JP2018141984A - 光学積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
このような散乱型偏光子は、延伸方向と垂直方向で偏光の散乱度合いが異なる散乱異方性を備えているため、特定の偏光方向の光を選択的に透過し、他の偏光方向の光を選択的に反射又は散乱させることができる。例えば、特許文献4及び5には、連続相と分散相からなり、連続相と分散相との屈折率の差が第1の軸に沿って0.05より大きく、第1の軸に直交した第2の軸に沿って0.05より小さく、偏光に対する拡散反射率が少なくとも30%である偏光子、及びその製造方法が開示されている。
また、特許文献4及び5に開示されているような散乱型偏光子は、連続相と分散相との界面での散乱反射を利用して偏光特性を発現することを特徴とするものであるから、先に述べた多層構造型の偏光子と比較し、生産上の制御が比較的安易であるため、生産性が高いといった特徴を有している。その一方、当該散乱型偏光子は、連続相と分散相の屈折率差を定める範囲に形成させても、偏光透過特性が不十分である。さらには、連続相と分散相の相溶性が低い為、比較的、大きな分散相が形成され、その分散相が一軸に伸長されることから、機械的強度にも異方性が生じ、割れや裂けなどが生じるといった課題を有する。
また、特許文献6〜9に開示されているように、偏光フィルムに輝度向上能など異なる機能を有するフィルムを粘着剤や接着剤にて貼り合せ、積層して一体化する方法では、輝度向上フィルムと偏光板とを粘着層により貼り合せるため、気泡の噛み込みや、粘着層による光の位相ずれが生じることや、輝度向上フィルムにより偏光分離された光の軸ずれが生じる課題が生じていた。
本積層体は、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)とを少なくとも1層以上含む光学積層体であって、当該輝度向上層(X)と当該吸収型偏光層(Y)が、接着層または粘着層を介することなく隣接して積層されてなる構成を備えたものである。
また、本積層体は、気泡の噛み込みや、光の位相ずれ、輝度向上層(X)により偏光分離された光の軸ずれ等の課題を解決するため、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)が、接着層または粘着層を介することなく隣接して積層されてなる構成を備えることが重要である。
これらの課題を解決するには、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)が、接着層または粘着層を介することなく、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)とが隣接して積層されてなることが重要であり、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)とが予め積層された後に1軸方向に共延伸されることが好ましい。
輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)が、接着層または粘着層を介することなく、隣接して積層されてなることにより、接着層または粘着層の存在によって生じる気泡の噛み込みや、光の位相ずれを低減することができる。また、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)とが予め積層された後に1軸方向に共延伸されることにより、光の軸ずれがなく、輝度向上層(X)により偏光分離された光が吸収型偏光層(Y)を透過することができる。
本積層体における輝度向上層(X)とは、特定の偏光方向の光(例えばP波)を透過し、その他の偏光方向の光(例えばS波)を反射する役割を果たすものであればいかなるものであってもよい。このような役割を果たす層であれば、反射された光(例えばS波)は、再度特定の偏光方向の光に分離し(例えばP波とS波に分離し)、透過及び反射を繰り返すため、光の再利用により輝度を向上させることができる。
例えば、複屈折性が異なる2種類のポリマーからなる相分離構造を有するポリマーブレンドを一軸延伸してなる散乱型偏光層(X1)、または、誘電体の多層薄膜体や屈折率異方性が相違する薄膜フィルム等の多層型偏光層(X2)、その他にも、コレステリック液晶の配向フィルムや、その配向液晶層をフィルム基材上に支持したもの等を適宜選択して用いることができる。
一般に、散乱型偏光層(X1)や多層型偏光層(X2)は、直線偏光を反射する。一方、コレステリック液晶の配向フィルムや、その配向液晶層をフィルム基材上に支持したものは円偏光を反射する。前者のような直線偏光を透過/反射させるタイプの輝度向上層は、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。他方、後者のような、円偏光を透過/反射するタイプの輝度向上層は、円偏光をそのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制するよりも、その円偏光を、位相差板を介して直線偏光化してから偏光板に入射させることが好ましい。その位相差板としては、λ/4板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
輝度向上層(X)が、散乱型偏光層(X1)または多層型偏光層(X2)から選択される場合、輝度向上層(X)により偏光分離された透過光が直線偏光となり、隣接する吸収型偏光層(Y)により偏光分離される透過光と光の軸が揃うため、好ましい。また、輝度向上層(X)により反射される偏光軸のうち、完全に反射されずに透過した偏光を、隣接する吸収型偏光層(Y)により吸収できるため、好ましい。
また、透過する光の拡散性を優先する場合には、散乱型偏光層(X1)を選択することが好ましく、透過する光の直線性を優先する場合には、多層型偏光層(X2)を選択することが好ましい。
本積層体において、散乱型偏光層(X1)は、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含有し、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有するものが好ましい。
この時、連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(A)と称し、分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(B)と称することとする。すなわち連続相(I)と分散相(II)は互いに異なる熱可塑性樹脂を主成分とする相である。
例えば、ポリスチレン系樹脂やアクリル系樹脂といった固有複屈折率が負である熱可塑性樹脂も、前記熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)として使用することができるが、これらは分子鎖の側鎖に嵩高い分子構造を有するため、機械的強度が低下する可能性がある。従って、前記熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)としては、散乱型偏光層(X1)を形成した場合の機械的強度の低下を防ぐ観点から、固有複屈折率が正である熱可塑性樹脂を用いることが好適である。但し、機械的強度に優れた、固有複屈折率が負である熱可塑性樹脂を用いることを妨げるものではない。
熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の固有複屈折率がともに正である場合、前記(A)と前記(B)との平均屈折率差の絶対値が0.05以下であると、配向した際に、連続相(I)と分散相(II)の配向方向に平行な軸(S軸)における屈折率差が生じ難いと考えられる。
しかしながら、一軸方向に配向した散乱型偏光層(X1)が、本発明の規定する範囲に属するのであれば、前記(A)と前記(B)との平均屈折率差の絶対値や、平均屈折率と複屈折率の大小関係の合致は、必須条件ではない。
連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の少なくとも一方が、結晶性の熱可塑性樹脂であれば、一軸方向に配向した際、高分子鎖が配向しやすく、配向方向に平行な軸(S軸)に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすいから、上記S軸における偏光反射特性を向上させやすいため、好ましい。
なお、結晶性の熱可塑性樹脂とは、一般に結晶融解ピーク温度(融点)が存在するとされる熱可塑性樹脂を指し、より具体的にはJIS K7121に準拠して行う示差走査熱量測定(DSC)において融点が観測される熱可塑性樹脂であって、いわゆる半結晶性の状態のものを包含する。逆に、DSCにおいて融点が観測されない熱可塑性樹脂を「非晶性」と称する。
後述するように、散乱型偏光層(X1)は、寸法安定性の観点から、一軸方向に配向した後に熱処理を行うことが好ましい。その理由は、熱処理の際に、結晶性の熱可塑性樹脂は、配向結晶化しやすくなり、配向方向に平行な軸(S軸)、配向方向に垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)に対する屈折率の異方性が大きな状態で熱固定される。一方、非晶性の熱可塑性樹脂は熱処理の際に、配向が緩和しやすくなる傾向となり、結果的に、上記S軸に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすくする傾向となるからである。
散乱型偏光層(X1)においては、連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)として、好適に用いることができるものを上述した。中でもさらに、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の少なくとも一方が、イソソルビドから誘導されるジオール残基を有するポリエステル系樹脂であることがさらに好ましい。
イソソルビドから誘導されるジオール残基を有することにより、ポリエステル系樹脂の耐熱性が向上するため、散乱型偏光層(X1)の熱による撓みや寸法安定性を向上させることができる。また、イソソルビドから誘導されるジオール残基を有するポリエステル系樹脂と他の熱可塑性樹脂との相溶性を高めると共に、連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)との微細な海島構造の形成を達成することができる。
加えて、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)が共にポリエステル系樹脂であり、かつ、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)が異なる種類のポリエステル系樹脂である場合、(A)と(B)との相溶性が高い為、連続相(I)と分散相(II)が均一、かつ、微細な海島構造を形成しやすい。
中でも、イソソルビドから誘導されるジオール残基を有するポリエステル系樹脂は、他のポリエステル系樹脂と良好な相溶性を有している。そのため、一軸方向に配向した際に生じる分散相(II)の配向方向に伸長した島構造において、分散相(II)の配向方向に垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)方向の分散径が可視光の波長以下の範囲となりやすくなり、本積層体における輝度の向上を発現しやすくする効果をもたらす。
例えば、テオネックスTN8065S(ポリエチレンナフタレートのホモポリマー、帝人化成(株)製、固有粘度0.71dl/g)、テオネックスTN8065SC(ポリエチレンナフタレートのホモポリマー、帝人化成(株)製、固有粘度0.55dl/g)、テオネックスTN8756C(ポリエチレンナフタレートとポリエチレンテレフタレートのコポリマー、帝人化成(株)製、固有粘度0.65dl/g)などを好ましい例として挙げることができる。
本積層体を構成する輝度向上層(X)が、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含有し、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有するフィルムからなる散乱型偏光層(X1)である場合、連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の混合質量比は、(A)/(B)=10質量部/90質量部〜90質量部/10質量部、中でも25質量部/75質量部〜75質量部/25質量部、その中でも特に35質量部/65質量部〜65質量部/35質量部であることが好ましい。このような混合質量比とすることにより、分散相が少なくなり過ぎず、連続相と分散相との界面における散乱が小さくなり偏光反射特性が低下するなどのおそれがないため好ましい。
なお、散乱型偏光層(X1)は、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)を少なくとも1種ずつ含有していれば、さらに他の熱可塑性樹脂を含有しても構わず、例えば熱可塑性樹脂(B)に該当する熱可塑性樹脂を2種以上含んでいても構わない。
また、本積層体を構成する輝度向上層(X)が、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含有し、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有するフィルムからなる散乱型偏光層(X1)である場合、散乱型偏光子には、分散相(II)の分散性を向上させる目的で、必要に応じて相溶化剤(C)などの添加剤を添加してもよい。
散乱型偏光層(X1)は、連続相(I)の屈折率と分散相(II)の屈折率との差の絶対値が、配向方向に対して平行な軸(S軸)において0.05より大きく、かつ、配向方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)において0.05より大きいことが好ましい。
一方、連続相(I)の屈折率と分散相(II)の屈折率との差の絶対値は、0.1より小さいことが好ましい。0.1より小さいことにより、後述する分散相(II)のP軸方向の分散径が本発明において好ましい範囲の場合において、連続相(I)と分散相(II)との界面における散乱が抑制され、前記P軸における透過特性を発現できるため好ましい。
