JP5487759B2 - フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はフィルムに関し、特に偏光板保護フィルムとして用いて好適なフィルムに関する。
液晶表示装置などの表示装置には、偏光板、位相差板等の様々な光学素子が設けられる。このような光学素子の中にはフィルムにより構成されているものがある(特許文献1〜5参照)。
また、特許文献6〜8に記載のような技術も知られている。
特開2000−169521号公報 特開2001−48924号公報 特開2002−105151号公報 特開2003−114329号公報 特開2002−53631号公報 特開平1−317728号公報 特開2002−47311号公報 特開2002−60447号公報
ところで、光学素子の中でも偏光板には、通常、偏光板保護フィルムが設けられる。この偏光板保護フィルムには、その面内の位相差(レターデーションともいう。)が小さいことと、耐衝撃性に優れることとの両方が求められる。
しかしながら、従来の技術では、フィルムの製造過程において位相差が容易に発現する傾向があり、その面内の位相差が小さいことと、耐衝撃性に優れることとの両方を達成するフィルムの実現が困難であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その面内の位相差が小さく、且つ、耐衝撃性に優れるフィルムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し目的を達成するため、本発明者は鋭意検討した結果、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックとジエン化合物水素化物ブロックとを、所定の重量比で所定のブロック数以上含み、そのポリマー鎖の一端が芳香族ビニル化合物水素化物ブロックであるブロック共重合体を含む層が、面内の位相差Reが小さく且つ耐衝撃性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔5〕を要旨とするものである。
〔1〕ビニル脂環式炭化水素重合体を含む層Aを有するフィルムであって、前記ビニル脂環式炭化水素重合体は、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックとジエン化合物水素化物ブロックとを合計3ブロック以上有し、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックの含有率が82重量%〜90重量%、ジエン化合物水素化物ブロックの含有率が10重量%〜18重量%であり、少なくともポリマー鎖の一端以上は芳香族ビニル化合物水素化物ブロックからなり、その面内の位相差が1nm以下であるフィルム。
〔2〕前記層Aに積層される層Bをさらに備え、前記層Bは、前記ビニル脂環式炭化水素重合体および微粒子を含む層であり、前記微粒子の数平均粒子径が0.01μm〜1.0μmであり、前記層Bにおける前記ビニル脂環式炭化水素重合体に対する微粒子の重量比が0.01%〜5.00%である、〔1〕記載のフィルム。
〔3〕ビニル脂環式炭化水素重合体を含む層Aと、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、水素化ノルボルネン重合体、及び、メタクリル酸エステル系重合体からなる群より選ばれるいずれか1種類以上の材料を含む層Cとを有するフィルムであって、前記ビニル脂環式炭化水素重合体は、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックとジエン化合物水素化物ブロックとを合計3ブロック以上有し、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックの含有率が82重量%〜90重量%、ジエン化合物水素化物ブロックの含有率が10重量%〜18重量%であり、少なくともポリマー鎖の一端以上は芳香族ビニル化合物水素化物ブロックからなり、前記ビニル脂環式炭化水素重合体を含む樹脂と、前記材料を含む樹脂とを共押し出しして得られる、フィルム。
〔4〕前記層Aが紫外線吸収剤を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のフィルム。
〔5〕延伸フィルムである、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のフィルム。
本発明のフィルムは、その面内の位相差が小さく、且つ、耐衝撃性に優れる。
以下、例示物や実施形態を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に挙げる例示物や実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、以下の説明において、層Aの符号「A」、層Bの符号「B」、層Cの符号「C」、メタクリル酸エステル(M1)の符号「(M1)」、アクリル酸エステル(M2)の符号「(M2)」、ビニル基を有する化合物(M3)の符号「(M3)」、メタクリル酸エステル(M4)の符号「(M4)」、及び、ビニル基を有する化合物(M5)の符号「(M5)」は、いずれもその符号が付された構成要素を他の構成要素から区別するために付した符号であり、構成要素の区別以外の意味を有するものではない。
[1.フィルムの構成]
[1−1.ビニル脂環式炭化水素重合体]
(1)ビニル脂環式炭化水素重合体の構造
本発明のフィルムは、少なくとも、ビニル脂環式炭化水素重合体を含む層Aを備える。層Aに含まれるビニル脂環式炭化水素重合体は、少なくとも、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックと、ジエン化合物水素化物ブロックとを有するブロック共重合体である。
芳香族ビニル化合物水素化物ブロックは、芳香族ビニル化合物を重合した後で、その不飽和結合を水素化して得られる重合物の繰り返し単位と同様の構造を有する繰り返し単位からなるブロックのことを指し、例えば以下の構造式(1)で表される繰り返し単位からなるブロックのことを指す。ただし、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックは、その構造が前記のようになっていれば、その製造方法については問わない。
Figure 0005487759
構造式(1)において、Rは脂環式炭化水素基を表す。Rの例を挙げると、シクロヘキシル基等のシクロヘキシル基類;デカヒドロナフチル基類等が挙げられる。
構造式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、又は、極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基を表す。中でもR、R及びRとしては、耐熱性、低複屈折性及び機械強度等の観点から水素原子及び炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基であることが好ましい。鎖状炭化水素基としては飽和炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
芳香族ビニル化合物水素化物ブロックの分子量は、通常1000以上、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上であり、通常100000以下、好ましくは90000以下、より好ましくは80000以下である。芳香族ビニル化合物水素化物ブロックの分子量が前記範囲の下限以上となることによりフィルムの弾性率が向上するという利点が得られ、また、上限以下となることによりフィルムの耐衝撃性が向上するという利点が得られる。また、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックが複数ある場合には、各ブロックの分子量を上記範囲の値とすることができる。この場合において、各ブロックの分子量は同じでもよいし、異なっていてもよい。
芳香族ビニル化合物水素化物ブロックの繰り返し単位の例を挙げると、以下のような例が挙げられる。なお、以下の例示物において立体異性体を有するものは、そのいずれの立体異性体も使用することができる。また、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックの繰り返し単位は、1種類だけも用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。さらに、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックも、1種類だけも用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
Figure 0005487759
ビニル脂環式炭化水素重合体中に含まれる芳香族ビニル化合物水素化物ブロックの含有率は、82重量%以上、好ましくは84重量%以上であり、90重量%以下、好ましくは88重量%以下である。芳香族ビニル化合物水素化物ブロックの含有率がこの範囲を外れると、層Aにおいて面方向の位相差Reが大きくなる傾向がある。
ビニル脂環式炭化水素重合体のポリマー鎖においては、少なくともそのポリマー鎖の末端のうちの一端、好ましくは複数の末端が、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックからなる。これにより、耐衝撃性を向上させることができる。なお、ポリマー鎖の末端が芳香族ビニル化合物水素化物ブロックからなることは、NMR法により確認できる。
ジエン化合物水素化物ブロックは、ジエン化合物を重合した後で、その得られた重合物が不飽和結合を有していればその不飽和結合を水素化して得られる重合物の繰り返し単位と同様の構造を有する繰り返し単位からなるブロックのことを指す。中でも、ジエン化合物水素化物ブロックは、共役ジエン化合物を重合した後で、その不飽和結合を水素化して得られる重合物の繰り返し単位と同様の構造を有する繰り返し単位からなるブロックであることが好ましい。その例を挙げると、例えば以下の構造式(2)又は構造式(3)で表される繰り返し単位からなるブロックが挙げられる。ただし、ジエン化合物水素化物ブロックは、その構造が前記のようになっていれば、その製造方法については問わない。
Figure 0005487759
構造式(2)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、又は、極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基を表す。中でもR〜Rとしては、耐熱性、低複屈折性及び機械強度等の観点から水素原子及び炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基であることが好ましい。鎖状炭化水素基としては飽和炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
Figure 0005487759
構造式(3)において、R10〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、又は、極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基を表す。中でもR10〜R15としては、耐熱性、低複屈折性及び機械強度等の観点から水素原子及び炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基であることが好ましい。鎖状炭化水素基としては飽和炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
ジエン化合物水素化物ブロックの分子量は、通常500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上であり、通常50000以下、好ましくは30000以下、より好ましくは20000以下である。ジエン化合物水素化物ブロックの分子量が前記範囲の下限以上となることにより耐衝撃性が向上するという利点が得られ、また、上限以下となることにより弾性率が向上するという利点が得られる。また、ジエン化合物水素化物ブロックが複数ある場合には、各ブロックの分子量を上記範囲の値とすることができる。この場合において、各ブロックの分子量は同じでもよいし、異なっていてもよい。
ジエン化合物水素化物ブロックの繰り返し単位の例を挙げると、以下のような例が挙げられる。なお、以下の例示物において立体異性体を有するものは、そのいずれの立体異性体も使用することができる。また、ジエン化合物水素化物ブロックの繰り返し単位は、1種類だけも用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。さらに、ジエン化合物水素化物ブロックも、1種類だけも用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
Figure 0005487759
