であって、前記束状集合体は、その強化繊維の配列方向に直角な方向の幅が最大となる面において、前記強化繊維の配列方向に対して、前記束状集合体中の強化繊維の両の端部の配列により形成される辺のそれぞれがとる鋭角の角度aおよび角度bがそれぞれ2°以上30°以下であり、前記樹脂組成物は、以下の成分(A)〜成分(C)を含む樹脂組成物である、シートモールディングコンパウンド。
成分(A): 芳香族エポキシ樹脂
成分(B): 脂肪族エポキシ樹脂
成分(C): 脂肪族アミン。
さらに、本発明においては、そのシートモールディングコンパウンドを硬化させて繊維強化複合材料とすることができる。
本発明によれば、多湿な条件においても流動特性がばらつかないSMCを提供すること。さらには、かかるSMCを用いることで、ボイドレスでかつ脱型時に割れが発生せず表面品位に優れた繊維強化複合材料を提供することが可能になる。
束状集合体の強化繊維の配列方向に直角な方向の幅が最大となる面の模式図であり、強化繊維の配列方向に対して、束状集合体中の強化繊維の両側の端部の配列が形成する辺がとる鋭角の角度aおよび角度bが示されている。
本発明のシートモールディングコンパウンドについて説明する。
本発明における成分(A)は、耐熱性や機械特性発現のために必要な成分である。成分(A)の芳香族エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を1つ以上含む芳香族化合物であれば特に限定されないが、この例としては、2官能性エポキシ樹脂ではビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂や、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、あるいはこれらを変性したエポキシ樹脂等が挙げられる。3官能以上の多官能性エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシメタン)のようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂およびこれらを変性したエポキシ樹脂やこれらのエポキシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定はされない。また、成分(A)として、これらエポキシ樹脂を2種類以上組み合わせて使用しても構わず、液状のエポキシ樹脂と固形のエポキシ樹脂を併用したエポキシ樹脂組成物により、30℃常温時での取扱性が良好で優れた流動特性を示すSMCが得られるため、好ましい。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂が特に好適に使用できる。これらのエポキシ樹脂を用いると、例えば、分子内にナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂など剛直性の高いエポキシ樹脂を用いた場合と比較して、繊維強化複合材料としたときの機械強度が向上するという更なる効果を奏する。これは、剛直性の高いエポキシ樹脂は短時間で硬化させると架橋密度が上がるため歪みが生じやすくなるのに対し、上述のエポキシ樹脂を用いると、そういった問題が起こる可能性が低いためである。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”825、“jER(登録商標)”826、“jER(登録商標)”827、“jER(登録商標)”828、“jER(登録商標)”834、“jER(登録商標)”1001、“jER(登録商標)”1002、“jER(登録商標)”1003、“jER(登録商標)”1004、“jER(登録商標)”1004AF、“jER(登録商標)”1007、“jER(登録商標)”1009(以上三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”850(DIC(株)製)、“エポトート(登録商標)”YD−128(新日鐵住金化学(株)製)“、DER(登録商標)”−331、“DER(登録商標)”−332(ダウケミカル社製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては“jER(登録商標)”806、“jER(登録商標)”807、“jER(登録商標)”1750、“jER(登録商標)”4004P、“jER(登録商標)”4007P、“jER(登録商標)”4009P(以上三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”830(DIC(株)製)、“エポトート(登録商標)”YDF−170、“エポトート(登録商標)”YDF2001、“エポトート(登録商標)”YDF2004(以上新日鉄住金化学(株))などが挙げられる。また、アルキル置換体であるテトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“エポトート(登録商標)”YSLV−80XY(新日鉄住金化学(株))などが挙げられる。
ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、“エピクロン(登録商標)”EXA−1515(DIC(株)製)などがあげられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては“jER(登録商標)”152、“jER(登録商標)”154(以上三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”N−740、“エピクロン(登録商標)”N−770、“エピクロン(登録商標)”N−775(以上DIC(株)製)などが挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”N−660、“エピクロン(登録商標)”N−665、“エピクロン(登録商標)”N−670、“エピクロン(登録商標)”N−673、“エピクロン(登録商標)”N−695(以上DIC(株)製)、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−104S(以上日本化薬(株)製)などが挙げられる。
成分(A)として用いられるこれらの樹脂の常温(25℃)における樹脂粘度としては、1000000Pa・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは、50000Pa・s以下であることが好ましい。この粘度であれば、好ましいタック性およびドレープ性を有するSMCを得ることができる。
本発明における成分(B)は、脱型時の繊維強化複合材料の割れを抑制するために必要な成分である。成分(B)の脂肪族エポキシ樹脂は十分なエポキシ樹脂組成物の低粘度化を発現させるため、脂肪族エポキシ樹脂の25℃における粘度が100mPa・s以上10000mPa・s以下であることが好ましく、120mPa・s以上10000mPa・s以下であることがより好ましい。2官能以上の脂肪族エポキシ樹脂は、繊維強化複合材料の柔軟性を向上させ、脱型時の繊維強化複合材料の割れを抑制できるため、好ましい。3官能以上の脂肪族エポキシ樹脂は繊維強化複合材料のさらなる柔軟性の向上に加え容易なBステージ化を可能にするためにより好ましい。
2官能以上の脂肪族エポキシ樹脂としては、脂環式骨格を有していてもよい2価以上の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテルが好ましく、脂環式骨格を有していてもよく、2価の脂肪族アルコールとしては、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、3価以上の脂肪族アルコールとしてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、テトラメチロールプロパン、ソルビトール等が挙げられる。
成分(B)として用いられる脂肪族エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
成分(B)は、成分(A)および成分(B)の合計100質量部を基準として、1質量部以上30質量部以下含まれることが好ましい。10質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。成分(A)の合計100質量部に対して、脂肪族エポキシ樹脂が1質量部以上30質量部以下の範囲内にある場合は、エポキシ樹脂組成物の含浸性に優れ、脱型時の繊維強化複合材料の割れを抑制することができる。
成分(C)は主剤と共有結合することにより熱硬化性樹脂を硬化させる成分である。成分(C)の脂肪族アミンは、芳香環を持たないアミンであり、分子中にアミノ基を1つ以上有するものであれば特に限定されないが、この例としては、ポリアルキレンポリアミン、イソホロンジアミン、3,3‘−ジメチレンジ(シクロヘキシルアミン)、n−アミノエチルピペラジン、ノルボルナンジアミン、ジエチレングリコールジアミノプロピルエーテル、アジピン酸ジヒドラジド、ヒドラジン、シアナミドおよびこれらの誘導体があげられる。アミノ基は第1級、第2級、第3級の炭素原子に結合されていることが好ましく、容易にBステージ化するためには、第1級、第2級の炭素原子に結合されていることがより好ましい。
十分な樹脂組成物の低粘度化を発現させるため、成分(C)の25℃における粘度が1mPa・s以上10000mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以上10000mPa・s以下であることがより好ましい。
