JP7333171B2 - Rna検出方法、rna検出用核酸及びrna検出用キット - Google Patents

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Description

本発明は、LAMP法又はPCR法等の核酸増幅の原理を利用して、検出対象となるRNAを検出するRNA検出方法に関する。本発明は、特に、10~100塩基の短鎖RNAの検出に適し、miRNA等の検出に用いることができるRNA検出方法に関する。
また、本発明は、RNA検出用核酸及びRNA検出用キットに関する。
細胞内には、タンパク質へと翻訳されない短鎖RNAが多量に存在している。これらの短鎖RNAは、機能がないと考えられていた時期もあったが、1990年代以降の研究により、生体における重要な役割があることが明らかとなってきている。
これらの短鎖RNAのうち、miRNA(microRNA)と呼ばれる短鎖RNAは、遺伝子発現の調節に重要な役割を果たすことが明らかになっている。miRNAは、20~25塩基の一本鎖RNAであり、その前駆体として、染色体上のmiRNA遺伝子がRNAポリメラーゼで転写されることによって、ヘアピン構造を含むpri-miRNA(primary miRNA)が産生され、次に、核内RNaseであるDroshaによりpri-miRNAが切断されて、ヘアピン構造をした60~70塩基のpre-miRNA(precursor miRNA)が産生される。pre-miRNAは、核内から細胞質に輸送され、細胞質内のRNaseであるDicerによって切断され、21~24塩基の二本鎖RNA(miRNA duplex)となる。二本鎖RNAは、Agoタンパク質に取り込まれ、片側のRNA鎖(成熟型miRNA)だけが最終的にAgoタンパク質と安定な複合体を形成し、RNA誘導型サイレンシング複合体(RNA-induced silencing complex:RISC)を形成する。RISCは、RISCに取り込まれた成熟型miRNAと部分的に相補的な配列を有する標的mRNAに結合し、標的mRNAの翻訳を抑制することで、遺伝子発現を調節している。
miRNAは、多数の標的遺伝子の発現を調節することにより細胞機能において重要な役割を果たすが、癌等の疾患と関連性が深いことも明らかになってきている。これまでの研究により、癌等の様々な疾患において、発現異常を示すmiRNAが報告されており、miRNAは、様々な疾患の診断ツールとしての開発が期待されている。
しかしながら、miRNAを検出する方法としては、マイクロアレイ法が多く用いられているものの、操作が複雑であることや高価であること等が課題である。
核酸増幅法を用いたmiRNAの検出方法としては、miRNAをポリアデニル化してポリA配列を付加した上で、ポリT配列とmiRNAに相補的な塩基を含むプライマーを用いた逆転写反応によりcDNAの合成を行い、このcDNAに相補的なプライマーを用いてcDNAの核酸増幅を行うことにより、miRNAを検出する方法が開発されている(特許文献1)。
また、miRNAに特異的な3´領域とステムループとを有するプライマーに、miRNAをハイブリダイズさせて、プライマーの伸長反応を行い、伸長反応させたプライマーを鋳型に増幅反応を行うことで、miRNAを検出する方法も開発されている(特許文献2)。
ところで、高い温度で活性を有するRNase(リボヌクレアーゼ)を利用して、プライマーの伸長を妨げるブロッキング基が結合したプライマーが、鋳型核酸と二重鎖を形成したときに、RNaseによりブロッキング基を除去して、PCR反応をホットスタートする方法が開発されている(特許文献3)。また、RNAを一部に含むキメラプローブを標的DNAにハイブリダイズさせ、それにより生じたDNA-RNAハイブリッド鎖をRNaseで分解し、それにより遊離したキメラプローブの断片をプライマーとしてポリメラーゼによる伸長反応を行うことにより、標的DNAを検出する方法が開発されている(特許文献4)。
また、近年、ゲノム編集に応用できるメカニズムとして、CRISPR/Cas9システム(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats / CRISPR ASsociated proteins 9)が注目されている。CRISPR/Cas9システムは、細菌や古細菌において発見された、ウイルスやプラスミド等の外来性DNAに対する獲得免疫システムである。CRISPR/Cas9システムでは、まず、侵入した外来性DNAが切断された後、リピート配列により挟まれたスペーサー配列となって、CRISPR座位に取り込まれ、外来性DNAの情報が細胞に記憶される。次に、同一の外来性DNAが細胞へ侵入した場合に、CRISPR座位からの転写とプロセッシングを経て、外来性DNAの塩基配列の一部を含むCRISPR RNA(crRNA)が産生される。このcrRNAが、外来性DNAを見つけるガイドとして機能し、外来性DNAをCas9ヌクレアーゼに誘導する。そして、Cas9ヌクレアーゼが、外来性DNAにあるプロトスペーサー隣接モチーフ(Proto-spacer Adjacent Motif:PAM)と呼ばれる目印からおよそ3塩基離れた箇所のDNAを切断して、外来性DNAの崩壊を誘導する。
米国特許出願公開第2009/0220969号明細書 米国特許第7575863号明細書 特許第5539325号公報 特開2008-307029
従来のmiRNAを検出する方法としては、マイクロアレイ法が多く用いられているものの、操作が複雑であることや高価であること等が課題であった。また、核酸増幅を用いたmiRNAの検出方法も開発されているが、特異度や簡便さの面で実用性に課題があるものであった。
そこで、本発明は、上記従来の状況に鑑み、短鎖RNAの検出にも好適に用いることができる、新しい方式のRNA検出方法を開発することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究した結果、検出対象RNAとのハイブリダイゼーションにより複合体を形成してCas9ヌクレアーゼによって分解される特殊なRNA検出用核酸を設計して用いることにより、検出対象RNAが存在する場合のみ、RNA検出用核酸から核酸増幅用プライマーが生成されて核酸増幅反応が生じることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、RNA検出方法に関する下記の第1の発明と、RNA検出用核酸に関する下記の第2の発明と、RNA検出用キットに関する下記の第3の発明を提供する。
(1) 第1の発明は、検出対象RNAを検出するRNA検出方法に関するものであり、
かかるRNA検出方法は、
A)増幅されて検出の指標となる鋳型核酸、
B)前記検出対象RNAの少なくとも一部と相補的な塩基配列を有する第1の核酸部分と、前記鋳型核酸の一部に相補的な塩基配列を有する第2の核酸部分とを含むRNA検出用核酸、
C)Cas9ヌクレアーゼ、及び
D)ポリメラーゼ
を少なくとも使用し、
i)前記検出対象RNAを含む被検試料と前記RNA検出用核酸とを接触させることにより、前記第1の核酸部分を前記検出対象RNAにハイブリダイズさせて複合体を形成し、
ii)前記複合体中の前記第1の核酸部分の一部を、前記Cas9ヌクレアーゼで分解し、
iii)前記RNA検出用核酸のうち第2の核酸部分を有する核酸を一本鎖核酸にして、核酸増幅用プライマーとし、
iv)前記核酸増幅用プライマーを前記鋳型核酸にハイブリダイズさせて、前記ポリメラーゼにより前記鋳型核酸を増幅する反応を行う
ことを含むことを特徴とする。
(2) 第1の発明のRNA検出方法においては、前記i)のステップの前に、crRNAのリピート配列由来の塩基配列を含むアダプター核酸を、前記検出対象RNAに連結する反応を行うことが好ましい。
(3) 前記いずれかのRNA検出方法においては、前記i)のステップにおいて、前記検出対象RNAを含む被検試料に、さらにトランス活性化型crRNAを接触させることが好ましい。
(4) 前記(2)の場合には、前記アダプター核酸が、トランス活性化型crRNA由来の塩基配列を含むことが好ましい。
(5) 前記いずれかのRNA検出方法においては、前記Cas9ヌクレアーゼが、クラス2のCas9ヌクレアーゼであることが好ましい。
(6) クラス2のCas9ヌクレアーゼとしては、SpyCas9ヌクレアーゼを用いることができる。
(7) クラス2のCas9ヌクレアーゼとしては、NmeCas9ヌクレアーゼを用いることができる。
(8) 前記いずれかのRNA検出方法においては、前記RNA検出用核酸が、二本鎖核酸であることが好ましい。
(9) Cas9ヌクレアーゼとして、NmeCas9ヌクレアーゼを用いる場合には、前記RNA検出用核酸を一本鎖核酸とすることができる。
(10)前記いずれかのRNA検出方法においては、前記検出対象RNAが、10~100塩基の短鎖RNAであることが好ましい。
(11)前記いずれかのRNA検出方法においては、前記第1の核酸部分の中の5´側の部分の核酸が、前記検出対象RNAの一部と相補的であるのと同時に、前記鋳型核酸の一部とも相補的であることが好ましい。
(12) 前記いずれかのRNA検出方法においては、前記iv)のステップにおいて、LAMP法による核酸増幅を行うことが好ましい。
(13) 第2の発明は、検出対象RNAを検出するために用いるRNA検出用核酸に関するものであり、このRNA検出用核酸は、
前記検出対象RNAの少なくとも一部と相補的な塩基配列を有する第1の核酸部分と、増幅されて検出の指標となる鋳型核酸の一部に相補的な塩基配列を有する第2の核酸部分とを含むことを特徴とする。
(14) 第2の発明のRNA検出用核酸は、二本鎖核酸とすることが好ましい。
(15) 第2の発明のRNA検出用核酸は、一本鎖核酸とすることもできる。
(16) 前記いずれかのRNA検出用核酸においては、前記第1の核酸部分が、10~100塩基であることが好ましい。
(17) 前記いずれかのRNA検出用核酸においては、前記第1の核酸部分の中の5′側の部分の核酸が、前記検出対象RNAの一部と相補的であるのと同時に、前記鋳型核酸の一部とも相補的であることが好ましい。
(18) 第3の発明は、検出対象RNAを検出するために用いるRNA検出用キットに関するものであり、
A)増幅されて検出の指標となる鋳型核酸、
B)前記検出対象RNAの少なくとも一部と相補的な塩基配列を有する第1の核酸部分と、前記鋳型核酸の一部に相補的な塩基配列を有する第2の核酸部分とを含むRNA検出用核酸、及び
C)Cas9ヌクレアーゼ
を含むことを特徴とする。
(19) 第3の発明のRNA検出用キットにおいては、さらに、crRNAのリピート配列由来の塩基配列を含むアダプター核酸を含むことが好ましい。
(20) 前記いずれかのRNA検出用キットにおいては、さらに、トランス活性化型crRNAを含むことが好ましい。
(21) 前記(19)のRNA検出用キットにおいては、前記アダプター核酸が、トランス活性化型crRNA由来の塩基配列を含むことが好ましい。
(22)前記いずれかのRNA検出用キットにおいては、さらに、D)ポリメラーゼを含むことが好ましい。
