JP2018152080A - 修飾した核酸を用いる情報伝播のシステムおよび方法 - Google Patents

修飾した核酸を用いる情報伝播のシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

【課題】核酸に基づく分子コンピューティングシステムを改善する方法を提供する。
【解決手段】第1分子、および第1分子と結合するように形成された第2分子を含む、情報を伝播する系であって、第1分子または第2分子の少なくとも1つが、それぞれ、第1分子または第2分子と同じ配列内容を有する参照分子と比較して化学修飾を有し、前記修飾が参照分子と第1または第2分子との間の参照結合のそれと異なる自由エネルギーを有する前記結合を引き起こし、その結果、生産的結合の確率の上昇および非生産的結合の確率の低下のうちの少なくとも1つを実現する。
【選択図】図1A

Description

本発明は、核酸に基づく分子コンピューティングシステムを改善する方法に関する。
分子を用いてナノ規模コンピューターを実現できる可能性がある。かかるコンピューターをある特定の計算問題を解くために適合させることができる。特に、生体分子を使用するコンピューターは生体環境と共存しうる、従って複雑な疾患診断またはさらに治療に利用できる可能性がある。
一つの核酸配列を他の核酸配列に翻訳する能力を用いて、論理ゲートとネットワークを核酸で構築することができる。これらのゲートとネットワークは2つの事象:ハイブリダイゼーション(hybridization)および鎖置換(strand displacement)により駆動される。両事象は一般に熱力学的に好都合である;すなわち、これらの事象は高エネルギー状態から低エネルギー状態への移行に関わる。従って、両事象は系内で自発的に起こりうる。
ハイブリダイゼーションは核酸の遊離一本鎖に関わる。従って、核酸ネットワークはこれらの遊離鎖の利用可能性により調節することができる。
「隔離事象(sequestering event)」は、ある特定の配列の条件付きでネットワーク残部による利用を可能にする。かかる事象によって、ある一本鎖の核酸配列を異なる一本鎖の核酸配列に変換する翻訳器(translator)の構築が可能になる。これらの翻訳器は、その上に核酸を用いて基礎的な論理演算子、例えば、AND、NOT、OR、NAND、NOR、XORおよびXNORを構築する基盤となる。これらおよび他の論理構成要素から、増幅子(amplifier)などの構成要素を含むさらに大きいネットワークを構築することができる。結果として、これらの翻訳事象は核酸による情報処理および分子コンピューティングにとって重要である。
本発明の一態様によって、核酸に基づく分子コンピューティングシステムを改善する方法を提供する。その方法は、(A)(i)不完全に塩基対合した二重鎖ドメインを含む核酸構造、(ii)前記核酸構造とハイブリダイゼーション条件下で結合することができて、その結果、前記核酸構造が二重鎖ドメインに関わる分枝転位反応によってエネルギー状態の遷移を受けることを特徴とする、少なくとも1つのポリヌクレオチド置換分子、および(iii)ハイブリダイゼーション条件下での前記核酸構造との結合について前記ポリヌクレオチド置換分子と競合するが、二重鎖ドメインに関わる分枝転位反応を起こすことはできない衝突ポリヌクレオチド分子(clashing polynucleotide molecule)を含むものであるコンピューティングシステムを特定するステップ;次いで、(B)場合によっては、置換分子および核酸構造、それぞれ、の少なくとも1つを再形成し、天然ヌクレオシドを含みかつ置換分子または核酸構造と同じ配列内容を有する第1参照分子と比較して化学修飾を組み入れるステップを含むものである。上記の修飾は置換分子または核酸構造と第1参照分子との間の第1参照結合のそれと異なるハイブリダイゼーション自由エネルギーを有する置換分子と核酸構造の結合を引き起こし、その結果、第1参照結合と比較して前記分枝転位反応が促進される。場合によっては、ステップ(B)の後にまたは代わりにステップ(C)が存在し、衝突分子および核酸構造、それぞれ、の少なくとも1つを再形成し、天然ヌクレオシドを含みかつ衝突分子または核酸構造と同じ配列内容を有する第2参照分子と比較して化学修飾を組み入れる。その修飾は、衝突分子または核酸構造と第2参照分子との間の第2参照結合のそれと異なるハイブリダイゼーション自由エネルギーを有する置換分子と核酸構造の結合を引き起こし、その結果、第2参照結合と比較して衝突分子の結合が妨げられる。
本発明はまた、他の態様において、(A)不完全に塩基対合した二重鎖ドメインを含む核酸構造;(B)核酸構造とハイブリダイゼーション条件下で結合することができ、その結果、核酸構造が二重鎖ドメインに関わる分枝転位反応によってエネルギー状態の遷移を受けることを特徴とする、少なくとも1つのポリヌクレオチド置換分子;および(C)核酸構造とハイブリダイゼーション条件下で結合することができ、その結果、核酸構造と衝突分子が結合してポリヌクレオチド置換分子の結合を阻止する、少なくとも1つのポリヌクレオチド衝突分子を含む系を提供する。場合によっては、置換分子および核酸構造の少なくとも1つは、それぞれ、天然ヌクレオシドを含みかつ置換分子または核酸構造と同じ配列内容を有する参照分子と比較して化学修飾を有する。その修飾は置換分子または核酸構造と参照分子との間の参照結合のそれとは異なるハイブリダイゼーション自由エネルギーを有する結合を引き起こし、その結果、前記分枝転位反応は参照結合と比較して促進される。場合によっては、さらにまたは代わりに、衝突分子と核酸構造の少なくとも1つは、それぞれ、天然ヌクレオシドを含みかつ、前記置換分子または前記核酸構造と、同じ配列内容を有する参照分子と比較して化学修飾を有する。その修飾は、置換分子または核酸構造と参照分子との間の参照結合のそれと異なるハイブリダイゼーション自由エネルギーを有する結合を引き起こし、前記衝突分子の結合が参照結合と比較して妨げられる。
さらに他の態様においては、情報を伝播する系を提供する。その系は第1分子および第1分子と結合するように形成された第2分子を含む。場合によっては、第1分子と第2分子の少なくとも1つは、それぞれ、第1分子または第2分子と同じ配列内容を有する参照分子と比較して化学修飾を有する。その修飾は参照分子と第1または第2分子との間の参照結合のそれと異なる自由エネルギーを有する結合を引き起こし、その結果、生産的結合の確率の上昇または非生産的結合の確率の低下のうちの少なくとも1つが前記系において実現される。
