JP5145823B2 - 有機系凝集剤と該薬剤を用いる廃水凝集処理方法 - Google Patents

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本発明は、廃水の凝集処理技術に関する。より詳しくは、DMAPAA系有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分を少なくとも含む有機系凝集剤を用いる廃水凝集処理技術に関する。
自動車製造工場、製鐵所、紙パルプ製造業、クリーニング、砂利産業、その他の化学工場等で発生する廃水の凝集処理技術においては、ほとんどの場合で無機凝集剤と高分子凝集剤が併用されている。
廃水に添加される無機凝集剤(例えば、硫酸アルミニウム(通称、硫酸バンド)やポリ塩化アルミニウム(通称、PAC)など)は、対象の処理水の水質をより向上しようとすれば、その薬剤使用量は必然的に増加するので、薬剤コスト、ひいては水処理コストを押し上げるとともに、添加された無機凝集剤を構成する金属が、水酸化物の形態でのスラッジをより多く形成してしまうため、より高レベルの汚泥処理が必要となってしまう。また、無機凝集剤の力だけでは、廃水中の低分子COD成分の充分な除去が難しいため、放流される処理水の水質に不安を残す。そして、この不安を解消すべく後段に高度処理を行う場合では、該高度処理工程に対する負荷が高くなってしまう。
このような技術的背景を踏まえ、近年、無機凝集剤の使用量(添加量)を減少させたり、水処理工程の負荷をより低減したりする目的で、水溶性凝集剤の一種であるポリカチオン(有機凝結剤)が使用され始めている。この有機凝結剤は、分子内に多数のカチオンを有する高分子電解質であるので、無機凝集剤と同様に被処理水中の懸濁物質の電荷を中和する目的で使用される。また、有機凝結剤は、無機凝集剤よりもカチオンの電荷密度が高いために、その凝結作用は無機凝集剤よりもはるかに大きいという特徴を有する。また、有機凝結剤は、懸濁物質の電荷を中和するだけでなく、負に帯電しているリグニンスルホン酸、アニオン界面活性剤、アルギン酸、フミン酸などの溶解性物質と反応して不溶性塩を形成する作用も持ち合わせている。
現在使用されている有機凝結剤の代表的なものとして、アルキルアミン・エピクロルヒドリン縮合物、アルキレンジクロライドとポリアルキレンポリアミンの縮合物、ジシアン・ジアミド・ホルマリン縮合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体などを挙げることができる。また、有機凝結剤として、特許文献1には架橋型ジアリルジメチルアンモニウムハライド重合体が開示されている。該重合体は、前記した縮合物系やジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体などよりも、凝結性能が改良されている。
特開2001−38104号公報。
廃水の凝集処理技術分野において使用される有機凝結剤に関しては、上述したように、(1)無機凝集剤の使用量をより減少できること、(2)水処理工程の負荷を低減できることが基本的に求められる。加えて、今後、(a)実機使用における適正な反応条件(例えば、薬剤組成、攪拌強度、攪拌時間などの条件)の設定がし易いこと、(b)除濁性に優れること、(c)凝集フロック強度が大きくこと(広範な条件下で凝集フロックが安定して維持されること)、(d)より低コストであることなどが新たな技術的課題となることが予想される。
そこで、本発明は、有機凝結剤を実機に適用したときに、その適正な攪拌強度や攪拌時間の幅が広いために、適正な反応条件の設定が現実的に容易であり、また、有機凝結剤の適正な薬剤組成の範囲が広いために、過剰添加による凝集したフロックの再分散の発生のおそれが少なく、さらには、フロック強度が大きく被処理水中に濁質が放出され難いなどの特性を有する新規な凝集処理技術を提供することを主な目的とする。
(1)本発明では、まず、廃水中の懸濁物を凝集するための薬剤であって、DMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルハライド四級化物)系有機凝結剤成分と、カチオン性高分子凝集剤成分と、を少なくとも含む有機系凝集剤を提供する。
本有機系凝集剤において、DMAPAA系有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分とは別々の重合体であってもよく、その場合には、前記DMAPAA系有機凝結剤成分と前記カチオン性高分子凝集剤成分との混合重量比は、特に限定されないが、好ましくは、1:1〜1:2の範囲である。また、前記両成分を構成するモノマーが共重合された状態で両成分を有する共重合体であってもよく、その場合は、両成分をなすモノマーの仕込み時の混合重量比は、特に限定されないが、好ましくは、1:1〜1:2の範囲である。
