JP2018149465A - 含油廃水の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】含油廃水の凝集処理において、従来の高分子凝集剤より凝集処理性能が優れて処理水の水質が改善できる高分子凝集剤の提供。【解決手段】1mol/L濃度の食塩水溶液中での25℃における還元粘度が1.0〜12.0dL/gであり、アミノ化度が20〜100モル%の範囲であるポリビニルアミン系水溶性高分子からなる高分子凝集剤。含油廃水のn−ヘキサン抽出物量が100〜10000mg/Lであり、SS濃度が200〜3000mg/Lである含油廃水に前記高分子凝集剤を含油廃水に添加することで、高い凝集処理性能を示す結果、油分を分離し処理水の水質を改善することが可能となる含油廃水の処理方法。【選択図】なし

Description

本発明は、高分子凝集剤を用いて含油廃水を凝集処理する方法に関する。詳しくは、特定の構造単位と物性を有するポリビニルアミン系水溶性高分子からなる凝集処理剤を使用する凝集処理方法に関する。
自動車工場、機械工場、食品工場、印刷工場、整備工場等の各種工場において発生した水には鉱物油や植物油等の油分が多く含まれている。又、機械や設備について洗浄剤を用いて洗浄した水にも油分が含まれている。一般的にこれら含油廃水に対して高分子凝集剤を添加し油分や油分以外のSS等の不溶解物を凝集処理して除去し、処理水を系外に放出する方法が適用されている。これら高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド(PAM)系ポリマーが汎用されており、これまで様々な処方が提案されてきた。
例えば、特許文献1では、含油排水に一般的なカチオン性高分子を添加する処理方法が開示されており、カチオン性高分子として、ジメチルアミノエチルメタクリレートのホモポリマー、又はアクリルアミドとのコポリマー、その4級化物のホモポリマー、又はコポリマー等が挙げられている。更には特許文献2では、pHが8.0以下である含油廃水に、固有粘度が8.0〜20dL/gであり、かつジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩単位を有するポリマーを含むカチオン系高分子凝集剤を添加する、含油洗浄廃水の凝集処理方法が開示されている。一方で、凝集処理剤としてポリビニルアミン系水溶性高分子では、その高分子中の一級あるいは二級アミノ基に起因することが示唆されるが、特異的な凝集性能を発揮することが知られている。しかし、特許文献1や2では、ポリビニルアミン系水溶性高分子についての記載はない。特許文献3では、バイヤー法アルミナの製造工程におけるボーキサイト残渣等の固液分離に適用する高分子凝集剤の溶解方法について開示されており、この溶解方法を用いた高分子凝集剤が含油廃液の処理についても適用でき、ポリビニルアミンも使用できる記載はあるが、具体的な構造単位や物性についての記載はない。そこで、含油廃水処理として高分子凝集剤を添加による凝集処理において、ポリビニルアミン系水溶性高分子の特異性を活かした処理を見出すことが要望されている。
特開昭60−202787号公報 特開2014−158993号公報 特開2000−126509号公報
本発明の課題は、含油廃水の処理方法に関し、詳しくは含油廃水に対して高分子凝集剤を添加し凝集処理することで油分を分離し水質を改善する方法に関することである。
上記課題を解決するため本発明者は鋭意検討を重ねた結果、ある特定の組成及び物性値を有するポリビニルアミン系水溶性高分子が、含油廃水に対して優れた凝集効果を有し、前記課題を解決できることを発明し本発明に至った。
本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子は、含油廃水処理用に一般的に使用されている高分子凝集剤に比べて、凝集処理性能に優れる結果、油分を分離し処理水の水質が改善される。
自動車工場、機械工場、食品工場、印刷工場、整備工場等の各種工場において排出される廃水には油分(鉱物油、植物油等)が含まれており、これら油分を含む汚れ成分が工程や洗浄剤として使用される界面活性剤により微細に分散した状態で存在するため、廃水中から油分を含んだ汚れ成分と水分とに分離して処理される必要がある。本発明が適用される含油廃水とは、油分を含む水を意味し、油分以外の懸濁物質等を含んでいても良い。
本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子は、1mol/L濃度の食塩水溶液中での25℃における還元粘度が1.0〜12.0dL/gであり、アミノ化度が20〜100モル%の範囲である。この範囲のポリビニルアミン系水溶性高分子を含油廃水に添加することで優れた凝集性能を発揮し油分を分離し処理水の水質が改善される。
