JP6790492B2 - エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料、成形品および圧力容器 - Google Patents
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Description
[A]tert−ブチル基、sec−ブチル基、イソプロピル基またはフェニル基で置換されたフェニルグリシジルエーテルである単官能エポキシ樹脂
[B]以下の[b1]、[b2]および[b3]からなる群から選ばれる少なくとも1つのエポキシ樹脂
[b1]置換されていてもよいジグリシジルアニリン
[b2]テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン
[b3]フルオレン構造を有する2官能以上のエポキシ樹脂
[C]アミン系硬化剤または酸無水物系硬化剤。
[A]tert−ブチル基、sec−ブチル基、イソプロピル基またはフェニル基で置換されたフェニルグリシジルエーテルである単官能エポキシ樹脂
[B]以下の[b1]、[b2]および[b3]からなる群から選ばれる少なくとも1つのエポキシ樹脂
[b1]置換されていてもよいジグリシジルアニリン
[b2]テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン
[b3]フルオレン構造を有する2官能以上のエポキシ樹脂
[C]アミン系硬化剤または酸無水物系硬化剤。
構成要素[A]
・[A]−1 “デナコール(登録商標)”EX−146(p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ナガセケムテックス(株)製)
・[A]−2 “デナコール(登録商標)”EX−142(o−フェニルフェノールグリシジルエーテル、ナガセケムテックス(株)製)。
・[b1]−1 GAN(N,N’−ジグリシジルアニリン、日本化薬(株)製)
・[b1]−2 GOT(N,N’−ジグリシジルオルソトルイジン、日本化薬(株)製)
・[b2] “スミエポキシ(登録商標)”ELM434(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、住友化学(株)製)
・[b3] “オグソール(登録商標)”PG−100(フルオレン系エポキシ樹脂、大阪ガスケミカル(株)製)。
・“jER(登録商標)”828(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製)
・“jER(登録商標)”830(液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製)
・“アラルダイト(登録商標)”MY0500(トリグリシジル−p−アミノフェノール、ハンツマン・ジャパン(株)製)
・“デナコール(登録商標)”EX−141(フェニルグリシジルエーテル、ナガセケムテックス(株)製)。
・“ARADUR(登録商標)”5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製)
・“JEFFAMINE(登録商標)”D230(ポリプロピレングリコールジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製)
・“JEFFAMINE(登録商標)”D400(ポリプロピレングリコールジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製)
・“Baxxodur(登録商標)”EC201(イソホロンジアミン、BASFジャパン(株)製)
・“Baxxodur(登録商標)”EC331(3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、BASFジャパン(株)製)。
・HN−2200(メチルテトラヒドロ無水フタル酸、日立化成(株)製)
・“KAYAHARD(登録商標)”MCD(無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸と無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸の混合液(表中では、一般名の無水メチルナジック酸を記載)、日本化薬(株)製)
・“U−CAT(登録商標)”SA 102(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7の2−エチルヘキサン酸塩、サンアプロ(株)製)
・“カオーライザー(登録商標)”No.20(N,N−ジメチルベンジルアミン、花王(株)製)
・“キュアゾール(登録商標)”2E4MZ(2−エチル−4−メチルイミダゾール、四国化成工業(株))。
ビーカー中に、構成要素[A]、[B]および必要に応じそれ以外のエポキシ樹脂を投入し、80℃の温度まで昇温させ30分加熱混練を行った。その後、混練を続けたまま30℃以下の温度まで降温させ、構成要素[C]および必要に応じそれ以外の硬化剤や硬化促進剤を加えて10分間撹拌させ、エポキシ樹脂組成物を得た。