核酸翻訳器の固相隔離実装を図解し、ここで個々のセクション(A、B、など)は任意の長さと配列のオリゴヌクレオチドの連鎖を表す。 核酸翻訳器の固相隔離実装がオリゴヌクレオチドの連鎖を隔離するやり方を図解する。 核酸翻訳器の「トウホールド(toe-hold)」隔離実装を図解する。再び、個々のセクションは任意の長さと配列のオリゴヌクレオチドの連鎖を表す。 核酸翻訳器の「トウホールド(toe-hold)」隔離実装がオリゴヌクレオチドの連鎖を隔離するやり方を図解する。 3つのトウホールド隔離された核酸翻訳器の系を示す。示した反応は図2Aと同じ分枝転位機構により進行する全ての鎖置換反応を示す。 図3に示したのと同じであるが、鎖置換反応の代わりに、トウホールド「衝突」を示すオリゴヌクレオチドによる系を示し、ここでトウホールドには鎖置換反応を起こすことができない配列が結合している。この結合事象がトウホールドを占有し、その結果、所望の鎖は結合することができない。 不完全に塩基対合した核酸構造を図解したが、これには(a)末端;(b)内部ループ;ならびに(c)および(d)複数部分の複合体が含まれる。 図3Aに示した核酸翻訳器の系において、どうしてオリゴヌクレオチドの連鎖を結合親和性を増加する化学修飾および/またはオリゴヌクレオチドの連鎖を結合親和性を低減する修飾で取り換えることにより、平衡をトウホールド衝突より好都合な鎖置換反応に移動することができるかの模式図的描写である。 修飾した核酸類似体の主鎖構造を示し、ここで「B」は任意の核酸塩基を表し、そして(a)はDNAに見出される天然のホスホジエステル主鎖を示し、(b)はペプチド核酸を示し、(c)はグアニジニウムペプチド核酸を示し、(d)はL-セリン由来のγ-PNAを示し、そして(e)はホスホロジアミデート(ここではモルホリノ糖を伴う)。 修飾した核酸類似体の糖構造を示し、ここで「B」は任意の核酸塩基を図解し、そして(a)はDNAに見出される天然のデオキシリボース糖を示し、(b)はモルホリノ類を示し、(c)はロックされた核酸を示し、そして(d)は弗素修飾されたRNA誘導体を示す。 核酸類似体用に修飾された核酸塩基構造、メチルシトシン(a)、ジアミノプリン(b)、フェノキサジン(c)、およびG-クランプ(d)を図解する。 本発明による化学修飾に起因する反応速度変化を示す蛍光動力学アッセイを図解する。
様々な手法、例えば、固相隔離、トウホールド隔離、およびトウホールド交換を、核酸配列を翻訳するのに用いて、論理演算子とネットワークを構築することができる。以下にさらに詳しく記載したこれら3つの特別な手法を、3-ウエイ、トウホールド介在型分枝転位反応を利用する幾何を介して例示する。しかし、分枝転位反応はさらなる機構が可能であり、限定されるものでないが、4-ウエイ分枝転位、4-ウエイ加速転位、および複数鎖複合体転位が含まれる。
従って、以下の実施形態は説明の目的で3-ウエイ分枝転位を用いて記載されるが、本発明は他の分枝転位経路を利用するために構築されるDNA論理ゲートとネットワークを包含する。逆に、本発明の実施形態はいずれの分枝転位反応にも応用することができる。
固相隔離は、ビーズ、ナノ粒子、または表面を用いて、関連配列/鎖の空間を物理的に分離する手法を用いる。この手法は、有機化学関係で広く使われている部位隔離の原理を利用する。固相隔離幾何では、この置換事象が起こるタイミングは、必要鎖がこの系の溶液中または固相のどちらに存在するかを調節することにより制御することができる。
図1Aは、翻訳器(translator)(系が他の核酸配列を1つの核酸配列に置き換えることを可能にする構成要素)の基礎的な固相隔離機構を示す。ここで、鎖A'-X'(ここで、AとXはそれぞれ任意の長さおよび配列のオリゴヌクレオチドの連鎖を表し、A'とX'はそれらの逆相補配列をそれぞれ表す)は固体支持体と結合していて、最初にY-B-Xとハイブリダイズし、不完全に塩基対合した二重鎖の形の核酸構造(翻訳器として機能しうる)を形成する。この形では、鎖Y-B-Xは固相隔離されていて系の残部と相互作用することはできない。しかし、鎖X-A(「ポリヌクレオチド置換分子」と呼ばれる)が存在すると、鎖Y-B-Xは固体支持体から置換されてこの系の溶液相に曝される一方、鎖X-Aは支持体と結合する。この操作は、2ステップで行われ、第1ステップは相補配列AとA'のハイブリダイゼーション(しばしばトウホールド(toe-hold)結合と呼ばれる)である。第2ステップにおいて、鎖X-AのX領域はA'-X'のX'領域と結合してY-B-XのX領域と置換してこの鎖を溶液中に放出する一方、固体支持体と結合したX-Aを残す(このステップはしばしば分枝転位反応と呼ばれる)。この2ステップのプロセスは効果的に遊離X-A鎖の遊離Y-B-X鎖への翻訳を可能にする。
図1Bは、不完全な塩基対合二重鎖である「翻訳器1」と相互作用する入力鎖X-Aを有する系を示す。その出力は「廃棄」産物と考えられる完全な塩基対合二重鎖A'-X'/X-Aおよび「出力1」と呼ばれてさらなる反応で「入力2」として用いることができる出力鎖Y-B-Xを含む。「入力2」は「翻訳器2」と相互作用し、「出力2」と他の廃棄産物を生産する。この図において、鎖Y-B-XのB領域はこのネットワークにおける配列隔離を図解する。出発時、Y-B-Xは翻訳器2のB'領域とハイブリダイズできない、何故なら両方は別々の固体支持体上に単離されているからである。入力1が翻訳器1と結合してY-B-Xを溶液中に放出すると、そこでY-B-Xは翻訳器2と結合することができる。それ故に、Y-B-Xと翻訳器2の相互作用する能力は入力1の存在が条件となる。
1つの固体表面と結合した鎖は、立体効果によって他の固体表面上の鎖とは極めて遅くしか相互作用しない。それ故に、溶液中の鎖が固相演算子と相互作用しうる唯一の構成要素である。
トウホールド隔離とトウホールド交換は類似の対合相互作用を用いるが異なる幾何の別の手法である。両方とも固相翻訳器と同じ操作を遂行できるが、二重鎖に結合された配列の連鎖を保つことにより機能する。丁度、固相翻訳器におけるように、置換事象は目的の配列を遊離しうる。両方のトウホールド幾何については、置換事象の結果、鎖の全ては一緒に溶液中にあり、トウホールド(すなわち、置換事象の出発点を与える一本鎖核酸配列の短い連鎖)の利用可能性により制御される。
図2Aは図1Aのそれと類似するが、固相よりむしろトウホールド隔離に基づくトウホールド隔離翻訳器を示す。この例において、翻訳器のA'領域は入力鎖と結合して鎖置換反応の進行を可能にするトウホールドである。