本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子は、常法のポリビニルアミンの製造方法で製造することができる。
ポリビニルアミンは、構造が最も単純な一級アミノ基含有ビニルポリマーであり、その製造方法は、N−ビニルカルボン酸アミドの重合物を酸または塩基にて加水分解する方法、N−ビニル−O−t−ブチルカルバメートの重合物を加水分解する方法、あるいはポリアクリルアミドを次亜ハロゲン酸およびアルカリ金属水酸化物の存在下ホフマン反応を行う方法等が挙げられる。
例えば、特開平6−65329号公報に開示されている。本発明で使用するポリビニルアミンおよびポリビニルアミン繰り返し単位を有する水溶性高分子は、N−ビニルホルムアミド重合物あるいは共重合物を重合体中のホルミル基を変性することにより容易に得ることができる。すなわちN−ビニルホルムアミドと他の共重合可能な単量体とのモル比が、通常20:80〜100:0の混合物、好ましくは、40:60〜100:0の混合物をラジカル重合開始剤の存在下、重合することにより製造される。
酸あるいはアルカリによりホルミル基を加水分解するため、共重合する単量体の一部も加水分解され、カルボキシル基が生成する場合が多い。そのため共重合する場合は、アクリロニトリルなどが共重合する場合便利である。その他アクリルアミド、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルなどがあげられる。これら単量体は、アニオン性基が生成するので、共重合体中のモル比は、20モル%未満であることが好ましい。
上記のN−ビニルホルムアミド共重合物を製造する重合方法としては、塊状重合、水および種々の有機溶媒を用いる溶液重合、沈殿重合のいずれも用いる事ができる。好ましい重合溶媒としては、水、沸点60〜110℃の有機溶媒および、水と沸点60〜110℃の親水性有機溶媒の混合物が使用される。単量体を溶液状で重合する場合には、目的とする重合体の分子量、重合発熱を考慮して単量体の濃度、重合方法、および重合反応器の形状が適宜選択され、例えば以下の方法によって重合が行われる。すなわち、単量体濃度5〜20質量%の溶液状で重合を開始し、重合体を溶液状または、沈殿物として得る方法、単量体濃度20〜60質量%の条件下重合を開始し、重合物と溶媒を含むゲル状物または析出物として得る方法、単量体濃度20〜60質量%の溶液を、単量体が溶解しない溶媒中で乳化または分散状態で重合する方法等が例示される。
ラジカル重合開始剤としては、通常水溶性または親水性の単量体の重合に用いられる一般的な開始剤のいずれもが使用されるが、重合体を収率良く得る為には、アゾ化合物が好ましい。重合溶媒に水を使用する場合、水溶性のアゾ化合物が好ましく、その例としては、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパンの塩酸塩および酢酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸のナトリウム塩、アゾビス−N,N’−ジメチレンイソブチルアミジンの塩酸塩および硫酸塩が挙げられる。これら重合開始剤の使用量は、通常単量体の質量に対して0.01〜1質量%の範囲である。また、重合反応は、一般に、不活性ガス気流下、30〜100℃の温度で実施される。
得られたN−ビニルホルムアミド共重合体は、そのままの溶液状もしくは分散状で、あるいは希釈、もしくは、公知の方法で脱水または乾燥して粉末状としたのち変性することにより、ポリビニルアミン系水溶性高分子とすることができる。この際に用いられる変性方法としては、N−ビニルホルムアミド共重合体を塩基性および酸性条件下変性するいずれの方法も用いることができる。水中で塩基性加水分解すると重合体中のエステル基がカルボキシル基に変わり、アニオン性基を多く含有する両性共重合体を生ずる傾向があり、水溶性の良い両性重合体の勝れた製造法となる。しかし、疎水性を付与したポリビニルアミンを製造するためには、酸性条件下で変性することが好ましい。N−ビニルホルムアミド共重合体の好ましい変性方法としては、水中で酸性加水分解する方法、水を含有するアルコールなどの親水性溶媒中で酸性加水分解する方法、酸性条件下、加アルコール分解し、ホルミル基をギ酸エステルとして分離しつつ変性する方法などが例示されるが、特に好ましいのは、酸性条件下の加アルコール分解である。この方法により、カルボキシル基を実質的に含有しないポリビニルアミン系水溶性高分子を得ることができる。
