JP2017177367A - 光学積層体、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学積層体、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の様々な優れた特性を有し、偏光板保護フィルム等の用途に有用に用いうる光学積層体;ならびに当該光学積層体を備え、高い性能を有する偏光板及び表示装置を提供する。【解決手段】第一表面層、基材層及び第二表面層をこの順に備える光学積層体であって、前記第一表面層及び第二表面層のそれぞれの厚さが0.5μm以上2μm以下であり、前記基材層は樹脂(C)からなり、前記第一表面層及び前記第二表面層は樹脂(S)からなり、前記樹脂(S)の、厚み50μmのフィルムの衝撃強度が1.5×10−2J以上であり、前記樹脂(C)の、厚み100μmのフィルムの押込弾性率が1800MPa以上で、且つ前記樹脂(C)の、厚み50μmのフィルムの引張弾性率が2200MPa以上である、光学積層体。【選択図】図1

Description

本発明は光学積層体、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置などの表示装置には、様々な光学フィルムが設けられる。例えば、液晶表示装置は通常偏光板を備え、かかる偏光板は、通常、ポリビニルアルコール等の樹脂により構成された偏光子と、偏光子を保護するための保護フィルムを備える。保護フィルムの材料としては、様々な材料が提案されている。例えば、アクリル樹脂の中間層と、この中間層の両側にそれぞれ設けられる表面層とを備えた複層フィルムの使用が提案されている(特許文献1)。
国際公開第2007/119560号
偏光板保護フィルムには、その表面に傷を生じにくいことが求められ、そのため高い表面硬度が求められる。一方、偏光板保護フィルムはまた、そのハンドリングが容易であることが求められる。具体的には、搬送を容易にする屈曲性、及びクラック等の発生を伴わずに容易に切断を行うことができるトリミング性が求められる。しかしながら、一般的に、高い表面硬度を有するフィルムは、屈曲性及びトリミング性が不良であることが多い。
従って、本発明の目的は、高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の様々な優れた特性を有し、偏光板保護フィルム等の用途に有用に用いうる光学積層体;ならびに当該光学積層体を備え、高い性能を有する偏光板及び表示装置を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために検討を行い、特に、高い表面硬度を有する基材層と、その両面に設けられた、高い屈曲性を有する表面層とを備える、多層フィルムについて検討を行った。一般的に、高い表面硬度を有する基材層に、高い屈曲性を有する表面層を積層すると、高い表面硬度が得られなくなる。したがって、そのような多層フィルムを各種の特性に優れた光学積層体とすることは困難であった。しかしながら、本発明者がさらに検討を行ったところ、そのような多層フィルムにおいて、基材層及び表面層を構成する樹脂として特定の物性を有するものを採用し、且つ表面層を所定の薄い厚みのものとすることにより、高い表面硬度、高い屈曲性、及び高いトリミング性の全てを備えた光学積層体を構成することができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき完成したものである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 第一表面層、基材層及び第二表面層をこの順に備える光学積層体であって、
前記第一表面層及び第二表面層のそれぞれの厚さが0.5μm以上2μm以下であり、
前記基材層は樹脂(C)からなり、
前記第一表面層及び前記第二表面層は樹脂(S)からなり、
前記樹脂(S)の、厚み50μmのフィルムの衝撃強度が1.5×10−2J以上であり、
前記樹脂(C)の、厚み100μmのフィルムの押込弾性率が1800MPa以上で、且つ
前記樹脂(C)の、厚み50μmのフィルムの引張弾性率が2200MPa以上である、
光学積層体。
〔2〕 前記基材層の厚みが50μm以下である、〔1〕に記載の光学積層体。
〔3〕 前記基材層の厚みtに対する前記第一表面層の厚みtの比t/tおよび前記基材層の厚みtに対する前記第二表面層の厚みtの比t/tが、いずれも0.01以上0.04以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の光学積層体。
〔4〕 JISK7129 B−1992で測定した水蒸気透過率が20g/m・24h以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の光学積層体。
〔5〕 前記樹脂(C)が、重合体を含み、
前記重合体が、前記芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)を有するブロックAと、前記芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)及び前記ジエン化合物水素化物単位(b)を有する共重合ブロックBとを含み、
前記重合体は、1分子当たり2つの前記ブロックAとしてブロックA1およびブロックA2を有し、前記ブロックA1と前記ブロックA2との重量比A1/A2が、60/5〜85/5である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の光学積層体。
〔6〕 軟化温度が135℃以上である、〔5〕に記載の光学積層体。
〔7〕 前記樹脂(C)の、厚み50μmのフィルムの衝撃強度が1.5×10−2J未満である、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の光学積層体。
〔8〕 〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の光学積層体及び偏光子層を備える、偏光板。