図2Bは、不完全な塩基対合二重鎖「翻訳器1」と相互作用する入力鎖A-X-Bを有する、トウホールドに基づく系を示す。出力には、廃棄産物、すなわち、完全な塩基対合二重鎖、B'-X'-A'/A-X-B、およびさらなる反応で「入力2」として用いることができる「出力1」鎖X-B-Y-Cが含まれる。「入力2」は「翻訳器2」と相互作用し、「出力2」および他の廃棄産物を生産する。この図において、翻訳器1のX-B-Y-CのB領域は相補性B'領域とハイブリダイズすることにより隔離されていて、それ故に翻訳器2のB'領域と相互作用はできない。X-B-Y-Cが翻訳器2と相互作用できるのは、系における入力1(A-X-B)の存在が条件となる。
トウホールド幾何は非常に有用である可能性をもつが、その使用は今まで、かかるトウホールド幾何を含有する系の情報伝播速度により制限されてきた。これは、生体に有用な時間尺度未満に減速する現在のトウホールド隔離手法に存在する固有の制限による。これらの動力学隘路は、トウホールドが置換反応を生じ得ない相補配列または「衝突鎖」を有する分子と結合する時に起こる非生産的反応(本明細書では「トウホールド衝突」と呼ぶ)の結果である。
図3Aは図2Aのものとよく似た、3つのトウホールド隔離された核酸翻訳器の系を示す。しかし、もし全ての3つの鎖が一緒に溶液中で存在すれば、他の結合事象が起こりうる。図3Bは起こりうる非生産的結合事象または衝突のいくつかを図解する。「ポリヌクレオチド衝突分子」が関わることにより、衝突鎖の出現は鎖を置換反応の生産的結合を遮断するので、これらの事象は置換反応に導かず、系を減速しうる。
トウホールドを短く保ってこれらの衝突系に与える効果を和らげることができる:すなわち、トウホールドが短いほど、相補配列のオン/オフ速度が速くなる。従って、5または6個のヌクレオチド長のトウホールドが一般的である、何故なら、これらの長さでは、もし非生産的結合事象が起こっても、二重鎖の「衝突」状態に費やされる時間が短いからである。しかし、生産的結合事象も同じ熱力学パラメーターにより拘束されるので、この手法は上述の動力学隘路を新しく引き起こし、従って、進入する鎖も同様にこれらのトウホールドに強く結合しない。その結果、正しい進入鎖が結合する時に所望の置換が必ずしも起こるとは限らない、何故なら、置換反応を開始するには十分長く結合状態にあることを必要とするからである。短いトウホールドを用いると、従って、所与の操作が起こりかつ出力を生産するのに必要な時間量が増加する。言い換えれば、衝突鎖と所望鎖の両方による多くの結合が出現するまで置換反応は起こり得ない。この非効率性が有用であるには長過ぎる時間尺度まで情報伝播を減速することにより、この系の実用性を制限している。
本発明の態様に従えば、核酸構造および/またはポリヌクレオチド置換分子を化学修飾することにより生産的相互作用が促進される。これによって、生体応用の任意サイズのネットワーク中に個々の論理ゲートを一緒に鎖状に繋ぐことが実行可能になる。さらに具体的には、配列の情報内容を変えることなく衝突相互作用に不都合となりしかも生産的相互作用に好都合となるやり方を決定する手法が提供される。
本発明によれば、これらの手法は、全て、配列内容を変えることなく、所望の鎖との結合の熱力学を改善しおよび/または衝突鎖との結合の熱力学を不都合にする。特に、化学修飾した構造を用いて、所与のオリゴヌクレオチドとそのDNAもしくはRNA相補配列との間の所望のハイブリダイゼーション反応に対するGibbs自由エネルギー(ΔG)を低下しおよび/または衝突相互作用のΔGを増加する。分子レベルで、これらはそれぞれ所望のハイブリダイゼーション反応のより強い結合(より高い結合親和性)および衝突鎖に対するより弱い結合(より低い結合親和性)に対応し、構造の修飾からもたらされる。
前者は所望のトウホールドとの結合事象に対する平衡を二重鎖(結合した)状態の方へ移動し、トウホールドと衝突鎖との間の結合の平衡に影響を与えることなく置換反応が起こるのにより好都合な機会を作り出す。後者は衝突鎖の結合を不都合にし、これらの相互作用が無結合状態であることを好都合にする。所望の鎖の結合を好都合にしかつ衝突鎖の結合を不都合にするために、これらの2つの変化を別々にまたは一緒に用いることができる。
本発明による実施形態は、トウホールドの介在する鎖置換の反応速度は結合される2つの核酸鎖または複合体の熱力学的に好都合な状態に関係があるという事実を利用している。これらの熱力学を非衝突結合事象に対してさらに好都合にすることおよび/または衝突結合事象に対してさらに不都合にすることにより、この系を生産的置換反応に向けて駆動することができる。これにより、情報を伝播する速度を生体関連時間尺度で利用できる点まで加速しうる。本明細書に記載の本発明の手法はこの加速を系のオリゴヌクレオチドの連鎖に対する化学修飾を介して達成する。
本発明による、核酸構造および/またはポリヌクレオチド分子のかかる化学修飾によって、本反応が最適である有効濃度範囲は拡張される。これは、所与の温度における二重鎖核酸のパーセントが濃度とハイブリダイゼーション反応のΔGの関数であるから起こるのである。従って、相補性オリゴヌクレオチドのセットが濃厚であるほど二重鎖形成のパーセントは高くなり、かつΔGが低い(より好都合である)ほど二重鎖形成のパーセントが高くなる。所与の相互作用のΔGを変えると、所与の濃度における%二重鎖が変わる。ΔGを下げること(すなわち、相互作用をさらに好都合にすること)は、所与の濃度における二重鎖のパーセントが高くなりうることを意味する一方、ΔGを上げること(すなわち、相互作用をさらに不都合にすること)は、同じ濃度における二重鎖のパーセントが低くなりうることを意味する。この効果はこれらの反応を実用しうる最適濃度範囲を広げる、何故なら、未修飾のオリゴヌクレオチドの参照セットと比較して、所望の二重鎖をより低い濃度において形成することができ、しかも望ましくない二重鎖はより高い濃度において形成されないであろう。
これらの手法は、限定されるものでないが、以上考察した3-ウエイ分枝転位反応を含む、トウホールドの介在する反応幾何に適用できる。分枝またはループが構造中の色々な点に配置された不完全な塩基対合二重鎖に、色々な構造を用いることができる(例えば、図3Cを参照)。鎖の方向性について分枝またはループの配向は予測してない。従って、これらの構造は(a)末端構造、(b)内部ループ、または(c)および(d)複数部分複合体、または不完全な塩基対合二重鎖に対する他の可能な構造を含みうる。