(23) 前記いずれかのRNA検出用キットにおいては、前記Cas9ヌクレアーゼが、クラス2のCas9ヌクレアーゼであることが好ましい。
(24) クラス2のCas9ヌクレアーゼをRNA検出用キットに含める場合には、SpyCas9ヌクレアーゼを用いることができる。
(25) クラス2のCas9ヌクレアーゼをRNA検出用キットに含める場合には、NmeCas9ヌクレアーゼを用いることができる。
(26) 前記いずれかのRNA検出用キットにおいては、前記RNA検出用核酸が、二本鎖核酸であることが好ましい。
(27) NmeCas9ヌクレアーゼをRNA検出用キットに含める場合には、前記RNA検出用核酸を一本鎖核酸とすることができる。
(28) 前記いずれかのRNA検出用キットにおいては、前記検出対象RNAが、10~100塩基の短鎖RNAであることが好ましい。
(29) 前記いずれかのRNA検出用キットにおいては、前記第1の核酸部分の中の5´側の部分の核酸が、前記検出対象RNAの一部と相補的であるのと同時に、前記鋳型核酸の一部とも相補的であることが好ましい。
本発明は、検出対象RNAの少なくとも一部と相補的な塩基配列を有する第1の核酸部分と、鋳型核酸の一部に相補的な塩基配列を有する第2の核酸部分とを含むRNA検出用核酸を用いるものであり、検出対象RNAが存在する場合に、検出対象RNAがRNA検出用核酸とハイブリダイズして複合体を形成し、その複合体がCas9ヌクレアーゼで分解されることによって、核酸増幅用プライマーが生成する。そして、核酸増幅用プライマーの第2のポリヌクレオチド部分が鋳型核酸にハイブリダイズして、ポリメラーゼによって鋳型核酸の増幅反応が開始される。このように、本発明によれば、検出対象RNAが存在する場合にのみ鋳型核酸の正常な増幅反応が生じるため、鋳型核酸の増幅を指標として検出対象RNAを検出することができるという効果を奏する。
本発明のRNA検出方法の一例である第1の実施形態を示す模式図である。図1(A)は、検出対象RNAを含む被検試料と試薬とを混合した状態を示し、図1(B)は、RNA検出用核酸と検出対象RNAとがハイブリダイズして複合体を形成した状態を示し、図1(C)は、複合体中の第1の核酸部分が、Cas9ヌクレアーゼによって分解される状態を示し、図1(D)は、切断されたRNA検出用核酸が解離して、一本鎖となった状態を示す。 本発明のRNA検出方法の第1の実施形態を示す、図1に続く模式図である。図2(E)は、核酸増幅用プライマーを精製した状態を示し、図2(F)は、核酸増幅用プライマーが鋳型核酸にハイブリダイズした状態を示し、図2(G)は、鋳型核酸がポリメラーゼにより増幅されている状態を示す。 アダプター核酸の連結を行う、本発明のRNA検出方法の第2の実施形態を示す模式図である。図3(A)は、アダプター核酸と検出対象RNAとRNAリガーゼとを混合した状態を示し、図3(B)は、アダプター核酸が検出対象RNAに連結した状態を示す。 ガイドRNAの作成を含む、本発明のRNA検出方法の第3の実施形態を示す模式図である。図4(A)は、アダプター核酸と検出対象RNAとRNAリガーゼとを混合した状態を示し、図4(B)は、アダプター核酸が検出対象RNAに連結した状態を示す。 本発明のRNA検出方法の第3の実施形態を示す図4に続く模式図である。図5(A)は、検出対象RNAを含む被検試料と試薬とを混合した状態を示し、図5(B)は、複合体を形成した状態を示し、図5(C)は、複合体中の第1の核酸部分が、Cas9ヌクレアーゼにより分解される状態を示す。 RNA検出用核酸として一本鎖核酸を用いる、本発明のRNA検出方法の第4の実施形態を示す模式図である。図6(A)は、検出対象RNAを含む被検試料と試薬とを混合した状態を示し、図6(B)は、RNA検出用核酸と検出対象RNAがハイブリダイズして複合体を形成した状態を示し、図6(C)は、複合体中の第1の核酸部分が、Cas9ヌクレアーゼによって切断される状態を示す。 本発明のRNA検出方法の第4の実施形態を示す、図6に続く模式図である。図7(D)は、切断されたRNA検出用核酸が解離して、一本鎖となった状態を示し、図7(E)は、核酸増幅用プライマーが鋳型核酸にハイブリダイズした状態を示し、図7(F)は、鋳型核酸がポリメラーゼにより増幅されている状態を示す。 LAMP法の核酸増幅反応の概要を示す模式図である。 LAMP法の核酸増幅反応の概要を示す、図8に続く模式図である。 実施例1の実験の概要を示す工程図である。 実施例1で使用した試薬等を示す表である。図11(A)は核酸試薬の塩基配列を示し、図11(B)は、その他に使用した試薬を示し、図11(C)は鋳型核酸の塩基配列を示す。 ライゲーション反応を示す反応図である。図12(A)は、アダプターの5′末端をアデニル化しないライゲーション方法を示し、図12(B)は、アダプターの5′末端をアデニル化するライゲーション方法を示す。 Cas9ヌクレアーゼによる二本鎖DNAの切断実験を示す図面である。図13(A)は、反応に用いた試薬等を示し、図13(B)はキャピラリー電気泳動の結果を示す。 LAMP法の増幅反応物を蛍光色素によりリアルタイムで測定した結果を示すグラフである。
1. RNA検出方法
1-1. 本発明のRNA検出方法の概要
本発明のRNA検出方法は、少なくとも次のA)~D)の試薬を使用することを特徴とする。
A)増幅されて検出の指標となる鋳型核酸、
B)検出対象RNAの少なくとも一部と相補的な塩基配列を有する第1の核酸部分と、鋳型核酸の一部に相補的な塩基配列を有する第2の核酸部分とを含むRNA検出用核酸
C)Cas9ヌクレアーゼ、及び
D)ポリメラーゼ
本発明のRNA検出方法においては、前記A)~D)の試薬を被検試料に対して使用することにより、被検試料中に検出対象RNAが含まれる場合に、次のi)~iv)の反応が生じ、鋳型核酸の増幅を指標として検出対象RNAの存在を検出することが可能となる。
i)検出対象RNAを含む被検試料とRNA検出用核酸とを接触させることにより、第1の核酸部分を検出対象RNAにハイブリダイズさせて複合体を形成し、
ii)複合体中の第1の核酸部分の一部を、Cas9ヌクレアーゼで分解し、
iii)RNA検出用核酸のうち第2の核酸部分を有する核酸を一本鎖核酸にして、核酸増幅用プライマーとし、
iv)核酸増幅用プライマーを鋳型核酸にハイブリダイズさせて、ポリメラーゼにより鋳型核酸を増幅する反応を行う。
前記i)~iv)の反応について、以下、図面を参照しながら説明する。
図1及び2は、本発明のRNA検出方法の一例である第1の実施形態を模式的に示す図面である。
図1(A)は、検出対象RNAを含む被検試料と試薬とを混合した状態を示す。混合した反応溶液中には、検出対象RNA1と、RNA検出用核酸2と、Cas9ヌクレアーゼ3と、トランス活性化型crRNA(trans-activating crRNA:tracrRNA)4とが存在している。
ここで、トランス活性化型crRNA4については、Cas9ヌクレアーゼの種類によっては、トランス活性化型crRNAが存在しなくとも、前記i)~iv)の反応を進行させることができる。トランス活性化型crRNAを必要としないCas9ヌクレアーゼとしては、例えば、Acidaminococcus sp. BV3L6由来のCpf1(AsCpf1)や、Lachnospiraceae bacterium ND2006由来のCpf1(LbCpf1)等を用いることができる。
第1の実施形態において、検出対象となるRNAはcrRNAであり、図1(A)に示されるように、検出対象RNA1は、スペーサー配列由来の塩基配列を有する核酸部分101とリピート配列由来の塩基配列を有する核酸部分102とを有している。
本発明のRNA検出方法においては、crRNAに限らず、あらゆる塩基配列のRNAを検出対象とすることができる。crRNA以外のRNAを検出対象とする場合には、第2の実施形態のように、crRNAのリピート配列由来の塩基配列を有する核酸部分を含むアダプター核酸を、検出対象RNAの3′側に連結することにより、CRISPR/Cas9システムが認識できる核酸分子とする。
図1(A)に示されるように、RNA検出用核酸2は、検出対象RNAの少なくとも一部と相補的な塩基配列を有する第1の核酸部分201と、増幅されて検出の指標となる鋳型核酸の一部に相補的な塩基配列を有する第2の核酸部分202とを含むように設計されている。ここで、第2の核酸部分202は、第1の核酸部分201の5′側に連結されている。
RNA検出用核酸2はさらに、第3の核酸部分203と第4の核酸部分204とを有している。しかしながら、第3の核酸部分203と第4の核酸部分204は必須のものではなく、これらが存在しなくとも、前記i)~iv)の反応を進行させることが可能である。
第1の核酸部分201は、その塩基配列の特徴から、5′側部分201aと3′側部分201bとに分けることができる。5′側部分201aは、検出対象RNAと相補的であるだけでなく、鋳型核酸とも相補的な塩基配列を有するように設計された部分である。5′側部分201aは、1塩基以上設けることが好ましく、2~10塩基設けるのがより好ましい。3′側部分201bは、検出対象RNAに相補的な塩基配列を有するように設計された部分である。
後述するように、第1の核酸部分の5′側部分201aが、検出対象RNAと鋳型核酸の両方に相補的となるように設計されておらず、検出対象RNAのみに相補的であるように設計されている場合でも、前記i)~iv)の反応を進行させることが可能である。
第2の核酸部分202は、その塩基配列の特徴から、5′側部分202aと3′側部分202bとに分けることができる。5′側部分202aは、鋳型核酸と相補的な塩基配列を有するように設計された部分である。3′側部分202bは、鋳型核酸と相補的な塩基配列を有するのと同時に、その相補鎖である202b′がCRISPR/Cas9システムが認識するプロトスペーサー隣接モチーフ(Proto-spacer Adjacent Motif:PAM)をコードするように設計された部分である。
ここで、プロトスペーサー隣接モチーフについては、第4の実施形態のような条件下であれば、RNA検出用核酸がプロトスペーサー隣接モチーフを有していなくとも、前記i)~iv)の反応を進行させることができる。
図1(A)に示されるように、RNA検出用核酸2は、第1の核酸部分201、第2の核酸部分202、第3の核酸部分203、及び第4の核酸部分204からなる鎖と、それに相補的な鎖とからなる二本鎖核酸である。相補的な鎖は、第1の核酸部分に相補的な核酸部分201′、第2の核酸部分に相補的な核酸部分202′、第3の核酸部分に相補的な核酸部分203′、及び第4の核酸部分に相補的な核酸部分204′を有している。第1の実施形態において、RNA検出用核酸2は、二本鎖のDNAである。
RNA検出用核酸2の第3の核酸部分203の5′末端には、核酸の精製を可能にするタグ5が連結されている。タグとしては、これらに限定されるわけではないが、例えば、ビオチン、フルオロセインイソチオシアネート(FITC)、ジゴキシゲニン(DIG)、ヒスチジンタグ等を用いることができる。