また、連続相(I)の屈折率と分散相(II)の屈折率との差の絶対値を、配向方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)において0.05より大きくする手段としては、連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)との平均屈折率の差の絶対値が0.05より大きくなるよう、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)を選択し、好ましい範囲に調整する方法や、自由幅1軸延伸、一定幅1軸延伸、引っ張り延伸法、ロール間延伸法、ロール圧延法などの延伸により連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)、及び/又は、分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を配向させ、複屈折率の違いを利用して、好ましい範囲に調整する方法、あるいは、連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)、及び/又は、分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)に、相溶する他の熱可塑性樹脂や屈折率調整剤などを添加し、好ましい範囲に調整する方法などが挙げられる。
そのため、平均屈折率の差が0.05以上の熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを選択して延伸すれば、S軸の屈折率差の絶対値を0.05より大きくすることができる。一方、配向方向に対して垂直な軸(P軸)の屈折率差の絶対値は、延伸前よりも延伸後の方が小さくなる場合もある。そのため、平均屈折率の差が0.05以上の熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを選択し、P軸の屈折率差の絶対値が0.05より小さくならない範囲で延伸する必要がある。
これらの点を考慮して延伸倍率などを決定し、フィルムを1軸方向に延伸して配向させることにより、S軸及びP軸における屈折率の差の絶対値をともに0.05よりも大きくすることができる。
散乱型偏光層(X1)は、分散相(II)のP軸方向の分散径が10nm以上、200nm以下であることが好ましい。分散径は、後述する方法により測定される。
また、散乱型偏光層(X1)において、前記P軸における偏光に対して、より高い偏光透過特性を発現させる為にも、分散相(II)のP軸方向の分散径が10nm以上、200nm以下であることが好ましい。中でも、分散相(II)のP軸方向の分散径が10nm以上、100nm以下であることが、P軸における偏光に対して、より高い透過特性を発現する為、好ましい。
輝度向上層(X)は、P軸における、測定波長400nm〜700nmの平均偏光透過率が80%以上であることが好ましい。従来、高い輝度向上能力を発現させるためには、偏光に対する高い拡散反射特性が必要と考えられていたが、本発明者等は、その理由は定かではないものの、P軸における偏光に対する透過特性を十分に高めることにより、輝度向上能力向上への寄与が大きいことを見出した。
さらに、輝度向上層(X)はJIS K7128−3に準拠して測定したP軸方向の引き裂き強度が600N/cm以上であることが好ましい。より具体的には、JIS K7128−3に準拠して試験片を作成し、温度23℃、試験速度200mm/分の条件で直角形引裂法により測定した引き裂き強度をもって評価する。
引き裂き強度が600N/cm以上であることにより、本積層体は輝度向上層として使用する際に優れた機械的強度を有し、例えば液晶表示装置に組み込む場合のハンドリング時に破損するなどの問題が生じる可能性が極めて小さくなる。
これに対し、本発明の散乱型偏光層(X1)は驚くべきことに、従来達成し得なかったような機械的強度を有するものであり、JIS K7128−3に準拠して測定したP軸方向の引き裂き強度は、600N/cm以上であることが好ましく、800N/cm以上であることがより好ましく、900N/cm以上であることがさらに好ましく、1000N/cm以上であることが特に好ましい。
本積層体における、多層型偏光層(X2)とは、屈折率の低い層と屈折率の高い層とを交互に多数積層させ、層間の構造的な光干渉によって、特定波長の光を選択的に反射または透過する光学干渉層である。
このような多層積層フィルムは、膜厚を徐々に変化させたり、異なる反射ピークを有するフィルムを貼り合せたりすることで金属を使用したフィルムと同等の高い反射率を得ることができ、金属光沢フィルムや反射ミラーとして使用することもできる。さらには、このような多層積層体を1方向にのみ延伸することで、特定の偏光成分のみを反射する輝度向上層としても使用できる。
λ=2(n1×d1+n2×d2)
(上式中、λは反射波長(nm)、n1、n2はそれぞれの層の屈折率、d1、d2はそれぞれの層の厚み(nm)を表わす)
また、そのときの望ましい複屈折性は下記の式で表される。
n1X>n2X、n1Y=n2Y
(上式中、n1X、n2Xはそれぞれの層における延伸方向の屈折率、n1Y、n2Yはそれぞれの層における延伸方向に直交する方向の屈折率を表す)
本積層体における吸収型偏光層(Y)とは、特定の偏光方向の光(P波、直線偏光)のみを透過させて液晶セルに供給し、その他の偏光方向の光(S波)を吸収する役割を果たす層である。
また、吸収型偏光層(Y)は、自然光を入射させると直線偏光を透過するものが好ましく、中でも特に、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。かかる観点から、吸収型偏光層(Y)の基材には、ポリビニルアルコールを主成分とすることが好ましい。
また、当該ポリビニルアルコールの重合度が8000以下であれば、ポリビニルアルコール由来のゲル・未溶解物の混入を防止することができ、好ましい。かかる観点から、ポリビニルアルコールの重合度の上限値は、8000以下であることが好ましく、7000以下であることがより好ましく、6000以下であることが特に好ましい。
このとき、一軸に延伸された軸方向と平行方向に入射する光は吸収され、一軸に延伸された軸方向と垂直方向で、フィルム面に平行な軸に入射する光は透過する。
そのため、本発明における吸収型偏光層(Y)は、輝度向上層(X)との光の軸ずれの観点において、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)とは、予め積層された後に1軸方向に共延伸されることにより、偏光方向が同方向となるため好ましい。
すなわち、1軸方向に共延伸された場合、輝度向上層(X)は、一軸に延伸された軸方向と平行方向に入射する光は反射されるが、完全に反射されずに透過した光を、吸収型偏光層(Y)において吸収することが出来る。また、輝度向上層(X)は、一軸に延伸された軸方向と垂直方向で、フィルム面に平行な方向に入射する光を透過し、輝度向上層(X)を透過した偏光は吸収型偏光層(Y)においても透過されるのである。
続いて、ヨウ素を吸着配向させたポリビニルアルコール系樹脂からなる基材を、架橋安定化させるため、ヨウ化カリウムおよびホウ酸を含む水溶液で処理する。その方法としては、例えば、この基材をヨウ化カリウムおよびホウ酸を含む水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。使用する水溶液中のホウ酸濃度およびヨウ化カリウム濃度は、水100重量部に対し、ヨウ化カリウムを2〜20重量部、好ましくは5〜12重量部、およびホウ酸を2〜15重量部、好ましくは7〜10重量部含む水溶液を用いる。水100重量部に対するヨウ化カリウムの量が2重量部未満になったり、20重量部を越えたりすると、ともに満足な偏光層が得られにくいため好ましくない。また、水100重量部に対するホウ酸の量が2重量部未満になると、満足な偏光層が得られず、その量が15重量部を越えると、結晶の析出等の問題が発生するため好ましくない。