また、酸性変性に使用される変性剤としては、強酸性に作用する化合物ならばいずれも使用することが可能であり、例えば、塩酸、臭素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸、スルファミン酸、アルカンスルホン酸等が挙げられる。変性剤の使用量は、重合体中のホルミル基に対して、通常0.1〜2倍モルの範囲から目的の変性率に応じて適宜選択される。また、変性反応は通常40〜100℃の条件で実施される。
特開2012−153747号公報に開示されている方法では、保存安定性に優れる高分子量のポリビニルアミン系水溶性高分子を製造できるため好適に使用できる。先ず、N−ビニルカルボン酸アミド単量体を水、水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させた後、重合することによってN−ビニルカルボン酸アミド重合体を合成する。
N−ビニルカルボン酸アミド単量体の例としては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドが挙げられるが、N−ビニルホルムアミドを使用することが好ましい。
水と非混和性の炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類あるいは灯油、軽油、中油等の鉱油、あるいはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度等の特性を有する炭化水素系合成油、あるいはこれらの混合物が挙げられる。含有量としては、油中水型エマルジョン全量に対して20〜50質量%であり、好ましくは20〜35質量%である。
油中水型エマルジョンを形成するために有効な量とHLBを有する界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアルコールエーテル系、ポリオキシエチレンアルキルエステル系、あるいは分子量が1000以上のブロックおよび/またはグラフト型の高分子界面活性剤等である。具体的には、2〜10好ましくは3〜7のHLB値を有する分子量1000未満の界面活性剤、例えばグリセロールモノ−、ジ−、およびトリ−、オレエート、ステアレートあるいはパルミテートといったグリセロール脂肪酸エステル、ソルビタンモノ−、ジ−、およびポリ−、オレエート、ステアレートあるいはパルミテートといったソルビタン脂肪酸エステル、さらにこれらのエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドの付加物が例示できる。分子量1000以上のブロックおよび/またはグラフト型の高分子界面活性剤としては、12−ヒドロキシステアリン酸とポリ(エチレンオキサイド)の反応物であるポリエステル・ブロック−ポリ(エチレンオキシド)・ブロック−ポリエステル・ブロックコポリマーが例示できる。またこれらの中から二つ以上の界面活性剤を併用することも可能である。とくに分子量1000未満の界面活性剤と分子量1000以上のブロックおよび/またはグラフト型の高分子界面活性剤を併用することが好ましく、添加率としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%の範囲である。
重合はラジカル重合開始剤を使用し行う。これら開始剤は油溶性あるいは水溶性のどちらでも良く、アゾ系、過酸化物系、レドックス系何れでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルプロピオネート、2、2’−アゾビス−(4−メトキシ−2、4−ジメチル)バレロニトリル等が挙げられる。水溶性アゾ開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス[2−(5−メチル−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。レドックス系開始剤の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等との組み合わせが挙げられる。過酸化系開始剤の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウム或いはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等を挙げることができる。
重合温度は、使用する重合開始剤によるが、通常0〜100℃の範囲であり、好ましくは10〜60℃の範囲である。
分子量の調整のため連鎖移動性を持つ化合物を併用することができ、例えば、2−メルカプトエタノール、2−プロパノール、亜硫酸水素ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等が使用できる。