これらの核酸構造はアクティブな「入力」配列(置換ポリヌクレオチド)をアクティブな「出力」配列(放出されるポリヌクレオチド)に翻訳することができる。
以上の「翻訳器」と呼んだ核酸構造はそれらのそれぞれの熱力学的ミニマムでありうる;すなわち、これらは核酸配列の特別なセットが形成しうる最も安定な構造である。これらの構造は2以上の個々の核酸鎖をアニーリングすることにより形成することができる。例えば、全ての鎖を一緒に混合し、いずれかの構造を形成する融点を十分に超えるまで加熱し、次いで徐々に冷却降下してもよい。これは鎖を最低の可能なエネルギー状態(熱力学的ミニマム)でハイブリダイズさせる。
この手順は、DNAおよびRNAの様な天然の核酸、修飾された主鎖、糖、または塩基をもつ核酸、ならびに天然および修飾された核酸から成るキメラについても同じである。
特定の化学修飾の選択的結合は、トウホールド衝突結合事象を超える生産的置換反応の能力がある鎖の結合に好都合でありうる。例えば、図4は図3Aおよび3Bと同じ鎖を示す。しかし、もし核酸のある特定の連鎖が結合の熱力学を改善する化学修飾類似体で置き換えられれば、衝突に対する動力学は移動して置換反応が好都合になる。例えば、もし鎖X-B-Y-Cのオリゴヌクレオチドの「B」(太線の円で囲んだ)連鎖がB'に対して、鎖A-X-Bのオリゴヌクレオチドの「B」連鎖より高い結合親和性を有すれば、その平衡は移動して生産的な鎖置換反応が好都合になり、この反応が起こる確率または頻度を増加する。両方のB'は同じWatson-Crick塩基対合配列を有するが、X-B-Y-CとB'トウホールドの間の相互作用は化学修飾によってより好都合になる。
同様に、もし核酸のある特定の連鎖を結合に不都合である類似体で置き換えれば、その平衡は移動して衝突もなくなるであろう。例えば、もし鎖A-X-Bの「B」(破線の円で囲んだ)がX-B-Y-Cの「B」よりB'に対して弱い結合を有すれば、その平衡は移動してトウホールド衝突は無くなり、鎖置換反応に対する動力学を改善しうる。
両方の手法は核酸ネットワークがシグナルを処理しうる速度を加速する、何故なら、両方ともトウホールド上の所望鎖の滞留時間を、衝突鎖の滞留時間と比較して、増加するからである。これは、鎖置換反応が所与の期間に起こりうる、より良い機会を提供し、従って、ネットワークが所与の入力または入力セットを評価する速度を増加する。今までこれらの修飾は、置換反応を促進するまたは不都合にするため、意味のあるDNA論理ゲートおよびネットワークを構築するため、または情報を伝播するために用いられてなかった。
本発明の実施形態によって用いることができる、天然DNAまたはRNAとの結合の熱力学的特性を改善または低下するための、よく特徴付けられた核酸修飾は多数存在する。これらには、オリゴヌクレオチドの主鎖、糖、または核酸塩基に対する変化が含まれる。これらの修飾はまた、別々にまたはお互いを一緒に用いることができる;すなわち、修飾主鎖を用いることは同じ鎖における修飾核酸塩基の使用を排除するものではない。
核酸主鎖類似体を用いて置換反応を生産できる鎖の結合を改善することができる。用いることができるいくつもの異なる類似体が存在し、その全てが天然の核酸より強固なDNAおよびRNAとの結合親和性を提供する。これらの類似体には、限定されるものでないが、無電荷主鎖(ペプチド核酸またはホスホロジアミデート)、正電荷主鎖(グアニジニウムペプチド核酸)、およびプレ組織化を可能にする水素結合基(γペプチド核酸)をもつものが含まれる。
ある特定の類似体の一般構造を図5に示す。これらの類似体は全て核酸ハイブリダイゼーション反応の熱力学を改善し、より強固なトウホールド結合、それ故に、より速い置換を可能にする。論理ネットワークの特定場所にこれらの類似体を用いることにより、所望の置換反応が、衝突相互作用と比較して非常に好都合になり、従って、情報処理の速度を加速することができる。
修飾された糖環の使用もまた、オリゴヌクレオチドに対するDNAまたはRNAとの結合を変えることができる。最も広く使われる類似体はモルホリノ、ロックド核酸(LNA)、およびLNA誘導体である。他の修飾された糖類が文献に記載されていて、結合熱力学を変える観点で、類似の結果を作りだすことができる。これらの例は、1'、2'、3'または4'位が修飾された糖類およびリボースのシクロペンタン環の酸素を異なる原子で置き換えた糖類である。これらの類似体を図6に図解する。
核酸塩基修飾を用いて主鎖および糖類似体と同じ効果を達成する;すなわち、特定のハイブリダイゼーション反応の熱力学を変えることもできる。これらの塩基には、メチルシトシン、ジアミノプリン、G-クランプ、およびフェノキサジン(図7)が含まれ、これらは全て、その逆相補配列に対する鎖の結合親和性を改善する。核酸塩基修飾について存在する他の機会は偽相補性塩基に関わる。このクラスの塩基類似体はお互いに弱い塩基対合を形成するが標準塩基とは強い塩基対合を形成する。1つのかかる塩基対は2-アミノアデニン(nA)と2-チオチミン(sT)である。これらの塩基は、1つの鎖結合を好都合にする一方、他の鎖結合を不都合にするために用いることができ、一例は、生産的結合事象の尤度を増加する一方、同時に衝突の尤度を減少するものである。
結合相互作用の熱力学を変えるために利用できる他の化学修飾は、キトサンの様な荷電ポリマーの組み込みであり、これは置換反応速度を加速する文献に示されている。しかし、これらのポリマーは反応を非特異的に加速するので、これらは先に記載した所望と非所望の結合事象の間を区別できる他の修飾の一つと一緒に用いるべきであったろう。
色々な手法を用いて以上考察した化学修飾をもつ分子を合成することができる。例えば、修飾分子の設計の考慮には、主鎖化学を組み入れることができる。主鎖化学は個々のモノマーをより長い鎖中に組み入れるのに用いるものである。核酸塩基または糖に関わるがDNA/RNAの天然ホスホジエステル主鎖を保つ修飾は、天然モノマーに使う標準ホスホロアミダイト化学を介して合成することができる。これらの方法の説明は、例えば、それぞれの内容が本明細書に参照によりその全てが組み込まれる、Beaucage, S., and R. Iyer, Tetrahedron 48: 2223 (1992)、Brown, D. M. A, "Brief history of oligonucleotide synthesis," 20 Methods in Molecular Biology (Protocols for Oligonucleotides and Analogs) 1-17 (1993)、Reese, Colin B., Organic & Biomolecular Chemistry 3: 3851 (2005)、およびIyer, R. P.; and S.L. Beaucage, "7.05. Oligonucleotide synthesis," 7 Comprehensive Natural Products Chemistry (DNA and Aspects of Molecular Biology) 105-52 (1999)に見出される。