ここで、DMAPAA系有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分とが別々の重合体として存在する場合には、前記DMAPAA系有機凝結剤成分は、DMAPAAのホモポリマーやDMAPAAとノニオン性モノマー(例えば、アクリルアミド)とのコポリマーを採用することができ、ポリマーの固有粘度は0.2〜2dL/g、分子量は数万〜300万程度のものを採用することができる。この場合のDMAPAA系有機凝結剤成分であるDMAPAAのホモポリマーあるいはDMAPAAとノニオン性モノマーとのコポリマーの形態は特に限定されないが、例えば、エマルションタイプ、水性タイプ、粉末タイプなどでもよい。
DMAPAA系有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分とが別々の重合体である場合のカチオン性高分子凝集剤の形態についても、特に限定されないが、例えば、エマルションタイプ、水性タイプ、粉末タイプなどを採用できる。該カチオン系高分子凝集剤成分の組成は、例えば、そのカチオン部がDAA(ジメチルアミノエチルアクリレートメチルハライド四級化物)であり、ノニオン部がAAm(アクリルアミド)であるものを採用することができる。この場合、前記DAAのモノマー単位が、20〜80モル%含まれている重合体、特に好適には、前記DAAのモノマー単位が、40〜80モル%含まれている重合体を採用できる。また、前記カチオン系高分子凝集剤成分のカチオン部の他の組成例としては、DAM(ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルハライド四級化物)を挙げることができる。なお、カチオン性高分子凝集剤成分の重合体の固有粘度は、特に限定されないが、例えば、0.5〜10dL/gのものが有効である。
一方、DMAPAA系有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分とが一つの共重合体に存する場合には、共重合反応を行なう前の、DMAPAA系有機凝結剤成分を形成するためのDMAPAAモノマーとカチオン性高分子凝集剤成分を構成するモノマーの仕込み時の混合重量比は、特に限定されないが、好ましくは、1:1〜1:2の範囲である。
(2)次に、本発明は、廃水に凝集剤を添加して廃水中の懸濁物を凝集する凝集処理方法であって、DMAPAAからなる有機凝結剤成分と、カチオン性高分子凝集剤成分と、を少なくとも含む有機系凝集剤を、廃水に添加するように工夫した廃水の凝集処理方法を提供する。
前記有機系凝集剤の添加方法の一例としては、無機凝集剤を添加した後にDMAPAAからなる有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分を共重合したポリマーとして同時に、あるいはDMAPAAからなる有機凝結剤成分から成る有機凝結剤とカチオン性高分子凝集剤成分から成るカチオン性高分子凝集剤を時間差おいて添加し(DMAPAAからなる有機凝結剤を先添加するのが望ましい)、攪拌機を有する反応槽で滞留時間3分〜30分反応させるか、分離装置に至るまでの滞留時間が10秒以上確保できる廃水ラインへ注入するようにする。
添加する前の薬剤状態については、所定の溶解槽においてそれぞれ別途溶解した状態のものでも良いが、共通の槽で、純分でトータル0.05〜5.0%に溶解した状態のものでも良い。溶解する前の状態としては、液状と粉末と別々でも良いが、粉末と粉末の混合物でも共重合物でも良い。
本発明に係る有機系凝集剤を実機に適用した場合において、その適正な攪拌時間の幅が広いために、適正な反応条件の設定が現実的に容易であり、また、薬剤の組成の好適範囲に幅を有するので、過剰添加による凝集したフロックの再分散の発生のおそれが少ない。さらには、フロック強度が大きく被処理水中に濁質が放出され難いので、除濁性を向上させることができる。また、無機凝集剤の添加量の抑制又は低減、それに伴う汚泥発生低減も実現できる。
以下、実施例に基づいて本発明についてより詳しく説明する。まず、説明の便宜上、以下の試験で使用した「有機凝結剤」に係わる薬剤種については、次の「表1」に示す略称をそれぞれ用いることにした。
Figure 0005145823
なお、前記DMAPAAの化学構造単位は、次の化学式で示すことができる。
Figure 0005145823
次に、本試験において実際に使用した「有機系凝集剤」の組成内容を以下の「表2」にまとめた。なお、各薬剤の説明の便宜上、分類記号(A-1〜A13、B−1、C−1、D1〜3)を付した。
Figure 0005145823

前掲する「表2」において分類記号A−1〜15が付された有機系凝集剤は、すべて、DMAPAA系有機凝結剤成分と所定のカチオン性高分子凝集剤成分の混合物又は共重合物からなるものである。
より詳しくは、1)A−1〜4は、DMAPAA系有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分(DAAとAAmの共重合物)の混合物であって、同カチオン性高分子凝集剤を構成するDAAとAAmのモル比を変化させた系である。
