JP2018150455A - 潜熱蓄熱材組成物、及び潜熱蓄熱槽 - Google Patents

潜熱蓄熱材組成物、及び潜熱蓄熱槽 Download PDF

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Abstract

【課題】潜熱蓄熱材に添加剤を配合しても、構成された成分同士を、経時的に安定し、均一に混じり合った状態に保つと共に、より大きな蓄熱量を得ることができる潜熱蓄熱材組成物と、そのような潜熱蓄熱材組成物を用いた潜熱蓄熱槽を提供する。
【解決手段】相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材10に、該潜熱蓄熱材10の物性を調整する添加剤20を配合してなる潜熱蓄熱材組成物1において、添加剤20は、第1の添加剤として、多糖類に属する水溶性の物質であり、当該潜熱蓄熱材組成物1に含まれる水12とカチオン30との相互作用に基づいて、液相状態にある当該潜熱蓄熱材組成物1の融液の粘度を高める増粘剤21であること、を特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、この潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合した潜熱蓄熱材組成物、及びこの潜熱蓄熱材組成物を用いた潜熱蓄熱槽に関する。
潜熱蓄熱材(PCM:Phase Change Material)は、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱または放熱を行う物性を有しており、本来廃棄される排熱を蓄熱し、蓄えた熱を必要に応じて取り出すことで、エネルギが無駄なく有効に活用できる。このような潜熱蓄熱材には、当該潜熱蓄熱材の融液を凝固点以下に冷却しても結晶化しない過冷却現象が生じてしまうことがあり、過冷却現象を防ぐのに、過冷却防止剤を潜熱蓄熱材に配合することが一般的に行われている。過冷却防止剤は、融液状態にある潜熱蓄熱材の結晶化の誘起を促す添加剤である。また、過冷却防止剤のほかにも、必要に応じて、潜熱蓄熱材の融点を任意の温度に調整する添加剤として、融点調整剤が、潜熱蓄熱材に配合されることもある。
潜熱蓄熱材が、例えば、無機塩水和物等のように、分子構造の中に水分子を含んだ蓄熱材である場合、使用開始時に無機塩と水分子とが均一に混ざった状態から、蓄熱とその放熱のサイクルを複数回繰り返すうちに、無機塩と水とが分離する相分離が生じてしまう。また、過冷却防止剤や融点調整剤等の添加剤をこの潜熱蓄熱材に配合した潜熱蓄熱材組成物では、蓄熱とその放熱のサイクルを複数回繰り返すうちに、組成物を構成する各成分の混ざり具合が、構成成分の密度差により不均一になる。このような相分離や成分の不均一化を回避する添加剤(分離防止剤)が潜熱蓄熱材に配合されると、このような添加剤は、潜熱蓄熱材(または潜熱蓄熱材組成物)に含まれる構成成分のバインダーとして作用し、潜熱蓄熱材の性能が維持され易くなる。
その分離防止剤の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1は、潜熱蓄熱材である融点94℃のミョウバン水和物に、添加する分離防止剤を、微細な多孔質または繊維状のセラミックスで、粒径100メッシュ以下の物質を、0.1〜30wt%添加して混合した潜熱蓄熱材組成物である。
特開2013−87276号公報
しかしながら、特許文献1では、潜熱蓄熱材組成物の作製時に、分離防止剤の粒径を調整する必要がある上、セラミックス製の分離防止剤はそもそも、当該分離防止剤自体に蓄熱性能を具備していない。そのため、このような分離防止剤が、上限30wt%の添加量でミョウバン水和物に配合されると、その潜熱蓄熱材組成物の畜熱量は、同体積比で、潜熱蓄熱材単体の蓄熱量より、大幅に低下してしまう問題がある。
また、分離防止剤を含む潜熱蓄熱材組成物が、例えば、長尺状の円柱容器等のような縦長状の蓄熱容器内に充填され、このような蓄熱容器を、水等の熱媒体を浸漬した潜熱蓄熱槽内に、当該蓄熱容器の軸方向を槽の上下方向に沿った配置(縦置き配置)で収容したい場合がある。特にこの場合、融液状態にある潜熱蓄熱材組成物において、潜熱蓄熱材と分離防止剤とが、安定した相互作用を形成しないと、蓄熱容器内の潜熱蓄熱材組成物に作用する重力に起因して、潜熱蓄熱材の成分同士が、各成分の密度差(比重差)により分離してしまい、安定した蓄熱性能が得られない。
加えて、潜熱蓄熱材として、例えば、アンモニウムミョウバン12水和物(AlNH(SO・12HO)(以下、「アンモニウムミョウバン」と称す。)等のミョウバン水和物に分離防止剤を添加した潜熱蓄熱材組成物の場合、ミョウバン水和物の融液は、酸性を呈するため、添加する分離防止剤が、耐酸性を有する物性になっていないと、潜熱蓄熱材組成物が、経時的に変性、変質してしまい、所望の蓄熱性能が安定して得られない。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、潜熱蓄熱材に添加剤を配合しても、構成された成分同士を、経時的に安定し、均一に混じり合った状態に保つと共に、より大きな蓄熱量を得ることができる潜熱蓄熱材組成物と、そのような潜熱蓄熱材組成物を用いた潜熱蓄熱槽を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物は、以下の構成を有する。
(1)相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、該潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合してなる潜熱蓄熱材組成物において、前記添加剤は、第1の添加剤として、多糖類に属する水溶性の物質であり、当該潜熱蓄熱材組成物に含まれる水とカチオンとの相互作用に基づいて、液相状態にある当該潜熱蓄熱材組成物の融液の粘度を高める増粘剤であること、を特徴とする。
(2)(1)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記増粘剤は、ヘテロ多糖(hetero polysaccharide)に属するゲランガム相当物質であること、を特徴とする。
なお、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物において、「ゲランガム相当物質」とは、例えば、ゲランガム(gellan gum)をはじめ、ゲランガムの物性と同等な物性を有したゲランガムに相当する物質をいう。すなわち、ゲランガムは、下記の化学構造に示すように、単糖を直鎖状に連結したポリマーによる高分子化合物である。
Figure 2018150455
ポリマーの基質となる単量体(モノマー)は、2つのD−グルコース残基と、1つのD−グルクロン酸残基と、1つのL−ラムノース残基とにより、計3種で4つの糖分子からなる。ゲランガムは、分子量の大きな高分子化合物であるにも関わらず、水溶性を有する。これは、ゲランガムがD−グルクロン酸残基上の1価の官能基であるカルボキシ基(carboxy group)(化学構造では、「COOH」と表記)を有するためである。すなわち、水中でカルボキシ基の一部が、プロトン(化学構造では、「H」)を放出し、負の電荷(化学構造では、「COO」と表記)を帯びることにより、ゲランガム分子が互いに静電反発して水中に分散するために、ゲランガムは水溶性を示す。水中に分散したゲランガムは、高温下では、ランダムコイル状の構造をなしているが、冷却されると、二重の螺旋構造を構成する。