もし主鎖を特別な修飾で変えるのであれば、色々な化学を使うことができる。かかる修飾化学は一般に科学文献で公知である。このように、ペプチド核酸(PNA)とその誘導体はアミド結合に依存して個々のモノマーを一緒に連結する。それ故に、ホスホロアミダイト化学を用いる代わりに、これらのモノマー鎖をアミド結合形成条件とHBTUの様なカップリング試薬で作る。PNAまたはPNA様オリゴヌクレオチドを作るのに用いる方法の探索は、例えば、F. Beck, "Solid Phase Synthesis of PNA Oligomers(PNAオリゴマーの固相合成)", Methods in Molecular Biology Series (Peptide Nucleic Acids), Humana Press, http://www.springerlink.com/content/mr571738x7t65067/に見出すことができる。
他の主鎖修飾手法はキメラオリゴヌクレオチドが関わる。これらは同じ分子内に異なる主鎖化学を含有するオリゴヌクレオチド鎖である。例えば、もし半PNA主鎖と半DNA主鎖である鎖が必要であれば、2つの異なる主鎖化学を接合する方法を必要としうる。これらのキメラ鎖を作ることもまた、当技術分野では公知である。PNA/DNAキメラの上記例において、化学の相違により、修飾DNAもしくはPNAモノマーを用いることにより架橋することができる。DNAについては、5'-ジメトキシトリチル(DMT)保護ヒドロキシルを、脱保護後にPNAのカルボン酸と反応させることができるモノメトキシトリチル(MMT)保護アミンに置き換える。PNAについては、保護N-末端窒素を、脱保護後にDNA上のホスホロアミダイト基と反応させることができるDMT保護ヒドロキシルに置き換える。これらの手法はさらに詳しく、例えば、E. Uhlmann, et al., Angew. Chem. (Int'l ed.) 37: 2796 - 823 (1998)に記載されている。
これらの修飾の全ては、個々に用いてもまたはお互いを一緒に用いても、任意の核酸ネットワークにおける特定の相互作用の熱力学条件に影響を与えて、所望の鎖または複合体の結合が配列内容を変えることなく、衝突相互作用を超えて好都合にすることができる。これらの相互作用の全ては、それらが3-ウエイ分枝転位、例えば、固相隔離、トウホールド隔離、もしくはトウホールド交換であろうと、または他の機構、例えば、4-ウエイ分枝転位、4-ウエイ加速分枝転位、もしくは複数鎖複合体転位により起こる分枝転位であろうと、任意の分枝が介在する転位反応に適用することができる。
いくつかの実施形態によって、化学修飾分子の分枝転位反応に対する動力学の改善を試験することができる。一手法は色々な修飾が、天然ポリヌクレオチドと対比して、分枝転位反応の加速または遅延に与える改善を蛍光動力学アッセイを用いて測定する手法である(例えば、図8を参照)。ここで、翻訳器構造は1つの鎖上にクエンチャーを、そして他の鎖上にフルオロフォアを有する。置換鎖が存在しないと、フルオロフォアの蛍光がクエンチされて反応に対する基線を与える。トウホールドおよび/または非トウホールド領域にて修飾しうる置換分子を翻訳器に加えると、クエンチャーを持つ鎖と置換し、そうすることで蛍光シグナルを産生するであろう。それ故に、系における蛍光「ターン-オン」の速度は置換反応の動力学を示す。このアッセイは、評価すべき大きい回路を必要とした後に最終的な蛍光生成置換反応を行うことによるさらに手のこんだやり方で行なってもよく、または衝突鎖を加えてトウホールドに対する置換鎖と競合させることもできる。
本発明による手法はまた、第1分子と第2分子が関わって後者が前者と結合するように形成されている時には、伝播情報に好適である天然もしくは人工いずれの分子にも適用することができる。場合によっては、第1および第2分子それぞれの少なくとも1つは、第1分子または第2分子と同じ配列内容を有する参照分子と比較して、化学修飾を有する。修飾は参照分子と第1または第2分子との間の参照結合のそれと異なる自由エネルギーを有する結合を引き起こし、その系において次の効果:生産的結合を上昇させる効果または非生産的結合の確率を低下させる効果の少なくとも1つを実現する。
上記の通り、本発明に従い、複数ステップのプロセスを使って核酸ネットワークの改善を達成することができる。これには、衝突相互作用を含む、考察下の核酸翻訳器の全ネットワークを検査すること、次いで置換事象を促進しかつ衝突を最小化するために最も修飾を必要とする配列の連鎖を特定することが必要であろう。
所与の鎖置換反応については、これらの修飾を所望の置換分子で、衝突分子で、または両方で行うことができる。その理由は、翻訳器または利用可能なトウホールドをもつ論理ゲートに対して、所望の置換分子と衝突分子の間でトウホールドと結合する競合が存在しうる。さらに、置換分子の衝突分子と比較したトウホールドと結合する能力の増加は、置換反応が起こる速度を増加しうる。従って、置換分子の結合する能力の増加(結合のΔGを低下する)または衝突分子の結合する能力の減少(結合のΔGを上昇する)はこの反応速度を増加する効果を有しうる。これらの両方のΔGの変化は本発明による化学修飾を介して達成できるので、配列のどの連鎖を修飾するかを考察する際、置換分子単独で、衝突分子単独で、およびこれら両方を一緒に修飾する可能性を探索すべきであることは重要である。
本発明の実施形態によれば、この分析において変えることができる2つのパラメーターは(i)いずれか2つのオリゴヌクレオチド間の相互作用速度定数、および(ii)ネットワーク中の全てのオリゴヌクレオチドに対するトウホールドの長さである。前者のパラメーターはオリゴヌクレオチドの化学組成と他のオリゴヌクレオチドとの相互作用のΔGにより記述しうる。後者のパラメーターは考察下の配列のトウホールド領域中のヌクレオチドの数でありうる。