成分(C)の各化合物は、十分なBステージ化を達成するために、下記の条件を満たすことが好ましい。下記の範囲内でない場合には好ましいタック性およびドレープ性を有するSMCを得ることができない。
1.5≦α/β≦10
α:成分(A)および成分(B)のエポキシ基総数
β:成分(C)のある化合物の活性水素数。
より好ましくは、3≦α/β≦10である。上記の条件を満たしかつ硬化速度の2種以上の異なる化合物を併用することによって、所望の硬化挙動にあわせた樹脂組成物が得られる。
本発明における樹脂組成物中の成分(D)は、成分(C)に該当しない主剤と共有結合することにより熱硬化性樹脂を硬化させる成分である。熱硬化性樹脂を硬化させ得るものである限り、特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合を例に挙げると、アミン系、フェノール系、酸無水物系、メルカプタン系、イミダゾール類、3級アミン、有機リン化合物、ウレア化合物、アンモニウム塩、スルホニウム塩などが挙げられる。アミン系の硬化剤は、ジシアンジアミド、芳香族ポリアミン、アミノ安息香酸エステル類、チオ尿素付加アミンなどを例示できる。フェノール系の硬化剤は、ビスフェノール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物などを例示できる。酸無水物系の硬化剤は、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、カルボン酸無水物などを例示できる。メルカプタン系の硬化剤は、ポリメルカプタン、ポリスルフィド樹脂などを例示できる。例示したものの中でも、アミン系硬化剤が好ましい。さらに、これらの中でもジシアンジアミドまたはその誘導体が特に好ましい。ジシアンジアミドは、樹脂硬化物に高い機械特性や耐熱性を与える点で優れており、エポキシ樹脂の硬化剤として広く用いられる。また、樹脂組成物の保存安定性に優れることから、好適に使用できる。またジシアンジアミドの誘導体とは、ジシアンジアミドと各種化合物を結合させて得られる化合物を意味し、ジシアンジアミドと同様に、樹脂硬化物に高い機械特性や耐熱性を与える点で優れており、また樹脂組成物の保存安定性にも優れる。ジシアンジアミドの誘導体としては、例えばジシアンジアミドと、エポキシ樹脂やビニル化合物、アクリル化合物、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド等の各種化合物を結合させたものなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ジシアンジアミドと併用してもよい。かかるジシアンジアミドの市販品としては、DICY7、DICY15(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
本発明における樹脂組成物中の成分(D)は、成分(A)および成分(B)の合計100質量部に対して、1〜50質量部含まれることが好ましい。成分(A)および成分(B)の合計100質量部に対して、成分(D)が1〜50質量部の範囲内にある場合は、十分な硬化性向上の効果が得られるために好ましく、成分(D)が6〜50質量部の範囲内にある場合は、さらに好ましい。
硬化時間を短縮するために、本発明に係る樹脂組成物に加えて、硬化促進剤として触媒を加えてもよい。ここで、触媒とは、主剤の単独硬化反応、および、主剤と硬化剤との結合形性による硬化反応を速やかに円滑にする成分である。熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合を例に挙げると、例えば、イミダゾール類、3級アミン、有機リン化合物、ウレア化合物、アンモニウム塩、スルホニウム塩などが挙げられる。これらの触媒のうち、2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
本発明における樹脂組成物は、その他の成分を更に含んでいても良い。例えば、各種フィラーや硬化剤、酸化防止剤などである。
本発明における樹脂組成物の含水率が0.01質量%以上5質量%の場合においても、流動性に優れたSMCが得られる。イソシアネート等を配合した場合には水分の影響によって樹脂組成物の粘度が大きく悪化してしまうが、本発明における樹脂組成物では水分の影響による粘度の悪化が起こりにくい。
本発明における樹脂組成物は、E型粘度計で測定した40℃における粘度が0.01Pa・s以上10000Pa・s以下の範囲にあることが好ましく、0,01Pa・s以上1000Pa・s以下の範囲にあることがより好ましい。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。40℃における粘度が10Pa・s以下である樹脂組成物は強化繊維への含浸性が優れ、それにより高品位な繊維強化複合材料が得られる。また、40℃における粘度が0.01Pa・s以上である樹脂組成物は、樹脂含浸時の粘度が低くなりすぎず、それにより樹脂が外部へ流れ出ることなく、均一に強化繊維基材に含浸しやすい。なお、かかる粘度は各成分を混合した直後のエポキシ樹脂組成物の粘度を指す。