ビニル脂環式炭化水素重合体中に含まれるジエン化合物水素化物ブロックの含有率は、10重量%以上、好ましくは12重量%以上であり、18重量%以下、好ましくは16重量%以下である。ジエン化合物水素化物ブロックの含有率がこの範囲を外れると、層Aにおいて面方向の位相差Reが大きくなる傾向がある。
ビニル脂環式炭化水素重合体は、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックとジエン化合物水素化物ブロックとを、合計で3ブロック以上有する。芳香族ビニル化合物水素化物ブロックとジエン化合物水素化物ブロックとを合計で3ブロック以上有することにより、耐衝撃性を高めることが可能となる。また、通常は層Aの耐熱性を高めることもできる。一方、上限は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは5ブロック以下であり、より好ましくは4ブロック以下である。ブロック数が多すぎると耐衝撃性が低下する傾向があるためである。
ビニル脂環式炭化水素重合体は、本発明の効果を著しく損なわない限り、前記の芳香族ビニル化合物水素化物ブロックおよびジエン化合物水素化物ブロック以外にその他のブロックを有していても良い。ただし、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点からは、その他のブロックは少ないことが好ましい。ビニル脂環式炭化水素重合体が含んでいてもよいその他のブロックの具体的な含有率はフィルムの用途等により一様ではないが、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下であり、含まないことが特に好ましい。
ビニル脂環式炭化水素重合体の重量平均分子量Mwは、通常50,000以上、好ましくは55,000以上、より好ましくは60,000以上であり、通常100,000以下、好ましくは90,000以下、より好ましくは80,000以下である。重量平均分子量Mwが前記範囲の下限以上となることによりフィルムの耐衝撃性を向上させることができ、上限以下となることにより重合体の粘度を低めて成形性を高めることができる。
ビニル脂環式炭化水素重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、通常2以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下である。これにより、重合体粘度を低めて成形性を高めることができる。
ビニル脂環式炭化水素重合体のガラス転移温度Tgは、通常110℃以上、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上であり、通常150℃以下、好ましくは148℃以下、より好ましくは145℃以下である。ビニル脂環式炭化水素重合体のガラス転移温度が前記範囲の下限以上であることによりフィルムの耐熱性が向上するという利点が得られ、上限以下であることにより加工温度を下げて成形性を高めるという利点が得られる。なお、ビニル脂環式炭化水素重合体のガラス転移温度Tgは、複数のガラス転移温度が見られる場合には、高いほうの数値を採用することができる。
ビニル脂環式炭化水素重合体の引張弾性率は、通常1,500MPa以上、好ましくは1,600MPa以上であり、通常2,500MPa以下、好ましくは2,200MPa以下である。ビニル脂環式炭化水素重合体の引張弾性率が前記範囲の下限以上であることによりフィルムにした際に腰が得られるという利点が得られ、上限以下であることによりフィルムの耐衝撃性が向上するという利点が得られる。
(2)ビニル脂環式炭化水素重合体の製造方法
ビニル脂環式炭化水素重合体の製造方法に制限は無いが、例えば、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックおよびジエン化合物水素化物ブロックそれぞれに対応する単量体を用意し、これをブロック重合させて重合体を得て、得られた重合体の水素化を行うようにすればよい。
芳香族ビニル化合物水素化物ブロックに対応する単量体の例を挙げると、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン等のスチレン類;ビニルシクロヘキサン、3−メチルイソプロペニルシクロヘキサン等のビニルシクロヘキサン類;4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン等のビニルシクロヘキセン類;などが挙げられる。
なお、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックに対応する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
一方、ジエン化合物水素化物ブロックに対応する単量体の例を挙げると、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及び1,3−ヘキサジエン等の鎖状共役ジエン類などが挙げられる。
なお、ジエン化合物水素化物ブロックに対応する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合には、通常、アニオン重合を採用できる。
また、重合は、塊状重合や、溶液重合等のいずれで行ってもよい。中でも、重合反応と水素化反応とを連続して行うためには、溶液重合が好ましい。
重合の反応溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。中でも脂肪族炭化水素類及び脂環式炭化水素類を用いると、水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用することができ、好ましい。
なお、反応溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
反応溶媒は、通常、全単量体100重量部に対して200〜10,000重量部となるような割合で用いられる。
重合の際、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム等のモノ有機リチウム;ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオー2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物;などが挙げられる。なお、重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
それぞれの重合体ブロックを重合する際には、各ブロック内で、ある1成分の連鎖が過度に長くなることを防止するために、重合促進剤及びランダマイザーなどを使用することができる。例えば重合をアニオン重合により行う場合には、ルイス塩基化合物などをランダマイザーとして使用できる。ルイス塩基化合物の具体例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合温度は重合が進行する限り制限は無いが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。
重合後は、例えばスチームストリッピング法、直接脱溶媒法、アルコール凝固法等の公知の方法で重合体を回収できる。また、重合時に水素化反応に不活性な溶媒を反応溶媒として用いた場合は、重合溶液から重合体を回収せず、そのまま水素化工程に供することができる。
重合体の水素化方法に制限は無く、例えば適切な水素化触媒を用いて行えばよい。例えば、有機溶媒中で、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む水素化触媒を用いて行えばよい。なお水素化触媒は、不均一系触媒、均一系触媒のいずれも使用可能である。また、水素化触媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
不均一系触媒は、金属または金属化合物のままで用いてもよく、適切な担体に担持させて用いてもよい。担体の例を挙げると、活性炭、シリカ、アルミナ、炭化カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、炭化珪素等が挙げられる。担体における触媒の担持量は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下である。
均一系触媒は、例えば、ニッケル、コバルト、チタン又は鉄の化合物と有機金属化合物(例えば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物)とを組み合わせた触媒;ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体触媒;などが挙げられる。ニッケル、コバルト、チタン又は鉄の化合物としては、例えば、各種金属のアセチルアセトン塩、ナフテン酸塩、シクロペンタジエニル化合物、シクロペンタジエニルジクロロ化合物等が挙げられる。また、有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム;ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウム;などが挙げられる。
有機金属錯体触媒の例としては、例えば、上記各金属のγ−ジクロロ−π−ベンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体、ヒドリド−クロロ−トリフェニルホスフィン)錯体等の金属錯体が挙げられる。
水素化触媒の使用量は、重合体100重量部に対して、通常0.01重量部以上、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、通常100重量部以下、好ましくは50重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。
水素化反応の際の反応温度は、通常10℃〜250℃であるが、水素化率を高くでき、且つ、重合体鎖切断反応を小さくできるという理由から、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。また、反応時の圧力は、通常0.1MPa〜30MPaであるが、上記理由に加え、操作性の観点から、好ましくは1MPa以上、より好ましくは2MPa以上であり、好ましくは20MPa以下、より好ましくは10MPa以下である。
水素化率は、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。水素化率を高くすることにより、ビニル脂環式炭化水素重合体の低複屈折性及び熱安定性等を高めることができる。なお、水素化率はH−NMRにより測定できる。
[1−2.層A]
(1)層Aの組成
本発明のフィルムが備える層Aは、少なくともビニル脂環式炭化水素重合体を含む層である。層Aは、ビニル脂環式炭化水素重合体を、1種類だけ含んでいてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含んでいてもよい。
また、層Aは紫外線吸収剤を含んでいてもよい。これにより、本発明のフィルムは紫外線に対する耐性を獲得することができる。このため、例えば偏光板保護フィルム等の光学フィルムとして本発明のフィルムを用いる場合、本発明のフィルム及びこのフィルムに保護される偏光板等の保護対象を、紫外線による劣化から保護することが可能となる。
紫外線吸収剤のとしては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤などが使用可能であり、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤が好ましい。中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン;トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール;ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、2,4−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート;等が好適に用いられる。これらの中でも、特に2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)が好ましい。なお、紫外線吸収剤は、1種類で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
層Aに紫外線吸収剤を含有させる方法としては、例えば、紫外線吸収剤を予めビニル脂環式炭化水素重合体と混合する方法;紫外線吸収剤を高濃度に含有するマスターバッチを用いる方法;溶融押出成形時に直接供給する方法などが挙げられる。