〔9〕 〔8〕に記載の偏光板を備える、液晶表示装置。
本発明によれば、高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の様々な優れた特性を有し、偏光板保護フィルム等の用途に有用に用いうる光学積層体;ならびに当該光学積層体を備え、高い性能を有する偏光板及び表示装置が提供される。
図1は、本発明の光学積層体の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、本願におけるフィルムの衝撃強度の測定方法を説明する斜視図である。 図3は、本願におけるフィルムの衝撃強度の測定方法を説明する側面図である。 図4は、光学積層体のトリミング性の評価の操作を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「偏光板」とは、別に断らない限り、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
〔1.光学積層体:概要〕
本発明の光学積層体は、第一表面層、基材層及び第二表面層をこの順に備える。基材層は、以下に説明する特定の樹脂(C)からなる。一方第一表面層及び第二表面層は、特定の厚さを有し、且つ以下に説明する特定の樹脂(S)からなる。
図1は、本発明の光学積層体の一例を模式的に示す断面図である。図1において、光学積層体100は、基材層111、及び基材層111の一方の面側に設けられた第一表面層121、及び基材層111の他方の面側に設けられた第二表面層122を備える。
〔2.樹脂(C)〕
樹脂(C)は、その厚み100μmのフィルムの押込弾性率が1800MPa以上で、且つその厚み50μmのフィルムの引張弾性率が2200MPa以上、好ましくは2250MPa以上である。樹脂(C)としてこのような樹脂を採用し、特定の表面層と特定の態様で組み合わせることにより、高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の様々な優れた特性を有する光学積層体を得ることができる。押込弾性率の上限は特に限定されないが例えば3500MPa以下としうる。引張弾性率の上限は特に限定されないが例えば4000MPa以下としうる。
本願において、フィルムの押込弾性率は、押込弾性率試験機(フィッシャーインスツルメンツ社製、商品名「ピコメーター Hm−500」)を用いて測定しうる。
本願において、フィルムの引張弾性率は、測定対象のフィルムから切り出した矩形の試験片(幅10mm×長さ250mm)について、引張試験機(例えばインストロンジャパン社製の5564型デジタル材料試験機)を用いて所定の条件にて測定された値である。具体的には、試験片をその長辺方向に引っ張って歪ませる際の応力を、JIS K7113に基づき、恒温恒湿槽付き引張試験機を用いて、温度23℃、湿度60±5%RH、チャック間距離115mm、引張速度100mm/minの条件で測定しうる。このような測定を、様々な応力において3回行う。そして、測定された応力とその応力に対応した歪みの測定データから、試験片の歪が0.6%〜1.2%の範囲で0.2%毎に測定データ(即ち、歪みが0.6%、0.8%、1.0%及び1.2%の時の測定データ)を選択し、この選択された3回分の測定データから最小二乗法を用いて、測定対象のフィルムの引張弾性率を計算する。
樹脂(C)としては、上に述べた特定の押込弾性率及び引張弾性率を有し、光学的な用途に用いうる任意の樹脂を用いうる。好ましい例において、樹脂(C)は、以下に述べる特定の重合体を含む。以下の説明においては、かかる特定の重合体を、「重合体X」と呼ぶ場合がある。
〔2.1.芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)及びジエン化合物水素化物単位(b)〕
重合体Xは、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)及びジエン化合物水素化物単位(b)を有する重合体である。樹脂(C)が重合体Xを含むことにより、上記各種の特性を有する光学積層体を容易に得ることができる。
〔2.2.芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)〕
芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)は、芳香族ビニル化合物を重合し、その不飽和結合を水素化して得られる構造を有する繰り返し単位である。ただし、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)は、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
同様に、本願においては、例えばスチレンを重合し、その不飽和結合を水素化して得られる構造を有する繰り返し単位を、スチレン水素化物単位と呼ぶことがある。スチレン水素化物単位も、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)の例としては、以下の構造式(1)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2017177367
構造式(1)において、Rは脂環式炭化水素基を表す。Rの例を挙げると、シクロヘキシル基等のシクロヘキシル基類;デカヒドロナフチル基類等が挙げられる。
構造式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、又は、極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基を表す。中でもR、R及びRとしては、耐熱性、低複屈折性及び機械強度等の観点から水素原子及び炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基であることが好ましい。鎖状炭化水素基としては飽和炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)のより具体的な例としては、下記式(1−1)で表される繰り返し単位が挙げられる。式(1−1)で表される繰り返し単位は、スチレン水素化物単位である。