2)A−5〜6は、DMAPAA系有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分(DAMとAAmの共重合物)の混合物であって、同カチオン性高分子凝集剤を構成するDAMとAAmのモル比を変化させた系である。
3)A−7〜9は、DMAPAA系有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分(DAAとAAmの共重合物)の混合物であって、有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分の混合重量比を変化させた系である。
4)A−10〜13は、DMAPAA系有機凝結剤成分を構成するためのDMAPAAモノマーとカチオン性高分子凝集剤成分を構成するためのDAAモノマー及びAAmモノマーとの共重合物であって、DAAとAAmのモル比を変化させた系、およびDMAPAAモノマーとカチオン性高分子凝集剤成分を構成するためのモノマーとの仕込み比(重量比)を変えた系である。
5)A−14〜15は、DMAPAA系有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分(DAAとAAmの共重合物)の混合物で、DMAPAA系有機凝結剤成分の重合体の固有粘度を変化させた系である。以上の有機系凝集剤A−1〜15は、いずれも本発明の「実施例」として使用した。
6)次に、分類記号B−1が付された有機系凝集剤は、DMAPAAの単独重合体(ホモポリマー)である。
7)分類記号C−1が付された有機系凝集剤は、DADMACの単独重合体である。
8)分類記号D−1〜3が付された有機系凝集剤は、DADMAC系有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分(DAAとAAmの共重合物)の混合物であって、DAAとAAmのモル比を変化させた系である。以上の有機系凝集剤B−1、C−1、D−1〜3は、いずれも本発明に対する「比較例」として使用した。
以下、具体的に本試験の内容と結果について説明する。本試験は、大別すると、「試験例1」、「試験例2」、「試験例3」の計三つの試験例から構成されている。
試験例1は、紙パルプ製造工場におけるDIP(脱墨)廃水の凝集沈殿処理を想定した試験である。
試験例2は、紙パルプ製造工場の総合廃水の凝集沈殿処理を想定した試験である。
試験例3は、自動車工場の総合廃水の凝集沈澱処理を想定した試験である。なお、これらの試験例1〜3は、本発明の代表的な適用例を提示する趣旨で記載しているので、本試験によって本発明が適用される凝集処理技術が狭く限定されることはない。以下、試験例1〜3に関し、順に詳しく説明する。
(1)試験例1について。
<試験例1の目的>
本試験例1は、製紙工場のDIPや強制廃水に対するDMAPAA系有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分の併用の作用効果を、従来の架橋性DADMACと比較して検証する試験である。具体的には、DMAPAAと併用されるカチオン性高分子凝集剤成分の種類・組成(モル比)・混合比又は共重合比などを変えた時の凝集後のフロック径、フロックの沈降速度、上澄水濁度を測定した試験である。
<試験例1の方法>
まず、試験対象のサンプル廃水の性状は、pH:6.3、SS:2700mg/L、濁度:75.3度(660nm吸光度(logI/I、I:入射光強度 I:透過光強度)=0.301)であった。なお、このサンプル廃水500mLをビーカーに採取し、硫酸バンド(無機凝集剤の一例)に続いて、有機系凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分(DAA/AAm又はDAM/AAm)の混合物を添加した。なお、有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分はそれぞれの重合体を混合溶解(純分濃度で0.05〜3%程度に溶解)して同時に添加したり、両者を共重合したものを溶解して添加したりした。
具体的には、
(1)前記サンプル廃水を攪拌(条件:200rpm)しながら、硫酸バンドを所定量(表3参照)速やかに添加して、pH6.5の条件で、2分間反応させた。
(2)続いて、攪拌下(条件:200rpm)で、選択した所定の有機系凝集剤(A−1〜15、B−1、C−1、D−1〜3:上掲の「表2」を参照)を、一部の比較例(比較例112、113、114)を除いて、各3mg/L添加した(表4参照)。
(3)攪拌時間については、一部の有機系凝集剤(A−1、A−7、A−12、D−1、D−2)について、それぞれ1分、2分、5分、10分の条件で試験を行った。
(4)最後に、攪拌下、アニオン系高分子凝集剤1.5mg/L添加し、急速攪拌条件(180rpm)で60秒間反応させた後、緩速攪拌条件(60rpm)で120秒反応させた。なお、使用したアニオン系高分子凝集剤は、アクリルアミド(AAm)とアクリル酸(AA)の共重合体であり、AAm/AA=90/10モル比、固有粘度η=20dL/gである。