ただし、層A中の紫外線吸収剤の濃度は、0.5重量%以上が好ましく、1.0重量%以上がより好ましく、8.0重量%以下が好ましい。紫外線吸収剤の濃度を前記の範囲に収めることにより、本発明のフィルムの色調を悪化させること無く紫外線を効率的に遮断することができる。紫外線吸収剤の濃度が前記範囲の下限未満であると、波長370nm及び380nmにおける光線透過率が大きくなり、本発明のフィルムを偏光板保護フィルムとして使用した場合に偏光板の偏光度が低下する可能性がある。一方、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限を超えると、短波長側の光線透過率が小さくなり、フィルムの黄色味が強くなりすぎる可能性がある。
また、層Aにおける紫外線吸収剤の濃度のばらつきは、全面で±0.1重量%以内であることが好ましい。これにより、初期フィルムの色調ムラがなく、また、長期使用後の紫外線による劣化が均一に起こり、本発明のフィルムを液晶表示装置に実装したときに色調ムラが起こりにくくなる。層Aにおける紫外線吸収剤の濃度のばらつきが全面で±0.1重量%を超えると、色調のムラがはっきりと視認でき、色調不良となる可能性がある。また、長期使用後には紫外線による劣化が不均一となり、色調不良が更に顕著になる可能性がある。
なお、層Aにおける紫外線吸収剤の濃度のばらつきは以下の手順で測定する。まず分光光度計によりフィルムの紫外線透過率を測定する。次に、接触式厚み計によりフィルムの厚さを測定する。次いで、もしフィルムに層A以外の層があれば、測定部の断面を光学顕微鏡により観察し、層Aと層A以外の層との厚さの比を求め、層Aの厚さを求める。そして、紫外線透過率と層Aの厚さとから紫外線吸収剤の濃度を、下記数式[1]から算出する。
数式[1]:C=−log(0.01T)/K/L
数式[1]において、Cは紫外線吸収剤の濃度(重量%)、Tは光線透過率(%)、Kは吸光係数(−)、Lはフィルムの厚さ(μm)である。
紫外線吸収剤の濃度の測定はフィルムの縦方向及び横方向で一定間隔毎に行い、これらの測定値の算術平均値をとり、これを平均濃度Caveとする。そして、測定した濃度Cの内最大値をCmax、最小値をCminとして、濃度のばらつきは以下の式から算出する。
濃度のばらつき(%) = (Cmin−Cave)/Cave×100、又は、
濃度のばらつき(%) = (Cmax−Cave)/Cave×100
ここで前記Cmin−CaveおよびCmax−Caveの絶対値が異なる場合は、絶対値の大きいほうを採用する。
層Aにおける紫外線吸収剤の濃度のばらつきを全面で±0.1重量%とするための方法としては、(i)乾燥させたビニル脂環式炭化水素重合体と紫外線吸収剤とを混合させ、次いで、その混合物を押出機に接続されたホッパーへ投入し、単軸押出機へ供給して溶融押出する方法;(2)乾燥機付きホッパーにビニル脂環式炭化水素重合体を投入し、また別の投入口から紫外線吸収剤を投入し、ビニル脂環式炭化水素重合体及び紫外線吸収剤をそれぞれフィーダーで計量しながら二軸押出機へ供給して溶融押出する方法;などが挙げられる。
また、層Aは、本発明の効果を著しく損なわない限り、ビニル脂環式炭化水素重合体及び紫外線吸収剤以外の成分を含む層であってもよい。そのような成分の例を挙げると、無機微粒子;酸化防止剤、熱安定剤、近赤外線吸収剤等の安定剤;滑剤、可塑剤等の樹脂改質剤;染料や顔料等の着色剤;帯電防止剤などが挙げられる。これらその他の成分は、1種類が含まれていても良く、2種類以上が任意の比率及び組み合わせで含まれていてもよい。ただし、本発明の効果を顕著に発揮させる観点からは、その他の成分の量は少ないことが好ましい。その他の成分の具体的な量は本発明のフィルムの用途や層Aの厚さ等にもよるが、例えばビニル脂環式炭化水素重合体100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましく、3重量部以下が更に好ましい。中でも、その他の成分は含まないことが特に好ましい。
(2)層Aの寸法
層Aの厚さは、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、通常35μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下である。層Aの厚さを前記範囲の下限以上にすることで偏光板保護フィルムとして使用した際に偏光板の破損防止などハンドリング性が向上するという利点があり、上限以下にすることで偏光板を薄くすることができるという利点がある。
層Aの厚さのばらつきは全面で±1μm以内であることが好ましい。層Aの厚さのばらつきが全面で±1μm以内であることにより、本発明のフィルムの色調のばらつきが小さくなる。また、長期使用後の色調変化も均一となるため、長期使用後の色調ムラも起こり難い。
なお、本発明のフィルムが層A以外にも層を有する積層フィルムである場合、層Aの厚さは、市販の接触式厚さ計を用いて、総厚を測定し、厚さ測定部分を切断し断面を光学顕微鏡で観察して、層Aと他の層との厚さ比を求めて、その比率より層Aの厚さを計算する。
層Aの厚さの測定はフィルムの横方向及び縦方向において一定間隔毎に行い、測定した測定値の算術平均値を基準厚さTaveとし、測定した厚さTの内最大値をTmax、最小値をTminとして、厚さのばらつきを以下の式から算出する。
厚さのばらつき(μm)=Tmin−Tave、又は
厚さのばらつき(μm)=Tmax−Tave
ここで前記Tmin−Tave、及びTmax−Taveの絶対値が異なる場合は、絶対値の大きいほうを採用する。
(3)層Aの物性
層Aの面内の位相差Reは、通常1nm以下、好ましくは0.8nm以下、より好ましくは0.5nm以下であり、下限は理想的には0nmである。本発明のフィルムは層Aの面内の位相差Reがこのように小さいため、偏光板等の光学素子の保護フィルムとして好適に用いることができる。
また、層Aの厚さ方向の位相差Rthは、通常1nm以下、好ましくは0.8nm以下、より好ましくは0.5nm以下であり、下限は理想的には0nmである。
層Aの位相差Re,Rthをこのように小さくできる理由は定かではないが、本発明者の検討によれば、以下のような理由によるものと推察される。すなわち、ビニル脂環式炭化水素重合体においては、芳香族ビニル化合物水素化物が負の複屈折性を有し、ジエン化合物水素化物が正の複屈折性を有することから、層Aの製造時に各々のユニットで発現する正・負の位相差が相殺され、層A全体の位相差の発現が抑制されているものと推察される。
なお、層Aの面内の位相差Reは、層Aの面内の主屈折率をnx及びnyとし、層Aの厚さをd(nm)として、Re=|nx−ny|×dで求められる。また、厚さ方向の位相差Rthは、層A全体の面内の主屈折率をnx及びnyとし、厚さ方向の屈折率をnzとし、層Aの厚さをd(nm)とすると、Rth=[{(nx+ny)/2}−nz]×dで求めることができる。これらの位相差Re及びRthは、例えば市販の自動複屈折計を用いて測定することができる。なお、前記の位相差Re及びRthは、波長590nmの光に対する評価とする。
層Aは、通常、透明な層であり可視光線を良好に透過させる。具体的な光線透過率は本発明のフィルムの用途に応じて一様ではないが、波長420〜780nmにおける光線透過率としては、通常85%以上、好ましくは88%以上である。層Aが波長420〜780nmにおいてこのように高い光線透過率を有することにより、本発明のフィルムを液晶表示装置などの表示装置に実装した場合に、特に長期間使用時の輝度低下を抑制できる。
層Aが紫外線吸収剤を含有する場合、層Aの波長250nm〜370nmにおける光線透過率は、0.1%以下が好ましい。下限は、理想的には0%である。層Aがこのように波長250nm〜370nmの紫外線を透過させないことにより、本発明のフィルムは良好な光学素子保護フィルムとして使用することができ、例えば偏光フィルム等の黄変を長期間にわたって防止できる。
なお光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計を用いて測定することができる。
層Aは、耐衝撃性に優れる。このように優れた耐衝撃性を有する理由は定かではないが、本発明者の検討によれば、以下のような理由によるものと推察される。すなわち、ビニル脂環式炭化水素重合体においては、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックとジエン化合物水素化物ブロックとが相分離し、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックの相ドメインの間をジエン化合物水素化物ブロックの相ドメインが繋ぐような構造になっていると推察され、このようなドメイン構造においてはジエン化合物水素化物ブロックがいわば緩衝材のように機能するため、耐衝撃性が向上しているものと推察される。
層Aは、通常は耐熱性に優れる。ビニル脂環式炭化水素重合体が耐熱性に優れるため、それを含む層Aも耐熱性が高いものとなるからである。なお、具体的な耐熱性の程度はビニル脂環式炭化水素重合体の芳香族ビニル化合物ブロックとジエン化合物水素化物ブロックの組成比、分子量及び層Aの厚さ等に応じて設定できるため、フィルムの用途に応じて適切に調整すればよい。
[1−3.層構成]
本発明のフィルムは、層Aを少なくとも1層有する限り、任意の層構成にすることができる。したがって、本発明のフィルムは、例えば、層Aを1層のみを有する単層構造のフィルムであってもよく、層Aを2層以上備える積層構造のフィルムであってもよく、層A以外にも層を1層又は2層以上備える積層構造のフィルムであってもよい。本発明のフィルムが備えてもよい層A以外の層としては、例えば、フィルムの滑り性を良くするマット層、耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層、反射防止層、防汚層等が挙げられる。
ただし、いずれの層構成にする場合であっても、本発明のフィルム自体が、層Aの物性の項で説明した層Aの位相差、光線透過率、耐衝撃性、耐熱性等の優れた物性と同様の物性を有するようにすることが好ましい。したがって、例えば面内の位相差Reに関して言えば、いずれの層構成のフィルムであっても、フィルムの面内の位相差Reは1nm以下となることが好ましい。なお、後述する層構成の第二の例のように、その使用時にフィルムから剥離層(例えば層C)を剥離する場合においては、フィルムから剥離層を剥離した後に残った層の物性が、層Aの物性の項で説明したのと同様の物性を有するようにすることが好ましく、剥離前のフィルムは前記物性を有していなくても構わない。
本発明のフィルムの具体的な層構成は、本発明のフィルムの用途等に応じて設定できるが、中でも好適な層構成の例としては、以下の2例が挙げられる。
(1)層構成の第一の例
まず、本発明のフィルムの層構成の第一の例について説明する。第一の例に係るフィルムは、層Aに加え、少なくとも層Bを備える積層フィルムである。
ここで層Bとは、少なくとも上述したビニル脂環式炭化水素重合体および微粒子を含む層である。層Bがビニル脂環式炭化水素重合体を有することにより、第一の例に係るフィルムは、位相差Reを小さくでき、且つ、耐衝撃性を高めることが可能となっている。また通常は、層Bがビニル脂環式炭化水素重合体を含むことにより層Aとの親和性が高くなるため、層Aと層Bとの接着強度を高めることも可能である。さらに、層Bが微粒子を含むことにより、層Bの表面は滑り性が良好となっているので、フィルムの取り扱い性を改善することが可能である。
層Bに含まれるビニル脂環式炭化水素重合体は、層Aに含まれるビニル脂環式炭化水素重合体と同様である。
層Bに含まれる微粒子は、無機粒子でもよく、有機粒子でもよく、無機材料及び有機材料を組み合わせた複合粒子でもよい。中でも無機粒子が好ましく、特に、金属酸化物の微粒子がより好ましい。その具体例を挙げると、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化珪素、酸化スズ、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化マンガン等が挙げられる。中でも、酸化チタン−酸化ケイ素系の金属酸化物は、屈折率の調整が容易である点から特に好ましい。これらの微粒子は、例えば特開平7−2520公報に記載の手法を用いて製造することができる。なお、微粒子は、1種類のものを用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
層Bに含まれる微粒子の平均粒子径は、通常0.01μm以上、好ましくは0.03μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、通常1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下である。微粒子の平均粒子径を前記範囲の下限以上にすることで、フィルムの滑り性を高めることが可能となる。また、微粒子の平均粒子径を前記範囲の上限以下とすることで、フィルムのヘイズを抑制することができる。
なお微粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により撮影した写真から200個以上の粒子径を計測し、平均値を算出することによって測定できる。
微粒子の屈折率は、通常1.20以上、好ましくは1.30以上、より好ましくは1.40以上、特に好ましくは1.43以上であり、通常1.60以下、好ましくは1.57以下、より好ましくは1.55以下である。微粒子の屈折率をこの範囲に収めることにより、微粒子によるフィルムの透明性の低下を避けることができる。