Figure 2017177367
芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)の例示物において立体異性体を有するものは、そのいずれの立体異性体も使用することができる。芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)は、1種類だけも用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
〔2.3.ジエン化合物水素化物単位(b)〕
ジエン化合物水素化物単位(b)は、ジエン化合物を重合し、その得られた重合物が不飽和結合を有していればその不飽和結合を水素化して得られる構造を有する繰り返し単位である。但し、ジエン化合物水素化物単位(b)は、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
同様に、本願においては、例えばイソプレンを重合し、その不飽和結合を水素化して得られる構造を有する繰り返し単位を、イソプレン水素化物単位と呼ぶことがある。イソプレン水素化物単位も、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
ジエン化合物水素化物単位(b)は、直鎖共役ジエン化合物等の共役ジエン化合物を重合し、その不飽和結合を水素化して得られる構造を有することが好ましい。その例としては、以下の構造式(2)で表される繰り返し単位、及び構造式(3)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2017177367
構造式(2)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、又は、極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基を表す。中でもR〜Rとしては、耐熱性、低複屈折性及び機械強度等の観点から水素原子及び炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基であることが好ましい。鎖状炭化水素基としては飽和炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
Figure 2017177367
構造式(3)において、R10〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、又は、極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基を表す。中でもR10〜R15としては、耐熱性、低複屈折性及び機械強度等の観点から水素原子及び炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基であることが好ましい。鎖状炭化水素基としては飽和炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
ジエン化合物水素化物単位(b)のより具体的な例としては、下記式(2−1)〜(2−3)で表される繰り返し単位が挙げられる。式(2−1)〜(2−3)で表される繰り返し単位は、イソプレン水素化物単位である。
Figure 2017177367
ジエン化合物水素化物単位(b)の例示物において立体異性体を有するものは、そのいずれの立体異性体も使用することができる。ジエン化合物水素化物単位(b)は、1種類だけも用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
〔2.4.重合体X〕
重合体Xは、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)を有するブロックAと、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)及びジエン化合物水素化物単位(b)を有する共重合ブロックBとを含むことが好ましい。さらに、重合体Xは、1分子あたり1つの共重合ブロックBと、その両端に連結された1分子当たり2つのブロックAとを有するトリブロック分子構造を有することが好ましい。
トリブロック分子構造を有する重合体Xは、特に、1分子当たり2つのブロックAとしてブロックA1及びブロックA2を有し、ブロックA1とブロックA2との重量比A1/A2が、特定の範囲内であることが好ましい。A1/A2は、好ましくは40/25〜87/3、より好ましくは55/15〜80/5である。重合体Xがトリブロック分子構造を有し、且つA1/A2がかかる範囲内であることにより、上記各種の特性において優れた光学積層体を容易に得ることができる。
重合体Xにおいては、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)と、ジエン化合物水素化物単位(b)との重量比(a)/(b)が、特定の範囲内であることが好ましい。(a)/(b)は、好ましくは90/10〜95/5である。(a)/(b)がかかる範囲内であることにより、上記各種の特性において優れた光学積層体を容易に得ることができる。
重合体Xの分子量は、好ましくは100,000以上であり、より好ましくは110,000以上である。分子量の上限は、好ましくは150,000以下、より好ましくは140,000以下である。分子量がかかる範囲内、特に前記下限以上の値であることにより、上記各種の特性において優れた光学積層体を容易に得ることができる。ここでいう重合体Xの分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量を採用しうる。
重合体Xの分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、さらにより好ましくは1.2以下である。分子量分布の下限は1.0以上としうる。これにより、重合体粘度を低めて成形性を高めることができる。