後述するように、核酸の精製を行わない場合には、RNA検出用核酸2にタグ5を連結する必要はない。
図1(B)は、RNA検出用核酸と検出対象RNAとがハイブリダイズして複合体を形成した状態を示す。
図1(B)に示されるように、RNA検出用核酸2の第1の核酸部分201は、検出対象RNA1の核酸部分101の一部と相補的な塩基配列を有しているため、第1の核酸部分201が検出対象RNA1にハイブリダイズして複合体を形成することができる。
これまでのCRISPR/Cas9に関する知見によれば、実際の反応では、検出対象RNA1と、Cas9ヌクレアーゼ3と、トランス活性化型crRNA4とが複合体を形成し、その複合体がRNA検出用核酸2のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)202b′を認識した後に、第1の核酸部分201がRNA検出用核酸1にハイブリダイズして新たな複合体を形成すると考えられる。しかしながら、本発明のRNA検出方法は、この態様に限定されるわけではない。
図1(C)は、複合体中の第1の核酸部分が、Cas9ヌクレアーゼによって分解される状態を示す。
図1(C)に示されるように、複合体が形成されると、プロトスペーサー隣接モチーフ202b′から5′側に3塩基ほど離れた箇所(201′a中)と、それに相補的な箇所である第1の核酸部分の5′側部分201aにおいて、Cas9ヌクレアーゼによるDNAの切断が生じる。したがって、第1の核酸部分の5′側部分201aの3塩基程度の核酸が第2の核酸部分の3′側部分202bに連結した形で、切断が行われる。
本発明においては、改変したCas9ヌクレアーゼを用いて、第1の核酸部分201のみにおいて切断が行われるようにしてもよい。Cas9ヌクレアーゼは、RuvCドメインとHNHドメインの2つのヌクレアーゼドメインを有しており、例えば、RuvCドメインに点変異を導入することにより、プロトスペーサー隣接モチーフ側の鎖にある核酸部分201′では切断を行わず、第1の核酸部分201のみにおいて切断を行うCas9ヌクレアーゼを得ることができる。
図1(D)は、切断されたRNA検出用核酸が解離して、一本鎖となった状態を示す。
図1(C)に示されるように、第1の核酸部分201においてDNAの切断を行っても、ハイブリダイゼーションにより複合体が形成された状態にある。ここで、例えば、反応溶液を加熱することにより、それぞれの核酸同士を解離させて、図1(D)に示されるように、第2の核酸部分を有する核酸2′を一本鎖とすることができる。また、塩基対の形成と分離は動的平衡状態にあるため、反応溶液を加熱しなくとも、複合体の一部を解離させて、第2の核酸部分を有する核酸2′を一本鎖としてもよい。
一本鎖となった核酸2′は、核酸増幅用プライマーとして機能する分子となる。
図2(E)は、核酸増幅用プライマーを精製した状態を示す。
図2(E)に示されるように、核酸増幅用プライマー2′の5′末端には、タグ5が連結しているため、このタグ5を用いて核酸増幅用プライマー2′を精製し、検出対象RNAやCas9ヌクレアーゼ等の反応液中の他の分子を除去することができる。
例えば、これらに限定されるわけではないが、タグとしてビオチンを使用する場合には、表面にストレプトアビジンが結合した磁性ビーズを反応溶液中に加え、ビオチンとストレプトアビジンとの結合により核酸増幅用プライマーが吸着した磁性ビーズを磁石により回収し、核酸増幅用プライマーを溶出することにより、精製した核酸増幅用プライマーを得ることができる。
図2(E)に示される精製は、必ずしも行う必要はなく、核酸増幅用プライマーが生じていれば、次の反応に進むことができる。しかしながら、核酸増幅用プライマーが再び二本鎖核酸となることや、非特異的な吸着が生じることを防ぐためには、核酸増幅用プライマーを精製して、これを次の反応に用いることが好ましい。
図2(F)は、核酸増幅用プライマーが鋳型核酸にハイブリダイズした状態を示し、図2(G)は、鋳型核酸がポリメラーゼにより増幅されている状態を示す。
図2(F)に示されるように、精製された核酸増幅用プライマー2′を有する反応溶液に、さらに鋳型核酸6とポリメラーゼ7を添加して混合する。鋳型核酸6は、第1の核酸部分の5′側部分201aに相補的な塩基配列を有する核酸部分601を含むように設計されている。そして、第2の核酸部分202は、鋳型核酸の核酸部分601の3′側の核酸と相補的な塩基配列を有するように設計されている。このため、核酸増幅用プライマー2′が鋳型核酸6にハイブリダイズした場合に、核酸増幅用プライマー2′の3′末端の塩基を含めて連続的に鋳型核酸6と塩基対を形成する。これにより、図2(G)に示すように、ポリメラーゼによる伸長反応を効率良く行うことができる。
ここで、第1の核酸部分の5′側部分201aと、鋳型核酸の核酸部分601とが相補的であるように設計されていない場合であっても、鋳型核酸と塩基対を形成しない核酸増幅用プライマー2′の3′末端の塩基は3塩基程度であることから、ポリメラーゼによる伸長反応は進行可能である。しかしながら、この場合には、ポリメラーゼにより伸長反応の効率は相当程度低下してしまう。
したがって、本発明においては、第1の核酸部分の中の5′側の部分の核酸が、検出対象RNAの一部と相補的であるのと同時に、鋳型核酸の一部とも相補的であるように設計することが好ましい。
前記のとおり、図2(E)に示される核酸増幅用プライマーの精製は、必ずしも行う必要がない。核酸増幅用プライマーの精製を行わない場合には、図2(F)に示される鋳型核酸とポリメラーゼの混合は、図1(A)に示される最初の反応溶液において行ってもよい。すなわち、検出対象RNAと、RNA検出用核酸と、Cas9ヌクレアーゼと、トランス活性化型crRNAと、鋳型核酸と、ポリメラーゼとを最初から混合して反応溶液を調整し、前記i)~iv)の反応を行うこともできる。
被検試料中に検出対象RNAが存在する場合には、図1(A)~図2(G)に示されるとおり、前記i)~iii)の反応が進行し、鋳型核酸の正常な増幅反応が生じる。
一方、被検試料中に目的の検出対象RNAが存在しない場合、例えば、被検試料中に目的の検出対象RNAとは相同性の低いRNAが存在する場合には、前記i)~iv)の反応が進行せず、鋳型核酸の正常な増幅反応が生じない。
したがって、本発明のRNA検出方法によれば、目的とする検出対象RNAが存在する場合にのみ鋳型核酸の正常な増幅反応が生じることとなる。
本発明のRNA検出方法において、鋳型核酸を増幅するにあたっては、核酸増幅用プライマーがハイブリダイズする鋳型核酸の領域とは異なる領域にハイブリダイズする別のプライマーを設計し、2つのプライマーを用いたPCR反応により鋳型核酸を増幅することができる。
また、鋳型核酸を増幅するにあたっては、LAMP法を用いることもできる。LAMP法とは、本件出願人が開発した核酸増幅法であり(特許第3313358号等)、等温での核酸増幅反応を可能とする方法である。
LAMP法では、プライマーとして、鋳型核酸上の6つの領域の塩基配列に基づいて設計される、少なくとも4種類のプライマーが使用され、それぞれのプライマーは、インナープライマーF(FIP)、インナープライマーB(BIP)、アウタープライマーF(F3)、アウタープライマーB(B3)と呼ばれる。この他に、ループプライマーF(LF)とループプライマーB(LB)を用いることもできる。
本発明における核酸増幅用プライマーがLAMP法のインナープライマーとなるように設計する場合には、図1(A)と同じように、RNA検出用核酸の第2の核酸部分202の5´側に第3の核酸部分203を設ける。第3の核酸部分の塩基配列は、鋳型核酸において第2の核酸部分と相補的な領域よりも5´側の領域の塩基配列の一部と同一の塩基配列を含むように設計する。
一方、本発明における核酸増幅用プライマーがLAMP法のアウタープライマーとなるように設計する場合には、RNA検出用核酸において第3の核酸部分を設ける必要はない。
増幅された鋳型核酸は、例えば、これらに限定されるわけではないが、インターカレーターと反応させて染色することにより、又は、核酸増幅にあたって蛍光色素等で標識されたプライマーを用いることにより、光学的手段を用いて検出することが可能である。
本発明のRNA検出方法によれば、検出対象RNAが存在する場合にのみ鋳型核酸の増幅反応が生じるため、鋳型核酸の増幅を指標として検出対象RNAを検出することができるという効果を奏する。
また、本発明のRNA検出方法は、核酸増幅を利用した方法でありながら、検出対象RNAを直接増幅することがないため、直接増幅することが難しい10~100塩基の短鎖RNAであっても好適に検出することができるという効果を奏する。
1-2. 第2の実施形態
本発明のRNA検出方法の第1の実施形態においては、検出対象となるRNAはcrRNAであったが、本発明のRNA検出方法においては、crRNAに限らず、あらゆる塩基配列のRNAを検出対象とすることができる。crRNA以外のRNAを検出対象とする場合には、crRNAのリピート配列由来の塩基配列を含むアダプター核酸を、検出対象RNAに連結する反応を行うことにより、CRISPR/Cas9システムが認識できる核酸分子とする。
図3は、アダプター核酸の連結を行う、本発明のRNA検出方法の第2の実施形態を模式的に示す図面である。図3(A)は、アダプター核酸と検出対象RNAとRNAリガーゼとを混合した状態を示し、図3(B)は、アダプター核酸が検出対象RNAに連結した状態を示す。
図3(A)に示されるとおり、アダプター核酸の連結にあたっては、検出対象RNA1と、アダプター核酸8と、RNAリガーゼ9とを混合し、RNAリガーゼ9が触媒するライゲーション反応を行う。これにより、図3(B)に示されるとおり、検出対象RNA1の3′側にアダプター核酸8を連結することができる。
ここで、アダプター核酸8の5′末端は、リン酸化又はアデニル化しておくことが好ましい。また、アダプター核酸8の3′末端は、リン酸化しておくことが好ましく、これにより、アダプター核酸8同士のセルフライゲーションを抑制することができる。
アダプター核酸8の塩基配列は、CRISPR/Cas9システムを機能させる塩基配列であればいかなるものであってもよく、これらに限定されるわけではないが、例えば、天然のcrRNAのリピート配列由来の核酸部分の塩基配列と同一の塩基配列、若しくはその一部の塩基配列、又はそれらの塩基配列に相同性の高い塩基配列を用いることができる。具体的な塩基配列としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、次の塩基配列を用いることができる。
5′-GUUUUAGAGCUAUGCUGUUUUG-3′(配列番号1)
5′-GUUUUAGAGCUAUGCU-3′(配列番号2)
5′-GUUUUAGAGCUA-3′(配列番号3)
RNAリガーゼ9としては、これらに限定されるわけではないが、T4 RNA Ligase 1や、T4 RNA Ligase 2等を用いることができる。
ライゲーション反応の詳細については、例えば、Jelome E. Lee et al., Journal of Visualized Experiments, 2014, Vol.93, e52095に記載された方法に従って行うことができる。