層Bにおいて、微粒子のビニル脂環式炭化水素重合体に対する重量比は、通常0.01%以上、好ましくは0.03%以上、より好ましくは0.05%以上であり、通常5.00%以下、好ましくは4.00%以下、より好ましくは3.00%以下である。微粒子の前記重量比を前記範囲の下限以上にすることで、フィルムの滑り性を高めることが可能となる。また、微粒子の前記重量比を前記範囲の上限以下とすることで、フィルムの表面に微粒子の脱落による白粉が発生して傷つきが生じたり、層Bの強度が低下したりすることを防止できる。
また、層Bは、本発明の効果を著しく損なわない限り、ビニル脂環式炭化水素重合体及び微粒子以外の成分を含む層であってもよい。ただし、本発明の効果を顕著に発揮させる観点からは、ビニル脂環式炭化水素重合体及び微粒子以外の成分の量は少ないことが好ましい。ビニル脂環式炭化水素重合体及び微粒子以外の成分の具体的な量はフィルムの用途や厚さ等にもよるが、例えばビニル脂環式炭化水素重合体100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましく、3重量部以下が更に好ましい。中でも、ビニル脂環式炭化水素重合体及び微粒子以外の成分は含まないことが特に好ましい。
層Bの厚さは、通常0.5μm以上、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは1.5μm以上であり、通常10.0μm以下、好ましくは8.0μm以下、より好ましくは7.5μm以下である。層Bの厚さを前記範囲の下限以上にすることでフィルムの耐衝撃性を十分に高くすることができ、上限以下にすることでフィルムの位相差を小さく抑制し、且つ、ヘイズを小さくすることができる。なお、層Bの厚さは層Aの厚さと同様にして測定できる。
層Bは、フィルムの少なくとも一方の最表面には位置することが好ましい。微粒子を含む層Bは優れた滑り性を有するので、層Bが最表面に位置することにより、第一の例に係るフィルムも優れた滑り性を発揮できるようになり、フィルムの取り扱い性が向上するからである。
また、層Aと層Bとは、その層界面の少なくとも一部が接着層を介さずに直接に接することが好ましく、その層界面の全体が接着層を介さずに直接に接していることがより好ましい。このように接着層を介することなく層Aと層Bとが直接に積層されていても、層Aと層Bとが共にビニル脂環式炭化水素重合体を含んでいるため、層Aと層Bとは強固に接着されている。したがって、接着剤が不要となることでフィルムの厚みを薄くすることが可能となる。
第一の例に係るフィルムは少なくとも層A及び層Bを有するフィルムであればよい。したがって、第一の例に係るフィルムは、前記の層A及び層Bの2層のみからなる積層フィルムであってもよく、3層以上の層を有する積層フィルムであってもよい。例えば、本発明のフィルムは、前記の層A及び層Bの一方又は両方を2層以上有する積層フィルムであってもよい。この際、層Aは、フィルムの最表面には位置しないことが好ましい。すなわち、層Aの両面には別の層が形成されていることが好ましい。中でも、層Aの両面に層Bが形成されることで、層B、層A及び層Bをこの順に有する積層フィルムとすることが特に好ましい。これにより、層Aに含まれる成分を層Bによって保護することが可能となるからである。中でも、層Bが紫外線吸収剤を含有する場合、フィルムの成形時における紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できることから、特に好ましい。
さらに、第一の例に係るフィルムは、本発明の効果を著しく損なわない限り、層A及び層B以外にその他の層を有していてもよい。なお、その他の層は、1層でもよく、2層以上であってもよい。また、各層は同じでもよく、異なる層であってもよい。また、その他の層の位置は任意に設定できる。
第一の例に係るフィルムは、少なくともその面内の位相差Re、厚み方向の位相差Rth、光線透過率及び耐衝撃性については、層Aのみからなるフィルムと同様である。第一の例に係るフィルムは、層A及び層Bがいずれもビニル脂環式炭化水素重合体を含むため、位相差Reが小さく、且つ、耐衝撃性が小さいため、偏光板保護フィルムとして好適に使用できる。
さらに、第一の例に係るフィルムは層Bを備えるため、層A単独のフィルムと比較して表面の滑り性が向上しており、取り扱い性が良好である。このため、第一の例に係るフィルムはロール状にして保存、運搬などを行いやすく、さらに使用時にロールから引き出しやすくなっている。
(2)層構成の第二の例
次に、本発明のフィルムの層構成の第二の例について説明する。第二の例に係るフィルムは、層Aに加え、少なくとも層Cを備える積層フィルムである。
ここで層Cとは、(i)ポリエステル、(ii)ポリカーボネート、(iii)ポリプロピレン、(iv)水素化ノルボルネン重合体、及び、(v)メタクリル酸エステル系重合体、からなる群より選ばれるいずれか1種類以上の材料等を含む層である。
(i)ポリエステル
ポリエステルとしては、エステル結合による繰り返し単位(以下、適宜「エステル成分」という。)を有する重合体であれば任意のものを使用できる。また、ポリエステルは、1種類の繰り返し単位からなるものを用いてもよく、2種類以上の繰り返し単位を任意の比率で組み合わせてなるものを用いてもよい。さらに、ポリエステルは、エステル成分以外の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。ポリエステルが共重合体である場合には、ポリエステルはランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体でもよく、グラフト共重合体でもよい。ただし、ポリエステルがエステル成分以外の繰り返し単位を有する場合でも、ポリエステルが含むエステル成分の含有率が高いことが好ましく、具体的には、80重量%以上が好ましく、85重量%以上がより好ましい。
ポリエステルの例を挙げると、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。なお、層Cが含むポリエステルは、1種類であってもよく、2種類以上が任意の比率で組み合わせて含まれていてもよい。
ポリエステルの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5000以上、好ましくは10000以上、より好ましくは15000以上であり、通常100000以下、好ましくは80000以下、より好ましくは65000以下である。
また、ポリエステルの融点は、通常210℃以上、好ましくは220℃以上、より好ましくは230℃以上であり、通常280℃以下、好ましくは270℃以下、より好ましくは260℃以下である。
(ii)ポリカーボネート
ポリカーボネートとしては、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)による繰り返し単位(以下、適宜「カーボネート成分」という。)を有する重合体であれば任意のものを使用できる。また、ポリカーボネートは、1種類の繰り返し単位からなるものを用いてもよく、2種類以上の繰り返し単位を任意の比率で組み合わせてなるものを用いてもよい。さらに、ポリカーボネートは、カーボネート成分以外の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。ポリカーボネートが共重合体である場合には、ポリカーボネートはランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体でもよく、グラフト共重合体でもよい。ただし、ポリカーボネートがカーボネート成分以外の繰り返し単位を有する場合でも、ポリカーボネートが含むカーボネート成分の含有率が高いことが好ましく、具体的には、80重量%以上が好ましく、85重量%以上がより好ましい。
ポリカーボネートの例を挙げると、ビスフェノールAポリカーボネート、分岐ビスフェノールAポリカーボネートなどが挙げられる。なお、層Cが含むポリカーボネートは、1種類であってもよく、2種類以上が任意の比率で組み合わせて含まれていてもよい。
ポリカーボネートの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常10000以上、好ましくは30000以上、より好ましくは50000以上であり、通常200000以下、好ましくは180000以下、より好ましくは160000以下である。
また、ポリカーボネートのガラス転移温度は、通常130℃以上、好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上であり、通常190℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下である。
(iii)ポリプロピレン
ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体であってもよく、プロピレン以外の単量体との共重合体であってもよい。ポリプロピレンが共重合体である場合、ポリプロピレンはランダム重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト重合体であってもよい。ただし、ただし、ポリプロピレンが共重合体である場合でも、ポリプロピレンが含むプロピレン由来の繰り返し単位の含有率が高いことが好ましく、具体的には、80重量%以上が好ましく、85重量%以上がより好ましい。なお、層Cが含むポリプロピレンは、1種類であってもよく、2種類以上が任意の比率で組み合わせて含まれていてもよい。
ポリプロピレンの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常10000以上、好ましくは20000以上、より好ましくは25000以上であり、通常200000以下、好ましくは180000以下、より好ましくは150000以下である。
また、ポリプロピレンの融点は、通常100℃以上、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上であり、通常170℃以下、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。
(iv)水素化ノルボルネン重合体
水素化ノルボルネン重合体は、ノルボルネン重合体の水素化物である。ノルボルネン重合体としては、例えば、ノルボルネン単量体の開環重合体、ノルボルネン単量体と共重合可能な単量体との開環共重合体、ノルボルネン単量体の付加重合体、ノルボルネン単量体と共重合可能な単量体との付加共重合体が挙げられる。
中でも、ノルボルネン単量体の開環重合体の水素化物は、耐熱性及び機械的強度が良好であり、特に好適に用いることができる。
ノルボルネン単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(別名ノルボルネン)、トリシクロ[5.2.1.02,7]デカ−3,8−ジエン(別名ジシクロペンタジエン)、テトラシクロ[7.4.110,13.01,9.02,7]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(別名メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン(別名テトラシクロドデセン)、これらの環に置換基を有する誘導体などが挙げられる。置換基としては、例えば、アルキル基、アルキレン基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。なお、置換基は、1個又は2個以上を有することができる。このような誘導体としては、例えば、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン等が挙げられる。なお、ノルボルネン単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン単量体の開環重合体及びノルボルネン単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を開環重合触媒の存在下に重合することにより得られる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウム等の金属のハロゲン化物、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物及び還元剤からなる触媒;チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデン等の金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒;などが挙げられる。