さらに、このような状態になっているゲランガムに、カチオンが外部から供給されると、D−グルクロン酸残基において、負の電荷を帯びたカルボキシ基と、正の電荷を帯びたカチオン(陽イオン)(化学構造では「M」と表記)とが、互いに引き寄せ合う静電相互作用が生じる。このとき、カチオンが1価の場合、カチオンの1価の電荷と、ゲランガムのカルボキシ基上の負の電荷とが、互いに打ち消し合い、二重螺旋構造を形成するゲランガム同士の静電反発が解消される。さらに、これらの二重螺旋構造は、当該二重螺旋構造に含まれる酸素原子と水素原子との間で相互に作用する水素結合により、会合する。カチオンが2価の場合、各二重螺旋構造に含まれる負の電荷を帯びたカルボキシ基が、正の電荷を有するカチオンとの静電相互作用を介して架橋されることで、これらの二重螺旋構造は、互いに会合する。
このような会合により、カチオンが供給されたゲランガムはゲル化する。このようなゲランガムに相当する物質として、単一種または複数種に関わらず、糖分子を複数連結してなる高分子化合物を対象に、構成する糖分子に、例えば、カルボキシ基等のように、親水基を有することで、高分子化合物に水溶性を付与し、かつ水中で電離して負の電荷を帯びる官能基を有し、水との共存下において、外部から供給されるカチオンとこの官能基との間で、静電相互作用の形成を可能とする物質が該当する。また、ゲランガムの物性と同等な物性として、水溶性を有し、分子内の官能基同士の相互作用によって、少なくとも螺旋構造等の三次元構造を形成する性質を持ち、水との共存下において、外部から供給されるカチオンと官能基との静電相互作用により、これらの螺旋構造が会合し、ネットワーク構造を形成してゲル化を促す特性が該当する。本発明に係る潜熱蓄熱材組成物では、ゲランガムのほか、このような特性を具備した物質を対象に、「ゲランガム相当物質」と定義している。
(3)(2)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記増粘剤は、ゲランガム(gellan gum)であること、を特徴とする。
(4)(3)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、当該潜熱蓄熱材組成物全体の重量に占める前記ゲランガムの配合比率が、1wt%以下の範囲内であること、を特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに潜熱蓄熱材組成物において、前記潜熱蓄熱材の主成分は、ミョウバン水和物であること、を特徴とする。
(6)(5)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記ミョウバン水和物は、アンモニウムミョウバン12水和物(AlNH(SO・12HO)、または、カリウムミョウバン12水和物(AlK(SO・12HO)であること、を特徴とする。
(7)(5)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記カチオンは、前記ミョウバン水和物をなす陽イオンであること、を特徴とする。
(8)(1)乃至(7)のいずれか1つに潜熱蓄熱材組成物において、前記第1の添加剤とは別の他の前記添加剤である第2の添加剤が配合されており、前記第2の添加剤は、前記潜熱蓄熱材の融点を調整する融点調整剤であり、前記潜熱蓄熱材との溶解で、負の溶解熱を発生する物性を有する物質であること、を特徴とする。
なお、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物において、「負の溶解熱を発生する物性を有する物質」とは、例えば、エリスリトール(C10)、キシリトール(C12)、マンニトール(C14)、ソルビトール(C14)、ラクチトール(C122411)等の「糖アルコール類に属する物質」に該当する。また、塩化カルシウム六水和物(CaCl・6HO)、塩化マグネシウム六水和物(MgCl・6HO)、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)等の「塩化物に属する物質」が該当する。また、上述の「糖アルコール類に属する物質」に該当する物質のうち、少なくとも一種以上を含む場合や、上述の「塩化物に属する物質」に該当する物質のうち、少なくとも一種以上含む場合も該当する。さらに、上述の「糖アルコール類に属する物質」に該当する物質のいずれかと、上述の「塩化物に属する物質」に該当する物質のいずれかとの混合物も該当する。すなわち、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物に構成された潜熱蓄熱材が、例えば、無機塩水和物からなる場合、「負の溶解熱を発生する物性を有する物質」が無機塩水和物に溶解するとき、この「負の溶解熱を発生する物性を有する物質」において、外部から熱を吸収して吸熱反応(例えば、無機塩水和物の水和水との溶解のほか、無機塩水和物が水和水以外に溶媒となり得る分子をその構造の中に有する場合で、水和水以外の構成物質との溶解等も含む)が生じるものを、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物では、「負の溶解熱を発生する物性を有する物質」と定義している。
また、上記目的を達成するために、本発明に係る潜熱蓄熱槽は、以下の構成を有する。
(9)相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、該潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合してなる潜熱蓄熱材組成物と、前記潜熱蓄熱材組成物との間で熱を移動させるための媒体である熱媒体と、前記潜熱蓄熱材組成物と前記熱媒体を区画する区画部材とを、内部に備えた潜熱蓄熱槽において、前記潜熱蓄熱材組成物は、(1)乃至(8)のいずれか1つに記載する潜熱蓄熱材組成物であること、を特徴とする。
上記構成を有する本発明の潜熱蓄熱材組成物の作用・効果について説明する。
(1)相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、該潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合してなる潜熱蓄熱材組成物において、添加剤は、第1の添加剤として、多糖類に属する水溶性の物質であり、当該潜熱蓄熱材組成物に含まれる水とカチオンとの相互作用に基づいて、液相状態にある当該潜熱蓄熱材組成物の融液の粘度を高める増粘剤であること、を特徴とする。この特徴により、潜熱蓄熱材組成物が融液の状態にあるとき、潜熱蓄熱材組成物の粘度が高まって、潜熱蓄熱材の相分離現象が防止でき、潜熱蓄熱材組成物の構成成分は均一な状態で分散することができる。また、相分離現象のほか、増粘剤以外に、例えば、融点調整剤や過冷却防止剤等の別の添加剤が、潜熱蓄熱材組成物に配合されている場合でも、成分の密度差に起因した、増粘剤以外の添加剤と潜熱蓄熱材との分離が防止でき、潜熱蓄熱材組成物の構成成分は均一な状態で分散することができる。加えて、潜熱蓄熱材が、例えば、アンモニウムミョウバンである場合、アンモニウムミョウバンの蓄熱量は、概ね250〜270kJ/kgで、密度が1.64g/cmであるため、体積当たりの蓄熱量が、潜熱蓄熱材の中でも大きい。その上、増粘剤は、例えば、蓄熱特性を具備していないものの、1.0wt%という僅かな添加量で、ゲルを形成するゲランガム等である場合、潜熱蓄熱材組成物に増粘剤が配合されていても、潜熱蓄熱材組成物の蓄熱量は、同体積比で、潜熱蓄熱材単体の蓄熱量とほとんど変わらず、潜熱蓄熱材組成物において蓄熱量の低下を抑制することができ、体積当たりの蓄熱量を高く維持することができる。しかも、潜熱蓄熱材組成物の融液では、構成成分が均一な状態で分散されているため、潜熱蓄熱材組成物が、液相と固相との間で相変化を繰り返し行っても、構成成分の分布を均一に保つことができる。これにより、潜熱蓄熱材組成物の融点・凝固点等の物性が変動するのを抑制することができる。