かかる温度範囲、処理時間範囲で処理することにより、吸収型偏光層(Y)の耐久性能および偏光性能を向上させるために好ましい。
本積層体を製造する方法の一例としては、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)とを少なくとも1層以上含み、当該輝度向上層(X)と当該吸収型偏光層(Y)が、共押出によって積層された後に1軸方向に共延伸される製造方法が挙げられる。
Tダイキャスト法を採用する場合には、例えば、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を乾燥させ、押出機に供給し、樹脂の融点以上の温度に加熱して溶融する。そして、溶融した組成物をTダイのスリット状の吐出口から押し出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成すればよい。
シートの押出温度は、各樹脂の流動特性にもよるが、ポリエチレンナフタレート系樹脂を使用する場合、概ね270℃〜340℃が好ましく、280℃〜320℃の範囲にあることがより好ましい。押出温度が270℃以上であれば、溶融樹脂が流動するに十分シート成形が可能であり、一方、340℃以下であれば、樹脂の熱分解などによるシートの特性低下が生じにくいため好ましい。
また、吐出量Q(kg/h)とスクリュー回転数N(rpm)の比;Q/N(kg/h/rpm)は0.16〜1.00の範囲にあることが好ましく、0.18〜0.90の範囲にあることがより好ましい。
このように、押出温度および吐出量Qを好適な範囲に調整することにより、前記混合樹脂組成物の相溶性を制御することができる。
上記のような熱溶融成形用のポリビニルアルコール系樹脂を例示すると、クラレポバールCPシリーズ(クラレ社製)などが挙げられる。
本積層体において、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)は、予め積層された後に1軸方向に共延伸されることにより、偏光方向が同方向となったものであるのが好ましい。
上述したように、1軸方向に共延伸された場合、輝度向上層(X)は、一軸に延伸された軸方向と平行方向に入射する光は反射されるが、完全に反射されずに透過した光を、吸収型偏光層(Y)において吸収することが出来るため、好ましい。また、輝度向上層(X)は、一軸に延伸された軸方向と垂直方向で、フィルム面に平行な方向に入射する光を透過し、輝度向上層(X)を透過した偏光は吸収型偏光層(Y)においても透過されるため好ましい。
共延伸させる方向としては、フィルムの引き取り(流れ)方向(MD)と、MDに直交する方向(TD)のいずれでもよい。中でも、輝度向上層(X)の有する特性をより効果的に発現させるために、MDに配向することが好ましい。すなわち、輝度向上層(X)において、配向方向に対して平行な軸(S軸)がMDであり、配向方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)がTDであることが好ましい。
また、配向させる方法としては、特に限定されない。配向させる方法としては、例えば前記の通りTダイキャスト法によって製膜した積層体を、MD又はTDに1軸延伸する方法や、Tダイキャスト法において製膜する際に、引き取り速度(キャストロールの速度)を速くすることによってMDにドラフトをかける方法、インフレーション法によって製膜する際に、引き取り速度を速くすることによってMDにドラフトをかける方法などを例示できる。
中でも、前記の通りTダイキャスト法によって製膜したシートを、MD又はTDに1軸延伸する方法が、製膜安定性や生産効率化の観点から好ましい。
ここで「1軸延伸」とは、積極的に一方向のみに行う延伸を意味するものであり、例えば、製膜、熱処理或いは巻き取りなどの過程で、前記一方向とは異なる方向に自然に延伸されるような場合も包含する意である。客観的には、一方向の延伸倍率が、これと直交する方向の延伸倍率の2倍以上である場合である。
輝度向上層(X)では、1軸延伸によって、連続相(I)と分散相(II)との屈折率差は延伸方向に大きくなるとともに、分散相(II)が延伸方向に伸長され、分散相のP軸方向の分散径が、本発明の好ましい範囲内に含まれてくる。そのため、前記S軸に対する屈折率差が大きくなる方向の偏光は散乱し、前記P軸に対しては、分散径が光の波長オーダーに対し、十分小さくなることから、偏光は透過する特性を備えた輝度向上層(X)を作製することができる。
延伸温度は、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)を構成する樹脂のうちガラス転移温度(Tg)の高い樹脂のTg程度から(Tg+50℃)の範囲内の温度とするのが好ましい。延伸温度がこの範囲であれば、延伸時に破断することなく安定して延伸を行うことができる。
延伸倍率は、特に限定するものではないが、例えば、MD又はTDに2倍以上、好ましくはMD又はTDに3〜9倍、特にMD又はTDに4〜7倍とするのが好ましい。中でも、製膜した輝度向上層(X)の未延伸シートにて形成されたと分散相(II)を伸長させることにより、分散相(II)のP軸方向の分散径を低減し、MDに延伸することが特に好ましい。
本積層体は、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)とを少なくとも1層以上含むことが重要であり、当該輝度向上層(X)と当該吸収型偏光層(Y)が、接着層または粘着層を介することなく、両者が隣接して積層されてなることが重要である。
本積層体を液晶表示装置に組み込む場合、液晶セルの背面側(裏面側)から、反射シート、導光板と光源、拡散フィルム、プリズムシート、本積層体、液晶層、位相差フィルム、偏光フィルム、ガラス基板などを順次積層してなる構成などが挙げられる。またこのとき、本積層体の輝度向上層(X)が光源側に配置されることが光のロスが少なく好ましい。
本積層体の厚みは、特に限定するものではない。例えば剛性の観点から、50μm〜400μm、中でも100μm以上或いは200μm以下であるのが好ましい。また、輝度向上層(X)の厚みも、後述する輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)の厚みの比(Y/X)を満たす範囲内であれば、特に限定するものではなく、10μm〜399.99μmが好ましい。
また、吸収型偏光層(Y)の厚みも、後述する輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)の厚みの比(Y/X)を満たす範囲内であれば、特に限定するものではなく、特に0.01μm〜40μmが好ましい。一般的に、散乱型偏光層(X1)は、厚みを増大させた場合、散乱回数が増大する為、配向方向に対して平行な軸(S軸)における偏光反射特性が向上するものの、相反して、配向方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)における偏光透過特性が低下する傾向がある。
