JP2014158993A - 含油洗浄廃水の凝集処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】pHが8.0以下である含油洗浄廃水に、固有粘度が8.0〜20dL/gであり、かつジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩単位を有するポリマーを含むカチオン系高分子凝集剤を添加する、含油洗浄廃水の凝集処理方法。
【選択図】なし
Description
(1)含油廃水に無機凝結剤(硫酸バンド、ポリ塩化アルニミニウム等)を添加し、含油廃水中の不溶解物を凝集させて微細な凝結粒子を形成させ、ついでアニオン系高分子凝集剤を添加し、凝結粒子を凝集させて凝集フロックを形成した後、凝集フロックと処理水とを分離する凝集処理方法。
しかし、(1)の凝集処理方法では、多量の無機凝結剤が必要となるため、凝集フロックからなる汚泥の発生量が多くなり、処理コストが高くなる。
(2)含油廃水にカチオン系高分子凝集剤を添加して凝結粒子を形成させ、ついでアニオン系高分子凝集剤を添加して凝集フロックを形成した後、凝集フロックと処理水とを分離する凝集処理方法(特許文献1、2)。
しかし、2種類の高分子凝集剤を用いる場合、含油廃水の性状に応じて、各高分子凝集剤の添加量をそれぞれ最適な量に調整する必要があるため、作業の複雑化が懸念される。
(3)界面活性剤を含む含油洗浄廃水に、ジメチルアミノエチルアクリレート系ポリマーまたはジメチルアミノエチルメタクリレート系ポリマーからなるカチオン系高分子凝集剤を添加して凝集フロックを形成した後、凝集フロックと処理水とを分離する凝集処理方法(特許文献3)。
「含油廃水」とは、油分を含む水を意味し、油分以外のSS、イオン性成分等を含んでいてもよい。
「含油洗浄廃水」とは、油分およびイオン性成分を含む水を意味し、油分以外のSS等を含んでいてもよい。
「イオン性成分」とは、洗浄剤に含まれるアニオン荷電を有する物質を意味する。
「(モノマー)単位」とは、モノマーが重合することによって形成されたモノマー分子から構成される構成単位を意味する。
「凝集剤」とは、水中に分散している油分、油分以外のSS等の不溶解物を凝集して凝集フロックを形成する機能を有する薬剤を意味する。
「高分子凝集剤」とは、複数の構成単位から構成された構造を有する化合物からなる凝集剤を意味する。
「カチオン系高分子凝集剤」とは、カチオン性を示す官能基を有する高分子凝集剤を意味する。
「凝集処理」とは、水中に分散している油分、油分以外のSS等の不溶解物を凝集して凝集フロックを形成し、凝集フロックを分離して処理水を得ることを意味する。
「凝集フロック」とは、水中に分散している油分、油分以外のSS等の不溶解物が凝集した集合体を意味する。
「汚泥」とは、廃水から分離した凝集フロックからなる泥状の廃棄物を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。
「固有粘度」は、1N硝酸ナトリウム水溶液中、温度30℃の条件で、ウベローデ希釈型毛細管粘度計を用い、定法に基づき測定する(高分子学会編、「新版高分子辞典」,朝倉書店,p.107)。
本発明の含油洗浄廃水の凝集処理方法は、pHが8.0以下である含油洗浄廃水に、固有粘度が8.0〜20dL/gであり、かつジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩単位を有するポリマーを含むカチオン系高分子凝集剤を添加する方法である。
含油洗浄廃水としては、例えば、各種工場(機械工場、印刷工場、食品工場、自動車工場、整備工場等)において用いた油(鉱物油、植物油等)が付着した機械や設備、油とともに汚れ成分(塵、埃等)等がさらに付着した機械や設備等を洗浄剤を用いて洗浄したり、クリーニング工場、家庭等において洗濯物を洗浄剤を用いて洗濯したりした際に発生し、排出されるものが挙げられる。
洗浄剤は、通常、アニオン荷電を有するイオン性成分を含む。イオン性成分としては、界面活性剤、アルカリ剤、キレート剤等が挙げられる。アニオン荷電を有する界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。洗浄剤は、非イオン系界面活性剤を含んでいてもよい。
含油洗浄廃水に含まれる油分量の指標として、含油洗浄廃水からのn−ヘキサン抽出物の量を用いることができる。含油洗浄廃水からのn−ヘキサン抽出物の量は、10〜3000mg/Lが好ましく、50〜2000mg/Lがより好ましい。
含油洗浄廃水のpHは、含油洗浄廃水の前処理(油水分離等)によって調整できる。前処理後の含油洗浄廃水のpHが8を超える場合、pH調整剤(希硫酸、塩酸等)によって含油洗浄廃水のpHを調整する。含油洗浄廃水のpHの調整は、カチオン系高分子凝集剤の添加の前に行うことが好ましい。