ノルボルネン単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィンなどが挙げられる。なお、これらのノルボルネン単量体と共重合可能な他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン単量体の付加重合体及びノルボルネン単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、例えば、単量体を付加重合触媒の存在下に重合することにより得られる。付加重合触媒としては、例えば、チタン、ジルコニウム、バナジウム等の金属の化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒等が挙げられる。
ノルボルネン単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン、並びにこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン等のシクロオレフィン、並びにこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中で、α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。なお、これらのノルボルネン単量体と共重合可能な他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体は、共重合体中のノルボルネン成分の割合が、30重量%以上であることが好ましく、50重量%であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。
ノルボルネン重合体の水素化物は、例えば、ノルボルネン重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む水素化触媒を含有させ、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得られる。
なお、層Cが含む水素化ノルボルネン重合体は、1種類であってもよく、2種類以上が任意の比率で組み合わせて含まれていてもよい。
水素化ノルボルネン重合体の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算で、通常5,000以上、好ましくは8,000以上、より好ましくは10,000以上であり、通常500,000以下、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下である。
水素化ノルボルネン重合体のガラス転移温度は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上であり、通常250℃以下、好ましくは200℃以下である。
(v)メタクリル酸エステル系重合体
メタクリル酸エステル系重合体は、メタクリル酸エステル(M1)を主成分とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体、及び、メタクリル酸エステルとその他の単量体との共重合体が挙げられる。メタクリル酸エステル(M1)としては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。共重合体とする場合、メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物などが挙げられる。
中でも、メタクリル酸エステル系重合体は、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルと、アクリル酸エステル(M2)と、必要に応じてこれらに共重合可能なビニル基を有する化合物(M3)とを含む単量体の重合により得られる重合体であることが好ましい。
メタクリル酸アルキルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。
アクリル酸エステル(M2)としては、通常アクリル酸アルキルが用いられ、そのアルキル基は、炭素原子数1〜8が好ましい。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。
メタクリル酸アルキル(M1)及び/又はアクリル酸エステル(M2)に共重合可能な、ビニル基を有する化合物(M3)とは、従来からメタクリル重合体の分野で知られている各種単量体が使用できる。例えば、スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル等のビニルシアン化合物などが挙げられる。
なお、これらの単量体は、それぞれ、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
メタクリル酸エステル系重合体は、メタクリル酸エステル(M1)を通常50重量%以上、通常100重量%以下、好ましくは99.9重量%以下、より好ましくは99.5重量%以下と、アクリル酸エステル(M2)を通常0重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、通常50重量%以下と、これらに共重合可能な前記ビニル基を有する化合物(M3)を通常0重量%以上、通常49重量%以下とを、重合させて得られるものが好適である。
なお、層Cが含むメタクリル酸エステル系重合体は、1種類であってもよく、2種類以上が任意の比率で組み合わせて含まれていてもよい。
メタクリル酸エステル系重合体の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常10000以上、好ましくは15000以上、より好ましくは20000以上であり、通常300000以下、好ましくは250000以下、より好ましくは200000以下である。
メタクリル酸エステル系重合体のガラス転移温度は、通常40℃以上、好ましくは60℃以上である。メタクリル酸エステル系重合体のガラス転移温度が低すぎると、フィルムの耐熱性が低くなる可能性がある。なお、ガラス転移温度は、メタクリル酸エステルと共重合される他の単量体の種類と量を変化させることにより、適宜設定できる。また、メタクリル酸メチルの単独重合体のガラス転移温度は約106℃であるので、メタクリル酸エステルとしてメタクリル酸メチルを用いる場合、得られるメタクリル酸エステル系重合体のガラス転移温度は、通常106℃以下となる。
ここで、メタクリル酸エステル系重合体には、所定のゴム粒子を含有するメタクリル酸エステル系重合体組成物も含まれる。メタクリル酸エステル系重合体組成物に含まれる前記ゴム粒子は、平均粒子径が、通常0.05μm以上であり、通常0.3μm以下、好ましくは0.2μm以下であれば、任意のものを用いることができる。ゴム粒子の平均粒子径がこの範囲にあると、フィルムの製膜性が安定するとともに、フィルム自体の柔軟性や取扱い性の面で優れる。ゴム粒子の平均粒子径があまり小さいと、フィルムの柔軟性が低下し、取扱い性が低下する傾向になり、一方、その平均粒子径があまり大きいと、表面平滑性が低下し、透明感が損なわれるおそれがある。
なお、ゴム粒子の平均粒子径は、ゴム粒子をメタクリル重合体と混合してフィルム化し、その断面を酸化ルテニウムにより染色させ、染色された粒子の直径を電子顕微鏡で観察することにより求めることができる。これにより、後述するようにゴム粒子の表面がメタクリル重合体で覆われていた場合でも、ゴム粒子は、外層のメタクリル重合体が、混合するメタクリル重合体と混和して染色されず、架橋構造を有する内層のゴム粒子のみが染色されるので、電子顕微鏡などで観察することで、ゴム粒子の粒子径を求めることができる。
ゴム粒子を構成するゴムとしては、各種の弾性共重合体からなるものを用いることができる。中でも好ましくは、アクリル酸アルキル単量体50〜99.9重量%と、炭素−炭素二重結合を1個有する単官能単量体0〜49.9重量%と、炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する多官能単量体0.1〜10重量%との共重合体が挙げられる。
前記のアクリル酸アルキルとしては、例えば、アルキル基の炭素原子数が1〜8のものが挙げられる。なかでも、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等の、アルキル基の炭素原子数4〜8のものが好ましい。なお、アクリル酸アルキルは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記の炭素−炭素二重結合を一分子中に1個有する単官能化合物としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル;スチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル等のビニルシアン化合物;などが挙げられる。なお、炭素−炭素二重結合を一分子中に1個有する単官能化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記の炭素−炭素二重結合を一分子中に少なくとも2個有する多官能化合物としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート等のグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステル;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリル等の不飽和カルボン酸のアルケニルエステル;フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多塩基酸のポリアルケニルエステル;トリメチロールプロパントリアクリレート等の多価アルコールの不飽和カルボン酸エステル;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。なかでも、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルや多塩基酸のポリアルケニルエステルが好ましい。また、炭素−炭素二重結合を一分子中に少なくとも2個有する多官能化合物は、架橋性を有することが好ましい。なお、炭素−炭素二重結合を一分子中に少なくとも2個有する多官能化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ゴム粒子は、例えば、前記の単量体を乳化重合することにより製造できる。また、その平均粒子径は、乳化重合における乳化剤の量や単量体の仕込み量などを調節することによって調節できる。
さらに、ゴム粒子は、その表面がメタクリル重合体で覆われていてもよい。メタクリル重合体とは、メタクリル酸またはメタクリル酸エステル構造を繰り返し単位として有する樹脂であり、好ましくは、前記のメタクリル酸エステル系重合体と同様のものである。中でもより好ましくは、前記のメタクリル酸エステル(M1)50〜100重量%と、アクリル酸エステル(M2)0〜50重量%と、ビニル基を有する化合物(M3)0〜49重量%とからなる単量体組成物を重合してなるものである。
ゴム粒子の表面がメタクリル重合体で覆われている場合、ゴム粒子の表面にはメタクリル重合体からなる外層が形成される。この外層を含めたゴム粒子の平均粒子径は、好ましくは0.07μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.45μm以下である。なお、ゴム粒子は、メタクリル重合体からなる外層以外にも更に別の層を有していてもよい。
表面がメタクリル重合体で覆われたゴム粒子を製造する場合、ゴム粒子の存在下で、メタクリル重合体の単量体を重合させればよい。これにより、メタクリル重合体の単量体がゴム粒子に対してグラフト共重合され、グラフト鎖を有する架橋弾性共重合体となったゴム粒子を製造することができる。通常、このゴム粒子は、アクリル酸アルキルをゴムの主成分として含む多層構造を有するグラフト共重合体となる。
重合時のメタクリル重合体の単量体の量は、ゴム粒子100重量部に対し、メタクリル重合体の単量体10〜400重量部とすればよい。具体的には、ゴム粒子100重量部の存在下に、メタクリル重合体の単量体を通常10重量部以上、好ましくは20重量部以上、また、通常400重量部以下、好ましくは200重量部以下だけ重合させることにより、メタクリル重合体による重合層をゴム粒子の表面に少なくとも1層結合させた構成にすることができる。メタクリル重合体の単量体の量が上記範囲内であると、ゴム粒子の凝集が生じにくくなり、フィルムとした際の透明性が良好となる。メタクリル重合体の単量体の量が上記範囲から外れると、ゴム粒子を分散させたメタクリル酸エステル系重合体の組成物全体の流動性の低下が起こり、フィルム成膜が困難となるおそれがある。また、この重合の際、反応条件を調節して、ゴム粒子の平均粒子径を所望の範囲となるようにすることができる。
さらに、ゴム粒子は、その内側に芯内層をさらに有し、この芯内層が、メタクリル酸エステル(M4)70〜100重量%と、ビニル基を有する化合物(M5)0〜30重量%との(共)重合体からなることがさらに好ましい。ゴム粒子が3層以上の構造を有すると、フィルムとしたときの弾性率や表面平滑性、表面硬度などの点で、特に好ましい。このように3層以上の構造を有するゴム粒子は、例えば、芯内層を構成する(共)重合体の単量体を重合させ、次に得られる重合体の存在下で上記のゴムを構成する重合体の単量体を重合させ、そうして得られるゴム粒子の存在下でメタクリル重合体の単量体を重合させて製造できる。