上記<エポキシ樹脂組成物の調製方法>に従い調製したエポキシ樹脂組成物の粘度を、JIS Z8803(2011)における「円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装着したE型粘度計(東機産業(株)製、TVE−30H)を使用して、回転速度10回転/分で測定した。なお、エポキシ樹脂組成物を調製後、25℃に設定した装置に投入し、1分後の粘度を測定した。
上記<エポキシ樹脂組成物の調製方法>に従い調製したエポキシ樹脂組成物を、一方向に引き揃えたシート状にした炭素繊維“トレカ(登録商標)”T700S−12K−50C(東レ(株)製、目付150g/m2)に常温で含浸させ、エポキシ樹脂含浸炭素繊維シートを得た。得られたシートを繊維方向が同じになるよう8枚重ねた後、金属製スペーサーにより厚み1mmになるよう設定した金型に挟み、その金型をプレス機で2時間加熱硬化を実施した。その後、プレス機から金型を取り出し、さらにオーブンで4時間加熱硬化し、繊維強化複合材料を得た。硬化条件は、使用する硬化剤に応じて以下のAまたはBを適用した。
・硬化条件A: 100℃で2時間硬化した後、150℃で4時間硬化。
・硬化条件B: 80℃で2時間硬化した後、110℃で4時間硬化。
エポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で硬化させ、厚さ2mmの板状の樹脂硬化物を得た。硬化条件は、使用する硬化剤に応じて以下のAまたはBを適用した。
・硬化条件A: 100℃で2時間硬化した後、150℃で4時間硬化。
・硬化条件B: 80℃で2時間硬化した後、110℃で4時間硬化。
上記<繊維強化複合材料の作製方法>に従い作製した繊維強化複合材料から、幅12.7mm、長さ229mmになるように切り出し、両端に1.2mm、長さ50mmのガラス繊維強化プラスチック製タブを接着した試験片を用い、ASTM D 3039に準拠して、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いてクロスヘッドスピード1.27mm/分で引張強度を測定した。サンプル数n=6で測定した値の平均値を引張強度とした。
上記<繊維強化複合材料の作製方法>に従い作製した繊維強化複合材料から、小片(5〜10mg)を採取し、JIS K7121(1987)に従い、中間点ガラス転移温度(Tmg)を測定した。測定には示差走査熱量計DSC Q2000(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、窒素ガス雰囲気下においてModulatedモード、昇温速度5℃/分で測定した。
構成要素[A]として“デナコール(登録商標)”EX−146を15質量部、構成要素[B]としてGANを50質量部、その他のエポキシ樹脂として“jER(登録商標)”828を35質量部、構成要素[C]としてHN−2200を119質量部、硬化促進剤として“U−CAT(登録商標)”SA 102を2質量部用い、上記<エポキシ樹脂組成物の調製方法>に従ってエポキシ樹脂組成物を調製した。
樹脂組成をそれぞれ表1から4に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法(ただし、硬化条件は表中に記載の硬化条件AまたはBに従う)でエポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物、および繊維強化複合材料を作製した。評価結果は表1から4に示した。得られたエポキシ樹脂硬化物は、いずれも良好な耐熱性、ゴム状態弾性率を示した。得られた繊維強化複合材料の引張強度利用率および耐熱性も良好であった。
構成要素[A]の代わりに、立体障害を持たない単官能エポキシである“デナコール(登録商標)”EX−141を用いた以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表5に示した。ガラス転移温度は116℃と良好であったが、ゴム状態弾性率が12.4MPaと高い値を示した。その結果、繊維強化複合材料の引張強度利用率は69%と、不十分であった。
構成要素[A]を添加しなかった以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表5に示した。ガラス転移温度は136℃と良好であったが、ゴム状態弾性率が11.8MPaと高い値を示した。その結果、繊維強化複合材料の引張強度利用率は69%と、不十分であった。
構成要素[B]を添加しなかった以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表5に示した。ガラス転移温度は125℃と良好であったが、ゴム状態弾性率が11.0MPaと高い値を示した。その結果、繊維強化複合材料の引張強度利用率は70%と、不十分であった。