カチオン系高分子凝集剤は、固有粘度が8.0〜20dL/gであり、かつジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩(以下、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩をDMEとも記す。)単位を有するポリマー(以下、該ポリマーをDME系ポリマーとも記す。)を含む。
他のモノマーとしては、DME以外のカチオン性を示す官能基を有するモノマー、ノニオン性を示す官能基を有するモノマー等が挙げられる。
DME以外のカチオン性を示す官能基を有するモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートもしくはその塩(アルキルクロライド付加物(4級塩)を含む。ただし、DMEを除く。)、またはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドもしくはその塩(アルキルクロライド付加物(4級塩)を含む。)が挙げられる。DME以外のカチオン性を示す官能基を有するモノマー単位の含有割合は、DME単位100モル%に対して20モル%以下が好ましい。
ノニオン性を示す官能基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられるが、特に限定はない。
DME単位の含有割合は、DME系ポリマーを構成する全モノマー単位(100モル%)のうち、60〜100モル%が好ましく、80〜100モル%がより好ましい。DME単位の含有割合が小さすぎると、処理水の水質が悪化する傾向がある。
カチオン系高分子凝集剤の添加量は、含油洗浄廃水中の油分、油分以外のSS、イオン性成分の含有量によって変動するが、通常は、含油洗浄廃水中において10〜500ppmとなる量である。
カチオン系高分子凝集剤の水溶液の劣化防止のために、固体酸を添加してもよい。固体酸としては、スルファミン酸、酸性亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
含油洗浄廃水の種類、水質レベル等によって、無機凝結剤を併用する場合と、高分子凝集剤を単独で用いる場合とがある。
無機凝結剤としては、アルミニウム系無機凝結剤、鉄系無機凝結剤が挙げられる。アルミニウム系無凝結剤としては、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミ等が挙げられる。鉄系無機凝結剤としては、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄等が挙げられる。
無機凝結剤の添加量は、含油洗浄廃水中の油分、油分以外のSS、イオン性成分の含有量によって変動するが、通常は、含油洗浄廃水中において10〜2000ppmとなる量である。
必要に応じて、有機カチオン性化合物、ノニオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤を併用してもよい。
アニオン性を示す官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
以上説明した本発明の含油洗浄廃水の凝集処理方法にあっては、特定のカチオン系高分子凝集剤のみを用いることによって良好な凝集フロックを形成できるため、特定のカチオン系高分子凝集剤のみを用いた場合には、簡略化された作業での凝集処理が可能となる。また、高分子凝集剤の使用量が少なくても良好な凝集フロックを形成できるため、薬剤のコストを抑えることができる。また、特定のカチオン系高分子凝集剤を用いているため、油分、油分以外のSS、イオン性成分の凝集が良好となり、処理水の水質が大きく改善される。
すなわち、高粘度DME系ポリマーを用いた場合は、粘性の強い粗大な綿状の不溶解物が生成し、生成後直ちに不溶解物は油分を取り込みながら集合し、凝集フロックに成長する。一方で、固有粘度が8.0dL/g未満のDME系ポリマー(以下、低粘度DME系ポリマー」と記す。)では、細かい粒子状の不溶解物が生成するが、この粒子状の不溶解物が凝集フロックに成長するまで多量の添加量を要する。また、凝集フロックが形成しても、油分が凝集フロック内に取り込まれずに、水中に多量に残留する。
さらに、無機凝結剤を添加しない、または少量の添加量条件において凝集処理を行うことによって、無機凝結剤の添加量低減による汚泥発生量が低減し、含油洗浄廃水の処理コストが大幅に削減される。
固有粘度は、1N硝酸ナトリウム水溶液中、温度30℃の条件で、ウベローデ希釈型毛細管粘度計を用い、定法に基づき測定した(高分子学会編、「新版高分子辞典」,朝倉書店,p.107)。
凝集フロックのフロック径は、目視によって測定し、全体の平均を求めた。