前記メタクリル酸エステル(M4)としては、メタクリル酸アルキル、特にメタクリル酸メチルが有利である。任意に用いられるビニル基を有する化合物(M5)としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸エステル;スチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル等のビニルシアン化合物;などが挙げられる。また、前記ビニル基を有する化合物(M5)は、共重合性の架橋性物質であることが好ましい。このような物質としては、前記の炭素−炭素二重結合を一分子中に少なくとも2個有する多官能化合物と同様の化合物を用いることができる。なお、メタクリル酸エステル(M4)及びビニル基を有する化合物(M5)は、それぞれ、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
このような3層構造のゴム粒子は、例えば、特公昭55−27576号公報(米国特許明細書第3,793,402号)に開示されている。特に同公報の実施例3に記載のものは、好ましい組成の一つである。
ゴム粒子を含むメタクリル酸エステル系重合体組成物において、その組成物の全量を100重量%とした場合に、前記ゴム粒子を、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、また、通常80重量%以下、好ましくは35重量%以下、より好ましくは25重量%以下含有する。ゴム粒子の量がこのような範囲であると、フィルムが脆くなることがなくなり、層Cの製膜性を向上させることができたり、層Cを破断させることなく延伸することができたりする。ゴム粒子の量が少なすぎると、層Cの成形が困難になるおそれがあり、またその量が多すぎると、層Cの透明性や表面硬度が損なわれるおそれがある。また、メタクリル酸エステル系重合体の割合は、通常20〜99重量%であるが、メタクリル酸エステル系重合体及びゴム粒子以外の他の添加剤を含む場合は、その割合を適宜調整することができる。
ゴム粒子を含むメタクリル酸エステル系重合体組成物は、その溶融粘度が、通常400Pa・s以上、好ましくは450Pa・s以上であり、通常1000Pa・s以下、好ましくは900Pa・s以下である。ここで、溶融粘度は、温度250℃、剪断速度150sec−1により測定した値をいう。このような溶融粘度を有することにより、延伸を行う場合に破断などが起こりにくくなり、延伸時及び製品の使用時における強度をさらに向上させることができる。
上述した(i)ポリエステル、(ii)ポリカーボネート、(iii)ポリプロピレン、(iv)水素化ノルボルネン重合体、及び、(v)メタクリル酸エステル系重合体のうちから具体的に層Cに含ませる材料を選択する際、層Aを構成するビニル脂環式炭化水素重合体と相溶せず、層Aと層Cとを剥離させやすくするものを選択することが好ましい。具体的には、層Aを構成するビニル脂環式炭化水素重合体の溶解度パラメータと、層Cに含まれる前記材料の溶解度パラメータとの差が、通常1(cal1/2/cm3/2)以上、好ましくは2(cal1/2/cm3/2)以上であるものを選択する。なお、溶解度パラメーターの簡易的な求め方としては、P.A.Smallのモル分子間引力定数を用いることができる。通常、層Cは本発明のフィルムの使用時には剥離されるので、層Aと層Cとを剥がしやすくしておけば前記の剥離が容易となるからである。
層Cは、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した(i)ポリエステル、(ii)ポリカーボネート、(iii)ポリプロピレン、(iv)水素化ノルボルネン重合体、及び、(v)メタクリル酸エステル系重合体以外にその他の成分を含んでいてもよい。ただし、本発明の効果を顕著に発揮させる観点からは、その他の成分の量は少ないことが好ましい。その他の成分の具体的な量はフィルムの用途や厚さ等にもよるが、例えば(i)ポリエステル、(ii)ポリカーボネート、(iii)ポリプロピレン、(iv)水素化ノルボルネン重合体、及び、(v)メタクリル酸エステル系重合体の総重量100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましく、3重量部以下が更に好ましい。中でも、その他の成分は含まないことが特に好ましい。
層Cの厚さは、通常10μm以上、好ましくは12μm以上、より好ましくは15μm以上であり、通常25μm以下、好ましくは23μm以下、より好ましくは20μm以下である。層Cの厚さを前記範囲の下限以上にすることで、剥離後において層Cが破断しにくいなどのハンドリング性が向上する。また、上限以下にすることでフィルム成形時にロールを通過させる際に剥離しなくなる。なお、層Cの厚さは層Aの厚さと同様にして測定できる。
層Aと層Cとは、その層界面の少なくとも一部が接着層を介さずに直接に接することが好ましく、その層界面の全体が接着層を介さずに直接に接していることがより好ましい。層Cはフィルムの使用時にはフィルムから剥離させられるが、通常、前記の層Cは層Aから剥離しやすい性質を有する。このため、使用時に行う層Cの剥離を容易にする観点からは、保存及び運搬の時点では接着層を介することなく層Aと層Cとが直接に積層させて層Aを層Cで保護しておき、使用時には層Cの剥離し易い性質を活用してフィルムから層Cを簡単に剥がすようにすることが好ましい。
層Aと層Cとの剥離のし易さの程度は任意に設定すればよいが、層Aと層Cとの剥離力が、通常1g/cm以上であり、通常100g/cm以下、好ましくは50g/cmとする。剥離が容易であるほど好ましいが、あまり容易に剥離できるとフィルムの搬送時の層間剥離を起こすおそれがあるからである。
また、通常、層Cは層Aに比べて滑り性が良好である。このため、層Cを有することにより第二の例に係るフィルムは取り扱い性が良好となっている。
第二の例に係るフィルムは少なくとも層A及び層Cを有するフィルムであればよい。したがって、第二の例に係るフィルムは、前記の層A及び層Cの2層のみからなる積層フィルムであってもよく、3層以上の層を有する積層フィルムであってもよい。例えば、本発明のフィルムは、前記の層A及び層Cの一方又は両方を2層以上有する積層フィルムであってもよい。この際、層Aは、フィルムの最表面には位置しないことが好ましい。すなわち、層Aの両面には別の層が形成されていることが好ましい。中でも、層Aの両面に層Cが形成されることで、層C、層A及び層Cをこの順に有する積層フィルムとすることが特に好ましい。これにより、層Aを傷等から保護することが可能となるからである。
さらに、第二の例に係るフィルムは、本発明の効果を著しく損なわない限り、層A及び層C以外にその他の層を有していてもよい。なお、その他の層は、1層でもよく、2層以上であってもよい。また、各層は同じでもよく、異なる層であってもよい。また、その他の層の位置は任意に設定できる。
第二の例に係るフィルムは、前記のように、その使用時には、フィルムから層Cを剥離させて使用される。したがって、層Cを剥がした後のフィルムの面内の位相差Re、厚み方向の位相差Rth、光線透過率及び耐衝撃性については、層Aのみからなるフィルムと同様に優れていることが好ましい。通常、層Cを剥がした後の第二の例に係るフィルムには層Aが残り、層Aの優れた性能が発揮されるため、位相差Reが小さく、且つ、耐衝撃性が小さくなり、偏光板保護フィルムとして好適に使用できる。
さらに、第二の例に係るフィルムは、層Cを剥離する以前においては層Cを備えるため、層A単独のフィルムと比較して、表面の滑り性が向上しており、取り扱い性が良好である。このため、第二の例に係るフィルムはロール状にして保存、運搬などを行いやすく、さらに使用時にロールから引き出しやすくなっている。
[2.フィルムの製造方法]
本発明のフィルムの製造方法に特に制限は無く、溶融成形法、溶液流延法のいずれを用いることもできる。溶融成形法は、さらに詳細に、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの方法の中でも、機械強度、表面精度等に優れたフィルムを得るために、押出成形法、インフレーション成形法又はプレス成形法が好ましく、中でも位相差の発現をより確実に抑制しながらも、効率よく簡単に本発明のフィルムを製造できる観点から、押出成形法が特に好ましい。
また、本発明のフィルムを積層フィルムとして製造する場合、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等の共押出成形方法;ドライラミネーション等のフィルムラミネーション成形方法;層Aに対してそれ以外の層を構成する樹脂溶液をコーティングするようなコーティング成形方法などの公知の方法が適宜利用され得る。中でも、製造効率が良く、フィルム中に溶剤などの揮発性成分を残留させないという観点から、共押出成形方法が好ましい。共押出成形法の中でも、共押出Tダイ法が好ましい。さらに共押出Tダイ法にはフィードブロック方式、マルチマニホールド方式が挙げられるが、層Aの厚さのばらつきを少なくできる点でマルチマニホールド方式がさらに好ましい。
例えば、前述した本発明のフィルムの層構成の第一の例に係るフィルムを共押出法により製造する場合、少なくとも、層Aを構成するビニル脂環式炭化水素重合体等を含む樹脂と、層Bを構成するビニル脂環式炭化水素重合体及び微粒子等を含む樹脂とを、共押し出しし、硬化させて成形すればよい。
また、例えば、前述した本発明のフィルムの層構成の第二の例に係るフィルムを共押出法により製造する場合、少なくとも、層Aを構成するビニル脂環式炭化水素重合体等を含む樹脂と、層Cを構成するポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、水素化ノルボルネン重合体、及び、メタクリル酸エステル系重合体等の材料を含む樹脂とを、共押し出しし、硬化させて成形すればよい。
ただし、押出成形(共押し出しを含む)によりフィルムを製造する場合には、押出成形時のダイの設定温度は、ビニル脂環式炭化水素重合体のガラス転移温度Tgを基準として、Tg+100℃以上が好ましく、Tg+110℃以上がより好ましく、また、Tg+135℃以下が好ましく、Tg+130℃以下がより好ましい。ダイの設定温度を前記範囲の下限以上にすることにより層A及びフィルムの位相差の発現をより抑制することができ、また前記範囲の上限以下にすることによりビニル脂環式炭化水素重合体の劣化を安定して防止できる。
さらに、層Aの厚さのばらつきを全面で±1μm以内とするためには、(1)押出機内に目開きが20μm以下のポリマーフィルターを設ける;(2)ギヤポンプを5rpm以上で回転させる;(3)ダイ周りに囲い手段を配置する;(4)エアギャップを200mm以下とする;(5)フィルムを冷却ロール上にキャストする際にエッジピニングを行う;(6)押出機として二軸押出機又はスクリュー形式がダブルフライト型の単軸押出機を用いる;のすべてを行うことが望ましい。前記(1)〜(6)の1つでも実施しないと、層Aの厚さのばらつきを全面で±1μm以内にすることは難しくなる傾向がある。
フィルムの製造方法として溶融押出法を用いる場合には、通常、溶融樹脂はダイの開口部からキャストロール上に共押し出しされ、その後冷却ドラムに接触させられる。冷却ドラムに接触させると溶融樹脂は冷却されて硬化し、フィルムが得られる。溶融樹脂と冷却ドラムとの接触の程度としては、冷却を十分に行う観点から、密着させようにすることが好ましい。溶融樹脂を冷却ドラムに密着させる方法としては、例えば、エアナイフ方式、バキュームボックス方式、静電密着方式などが挙げられる。また、冷却ドラムの数は特に制限されないが、通常は2本以上である。さらに、冷却ドラムの配置方法としては、例えば、直線型、Z型、L型などが挙げられる。またダイの開口部から押出された溶融樹脂の冷却ドラムへの通し方も特に制限されない。
通常、冷却ドラムの温度により、押出された樹脂の冷却ドラムへの密着具合が変化する。冷却ドラムの温度を上げると密着はよくなるが、温度を上げすぎるとフィルムが冷却ドラムから剥がれずに、ドラムに巻きつくおそれがある。そのため、冷却ドラムの温度は、好ましくはダイから押し出す非晶性の樹脂のガラス転移温度をTg(℃)に対して、(Tg+30)℃以下、さらに好ましくは(Tg−5)℃〜(Tg−45)℃の範囲にする。そうすることにより、滑りやキズなどの不具合を防止することができる。
さらに、押出成形により製造された本発明のフィルムは、通常、延伸されて延伸フィルムとされる。延伸する条件は特に制限されないが、延伸温度を層Bまたは層Cのガラス転移温度または融点よりも20℃〜60℃高い温度にし、延伸倍率を1.1倍〜6倍にすることが好ましい。なお、層B又は層Cのガラス転移温度または融点が相違する場合には、高い方の温度を基準とする。延伸方向は、フィルム流れ方向(MD方向)、フィルム幅方向(TD方向)フィルム流れ方向に平行でも直交でもない斜め方向のいずれでも良い。
更に、二軸延伸処理を施すことにより、二軸延伸フィルムとしてもよい。本発明のフィルムの層Aは、二軸延伸処理を施しても位相差Reを発現しにくいという優れた性質を有する。さらに、二軸延伸処理を施すと、層Aは通常は耐衝撃性が向上する。このため、二軸延伸処理により、位相差Reを小さく維持したままで本発明のフィルムの耐衝撃性の向上を図ることができる。
