JP2014158993A - 含油洗浄廃水の凝集処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業が簡略化され、高分子凝集剤の使用量が少なくても良好な凝集フロックを形成でき、良好な水質の処理水が得られる含油洗浄廃水の凝集処理方法を提供する。
【解決手段】pHが8.0以下である含油洗浄廃水に、固有粘度が8.0〜20dL/gであり、かつジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩単位を有するポリマーを含むカチオン系高分子凝集剤を添加する、含油洗浄廃水の凝集処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子凝集剤を用いる含油洗浄廃水の凝集処理方法に関する。
各種工場(機械工場、印刷工場、食品工場、自動車工場、整備工場、クリーニング工場等)においては、油分等が付着した物品を、界面活性剤、アルカリ剤等を含む洗浄剤で洗浄するため、界面活性剤によって油分が水中に微細に分散した含油洗浄廃水が発生する。含油洗浄廃水は、油分、油分以外の懸濁物質(SS)等の不溶解物を除去した後、処理水として外部に放流される。
含油洗浄廃水を始めとする含油廃水全般について、含油廃水中の不溶解物を除去する処理方法としては、例えば、下記の方法がよく知られている。
(1)含油廃水に無機凝結剤(硫酸バンド、ポリ塩化アルニミニウム等)を添加し、含油廃水中の不溶解物を凝集させて微細な凝結粒子を形成させ、ついでアニオン系高分子凝集剤を添加し、凝結粒子を凝集させて凝集フロックを形成した後、凝集フロックと処理水とを分離する凝集処理方法。
しかし、(1)の凝集処理方法では、多量の無機凝結剤が必要となるため、凝集フロックからなる汚泥の発生量が多くなり、処理コストが高くなる。
無機凝結剤の使用量の低減を目的に、種々の高分子凝集剤を組み合わせた含油廃水の凝集処理方法が提案されている。該凝集処理方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
(2)含油廃水にカチオン系高分子凝集剤を添加して凝結粒子を形成させ、ついでアニオン系高分子凝集剤を添加して凝集フロックを形成した後、凝集フロックと処理水とを分離する凝集処理方法(特許文献1、2)。
しかし、2種類の高分子凝集剤を用いる場合、含油廃水の性状に応じて、各高分子凝集剤の添加量をそれぞれ最適な量に調整する必要があるため、作業の複雑化が懸念される。
1種類の高分子凝集剤を用いる含油洗浄廃水の凝集処理方法としては、下記の方法が提案されている。
(3)界面活性剤を含む含油洗浄廃水に、ジメチルアミノエチルアクリレート系ポリマーまたはジメチルアミノエチルメタクリレート系ポリマーからなるカチオン系高分子凝集剤を添加して凝集フロックを形成した後、凝集フロックと処理水とを分離する凝集処理方法(特許文献3)。
しかし、(3)の凝集処理方法においては、含油洗浄廃水に含まれる、不溶解物以外のイオン性成分(洗浄剤に由来する界面活性剤、アルカリ剤、キレート剤等)の影響を受けやすいことが懸念される。イオン性成分は、主にアニオン荷電を有する物質であるため、カチオン系高分子凝集剤と反応し、水不溶のコンプレックスを形成しやすい。その結果、コンプレックスの形成に伴う凝集性の低下を補うため、多量のカチオン系高分子凝集剤が必要となる。多量のカチオン系高分子凝集剤を用いた場合は、多量の無機凝結剤を用いる場合に比べれば汚泥の発生量は減少するものの、薬剤のコストは増大する。
特開2000−084567号公報 特開2011−131164号公報 特開2004−230278号公報
本発明は、作業が簡略化され、高分子凝集剤の使用量が少なくても良好な凝集フロックを形成でき、良好な水質の処理水が得られる含油洗浄廃水の凝集処理方法を提供する。
本発明の含油洗浄廃水の凝集処理方法は、pHが8.0以下である含油洗浄廃水に、固有粘度が8.0〜20dL/gであり、かつジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩単位を有するポリマーを含むカチオン系高分子凝集剤を添加することを特徴とする。