処理水のSSについて、目視によって下記の基準で評価した。
A:凝集フロックを分離した後の処理水がほとんど透き通っており、浮遊物はほぼ見られない(SS濃度目安:50ppm未満)。
B:凝集フロックを分離した後の処理水に一部濁りが見られ、浮遊物がわずかに存在する(SS濃度目安:50ppm以上100ppm未満)。
C:凝集フロックを分離した後の処理水に部分的に濁りが見られ、浮遊物がところどころ存在する(SS濃度目安:100ppm以上200ppm未満)。
D:凝集フロックを分離した後の処理水に多数の濁りが見られ、浮遊物が全体的に存在する(SS濃度目安:200ppm以上500ppm未満)。
E:凝集フロックを分離した後の処理水に全体的に多数の濁りが見られ、浮遊物が全体的に存在し、一部粗大な大きさで存在する(SS濃度目安:500ppm以上1000ppm未満)。
×:凝集フロックを分離した後の処理水が完全に濁り、粗大な浮遊物が多数存在する(SS濃度目安:1000ppm以上)
処理水の濁度の測定結果を、処理水の油分や油分以外のSSの含有量を表す指標として用いた。処理水の濁度は、濁度計(エムケー・サイエンティフィック社製、TN−100)を用いて測定した。
高分子凝集剤として、表1に示すものを用意した。
DME:ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩、
DMC:ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩、
AAm:アクリルアミド。
含油洗浄廃水として、N社のダストコントロール用品工場において工場設備の洗浄を行った際に発生したイオン性成分を含む廃水を採取して用いた。含油洗浄廃水の性状は、pH=6.5、SS=1350ppm、濁度=4270NTU、n−ヘキサン抽出物=1400mg/Lであった。
実施例1において、含油洗浄廃水に無機凝結剤である硫酸バンドを表2に示す添加量条件で添加し、150rpmの回転数で1分間撹拌混合した後、高分子凝集剤を添加した以外は、実施例1と同様にして凝集フロックを形成させた後、凝集フロックを分離した。結果を表2に示す。なお、無機凝結剤は水で10倍に希釈して用いた。
実施例7〜9は、無機凝結剤である硫酸バンドを併用した例であり、実施例1よりもカチオン系高分子凝集剤の添加量が少ない条件で、良好な凝集フロックが形成され、良好な水質の処理水が得られた。
比較例2は、固有粘度が高いDME系ポリマーを用いた例であり、凝集反応性が遅くなり、処理水の水質が悪化した。
比較例3は、DMC系ポリマーを用いた例であり、凝集フロックの径に問題ないが、処理水の水質が悪化した。
比較例4、5は、固有粘度が低いDME系ポリマーと無機凝結剤である硫酸バンドとを併用した例である。硫酸バンドの添加量が2000ppmでは、同程度の径の凝集フロックが形成し、凝集性に問題ないが、処理水の水質改善効果に劣った。硫酸バンドの添加量が500ppmでは、添加量不足のため、凝集フロックの径が小さく、処理水の水質が悪化した。
含油洗浄廃水として、Y社のクリーニング工場において工場設備の洗浄を行った際に発生したイオン性成分を含む廃水を採取して用いた。含油洗浄廃水の性状は、pH=7.5、SS=147ppm、濁度=447NTU、n−ヘキサン抽出物=216mg/Lであった。
比較例6は、固有粘度が低いDME系ポリマーを用いた例であり、凝集フロックが小さく、処理水の水質が悪化した。
比較例7は、固有粘度が高いDME系ポリマーを用いた例であり、凝集反応性が遅くなり、処理水の水質が悪化した。
含油洗浄廃水として、N社の食品製造工場において工場設備の洗浄を行った際に発生したイオン性成分を含む廃水を採取して用いた。含油洗浄廃水の性状は、pH=4.8、SS=46ppm、濁度=210NTU、n−ヘキサン抽出物=106mg/Lであった。
比較例8は、固有粘度が低いDME系ポリマーを用いた例であり、凝集フロックが小さく、処理水の水質が悪化した。
比較例9は、固有粘度が高いDME系ポリマーを用いた例であり、凝集反応性が遅くなり、処理水の水質が悪化した。
Claims (2)
- pHが8.0以下である含油洗浄廃水に、固有粘度が8.0〜20dL/gであり、かつジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩単位を有するポリマーを含むカチオン系高分子凝集剤を添加する、含油洗浄廃水の凝集処理方法。
- 前記ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩単位の含有割合が、前記ポリマーを構成する全モノマー単位(100モル%)のうち、60〜100モル%である、請求項1に記載の含油洗浄廃水の凝集処理方法。
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