ブロックAは、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)のみからなることが好ましいが、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)以外に任意の単位を含みうる。任意の構造単位の例としては、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)以外のビニル化合物に基づく構造単位が挙げられる。ブロックAにおける任意の構造単位の含有率は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
共重合ブロックBは、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)及びジエン化合物水素化物単位(b)のみからなることが好ましいが、これら以外に任意の単位を含みうる。任意の構造単位の例としては、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)以外のビニル化合物に基づく構造単位が挙げられる。ブロックBにおける任意の構造単位の含有率は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
〔2.5.重合体Xの製造方法〕
重合体Xの製造方法は、特に限定されず任意の製造方法を採用しうる。重合体Xは、例えば、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)及びジエン化合物水素化物単位(b)に対応する単量体を用意し、これらを重合させ、得られた重合体を水素化することにより製造しうる。
芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)に対応する単量体としては、芳香族ビニル化合物を用いうる。その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、及び4−フェニルスチレン等のスチレン類;ビニルシクロヘキサン、及び3−メチルイソプロペニルシクロヘキサン等のビニルシクロヘキサン類;並びに4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、及び2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン等のビニルシクロヘキセン類が挙げられる。これらの単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ジエン化合物水素化物単位(b)に対応する単量体の例としては、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及び1,3−ヘキサジエン等の鎖状共役ジエン類挙げられる。これらの単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合の反応様式としては、通常、アニオン重合を採用しうる。また、重合は、塊状重合や、溶液重合等のいずれで行ってもよい。中でも、重合反応と水素化反応とを連続して行うためには、溶液重合が好ましい。
重合の反応溶媒の例としては、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、及びイソオクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、及びデカリン等の脂環式炭化水素類;並びにベンゼン及びトルエン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。中でも脂肪族炭化水素類及び脂環式炭化水素類を用いると、水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用することができ、好ましい。
反応溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
反応溶媒は、通常、全単量体100重量部に対して200〜10,000重量部となるような割合で用いられる。
重合の際、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤の例としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、及びフェニルリチウム等のモノ有機リチウム;並びにジリチオメタン、1,4−ジオブタン、及び1,4−ジリチオー2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物が挙げられる。重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合体Xとして、ブロックA1及びA2並びに共重合ブロックBを含むトリブロック共重合体を製造する場合の製造方法の例としては、下記の第一工程〜第三工程を含む製造方法が挙げられる。ここで、「モノマー組成物」と称する材料は、2種類以上の物質の混合物のみならず、単一の物質からなる材料をも包含する。
第一工程:芳香族ビニル化合物を含有するモノマー組成物(a1)を重合させてブロックAを形成する工程。
第二工程:かかるブロックAの一端において、芳香族ビニル化合物及びジエン化合物を含有するモノマー組成物を重合させて共重合ブロックBを形成し、A−Bのジブロックの重合体を形成する工程。
第三工程:かかるジブロックの重合体の、共重合ブロックB側の末端において、芳香族ビニル化合物を含有するモノマー組成物(a2)を重合させて、ブロック共重合体を得る工程。ただし、モノマー組成物(a1)とモノマー組成物(a2)とは、同一でも異なっていてもよい。