上記(1)〜(4)の試験工程後に、凝集フロック径、フロックの沈降速度(m/hr)、濁度(660nm吸光度(logI/I))を測定した。凝集フロック径(mm)は、熟練者が目視で判定することにより測定した。「フロックの沈降速度(m/hr)」は、500mLビーカーの500mLから300mLまでフロックが沈降する速度を測定した。「濁度」(水の濁りの程度を表す指標)は、吸光光度計(日立製作所社製分光光度計U1800)を用いて透過光測定方式により、上澄水の吸光度(660nm吸光度(logI/I)を測定した。以上の試験条件と測定結果に関し、実施例群(実施例101〜124)を次の「表3」に、比較例群(比較例101〜114)を「表4」にそれぞれ一覧表にまとめた。
Figure 0005145823
Figure 0005145823
<試験例1の結果及び考察>
まず、有機系凝集剤がDMAPAAの単独重合体であるB-1を用いた比較例101では、上澄水濁度が8.3(0.033)である。また、有機系凝集剤がDADMACの単独重合体であるC-1を用いた比較例102では、上澄水濁度が8.8(0.035)であった(表4参照)。従って、DMAPAAとDADMACのそれぞれ単独組成である有機系凝結剤としての除濁性は、攪拌時間1分の条件では、ほぼ同等であることがわかった。
次に、DMAPAAとカチオン性高分子凝集剤成分を併用した構成の有機系凝集剤(A−1〜A-15)に係わる実施例群(実施例101〜124)について、DMAPAA単独重合体の有機系凝集剤を用いた前記比較例101やDADMAC単独重合体の有機系凝集剤を用いた比較例102と比較すると、上澄水濁度の数値が大きく下回っている。従って、DMAPAAとカチオン性高分子凝集剤成分を併用した構成の有機凝結剤は、DMAPAA単独重合体、あるいはDADMAC単独重合体からなる有機凝結剤を用いた場合よりも、特に除濁性において優れることが明らかである。
また、DMAPAAに対して組み合わせられるカチオン性高分子凝集剤を構成するモノマー単位であるDAAとAAmのモル比は、DADMAC単独重合体(比較例102、濁度8.8)との比較において、DMAPAAと混合する場合は20:80〜80:20が好ましく、DMAPAAモノマーと共重合する場合は25:75〜50:50が好ましい(実施例110〜113)。
次に、DMAPAA系有機凝結剤成分と併用されるカチオン性高分子凝集剤成分について詳しく検討を試みる。まず、実施例101(DAA/AAm=40/60モル比)と実施例105(DAM/AAm=40/60モル比)、実施例103(DAA/AAm=80/20モル比)と実施例106(DAM/AAm=80/20モル比)をそれぞれ比較した場合、カチオン性高分子凝集剤成分としては、DAA/AAmの組み合わせの方がDAM/AAmの組み合わせよりも除濁性において優れた効果を発揮することがわかる。なお、濁度は、実施例101が3.0(0.012)に対して実施例105は5.3(0.021)、実施例103が3.5(0.014)であるのに対して、実施例106は6.3(0.025)である(表3参照)。
以上の結果に基づくと、DMAPAA系凝結剤成分と組み合わせられるカチオン性高分子凝集剤を構成するDAAのAAmに対するモル比は、40〜80の範囲で、DAMよりも除濁性が優れている。
次に、有機系凝集剤を構成する有機凝結剤成分(X)とカチオン性高分子凝集剤成分(Y)の混合重量比、あるいはモノマーの仕込み比(重量比)について検討する。まず、DMAPAA系凝結剤成分としてのDMAPAAホモポリマーとカチオン性高分子凝集剤成分としてのDAA/AAmコポリマー(DAA/AAm=40/60モル比)が併用された実施例101、実施例107、実施例108、実施例109の濁度測定結果を検討する。
有機凝結剤成分(X)とカチオン性高分子凝集剤成分(Y)の混合重量比が1:2である実施例101が濁度3.0(0.012)を示し、続いて、同混合比が1:1である実施例107が濁度4.0(0.016)、実施例108が濁度5.0(0.020)、実施例109が濁度7.0(0.028)であった。
以上の結果から、有機凝結剤成分(X)とカチオン性高分子凝集剤成分(Y)の混合物においては、XとYの混合重量比は、1:1〜1:2の範囲が特に好ましいことがわかる。
また、DMAPAA系凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤を構成するDAAモノマーとAAmモノマーが共重合体を形成する実施例(実施例110(仕込み比(重量比)1:1)、実施例111(仕込み比(重量比)1:2)、実施例112(仕込み比(重量比)1:2)、実施例113(仕込み比(重量比)1:2)の濁度は、それぞれ4.0(0.016)、4.2(0.017)、3.5(0.014)、3.8(0.015)であった。