本発明に係る樹脂組成物を使用して得られる繊維強化複合材料の耐熱性は、樹脂組成物を硬化してなる樹脂硬化物のガラス転移温度に依存するため、高耐熱性を有した繊維強化複合材料を得るためには、例えば110℃の温度下で2時間加熱して完全硬化して得られる樹脂硬化物のガラス転移温度が110℃以上250℃以下の範囲にあることが好ましく、120℃以上220℃以下であればさらに好ましい。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。ガラス転移温度が110℃に満たない場合は樹脂硬化物の耐熱性が不十分な場合がある。ガラス転移温度が250℃を越える場合、3次元架橋構造の架橋密度が高くなることから樹脂硬化物が脆くなることがあり、その場合は繊維強化複合材料の引張強度や耐衝撃性が低下する場合がある。ここでガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いた測定により求められる。
本発明のシートモールディングコンパウンド、つまりSMCは、樹脂組成物、並びに、強化繊維を含むものである。本発明のSMCの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、本発明における第一の発明のエポキシ樹脂組成物を、強化繊維の形態に合った周知の方法により強化繊維に含浸させた後、室温〜80℃程度の温度に数時間〜数日間保持することにより、樹脂組成物の粘度上昇が飽和した半硬化状態とすることで、本発明のSMCが得られる。ここで、樹脂組成物の粘度上昇が飽和した半硬化状態とすることをBステージ化するという。Bステージ化するための条件は、室温〜80℃程度の温度、数時間〜数日間という範囲内で任意に採りうる。本発明の評価においては、エポキシ樹脂組成物を50℃で21時間保持することにより樹脂組成物の粘度上昇を飽和させ半硬化状態とするBステージ化条件を採るものとする。本発明におけるSMCにおいて、Bステージ化は、主に脂肪族アミンのアミノ基とエポキシ樹脂中のエポキシ基との反応によってなると考えられ、Bステージ化後の樹脂組成物の粘度としては、DMA(例えば、TAインスツルメンツ社製ARES)を用いて測定した成形温度、例えば、40℃における粘度が100Pa・s以上100000Pa・s以下の範囲にあることが好ましい。樹脂組成物の粘度が100Pa・s以下の場合はタック性が悪く、SMCの取り扱い性が悪化する。500Pa・s以上10000Pa・s以下の範囲にあることがより好ましい。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。かかるSMCを用いることで、所望の繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明のSMCにおける樹脂組成物の含水率は,下記の式のように各成分の含水率の和として算出でき、各成分の含水率は、カールフィッシャー法の容量滴定法にて測定し、自動滴定装置(例えば、平沼産業株式会社製 平沼自動滴定装置 COM―300A)およびKF試薬(アクアライトKF5(平沼産業製 力価4.0〜6.0mgHO/mL))を用いて測定した。
L=(l(A)×w(A)+l(B)×w(B)+l(C)×(C)+l(D)×w(D))/(w(A)+w(B)+w(C)+w(D))
L:樹脂組成物の含水率
l(A):成分(A)の含水率
l(B):成分(B)の含水率
l(C):成分(C)の含水率
w(A):成分(A)の質量部
w(B):成分(B)の質量部
w(C):成分(C)の質量部
w(D):成分(D)の質量部。
本発明における強化繊維としては特に限定されないが、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維および炭化ケイ素繊維等が挙げられる。これらの強化繊維を2種以上混合して用いても構わないが、より軽量で、より耐久性の高い繊維強化複合材料を得るために、炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが好ましい。特に、材料の軽量化や高強度化の要求が高い用途においては、その優れた比弾性率と比強度のため、本発明のSMC中の強化繊維としては、炭素繊維が好適に用いられる。
炭素繊維としては、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維を用いることが可能であるが、耐衝撃性の点から高くとも300GPaの引張弾性率を有する炭素繊維であることが好ましい。また、強度の観点からは、高い剛性および機械強度を有する複合材料が得られることから、引張強度が好ましくは4.4〜6.5GPaの炭素繊維が用いられる。また、引張伸度も重要な要素であり、1.7〜2.3%の高伸度炭素繊維であることが好ましい。従って、引張弾性率が少なくとも230GPaであり、引張強度が少なくとも4.4GPaであり、引張伸度が少なくとも1.7%であるという特性を兼ね備えた炭素繊維が最も適している。