それぞれの重合体ブロックを重合する際には、各ブロック内で、ある1成分の連鎖が過度に長くなることを防止するために、重合促進剤及びランダマイザーを使用しうる。例えば重合をアニオン重合により行う場合には、ルイス塩基化合物をランダマイザーとして使用しうる。ルイス塩基化合物の具体例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、及びエチレングリコールメチルフェニルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、及びピリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、及びカリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド化合物;並びにトリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合温度は重合が進行する限り制限は無いが、好ましくは0℃以上、より好ましくは20℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下、さらにより好ましくは80℃以下である。
重合後は、必要であれば任意の方法により反応混合物から重合体を回収しうる。回収方法の例としては、スチームストリッピング法、直接脱溶媒法、及びアルコール凝固法が挙げられる。また、重合時に水素化反応に不活性な溶媒を反応溶媒として用いた場合は、重合溶液から重合体を回収せず、そのまま水素化工程に供することができる。
重合体の水素化方法に制限は無く、任意の方法を採用しうる。水素化は、例えば、適切な水素化触媒を用いて行いうる。より具体的には、有機溶媒中で、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む水素化触媒を用いて、水素化を行いうる。水素化触媒は、不均一系触媒であってもよく、均一系触媒であってもよい。水素化触媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
不均一系触媒は、金属または金属化合物のままで用いてもよく、適切な担体に担持させて用いてもよい。担体の例としては、活性炭、シリカ、アルミナ、炭化カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、及び炭化珪素が挙げられる。担体における触媒の担持量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
均一系触媒の例としては、ニッケル、コバルト、又は鉄の化合物と有機金属化合物(例えば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物)とを組み合わせた触媒;並びにロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウム等の有機金属錯体触媒が挙げられる。ニッケル、コバルト、又は鉄の化合物の例としては、これらの金属のアセチルアセトン塩、ナフテン酸塩、シクロペンタジエニル化合物、及びシクロペンタジエニルジクロロ化合物が挙げられる。有機アルミニウム化合物の例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム;並びにジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウムが挙げられる。
有機金属錯体触媒の例としては、例えば、上記各金属のγ−ジクロロ−π−ベンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体、ヒドリド−クロロ−トリフェニルホスフィン)錯体等の金属錯体が挙げられる。
水素化触媒の使用量は、重合体100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、さらにより好ましくは0.1重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは50重量部以下、さらにより好ましくは30重量部以下である。
水素化反応の際の反応温度は、通常10℃〜250℃であるが、水素化率を高くでき、且つ、重合体鎖切断反応を小さくできるという理由から、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。また、反応時の圧力は、通常0.1MPa〜30MPaであるが、上記理由に加え、操作性の観点から、好ましくは1MPa以上、より好ましくは2MPa以上であり、好ましくは20MPa以下、より好ましくは10MPa以下である。
水素化率は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらにより好ましくは97%以上である。水素化率を高くすることにより、ビニル脂環式炭化水素重合体の低複屈折性及び熱安定性等を高めることができる。水素化率はH−NMRにより測定できる。
〔2.6.重合体X以外の任意の成分〕
樹脂(C)は、重合体Xのみからなってもよいが、重合体X以外に任意の成分を含んでいてもよい。
任意の成分の例としては、紫外線吸収剤;無機微粒子;酸化防止剤、熱安定剤、近赤外線吸収剤等の安定剤;滑剤、可塑剤等の樹脂改質剤;染料や顔料等の着色剤;及び帯電防止剤が挙げられる。これらの任意の成分としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。ただし、本発明の効果を顕著に発揮させる観点からは、任意の成分の含有割合は少ないことが好ましい。例えば、紫外線吸収剤以外の任意の成分の合計の割合は、重合体X100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましく、3重量部以下が更に好ましい。特に、紫外線吸収剤以外の任意の成分は含まないことが好ましい。
〔3.樹脂(S)〕