以上の結果から、有機凝結剤成分(X)を構成するためのDMAPAAモノマーとカチオン性高分子凝集剤成分(Y)を構成するためのDAAモノマーとAAmモノマーの共重合物においては、XとYの仕込み比(重量比)は、1:1〜1:2が好ましい。
以上のように、本発明に係わる有機系凝集剤は、DMAPAA系凝結剤成分に対するカチオン性高分子凝集剤成分の混合重量比、あるいは、カチオン性高分子凝集剤を構成するDAAモノマーとAAmモノマーが共重合体を形成する場合のモノマーの仕込み比(重量比)の設定条件の範囲が広いという特徴を有する。
次に、攪拌時間との関係について検討を行う。「表3」に示されているように、実施例101、116、117、118は、有機系凝集剤A−1を使用した場合について攪拌時間を1分、2分、5分、10分と変化させた系、実施例107、119、120、121は、有機系凝集剤A−7を使用した場合について攪拌時間を1分、2分、5分、10分と変化させた系、実施例112、122、123、124は、有機系凝集剤A−12を使用した場合について攪拌時間を1分、2分、5分、10分と変化させた系となっている。
これらの実施例の測定濁度の測定値の変化から明らかなように、攪拌時間が長くなった場合(例えば、2〜10分と長くなった場合)でも、DMAPAA系凝結剤成分としてのDMAPAAホモポリマーとカチオン性高分子凝集剤成分としてのDAA/AAmコポリマーの混合物からなる有機系凝集剤、あるいはDMAPAA系凝結剤成分を構成するためのDMAPAAモノマーとカチオン性高分子凝集剤成分を構成するためのDAAモノマー及びAAmモノマーとの共重合体からなる有機系凝集剤は、攪拌初期時点の除濁性を維持する。
これに対して、比較例103、106、107、108は、有機系凝集剤D−1(表2参照)を使用した場合について攪拌時間を1分、2分、5分、10分と変化させた系、比較例104、109、110、111は、有機系凝集剤D−2(表2参照)を使用した場合について攪拌時間を1分、2分、5分、10分と変化させた系である。これらの各比較例系では、いずれも、攪拌時間が長くなるにつれて測定濁度の値が急激に上昇している(表4参照)。
ここで、図1は、試験例1のデータに基づいて、攪拌時間と上澄水濁度の関係を示すグラフである(縦軸:上澄水濁度(度)、横軸:攪拌時間(分))。なお、当該グラフの根拠となるデータを以下の「表5」に示す。
Figure 0005145823
図1に示すグラフからも明らかなように、有機系凝集剤A−1(DMAPAA系凝結剤成分としてのDMAPAAホモポリマーとカチオン性高分子凝集剤成分としてのDAA/AAmコポリマーの混合物)、A−7(同混合物)、A−12(DMAPAA系凝結剤を構成するためのDMAPAAモノマーとカチオン性高分子凝集剤成分を構成するためのDAAモノマー及びAAmモノマーの共重合物)を用いた場合では、攪拌時間が2〜10分と長くなった場合でも、攪拌初期の除濁性を維持する。これに対して、有機系凝集剤D−1(DADMAC系凝結剤とカチオン性高分子凝集剤(DAA/AAm)の混合物)、D−2(同混合物)は、攪拌時間が5分に達すると急激に除濁作用が弱くなる。
以上のように、DMAPAA系凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分を有する有機系凝集剤は、攪拌時間が変化しても除濁性を維持するため、製紙工場のDIPや強制廃水に対する凝集処理を想定した場合において、実機使用における適正な攪拌時間の条件設定や薬剤組成の調整がし易い。
(2)試験例2について。
<試験例2の目的>
本試験例2は、製紙工場の総合廃水に対するDMAPAA系凝結剤成分としての重合体とカチオン性高分子凝集剤成分としての重合体を混合したものあるいは両成分を共に有する共重合物の作用効果を、従来の架橋性DADMACと比較することによって検証する試験である。具体的には、DMAPAAと併用されるカチオン性高分子凝集剤の種類・組成(モル比)・混合重量比又はモノマーの仕込み比(重量比)を変えた時の凝集後のフロック径、フロックの沈降速度、上澄水濁度を比較した試験である。
<試験例2の方法>
まず、本試験例2の試験対象であるサンプル廃水の性状は、pH:6.5、SS:460mg/L、濁度:630度(660nm吸光度・logT=2.52)、電気伝導度215mS/mであった。このサンプル廃水500mLをビーカーに採取し、ポリ塩化アルミニウム(PAC、無機凝集剤の一例)を添加した後、有機系凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分(DAA/AAm又はDAM/AAm)を添加し、さらに、アニオン系凝集剤(AAm/AA)を添加した。なお、有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分はそれぞれの重合体を混合溶解(純分濃度で0.05〜3%程度に溶解)して同時に添加したり、両者を共重合したものを溶解して添加したりした。
具体的には、
(1)前記サンプル廃水を攪拌(条件:200rpm)しながら、pH7.0の条件で、PACを所定量(表6参照)速やかに添加して、2分間反応させた。