二軸延伸の方式としては、逐次二軸延伸を行ってもよく、同時二軸延伸を行ってもよい。中でも、より生産性が高い方式である同時二軸延伸が好ましい。
同時二軸延伸とは、縦方向の延伸(即ちフィルムの搬送方向に沿った、フィルムの長さの拡張)と、横方向の延伸(即ちフィルムの搬送方向と直角な方向に沿った、フィルムの幅の拡張)とが、少なくともその一部において同時に行われる延伸の態様をいい、好ましくは縦方向と横方向の延伸が、同時に開始され同時に終了する。
同時二軸延伸を行う延伸機は特に限定されず、リニアモーター方式、パンタグラフ方式及びモーター・チェーン駆動方式等の方式のものを用いることができる。中でもパンタグラフ方式の延伸機が、構造が簡易で且つ延伸機を含む製造ライン全体の立ち上げが迅速に行える等の利点のため好ましい。
延伸倍率は、所望の条件に応じて適宜調節することができるが、縦方向及び横方向それぞれ、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上であり、好ましくは2倍以下、より好ましくは1.5倍以下である。この範囲の延伸倍率とすることにより、光学フィルムに適した二軸延伸フィルムを得ることができ、且つフィルムの厚さ及び配向を均一にすることができる。
同時二軸延伸の工程において延伸される未延伸フィルムは、通常、その長さ方向に連続的に供給される。フィルムの幅は特に限定されないが、通常450mm以上、好ましくは1000mm以上であり、通常2000mm以下、好ましくは1500mm以下である。また、フィルムの厚さは、通常40μm以上、好ましくは60μm以上であり、通常400μm以下、好ましくは300μm以下である。
延伸温度は、ビニル脂環式炭化水素重合体のガラス転移温度Tgを基準として、Tg−5(℃)〜Tg+30(℃)が好ましい。さらに、フィルムの延伸を行う領域の温度のムラは、±0.5℃以内に制御することが好ましい。このような温度制御を行うことにより、フィルムの配向を均一なものとすることができる。
このような温度制御を達成する同時二軸延伸機の好ましい構成としては、延伸を行う領域を囲むオーブンを備えることが挙げられる。さらに、当該オーブンは、千鳥配置されたヒーター、各ヒーターに接続されたファン、ファンからの温風をオーブンの上下に振り分けるダクト、並びにダクトからの温風をオーブン内のフィルムへ広範囲に吹き付けるノズルを備えることにより、さらに良好に温度制御を達成することができる。またさらに、オーブン内のフィルム近傍の温度を検出するセンサー、並びにセンサーにより検出されたデータを元にヒーター及びファンの動作を手動又は自動で制御する制御装置などをさらに備えるようにしてもよい。また、センサー及び制御装置からの指示を元にファンからの温風の上下ダクトへの振り分けを手動又は自動で制御する弁等も、必要に応じてさらに備えるようにしてもよい。
さらに、オーブンの加熱手段は、前記ノズルからオーブン内のフィルムへ吹き出される空気中の、埃等の異物を除くための、HEPAフィルター等のフィルターを備えることが好ましい。それにより、より高品質な光学フィルムを製造することができる。
また、オーブン内のフィルムの縦方向への移動速度は、高精度に制御することが好ましい。具体的には、リンク装置を駆動するスプロケットを回転させる駆動装置が、3万分の1の回転精度を有する駆動装置を用いることが好ましい。このような制御を行うことにより、より均一な配向を有するフィルムを製造することができる。
延伸機への未延伸フィルムの供給の態様は特に限定されず、予め調製しておいた未延伸フィルムのロールからフィルムを繰り出して供給することもでき、又は、押出成形したフィルムを引続きインラインで延伸機に連続的に搬送して供給することもできる。特に、後者の場合、製造工程を効率化することができ、且つ製造設備を小型化できるなどの利点があり好ましい。
[3.偏光板]
本発明のフィルムは面内の位相差Reが小さく且つ耐衝撃性に優れるため、光学素子およびその光学素子の保護フィルムとして用いることができる。その例を挙げると液晶表示装置などの表示装置に用いられる部材が挙げられ、その具体例としては偏光板保護フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、透明導電フィルム、タッチパネル用基板、液晶基板、光拡散シート、プリズムシートなどが挙げられる。本発明のフィルムは、中でも偏光板保護フィルムとして用いて好適である。
本発明のフィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板は、本発明のフィルムと、偏光フィルムとを備えて構成される。この際、通常は偏光フィルムの両面に本発明のフィルムを設けるようにする。例えば、偏光フィルムの片面又は両面に、適切な接着剤を介して本発明のフィルムを積層する。
偏光フィルムは任意のものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素などをドープした後、延伸加工したものを用いることができる。また、接着層としては、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルや合成ゴムなどのポリマーをベースポリマーとする粘着剤などが挙げられる。
前記の偏光板には、さらに他の層を設けるようにしてもよい。他の層としては、例えば、反射防止層、ハードコート層、プライマー層;アンカー層;SiOx(x=1.5〜2.0)超微粒子の三次元骨格からなる高均質透明多孔体層(屈折率1.25〜1.46);粘着剤層;防汚層;などが挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、以下の実施例において、量を示す「部」は、特に断らない限り「重量部」を表す。
〔合成例1:実施例1及び3のポリマーの合成〕
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレンモノマー45部、及びジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15重量%含有ヘキサン溶液)0.36部を添加して重合反応を開始した。1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、イソプレンモノマー15部を添加し、さらに1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、スチレンモノマー40部を添加し、さらに1時間重合反応を行った。その後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。
得られたブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=75,100、Mw/Mn=1.11であった。
次いで、上記重合反応溶液400部を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として、シリカ−アルミナ担持型ニッケル触媒(日揮化学工業社製;E22U、ニッケル担持量60%)10部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度160℃、圧力4.5MPaにて8時間水素化反応を行った。
水素化反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去した後、シクロヘキサン800部を加えて希釈し、該反応溶液を3500部のイソプロパノール(クラス1000のクリーンルームで、孔径1μmのフィルターにてろ過したもの)中に注いでブロック共重合体を析出させ、ろ過により分離回収し、80℃にて48時間減圧乾燥させた。得られたブロック共重合体は、スチレン由来の繰り返し単位を含有するブロック(以下、適宜「St」という。)、イソプレン由来の繰り返し単位を含有するブロック(以下、適宜「Ip」という。)とからなる3元ブロック共重合体であり、それぞれのブロックの重量比は、St:Ip:St=45:15:40であった。該ブロック共重合体のMwは68,000、Mw/Mnは1.17、主鎖及び芳香環の水素化率は99.9%、ガラス転移温度Tgは141.5℃であった。
〔合成例2:実施例2のポリマーの合成〕
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレンモノマー45部、及びジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15重量%含有ヘキサン溶液)0.36部を添加して重合反応を開始した。1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、イソプレンモノマー12部を添加し、さらに1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、スチレンモノマー42部を添加し、さらに1時間重合反応を行った。その後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。
得られたブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=103,000、Mw/Mn=1.13であった。
実施例1同様に水素化反応を行った。得られたブロック共重合体は、StとIpとからなる3元ブロック共重合体であり、それぞれのブロックの重量比は、St:Ip:St=45:12:43であった。該ブロック共重合体のMwは92,000、Mw/Mnは1.19、水素化率は99.9%、ガラス転移温度Tgは146.6℃であった。
〔合成例3:実施例4のポリマーの合成〕
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレンモノマー25部、及びジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15重量%含有ヘキサン溶液)0.36部を添加して重合反応を開始した。1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、イソプレンモノマー10部を添加し、さらに1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、スチレンモノマー20部を添加し、さらに1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、イソプレンモノマー5部を添加し、さらに1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、スチレンモノマー20部を添加し、さらに1時間重合反応を行った。その後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。
得られたブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=92,000、Mw/Mn=1.18であった。
実施例1同様に水素化反応を行った。得られたブロック共重合体は、StとIpとからなる5元ブロック共重合体であり、それぞれのブロックの重量比は、St:Ip:St:Ip:St=25:10:20:5:20であった。該ブロック共重合体のMwは88,000、Mw/Mnは1.21、水素化率は99.9%、ガラス転移温度Tgは125.4℃であった。
〔比較合成例1:比較例1のポリマーの合成〕
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレンモノマー40部、及びジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15重量%含有ヘキサン溶液)0.36部を添加して重合反応を開始した。1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、イソプレンモノマー20部を添加し、さらに1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、スチレンモノマー40部を添加し、さらに1時間重合反応を行った。その後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。
得られたブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=103,000、Mw/Mn=1.13であった。
実施例1同様に水素化反応を行った。得られたブロック共重合体は、StとIpとからなる3元ブロック共重合体であり、それぞれのブロックの重量比は、St:Ip:St=40:20:40であった。該ブロック共重合体のMwは72,000、Mw/Mnは1.17、水素化率は99.9%、ガラス転移温度Tgは133.6℃であった。
〔比較合成例2:比較例2のポリマーの合成〕