炭素繊維の市販品としては、“トレカ(登録商標)”T800G−24K、“トレカ(登録商標)”T800S−24K、“トレカ(登録商標)”T700G−24K、“トレカ(登録商標)”T300−3K、および“トレカ(登録商標)”T700S−12K(以上東レ(株)製)等が挙げられる。
本発明におけるSMCは、不連続の強化繊維の束状集合体と繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物とを含むSMCであって、前記束状集合体は、図1に示されるように、その強化繊維の配列方向に直角な方向の幅が最大となる面において、前記強化繊維の配列方向に対して、前記束状集合体中の強化繊維の両の端部の配列が形成する辺がとる鋭角の角度を、それぞれ角度aおよび角度bとすると、角度a,bのそれぞれが2°以上30°以下であり、束状集合体中の強化繊維の端部の配列が形成する辺の強化繊維の配列方向に対する角度aおよび角度bは小さいほど、強化繊維間の間隔が広がる傾向となり、束状集合体において粒子が濾されにくくなり、構成成分の均質性が高いSMCとなるため、これを用いて成形される繊維強化複合材料において品位および強度向上の効果が大きい。角度aおよび角度bが30°以下の場合、その効果が著しい。しかし、一方において、束状集合体自体の取り扱い性は、低下する。また、強化繊維の配列方向と切断する刃との角度が小さければ小さいほど、切断工程における安定性が低下する。そのため、角度aおよび角度bは2°以上であることが好ましい。角度aおよび角度bは、3°以上25°以下であることがより好ましい。繊維強化複合材料の品位および強度向上効果と束状集合体の製造工程におけるプロセス性と兼ね合いから、角度aおよび角度bは、5°以上15°以下であることがさらに好ましい。なお、ここで言う角度は、絶対値で表される。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。また、角度aと角度bは同じ値である必要はなく、また、全ての繊維束における角度aを同一にする必要はなく、角度bを同一にする必要もない。
不連続の強化繊維の束状集合体を製造するための連続強化繊維束の切断手段としては、例えば、ギロチンカッター、ロービングカッター等のロータリーカッターがある。連続強化繊維束は、連続強化繊維束の長手方向と切断手段に装備されている切断刃の方向とが相対的に斜行する状態において、切断手段に挿入され、切断される。
本発明のSMCを用いた繊維強化複合材料の製造方法としては、特に限定されるものではないが、プリプレグ法、ハンドレイアップ法、レジントランスファーモールディング(RTM)、シートモールディングコンパウンド(SMC)成形が好適に用いられる。これらのうち、生産性や成形体の形状自由度といった観点で、特にSMC成形が好適に用いられる。SMC成形時の加熱温度は本発明における樹脂組成物が硬化する温度であればよく、硬化時間の短縮の観点から110℃以上200℃以下であることが好ましい。成形時の圧力は本発明のSMCを十分に流動させることが可能な圧力であればよく、1Pa以上15Pa以下であることが好ましい。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のSMCが硬化されてなるものである。このような繊維強化複合材料において、特に自動車分野で用いられる繊維強化複合材料の場合には、高い曲げ撓み量等の機械特性が要求される。本発明の繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂である樹脂硬化物のガラス転移温度を通常好ましくは110℃以上250℃以下とすることができるため、樹脂硬化物の高い機械特性が反映され、曲げ撓み量10.0mm以上、より好ましい様態では11.0mm以上という、高い曲げ撓み量を示すことができるため、脱型時に割れを生じることなく、高品位な繊維強化複合材料が得られる。さらに、多湿な状況下においてもプレス成形時にボイドが強化繊維複合材料中に残存しにくく、表面の算術平均粗さRaが0.4μm以下、より好ましい様態では0.3μm以下という、良好な表面品位を示す。
以下、実施例により、本発明のSMCを用いた繊維強化複合材料等についてさらに詳細に説明する。
<樹脂原料>
各実施例・比較例の樹脂組成物を得るために、以下の樹脂原料を用いた。なお、表中の樹脂組成物の欄における各成分の数値は含有量を示し、その単位は、特に断らない限り「質量部」である。
1.成分(A)である芳香族エポキシ樹脂