従って、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物によれば、潜熱蓄熱材に添加剤を配合しても、構成された成分同士を、経時的に安定し、均一に混じり合った状態に保つと共に、より大きな蓄熱量を得ることができる、という優れた効果を奏する。
(2)と(3)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、増粘剤は、ヘテロ多糖に属するゲランガム相当物質の一例として、ゲランガムであること、を特徴とする。(2)の特徴や(3)の特徴により、例えば、増粘剤がゲランガムの場合、ゲランガム自体は、蓄熱特性を具備していないが、アンモニウムミョウバン12水和物等の潜熱蓄熱材にゲランガム等を、例えば、1.0wt%以下という少量添加するだけで、潜熱蓄熱材組成物の融液を増粘することができ、潜熱蓄熱材組成物における構成成分の分離を、より効果的に抑制することができる。また、例えば、増粘剤がゲランガム等の場合、例えば、アンモニウムミョウバンやカリウムミョウバン12水和物等の融液が、酸性を呈する物性であっても、例示したゲランガムは、耐酸性の物性を有しているため、ゲランガム等の添加に起因して、潜熱蓄熱材組成物が、経時的に変性、変質してしまうこともない。
(4)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、当該潜熱蓄熱材組成物全体の重量に占めるゲランガムの配合比率が、1wt%以下の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、ゲランガム自体は、蓄熱性能を有さないものの、1wt%以下という少量のゲランガムが、潜熱蓄熱材組成物に含まれているだけで、潜熱蓄熱材組成物の融液は、密度差に起因した構成成分の分離を抑制するのに足りる十分な粘度になる。また、ゲランガムの添加量が1wt%以下と僅かであるため、ゲランガムを添加した潜熱蓄熱材組成物は、同体積で比べても、潜熱蓄熱材単体の蓄熱量より大幅に低下するのを抑制できている。
(5)に潜熱蓄熱材組成物において、潜熱蓄熱材の主成分は、ミョウバン水和物であること、を特徴とする。この特徴により、例えば、アンモニウムミョウバン12水和物等のようなミョウバン水和物を用いた潜熱蓄熱材は、相変化に伴う潜熱が比較的大きい物性を有する。そのため、このような物性の潜熱蓄熱材では、蓄熱できる蓄熱量も比較的大きい。従って、ミョウバン水和物である潜熱蓄熱材を含む潜熱蓄熱材組成物は、大容量の熱を蓄熱し、それを放熱する蓄放熱性能を具備できている点で、優れている。
(6)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、ミョウバン水和物は、アンモニウムミョウバン12水和物(AlNH(SO・12HO)、または、カリウムミョウバン12水和物(AlK(SO・12HO)であること、を特徴とする。この特徴により、アンモニウムミョウバン12水和物やカリウムミョウバン12水和物は、市場で幅広く流通して入手し易く、安価である。
(7)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、カチオンは、ミョウバン水和物をなす陽イオンであること、を特徴とする。この特徴により、ミョウバン水和物は、カチオンの供給源となるため、増粘剤のゲル化の促進や、増粘剤のゲル組織の強度を向上させるために、増粘剤とは別に新たな添加剤を加える必要がない。
(8)に潜熱蓄熱材組成物において、第1の添加剤とは別の他の添加剤である第2の添加剤が配合されており、第2の添加剤は、潜熱蓄熱材の融点を調整する融点調整剤であり、潜熱蓄熱材との溶解で、負の溶解熱を発生する物性を有する物質であること、を特徴とする。この特徴により、融点調整剤を溶解させる水分が、潜熱蓄熱材組成物をなす構造の中に含まれているため、潜熱蓄熱材を主成分とする潜熱蓄熱材組成物では、比較的大きな融解潜熱と負の溶解熱との足し合わせにより、潜熱蓄熱材に蓄熱できる蓄熱量も大きくできる。
また、上記構成を有する本発明の潜熱蓄熱槽の作用・効果について説明する。
(9)相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、該潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合してなる潜熱蓄熱材組成物と、潜熱蓄熱材組成物との間で熱を移動させるための媒体である熱媒体と、潜熱蓄熱材組成物と熱媒体を区画する区画部材とを、内部に備えた潜熱蓄熱槽において、潜熱蓄熱材組成物は、(1)乃至(8)のいずれか1つに記載する潜熱蓄熱材組成物であること、を特徴とする。この特徴により、潜熱蓄熱材組成物が、蓄熱とその放熱のサイクルを複数回繰り返しても、潜熱蓄熱材組成物の構成成分で密度差に起因した分離が抑制されている。そのため、例えば、図9に示した潜熱蓄熱槽のように、潜熱蓄熱材組成物を充填した縦長形状の区画部材を、縦置き配置で潜熱蓄熱槽内に収容する場合のほか、潜熱蓄熱材組成物を充填した袋状の蓄熱材充填容器を、潜熱蓄熱槽内に縦方向に並べて収容する場合等でも、潜熱蓄熱材組成物は、その初期状態の蓄熱性能を、長期間、安定した状態で維持することができる。
実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物を模式的に示す説明図である。 実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物に用いる増粘剤の化学構造を示す図である。 変形形態に係る増粘剤の化学構造を示す図である。 実施形態に係る増粘剤の作用を説明する模式図である。 実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物の状態に対し、増粘剤によるメカニズムの変化を、模式的に示す説明図である。 検証実験に用いる試料の元となる潜熱蓄熱材組成物の作製手順を示すフロー図である。 実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物の温度と蓄熱量の時間変化を示すグラフであり、上面側の試料の蓄熱量を測定した場合の実験結果を示すグラフである。 図7に続き、下面側の試料の蓄熱量を測定した場合の実験結果を示すグラフである。 本実施形態に係る蓄熱槽を例示した模式図である。
(実施形態)
以下、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物、及びこの潜熱蓄熱材組成物を用いた潜熱蓄熱槽について、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図9は、本実施形態に係る蓄熱槽を例示した模式図である。潜熱蓄熱槽60は、例えば、病院やビルの発電に用いるコジェネレーション(CogenerationまたはCombined Heat and Power)のガスエンジンシステム等の熱供給源と、この熱供給源で生じた排熱に有する熱エネルギを利用する熱提供先の設備との間に設置される。潜熱蓄熱材組成物1は、本実施形態では、蓄熱材充填容器50(本発明に係る区画部材に対応)に充填され、この蓄熱材充填容器50は、潜熱蓄熱槽60内に貯めた水等の熱媒体61中に複数収容される。