しかしながら、本発明のように、分散相(II)のP軸方向の分散径を10nm以上、200nm以下とすることにより、厚みの増大に対し、前記S軸における偏光反射特性は向上し、かつ、前記P軸における偏光透過特性の低下を抑制できる効果をもたらす。
本積層体において、前記輝度向上層(X)と前記吸収型偏光層(Y)の厚みの比(Y/X)に関しては、前記輝度向上層(X)の厚み100%に対する前記吸収型偏光層(Y)の厚み比の下限値が0.3%以上であるのが好ましい。当該厚み比が0.3%以上であれば、偏光特性を十分に発現させることができる。かかる観点から、当該厚み比は0.4%以上であるのが更に好ましく、0.5%以上であるのが特に好ましい。一方、上限値については、3.0%以下であるのが好ましい。当該厚み比が3.0%以下であれば、吸収型偏光層(Y)が硬化収縮する際に生じるカールを実用上問題ないレベルまで低減させることができる。かかる観点から、2.0%以下であるのが更に好ましく、1.5%以下であるのが特に好ましい。
本積層体において、偏光度は95.0%以上であるのが好ましく、特に99.0%以上であるのが更に好ましい。偏光度が95.0%以上であることで、液晶ディスプレイ(LCD)に組み込んだ際に、高コントラスト比が得られるという効果がある。上限については特に制限はないが、99.999%以下であることが好ましい。
本積層体において、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)との間の剥離強度は、30gf/15mm幅以上が好ましく、40gf/15mm幅以上が更に好ましい。剥離強度が30gf/15mm幅以上あれば、液晶表示装置に使用する際、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)とが剥離し、組立工程や使用環境でのトラブルが生じにくいため、好ましい。
本発明において、本積層体の形態は特に限定するものではなく、板状、シート状、フィルム状その他の形態を包含する。
この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるものである。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
ここで、シート乃至フィルムを製造する際のシート乃至フィルムの引き取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
先ずは、実施例・比較例で得たサンプルの各種物性値の測定方法及び評価方法について説明する。
1/1000mmのダイアルゲージにて、積層多孔フィルムの面内を不特定に5箇所測定し、その平均値を光学積層体の総厚みとした。
光学積層体の前記吸収型偏光層(Y)をテープで剥離した後、1/1000mmのダイアルゲージにて、積層多孔フィルムの面内を不特定に5箇所測定し、その平均値を輝度向上層(X)の厚みとした。
光学積層体の断面をSEM観察することで、吸収型偏光層(Y)の厚みを算出した。
偏光透過率は、分光光度計((株)日立製作所製:U−4000)に積分球を取り付け、測定を行った。300nmから800nmの波長の光源の入射光側に偏光フィルムを取り付け、その光源側に吸収型偏光フィルムを挿入し、光源を鉛直方向に偏光する直線偏光のみにして実施例及び比較例の光学積層体、または輝度向上フィルムを挿入して、光学積層体、または輝度向上フィルムの偏光透過率を、延伸方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)、延伸方向に対して平行軸(S軸)についてそれぞれ測定した。
前記P軸についての評価基準は、400nm〜700nmの偏光透過率の平均が80%以上の場合を「○(good)」、80%未満の場合を「×(poor)」と評価した。また、前記S軸についての評価基準は、400nm〜700nmの偏光透過率の平均が10%以下の場合を「○(good)」、10%を超える場合を「×(poor)」と評価した。
JIS K7128−3(1998年)に準拠して試験片を作成し、温度23℃、試験速度200mm/分の条件でP軸方向、及びS軸方向について、直角形引裂法による引き裂き強度測定を行い、下記基準にて判断した。
○(good):引き裂き強度が600N/cm以上である。
×(poor):引き裂き強度が600N/cm未満である。
偏光度は、前記偏光透過率の評価方法を用いて算出した、P軸における400nm〜700nmの偏光透過率の平均値をH0、S軸における400nm〜700nmの偏光透過率の平均値をH90とし、以下の式を適用することにより求め、判定した。
偏光度(%)={|(H0−H90)|/(H0+H90)}1/2×100
◎(very good):偏光度が99.0%以上。
○(good):偏光度が95.0%以上、99.0%未満。
×(poor):偏光度が95.0%未満。
長手方向が延伸方向となるよう、光学積層体をA4サイズに切出し、常温常湿下で静置した。静置後のフィルムが、カールにより円筒状になる場合には、円筒の重なり部分の周長を図り、以下の基準により評価した。なお、△については実用レベル以上である。
◎(very good):フィルムが自発的に円筒状になることがない。
○(good) :円筒の重なり部分の周長が0cm以上5cm未満である。
△(fair) :円筒の重なり部分の周長が5cm以上10cm未満である。
×(poor) :円筒の重なり部分の周長が10cm以上である。
長手方向が延伸方向となるよう、光学積層体をA4サイズに切出し、目視で評価を行なった。
◎(very good):吸収型偏光層(Y)の染色ムラ・剥離がない。
○(good) :吸収型偏光層(Y)に若干染色ムラが見られるが、実用上問題ないレベルである。
×(poor) :吸収型偏光層(Y)に染色ムラあるいは剥離がある。
液はじきについての評価基準は、光学積層体の輝度向上層(X)上にポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を塗布して乾燥させ、一軸に共延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムをヨウ素およびヨウ化カリウムの溶液に浸漬させた後、A4サイズに切出し、水溶液がはじかれている箇所の個数を調べ、判定した。
○(good):水溶液がはじかれた箇所が5個以下。
×(poor):水溶液がはじかれた箇所が5個よりも多い。
ポリエチレンナフタレート樹脂(平均屈折率:1.646、固有複屈折率:正、ガラス転移温度(Tg):118℃、Tm:261℃、固有粘度0.71dl/g、重量平均分子量5万、ペレットのYI値0)60質量%と、非晶性ポリエステル樹脂(平均屈折率:1.568、固有複屈折率:正、Tg:109℃、ジカルボン酸ユニット:テレフタル酸100wt%、ジオールユニット:エチレングリコール30wt%、1,4−シクロヘキサンジメタノール45wt%、イソソルビド25%)40質量%とを、十分混合した後、定質量フィーダーにて供給しながら、φ40mm二軸押出機にて290℃で押出混練(吐出量Q(kg/h)とスクリュー回転数N(rpm)の比;Q/N=0.26(kg/h/rpm))し、冷却固化して厚さ600μmのシートを作製した。得られたシートの片面を、VETAPHONE社製ジェネレーター(製品名「CP1」)を用いて、処理出力1kW、処理速度10m/minの条件にてコロナ処理を行った。