・“エポトート(登録商標)”YD128(新日鉄住金化学(株)製):ビスフェノールA型エポキシ樹脂
・“jER(登録商標)”154(三菱化学(株)製):フェノールノボラック型エポキシ樹脂。
2.成分(B)である脂肪族エポキシ
・デナコール(登録商標)”EX−211(ナガセケムテックス(株)製):ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(エポキシ基:2官能、25℃粘度:20mPa・s)
・“デナコール(登録商標)”EX−841(ナガセケムテックス(株)製):ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ基:2官能、25℃粘度:110mPa・s)
・“デナコール(登録商標)”EX−313(ナガセケムテックス(株)製):グリセロールポリグリシジルエーテル(エポキシ基:3官能、25℃粘度:150mPa・s)
・“デナコール(登録商標)”EX−321(ナガセケムテックス(株)製):トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(エポキシ基:3官能、25℃粘度:130mPa・s)
・“デナコール(登録商標)”EX−614B(ナガセケムテックス(株)製):ソルビトールポリグリシジルエーテル(エポキシ基:6官能、25℃粘度:5000mPa・s)
・“デナコール(登録商標)”EX−614(ナガセケムテックス(株)製):ソルビトールポリグリシジルエーテル(エポキシ基:6官能、25℃粘度:21200mPa・s)。
3.成分(C)である脂肪族アミン
・1,4−ブタンジアミン(東京化成工業株式会社製)
・イソホロンジアミン(東京化成工業株式会社製)
・“jERキュア(登録商標)”113(三菱ケミカル(株)製):3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン。
4.成分(D)である脂肪族アミンに該当しない硬化剤
・“リカシッド(登録商標)”MH−700(新日本理化(株)製):メチルヘキサヒドロ無水フタル酸
・“jERキュア(登録商標)”W(三菱ケミカル(株)製):ジエチルトルエンジアミン
・3,3’−DAS(三井化学ファイン(株)製):3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
・ジシアンシアミド。
<樹脂含水率の測定>
各成分の含水率は、カールフィッシャー法の容量滴定法にて測定し、自動滴定装置(例えば、平沼産業株式会社製 平沼自動滴定装置 COM―300A)およびKF試薬(アクアライトKF5(平沼産業製 力価4.0〜6.0mgHO/mL))を用いて測定した。
<樹脂組成物の調製>
表に記載した含有割合で各成分を混合し、樹脂組成物を調製した。
<調製直後の樹脂組成物の粘度の測定>
測定すべき検体を、JIS Z8803(1991)における「円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装着したE型粘度計を使用して、40℃に保持した状態で測定した。E型粘度計としては、(株)トキメック製TVE−30Hを用いた。なお、検体としては、各成分を混合した直後の樹脂組成物を用いた。
<Bステージ化後の樹脂組成物の粘度の測定>
測定すべき検体を、DMA(TAインスツルメンツ社製ARES)を使用して、30℃に加熱したステージにサンプルを投入し、1分間に10℃ずつ昇温したときの粘度を測定し、各温度での粘度をその温度条件の粘度とした。例えば、40℃の粘度は、検体が40℃に達した際の粘度を40℃の粘度とした。なお、検体としては、各成分を混合した樹脂組成物を50℃で21時間保持したものを用いた。
<樹脂硬化板の作製>
上記で調製した樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中に注入した。140℃の温度で2時間硬化させ、厚さ2mmの樹脂硬化板を得た。
<樹脂硬化物のガラス転移温度Tg測定>
樹脂硬化板から幅12.7mm、長さ40mmの試験片を切り出し、DMA(TAインスツルメンツ社製ARES)を用いてTg測定を行った。測定条件は、昇温速度5℃/分である。測定で得られた貯蔵弾性率G’の変曲点での温度をTgとした。
<SMCの作製ならびにSMC使用繊維強化複合材料の作製>
炭素繊維として、“トレカ(登録商標)”T700S−12K(東レ(株)製)を使用した。前記連続炭素繊維ストランドを切断して均一分散するように散布することにより、繊維配向が等方的である不連続炭素繊維不織布を得た。切断装置にはロータリー式カッターを用いた。このロータリー式カッターは周方向に5mm間隔で刃を設けたものであり、連続炭素繊維ストランドを、ロータリー式カッターの刃に対して12°の角度で、ロータリー式カッターに連続して挿入し切断した。また、不連続炭素繊維不織布の目付は1kg/mであった。