(2)続いて、攪拌下(条件:200rpm)で、選択した所定の有機系凝結剤(A−1〜11、B−1、C−1、D−1〜3:上掲の「表2」を参照)を、一部の比較例(比較例209〜211)を除き、各2mg/L添加した。
(3)攪拌時間については、1分、2分、5分、10分の4系統で試験を行った。
(4)最後に、攪拌下、アニオン系高分子凝集剤を1.5mg/L添加し、急速攪拌条件(180rpm)で60秒間反応させた後、緩速攪拌条件(60rpm)で120秒反応させた。なお、使用したアニオン系高分子凝集剤は、アクリルアミド(AAm)とアクリル酸(AA)の共重合体であり、AAm/AA=90/10モル比、固有粘度η=20dL/gである(試験例1と同じ)。
上記(1)〜(4)の試験工程後に、凝集フロック径、フロックの沈降速度(m/hr)、濁度(660nm吸光度(logI/I))を試験例1と同様の方法で測定した。以上の試験条件と測定結果に関し、実施例群(実施例201〜215)を次の「表6」に、比較例群(比較例201〜211)を「表7」にそれぞれ一覧表にまとめた。
Figure 0005145823
Figure 0005145823
<試験例2の結果及び考察>
上澄水濁度の測定値をみると、DMAPAA系凝結剤成分としてのDMAPAAホモポリマーとカチオン性高分子凝集剤成分としてのDAA/AAmコポリマーとの混合物である有機系凝集剤を用いた場合(実施例201〜207)、あるいはDMAPAA系凝結剤を構成するためのDMAPAAモノマーとカチオン性高分子凝集剤成分を構成するためのDAAモノマー及びAAmモノマーの共重合物である有機系凝集剤(A−10、A−11、A―12、A―13)を用いた場合(実施例208〜211)では、有機系凝集剤として架橋性DADMACを単独で用いた場合よりも除濁性に優れている。
DMAPAAに対して組み合わせられるカチオン性高分子凝集剤成分のDAAとAAmの混合比(モル比)は、DADMAC単独重合体(比較例202、濁度8.0)との比較において、20:80〜80:20が好ましい。
次に、本試験例2のデータに関して、攪拌時間との関係について検討する。まず、「表6」を参照すると、実施例201、212、213、214は有機系凝集剤A−1(混合物、表2参照)を使用した場合について攪拌時間を1分、2分、5分、10分と変化させた系であり、また、実施例208、215、216、217は有機系凝集剤A−12(共重合物、表2参照)を使用した場合について攪拌時間を1分、2分、5分、10分と変化させた系である。
これらの実施例の測定濁度の数値の変化から明らかなように、攪拌時間が2〜10分と長くなった場合でも、DMAPAA系凝結剤成分としてのDMAPAAホモポリマーとカチオン性高分子凝集剤成分としてのDAA/AAmコポリマーとの混合物からなる有機系凝集剤、あるいはDMAPAA系凝結剤成分を構成するためのDMAPAAモノマーとカチオン性高分子凝集剤成分を構成するためのDAAモノマー及びAAmモノマーとの共重合体からなる有機系凝集剤は、攪拌初期の除濁性を維持する。
これに対して、比較例203、206、207、208は、有機系凝集剤D−1(表2参照)を使用した場合について攪拌時間を1分、2分、5分、10分と変化させた系である。この比較例系では、攪拌時間が長くなるにつれて測定濁度の値が急激に上昇し、攪拌時間10分の条件では濁度11.0まで上昇している(表7参照)。
ここで、図2は、試験例2のデータに基づいて、攪拌時間と上澄水濁度の関係を示すグラフである(縦軸:上澄水濁度(度)、横軸:攪拌時間(分)。なお、当該グラフの根拠となるデータを以下の「表8」に示す。
Figure 0005145823
図2に示すグラフからも明らかなように、有機系凝集剤A−1(DMAPAA系凝結剤成分としてのDMAPAAホモポリマーとカチオン性高分子凝集剤成分としてのDAA/AAmコポリマーの混合物)、A−12(DMAPAA系凝結剤成分を構成するためのDMAPAAモノマーとカチオン性高分子凝集剤成分を構成するためのDAAモノマー及びAAmモノマーとの共重合物)を用いた場合では、攪拌時間が2〜10分と長くなった場合でも、高度な除濁性を維持する。これに対して、有機系凝集剤D−1(有機凝結剤DADMACとカチオン性高分子凝集剤(DAA/AAmコポリマー)の混合物)は、攪拌時間が5分に達すると急激に除濁作用が弱くなる。
以上のように、DMAPAA系凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分を有する有機系凝集剤は、攪拌時間が変化した場合でも除濁性を確実に維持するため、製紙工場の総合廃水の凝集処理を想定した場合でも、実機使用における適正な攪拌時間の条件設定がし易いという利点がある。
(2)試験例3について。
<試験例3の目的>