検出対象RNA1にアダプター核酸8を連結した後は、第1の実施形態と同様に、前記i)~iv)の反応を行うことができる。すなわち、図1(A)~図2(G)に示される反応において、スペーサー配列由来の塩基配列を有する核酸部分101が検出対象RNA1に置き換わり、リピート配列由来の塩基配列を有する核酸部分102がアダプター核酸8に置き換わった形で反応が進行する。
なお、本発明のRNA検出方法で用いるトランス活性化型crRNAの塩基配列としては、CRISPR/Cas9システムを機能させる塩基配列であればいかなるものであってもよく、これらに限定されるわけではないが、例えば、天然のトランス活性化型crRNAの塩基配列と同一の塩基配列、若しくはその一部の活性ある塩基配列、又はそれらの塩基配列に相同性の高い活性ある塩基配列を用いることができる。具体的な塩基配列としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、次の塩基配列を用いることができる。
5′-AAACAGCAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCU-3′(配列番号4)
5′-UAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC-3′(配列番号5)
5′-AGCAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC-3′(配列番号6)
アダプター核酸やトランス活性化型crRNAは、CRISPR/Cas9システムで効率よく機能するように、RNAとすることが好ましいが、一部又は全部がDNA又は人工核酸であってもよく、また、これらの核酸の一部を修飾した核酸であってもよい。
アダプター核酸の塩基配列や、トランス活性化型crRNAの塩基配列は、使用するCas9ヌクレアーゼの種類に応じて、最適化するように設計したものを用いることが好ましい。
本発明のRNA検出方法においては、前記i)のステップの前に、crRNAのリピート配列由来の核酸部分を含むアダプター核酸を、検出対象RNAに連結する反応を行うことで、crRNAに限らず、任意の塩基配列のRNAに対応して、CRISPR/Cas9システムが機能するようにRNA検出用核酸や鋳型核酸の塩基配列を設計することが可能となり、任意の塩基配列のRNAを検出することができるという効果を奏する。
1-3. 第3の実施形態
本発明のRNA検出方法においては、前記i)のステップの前に、アダプター核酸を検出対象RNAに連結して、いわゆる「ガイドRNA(sgRNA)」とすることができる。ガイドRNAとは、crRNAのリピート配列由来の核酸部分及びトランス活性化型crRNA由来の核酸部分を有するアダプター核酸を、検出対象RNAに連結した分子であり、crRNAの機能とトランス活性化型crRNAの機能を併せ持った分子となる。
図4及び5は、ガイドRNAの作成を含む、本発明のRNA検出方法の第3の実施形態を模式的に示す図面である。
図4(A)は、アダプター核酸と検出対象RNAとRNAリガーゼとを混合した状態を示し、図4(B)は、アダプター核酸が検出対象RNAに連結した状態を示す。
図4(A)に示されるとおり、ガイドRNAの作成にあたっては、検出対象RNA1と、アダプター核酸8と、RNAリガーゼ9とを混合し、RNAリガーゼ9によるライゲーション反応を行う。アダプター核酸8には、crRNAのリピート配列由来の塩基配列を有する核酸部分801と、トランス活性化型crRNA由来の塩基配列を有する核酸部分802を有している。RNAリガーゼ9により触媒されるライゲーション反応によって、図4(B)に示されるとおり、検出対象RNA1の3′側にアダプター核酸8を連結して、ガイドRNA10作成することができる。
アダプター核酸8は、CRISPR/Cas9システムで機能するように、RNAとすることが好ましいが、一部が修飾されたRNAであってもよく、また、一部がDNA若しくは人工核酸であるRNAであってもよい。
ガイドRNAの作成に使用するアダプター核酸8の塩基配列としては、CRISPR/Cas9システムを機能させる塩基配列であればいかなる配列であってもよく、例えば、天然のcrRNAのリピート配列由来の核酸の活性部分の塩基配列と、天然のトランス活性化型crRNAの活性部分の塩基配列とを連結し、ループ構造を形成するように設計した塩基配列を用いることができる。具体的な塩基配列としては、例えば、次の塩基配列を用いることができる。
5′-GUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCG-3′(配列番号7)
5′-GUUUUAGAGCUAUGCUGAAAAGCAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUC-3′(配列番号8)
5′-GUUUUAGAGCUAUGCUGUUUUGGAAACAAAACAGCAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUC-3′(配列番号9)
5′-GUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC-3′(配列番号10)
5′-GUUUAAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUUAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC-3′(配列番号11)
5′-GUUUUAGAGCUAUGCUGGAAACAGCAUAGCAAGUUUAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC-3′(配列番号12)
5′-GUUUAAGAGCUAUGCUGGAAACAGCAUAGCAAGUUUAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC-3′(配列番号13)
図5は、ガイドRNAを用いた場合における、複合体の形成と、Cas9ヌクレアーゼによる核酸の分解を模式的に示す図面である。図5(A)は、検出対象RNAを含む被検試料と試薬とを混合した状態を示し、図5(B)は、複合体を形成した状態を示し、図5(C)は、複合体中の第1の核酸部分が、Cas9ヌクレアーゼにより分解される状態を示す。
図5(A)に示されるように、混合した溶液中には、ガイドRNA10と、RNA検出用核酸2と、Cas9ヌクレアーゼ3とが存在している。ガイドRNAを用いる第3の実施形態においては、第1の実施形態とは異なり、トランス活性化型crRNAを必要としない。これは、ガイドRNA10に、トランス活性化型crRNA由来の塩基配列を有する核酸部分802が含まれているためである。
図5(B)に示されるように、ガイドRNA10と、RNA検出用核酸2と、Cas9ヌクレアーゼ3とは、複合体を形成する。ここで、ガイドRNA10は、ループ構造を形成している。そして、図5(B)に示される複合体は、図1(B)に示される複合体と構造が類似する複合体となっている。
図5(B)に示される複合体において、RNA検出用核酸の第1の核酸部分201は、ガイドRNA10に含まれる検出対象RNA1とハイブリダイズしている。
図5(C)に示されるように、複合体が形成されると、第1の実施形態の場合と同様に、プロトスペーサー隣接モチーフ202b′から5′側に3塩基ほど離れた箇所(201′a中)と、それに相補的な箇所である第1の核酸部分の5′側部分201aにおいて、Cas9ヌクレアーゼによるDNA切断が生じる。
そして、第3の実施形態においては、以後も第1の実施形態と同様の反応を行うことができる。すなわち、図1(D)~図2(G)に示される反応を行うことにより、鋳型核酸の増幅が生じ、これを指標として検出対象RNAを検出することが可能となる。
1-4. 第4の実施形態
第1の実施形態~第3の実施形態においては、RNA検出用核酸として、二本鎖核酸を用いたが、Cas9ヌクレアーゼとしてNmeCas9を用いる場合には、RNA検出用核酸として一本鎖核酸を用いることができる。
図6は、RNA検出用核酸として一本鎖核酸を用いる、本発明のRNA検出方法の第4の実施形態を模式的に示す図面である。
図6(A)は、検出対象RNAを含む被検試料と試薬とを混合した状態を示す。混合した反応溶液中には、検出対象RNA1と、RNA検出用核酸2と、Cas9ヌクレアーゼ3と、鋳型核酸6と、ポリメラーゼ7とが存在している。
図6(A)に示されるように、RNA検出用核酸2は、一本鎖の核酸であり、全長がDNAとなっている。RNA検出用核酸2は、検出対象RNAの少なくとも一部と相補的な塩基配列を有する第1の核酸部分201と、鋳型核酸6の一部に相補的な塩基配列を有する第2の核酸部分202とを含むように設計されている。ここで、第2の核酸部分202は、第1の核酸部分201の5′側に連結されている。第1の核酸部分201は、17塩基以上とすることが好ましい。
第1の核酸部分201は、その塩基配列の特徴から、5′側部分201aと3′側部分201bとに分けることができる。5′側部分201aは、検出対象RNAと相補的であるだけでなく、鋳型核酸とも相補的な塩基配列を有するように設計された部分である。
鋳型核酸6には、検出対象RNAの一部と同一の塩基配列を有する核酸部分601が設けられている。これにより、第1の核酸部分の5′側部分201aが、検出対象RNAと相補的であるだけでなく、鋳型核酸とも相補的な塩基配列を有するように設計することが可能となる。
検出対象RNAと鋳型核酸の両方に相補的な5′側部分201aは、1塩基以上設けることが好ましく、2~10塩基設けるのがより好ましい。しかしながら、5′側部分201aが存在しなくとも、本発明のRNA検出方法を行うことが可能である。
第4の実施形態においては、任意の塩基配列のRNAに対応して、RNA検出用核酸と鋳型核酸を設計することができるため、任意の塩基配列のRNAを検出することが可能となる。
また、第4の実施形態においては、RNA検出用核酸にプロトスペーサー隣接モチーフを設ける必要がない。
第4の実施形態においては、Cas9ヌクレアーゼとして、Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)由来のCas9ヌクレアーゼであるNmeCas9ヌクレアーゼを用いる(国際公開第2014/190181号)。
NmeCas9は、トランス活性化型crRNAやプロトスペーサー隣接モチーフを必要とせず、さらには、少なくとも17塩基以上のRNA-DNA複合体において、その配列に関係なくDNAの切断を行うことができる。NmeCas9は、RNA-DNA複合体におけるDNA鎖を切断するため、RNA-DNA複合体におけるRNA鎖を分解するRNase Hとの比較から、DNase H活性を有するともいわれている(Mol Cell., 2015, Oct 15, 60(2), pp.242-255)。
図6(B)は、RNA検出用核酸と検出対象RNAがハイブリダイズして複合体を形成した状態を示す。