核酸ネットワークをモデル化するために必要な反応速度定数は2つのオリゴヌクレオチド間のハイブリダイゼーションのΔGから計算することができよう。天然塩基および修飾の多くについて、最も近隣のパラメーターから得られるこれらの値は文献に報じられている。もし未知であれば、これらは融点データのVan't Hoff分析、示差走査熱量測定、または等温滴定熱量測定を介して実験で決定することができる。これらの方法はそれぞれ、問題の核酸相互作用に対する熱力学的パラメーターをもたらし、次いでこれらを用いていずれかの温度における反応のΔGを決定することができる。次いでΔG値を用いて相互作用の平衡定数(Keq)を決定しうる。平衡定数は速度定数の比に比例しうる;従って、必要な所与の反応に対する反応速度定数を解くために公知の定数を用いることができよう。
このように、核酸論理ネットワークで用いる考察下の修飾に対する、速度定数の全セット、ならびに全てのトウホールドに対する長さが得られる。この情報を用いて、系をモデル化してネットワークの時間経過挙動を決定しうるし、そしてまた、どこに具体的な修飾を使用して生産的置換反応を衝突相互作用と比較して最適化しうるかを決定することができよう。さらに特定のトウホールド領域をモデルにおいて変えることができよう。ネットワークは、特定の位置における修飾を変えることにより、また、異なる長さのトウホールドを持つネットワークにおける反応をシミュレーションすることにより最適化しうる。これらの計算値を使って、ネットワークの最も好都合な時間経過挙動を作り出す各成分に対する最適な修飾およびトウホールド長さを決定しうる。
ネットワークの最適化はまた、修飾およびトウホールド長さを実験的に変化させ、次いで、数学モデルを用いた挙動のシミュレーションと対比して、研究室で時間経過挙動を研究することにより最適化することもできよう。
最適化し終わったネットワークが得られると、必要なオリゴヌクレオチドは、標準のホスホロアミダイト化学を用いてまたは特定の修飾に対して文献に報じられた手法を用いて合成することができよう。2以上のオリゴヌクレオチドから成る翻訳器またはゲート構造は、個々のオリゴヌクレオチドを一緒に混合し、次いで、それらをアニーリングし、最初に混合物を全ての可能な二重鎖の融点を超えるまで加熱し、次いでそれを徐冷することにより構築することができよう。これによってオリゴヌクレオチドはハイブリダイズし、その核酸配列の特別なセットが採用しうる最も安定な構造を形成するであろう。次いでこれらの構造を精製した後、ネットワークで使用してもよい。全ての翻訳器、ゲート、および他の成分が設計され、合成され、そしてアニーリングされると、このネットワークを標的アッセイ、診断、または生体系に応用することができよう。
本発明の特別な実施形態を考察したが、これらは説明のためのみであって、本発明を拘束するものではない。本明細書を総括すると、当技術分野の熟練者には明らかな本発明の多数の変化をなしうる。本発明の全容は以下の請求項とその同等物の全範囲、および本明細書とかかる変化の両方を参照して決定されなければならない。
引用文献
次の刊行物は本発明の実施形態を理解または実施する助けとなりうる。それぞれの引用文献は参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。
Figure 2018152080
Figure 2018152080
さらに他の態様においては、情報を伝播する系を提供する。その系は第1分子および第1分子と結合するように形成された第2分子を含む。場合によっては、第1分子と第2分子の少なくとも1つは、それぞれ、第1分子または第2分子と同じ配列内容を有する参照分子と比較して化学修飾を有する。その修飾は参照分子と第1または第2分子との間の参照結合のそれと異なる自由エネルギーを有する結合を引き起こし、その結果、生産的結合の確率の上昇または非生産的結合の確率の低下のうちの少なくとも1つが前記系において実現される。
本発明は、例えば、以下の実施形態を包含する:
(1)核酸に基づく分子コンピューティングシステムを改善する方法であって、
(A)(i)不完全に塩基対合した二重鎖ドメインを含む核酸構造、(ii)前記核酸構造とハイブリダイゼーション条件下で結合することができて、その結果、前記核酸構造が前記二重鎖ドメインに関わる分枝転位反応によってエネルギー状態の遷移を受ける、少なくとも1つのポリヌクレオチド置換分子、および(iii)ハイブリダイゼーション条件下での前記核酸構造との結合について前記ポリヌクレオチド置換分子と競合するが、二重鎖ドメインに関わる分枝転位反応を起こすことはできない衝突ポリヌクレオチド分子を含むものであるコンピューティングシステムを特定するステップ;次いで
(B)場合によっては、前記置換分子および前記核酸構造、それぞれ、の少なくとも1つを再形成して、天然ヌクレオシドを含みかつ前記置換分子または前記核酸構造と同じ配列内容を有する第1参照分子と比較して化学修飾を組み入れるステップであって、前記修飾が、前記置換分子または前記核酸構造と前記第1参照分子の間の第1参照結合のそれと異なるハイブリダイゼーション自由エネルギーを有する前記置換分子と前記核酸構造の結合を引き起こし、その結果、前記第1参照結合と比較して前記分枝転位反応が促進される前記ステップ;ならびに/あるいは
(C)場合によっては、前記衝突分子および前記核酸構造、それぞれ、の少なくとも1つを再形成して、天然ヌクレオシドを含みかつ前記衝突分子または前記核酸構造と同じ配列内容を有する第2参照分子と比較して化学修飾を組み入れるステップであって、前記修飾が、前記衝突分子または前記核酸構造と前記第2参照分子の間の第2参照結合のそれと異なるハイブリダイゼーション自由エネルギーを有する前記衝突分子と前記核酸構造の結合を引き起こし、その結果、前記第2参照結合と比較して前記衝突分子の結合が妨げられる前記ステップを含むものである、前記方法。
(2)前記置換分子による前記核酸構造の結合が、前記化学修飾の効果により、第1参照結合反応が有するより低いハイブリダイゼーション自由エネルギーを有するものである、生産反応の確率の増加により前記分枝転位反応を促進する、実施形態1に記載の方法。
(3)前記衝突分子による前記核酸構造の結合が、前記化学修飾の効果により、第2参照結合反応が有するより高いハイブリダイゼーション自由エネルギーを有するものである非生産反応の確率の低下により前記分枝転位反応を促進する、実施形態1に記載の方法。
(4)前記核酸構造がANDゲート、NOTゲート、ORゲート、NANDゲート、NORゲート、XORゲート、およびXNORゲートからなる群より選択される、酵素を使わない核酸論理ゲートの部分である、実施形態1記載の方法。