本試験例3は、自動車工場の総合廃水に対するDMAPAA系凝結剤成分としての重合体とカチオン性高分子凝集剤成分としての重合体を混合したものあるいは両成分を共に有する共重合物の作用効果を、従来の架橋性DADMACと比較することによって検証する試験である。具体的には、DMAPAAと併用されるカチオン性高分子凝集剤成分の種類・組成(モル比)・混合重量比又はモノマーの仕込み比を変えた時の凝集後のフロック径、フロックの沈降速度、上澄水濁度を比較した試験である。
<試験例3の方法>
まず、本試験例3の試験対象であるサンプル廃水の性状は、pH:7.4、SS:39mg/L、濁度:110度(660nm吸光度・logT=0.44)、電気伝導度89mS/mであった。このサンプル廃水500mLをビーカーに採取し、硫酸バンド(無機凝集剤の一例)を添加し、次に、有機系凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分(DAA/AAm又はDAM/AAm)を添加し、さらに、アニオン系凝集剤(AAm/AA)を添加した。なお、有機凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分はそれぞれの重合体を混合溶解(純分濃度で0.05〜3%程度に溶解)して同時に添加したり、両者を共重合したものを溶解して添加したりした。
具体的には、(1)前記サンプル廃水を攪拌(条件:200rpm)しながら、硫酸バンドを所定量(表9参照)速やかに添加して、pH6.5の条件で、2分間反応させた。
(2)続いて、攪拌下(条件:200rpm)で、選択した所定の有機系凝結剤(A−1、2、12、B−1、C−1、D−1:上掲の「表2」を参照)を、一部の比較例(比較例307〜309)を除き、各1.0mg/L添加した。
(3)攪拌時間については、1分、2分、5分、10分の4系統で試験を行った。
(4)最後に、攪拌下、アニオン系高分子凝集剤を1.5mg/L添加し、急速攪拌条件(180rpm)で60秒間反応させた後、緩速攪拌条件(60rpm)で120秒反応させた。なお、併用したアニオン系高分子凝集剤は、アクリルアミド(AAm)とアクリル酸(AA)の共重合体であり、AAm/AA=90/10モル比、固有粘度η=20dL/gである(試験例1と同じ)。
上記(1)〜(4)の試験工程後に、凝集フロック径、フロックの沈降速度(m/hr)、濁度(660nm吸光度(logI/I))を試験例1と同様の方法で測定した。以上の試験条件と測定結果に関し、実施例群(実施例301〜308)を次の「表9」に、比較例群(比較例301〜309)を「表10」にそれぞれ一覧表にまとめた。
Figure 0005145823
Figure 0005145823
<試験例3の結果及び考察>
上澄水濁度の測定値をみると、DMAPAA系凝結剤成分としてのDMAPAAホモポリマーとカチオン性高分子凝集剤成分としてのDAA/AAmコポリマーとの混合物である有機系凝集剤を用いた場合(実施例301,303〜305)、あるいは、DMAPAA系凝結剤を構成するためのDMAPAAモノマーとカチオン性高分子凝集剤成分を構成するためのDAAモノマー及びAAmモノマーの共重合物である有機系凝集剤を用いた場合(実施例302,306〜308)では、有機系凝集剤に架橋性DADMACを単独で用いた場合よりも除濁性に優れている(表7、表8参照)。
次に、本試験例3のデータに関して、攪拌時間との関係について検討してみる。
まず、上掲する「表7」を参照すると、実施例301、303、304、305は有機系凝集剤A−1(混合物、表2参照)を使用した場合について攪拌時間を1分、2分、5分、10分と変化させた系である。また、実施例302、306、307、308は有機系凝集剤A−12(共重合物、「表2」参照)を使用した場合について攪拌時間を1分、2分、5分、10分と変化させた系である。
これらの実施例の測定濁度の数値の変化から明らかなように、攪拌時間が2〜10分と長くなった場合でも、DMAPAA系凝結剤成分としてのDMAPAAホモポリマーとカチオン性高分子凝集剤成分としてのDAA/AAmコポリマーとの混合物からなる有機系凝集剤、あるいはDMAPAA系凝結剤成分を構成するためのDMAPAAモノマーとカチオン性高分子凝集剤成分を構成するためのDAAモノマー及びAAmモノマーとの共重合体からなる有機系凝集剤は、攪拌初期時点の除濁性を維持する。
これに対して、比較例303、304、305、306は有機系凝集剤D−1(表2参照)を使用した場合について、攪拌時間を1分、2分、5分、10分と変化させた系である。この比較例系では、攪拌時間が長くなるにつれて測定濁度の値が上昇し、攪拌時間10分の条件では濁度21.7まで上昇している(表10参照)。
ここで、図3は、試験例3のデータに基づいて、攪拌時間と上澄水濁度の関係を示すグラフである(縦軸:上澄水濁度(度)、横軸:攪拌時間(分)。なお、当該グラフの根拠となるデータを以下の「表11」に示す。
Figure 0005145823