不連続炭素繊維不織布に上記エポキシ樹脂組成物を、炭素繊維重量含有率が40%となるようにローラーで含浸させることによりシート状のSMC前駆体を得た。これを50℃で21時間保持し、樹脂をBステージ化させることで、SMCを得た。このSMCを2枚重ね、加圧型プレス機により10MPaの加圧のもと、約110℃×10分間の条件により硬化させ、厚み1.6mmの平板状の繊維強化複合材料を得た。
<SMC使用繊維強化複合材料の断面ボイド測定>
前記のようにして得られた平板状の繊維強化複合材料より0度(平板長手方向を0度)と90度方向から、それぞれ80×30×1.6mmの試験片を5片(合計10片)切り出し、各断面をデジタル顕微鏡(キーエンス製VHX−6000)にて観察し、ボイドの有無を評価した。ボイド面積が全体の0%以上5%未満の場合は◎、5%以上10%未満の場合は○、10%以上の場合は×とした。
<SMC使用繊維強化複合材料の表面の算術平均粗さRa測定>
前記のようにして得られた平板状の繊維強化複合材料より0度(平板長手方向を0度)と90度方向から、それぞれ80×30×1.6mmの試験片を5片(合計10片)切り出し、表面粗さ測定器サーフコム480A((株)東京精密製)を用いて各試験片の表面の算術平均粗さを測定し、それらの平均値をRaとして採用した。測定条件は、クロスヘッドスピード0.3mm/sである。
<SMC使用繊維強化複合材料の曲げ撓み量測定>
前記のようにして得られた平板状の繊維強化複合材料より、0度(平板長手方向を0度)と90度方向のそれぞれから、100×25×1.6mmの試験片を5片(合計10片)切り出し、JIS K7074(1988年)に準拠し測定を実施した。
(実施例1〜13)
成分(A)、(B)、(C)、(D)の配合量を変更して、表1に記載した含有割合で、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製し、40℃における粘度および含水率を測定した。また、それぞれの樹脂組成物を50℃で21時間保持し、Bステージ化した後、40℃における粘度を測定した。さらにそれぞれの樹脂組成物と表に示す通りの角度a、bを有する束状集合体を用いて、SMCおよび繊維強化複合材料を作製し、曲げ撓み量を測定した。いずれの場合も、調製直後の樹脂組成物の40℃における粘度は10000mPa・s以下とSMC作製時の強化繊維への含浸性が良好であった。また、Bステージ化後の40℃における樹脂の粘度は100000Pa・s以下でありSMCを加熱プレス成形する際の流動性も良好であった。さらに、樹脂硬化物のTgは110℃以上、繊維強化複合材料のボイド面積は10%未満であり、表面の算出平均粗さRaは0.4μm以下であり、曲げ撓み量は10mm以上と機械特性も良好であった。
(比較例1)
実施例1において、成分(B)を添加せず、成分(A)の配合量を変更して、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製し、上記実施例と同様に40℃における粘度、Bステージ化後の40℃における粘度を測定した。さらにそれぞれの樹脂組成物を用いて、SMCおよび繊維強化複合材料を作製し、曲げ撓み量を測定した。調製直後の樹脂組成物の40℃における粘度は15000mPa・sとSMC作製時の強化繊維への含浸性が不良であった。また、Bステージ化後の40℃における樹脂の粘度は230000Pa・sでありSMCを加熱プレス成形する際の流動性も不良であった。さらに、樹脂硬化物のTgは110℃以上であったが、繊維強化複合材料のボイド面積は10%以上と不良であり、表面の算出平均粗さRaは0.80μmであり、曲げ撓み量は7.2mmと機械特性も不良であった。
(比較例2)
実施例7において、成分(A)、(B)の配合量を変更して、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製し、上記実施例と同様に40℃における粘度、Bステージ化後の40℃における粘度を測定した。さらにそれぞれの樹脂組成物を用いて、SMCおよび繊維強化複合材料を作製し、曲げ撓み量を測定した。調製直後の樹脂組成物の40℃における粘度は13000mPa・sとSMC作製時の強化繊維への含浸性が不良であった。また、Bステージ化後の40℃における樹脂の粘度は180000Pa・sでありSMCを加熱プレス成形する際の流動性も不良であった。さらに、樹脂硬化物のTgは110℃以上であったが、繊維強化複合材料のボイド面積は10%以上と不良であり、表面の算出平均粗さRaは0.74μmであり、曲げ撓み量は7.8mmと機械特性も不良であった。
(比較例3)