樹脂組成を表5に示したように変更し、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表5に示した。ゴム状態弾性率は6.7MPaと良好であったが、ガラス転移温度が66℃であった。その結果、繊維強化複合材料のガラス転移温度が68℃と、耐熱性が不十分であった。
構成要素[A]の代わりに、立体障害を持たない単官能エポキシである“デナコール(登録商標)”EX−141を用いた以外は、実施例26と同じ方法でエポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表5に示した。ゴム状態弾性率は3.3MPaと良好であったが、ガラス転移温度が86℃であった。その結果、繊維強化複合材料のガラス転移温度が89℃と、耐熱性が不十分であった。
構成要素[A]を添加しなかった以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表5に示した。ガラス転移温度は145℃と良好であったが、ゴム状態弾性率が13.2MPaと高い値を示した。その結果、繊維強化複合材料の引張強度利用率は70%と、不十分であった。
構成要素[B]を添加しなかった以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表5に示した。ゴム状態弾性率は5.2MPaと良好であったが、ガラス転移温度が85℃であった。その結果、繊維強化複合材料のガラス転移温度が87℃と、耐熱性が不十分であった。
樹脂組成を表5に示したように変更し、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表5に示した。ゴム状態弾性率は6.4MPaと良好であったが、ガラス転移温度が70℃であった。その結果、繊維強化複合材料のガラス転移温度が72℃と、耐熱性が不十分であった。
特許文献1(特開2005−120127号公報)の実施例1に記載の方法に従い、エポキシ樹脂組成物を作製した。得られた樹脂硬化物のガラス転移温度は203℃と高かったが、ゴム状態弾性率は25.0MPaと非常に高い値を示した(表6)。このエポキシ樹脂組成物は粘度が高く、上記<繊維強化複合材料の作製方法>では樹脂が繊維に含浸せず、繊維強化複合材料に多量のボイドが含まれた。そこで、エポキシ樹脂組成物を70℃に加温して含浸させ、エポキシ樹脂含浸炭素繊維シートを得た。以降は上記<繊維強化複合材料の作製方法>と同様にして、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の引張強度利用率は61%と、不十分であった。
特許文献2(特開2010−59225号公報)の実施例14に記載の方法に従い、エポキシ樹脂組成物(ベース樹脂組成物)を作製した。これを硬化させて得られた樹脂硬化物のガラス転移温度は193℃と高かったが、ゴム状態弾性率は21.1MPaと非常に高い値を示した(表6)。このエポキシ樹脂組成物は非常に粘度が高く、上記<繊維強化複合材料の作製方法>や比較例9に示した方法ではエポキシ樹脂含浸炭素繊維シートが作製できなかった。そこで、エポキシ樹脂組成物をアセトンに溶解し、液状とせしめた後に炭素繊維に含浸させ、その後減圧乾燥してアセトンを留去することで、エポキシ樹脂含浸炭素繊維シートを作製した。以降は上記<繊維強化複合材料の作製方法>と同様にして、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の引張強度利用率は61%と、不十分であった。
特許文献3(特許第4687167号公報)の実施例6に記載の方法に従い、エポキシ樹脂組成物を作製した。これを硬化させて得られた樹脂硬化物のガラス転移温度は105℃であり、ゴム状態弾性率は11.2MPaと高い値を示した(表6)。このエポキシ樹脂組成物は非常に粘度が高かったため、比較例10と同様の方法でエポキシ樹脂含浸炭素繊維シートを作製した。以降は上記<繊維強化複合材料の作製方法>と同様にして、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の引張強度利用率は70%と、不十分であった。
特許文献4(特開2001−323046号公報)の実施例6に記載の方法に従い、エポキシ樹脂組成物を作製した。これを硬化させて得られた樹脂硬化物のガラス転移温度は173℃と高かったが、ゴム状態弾性率は18.0MPaと非常に高い値を示した(表6)。このエポキシ樹脂組成物は非常に粘度が高かったため、比較例10と同様の方法でエポキシ樹脂含浸炭素繊維シートを作製した。以降は上記<繊維強化複合材料の作製方法>と同様にして、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の引張強度利用率は63%と、不十分であった。