潜熱蓄熱槽60では、熱供給源の排熱により、熱媒体61が約90℃に加熱され、熱媒体61と蓄熱材充填容器50とを介して、潜熱蓄熱材組成物1内の潜熱蓄熱材10が、80〜90℃の温度帯域で蓄熱を行う。潜熱蓄熱材組成物1に蓄熱した熱は、このような温度帯域の温度で放熱され、例えば、給湯設備や、冷暖房を行う空気調和設備等の熱提供先の設備向けの熱エネルギとして、活用される。
次に、潜熱蓄熱材組成物1について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物を模式的に示す説明図である。図1に示すように、潜熱蓄熱材組成物1は、潜熱蓄熱材10に、2種の添加剤20を配合してなる。潜熱蓄熱材10は、相変化に伴う潜熱の出入りにより、蓄熱またはその放熱を可能とする潜熱蓄熱材である。潜熱蓄熱材10は、主成分をミョウバン水和物とする蓄熱材であり、本実施形態では、アンモニウムミョウバン12水和物(硫酸アンモニウムアルミニウム・12水:AlNH(SO・12HO)(以下、単に「アンモニウムミョウバン」と称する。)である。アンモニウムミョウバンは、融点93.5℃、酸性(1%水溶液の場合、pHは約3.6)を呈する物性で、常温では固体の物質である。そのため、アンモニウムミョウバンが、単体で融点未満の90℃程度に加熱されたとしても、アンモニウムミョウバンは、ほとんど溶融することなく、潜熱を蓄熱することもできない。
なお、本実施形態では、潜熱蓄熱材組成物1の主成分である潜熱蓄熱材10を、アンモニウムミョウバン12水和物(硫酸アンモニウムアルミニウム・12水:AlNH(SO・12HO)とした。しかしながら、潜熱蓄熱材は、無機塩水和物からなり、アンモニウムミョウバン以外にも、例えば、カリウムミョウバン12水和物(AlK(SO・12HO)、クロムミョウバン(CrK(SO・12HO)、鉄ミョウバン(FeNH(SO・12HO)等、1価の陽イオンの硫酸塩M (SO)と、3価の陽イオンの硫酸塩MIII (SOとの複硫酸塩である「ミョウバン」であっても良い。また、この「ミョウバン」に含まれる3価の金属イオンは、アルミニウムイオン、クロムイオン、鉄イオン以外に、例えば、コバルトイオン、マンガンイオン等の金属イオンでも良い。さらに、潜熱蓄熱材10は、このような「ミョウバン」に属する物質を、少なくとも二種以上含む混合物、または混晶を主成分とした蓄熱材であっても良い。
添加剤20は2種(第1の添加剤、第2の添加剤)とも、潜熱蓄熱材10の物性を調整する役割を担う水溶性の添加剤である。第1の添加剤20は、液相状態にある潜熱蓄熱材組成物1の融液の粘度を高める増粘剤21である。第2の添加剤20は、潜熱蓄熱材10の融点を、必要に応じて任意の温度に調整する融点調整剤22であり、融点調整剤22は、潜熱蓄熱材10との溶解で、負の溶解熱を発生する物性を有する物質からなる。なお、本実施形態では、潜熱蓄熱材組成物1に配合する添加剤20として、増粘剤21と融点調整剤22とを挙げたが、増粘剤21以外に潜熱蓄熱材組成物に配合する添加剤は、融点調整剤22に限らず、例えば、融液状態にある蓄熱材の結晶化の誘起を促す過冷却防止剤や、潜熱蓄熱材組成物に着色する着色剤等も挙げることができる。
はじめに、「負の溶解熱を発生する物性を有する物質」の定義について、説明した後、融点調整剤22について、説明する。前述したように、潜熱蓄熱材組成物1は、アンモニウムミョウバン(硫酸アンモニウムアルミニウム・12水和物)からなる潜熱蓄熱材10を主成分に、増粘剤21と融点調整剤22とを配合してなる。融点調整剤22が潜熱蓄熱材10に溶解するとき、この融点調整剤22において、外部から熱を吸収して吸熱反応が生じるものを、本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1では、「負の溶解熱を発生する物性を有する物質」と定義している。
「負の溶解熱を発生する物性を有する物質」には、例えば、エリスリトールやキシリトールのほか、マンニトール(C14)、ソルビトール(C14)、ラクチトール(C122411)等の「糖アルコール類に属する物質」がある。また、塩化カルシウム六水和物(CaCl・6HO)、塩化マグネシウム六水和物(MgCl・6HO)、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)等の「塩化物に属する物質」がある。また、上述の「糖アルコール類に属する物質」に該当する物質のうち、少なくとも一種以上を含む場合や、上述の「塩化物に属する物質」に該当する物質のうち、少なくとも一種以上含む場合も該当する。さらに、上述の「糖アルコール類に属する物質」に該当する物質のいずれかと、上述の「塩化物に属する物質」に該当する物質のいずれかとの混合物もある。
具体的には、融点調整剤22は、本実施形態では、マンニトール(C14)であり、当該潜熱蓄熱材組成物1全体の重量に占める配合比率として、マンニトール(C14)の配合比率は、10wt%以下の範囲内である。マンニトールが、潜熱蓄熱材組成物1全体の重量に対し、例えば、8wt%の配合比率で、アンモニウムミョウバン(潜熱蓄熱材10)に添加されると、潜熱蓄熱材組成物1の融点は、約90℃になる。
次に、増粘剤21について、説明する。増粘剤21は、多糖類に属する水溶性の物質であり、潜熱蓄熱材組成物1に含まれる水とカチオンとの相互作用に基づいて、液相状態にある潜熱蓄熱材組成物1の融液の粘度を高める物質であり、ヘテロ多糖(hetero polysaccharide)に属する水溶性のゲランガム相当物質である。ゲランガム相当物質については、後述する。
具体的に説明する。図2は、実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物に用いる増粘剤の化学構造を示す図であり、図4は、実施形態に係る増粘剤の作用を説明する模式図である。増粘剤21は、本実施形態では、ゲランガム(gellan gum)(別名:ゲラン、ポリサッカライドS−60)の一種であるLAゲランガム(Low acyl gellan gum)である。潜熱蓄熱材組成物1全体の重量に占めるLAゲランガムの配合比率は、1wt%以下の範囲内である。
LAゲランガム21(増粘剤21)は、図2に示すように、単糖を直鎖状に連結したポリマーによる高分子化合物であり、多糖類に属する。ポリマーの基質となる単量体(モノマー)は、2つのD−グルコース残基と、1つのD−グルクロン酸残基と、1つのL−ラムノース残基とにより、計3種で4つの糖分子からなる。LAゲランガム21は、常温下において結晶性粉末状であり、LAゲランガム21が約85℃以上の温度で、水に溶解して分散する。水に分散したLAゲランガム21が、約85℃未満に冷却されると、それまでランダムコイル状の構造だったものから、二重の螺旋構造に変化する。さらに、このような二重螺旋構造になったゲランガムに、外部からカチオンの供給を受けると、LAゲランガム21は、酸性及び中性の液体中で、二重の螺旋構造が会合したネットワーク構造を形成し、透明度の高いゲルを形成する。