前記ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩単位の含有割合は、前記ポリマーを構成する全モノマー単位(100モル%)のうち、60〜100モル%であることが好ましい。
本発明の含油洗浄廃水の凝集処理方法によれば、作業が簡略化され、高分子凝集剤の使用量が少なくても良好な凝集フロックを形成でき、良好な水質の処理水が得られる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「含油廃水」とは、油分を含む水を意味し、油分以外のSS、イオン性成分等を含んでいてもよい。
「含油洗浄廃水」とは、油分およびイオン性成分を含む水を意味し、油分以外のSS等を含んでいてもよい。
「イオン性成分」とは、洗浄剤に含まれるアニオン荷電を有する物質を意味する。
「(モノマー)単位」とは、モノマーが重合することによって形成されたモノマー分子から構成される構成単位を意味する。
「凝集剤」とは、水中に分散している油分、油分以外のSS等の不溶解物を凝集して凝集フロックを形成する機能を有する薬剤を意味する。
「高分子凝集剤」とは、複数の構成単位から構成された構造を有する化合物からなる凝集剤を意味する。
「カチオン系高分子凝集剤」とは、カチオン性を示す官能基を有する高分子凝集剤を意味する。
「凝集処理」とは、水中に分散している油分、油分以外のSS等の不溶解物を凝集して凝集フロックを形成し、凝集フロックを分離して処理水を得ることを意味する。
「凝集フロック」とは、水中に分散している油分、油分以外のSS等の不溶解物が凝集した集合体を意味する。
「汚泥」とは、廃水から分離した凝集フロックからなる泥状の廃棄物を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。
「固有粘度」は、1N硝酸ナトリウム水溶液中、温度30℃の条件で、ウベローデ希釈型毛細管粘度計を用い、定法に基づき測定する(高分子学会編、「新版高分子辞典」,朝倉書店,p.107)。
<含油洗浄廃水の凝集処理方法>
本発明の含油洗浄廃水の凝集処理方法は、pHが8.0以下である含油洗浄廃水に、固有粘度が8.0〜20dL/gであり、かつジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩単位を有するポリマーを含むカチオン系高分子凝集剤を添加する方法である。
(含油洗浄廃水)
含油洗浄廃水としては、例えば、各種工場(機械工場、印刷工場、食品工場、自動車工場、整備工場等)において用いた油(鉱物油、植物油等)が付着した機械や設備、油とともに汚れ成分(塵、埃等)等がさらに付着した機械や設備等を洗浄剤を用いて洗浄したり、クリーニング工場、家庭等において洗濯物を洗浄剤を用いて洗濯したりした際に発生し、排出されるものが挙げられる。
洗浄剤は、通常、アニオン荷電を有するイオン性成分を含む。イオン性成分としては、界面活性剤、アルカリ剤、キレート剤等が挙げられる。アニオン荷電を有する界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。洗浄剤は、非イオン系界面活性剤を含んでいてもよい。
含油洗浄廃水に含まれる油分量の指標として、含油洗浄廃水からのn−ヘキサン抽出物の量を用いることができる。含油洗浄廃水からのn−ヘキサン抽出物の量は、10〜3000mg/Lが好ましく、50〜2000mg/Lがより好ましい。
含油洗浄廃水のpHは、8以下であり、3以上8以下が好ましい。含油洗浄廃水のpHが8を超えると、カチオン系高分子凝集剤による凝集性が低下するため、処理水の水質が悪化する。
含油洗浄廃水のpHは、含油洗浄廃水の前処理(油水分離等)によって調整できる。前処理後の含油洗浄廃水のpHが8を超える場合、pH調整剤(希硫酸、塩酸等)によって含油洗浄廃水のpHを調整する。含油洗浄廃水のpHの調整は、カチオン系高分子凝集剤の添加の前に行うことが好ましい。
(カチオン系高分子凝集剤)
カチオン系高分子凝集剤は、固有粘度が8.0〜20dL/gであり、かつジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩(以下、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩をDMEとも記す。)単位を有するポリマー(以下、該ポリマーをDME系ポリマーとも記す。)を含む。