このようにして、ポリエチレンナフタレート樹脂からなる連続相(I)と、イソソルビドから誘導されたジオール残基を有するポリエステル系樹脂からなる分散相(II)とを有する散乱型偏光層(X1)を有し、且つ、コロナ処理された面を有する輝度向上フィルムの原反(以下、原反Aと呼ぶ。)を作製した。
原反Aの製膜で用いたポリエチレンナフタレート樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の混合重量比を、ポリエチレンナフタレート樹脂40質量%、非晶性ポリエステル樹脂60質量%に変更した以外は、前記原反Aの製膜と同様にして、厚さ600μmのシートを作製した。得られたシートの片面を、を、VETAPHONE社製ジェネレーター(製品名「CP1」)を用いて、処理出力1kW、処理速度10m/minの条件にてコロナ処理を行った。
このようにして、イソソルビドから誘導されたジオール残基を有するポリエステル系樹脂からなる連続相(I)と、ポリエチレンナフタレート樹脂からなる分散相(II)とを有する散乱型偏光層(X1)を有し、且つ、コロナ処理された面を有する輝度向上フィルムの原反(以下、原反Bと呼ぶ。)を作製した。
ポバールPVA124(クラレ社製:重合度2400)を濃度12wt%となるよう水に溶解し、80℃で一晩攪拌し、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を調製した。その後、不溶物をろ過した後、wet厚み200μmにて、前記の如く作製した輝度向上フィルムの原反Aのコロナ処理面にコーティングし、50℃のオーブンにて1時間乾燥した。その後、アイランド工業社製二軸延伸機を用いて、炉内温度130℃、延伸速度5mm/secにて、輝度向上フィルムのMD方向に5倍延伸した。得られた積層体を、固定具にて固定した状態で60℃の温水に15秒浸漬し、その後、水100質量部に対してヨウ素0.05質量部、ヨウ化カリウム5質量部に調製した水溶液に1分間、室温にて浸漬した。さらに、積層体を、固定具にて固定した後、水100質量部に対し、ヨウ化カリウム6質量部、ホウ酸7.5質量部に調製した水溶液に5分間、65℃で浸漬した。その後、純水に20秒間浸漬して洗浄した後、水滴を除去し、50℃のオーブンにて5分間乾燥し、目的の光学積層体を得た。
また、得られた積層体を幅15mmの短冊状に切り、フェザー刃を用いて、吸収型偏光層(Y)の一部を剥がし取り、剥がし取った吸収型偏光層(Y)の端部と、吸収型偏光層(Y)が剥がし取られた箇所に残った輝度向上層(X)の端部を、引張試験機のチャックに挟み、100mm/minの速度にて剥離試験を行ったところ、剥離強度は50gf/15mm幅であった。評価結果を表1に示す。
ポバールPVA124(クラレ社製:重合度2400)を濃度12wt%となるよう水に溶解し、80℃で一晩攪拌し、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を調製した。その後、不溶物をろ過した後、この溶液にシー・アイ・ダイレクトブラック17(田岡化学工業社製、商品名「Japanol Fast Black D conc.」)、シー・アイ・ダイレクトイエロー12(田岡化学工業社製、商品名「Chrysophenine」)、シー・アイ・ダイレクトブルー78(田岡化学工業社製、商品名「Sumilight Supra Blue G」)を、ポバールPVA124に対して、それぞれ0.8wt%、0.4wt%、0.7wt%添加して均一に溶解させた後、wet厚み50μmにて、前記の如く作製した輝度向上フィルムの原反Aのコロナ処理面にコーティングし、50℃のオーブンにて1時間乾燥した。その後、アイランド工業社製二軸延伸機を用いて、炉内温度130℃、延伸速度5mm/secにて、輝度向上フィルムのMD方向に5倍延伸し、目的の光学積層体を得た。
得られた積層体の厚みを測定したところ、輝度向上層(X)の厚みが130μm、吸収型偏光層(Y)の厚みが3μmであった。評価結果を表1に示す。
ポバールPVA124(クラレ社製:重合度2400)を濃度12wt%となるよう水に溶解し、80℃で一晩攪拌し、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を調製した。その後、不溶物をろ過した後、wet厚み200μmにて、前記の如く作製した輝度向上フィルムの原反Bのコロナ処理面にコーティングし、50℃のオーブンにて1時間乾燥した。その後、得られたシートを切り出して、90°傾けた後、予熱温度145℃(予熱時間32秒)、延伸温度130℃(延伸時間32秒)、熱処理温度130℃(熱処理時間32秒)に昇温したテンターに通紙し、MDに6倍延伸した。次に、アイランド工業社製二軸延伸機を用いて、炉内温度130℃、延伸速度5mm/secにて、輝度向上フィルムのMD方向に5倍延伸した。
得られた積層体を、固定具にて固定した状態で60℃の温水に15秒浸漬し、その後、水100質量部に対してヨウ素0.1質量部、ヨウ化カリウム5質量部に調製した水溶液に1分間、室温にて浸漬した。さらに、積層体を、固定具にて固定した後、水100質量部に対してヨウ化カリウム6質量部、ホウ酸7.5質量部に調製した水溶液に5分間、65℃で浸漬した。その後、純水に20秒間浸漬して洗浄した後、水滴を除去し、50℃のオーブンにて5分間乾燥し、目的の光学積層体を得た。
実施例1において、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をwet厚み50μmにて、前記の如く作製した輝度向上フィルムの原反Aのコロナ処理面にコーティングした以外は実施例1と同様にして目的の光学積層体を得た。
得られた積層体の厚みを測定したところ、輝度向上層(X)の厚みが132μm、吸収型偏光層(Y)の厚みが1μmであった。評価結果を表1に示す。
実施例1において、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をwet厚み80μmにて、前記の如く作製した輝度向上フィルムの原反Aのコロナ処理面にコーティングした以外は実施例1と同様にして目的の光学積層体を得た。
得られた積層体の厚みを測定したところ、輝度向上層(X)の厚みが132μm、吸収型偏光層(Y)の厚みが1.5μmであった。評価結果を表1に示す。
ポリビニルアルコール系樹脂として、JC−40(日本酢ビ・ポバール社製、重合度4000)を用いて水溶液を調製した。濃度が8wt%となるようにJC−40と水を混合し、90℃で2時間攪拌し、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を調製した。その後、不溶物をろ過した後、wet厚み100μmにて、輝度向上フィルムの原反にコーティングし、50℃のオーブンにて1時間乾燥した。その後、アイランド工業社製二軸延伸機を用いて、炉内温度130℃、延伸速度5mm/secにて、輝度向上フィルムのMD方向に、6倍延伸した。得られた積層体を、水100質量部に対し、ヨウ素0.05質量部、ヨウ化カリウム5質量部に調製した水溶液に1分間、室温にて浸漬した。さらに、積層体を固定具にて固定した後、水100質量部に対し、ヨウ化カリウム6質量部、ホウ酸7.5質量部に調製した水溶液に5分間、65℃で浸漬した。その後、純水に20秒間浸漬して洗浄した後、水滴を除去し、50℃のオーブンにて5分間乾燥し、目的の光学積層体を得た。
得られた積層体の厚みを測定したところ、輝度向上層(X)の厚みが130μm、吸収型偏光層(Y)の厚みが8μmであった。評価結果を表1に示す。