すなわち、図2に示すように、LAゲランガム21に、カチオン30が外部から供給されると、LAゲランガム21のD−グルクロン酸残基において、負の電荷を帯びた官能基であるカルボキシ基(carboxy group)(図2に示す化学構造では、「COO」と表記)と、正の電荷を帯びたカチオン30(陽イオン)(同じく、「M」と表記)とが、互いに引き寄せ合う静電相互作用が生じる。このとき、カチオン30が1価の場合、カチオン30の正電荷と、LAゲランガム21のカルボキシ基上の負の電荷とが、互いに打ち消し合い、二重の螺旋構造を形成するLAゲランガム21同士の静電反発が、解消される。さらに、これらの二重螺旋構造は、当該二重螺旋構造に含まれる酸素原子と水素原子との間で相互に作用する水素結合により、図4に示すように、会合する。また、カチオン30が2価の場合には、各二重螺旋構造に含まれる負の電荷を帯びたカルボキシ基(図2中、「COO」)が、正の電荷を有するカチオン30(「M2+」)との静電相互作用を介して架橋されることで、これらの二重螺旋構造は、互いに会合する。このような会合により、カチオン30が供給されたLAゲランガム21は、ゲル化する。
ゲランガム相当物質とは、このようなLAゲランガム21に相当する物質として、単一種または複数種に関わらず、糖分子を複数連結してなる高分子化合物を対象に、構成する糖分子に、例えば、カルボキシ基等のように、親水基を有することで、高分子化合物に水溶性を付与し、かつ水中で電離して負の電荷を帯びる官能基を有し、水との共存下において、外部から供給されるカチオンとこの官能基との間で、静電相互作用の形成を可能とする物質が該当する。また、LAゲランガム21の物性と同等な物性として、水溶性を有し、分子内の官能基同士の相互作用によって、少なくとも螺旋構造等の三次元構造を形成する性質を持ち、水との共存下において、外部から供給されるカチオンと官能基との静電相互作用により、これらの螺旋構造が会合し、ネットワーク構造を形成してゲル化を促す特性が該当する。本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1では、LAゲランガム21のほか、このような特性を具備した物質を対象に、「ゲランガム相当物質」と定義している。
増粘剤21は、LAゲランガム21以外にも、ゲランガム相当物質の一例として、図3に示すようなHAゲランガム21Aでも良い。図3は、変形形態に係る潜熱蓄熱材組成物に用いる増粘剤の化学構造を示す図である。HAゲランガム21A(High acyl gellan gum)は、ゲランガムの一種であり、LAゲランガム21に有する2つのD−グルコース残基のうち、一方のD−グルコース残基において、2つのヒドロキシ基(「OH」)の水素原子(「H」)を、別の置換基に置き換えた構造である。HAゲランガム21Aの場合、HAゲランガム21Aが約90℃以上に加熱されると、HAゲランガム21Aは、水に溶解して分散する。なお、水に分散したHAゲランガム21Aが、約90℃未満に冷却されてゲル化するときには、ゲル化を促進する上で、カチオンの存在は必須ではない。但し、カチオンが、一定の範囲内において、高い濃度で存在する場合には、ゲル組織の強度は高くなる。
図5は、実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物の状態に対し、増粘剤によるメカニズムの変化を、模式的に示す説明図である。潜熱蓄熱材組成物1は、アンモニウムミョウバン12水和物(硫酸アンモニウムアルミニウム・12水:AlNH(SO・12HO)を主成分する潜熱蓄熱材10と、増粘剤21と、融点調整剤22とからなる。図5に示すように、潜熱蓄熱材10と増粘剤21と融点調整剤22とをそれぞれ所定の割合で調合した後(図5(a))、潜熱蓄熱材10と増粘剤21と融点調整剤22とを、潜熱蓄熱材組成物1の融点である約90℃を超えて加熱すると、潜熱蓄熱材組成物1の融液が生成される(図5(b))。潜熱蓄熱材組成物1の融液では、LAゲランガム21が、潜熱蓄熱材10(アンモニウムミョウバン12水和物)に含有する水(12水和水)に溶解し、水の中で分散した状態になっている。
この潜熱蓄熱材組成物1の融液が、融点約90℃よりやや低い温度(潜熱蓄熱槽60で使用する80〜90℃の温度帯域)に冷却されると、潜熱蓄熱材組成物1の融液内で生じる潜熱蓄熱材10の相変化により、潜熱蓄熱材10の結晶が、次第に生成し始める(図5(c))。他方、潜熱蓄熱材組成物1の融液には、潜熱蓄熱材10が含まれており、潜熱蓄熱材10を構成する硫酸アンモニウムアルミニウム(AlNH(SO)に、1価のカチオン「NH 」が存在する。この「NH 」は、LAゲランガム21のゲル化を促進するカチオン30として、機能する。
すなわち、図5(c)に示すように、LAゲランガム21は、潜熱蓄熱材組成物1の融液内において、当該潜熱蓄熱材組成物1の融点約90℃よりやや低い温度(潜熱蓄熱槽60で使用する80〜90℃の温度帯域)に冷却されると、構造が、ランダムコイル状(図5(b)参照)から、二重の螺旋構造に変化する。さらに、LAゲランガム21では、「NH 」の存在により、これらの二重螺旋構造は互いに、酸素原子と水素原子との間で相互に作用する水素結合によって会合する。そのため、潜熱蓄熱材組成物1の融液内のLAゲランガム21が、潜熱蓄熱材10から供給される「NH 」の存在によりゲルを形成する。潜熱蓄熱材組成物1の融液全体の粘度は、LAゲランガム21のゲル化により、より高くなる。
潜熱蓄熱材組成物1には、増粘剤21(LAゲランガム21)が添加されているため、潜熱蓄熱材10を構成する硫酸アンモニウムアルミニウムや12水和水、融点調整剤22として用いているマンニトールの各成分が、ゲル化したLAゲランガム21の作用の下で、互いに分離しないで、均一に分散できている。
ところで、このような潜熱蓄熱材組成物1を実際に潜熱蓄熱槽60で使用するにあたり、潜熱蓄熱材組成物1が、図9に例示するような縦長形状の蓄熱材充填容器50内に充填され、蓄熱材充填容器50が、熱媒体61を浸漬した潜熱蓄熱槽60内に、当該蓄熱材充填容器50の長手方向(図9中、上下方向)を、潜熱蓄熱槽60の上下方向に沿った配置(縦置き配置)で収容したい場合がある。潜熱蓄熱材組成物1には、増粘剤21(LAゲランガム21)が添加されているため、潜熱蓄熱材組成物1の融液を構成する成分が、互いに分離しないで、均一に分散した状態になっている。
そのため、潜熱蓄熱材組成物1を充填した蓄熱材充填容器50が縦置き配置で収容された場合でも、各成分の密度差(比重差)に起因して、潜熱蓄熱材組成物1内の構成成分が分離してしまうのを、ゲル化したLAゲランガム21によって抑制できている。特に、潜熱蓄熱材組成物1を充填した1つの蓄熱材充填容器50内でも、潜熱蓄熱材組成物1のうち、容器上方側の部分と、容器下方側の部分とを対比しても、双方の部分において、蓄熱できる蓄熱量やその熱の放熱量に関する蓄熱性能には、大きなバラツキが生じ難くなっている。
次に、潜熱蓄熱材組成物において、増粘剤の効果を検証する目的で検証実験を行った。検証実験は、LAゲランガム21を添加した潜熱蓄熱材組成物1に対し、上下部位からそれぞれ採取した試料を用いて、試料を採取した潜熱蓄熱材組成物1の部位の位置と、潜熱蓄熱材10の蓄熱性能との関係について調査し、この潜熱蓄熱材組成物1の有意性を確認した。
はじめに、検証実験に用いた試料の元となる潜熱蓄熱材組成物1の作製手順について、図6を用いて説明する。図6は、検証実験に用いる試料の元となる潜熱蓄熱材組成物の作製手順を示すフロー図である。検証実験では、試料とする潜熱蓄熱材組成物1内に、潜熱蓄熱材10(アンモニウムミョウバン12水和物)を配合するにあたり、アンモニウムミョウバン無水物(焼アンモニウムミョウバン11)を使用した。