(5)前記化学修飾が(i)前記ヌクレオシドの糖-ホスホジエステル主鎖をシュードペプチド主鎖で置き換えるステップ、(ii)前記ヌクレオシドの糖部分を修飾するステップ、および(iii)前記ヌクレオシドの少なくとも1つの窒素塩基を類似体に置き換えるステップから成る群より選択される、実施形態1に記載の方法。
(6)前記化学修飾が前記ヌクレオシドの糖-ホスホジエステル主鎖をシュード-ペプチド主鎖に置き換えてその中にグアニジニウム官能基を組み入れるステップを含む、実施形態5に記載の方法。
(7)前記化学修飾が前記ヌクレオシドの少なくとも1つの窒素塩基を3環シトシン類似体に置き換えるステップを含む、実施形態5に記載の方法。
(8)前記化学修飾がヘテロ原子を前記糖部分の2'位に導入するステップを含む、実施形態5に記載の方法。
(9)前記分枝転位反応がトウホールドの介在する鎖置換を含む、実施形態1に記載の方法。
(10)情報を伝播するための核酸に基づく系であって、
(A)不完全に塩基対合した二重鎖ドメインを含む核酸構造;
(B)ハイブリダイゼーション条件下で前記核酸構造との結合をもたらし、その結果、前記核酸構造が前記二重鎖ドメインに関わる分枝転位反応によってエネルギー状態の遷移を受ける、少なくとも1つのポリヌクレオチド置換分子;および
(C)ハイブリダイゼーション条件下で前記核酸構造と結合することができ、その結果、前記核酸構造と前記衝突分子が結合しそしてポリヌクレオチド置換分子の結合を阻止する、少なくとも1つのポリヌクレオチド衝突分子を含むものであり、
ここで、場合によっては、前記置換分子および前記核酸構造の少なくとも1つは、それぞれ、天然ヌクレオシドを含みかつ前記置換分子または前記核酸構造と同じ配列内容を有する参照分子と比較して化学修飾を有し、
ここで、前記修飾は前記置換分子または前記核酸構造と参照分子の間の参照結合のそれと異なるハイブリダイゼーション自由エネルギーを有する前記結合を引き起し、その結果、前記分枝転位反応が前記参照結合と比較して促進され、
および/または
ここで、場合によっては、前記衝突分子および前記核酸構造の少なくとも1つは、それぞれ、天然ヌクレオシドを含みかつ前記置換分子または前記核酸構造と同じ配列内容を有する参照分子と比較して化学修飾を有し、
ここで、前記修飾は前記置換分子または前記核酸構造と参照分子の間の参照結合のそれと異なるハイブリダイゼーション自由エネルギーを有する前記結合を引き起し、その結果、前記衝突分子の結合は前記参照結合と比較して妨げられるものである、前記核酸に基づく系。
(11)前記核酸構造はANDゲート、NOTゲート、ORゲート、NANDゲート、NORゲート、XORゲート、およびXNORゲートからなる群より選択される、酵素を使わない核酸論理ゲートの部分である、実施形態10に記載の系。
(12)前記系が複数の、酵素を使わない核酸論理ゲートからなる1以上の回路を含む、実施形態11に記載の系。
(13)前記化学修飾が(i)前記ヌクレオシドの糖-ホスホジエステル主鎖をシュードペプチド主鎖に置き換えること、(ii)前記ヌクレオシドの糖部分を修飾すること、および(iii)前記ヌクレオシドの少なくとも1つの窒素塩基を類似体に置き換えることから成る群より選択される、実施形態10に記載の系。
(14)前記化学修飾が前記ヌクレオシドの糖-ホスホジエステル主鎖をシュード-ペプチド主鎖と置き換えてその中にグアニジニウム官能基を組み入れることを含む、実施形態13に記載の系。
(15)前記化学修飾が前記ヌクレオシドの少なくとも1つの窒素塩基を3環シトシン類似体に置き換えることを含む、実施形態14に記載の系。
(16)前記化学修飾が、ヘテロ原子を前記糖部分の2'位に導入することを含む、実施形態14に記載の系。
(17)前記分枝転位反応がトウホールドの介在する鎖置換を含む、実施形態10に記載の系。
(18)第1分子、および第1分子と結合するように形成された第2分子を含む、情報を伝播する系であって、
(A)場合によっては、第1分子または第2分子の少なくとも1つが、それぞれ、第1分子または第2分子と同じ配列内容を有する参照分子と比較して化学修飾を有し、そして
(B)前記修飾が参照分子と第1または第2分子との間の参照結合のそれと異なる自由エネルギーを有する前記結合を引き起こし、その結果、(i)生産的結合の確率の上昇;および(ii)非生産的結合の確率の低下のうちの少なくとも1つが実現される前記系。
(19)生産的結合は情報を伝達する結合を含み、そして非生産的結合は情報を伝播しない結合を含む、実施形態18に記載の系。
(20)修飾の結果としての自由エネルギー差は生産的結合を減少し、そして非生産的結合を増加する、実施形態18に記載の系。
(21)第1および第2分子は翻訳器として形成された不完全な塩基対合二重鎖ドメインおよび入力分子として形成された核酸の一本鎖を含むものである、実施形態18に記載の系。

Claims (21)

  1. 核酸に基づく分子コンピューティングシステムを改善する方法であって、
    (A)(i)不完全に塩基対合した二重鎖ドメインを含む核酸構造、(ii)前記核酸構造とハイブリダイゼーション条件下で結合することができて、その結果、前記核酸構造が前記二重鎖ドメインに関わる分枝転位反応によってエネルギー状態の遷移を受ける、少なくとも1つのポリヌクレオチド置換分子、および(iii)ハイブリダイゼーション条件下での前記核酸構造との結合について前記ポリヌクレオチド置換分子と競合するが、二重鎖ドメインに関わる分枝転位反応を起こすことはできない衝突ポリヌクレオチド分子を含むものであるコンピューティングシステムを特定するステップ;次いで
    (B)場合によっては、前記置換分子および前記核酸構造、それぞれ、の少なくとも1つを再形成して、天然ヌクレオシドを含みかつ前記置換分子または前記核酸構造と同じ配列内容を有する第1参照分子と比較して化学修飾を組み入れるステップであって、前記修飾が、前記置換分子または前記核酸構造と前記第1参照分子の間の第1参照結合のそれと異なるハイブリダイゼーション自由エネルギーを有する前記置換分子と前記核酸構造の結合を引き起こし、その結果、前記第1参照結合と比較して前記分枝転位反応が促進される前記ステップ;ならびに/あるいは
    (C)場合によっては、前記衝突分子および前記核酸構造、それぞれ、の少なくとも1つを再形成して、天然ヌクレオシドを含みかつ前記衝突分子または前記核酸構造と同じ配列内容を有する第2参照分子と比較して化学修飾を組み入れるステップであって、前記修飾が、前記衝突分子または前記核酸構造と前記第2参照分子の間の第2参照結合のそれと異なるハイブリダイゼーション自由エネルギーを有する前記衝突分子と前記核酸構造の結合を引き起こし、その結果、前記第2参照結合と比較して前記衝突分子の結合が妨げられる前記ステップを含むものである、前記方法。