本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子は、前記N−ビニルカルボン酸アミド重合体の油中水型エマルジョンを酸または塩基で加水分解し得ることができる。目的に応じて適宜選択することが可能であり、酸の存在下で使用する必要がある場合は、酸により加水分解することが好適である。酸による加水分解では、副生成物としてギ酸が生成し製造槽や貯槽を腐食するため、塩基により加水分解することが好適である。加水分解によって、酸アミド基をアミノ基に変換することによりカチオン化するが、加水分解率は使用目的によって適宜に設定される。
加水分解のために適当な酸としては、加水分解の際にpHを0〜5の範囲とすることができれば制限はなく、ハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸といった無機酸、炭素数1〜5の範囲のモノおよびジカルボン酸、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸といった有機酸が例示でき、特にハロゲン化水素酸およびハロゲン化水素のガスを用いることが好ましく、ハロゲン化水素酸を用いることが最も好ましい。添加率は、ポリマーのホルミル基に対し0.05〜2、更に好ましくは0.4〜1.2当量の範囲で加えることが好ましい。
加水分解のために適当な塩基としては、加水分解の際にpHを8〜14の範囲とできれば制限はなく、周期律表第一および二a族の金属水酸化物、アンモニアおよびアンモニアのアルキル誘導体が例示でき、周期律表第一および二a族の金属水酸化物およびアンモニアを用いることが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアの水溶液を用いることが最も好ましい。添加率は、ポリマーのホルミル基に対し0.05〜2、さらに好ましくは0.1〜1.4当量の範囲で加えることが好ましい。
加水分解して得られたポリビニルアミンの油中水型エマルジョンは、酸で中和することが可能で、pHが5.0〜14.0の範囲に調整することが好ましい。
中和のために適当な酸としては、ハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸といった無機酸、炭素数1〜5の範囲のモノおよびジカルボン酸、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸といった有機酸が例示でき、特にハロゲン化水素酸およびハロゲン化水素のガスを用いることが好ましく、ハロゲン化水素酸を用いることが最も好ましい。添加率は、加水分解に使用した酸または塩基に対し0.05〜1.2、好ましくは0.05〜1.0当量の範囲である。
加水分解は、HLB8.0〜14.0の範囲のポリオキシエチレンアルキルエーテルの存在下で行うことが好ましい。このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルの例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルが例示される。これらのポリオキシエチレンアルキルエーテルは、N−ビニルカルボン酸アミドの重合時に添加することも、重合後加水分解の前に添加することも可能であるが、重合後、加水分解前に添加する方法が好ましい。
加水分解反応時に生じる意図しない架橋反応を防止する目的で、架橋防止剤の存在下で加水分解反応を行うことができる。架橋防止剤としては、ヒドロキシルアミン又はその塩酸塩、水素化硼素ナトリウム、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、二酸化硫黄、亜二チオン酸ナトリウム、アミノグアニジン、ヒドラジン又はその一水和物、フェニルヒドラジン、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、チオ尿素、二酸化チオ尿素、アンモニア、塩化アンモニウム等が挙げられる。特に塩酸ヒドロキシルアミンが好適である。塩酸ヒドロキシルアミンの存在下で加水分解反応を行うことができる。この塩酸ヒドロキシルアミンは、N−ビニルカルボン酸アミドの重合時に添加することも、重合後加水分解の前に添加することも可能であるが、重合後加水分解の前に添加する方法が好ましい。
前記架橋防止剤の添加率は、N−ビニルカルボン酸アミド重合体に対して1.5〜5.0質量%の範囲とすることが好ましい。