実施例6において、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、JC−33(日本酢ビ・ポバール社製、重合度3300)を用いて調製した以外は、実施例6と同様にして目的の光学積層体を得た。評価結果を表1に示す。
前記の如く作製した輝度向上フィルムの原反Aを、アイランド工業社製二軸延伸機を用いて、炉内温度130℃、延伸速度5mm/secにて、輝度向上フィルムのMD方向に、5倍延伸し、吸収型偏光層が積層されていない輝度向上フィルムを得た。
得られた輝度向上フィルムの厚みは130μmであった。評価結果を表1に示す。
実施例6において、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、JMR−10HH(日本酢ビ・ポバール社製、重合度200)を用いて調製した以外は、実施例6と同様にして目的の光学積層体を得た。評価結果を表1に示す。
また、接着層や粘着層を有していないことから、気泡などの外観不良もなく、接着層や粘着層に起因する光の位相ずれのない、液晶表示装置に組み込む場合に優れた光学積層体となり得ることが分かった。
さらに、吸収型偏光層(Y)の主成分であるポリビニルアルコールの重合度が1000以上であることにより、塗工時の液流れや塗りムラが低減でき、塗布厚みを薄くしても液はじきが生じないため、良好な外観の光学積層体が得られた。なかでも、実施例4,5においては、輝度光上層(X)と吸収型偏光層(Y)の厚みの比を調整することにより、カールの抑制された光学積層体が得られた。
よって、本発明の光学積層体は、単独で、又は、他の光学フィルムと組み合わせて、液晶表示装置などの各種画像表示装置に適用することができる。
このとき、一軸に延伸された軸方向と平行方向に入射する光は吸収され、一軸に延伸された軸方向と垂直方向で、フィルム面に平行な軸に入射する光は透過する。
そのため、本発明における吸収型偏光層(Y)は、輝度向上層(X)との光の軸ずれの観点において、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)とは、予め積層された後に1軸方向に共延伸されることにより、偏光方向が同方向となるため好ましい。
すなわち、1軸方向に共延伸された場合、輝度向上層(X)は、一軸に延伸された軸方向と平行方向に入射する光は反射されるが、完全に反射されずに透過した光を、吸収型偏光層(Y)において吸収することが出来る。また、輝度向上層(X)は、一軸に延伸された軸方向と垂直方向で、フィルム面に平行な方向に入射する光を透過し、輝度向上層(X)を透過した偏光は吸収型偏光層(Y)においても透過されるのである。
続いて、ヨウ素を吸着配向させたポリビニルアルコール系樹脂からなる基材を、架橋安定化させるため、ヨウ化カリウムおよびホウ酸を含む水溶液で処理する。その方法としては、例えば、この基材をヨウ化カリウムおよびホウ酸を含む水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。使用する水溶液中のホウ酸濃度およびヨウ化カリウム濃度は、水100質量部に対し、ヨウ化カリウムを2〜20質量部、好ましくは5〜12質量部、およびホウ酸を2〜15質量部、好ましくは7〜10質量部含む水溶液を用いる。水100質量部に対するヨウ化カリウムの量が2質量部未満になったり、20質量部を越えたりすると、ともに満足な偏光層が得られにくいため好ましくない。また、水100質量部に対するホウ酸の量が2質量部未満になると、満足な偏光層が得られず、その量が15質量部を越えると、結晶の析出等の問題が発生するため好ましくない。
ポバールPVA124(クラレ社製:重合度2400)を濃度12wt%となるよう水に溶解し、80℃で一晩攪拌し、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を調製した。その後、不溶物をろ過した後、この溶液にシー・アイ・ダイレクトブラック17(田岡化学工業社製、商品名「Japanol Fast Black D conc.」)、シー・アイ・ダイレクトイエロー12(田岡化学工業社製、商品名「Chrysophenine」)、シー・アイ・ダイレクトブルー78(田岡化学工業社製、商品名「Sumilight Supra Blue G」)を、ポバールPVA124に対して、それぞれ0.8wt%、0.4wt%、0.7wt%添加して均一に溶解させた後、wet厚み50μmにて、前記の如く作製した輝度向上フィルムの原反Aのコロナ処理面にコーティングし、50℃のオーブンにて1時間乾燥した。その後、アイランド工業社製二軸延伸機を用いて、炉内温度130℃、延伸速度5mm/secにて、輝度向上フィルムのMD方向に5倍延伸し、目的の光学積層体を得た。
得られた積層体の厚みを測定したところ、輝度向上層(X)の厚みが130μm、吸収型偏光層(Y)の厚みが3μmであった。評価結果を表1に示す。
ポバールPVA124(クラレ社製:重合度2400)を濃度12wt%となるよう水に溶解し、80℃で一晩攪拌し、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を調製した。その後、不溶物をろ過した後、wet厚み200μmにて、前記の如く作製した輝度向上フィルムの原反Aのコロナ処理面にコーティングし、50℃のオーブンにて1時間乾燥した。その後、アイランド工業社製二軸延伸機を用いて、炉内温度130℃、延伸速度5mm/secにて、輝度向上フィルムのMD方向に5倍延伸した。得られた積層体を、固定具にて固定した状態で60℃の温水に15秒浸漬し、その後、水100質量部に対してヨウ素0.05部、ヨウ化カリウム5部に調製した水溶液に1分間、室温にて浸漬した。さらに、積層体を、固定具にて固定した後、水100質量部に対し、ヨウ化カリウム6部、ホウ酸7.5部に調製した水溶液に5分間、65℃で浸漬した。その後、純水に20秒間浸漬して洗浄した後、水滴を除去し、50℃のオーブンにて5分間乾燥し、目的の光学積層体を得た。
また、得られた積層体を幅15mmの短冊状に切り、フェザー刃を用いて、吸収型偏光層(Y)の一部を剥がし取り、剥がし取った吸収型偏光層(Y)の端部と、吸収型偏光層(Y)が剥がし取られた箇所に残った輝度向上層(X)の端部を、引張試験機のチャックに挟み、100mm/minの速度にて剥離試験を行ったところ、剥離強度は50gf/15mm幅であった。評価結果を表1に示す。
比較例1において、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をwet厚み50μmにて、前記の如く作製した輝度向上フィルムの原反Aのコロナ処理面にコーティングした以外は比較例1と同様にして目的の光学積層体を得た。
得られた積層体の厚みを測定したところ、輝度向上層(X)の厚みが132μm、吸収型偏光層(Y)の厚みが1μmであった。評価結果を表1に示す。
比較例1において、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をwet厚み80μmにて、前記の如く作製した輝度向上フィルムの原反Aのコロナ処理面にコーティングした以外は比較例1と同様にして目的の光学積層体を得た。
得られた積層体の厚みを測定したところ、輝度向上層(X)の厚みが132μm、吸収型偏光層(Y)の厚みが1.5μmであった。評価結果を表1に示す。