DME系ポリマーの分子量の指標として、固有粘度を用いることができる。DME系ポリマーの固有粘度は、8.0〜20.0dL/gであり、10.0〜18.0dL/gが好ましい。固有粘度が8.0dL/g未満では、カチオン系高分子凝集剤による凝集性が低下する。固有粘度が20.0dL/gを超えると、カチオン系高分子凝集剤による凝集反応性が遅くなり、処理水の水質が悪化する。
DME系ポリマーは、DMEのホモポリマーであってもよく、DMEと他のモノマーとのコポリマーであってもよい。
他のモノマーとしては、DME以外のカチオン性を示す官能基を有するモノマー、ノニオン性を示す官能基を有するモノマー等が挙げられる。
DME以外のカチオン性を示す官能基を有するモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートもしくはその塩(アルキルクロライド付加物(4級塩)を含む。ただし、DMEを除く。)、またはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドもしくはその塩(アルキルクロライド付加物(4級塩)を含む。)が挙げられる。DME以外のカチオン性を示す官能基を有するモノマー単位の含有割合は、DME単位100モル%に対して20モル%以下が好ましい。
ノニオン性を示す官能基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられるが、特に限定はない。
他のモノマー単位の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲であればよい。
DME単位の含有割合は、DME系ポリマーを構成する全モノマー単位(100モル%)のうち、60〜100モル%が好ましく、80〜100モル%がより好ましい。DME単位の含有割合が小さすぎると、処理水の水質が悪化する傾向がある。
DME系ポリマーの製造方法としては、沈殿重合法、塊状重合法、分散重合法、水溶液重合法等が挙げられる。製造工程における重合時間、重合温度、開始剤添加量、連鎖移動剤添加量等を適宜選定することによって、DME系ポリマーの固有粘度を調整できる。
カチオン系高分子凝集剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、固有粘度が8.0〜20dL/gであるDME系ポリマー以外の他のカチオン系高分子凝集剤を含んでいてもよい。他のカチオン系高分子凝集剤としては、固有粘度が8.0gL/g未満または20dL/g超のDME系ポリマー、またはDME系ポリマー以外の他のカチオン系ポリマーが挙げられる。他のカチオン系高分子凝集剤の含有量は、カチオン系高分子凝集剤100モル%のうち、10モル%未満が好ましく、5モル%未満がより好ましい。
カチオン系高分子凝集剤の添加方法は、含油洗浄廃水にカチオン系高分子凝集剤を一度に添加し、混合する方法であってもよく、含油洗浄廃水にカチオン系高分子凝集剤を2回以上に分割して逐次添加し、混合する方法であってもよい。
カチオン系高分子凝集剤を添加する際には、含油洗浄廃水を撹拌することが好ましい。撹拌が弱すぎると、カチオン系高分子凝集剤が均一に混和されず、撹拌が強すぎると凝集後のフロックが大きく成長しにくい。したがって、カチオン系高分子凝集剤を添加する際には、180〜3000rpmの回転数で含油洗浄廃水を撹拌することが好ましい。
カチオン系高分子凝集剤は、通常、水溶液の状態で添加される。水溶液(100質量%)中のカチオン系高分子凝集剤の濃度は、0.01〜1.0質量%が好ましい。
カチオン系高分子凝集剤の添加量は、含油洗浄廃水中の油分、油分以外のSS、イオン性成分の含有量によって変動するが、通常は、含油洗浄廃水中において10〜500ppmとなる量である。
(固体酸)
カチオン系高分子凝集剤の水溶液の劣化防止のために、固体酸を添加してもよい。固体酸としては、スルファミン酸、酸性亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
(無機凝結剤)