実施例7において、含水率の量を変更して、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製し、上記実施例と同様に40℃における粘度、Bステージ化後の40℃における粘度を測定した。さらにそれぞれの樹脂組成物を用いて、SMCおよび繊維強化複合材料を作製し、曲げ撓み量を測定した。調製直後の樹脂組成物の40℃における粘度は170mPa・sとSMC作製時の強化繊維への含浸性は良好であった。また、Bステージ化後の40℃における樹脂の粘度は120000Pa・sでありSMCを加熱プレス成形する際の流動性は不良であった。さらに、樹脂硬化物のTgは102℃と不良で、繊維強化複合材料のボイド面積は10%以上と不良であり、表面の算出平均粗さRaは0.53μmであり、曲げ撓み量は9.7mmと機械特性も不良であった。
(比較例4)
実施例7において、繊維強化複合材料に使用する不連続の強化繊維の束状集合体における角度aおよびbを変更して、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製し、上記実施例と同様に40℃における粘度、Bステージ化後の40℃における粘度を測定した。さらにそれぞれの樹脂組成物を用いて、SMCおよび繊維強化複合材料を作製し、曲げ撓み量を測定した。調製直後の樹脂組成物の40℃における粘度は920mPa・sとSMC作製時の強化繊維への含浸性は良好であった。また、Bステージ化後の40℃における樹脂の粘度は6300Pa・sでありSMCを加熱プレス成形する際の流動性は良好であった。さらに、樹脂硬化物のTgは135℃と良好であったが、繊維強化複合材料のボイド面積は10%以上と不良であり、表面の算出平均粗さRaは0.57μmであり、曲げ撓み量は9.3mmと機械特性も不良であった。
Figure 2019218445
Figure 2019218445
本発明のSMCは、従来のSMC用エポキシ樹脂組成物からなるSMCに比べ、多湿な条件においても流動特性がばらつかないSMCを与え、ボイドレスでかつ脱型時に割れが発生せず表面品位に優れた繊維強化複合材料を与えるという点で優れている。これにより、航空・宇宙用途、自動車用途の他、スポーツ・産業用途全般に繊維強化複合材料の適用が進み、化石燃料を中心とするエネルギー消費量の削減に繋がり、地球温暖化問題への貢献が期待できる。

Claims (9)

  1. 不連続の強化繊維の束状集合体と樹脂組成物とを含むシートモールディングコンパウンド(SMC)であって、前記束状集合体は、その強化繊維の配列方向に直角な方向の幅が最大となる面において、前記強化繊維の配列方向に対して、前記束状集合体中の強化繊維の両の端部の配列により形成される辺のそれぞれがとる鋭角の角度aおよび角度bがそれぞれ2°以上30°以下であり、前記樹脂組成物は、以下の成分(A)〜成分(C)を含む樹脂組成物である、シートモールディングコンパウンド。
    成分(A): 芳香族エポキシ樹脂
    成分(B): 脂肪族エポキシ樹脂
    成分(C): 脂肪族アミン
  2. 成分(B)の25℃粘度が100mPa・s以上10000mPa・s以下である、請求項1に記載のシートモールディングコンパウンド。
  3. 成分(B)が1分子中におけるエポキシ基が3つ以上の脂肪族エポキシである、請求項1または2に記載のシートモールディングコンパウンド。
  4. 前記樹脂組成物は、成分(D)として、脂肪族アミン以外のエポキシ硬化剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンド。
  5. 前記樹脂組成物が、下記の条件を満たす、請求項1〜4のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンド。
    1.5≦α/β≦10
    α:成分(A)および成分(B)のエポキシ基総量
    β:成分(C)の活性水素数
  6. 成分(A)がビスフェノール型エポキシ樹脂である、請求項1〜5のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンド。
  7. 成分(D)がジシアンシアミドまたはその誘導体である、請求項1〜6のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンド。
  8. 前記強化繊維が炭素繊維である、請求項1〜7のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンド。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンドが硬化されてなる繊維強化複合材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112724608A (zh) * 2021-01-29 2021-04-30 河北铭特环保设备科技有限公司 一种双酚a型smc模压树脂组合物及其制备方法

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