加水分解後は、転相剤と呼ばれる親水性界面活性剤を添加して、油の膜で被われたエマルジョン粒子を水になじみ易くし、油中水型エマルジョンの転相速度を向上させる処理を行なうことが好ましい。親水性界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤やHLB9〜15のノ二オン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルコールエーテル、ポリエキシエチレンラウリルエーテル等が例示できる。
本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子は、水溶性高分子中のビニルアミン構造単位の全構成に対する比率は、20〜100モル%の範囲であり、30〜100モル%であること好ましい。アミノ化度が20モル%より小さい場合は、凝集性能が不良であり、大きな水質の改善は得られない。
本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子の分子量は還元粘度によって表される。還元粘度は一般的な測定方法に従うが、例えば下記の測定方法により求められる。
(還元粘度の測定方法)
ポリビニルアミン系水溶性高分子を1mol/L濃度のNaCl水溶液で溶解し、ポリマー濃度が0.01〜0.1質量%の塩水溶液を得る。25℃の恒温槽中で毛細管粘度計(柴山科学機器製作所社製自動粘度測定装置SS−120)を使用し、水溶液及び溶媒が一定距離流下する時間を測定することで、還元粘度を算出する。
還元粘度は、ポリマーの0.01〜0.1質量%の塩水溶液を毛細管粘度計内で一定距離流下させ、流下時間を測定することによって求められる。本発明においては、0.06質量%の塩水溶液を用いて測定した。ポリビニルアミン系水溶性高分子の還元粘度はアミノ化度によって大きく変動するが、本発明においては還元粘度が1.0〜12.0dL/gの範囲であり、1.5〜11.0dL/gが好ましく、1.5〜10.0dL/gがより好ましい。還元粘度が1.0dL/gより小さいと凝集性能が不良であり効率的な処理を発揮することができない。12.0dL/gより大きいと凝集力が大きすぎ適正なフロックを形成することができないため油分をフロック内に取り込むことができないことが推測され、処理水の改善効果は低下する。
次に具体的な含油廃水に関して述べる。本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子は、各種工場において発生する様々な含油廃水に適用できる。例えば、自動車工場、機械工場、食品工場、印刷工場、整備工場等の各種工場において用いた油分(鉱物油、植物油等)や、機械や設備について洗浄剤を用いて洗浄した油分が多く含まれるため好適である。この中でも自動車工場から排出される自動車製造廃水は、廃水の性状により本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子は好適である。含油廃水に含まれる油分量の指標として、n−ヘキサン抽出物の量を用いることができる。n−ヘキサン抽出物の量は、100〜10000mg/Lの範囲であり、100〜3000mg/Lが好ましく、100〜2000mg/Lがより好ましい。100mg/Lより少ない場合や10000mg/Lより大きい場合では、本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子の凝集効果が最大限に発揮できなくなるためである。含油廃水のpHは、広域で使用可能であるが、pH3以上9以下が好ましい。
凝集処理に関しては、公知の処理方法を適用する。即ち、対象とする含油廃水に本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子を添加し、混合し凝集させた後、固液分離する処理方法であるが、廃水の懸濁物質の種類によって凝集沈殿処理あるいは凝集浮上処理が可能である。廃水のSS濃度(懸濁物質濃度)3000ppm以下の場合、より効率的に処理できるので好適である。SS濃度200ppmより低いと凝集効果が低くなるので、200ppm以上が好ましい。COD(化学的酸素要求量)が300〜10000mg/Lの範囲であると好適である。尚、これら分析値はJIS K 0102法に従い測定されたものである。
本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子は、製品のままの状態で添加しても良いし、任意の濃度に水で溶解、希釈して廃水に添加しても良い。溶解する場合は、一般的に溶解濃度0.05〜0.3質量%を適用する。又、廃水に対する添加率は、廃水に対して通常10〜300ppm、好ましくは50〜300ppmである。又、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、PAC、硫酸バンド等の無機系凝集剤と併用しても差し支えないが、処理水質の改善と同時に薬品使用量やSS処分費コスト等の削減改善の観点から添加量を抑制あるいは無添加が好ましい。