焼アンモニウムミョウバン11の粉末96.34gと、LAゲランガム21の粉末2.00gとを、それぞれ秤量した(図6(a))。焼アンモニウムミョウバン11は、平均1mm程度の大きさに粒子を粉砕した粉末状態である。秤量後、これらの焼アンモニウムミョウバン11とLAゲランガム21を、容量250mlのポリプロピレン (PP:polypropylene)製の第1容器71に投入した(図6(b))。この第1容器71と、後述する第2容器72は、容器内に入っている水等の液に対し、加熱による蒸発で容器外への流出を防ぐため、容器内を密閉する蓋を具備した容器である。
その一方で、水12を、87.66g秤量して、第1容器71とは別のポリプロピレン製の第2容器72に入れた。水12は、例えば、純水、イオン交換水、水道水等である。水12の投入量は、無水和物である焼アンモニウムミョウバン11に対し、その水和物であるアンモニウムミョウバン水和物10(潜熱蓄熱材10)を生成するのに必要な加水量と同量の水である。この加水量は、すなわちアンモニウムミョウバン水和物10に含む水和水(12HO)に相当する量である。続いて、融点調整剤22(マンニトール22)を16.00g秤量した。マンニトール22は、前述したように、負の溶解熱を有する融点調整剤である。秤量後、水12の入った第2容器72にマンニトール22を投入し、撹拌して、水12にマンニトール22を溶解させたマンニトール水溶液31を調製した(図6(c))。
次に、第2容器72に入っているマンニトール水溶液31を、焼アンモニウムミョウバン11とLAゲランガム21とが入っている第1容器71の中に注ぎ、焼アンモニウムミョウバン11と、LAゲランガム21と、マンニトール水溶液31とを撹拌した後、常温下で静置した(図6(d))。静置した直後の初期状態では、焼アンモニウムミョウバン11と、LAゲランガム21と、マンニトール水溶液31との混合物は、図6(e)に示すように、スラリー状混合物32であるが、焼アンモニウムミョウバン11と水12とが水和反応を起こす。この水和反応が終了すると、スラリー状混合物32の状態から、潜熱蓄熱材10(アンモニウムミョウバン12水和物)とLAゲランガム21とマンニトール22とが混合した固体状混合物33が得られた(図6(f))。
次に、水和反応の完了を確認した後、固体状混合物33の入った第1容器71を、水温95℃に設定したウォーターバス73内の水に浸漬した状態で、静置した。アンモニウムミョウバンは、93.5℃以上で融解し、LAゲランガム21は、約85℃以上で水に溶解するため、第1容器71内の固体状混合物33は、完全に溶解し、液化した液体状混合物34になった(図6(g))。液体状混合物34の生成により、LAゲランガム21は、均一に分散された状態になる。
その後、液体状混合物34の入った第1容器71を、ウォーターバス73から取り出して、室温下で静置した。これにより、液体状混合物34が凝固し、潜熱蓄熱材組成物1が得られた(図6(h))。得られた潜熱蓄熱材組成物1の組成では、アンモニウムミョウバン12水和物(潜熱蓄熱材10)が91wt%、マンニトール(融点調整剤22)が8wt%、LAゲランガム(増粘剤21)が1wt%であり、この潜熱蓄熱材組成物1は、融点を約90℃に調整した物性である。
次に、検証実験の方法について、説明する。上述の作製手順で調製した潜熱蓄熱材組成物1を、ポリプロピレン製の第1容器71(図6(h))に封入したままの状態で、水温90℃に設定したウォーターバス(図示省略)内の水に、浸漬した状態で静置した。水温90℃は、潜熱蓄熱材組成物1の融点に対応した温度であるため、潜熱蓄熱材組成物1は、溶融して融液となり、ウォーターバス内の温水により、潜熱蓄熱材組成物1で蓄熱を行った。その後、潜熱蓄熱材組成物1の入った第1容器71を、ウォーターバスから取り出して、常温下で静置した。これにより、潜熱蓄熱材組成物1が完全に凝固し、潜熱蓄熱材組成物1で放熱を行った。
このように、潜熱蓄熱材組成物1による蓄熱とその放熱を、1サイクル行ったところで、参照する図6(h)に示すように、この潜熱蓄熱材組成物1のうち、上面側1aと下面側1bとからそれぞれ、試料約10mgを採取した。そして、周知の示差走査熱量測定装置(DSC:Differential scanning calorimetry)を用いて、その試料台に載せた試料約10mgに、空気30ml/min.の雰囲気ガスを晒して密閉した状態の下で、試料の蓄熱量を測定した。試料は、常温から90℃になるまで、2℃/min.の加熱速度で加熱し、その後、90℃の温度で20分間保持することにより、試料に蓄熱を行った。この間に、試料から出入りした熱量を測定し、蓄熱量を求めた。
また、検証実験では、潜熱蓄熱材組成物1において、その構成成分が均一に分散した状態になっていれば、上面側1aの試料と下面側1bの試料とに対し、その潜熱蓄熱材組成物1の融解挙動に大きな変化が生じてないとの仮定が成り立つ。その反対に、構成成分が、これらの密度差に起因して分離しているならば、上面側1aの試料と下面側1bの試料とに対し、その潜熱蓄熱材組成物1の融解挙動に、大きな差異が生じるとの仮定が成り立つ。
図7は、実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物の温度と蓄熱量の時間変化を示すグラフであり、上面側の試料の蓄熱量を測定した場合の実験結果を示すグラフである。図8は、図7に続き、下面側の試料の蓄熱量を測定した場合の実験結果を示すグラフである。
図7及び図8に示すグラフでは、縦軸左側の目盛りが試料で蓄熱または放熱した熱量を示しており、この目盛りの「負」の領域は、試料に吸熱される熱量を示し、「正」の領域は、試料から放熱される熱量を示す。また、試料は、時間経過と共に推移する熱量の線図の中で、熱量の絶対値が一時的に大きくなり、最大値(ピークトップ)に達した時間tに対応する試料の温度T(融点と定義)となったとき、最大の畜熱量を呈する条件となる。試料の融解潜熱は、熱量の線図の中で、蓄熱量のピークの開始時間と終了時間との間で、熱量を積算して得られるピーク面積S(図7及び図8中、斜線の部分)の大きさで示されている。また、試料の熱量の単位は〔μW〕で、試料の質量の単位は〔mg〕であるが、単位換算を行った上で、畜熱量の単位は、〔kJ/kg〕としている。
<実験結果>
上面側1aの試料では、図7に示すように融解ピーク時t1に対応する温度T1は89℃で、蓄熱量S1は221kJ/kgであった。下面側1bの試料では、図8に示すように、融解ピーク時t2に対応する温度T2は87℃で、蓄熱量S2は233kJ/kgであった。このように、融解ピークの温度や蓄熱量では、双方の試料とも、ほぼ同等であった。
<考察>
DSCによる蓄熱量の測定結果では、潜熱蓄熱材組成物1において、アンモニウムミョウバン12水和物(潜熱蓄熱材10)、マンニトール(融点調整剤22)、及びLAゲランガム(増粘剤21)による構成成分について、上面側1aと下面側1bとも、濃度がほぼ同じであると考えられる。従って、前述した仮定の下、潜熱蓄熱材10及び融点調整剤22の構成成分について、これらの密度差に起因した分離が、潜熱蓄熱材組成物1に配合されているLAゲランガム21で抑止されていることから、LAゲランガム21が、潜熱蓄熱材組成物1において、各構成成分のバインダーとなる作用を具備し、増粘剤として機能しているものと考えられる。