含油洗浄廃水の種類、水質レベル等によって、無機凝結剤を併用する場合と、高分子凝集剤を単独で用いる場合とがある。
無機凝結剤としては、アルミニウム系無機凝結剤、鉄系無機凝結剤が挙げられる。アルミニウム系無凝結剤としては、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミ等が挙げられる。鉄系無機凝結剤としては、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄等が挙げられる。
無機凝結剤の添加量は、含油洗浄廃水中の油分、油分以外のSS、イオン性成分の含有量によって変動するが、通常は、含油洗浄廃水中において10〜2000ppmとなる量である。
(他の薬剤)
必要に応じて、有機カチオン性化合物、ノニオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤を併用してもよい。
有機カチオン性化合物としては、ポリマーポリアミン、ポリアミジン、カチオン性界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン系高分子凝集剤としては、上述したノニオン性を示す官能基を有するモノマー単位を有するポリマー(ただし、カチオン性を示す官能基を有するモノマー単位およびアニオン性を示す官能基を有するモノマー単位は有さない。)が挙げられる。
アニオン系高分子凝集剤としては、アニオン性を示す官能基を有するモノマーのホモポリマー、アニオン性を示す官能基を有するモノマーとノニオン性を示す官能基を有するモノマーとのコポリマーが挙げられる。
アニオン性を示す官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
有機カチオン性化合物およびノニオン系高分子凝集剤の添加方法は、カチオン系高分子凝集剤と混合し、一剤型薬剤として含油洗浄廃水に添加、混合する方法であってもよく、カチオン系高分子凝集剤とは別に含油洗浄廃水に添加、混合する方法であってもよい。
アニオン系高分子凝集剤の添加方法は、カチオン系高分子凝集剤とは別に含油洗浄廃水に添加、混合する方法が好ましく、高分子凝集剤の併用効果が最も高くなる点から、カチオン系高分子凝集剤を含油洗浄廃水に添加、混合した後、アニオン系高分子凝集剤を含油洗浄廃水に添加、混合する方法がより好ましい。
(作用効果)
以上説明した本発明の含油洗浄廃水の凝集処理方法にあっては、特定のカチオン系高分子凝集剤のみを用いることによって良好な凝集フロックを形成できるため、特定のカチオン系高分子凝集剤のみを用いた場合には、簡略化された作業での凝集処理が可能となる。また、高分子凝集剤の使用量が少なくても良好な凝集フロックを形成できるため、薬剤のコストを抑えることができる。また、特定のカチオン系高分子凝集剤を用いているため、油分、油分以外のSS、イオン性成分の凝集が良好となり、処理水の水質が大きく改善される。
本発明者らは、含油洗浄廃水の凝集処理について鋭意検討した結果、pHを8以下に調整した含油洗浄廃水に対して、DME系ポリマーのうち固有粘度が8.0〜20.0dL/gであるDME系ポリマー(以下、高粘度DME系ポリマーと記す。)を含むカチオン系高分子凝集剤を用いることによって、薬剤の使用量が少なく、汚泥発生量が少なく、かつ良好な水質の処理水が得られることを見出し本発明に至った。
本発明者らは、DME系ポリマーと、含油洗浄廃水に含まれる油分およびイオン性成分との反応挙動ついて調査を行い、その反応挙動とDME系ポリマーの粘度特性の相関について、以下のような知見を得ている。
すなわち、高粘度DME系ポリマーを用いた場合は、粘性の強い粗大な綿状の不溶解物が生成し、生成後直ちに不溶解物は油分を取り込みながら集合し、凝集フロックに成長する。一方で、固有粘度が8.0dL/g未満のDME系ポリマー(以下、低粘度DME系ポリマー」と記す。)では、細かい粒子状の不溶解物が生成するが、この粒子状の不溶解物が凝集フロックに成長するまで多量の添加量を要する。また、凝集フロックが形成しても、油分が凝集フロック内に取り込まれずに、水中に多量に残留する。