図6(B)に示されるように、RNA検出用核酸2の第1の核酸部分201は、検出対象RNA1の一部と相補的な塩基配列を有しているため、RNA検出用核酸2が検出対象RNA1にハイブリダイズして複合体を形成することができる。
図6(C)は、複合体中の第1の核酸部分が、Cas9ヌクレアーゼによって切断される状態を示す。
図6(C)に示されるように、複合体が形成されると、Cas9ヌクレアーゼ3(NmeCas9ヌクレアーゼ)によって、第1の核酸部分201と第2の核酸部分202の境界から3塩基程度3′側の箇所にあるDNAを切断する。切断する箇所は、トランス活性化型crRNAを加えること等により若干シフトさせることが可能である。
図7(D)は、切断されたRNA検出用核酸が解離して、一本鎖となった状態を示す。
図6(C)に示されるように、第1の核酸部分201においてDNAの切断を行っても、第1の核酸部分の5′側部分201aが検出対象RNA1とハイブリダイズした状態にある。しかしながら、塩基対の形成と分離は動的平衡状態にあるため、図7(D)に示されるように、核酸分子同士は解離することが可能であり、あるいは、反応溶液を加熱することによって、核酸分子同士の解離を促進することもできる。
解離した核酸分子のうち、第2の核酸部分を有する核酸2′は、核酸増幅用プライマーとして機能する分子となる。
図7(E)は、核酸増幅用プライマーが鋳型核酸にハイブリダイズした状態を示し、図7(F)は、鋳型核酸がポリメラーゼにより増幅されている状態を示す。
図7(E)に示されるように、鋳型核酸6は、第1の核酸部分の5′側部分201aに相補的な塩基配列を有する核酸部分601が設けられている。そして、第2の核酸部分202は、鋳型核酸の核酸部分601の3′側の核酸と相補的な塩基配列を有するように設計されている。このため、核酸増幅用プライマー2′が鋳型核酸6にハイブリダイズした場合に、その3′末端を含めて連続的に鋳型核酸6と塩基対を形成するため、図7(F)に示されるように、ポリメラーゼ7による増幅反応が可能となる。
以上のように、第4の実施形態では、検出対象RNAにアダプター核酸を連結する必要がなく、トランス活性化型crRNAやプロトスペーサー隣接モチーフを必要とせず、任意の塩基配列のRNAを検出することが可能である。
1-5. 本発明のRNA検出方法の詳細な説明
本発明において、検出の対象となるRNAは、自然界に存在するRNAであっても、人工的に合成したRNAであってもよい。また、全長がRNAである分子に限らず、一部が修飾されたRNAであってもよく、また、一部がDNA若しくは人工核酸であるRNAであってもよい。
臨床診断の目的のためには、生体内に存在する天然のRNAを人工的に抽出したものを「検出対象RNA」とすることが好ましい。
生体内に存在する天然のRNAとしては、これらに限定されるわけではないが、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、核内低分子RNA(small nuclear RNA:snRNA)、核小体低分子RNA(small nucleolar RNA:snoRNA)、microRNA(miRNA)、small interfering RNA(siRNA)等が存在する。
検出対象RNAの長さは、CRISPR/Cas9システムによって認識できる長さであれば特に限定されないが、通常、5~1000塩基である。
本発明のRNA検出方法は、核酸増幅を利用した方法でありながら、検出対象RNAを直接増幅することがないため、直接増幅することが難しい10~100塩基の短鎖RNAであっても好適に検出することができる。
検出対象RNAは、より好ましくは、15~50塩基とするのがよく、miRNAについても好適に検出することが可能である。
本発明で使用する「鋳型核酸」としては、DNA、RNA又はこれらの類縁体である人工核酸を用いることができるが、増幅が容易である点からDNAを用いることが好ましい。「鋳型核酸」は、安定な二本鎖核酸を用いることができるが、一本鎖核酸であってもよい。
本発明において、人工核酸としては、例えば、糖とリン酸からなるヌクレオチド骨格を修飾した人工核酸、塩基部分を修飾した人工核酸を用いることができる。ヌクレオチド骨格を修飾した人工核酸としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、ペプチド鎖を骨格としたペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid: PNA)、糖に架橋構造を持たせたロックト核酸(Locked Nucleic Acid: LNA)、ホスホジエステル結合で連結したグリコールを骨格とするグリコール核酸(Glycol Nucleic Acid: GNA)等を挙げることができる。また、塩基部分を修飾した人工核酸としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、塩基として、2-アミノ-6-ジメチルアミノプリン、ピリドン-2-オン、2-アミノ-6-(2-チエニル)プリン、ピロロピリジン、メチルイソカルボステリル、アザアデニン、アザグアニン等を用いた人工核酸が挙げられる。
本発明で使用する「鋳型核酸」は必ずしも、検出対象RNAの配列に対応して別個に設計する必要がなく、多種の検出対象RNAの検出において一つの鋳型核酸を共通して使用することが可能である。ここで、「鋳型核酸」は、多種の検出対象RNAのいずれに対しても相同性が低いものであることが好ましく、これにより、鋳型核酸がRNA検出用核酸の第1の核酸部分とハイブリダイズすることを防止することができる。
より好ましくは、「鋳型核酸」として、非自然人工塩基配列を有する鋳型核酸を使用するのがよい。ここで、「非自然人工塩基配列」とは、生物由来の核酸の塩基配列ではなく人工的に作成された塩基配列をいい、遺伝子データベースに登録された生物由来の核酸の塩基配列のいずれに対しても相同性が低いものが好ましい。非自然人工塩基配列を用いることにより、鋳型核酸がRNA検出用核酸の第1の核酸部分とハイブリダイズしてしまうことや、鋳型核酸が被検試料中に存在する生体由来の核酸とハイブリダイズしてしまうことを防止することができ、さらに、コンタミネーションリスクを低減することができる。
本発明で使用する「RNA検出用核酸」は、検出対象RNAの少なくとも一部と相補的な塩基配列を有する第1の核酸部分と、鋳型核酸の一部に相補的な塩基配列を有する第2の核酸部分とを含む。
ここで、第1の核酸部分は、検出対象RNAの全ての塩基配列と相補的な塩基配列を有するものであってもよく、また、検出対象RNAの一部のみと相補的な塩基配列を有するものであってもよい。
本発明において「相補的な塩基配列を有する」とは、例えば、A(アデニン)とT(チミン)との塩基対、G(グアニン)とC(シトシン)との塩基対、A(アデニン)とU(ウラシル)との塩基対、2-アミノ-6-ジメチルアミノプリンとピリドン-2-オンとの塩基対のように、互いに水素結合により結合することができる塩基対を形成できる塩基配列を有していることをいうが、一部に水素結合により結合できる塩基対とはならないミスマッチとなる塩基を有していてもよい。ただし、第1の核酸部分及び第2の核酸部分において、ミスマッチは、それぞれ20%以下とするのが好ましく、より好ましくは5%以下とするのがよい。
本発明で使用するRNA検出用核酸は、二本鎖核酸とすることができ、また、第4の実施の形態のように、Cas9ヌクレアーゼの種類によっては、一本鎖核酸とすることもできる。
RNA検出用核酸の第1の核酸部分は、CRISPR/Cas9システムで機能するように、DNAとすることが好ましいが、一部が修飾されたDNAであってもよく、また、一部がRNA若しくは人工核酸であるDNAであってもよい。また、RNAを切断できるCas9ヌクレアーゼを用いる場合には、第1の核酸部分をRNAとすることもできる。RNAを切断できるCas9ヌクレアーゼとしては、例えば、C2c2(Cas13a)を用いることができる。
RNA検出用核酸の第1の核酸部分以外の部分は、DNAとすることが好ましいが、RNAとすることもでき、また、修飾されたDNA若しくはRNAや、人工核酸を用いることもできる。また、RNA検出用核酸は、タグや標識等の他の物質と結合した核酸であってもよい。
第1の核酸部分は、検出対象RNAの少なくとも一部と相補的な塩基配列となるものであれば、その塩基長や配列は特に限定されないが、通常、5~5000塩基であり、より好ましくは10~100塩基であり、さらに好ましくは15~50塩基である。
第2の核酸部分は、鋳型核酸の一部と相補的な塩基配列となるものであれば、その塩基長や配列は特に限定されないが、ハイブリダイズに適したTm値となるように塩基長と配列を設計することが好ましい。第2の核酸部分の塩基長は、通常5~1000塩基であり、より好ましくは、10~100塩基であり、さらに好ましくは、15~30塩基である。
第2の核酸部分は、鋳型核酸と相補的であるのと同時に検出対象RNAとも相補的な部分を有していてもよい。
本発明で使用するRNA検出用核酸は、第1の核酸部分の5´側に、第2の核酸部分が連結している。ここで、第1の核酸部分と第2の核酸部分の間には、検出対象核酸とも鋳型核酸とも相補的ではない1~3塩基程度の介在配列を設けることもできる。
本発明で使用するRNA検出用核酸は、第1の核酸部分や第2の核酸部分以外の核酸部分を有していてもよい。例えば、第2の核酸部分の5´側に、鋳型核酸の塩基配列と相補的ではない第3の核酸部分を連結することもできる。また、第1の核酸部分の3´側には、検出対象RNAの塩基配列と相補的ではない第4の核酸部分を連結することもできる。
第3の核酸部分は、特定の機能を持たせることもできる。例えば、これらに限定されるわけではないが、鋳型核酸において第2の核酸部分と相補的な領域よりも5´側の領域の塩基配列の一部と同一の塩基配列を含むように、第3の核酸部分を設計することにより、RNA検出用核酸から生ずる核酸増幅用プライマーをLAMP法のインナープライマーとして使用することが可能となる。
また、第4の核酸部分についても、特定の機能を持たせることができる。例えば、これらに限定されるわけではないが、第4の核酸部分が非自然人工塩基配列を有しかつ鋳型核酸ともハイブリダイズしないように設計することにより、第1の核酸部分が被検試料中の検出対象RNA以外の核酸等とハイブリダイズしてしまった場合や、検出対象RNAが鋳型核酸と相同性が高く、第1の核酸部分が鋳型核酸にハイブリダイズしてしまった場合でも、第4の核酸部分が被検試料中の核酸や鋳型核酸とハイブリダイズしないため、意図しない増幅反応を防止することができる。
RNA検出用核酸において、第1の核酸部分は、検出対象RNAの配列に応じて個別に設計する必要があるが、第2ないし第4の核酸部分については、必ずしも検出対象RNAの配列に応じて設計する必要がなく、多種の検出対象RNAの検出において、共通の配列を用いることができる。したがって、本発明のRNA検出方法においては、RNA検出用核酸の設計にあたり、少なくとも第1の核酸部分だけを検出対象RNAの配列に応じて設計すればよく、簡便に設計することが可能である。