特許文献5(特開2012−67190号公報)の実施例18に記載の方法に従い、エポキシ樹脂組成物を作製した。これを硬化させて得られた樹脂硬化物のガラス転移温度は169℃であり、ゴム状態弾性率は15.0MPaと高い値を示した(表6)。このエポキシ樹脂組成物は、非常に粘度が高かったため、比較例10と同様の方法でエポキシ樹脂含浸炭素繊維シートを作製した。以降は、上記<繊維強化複合材料の作製方法>と同様にして、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の引張強度利用率は67%と、不十分であった。
特許文献6(国際公開第2011/118106号)の実施例5に記載の方法に従い、エポキシ樹脂組成物を作製した。これを硬化させて得られた樹脂硬化物のガラス転移温度は162℃であり、ゴム状態弾性率は13.2MPaと高い値を示した(表6)。このエポキシ樹脂組成物は、非常に粘度が高かったため、比較例10と同様の方法でエポキシ樹脂含浸炭素繊維シートを作製した。以降は、上記<繊維強化複合材料の作製方法>と同様にして、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の引張強度利用率は72%と、不十分であった。
特許文献7(特開昭63−86758号公報)の実施例2に記載の方法に従い、エポキシ樹脂組成物を作製した。これを硬化させて得られた樹脂硬化物のガラス転移温度は205℃であり、ゴム状態弾性率は19.3MPaと高い値を示した(表6)。このエポキシ樹脂組成物は、非常に粘度が高かったため、比較例10と同様の方法でエポキシ樹脂含浸炭素繊維シートを作製した。以降は、上記<繊維強化複合材料の作製方法>と同様にして、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の引張強度利用率は61%と、不十分であった。
Claims (12)
- 少なくとも次の構成要素[A]〜[C]を含み、25℃における粘度が2,000mPa・s以下であるエポキシ樹脂組成物であって、該エポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物の動的粘弾性評価におけるゴム状態弾性率が10MPa以下であり、かつ該硬化物のガラス転移温度が95℃以上であることを特徴とする、エポキシ樹脂組成物。
[A]tert−ブチル基、sec−ブチル基またはイソプロピル基で置換されたフェニルグリシジルエーテルである単官能エポキシ樹脂
[B]以下の[b1]、[b2]および[b3]からなる群から選ばれる少なくとも1つのエポキシ樹脂
[b1]置換されていてもよいジグリシジルアニリン
[b2]テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン
[b3]フルオレン構造を有する2官能以上のエポキシ樹脂
[C]アミン系硬化剤または酸無水物系硬化剤 - 構成要素[A]を、全エポキシ樹脂100質量部中20〜50質量部含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 構成要素[B]が、[b1]または[b2]のいずれか1つである、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 構成要素[B]が、[b1]と[b2]を同時に含む、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 構成要素[C]が、酸無水物系硬化剤である、請求項1から4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 構成要素[C]として、ノルボルネン骨格またはノルボルナン骨格を有する化合物を含む、請求項5に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 構成要素[C]が、液状のアミン系硬化剤であって、構成要素[C]としてアミノ基のオルト位に置換基を有する芳香族ジアミンまたはアミノ基を有する炭素原子に隣接する炭素原子が置換基を有するシクロアルキルジアミンを含む、請求項1から4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 構成要素[C]として、さらにアルキレングリコール構造を有する脂肪族ポリアミンを含む、請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 構成要素[C]として、さらにイソホロンジアミンを含む、請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1から9のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維とからなる繊維強化複合材料。
- 請求項10に記載の繊維強化複合材料からなる成形品。
- 請求項10に記載の繊維強化複合材料からなる圧力容器。
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