これは、アニオン荷電を有するイオン性成分とDME系ポリマーのカチオン性の官能基の一部とが反応し、ポリマー間の架橋構造が形成され、不溶解物が発生する際において、高粘度DME系ポリマーの場合、ポリマー間の架橋構造が非常に強いため、不溶解物が凝集フロックに成長するときに油分を効率よく凝集フロック内に取り込むことが可能であるためと考えられる一方、低粘度DME系ポリマーの場合、ポリマー間の架橋構造が弱いため、凝集フロックに成長しにくく、また成長するために多くの添加量を要し、かつ油分を凝集フロック内に取り込むことが困難であるためと考えられる。
これらの知見を基に、高粘度DME系ポリマーを用いることによって、含油洗浄廃液中の油分を効率よく凝集フロック内に取り込み、かつ良好な凝集フロックを形成し得ることを見出した。これによって、処理水の水質が大きく改善される。また、凝集反応の効率が改善されるため、低添加量条件での凝集処理、すなわち薬剤の使用量の大幅な低減が可能となる。
さらに、無機凝結剤を添加しない、または少量の添加量条件において凝集処理を行うことによって、無機凝結剤の添加量低減による汚泥発生量が低減し、含油洗浄廃水の処理コストが大幅に削減される。
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(高分子凝集剤の固有粘度)
固有粘度は、1N硝酸ナトリウム水溶液中、温度30℃の条件で、ウベローデ希釈型毛細管粘度計を用い、定法に基づき測定した(高分子学会編、「新版高分子辞典」,朝倉書店,p.107)。
(凝集フロックの径)
凝集フロックのフロック径は、目視によって測定し、全体の平均を求めた。
(処理水のSS)
処理水のSSについて、目視によって下記の基準で評価した。
A:凝集フロックを分離した後の処理水がほとんど透き通っており、浮遊物はほぼ見られない(SS濃度目安:50ppm未満)。
B:凝集フロックを分離した後の処理水に一部濁りが見られ、浮遊物がわずかに存在する(SS濃度目安:50ppm以上100ppm未満)。
C:凝集フロックを分離した後の処理水に部分的に濁りが見られ、浮遊物がところどころ存在する(SS濃度目安:100ppm以上200ppm未満)。
D:凝集フロックを分離した後の処理水に多数の濁りが見られ、浮遊物が全体的に存在する(SS濃度目安:200ppm以上500ppm未満)。
E:凝集フロックを分離した後の処理水に全体的に多数の濁りが見られ、浮遊物が全体的に存在し、一部粗大な大きさで存在する(SS濃度目安:500ppm以上1000ppm未満)。
×:凝集フロックを分離した後の処理水が完全に濁り、粗大な浮遊物が多数存在する(SS濃度目安:1000ppm以上)
(処理水の濁度)
処理水の濁度の測定結果を、処理水の油分や油分以外のSSの含有量を表す指標として用いた。処理水の濁度は、濁度計(エムケー・サイエンティフィック社製、TN−100)を用いて測定した。
(高分子凝集剤)
高分子凝集剤として、表1に示すものを用意した。
Figure 2014158993
表中の略号は、下記のとおりである。
DME:ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩、
DMC:ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩、
AAm:アクリルアミド。
(実施例1〜6、比較例1〜3)
含油洗浄廃水として、N社のダストコントロール用品工場において工場設備の洗浄を行った際に発生したイオン性成分を含む廃水を採取して用いた。含油洗浄廃水の性状は、pH=6.5、SS=1350ppm、濁度=4270NTU、n−ヘキサン抽出物=1400mg/Lであった。
500mLビーカーに含油洗浄廃水の500mLを採取した。表1に記載の高分子凝集剤を表2に示す添加量条件で添加した。高分子凝集剤は、水に溶かして0.1〜0.3質量%の水溶液にして用いた。ジューサーを用い、180rpmの回転数で60秒間撹拌混合して凝集フロックを形成させた後、凝集フロックを分離した。凝集フロックの径、処理水の濁度を測定し、処理水のSSを評価した。結果を表2に示す。
(実施例7〜9、比較例4〜6)