本発明で用いるRNA検出用核酸や鋳型核酸は、これらに限定されるわけではないが、例えば、固相合成法等を用いることにより、化学的に合成することができる。また、二本鎖核酸をRNA検出用核酸として用いる場合には、ビオチン等のタグが付加されたプライマーを用いてPCR増幅によって得ることもできる。
本発明で用いるRNA検出用核酸は、3´末端に増幅反応を停止する修飾を有することが好ましい。このような修飾を設けることにより、第1の核酸部分が除去されていないRNA検出用核酸が、鋳型核酸や被検試料中の検出対象RNA以外の核酸等とハイブリダイズして核酸増幅反応を生じてしまうことを防ぐことができる。
増幅反応を停止する修飾としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、ポリヌクレオチドの末端のリボースの3´位のOH基を、リン酸基等の他の物質に置換する修飾を行うことにより、ポリメラーゼによる伸長反応を停止させることができる。
あるいは、前記のとおり、第1の核酸部分の3´末端に第4の核酸部分を連結し、第4の核酸部分が非自然人工塩基配列を有しかつ鋳型核酸ともハイブリダイズしないように設計することにより、第1の核酸部分が被検試料中の検出対象RNA以外の核酸等とハイブリダイズしてしまった場合や、第1の核酸部分が鋳型核酸にハイブリダイズしてしまった場合でも、第4の核酸部分が被検試料中の核酸や鋳型核酸とハイブリダイズしないので、意図しない核酸増幅反応を生じてしまうことを防ぐことができる。
本発明で用いる「Cas9ヌクレアーゼ」としては、天然のCas9ヌクレアーゼを用いることができ、また、それを人工的に改変したCas9ヌクレアーゼを用いることもできる。
自然界に見出されるCas9ヌクレアーゼは、切断にヌクレアーゼを含む複数のエフェクター因子が関わるクラス1に属するCas9ヌクレアーゼと、ヌクレアーゼのみを必要とするクラス2に属するCas9ヌクレアーゼに大きく分類される。
本発明においては、いずれのクラスのCas9ヌクレアーゼを用いることもできるが、使用するエフェクター因子の少ないクラス2のCas9ヌクレアーゼを用いることが好ましい。
クラス2のCas9ヌクレアーゼは、さらにタイプII、タイプV、タイプVIに分類される。
タイプIIのCas9ヌクレアーゼとしては、例えば、Streptococcus pyogenes(化膿レンサ球菌)由来のSpyCas9ヌクレアーゼや、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)由来のSaCas9ヌクレアーゼや、Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)由来のNmeCas9ヌクレアーゼ等を用いることができる。
SpyCas9ヌクレアーゼは、ゲノム編集技術によく使用されるCas9ヌクレアーゼであり、その改変体も数多く開発されている。SaCas9ヌクレアーゼは、SpyCas9ヌクレアーゼに比べると分子サイズが小さいことを特徴とするCas9ヌクレアーゼである。SpyCas9ヌクレアーゼやSaCas9ヌクレアーゼは、本発明のRNA検出方法の第1の実施形態~第3の実施形態において好適に用いることができる。
NmeCas9ヌクレアーゼは、前述のとおり、本発明のRNA検出方法の第4の実施の形態において用いることができるCas9ヌクレアーゼであり、これを用いた場合には、RNA検出用核酸として一本鎖核酸を用いることができる。そして、NmeCas9ヌクレアーゼを用いる場合には、検出対象RNAにアダプター核酸を連結する必要がなく、トランス活性化型crRNAやプロトスペーサー隣接モチーフを必要とせず、任意の塩基配列のRNAを検出することが可能である。
なお、NmeCas9ヌクレアーゼを用いる場合には、RNA検出用核酸として二本鎖核酸を用いることもできるが、この場合には、アダプター核酸又はトランス活性化型crRNAを必要とする。
タイプVのCas9ヌクレアーゼとしては、例えば、Acidaminococcus sp. BV3L6由来のCpf1(AsCpf1)ヌクレアーゼや、Lachnospiraceae bacterium ND2006由来のCpf1(LbCpf1)ヌクレアーゼ等を用いることができる。
タイプVIのCas9ヌクレアーゼとしては、例えば、C2c2(Cas13a)ヌクレアーゼを用いることができる。
Cpf1(AsCpf1)ヌクレアーゼやCpf1(LbCpf1)ヌクレアーゼを用いる場合には、トランス活性化型crRNAを必要とせず、ヌクレアーゼによる切断末端が突出末端となる。
また、C2c2(Cas13a)ヌクレアーゼを用いる場合には、RNA検出用核酸をRNAとすることができる。
プロトスペーサー隣接モチーフ(Proto-spacer Adjacent Motif:PAM)は、Cas9ヌクレアーゼの種類に応じて設計する必要がある。例えば、SpyCas9を用いる場合には、5′-NGG-3′とし、SaCas9を用いる場合には、5′-NNGRR(T)-3′とし、NmeCas9を用いる場合には、5′-NNNNGATT-3′とする。また、Cpf1(AsCpf1)及びCpf1(LbCpf1)のプロトスペーサー隣接モチーフの配列は、5′-TTTN-3′である。
Cas9ヌクレアーゼの種類によって、RNA検出用核酸を一本鎖とするか二本鎖とするか、RNA検出用核酸をDNAとするかRNAとするか、トランス活性化型crRNAを必要とするか否かの条件が異なる。また、Cas9ヌクレアーゼの種類によって、Cas9ヌクレアーゼが認識するプロトスペーサー隣接モチーフの配列も異なる。したがって、本発明のRNA検出方法においては、Cas9ヌクレアーゼの種類に応じて、RNA検出用核酸を設計する必要がある。
本発明で用いる「ポリメラーゼ」としては、DNAを鋳型としてDNAを合成するポリメラーゼ(DNA依存性DNAポリメラーゼ)や、RNAを鋳型としてDNAを合成するポリメラーゼ(RNA依存性DNAポリメラーゼ)を用いることができるが、核酸増幅の容易性からDNA依存性DNAポリメラーゼを使用することが好ましい。
本発明のRNA検出方法の前記i)のステップは、検出対象RNAを含む被検試料とRNA検出用核酸とを接触させることにより、第1の核酸部分を検出対象RNAにハイブリダイズさせて複合体を形成するステップである。
ここで、「ハイブリダイズ」とは、検出対象RNAの塩基と第1の核酸部分の塩基とが水素結合により結合することである。
検出対象RNAを含む被検試料と、RNA検出用核酸とを接触させる条件は、両者がハイブリダイズでき、複合体を形成できる条件であれば特に限定されるものではないが、相同性の高いものだけがハイブリダイズできるような反応条件とすることが好ましい。
そのような反応条件は、検出対象RNAの塩基配列と第1の核酸部分の塩基配列を考慮した上で、温度、塩濃度、pH、添加する有機溶媒等の条件を設定することができる。
本発明のRNA検出方法の前記ii)のステップは、複合体中の第1の核酸部分の一部をCas9ヌクレアーゼで分解するステップである。
ここで、「分解」とは、第1の核酸部分のヌクレオチド骨格の少なくとも一部の共有結合が分解されることにより、ヌクレオチド骨格が切断される分解であれば、どのような分解であってもよい。また、「第1の核酸部分の一部」とは、第1の核酸部分と第2の核酸部分の境界部分の共有結合であってもよい。
Cas9ヌクレアーゼによる分解を行う反応条件としては、第1の核酸部分が分解される反応条件であれば、特に限定されないが、使用するCas9ヌクレアーゼの種類に応じた至適温度、至適塩濃度、至適pHにおいて、必要とする金属イオン等を含有する溶媒を用いて反応を行うことが好ましい。
本発明のRNA検出方法の前記iii)のステップは、RNA検出用核酸のうち第2の核酸部分を有する核酸を一本鎖核酸にして、核酸増幅用プライマーとするステップである。
一本鎖とするには、反応溶液を加熱することにより、核酸同士の解離を促進してもよく、また、加熱等は行わずに自然に核酸同士を解離させて一本鎖とさせてもよい。
また、核酸増幅用プライマーは、必ずしも全長が一本鎖となる必要はなく、3′末端側の大部分が一本鎖となっていれば、一部が二本鎖となった状態であっても、核酸増幅用プライマーとして機能し得る。
本発明のRNA検出方法の前記iv)のステップは、核酸増幅用プライマーを鋳型核酸にハイブリダイズさせて、ポリメラーゼにより鋳型核酸を増幅する反応を行うステップである。
ここで、鋳型核酸を増幅する反応は、プライマーを必要とする核酸増幅法であれば特に限定されず、これらに限定されるわけではないが、例えば、PCR法、LAMP法、SDA法等を用いて行うことができる。
PCR(Polymerase Chain Reaction)法では、鋳型核酸に相補的で、鋳型核酸のセンス鎖とアンチセンス鎖にハイブリダイズする2本のプライマーを設計して用いる。そして、1)二本鎖核酸を加熱して一本鎖核酸へと変性させる熱変性を行い、2)プライマーを鋳型核酸にハイブリダイズさせるアニーリングを行い、3)プライマーを起点としてポリメラーゼにより鋳型核酸を鋳型として核酸を合成する伸長反応を行い、1)~3)の工程を繰り返し行うことで、プライマーに挟まれた領域の核酸を増幅することができる。
本発明のRNA検出方法においてPCR法を用いる場合には、本発明の核酸増幅用プライマーを一方のプライマーとして用い、もう一方のプライマーは、鋳型核酸の塩基配列に基づき設計して用いる。
PCR法のアニーリングにおいては、本発明の核酸増幅用プライマーの第2のポリヌクレオチド部分の塩基配列やもう一方のプライマーの塩基配列に基づいて、Tm(融解温度)を算出し、アニーリングの温度はTmよりも低い温度に設定することが好ましい。
また、伸長反応は、通常67~77℃程度で行い、熱変成は、通常90~98℃程度で行う。
アニーリング、伸長反応、及び熱変成は、それぞれ異なる温度で行うため、これらの温度の移行を速やかに行うための機器として、通常、サーマルサイクラーを用いる。
PCR法には、通常、耐熱性DNAポリメラーゼを用い、その場合には、4種類の基質(dATP、dGTP、dCTP、dTTP)と2価のマグネシウムイオンを含み、至適pHを保つ緩衝液となる反応バッファーを用いる。
LAMP法は、本件出願人が開発した核酸増幅法であり(特許第3313358号等)、鎖置換型ポリメラーゼを使用し、等温での核酸増幅反応を可能とする方法である。
LAMP法では、インナープライマーのペア(FIPとBIP)と、アウタープライマーのペア(F3とB3)を使用し、この他に、ループプライマーのペア(LFとLB)を用いることができる。
LAMP法の核酸増幅反応の概要を図8及び9に模式的に示す。
図8の(1)に示されるように、鋳型核酸の片側鎖に存在する任意配列F1cとその3´側に存在する任意配列F2cを選択したとき、インナープライマー(FIP)は、F2cに相補的な配列F2とF1cと同一な配列F1cとを3´から5´に向けてこの順に有するプライマーである。