次に、本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1、及び潜熱蓄熱槽60の作用・効果について説明する。本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1では、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材10に、該潜熱蓄熱材10の物性を調整する添加剤20を配合してなる潜熱蓄熱材組成物1において、添加剤20は、第1の添加剤として、多糖類に属する水溶性の物質であり、当該潜熱蓄熱材組成物1に含まれる水12とカチオン30との相互作用に基づいて、液相状態にある当該潜熱蓄熱材組成物1の融液の粘度を高める増粘剤21であること、を特徴とする。増粘剤21は、ヘテロ多糖に属するゲランガム相当物質であること、を特徴とする。
このような特徴により、潜熱蓄熱材組成物1が融液の状態にあるとき、潜熱蓄熱材組成物1の粘度が高まって、潜熱蓄熱材組成物1の構成成分が均一な状態で分散することができる。加えて、潜熱蓄熱材10は、アンモニウムミョウバンであり、アンモニウムミョウバンの蓄熱量は、概ね250〜270kJ/kgで、密度が1.64g/cmであるため、体積当たりの蓄熱量が、潜熱蓄熱材の中でも大きい。その上、増粘剤21は、例えば、蓄熱特性を具備していないものの、1.0wt%という僅かな添加量で、ゲルを形成するLAゲランガム等であるため、潜熱蓄熱材組成物1に増粘剤21が配合されていても、潜熱蓄熱材組成物1の蓄熱量は、同体積比で、潜熱蓄熱材10単体の蓄熱量とほとんど変わらず、潜熱蓄熱材組成物1において蓄熱量の低下を抑制することができ、体積当たりの蓄熱量を高く維持することができる。しかも、潜熱蓄熱材組成物1の融液では、構成成分が均一な状態で分散されているため、潜熱蓄熱材組成物1が、液相と固相との間で相変化を繰り返し行っても、構成成分の分布を均一に保つことができる。これにより、潜熱蓄熱材組成物1の融点・凝固点等の物性が変動するのを抑制することができる。
従って、本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1によれば、潜熱蓄熱材10に添加剤20(増粘剤21、融点調整剤22)を配合しても、構成された成分同士を、経時的に安定し、均一に混じり合った状態に保つと共に、より大きな蓄熱量を得ることができる、という優れた効果を奏する。
増粘剤21は、LAゲランガム21であること、を特徴とする。この特徴により、LAゲランガム21自体は、蓄熱特性を具備していないが、潜熱蓄熱材10(アンモニウムミョウバン12水和物)にLAゲランガム21を、例えば、僅か1.0wt%以下という少量添加するだけで、LAゲランガム21のゲル化が促進され、潜熱蓄熱材組成物1における構成成分の分離を、より効果的に抑制することができる。また、増粘剤として、広く使用されているキサンタンガム(xanthan gum)、アルギン酸ナトリウム(Sodium alginate)、カルボキシメチルセルロース(CMC:carboxymethyl cellulose)等とは異なり、LAゲランガム21は、アンモニウムミョウバン(潜熱蓄熱材10)等のミョウバン水和物と混合し、密閉条件下で融点以上に加熱されても、ミョウバン水和物との間で化学反応を起こさず、増粘剤21としての機能を維持することができる。また、例えば、アンモニウムミョウバンやカリウムミョウバン12水和物等のミョウバン水和物の融液が、酸性を呈する物性であっても、LAゲランガム21は、耐酸性の物性を有しているため、LAゲランガム21の添加に起因して、潜熱蓄熱材組成物1が、経時的に変性、変質してしまうこともない。また、LAゲランガム21は、市場で幅広く流通して入手し易く、安価である。しかも、LAゲランガム21は、無毒で非危険物であるため、取扱いが容易である。
また、本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1では、当該潜熱蓄熱材組成物1全体の重量に占める増粘剤21(LAゲランガム21)の配合比率が、1wt%以下の範囲内であること、を特徴とする。
この特徴により、LAゲランガム21自体は、蓄熱性能を有さないものの、1wt%以下という少量のLAゲランガム21が、潜熱蓄熱材組成物1に含まれているだけで、潜熱蓄熱材組成物1の融液は、密度差に起因した構成成分の分離を抑制するのに足りる十分な粘度になる。また、LAゲランガム21の添加量が1wt%以下と僅かであるため、LAゲランガム21を添加した潜熱蓄熱材組成物1は、同体積で比べても、潜熱蓄熱材10単体の蓄熱量より大幅に低下するのを抑制できている。
また、本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1では、潜熱蓄熱材10の主成分は、ミョウバン水和物であること、を特徴とする。
この特徴により、また、例えば、アンモニウムミョウバン12水和物等のようなミョウバン水和物を用いた潜熱蓄熱材10は、相変化に伴う潜熱が比較的大きい物性を有する。そのため、このような物性の潜熱蓄熱材10では、蓄熱できる蓄熱量も比較的大きい。従って、ミョウバン水和物である潜熱蓄熱材10を含む潜熱蓄熱材組成物1は、大容量の熱を蓄熱し、それを放熱する蓄放熱性能を具備できている点で、優れている。
また、本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1では、ミョウバン水和物は、アンモニウムミョウバン12水和物(AlNH(SO・12HO)、または、カリウムミョウバン12水和物(AlK(SO・12HO)であること、を特徴とする。
この特徴により、アンモニウムミョウバン12水和物やカリウムミョウバン12水和物は、市場で幅広く流通して入手し易く、安価である。
また、本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1では、カチオン30は、ミョウバン水和物をなす陽イオンであること、を特徴とする。
この特徴により、ミョウバン水和物は、カチオン30の供給源となるため、増粘剤21であるLAゲランガム21のゲル化の促進や、HAゲランガム21Aのゲル組織の強度を向上させるために、増粘剤21とは別に添加剤を加える必要がない。
また、本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1では、第1の添加剤20(増粘剤21)とは別の他の添加剤である第2の添加剤20(融点調整剤22)が配合されており、第2の添加剤20は、潜熱蓄熱材10の融点を調整する融点調整剤22であり、潜熱蓄熱材10との溶解で、負の溶解熱を発生する物性を有する物質であること、を特徴とする。
この特徴により、融点調整剤22を溶解させる水分が、潜熱蓄熱材組成物1をなす構造(潜熱蓄熱材10であるアンモニウムミョウバンの12水和物)の中に含まれているため、このような潜熱蓄熱材10を主成分とする潜熱蓄熱材組成物1では、比較的大きな融解潜熱と負の溶解熱との足し合わせにより、潜熱蓄熱材10に蓄熱できる蓄熱量も大きくできる。
また、本実施形態に係る潜熱蓄熱槽60では、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材10に、該潜熱蓄熱材10の物性を調整する添加剤20を配合してなる潜熱蓄熱材組成物1と、潜熱蓄熱材組成物1との間で熱を移動させるための媒体である熱媒体61と、潜熱蓄熱材組成物1と熱媒体61を区画する蓄熱材充填容器50とを、内部に備えた潜熱蓄熱槽60において、潜熱蓄熱材組成物1は、前述した本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1であること、を特徴とする。