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレンモノマー50部、及びジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15重量%含有ヘキサン溶液)0.36部を添加して重合反応を開始した。1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、イソプレンモノマー5部を添加し、さらに1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、スチレンモノマー45部を添加し、さらに1時間重合反応を行った。その後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。
得られたブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=98,000、Mw/Mn=1.12であった。
実施例1同様に水素化反応を行った。得られたブロック共重合体は、StとIpとからなる3元ブロック共重合体であり、それぞれのブロックの重量比は、St:Ip:St=50:5:45であった。該ブロック共重合体のMwは82,000、Mw/Mnは1.19、水素化率は99.9%、ガラス転移温度Tgは148.7℃であった。
〔比較合成例3:比較例3のポリマーの合成〕
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレンモノマー85部、及びジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15重量%含有ヘキサン溶液)0.36部を添加して重合反応を開始した。1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、イソプレンモノマー15部を添加し、さらに1時間重合反応を行った。その後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。
得られたブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=102,000、Mw/Mn=1.14であった。
実施例1同様に水素化反応を行った。得られたブロック共重合体は、StとIpとからなる2元ブロック共重合体であり、それぞれのブロックの重量比は、St:Ip=85:15であった。該ブロック共重合体のMwは89,000、Mw/Mnは1.17、水素化率は99.9%、ガラス転移温度Tgは110.3℃であった。
〔比較合成例4:比較例4のポリマーの合成〕
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレンモノマー45部、及びジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15重量%含有ヘキサン溶液)0.36部を添加して重合反応を開始した。1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、スチレンモノマー10部とイソプレンモノマー15部からなる混合モノマー25部を添加し、さらに1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、スチレンモノマー30部を添加し、さらに1時間重合反応を行った。その後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。
得られたブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=83,000、Mw/Mn=1.16であった。
実施例1同様に水素化反応を行った。得られたブロック共重合体は、Stと、スチレン由来の繰り返し単位とイソプレン由来の繰り返し単位とが共存するブロック(以下、適宜「St/Ip」という。)と、Ipとからなる3元ブロック共重合体であり、それぞれのブロックの重量比は、St:St/Ip:St=45:10/15:30であった。該ブロック共重合体のMwは79,000、Mw/Mnは1.16、水素化率は99.9%、ガラス転移温度Tgは138.3℃であった。
〔比較合成例5:比較例5のポリマーの合成〕
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレンモノマー85部とイソプレンモノマー15部とからなる混合モノマー、及びジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15重量%含有ヘキサン溶液)0.36部を添加して重合反応を開始した。1時間重合反応を行った後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。
得られたランダム共重合体の重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=87,000、Mw/Mn=1.15であった。
実施例1同様に水素化反応を行った。得られたランダム共重合体は、StとIpとからなるランダム共重合体であり、StとIpの重量比はSt:Ip=85/15であった。該ランダム共重合体のMwは82,000、Mw/Mnは1.19、水素化率は99.9%、ガラス転移温度Tgは109.7℃であった。
〔実施例1〕
(1)樹脂Aの作製
合成例1で合成したブロック共重合体(ビニル脂環式炭化水素重合体)94重量%に、紫外線吸収剤として2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕5.0重量%と2−(4,6−ジフェニルー1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール1.0重量%を添加し、二軸押出機で混錬し、ストランド状に押出し、ペレタイザーで裁断してビニル脂環式構造含有重合体組成物A(樹脂A)を得た。
(2)樹脂Bの作製
合成例1で合成したブロック共重合体(ビニル脂環式炭化水素重合体)99.5重量%に、微粒子として(株)アドマテックス製シリカビーズ アドマファインSO−C2(粒径0.5μm)を0.5重量%混合して、二軸押出機で溶融混練しビニル脂環式構造含有重合体組成物(樹脂B)を得た。
(3)押出しフィルムの成形
樹脂A及び樹脂Bそれぞれを単軸押出機に供給し共押出成形で積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムは樹脂B/樹脂A/樹脂Bの三層構造を有し、得られた積層フィルムの厚みは5μm/20μm/5μmであった。
〔実施例2〕
ブロック共重合体として合成例2で合成したブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、同様の厚みの積層フィルムを製造した。
〔実施例3〕
(1)押出しフィルムの成形
実施例1と同様にして、樹脂A及び樹脂Bを用意した。
樹脂A、Bそれぞれを単軸押出機に供給し共押出成形で積層フィルムを製造した。得られた積層フィルムは樹脂B/樹脂A/樹脂Bの三層構造を有し、得られた積層フィルムの厚みは6μm/24μm/6μmであった。
(2)二軸延伸処理
得られた積層フィルムを、延伸温度147℃で同時二軸延伸機にて縦1.5倍・横1.15倍の延伸倍率で延伸成形を行った。
得られた積層フィルムの厚みは5μm/20μm/5μmであった。
〔実施例4〕
ブロック共重合体として合成例3で合成したブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、同様の厚みの積層フィルムを製造した。
〔比較例1〕
ブロック共重合体として比較合成例1で合成したブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、同様の厚みの積層フィルムを製造した。
〔比較例2〕
ブロック共重合体として比較合成例2で合成したブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、同様の厚みの積層フィルムを製造した。
〔比較例3〕
ブロック共重合体として比較合成例3で合成したブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、同様の厚みの積層フィルムを製造した。
〔比較例4〕
ブロック共重合体として比較合成例4で合成したブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、同様の厚みの積層フィルムを製造した。
〔比較例5〕
ブロック共重合体の代わりに比較合成例5で合成したランダム共重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、同様の厚みの積層フィルムを製造した。
〔位相差Reの測定〕
自動複屈折計(王子計測機器(株) KOBLA−21ADH)で積層フィルムの幅方向に50mm間隔で1000mmにわたって測定した。全測定結果を平均して、積層フィルムの面内位相差Re値とした。
〔耐衝撃性の測定〕
直径40mmのサイズに積層フィルムを切り出し、5.5gの金属球を高さを変えて落として、フィルムの割れた高さを記録した。
20回繰り返して行い、JIS K7211−01に記載された方法で50%破壊高さを算出した。50%破壊高さが、20cm以上であれば「優」、20cm未満から17cm以上であれば「良」、17cm未満から13cm以上であれば「可」、13cm未満であれば「不良」とした。
〔耐熱試験〕
ポリビニルアルコールのフィルム(平均重合度2400、ケン化度99.9モル%、厚み80μm)にヨウ素を吸着させて得られた偏光子Aの片面に、平均厚み60μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、もう一方の面に粘着剤(日東電工 CS9621)を用いて積層フィルムを貼り合わせてフィルムXを作製した。
得られたフィルムXをA4サイズに切りだし、80℃のオーブン内に100時間放置し、フィルムの寸法変化を測定した。寸法変化が0.5mm以上であれば「不良」とし、0mm以上0.5mm未満を「良」とした。
〔評価結果〕
各実施例及び比較例で製造した積層フィルムの評価結果を、下記表1及び表2に示す。
Figure 0005487759
Figure 0005487759
表1から、本発明の実施例1〜4の積層フィルムはいずれも位相差Reが小さく、耐衝撃性及び耐熱性に優れることがわかる。特に実施例3では、二軸延伸処理を行ったことにより耐衝撃性が顕著に向上していることが分かる。
一方、表2の比較例1,2から、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックであるStの含有率、及び、ジエン化合物水素化物ブロックであるIpの含有率が本発明に係る範囲を外れると、位相差Reが大きくなることが分かる。
また、表2の比較例3から、St及びIpのブロック数が3ブロックに満たないと耐衝撃性が十分には得られないことが分かる。さらに、表2の比較例4から、ジエン化合物水素化物ブロックがスチレンとイソプレンとのランダムコポリマーになっていると、耐衝撃性が十分には得られないことが分かる。したがって、本発明に係るブロック構造を有していなければ耐衝撃性が不足することがわかる。
さらに、表2の比較例5から、重合体をランダム共重合体にすると、位相差Reが大きく、耐衝撃性及び耐熱性のいずれにも劣るフィルムとなることがわかる。
本発明のフィルムは産業上の任意の分野において使用できるが、特に光学素子に係る分野に用いて好適であり、例えば、液晶表示装置等の偏光板の保護フィルムとして好適に使用できる。

Claims (5)

  1. ビニル脂環式炭化水素重合体を含む層Aを有するフィルムであって、
    前記ビニル脂環式炭化水素重合体は、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックとジエン化合物水素化物ブロックとを合計3ブロック以上有し、芳香族ビニル化合物水素化物ブロックの含有率が82重量%〜90重量%、ジエン化合物水素化物ブロックの含有率が10重量%〜18重量%であり、少なくともポリマー鎖の一端以上は芳香族ビニル化合物水素化物ブロックからなり、
    前記フィルムは、前記層Aに積層される層Bをさらに備え、
    前記層Bは、前記ビニル脂環式炭化水素重合体および微粒子を含む層であり、
    前記微粒子の数平均粒子径が、0.01μm〜1.0μmであり、
    前記層Bにおける前記ビニル脂環式炭化水素重合体に対する前記微粒子の重量比が、0.01%〜5.00%であり、
    前記層Aは、前記微粒子を含まず、
    その面内の位相差が1nm以下であるフィルム。
  2. 前記層Aが紫外線吸収剤を含む、請求項1記載のフィルム。
  3. 延伸フィルムである、請求項1又は2記載のフィルム。
  4. 前記層Bが、前記フィルムの最表面に位置する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法であって、
    層Aを構成するビニル脂環式炭化水素重合体を含む樹脂と、層Bを構成するビニル脂環式炭化水素重合体及び微粒子を含む樹脂とを共押し出しすることを含む、製造方法。
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