インナープライマー(BIP)は、図8の(6)に示されるように、鋳型核酸のもう一方の鎖に存在する任意配列B1cとその3´側に存在する任意配列B2cを選択したとき、B2cに相補的な配列B2とB1cと同一な配列B1cとを3´から5´に向けてこの順に有するプライマーである。
鋳型核酸は、二本鎖核酸となっている場合でも65℃付近では動的平衡状態にあるため、いずれかのプライマーが鋳型核酸の相補的な部分にアニールし、鎖置換型ポリメラーゼを使用することで、プライマーを起点とした伸長反応により片側の鎖が剥がされて一本鎖状態となる。このため、LAMP法では、PCR法のようにあらかじめ二本鎖核酸を一本鎖核酸に熱変性しておく必要がない。そして、図8の(1)に示すように、一本鎖となった鋳型核酸にインナープライマーをアニールさせて、伸長反応を開始することができる。そして、図8の(2)に示すように、鋳型核酸と相補的な核酸が合成される。
本発明のRNA検出方法において、核酸増幅用プライマーをLAMP法のインナープライマーとする場合には、第2の核酸部分がF2又はB2となるように設計するとともに、さらに第3の核酸部分としてF1c又はB1cを有するように設計する。
アウタープライマーとは、図8の(3)及び(6)に示されるように、鋳型核酸においてインナープライマーと相補的なF2c又はB2cよりも外側(3´側)に存在する任意配列F3c又はB3cと相補的な、F3又はB3の配列を有するプライマーである。
図8の(3)に示されるように、インナープライマー(FIP)の外側にアウタープライマー(F3)がアニールする。次に、アウタープライマー(F3)を起点として、鎖置換型ポリメラーゼによって鋳型核酸と相補的な核酸が合成され、先にインナープライマー(FIP)を起点として合成されている核酸を剥がしながら核酸が合成されていく。これにより、図8の(4)に示されるように、アウタープライマー(F3)を起点として合成された二本鎖核酸が生成する。
インナープライマー(FIP)を起点として合成された核酸は、アウタープライマー(F3)を起点とした核酸合成により剥がされて一本鎖となるが、図8の(5)に示されるように、5´末端側に相補的な領域F1cとF1を有する。このため、図8の(6)に示されるように、自己アニールを起こしてループを形成する。
図8の(6)に示されるように、ループを形成した核酸に対しては、インナープライマー(BIP)がアニールし、これを起点として相補的な核酸の合成が行われる。この過程で、ループは剥がされて伸びた状態となる。さらに、インナープライマー(BIP)の外側にアウタープライマー(B3)がアニールし、これを起点として鎖置換型ポリメラーゼによって相補的な核酸が合成され、先にインナープライマー(BIP)を起点として合成されている核酸を剥がしながら核酸が伸長いく。これにより、図8の(7)に示されるように、アウタープライマー(B3)を起点として合成された二本鎖核酸が生成する。
本発明のRNA検出方法においては、核酸増幅用プライマーをLAMP法のアウタープライマーとして用いることができ、その場合には、第2の核酸部分がF3又はB3となるように設計する。
図8の(6)に示されるように、インナープライマー(BIP)を起点として合成され核酸は、アウタープライマー(B3)を起点とする合成により剥がされて、一本鎖の核酸となる。この核酸は、図8の(8)に示すように、3´末端側に相補的な領域F1cとF1を有し、5´末端側に相補的な領域B1cとB1を有するため、両末端においてループを形成し、ダンベル型の核酸となる。
ダンベル型の核酸は、指数関数的な核酸増幅を引き起こすための起点となる構造となる。
まず、図9の(8)に示されるように、ダンベル型の核酸の3´末端のF1を起点として自己を鋳型とした核酸合成が行われ、これにより、5´末端のループが剥がされて伸びる。さらに、3´末端側にあるループのF2cは一本鎖であるため、インナープライマー(FIP)又はループプライマーがアニールすることができ、FIPのF2を起点とした核酸合成が行われ、先にF1を起点として合成された核酸を剥がしながら核酸が伸長していく。
次に、図9の(9)に示されるように、FIPを起点として合成された核酸によりよって剥がされて一本鎖となった、F1を起点として合成された核酸は、その3´末端側に相補的な領域を有するため、自己アニールしてループを形成する。このループの3´末端のB1を起点として、自己を鋳型とした核酸合成が始まる。そして、FIPを起点として合成された核酸を剥がしながら伸長し、図9の(10)に示される構造となる。
上記の過程によって、FIPを起点として合成された核酸は剥がされて一本鎖となるが、図9の(11)に示されるように、その両端に相補的な領域を有するため、両末端においてループを形成しダンベル型の核酸となる。
図9の(11)のダンベル型核酸の構造は、(8)の構造と全く相補的な構造である。したがって、(8)のダンベル型核酸と同様に、3´末端のB1を起点として自己を鋳型とした核酸合成が行われ、さらに、3´末端側にあるループのB2cにインナープライマー(BIP)又はループプライマーがアニールして、BIPのB2を起点とした核酸合成が行われ、先にB1を起点として合成された核酸を剥がしながら核酸が伸長していく。これにより、(8)、(9)、(11)と同様の過程を経て、再び(8)の核酸が生成される。
このような核酸合成のサイクルを繰り返す中で、(10)のような核酸が次々と合成されていく。
(10)の核酸においては、一本鎖となっているB2cにBIP又はルーフプライマーがアニールして、二本鎖部分を剥がしながら核酸を合成し、ループを有する核酸が生成し、さらにループを起点として核酸が合成される過程を繰り返すことにより、同一鎖上に互いに相補的な配列を繰り返す構造の増幅産物がいろいろなサイズで生成される。
LAMP法では、以上のような増幅反応により、核酸が指数関数的に増幅される。
LAMP法には、通常、鎖置換DNAポリメラーゼを用い、その場合には、4種類の基質(dATP、dGTP、dCTP、dTTP)と2価のマグネシウムイオンを含み、至適pHを保つ緩衝液となる反応バッファーを用いる。
LAMP法の反応温度は、通常50~70℃、好ましくは55~70℃である。また、反応時間は、通常1分~10時間、好ましくは5分~4時間である。
SDA(Standard Displacement Amplification)法は、制限酵素と鎖置換ポリメラーゼを用いて核酸を増幅する方法である。SDA法では、プライマーに予め制限酵素認識配列を挿入しておくことによって、制限酵素処理によって生じたニックが相補鎖合成の起点を与えて、そこから先に合成された核酸を剥がしながら核酸の伸長反応を行うため、PCR法のように温度を変化させることなく、等温で核酸を増幅することができる。
本発明のRNA検出方法においては、鋳型核酸の増幅を指標として、検出対象核酸の存在を検出することができる。
鋳型核酸の増幅を確認する方法は、これらに限定されるわけではないが、例えば、増幅された核酸をインターカレーターと反応させて染色することにより光学的に検出することができ、また、プライマーを蛍光色素で予め標識しておいて、増幅された核酸に蛍光色素を取り込ませることにより光学的に検出することができる。また、増幅された核酸を確認するにあたっては、電気泳動により分子量の大きな増幅核酸を分離してもよく、また、蛍光色素によるFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を利用して増幅核酸の検出を行ってもよい。
インターカレーターとしては、これらに限定されるわけではないが、例えば、エチジウムブロマイド、SYBR Green(登録商標)、Pico Green(登録商標)のような二本鎖核酸に特異的に結合するインターカレーターを用いることができる。
2. RNA検出用核酸
本発明の第2の発明のRNA検出用核酸は、目的とするRNAの検出に用いる試薬であり、前記1.に記載したRNA検出用核酸を用いることができる。
RNA検出用核酸は、バッファー溶液に溶解された状態で製品としてもよく、また、乾燥された状態で製品としてもよい。
バッファー溶液については、RNA検出用核酸を安定に溶解することができる組成となっていれば、どのような溶液であってもよい。例えば、これらに限定されるわけではないが、トリス塩酸を溶解したバッファーや、トリス塩酸とEDTAを溶解したTEバッファー等を用いることができる。
3. RNA検出用キット
本発明の第3の発明のRNA検出用キットは、少なくとも、
A)増幅されて検出の指標となる鋳型核酸と、
B)検出対象RNAの少なくとも一部と相補的な塩基配列を有する第1の核酸部分と、鋳型核酸の一部に相補的な塩基配列を有する第2の核酸部分とを含むRNA検出用核酸と、
C)Cas9ヌクレアーゼと、
を試薬として含むことを特徴とする。
本発明のRNA検出用キットは、市販のポリメラーゼと組み合わせて使用することができるが、本発明のRNA検出用キット自体にさらに
D)ポリメラーゼ
を試薬として含むことが好ましい。
これらのA)~D)の試薬については、前記1.及び2.に記載した試薬と同一のものを用いることができる。
また、本発明のRNA検出用キットには、
i)検出対象RNAを含む被検試料とRNA検出用核酸とを接触させることにより、第1の核酸部分を検出対象RNAにハイブリダイズさせて複合体を形成し、
ii)複合体中の第1の核酸部分の一部を、Cas9ヌクレアーゼで分解し、
iii)RNA検出用核酸のうち第2の核酸部分を有する核酸を一本鎖核酸にして、核酸増幅用プライマーとし、
iv)核酸増幅用プライマーを鋳型核酸にハイブリダイズさせて、ポリメラーゼにより鋳型核酸を増幅する反応を行う
ことを記載した説明書を含ませることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(短鎖RNAの検出)
本発明のRNA検出方法を用いて短鎖RNAの検出を行った。
短鎖RNAの検出は、本発明の第2の実施形態に記載した方法と同様の方法により行った。その実験工程を図10に示し、検出に使用した核酸試薬の塩基配列を図11(A)に示し、その他に使用した試薬を図11(B)に示し、検出に使用した鋳型核酸の塩基配列を図11(C)に示す。
検出対象RNAとして、人工的に合成したmiRNAモデル配列(shortRNA-crRNA-A:配列番号21)を用い、3′側crRNAアダプター(crRNA-B-PHO:配列番号22)をライゲーションにより連結して、完全長crRNA(crRNA:配列番号23)を得た。ライゲーションには、図12に示されるとおり、3′側crRNAアダプターの5′末端をアデニル化しない方法(図12(A))と、5′末端をアデニル化する方法(図12(B))の2つの方法を用いた。すなわち、5′末端をアデニル化していないアダプターを用いて、miRNAモデル配列とのライゲーションを行い(反応B)、5′末端をアデニル化したアダプターを用いて、miRNAモデル配列とのライゲーションを行った(反応D)。対照として、miRNAモデル配列を加えずに、それぞれのライゲーション方法で反応を行った(反応A及びC)。