この特徴により、潜熱蓄熱材組成物1が、蓄熱とその放熱のサイクルを複数回繰り返しても、潜熱蓄熱材組成物1の構成成分で密度差に起因した分離が抑制されている。そのため、図9に例示した潜熱蓄熱槽60のように、潜熱蓄熱材組成物1を充填した縦長形状の蓄熱材充填容器50を、縦置き配置で潜熱蓄熱槽60内に収容する場合のほか、潜熱蓄熱材組成物1を充填した袋状の蓄熱材充填容器を、潜熱蓄熱槽60内に縦方向(図9中、上下方向)に並べて収容する場合等でも、潜熱蓄熱材組成物1は、その初期状態の蓄熱性能を、長期間、安定した状態で維持することができる。特に、1つの蓄熱材充填容器50が、例えば、数〜十数cm等の縦寸法であっても、本出願人は、この蓄熱材充填容器50の上部と下部で、潜熱蓄熱材組成物1の蓄熱量に差異がないことを、実験で確認できている。
以上において、本発明を実施形態、及び変形形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態、及び変形形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
(1)例えば、実施形態では、増粘剤21をLAゲランガム21としたが、増粘剤は、実施形態に挙げた増粘剤以外にも、例えば、前述したようなヘテロ多糖に属するゲランガム相当物質等、多糖類に属する水溶性の物質であり、潜熱蓄熱材組成物に含まれる水とカチオンとの相互作用に基づいて、液相状態にある潜熱蓄熱材組成物の融液の粘度を高める物質に該当するものであれば、何でも良い。但し、潜熱蓄熱材組成物の使用上、支障が生じないことが前提である。
(2)また、実施形態では、潜熱蓄熱材10を構成する硫酸アンモニウムアルミニウム(AlNH(SO)に存在する「NH 」を、1価のカチオン30として機能させることにより、LAゲランガム21のゲル化を促進させて潜熱蓄熱材組成物1の粘度を高めた。しかしながら、カチオンは、潜熱蓄熱材に存在する陽イオン以外にも、例えば、融点調整剤(添加剤)として添加された無水硫酸ナトリウム(NaSO)が水中で電離して存在する「Na」等、潜熱蓄熱材組成物に配合されている添加剤に基づいて、供給される陽イオンであっても良い。また、前述したゲランガム相当物質等において、分子内の官能基同士の相互作用によって、少なくとも螺旋構造等の三次元構造を形成する性質を持ち、水との共存下において、外部から供給されるカチオンと官能基との静電相互作用により、これらの螺旋構造が会合し、ネットワーク構造を形成してゲル化を促す特性が発揮できるよう、カチオンは、ゲランガム相当物質等の分子内の官能基と静電相互作用を引き起こすのに必要な正電荷を帯びた陽イオンであれば良い。
(3)また、実施形態では、融点調整剤22の配合により、潜熱蓄熱材組成物1の融点を約90℃に調整したが、融点調整剤により調整される蓄熱材組成物の融点温度は、約90℃に限定されるものではなく、蓄熱材組成物から放熱される熱を利用する熱供給先で、必要する熱源の温度に対応した温度に調整されたものであれば良い。
(4)また、実施形態では、潜熱蓄熱材組成物1を利用した潜熱蓄熱槽60を、図9に例示したが、本発明に係る潜熱蓄熱槽について、当該潜熱蓄熱槽内で潜熱蓄熱材組成物等と熱媒体とを区画し、潜熱蓄熱材組成物等と熱媒体との間で、熱が伝導できる構造であれば、潜熱蓄熱槽の構成・形状・仕様は、何でも良い。
1 潜熱蓄熱材組成物
10 潜熱蓄熱材
12 水
30 カチオン
20 添加剤
21 増粘剤
50 蓄熱材充填容器(区画部材)
60 潜熱蓄熱槽
61 熱媒体

Claims (9)

  1. 相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、該潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合してなる潜熱蓄熱材組成物において、
    前記添加剤は、第1の添加剤として、多糖類に属する水溶性の物質であり、当該潜熱蓄熱材組成物に含まれる水とカチオンとの相互作用に基づいて、液相状態にある当該潜熱蓄熱材組成物の融液の粘度を高める増粘剤であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  2. 請求項1に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    前記増粘剤は、ヘテロ多糖(hetero polysaccharide)に属するゲランガム相当物質であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  3. 請求項2に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    前記増粘剤は、ゲランガム(gellan gum)であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  4. 請求項3に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    当該潜熱蓄熱材組成物全体の重量に占める前記ゲランガムの配合比率が、1wt%以下の範囲内であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1つに潜熱蓄熱材組成物において、
    前記潜熱蓄熱材の主成分は、ミョウバン水和物であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  6. 請求項5に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    前記ミョウバン水和物は、アンモニウムミョウバン12水和物(AlNH(SO・12HO)、または、カリウムミョウバン12水和物(AlK(SO・12HO)であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  7. 請求項5に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    前記カチオンは、前記ミョウバン水和物をなす陽イオンであること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1つに潜熱蓄熱材組成物において、
    前記第1の添加剤とは別の他の前記添加剤である第2の添加剤が配合されており、前記第2の添加剤は、前記潜熱蓄熱材の融点を調整する融点調整剤であり、前記潜熱蓄熱材との溶解で、負の溶解熱を発生する物性を有する物質であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  9. 相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、該潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合してなる潜熱蓄熱材組成物と、前記潜熱蓄熱材組成物との間で熱を移動させるための媒体である熱媒体と、前記潜熱蓄熱材組成物と前記熱媒体を区画する区画部材とを、内部に備えた潜熱蓄熱槽において、
    前記潜熱蓄熱材組成物は、請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載する潜熱蓄熱材組成物であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱槽。
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