ポバールPVA124(クラレ社製:重合度2400)を濃度12wt%となるよう水に溶解し、80℃で一晩攪拌し、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を調製した。その後、不溶物をろ過した後、wet厚み200μmにて、前記の如く作製した輝度向上フィルムの原反Bのコロナ処理面にコーティングし、50℃のオーブンにて1時間乾燥した。その後、得られたシートを切り出して、90°傾けた後、予熱温度145℃(予熱時間32秒)、延伸温度130℃(延伸時間32秒)、熱処理温度130℃(熱処理時間32秒)に昇温したテンターに通紙し、MDに6倍延伸した。次に、アイランド工業社製二軸延伸機を用いて、炉内温度130℃、延伸速度5mm/secにて、輝度向上フィルムのMD方向に5倍延伸した。
得られた積層体を、固定具にて固定した状態で60℃の温水に15秒浸漬し、その後、水100質量部に対してヨウ素0.1部、ヨウ化カリウム5部に調製した水溶液に1分間、室温にて浸漬した。さらに、積層体を、固定具にて固定した後、水100質量部に対してヨウ化カリウム6部、ホウ酸7.5部に調製した水溶液に5分間、65℃で浸漬した。その後、純水に20秒間浸漬して洗浄した後、水滴を除去し、50℃のオーブンにて5分間乾燥し、目的の光学積層体を得た。
ポリビニルアルコール系樹脂として、JC−40(日本酢ビ・ポバール社製、重合度4000)を用いて水溶液を調製した。濃度が8wt%となるようにJC−40と水を混合し、90℃で2時間攪拌し、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を調製した。その後、不溶物をろ過した後、wet厚み100μmにて、輝度向上フィルムの原反にコーティングし、50℃のオーブンにて1時間乾燥した。その後、アイランド工業社製二軸延伸機を用いて、炉内温度130℃、延伸速度5mm/secにて、輝度向上フィルムのMD方向に、6倍延伸した。得られた積層体を、水100質量部に対し、ヨウ素0.05部、ヨウ化カリウム5部に調製した水溶液に1分間、室温にて浸漬した。さらに、積層体を固定具にて固定した後、水100質量部に対し、ヨウ化カリウム6部、ホウ酸7.5部に調製した水溶液に5分間、65℃で浸漬した。その後、純水に20秒間浸漬して洗浄した後、水滴を除去し、50℃のオーブンにて5分間乾燥し、目的の光学積層体を得た。
得られた積層体の厚みを測定したところ、輝度向上層(X)の厚みが130μm、吸収型偏光層(Y)の厚みが8μmであった。評価結果を表1に示す。
比較例3において、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、JC−33(日本酢ビ・ポバール社製、重合度3300)を用いて調製した以外は、比較例3と同様にして目的の光学積層体を得た。評価結果を表1に示す。
前記の如く作製した輝度向上フィルムの原反Aを、アイランド工業社製二軸延伸機を用いて、炉内温度130℃、延伸速度5mm/secにて、輝度向上フィルムのMD方向に、5倍延伸し、吸収型偏光層が積層されていない輝度向上フィルムを得た。
得られた輝度向上フィルムの厚みは130μmであった。評価結果を表1に示す。
比較例3において、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、JMR−10HH(日本酢ビ・ポバール社製、重合度200)を用いて調製した以外は、比較例3と同様にして目的の光学積層体を得た。評価結果を表1に示す。
また、接着層や粘着層を有していないことから、気泡などの外観不良もなく、接着層や粘着層に起因する光の位相ずれのない、液晶表示装置に組み込む場合に優れた光学積層体となり得ることが分かった。
さらに、吸収型偏光層(Y)の主成分であるポリビニルアルコールの重合度が1000以上であることにより、塗工時の液流れや塗りムラが低減でき、塗布厚みを薄くしても液はじきが生じないため、良好な外観の光学積層体が得られた。
なかでも、輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)の厚みの比を本発明の規定する範囲に調整することにより、カールの抑制された光学積層体が得られた。
Claims (10)
- 輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)とを少なくとも1層以上含む光学積層体の製造方法であって、当該輝度向上層(X)と当該吸収型偏光層(Y)は、共押出によって積層された後に1軸方向に共延伸することにより、当該輝度向上層(X)と当該吸収型偏光層(Y)の偏光方向を同方向にすることを特徴とする光学積層体の製造方法。
- 輝度向上層(X)と吸収型偏光層(Y)とを少なくとも1層以上含む光学積層体の製造方法であって、当該輝度向上層(X)に当該吸収型偏光層(Y)が塗布された後に、1軸方向に共延伸することにより、当該輝度向上層(X)と当該吸収型偏光層(Y)の偏光方向を同方向にすることを特徴とする光学積層体の製造方法。
- 前記輝度向上層(X)と前記吸収型偏光層(Y)とを、接着層または粘着層を介することなく隣接して積層することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学積層体の製造方法。
- 前記輝度向上層(X)は、散乱型偏光層(X1)または多層型偏光層(X2)である請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層体の製造方法。
- 前記散乱型偏光層(X1)は、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含有し、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有してなる請求項4に記載の光学積層体の製造方法。
- 前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)及び前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)のうちの少なくとも一方が、イソソルビドから誘導されるジオール残基を有するポリエステル系樹脂である請求項5に記載の光学積層体の製造方法。
- 前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)が共にポリエステル系樹脂であり、かつ、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)が異なる種類のポリエステル系樹脂である請求項5に記載の光学積層体の製造方法。
- 前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)において、一方がイソソルビドから誘導されるジオール残基を有するポリエステル系樹脂であり、もう一方がポリエチレンナフタレート系樹脂である請求項5に記載の光学積層体の製造方法。
- 吸収型偏光層(Y)は、ヨウ素または二色性染料を含有するポリビニルアルコールを主成分とする層である請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学積層体の製造方法。
- 前記ポリビニルアルコールの重合度が1000以上8000以下であることを特徴とする請求項9に記載の光学積層体の製造方法。
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