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
本発明における、アミノ化度20〜100モル%、還元粘度1.0〜12.0dL/gの範囲であるポリビニルアミン系水溶性高分子試料A〜Eを常法により調製し準備した。又、本発明における範囲外のポリビニルアミン系水溶性高分子試料F、Gを調製し準備した。これらの組成、物性を表1に示す。又、一般的な含油廃水処理用の高分子凝集剤市販品試料1〜9を用意した。これらの組成、物性を表2に示す。
(表1)
(表2)
(実施例1)
自動車部品製造凝沈廃水(pH7.6、SS分1336mg/L、COD407mg/L、n−ヘキサン抽出物103mg/L、濁度98NTU、色相;灰色)についてジャーテスト試験を実施した。廃水100mLをビーカーに採取しジャーテスターにセット、表1の本発明における試料Aの0.2質量%溶解液を対廃水200ppm添加、150rpm30秒、80rpm30秒、40rpm30秒攪拌して凝集させ、フロック径、上澄み液の濁度、浮上SV(スラッジボリューム)をJIS K 0102法に則り分析した。又、処理水の色相を目視で測定した。同様な操作を試料C、Dについても実施した。これらの結果を表3に示す。尚、原水の色相は灰色であり、凝集処理により油分が除去され、灰色→白色→黄色と変化する。
(比較例1)実施例1と同じ廃水を対象に同様な試験を表1の本発明の範囲外のポリビニルアミン系水溶性高分子試料及び表2の高分子凝集剤試料を用いて行なった。これらの結果を表3に示す。
本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子を添加した場合、凝集処理性能が優れ浮上SVが大きい値となった。又、油分が除去されることにより色相が黄色に変化した。本発明における範囲外のポリビニルアミン系水溶性高分子試料及びその他の高分子凝集剤試料を添加時は、フロックは形成しないか、形成したとしても小さく浮上処理が不良であった。
(表3)
(実施例2)
自動車部品製造廃水(pH6.4、SS分718mg/L、COD1020mg/L、n−ヘキサン抽出物1540mg/L、濁度1900NTU、色相;灰色)についてジャーテスト試験を実施した。廃水200mLをビーカーに採取しジャーテスターにセット、表1の本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子試料Aの0.2質量%溶解液を対廃水120ppm添加、100rpm60秒攪拌して凝集させ、フロック径を測定、処理水の色相を目視で測定した。同様な操作を試料B、Eについても実施した。これらの結果を表4に示す。尚、原水の色相は灰色であり、凝集処理により油分が除去され、灰色→白色→黄色と変化する。
(比較例2)実施例2と同じ廃水を対象に同様な試験を表1の本発明の範囲外のポリビニルアミン系水溶性高分子試料及び表2の高分子凝集剤試料を用いて行なった。これらの結果を表4に示す。
(表4)
本発明におけるポリビニルアミン系水溶性高分子を添加した場合には、色相が灰色であったが、黄色に変化しており、油分が除去されていることが分かる。本発明における範囲外のポリビニルアミン系水溶性高分子あるいはその他の凝集剤を添加しても油分は除去できず、処理水の改善は得られなかった。試料Fや試料5添加時では、フロック径が比較的大きく、油分が凝集フロック内に除去されているように見えるが、実際には処理水は白色であり油分は除去されていないことが分かった。

















Claims (3)

  1. 含油廃水に、1mol/L濃度の食塩水溶液中での25℃における還元粘度が1.0〜12.0dL/gであり、アミノ化度が20〜100モル%の範囲であるポリビニルアミン系水溶性高分子を添加し、凝集処理することを特徴とする含油廃水の処理方法。
  2. 前記含油廃水のn−ヘキサン抽出物量が、100〜10000mg/Lの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の含油廃水の処理方法。
  3. 前記含油廃水のSS濃度が、200〜3000mg/Lの範囲であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の含油廃水の処理方法。



























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