  2. 前記置換分子による前記核酸構造の結合が、前記化学修飾の効果により、第1参照結合反応が有するより低いハイブリダイゼーション自由エネルギーを有するものである、生産反応の確率の増加により前記分枝転位反応を促進する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記衝突分子による前記核酸構造の結合が、前記化学修飾の効果により、第2参照結合反応が有するより高いハイブリダイゼーション自由エネルギーを有するものである非生産反応の確率の低下により前記分枝転位反応を促進する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記核酸構造がANDゲート、NOTゲート、ORゲート、NANDゲート、NORゲート、XORゲート、およびXNORゲートからなる群より選択される、酵素を使わない核酸論理ゲートの部分である、請求項1記載の方法。
  5. 前記化学修飾が(i)前記ヌクレオシドの糖-ホスホジエステル主鎖をシュードペプチド主鎖で置き換えるステップ、(ii)前記ヌクレオシドの糖部分を修飾するステップ、および(iii)前記ヌクレオシドの少なくとも1つの窒素塩基を類似体に置き換えるステップから成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記化学修飾が前記ヌクレオシドの糖-ホスホジエステル主鎖をシュード-ペプチド主鎖に置き換えてその中にグアニジニウム官能基を組み入れるステップを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記化学修飾が前記ヌクレオシドの少なくとも1つの窒素塩基を3環シトシン類似体に置き換えるステップを含む、請求項5に記載の方法。
  8. 前記化学修飾がヘテロ原子を前記糖部分の2'位に導入するステップを含む、請求項5に記載の方法。
  9. 前記分枝転位反応がトウホールドの介在する鎖置換を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 情報を伝播するための核酸に基づく系であって、
    (A)不完全に塩基対合した二重鎖ドメインを含む核酸構造;
    (B)ハイブリダイゼーション条件下で前記核酸構造との結合をもたらし、その結果、前記核酸構造が前記二重鎖ドメインに関わる分枝転位反応によってエネルギー状態の遷移を受ける、少なくとも1つのポリヌクレオチド置換分子;および
    (C)ハイブリダイゼーション条件下で前記核酸構造と結合することができ、その結果、前記核酸構造と前記衝突分子が結合しそしてポリヌクレオチド置換分子の結合を阻止する、少なくとも1つのポリヌクレオチド衝突分子を含むものであり、
    ここで、場合によっては、前記置換分子および前記核酸構造の少なくとも1つは、それぞれ、天然ヌクレオシドを含みかつ前記置換分子または前記核酸構造と同じ配列内容を有する参照分子と比較して化学修飾を有し、
    ここで、前記修飾は前記置換分子または前記核酸構造と参照分子の間の参照結合のそれと異なるハイブリダイゼーション自由エネルギーを有する前記結合を引き起し、その結果、前記分枝転位反応が前記参照結合と比較して促進され、
    および/または
    ここで、場合によっては、前記衝突分子および前記核酸構造の少なくとも1つは、それぞれ、天然ヌクレオシドを含みかつ前記置換分子または前記核酸構造と同じ配列内容を有する参照分子と比較して化学修飾を有し、
    ここで、前記修飾は前記置換分子または前記核酸構造と参照分子の間の参照結合のそれと異なるハイブリダイゼーション自由エネルギーを有する前記結合を引き起し、その結果、前記衝突分子の結合は前記参照結合と比較して妨げられるものである、前記核酸に基づく系。
  11. 前記核酸構造はANDゲート、NOTゲート、ORゲート、NANDゲート、NORゲート、XORゲート、およびXNORゲートからなる群より選択される、酵素を使わない核酸論理ゲートの部分である、請求項10に記載の系。
  12. 前記系が複数の、酵素を使わない核酸論理ゲートからなる1以上の回路を含む、請求項11に記載の系。
  13. 前記化学修飾が(i)前記ヌクレオシドの糖-ホスホジエステル主鎖をシュードペプチド主鎖に置き換えること、(ii)前記ヌクレオシドの糖部分を修飾すること、および(iii)前記ヌクレオシドの少なくとも1つの窒素塩基を類似体に置き換えることから成る群より選択される、請求項10に記載の系。
  14. 前記化学修飾が前記ヌクレオシドの糖-ホスホジエステル主鎖をシュード-ペプチド主鎖と置き換えてその中にグアニジニウム官能基を組み入れることを含む、請求項13に記載の系。
  15. 前記化学修飾が前記ヌクレオシドの少なくとも1つの窒素塩基を3環シトシン類似体に置き換えることを含む、請求項14に記載の系。
  16. 前記化学修飾が、ヘテロ原子を前記糖部分の2'位に導入することを含む、請求項14に記載の系。
  17. 前記分枝転位反応がトウホールドの介在する鎖置換を含む、請求項10に記載の系。
  18. 第1分子、および第1分子と結合するように形成された第2分子を含む、情報を伝播する系であって、
    (A)場合によっては、第1分子または第2分子の少なくとも1つが、それぞれ、第1分子または第2分子と同じ配列内容を有する参照分子と比較して化学修飾を有し、そして
    (B)前記修飾が参照分子と第1または第2分子との間の参照結合のそれと異なる自由エネルギーを有する前記結合を引き起こし、その結果、(i)生産的結合の確率の上昇;および(ii)非生産的結合の確率の低下のうちの少なくとも1つが実現される前記系。
  19. 生産的結合は情報を伝達する結合を含み、そして非生産的結合は情報を伝播しない結合を含む、請求項18に記載の系。
  20. 修飾の結果としての自由エネルギー差は生産的結合を減少し、そして非生産的結合を増加する、請求項18に記載の系。
  21. 第1および第2分子は翻訳器として形成された不完全な塩基対合二重鎖ドメインおよび入力分子として形成された核酸の一本鎖を含むものである、請求項18に記載の系。
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