図3に示すグラフからも明らかなように、有機系凝集剤A−1(DMAPAA系凝結剤成分としてのDMAPAAホモポリマーとカチオン性高分子凝集剤成分としてのDAA/AAmコポリマーの混合物)、A−12(DMAPAA系凝結剤成分を構成するためのDMAPAAモノマーとカチオン性高分子凝集剤成分を構成するためのDAAモノマー及びAAmモノマーの共重合物)を用いた場合では、攪拌時間が2〜10分と長くなった場合でも、初期の除濁性を維持することが確認できる。これに対して、このグラフを参照すれば、有機系凝集剤D−1(DMAPAA系凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分(DAA/AAm)の混合物)は、攪拌時間が5分に達すると急激に除濁作用が弱くなることが確認できる。
以上の試験例3の結果からわかるように、DMAPAA系凝結剤成分とカチオン性高分子凝集剤成分を有する有機系凝集剤は、攪拌時間が変化した場合でも初期の除濁性を維持するため、自動車工場の総合廃水に対する凝集処理を想定した場合でも、実機使用における適正な攪拌時間の条件設定や有機系凝集剤の組成の調整がし易い。
ここで、本発明で使用する有機系凝集剤の詳細な作用機構は明確ではないが、、推察すると以下のような反応機構が起こっていることが考えられる。まず、DMAPAA系凝結剤成分は、側鎖が長いために、吸着後に立体障害の効果によりフロックが壊れ難いという作用を発揮すること、アミド基部分が加水分解し難いため廃水粒子と反応した後のフロックも壊れにくいこと、さらには、混合あるいは共重合するカチオン系高分子凝集剤成分が微細フロックを保護する役割を果たしているものと考えられる。
また、無機凝集剤の添加量を低減した状態では、無機凝集剤で生成したフロックの粒径分布が不揃い(廃水のマイナス荷電が高く荷電中和が十分に行われない時、あるいは廃水のアルカリ度が高く荷電中和が行われる前に、アルミニウム、あるいは無機凝集剤の金属イオンが金属水酸化物となってしまう場合は粒径分布が広くなる)になっていると考えられる。
この様な状態において、本発明に係る有機系凝集剤は、低分子のDMAPAA系凝結剤成分が粒径の小さいものに効率的にアタックし、一方のカチオン性高分子凝集剤成分は、比較的粒径の大きい粒子を選択的に凝集することによって、除濁効果が高まり、しかもフロック強度が維持され、濁質を放出し難いフロックを形成するものと考えられる。
本発明は、例えば、自動車製造工場、製鐵所、紙パルプ製造業、クリーニング、砂利産業その他の化学工場等で発生する廃水の凝集処理技術として利用することができる。特に、処理対象となる廃水としては、懸濁粒子が高分子凝集剤だけでは凝集できなく、かつ、無機凝集剤を使用しても除濁性が不十分な廃水である。
試験例1のデータに基づいて、攪拌時間と上澄水濁度の関係を示すグラフである(縦軸:上澄水濁度(度)、横軸:攪拌時間(分))。 試験例2のデータに基づいて、攪拌時間と上澄水濁度の関係を示すグラフである(縦軸:上澄水濁度(度)、横軸:攪拌時間(分))。 試験例3のデータに基づいて、攪拌時間と上澄水濁度の関係を示すグラフである(縦軸:上澄水濁度(度)、横軸:攪拌時間(分))。

Claims (7)

  1. 廃水中の懸濁物を凝集するための薬剤であって、
    DMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルハライド四級化物)系有機凝結剤成分と、カチオン性高分子凝集剤成分とが別々の重合体、あるいは前記両成分を構成するモノマーが共重合された状態で両成分を有する共重合体、を少なくとも含む有機系凝集剤。
  2. 前記DMAPAA系有機凝結剤成分と前記カチオン性高分子凝集剤成分の混合重量比が、1:1〜1:2の範囲であることを特徴とする請求項1記載の有機系凝集剤。
  3. 前記カチオン高分子凝集剤成分のカチオン部が、DAA(ジメチルアミノエチルアクリレートメチルハライド四級化物)であり、ノニオン部がAAm(アクリルアミド)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機系凝集剤。
  4. 前記DAAのモノマー単位が、20〜80モル%含まれていることを特徴とする請求項3記載の有機系凝集剤。
  5. 前記カチオン高分子凝集剤成分のカチオン部が、DAM(ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルハライド四級化物)であり、ノニオン部がAAm(アクリルアミド)であることを特徴とする請求項1記載の有機系凝集剤。
  6. 廃水に凝集剤を添加して廃水中の懸濁物を凝集する凝集処理方法であって、DMAPAAからなる有機凝結剤成分と、カチオン性高分子凝集剤成分とが別々の重合体を、あるいは前記両成分を構成するモノマーが共重合された状態で両成分を有する共重合体を、廃水に添加することを特徴とする廃水の凝集処理方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項記載の有機系凝集剤を、廃水に添加することを特徴とする、請求項6記載の廃水の凝集処理方法。
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