図13(A)に示されるとおり、ライゲーション反応液(反応A~D)に、トランス活性化型crRNA(tracrRNA:配列番号24)と、Cas9ヌクレアーゼ(Cas9 Nuclease NLS Protein(APB社))と、RNA検出用二本鎖DNA(SpyCas9-pasmid-4/PCR:配列番号20)を加えて、Cas9ヌクレアーゼによる二本鎖DNAの切断を行った((1)~(4))。対照として、ライゲーション反応液の代わりに蒸留水(DW)を用いた反応((5))と完全長crRNA(crRNA:配列番号23)を用いた反応((6))を行った。反応は37℃で3時間行った。
Cas9ヌクレアーゼは、Streptococcus pyogenes(化膿レンサ球菌)由来のSpyCas9を用いた。
RNA検出用二本鎖DNAは、第1の核酸部分として、miRNAモデル配列に相補的な塩基配列を有し、第2の核酸部分として、LAMP法のインナープライマー(BIP)となる塩基配列を有する二本鎖DNAを設計した。また、RNA検出用二本鎖DNAのアンチセンス鎖には、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)となる配列として、-AGG-の塩基配列が含まれるように二本鎖DNAを設計した。さらに、RNA検出用二本鎖DNAのセンス鎖の5′末端には、精製に用いるためのビオチンを連結した。
Cas9ヌクレアーゼによる二本鎖DNA切断を検証するため、キャピラリー電気泳動を行った。キャピラリー電気泳動には、Bioanalyzer DNA 1000キット(Agilent社)を用いた。キャピラリー電気泳動の結果を、図13(B)に示す。
図13(B)に示されるように、RNA検出用二本鎖DNAに蒸留水(DW)とCas9ヌクレアーゼとトランス活性化型crRNA(tracrRNA)を加えて反応を行った場合には、100bp程度のバンドが観察された((5))。一方、RNA検出用二本鎖DNAに、Cas9ヌクレアーゼと、完全長crRNA(crRNA)と、トランス活性化型crRNA(tracrRNA)を加えて反応を行った場合には、50bp程度のバンドが観察され、二本鎖DNAが切断されていることが確認できた((6))。miRNAモデル配列を加えない反応A及びCのライゲーション反応液を用いた場合には、二本鎖DNAが切断されなかったが((1)及び(3))、miRNAモデル配列を加えた反応B及びDのライゲーション反応液を用いた場合には、二本鎖DNAの切断が観察された((2)及び(4))。
Cas9ヌクレアーゼの消化産物に対して、ストレプトアビジンビーズ(Dynabeads M-280 Streptavidin(Thermo社))を用いた精製を行った。これにより、ビオチンが連結したDNAを精製することができた。
精製により得られたDNAは、第2の核酸部分を有するDNAであり、LAMP法のインナープライマー(BIP)となるものである。このプライマーを用いてLAMP法による鋳型核酸の増幅を行った(Biotin-BIP,gRNA)。鋳型核酸としては、図11(C)に示すspyCas9用人工配列-1(配列番号25)を用いた。
LAMP法に用いる他のプライマーとしては、インナープライマー(FIP)としてART7-FIP(配列番号16)、アウタープライマー(F3)としてART7-F3(配列番号14)、アウタープライマー(B3)としてART7-B3(配列番号15)、ループプライマー(LF)としてART7-LF(配列番号18)、ルーフプライマー(LB)としてART7-LB(配列番号19)を用いた。これらのプライマーを含めたLAMP増幅反応試薬については、図11(B)に記載したものを用いた。
対照として、Cas9ヌクレアーゼの消化産物の精製により得られたプライマーの代わりに合成インナープライマー(ART-BIP-KM29)を用いたLAMP法の増幅反応(Control BIP)と、Cas9ヌクレアーゼの消化産物の精製により得られたプライマーの代わりに蒸留水(DW)を用いたLAMP法の増幅反応(DW)と、Cas9ヌクレアーゼによる二本鎖DNAの切断の際にcrRNAの代わりに蒸留水(DW)を加えた消化産物の精製により得られたDNAを用いたLAMP法の増幅反応(Biotin-BIP,DW)を行った。
LAMP法の増幅反応物の量を蛍光色素によりリアルタイムで測定した結果を図14のグラフに示す。
図14に示されるとおり、検出対象RNAに由来するcrRNAを加えてCas9による二本鎖DNAの切断を行った場合(Biotin-BIP,gDNA)には、合成インナープライマーを用いた場合(Control BIP)と同等のLAMP法による核酸増幅が観察された。一方、検出対象RNAに由来するcrRNAを加えずにCas9による二本鎖DNAの切断を行った場合(Biotin-BIP,DW)には、LAMP法による増幅に時間がかかり正常な増幅反応は観察されなかった。
以上より、本発明のRNA検出方法を用いれば、鋳型核酸の増幅を指標として、検出対象RNAを検出できることが明らかとなった。
本発明のRNA検出方法、RNA検出用核酸、及びRNA検出キットは、臨床検査、臨床検査用試薬、及び研究試薬の産業分野で有用である。
1 検出対象RNA
101 スペーサー配列由来の塩基配列を有する核酸部分
102 リピート配列由来の塩基配列を有する核酸部分
2 RNA検出用核酸
201 第1の核酸部分
201a 第1の核酸部分の5′側部分
201b 第1の核酸部分の3′側部分
201′ 第1の核酸部分に相補的な核酸部分
201a′ 第1の核酸部分の5′側部分に相補的な核酸部分
201b′ 第1の核酸部分の3′側部分に相補的な核酸部分
202 第2の核酸部分
202a 第2の核酸部分の5′側部分
202b 第2の核酸部分の3′側部分
202′ 第2の核酸部分に相補的な核酸部分
202a′ 第2の核酸部分の5′側部分に相補的な核酸部分
202b′ 第2の核酸部分の3′側部分に相補的な核酸部分
203 第3の核酸部分
203′ 第3の核酸部分に相補的な核酸部分
204 第4の核酸部分
204′ 第4の核酸部分に相補的な核酸部分
3 Cas9ヌクレアーゼ
4 トランス活性化型crRNA
5 タグ
6 鋳型核酸
601 核酸部分201aに相補的な塩基配列を有する核酸部分
7 ポリメラーゼ
8 アダプター核酸
801 crRNAのリピート配列由来の塩基配列を有する核酸部分
802 トランス活性化型crRNA由来の塩基配列を有する核酸部分
9 RNAリガーゼ
10 ガイドRNA

Claims (20)

  1. 検出対象RNAを検出するRNA検出方法において、
    A)増幅されて検出の指標となる鋳型核酸、
    B)前記検出対象RNAの少なくとも一部と相補的な塩基配列を有する第1の核酸部分と、前記鋳型核酸の一部に相補的な塩基配列を有する第2の核酸部分とを含むRNA検出用核酸、
    C)Cas9ヌクレアーゼ、
    D)ポリメラーゼ、
    E)crRNAのリピート配列由来の塩基配列を含むアダプター核酸、及び
    F)トランス活性化型crRNA
    を少なくとも使用し、
    前記検出対象RNAは、前記crRNAのリピート配列由来の塩基配列を含むアダプター核酸を連結したものであり、
    i)前記検出対象RNAを含む被検試料と前記RNA検出用核酸と前記トランス活性化型crRNAとを接触させることにより、前記第1の核酸部分を前記検出対象RNAにハイブリダイズさせて複合体を形成し、
    ii)前記複合体中の前記第1の核酸部分の一部を、前記Cas9ヌクレアーゼで分解し、
    iii)前記RNA検出用核酸のうち第2の核酸部分を有する核酸を一本鎖核酸にして、核酸増幅用プライマーとし、
    iv)前記核酸増幅用プライマーを前記鋳型核酸にハイブリダイズさせて、前記ポリメラーゼにより前記鋳型核酸を増幅する反応を行う
    ことを含むRNA検出方法。
  2. 前記i)のステップの前に、前記crRNAのリピート配列由来の塩基配列を含むアダプター核酸を、前記検出対象RNAに連結する反応を行う、請求項1に記載のRNA検出方法。
  3. 前記アダプター核酸が、トランス活性化型crRNA由来の塩基配列を含む、請求項1又は2に記載のRNA検出方法。
  4. 前記Cas9ヌクレアーゼが、クラス2のCas9ヌクレアーゼである、請求項1~3のいずれか1項に記載のRNA検出方法。
  5. 前記Cas9ヌクレアーゼが、SpyCas9ヌクレアーゼである、請求項4に記載のRNA検出方法。
  6. 前記Cas9ヌクレアーゼが、NmeCas9ヌクレアーゼである、請求項4に記載のRNA検出方法。
  7. 前記RNA検出用核酸が、二本鎖核酸である、請求項1~6のいずれか1項に記載のRNA検出方法。
  8. 前記RNA検出用核酸が、一本鎖核酸である、請求項6に記載のRNA検出方法。
  9. 前記検出対象RNAが、10~100塩基の短鎖RNAである、請求項1~8のいずれか1項に記載のRNA検出方法。
  10. 前記第1の核酸部分の中の5’側の部分の核酸が、前記検出対象RNAの一部と相補的であるのと同時に、前記鋳型核酸の一部とも相補的である、請求項1~9のいずれか1項に記載のRNA検出方法。
  11. 前記iv)のステップにおいて、LAMP法による核酸増幅を行う、請求項1~10のいずれか1項に記載のRNA検出方法。
  12. 検出対象RNAを検出するために用いるRNA検出用キットにおいて、
    A)増幅されて検出の指標となる鋳型核酸、
    B)前記検出対象RNAの少なくとも一部と相補的な塩基配列を有する第1の核酸部分と、前記鋳型核酸の一部に相補的な塩基配列を有する第2の核酸部分とを含むRNA検出用核酸、
    C)Cas9ヌクレアーゼ、
    D)ポリメラーゼ、
    E)crRNAのリピート配列由来の塩基配列を含むアダプター核酸、及び
    F)トランス活性化型crRNA
    を含み、
    前記crRNAのリピート配列由来の塩基配列を含むアダプター核酸が、前記検出対象RNAに連結される、
    RNA検出用キット。
  13. 前記アダプター核酸が、トランス活性化型crRNA由来の塩基配列を含む、請求項12に記載のRNA検出用キット。
  14. 前記Cas9ヌクレアーゼが、クラス2のCas9ヌクレアーゼである、請求項12又は13に記載のRNA検出用キット。
  15. 前記Cas9ヌクレアーゼが、SpyCas9ヌクレアーゼである、請求項14に記載のRNA検出用キット。
  16. 前記Cas9ヌクレアーゼが、NmeCas9ヌクレアーゼである、請求項14に記載のRNA検出用キット。
  17. 前記RNA検出用核酸が、二本鎖核酸である、請求項12~16のいずれか1項に記載のRNA検出用キット。
  18. 前記RNA検出用核酸が、一本鎖核酸である、請求項16に記載のRNA検出用キット。
  19. 前記検出対象RNAが、10~100塩基の短鎖RNAである、請求項12~18のいずれか1項に記載のRNA検出用キット。
  20. 前記第1の核酸部分の中の5’側の部分の核酸が、前記検出対象RNAの一部と相補的であるのと同時に、前記鋳型核酸の一部とも相補的である、請求項12~19のいずれか1項に記載のRNA検出用キット。
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