実施例1において、含油洗浄廃水に無機凝結剤である硫酸バンドを表2に示す添加量条件で添加し、150rpmの回転数で1分間撹拌混合した後、高分子凝集剤を添加した以外は、実施例1と同様にして凝集フロックを形成させた後、凝集フロックを分離した。結果を表2に示す。なお、無機凝結剤は水で10倍に希釈して用いた。
Figure 2014158993
実施例1〜6においては、カチオン系高分子凝集剤単独にて良好な凝集フロックが形成され、良好な水質の処理水が得られた。特に、カチオン系高分子凝集剤の固有粘度が10.0〜18.0dL/gの範囲内である実施例1、2は、非常に優れた効果を発揮した。
実施例7〜9は、無機凝結剤である硫酸バンドを併用した例であり、実施例1よりもカチオン系高分子凝集剤の添加量が少ない条件で、良好な凝集フロックが形成され、良好な水質の処理水が得られた。
比較例1は、固有粘度が低いDME系ポリマーを用いた例であり、凝集フロックが小さく、処理水の水質が悪化した。
比較例2は、固有粘度が高いDME系ポリマーを用いた例であり、凝集反応性が遅くなり、処理水の水質が悪化した。
比較例3は、DMC系ポリマーを用いた例であり、凝集フロックの径に問題ないが、処理水の水質が悪化した。
比較例4、5は、固有粘度が低いDME系ポリマーと無機凝結剤である硫酸バンドとを併用した例である。硫酸バンドの添加量が2000ppmでは、同程度の径の凝集フロックが形成し、凝集性に問題ないが、処理水の水質改善効果に劣った。硫酸バンドの添加量が500ppmでは、添加量不足のため、凝集フロックの径が小さく、処理水の水質が悪化した。
(実施例10、11、比較例6、7)
含油洗浄廃水として、Y社のクリーニング工場において工場設備の洗浄を行った際に発生したイオン性成分を含む廃水を採取して用いた。含油洗浄廃水の性状は、pH=7.5、SS=147ppm、濁度=447NTU、n−ヘキサン抽出物=216mg/Lであった。
含油洗浄廃水の種類と、高分子凝集剤の添加量条件を表3に示す条件に変えた以外は、実施例1と同様にして凝集フロックを形成させた後、凝集フロックを分離した。結果を表3に示す。
Figure 2014158993
実施例10、11においては、カチオン系凝集剤単独にて良好な凝集フロックが形成され、良好な水質の処理水が得られた。
比較例6は、固有粘度が低いDME系ポリマーを用いた例であり、凝集フロックが小さく、処理水の水質が悪化した。
比較例7は、固有粘度が高いDME系ポリマーを用いた例であり、凝集反応性が遅くなり、処理水の水質が悪化した。
(実施例12、13、比較例8、9)
含油洗浄廃水として、N社の食品製造工場において工場設備の洗浄を行った際に発生したイオン性成分を含む廃水を採取して用いた。含油洗浄廃水の性状は、pH=4.8、SS=46ppm、濁度=210NTU、n−ヘキサン抽出物=106mg/Lであった。
含油洗浄廃水の種類と、高分子凝集剤の添加量条件を表4に示す条件に変えた以外は、実施例1と同様にして凝集フロックを形成させた後、凝集フロックを分離した。結果を表4に示す。
Figure 2014158993
実施例12、13においては、カチオン系凝集剤単独にて良好な凝集フロックが形成され、良好な水質の処理水が得られた。
比較例8は、固有粘度が低いDME系ポリマーを用いた例であり、凝集フロックが小さく、処理水の水質が悪化した。
比較例9は、固有粘度が高いDME系ポリマーを用いた例であり、凝集反応性が遅くなり、処理水の水質が悪化した。
本発明の含油洗浄廃水の凝集処理方法は、各種工場において発生したイオン性成分を含む含油洗浄廃水の凝集処理方法として有用である。

Claims (2)

  1. pHが8.0以下である含油洗浄廃水に、固有粘度が8.0〜20dL/gであり、かつジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩単位を有するポリマーを含むカチオン系高分子凝集剤を添加する、含油洗浄廃水の凝集処理方法。
  2. 前記ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩単位の含有割合が、前記ポリマーを構成する全モノマー単位(100モル%)のうち、60〜100モル%である、請求項1に記載の含油洗浄廃水の凝集処理方法。
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