樹脂(S)は、その厚み50μmのフィルムの衝撃強度が1.5×10−2J以上、好ましくは4.4×10-2J以上である。樹脂(S)としてこのような樹脂を採用し、特定の基材層と特定の態様で組み合わせることにより、高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の様々な優れた特性を有する光学積層体を得ることができる。樹脂(S)の衝撃強度の上限は特に限定されないが例えば12×10−2J以下としうる。
一方、樹脂(C)の、厚み50μmのフィルムの衝撃強度は好ましくは1.5×10−2J未満、より好ましくは1.0×10−2J未満としうる。樹脂(C)の衝撃強度の下限は特に限定されないが例えば0.1×10−2J以上としうる。
本願において、フィルムの衝撃強度は、以下に述べる特定の方法により測定されたものである。即ち、本願におけるフィルムの衝撃強度は、特定の治具により水平に固定された測定対象のフィルムの上面に、様々な高さhから鋼球を落下させることにより測定され、フィルムが破れなかった場合及びフィルムが破れた場合の境界の高さhにおける、鋼球の位置エネルギーを衝撃強度とする。
図2及び図3は、本願におけるフィルムの衝撃強度の測定方法を説明する斜視図及び側面図である。ここでは、フィルム10の衝撃強度の測定を説明している。本願における衝撃強度の測定においては、図2及び図3に示す通りの円筒形の形状を有する上側の筒201及び下側の筒202を備える治具を用いる。筒201及び筒202の内径(矢印A3で示される)はいずれも4cmとする。上側の筒201を下側に付勢し、且つ下側の筒202を上側に付勢することにより、フィルム10を治具に固定する。フィルム10の上面10Uの、治具内の中央の位置20Pに、鋼球211(パチンコ玉、重さ5g、直径11mm)を様々な高さh(鋼球211の最下部の水準H1とフィルム10の上面10Uとの距離;矢印A2で示す高さ)から、矢印A1方向に落下させる。フィルム10が破れなかった場合及びフィルム10が破れた場合の境界の高さhにおける、鋼球211の位置エネルギー(×10−2J)を衝撃強度とする。
樹脂(S)としては、上に述べた特定の衝撃強度を有し、光学的な用途に用いうる任意の樹脂を用いうる。樹脂(S)の好ましい例としては、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)及びジエン化合物水素化物単位(b)を有する重合体であって、その単位の割合を変更し、上に述べた特定の衝撃強度を有するものとしたものが挙げられる。以下の説明においては、かかる特定の重合体を、「重合体Y」と呼ぶ場合がある。
重合体Yを含む樹脂(S)の好ましい態様の例(重合体Yの好ましい例、その製造方法の好ましい例、樹脂(S)における重合体Yの割合の好ましい例、及び樹脂(S)における重合体Y以外の成分の例等)としては、重合体Xを含む樹脂(C)におけるそれらの例と同様のものが挙げられる。但し、トリブロック分子構造を有する重合体Yが1分子当たり2つのブロックAとしてブロックA1及びブロックA2を有する場合におけるブロックA1とブロックA2との重量比A1/A2、重合体Yにおける芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)と、ジエン化合物水素化物単位(b)との重量比(a)/(b)、並びに重合体Yの分子量は、重合体Xの好ましい範囲と異なる特定の範囲であることが好ましい。A1/A2は、好ましくは30/15〜72/3、より好ましくは35/10〜60/5である。(a)/(b)は、好ましくは70/30〜85/15、より好ましくは75/25〜80/20である。重合体Yの分子量は、好ましくは80,000以上、より好ましくは90,000以上であり、一方好ましくは150,000以下、より好ましくは130,000以下である。かかる範囲とすることにより、上に述べた特定の衝撃強度を有し、本発明の光学積層体の構成要素として有用に用いうる樹脂(S)を得ることができる。
樹脂(S)の別の好ましい例としては、脂環式構造含有重合体を含む樹脂が挙げられる。脂環式構造含有重合体とは、重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を有する重合体であり、主鎖に脂環式構造を有する重合体、及び、側鎖に脂環式構造を有する重合体のいずれであってもよい。中でも、機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有する重合体が好ましい。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
1つの脂環式構造の繰り返し単位を構成する炭素数に特に制限はないが、好ましくは4〜30個、より好ましくは5〜20個、さらにより好ましくは6〜15個である。
脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は使用目的に応じて適宜選択されるが、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらにより好ましくは90重量%以上である。
脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと、フィルムの耐熱性が低下するおそれがある。
脂環式構造含有重合体は、具体的には、(1)ノルボルネン重合体、(2)単環の環状オレフィン重合体、(3)環状共役ジエン重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。
これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン重合体及びこれらの水素添加物がより好ましい。
ノルボルネン重合体としては、例えば、ノルボルネンモノマーの開環重合体、ノルボルネンモノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物;ノルボルネンモノマーの付加重合体、ノルボルネンモノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。
これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネンモノマーの開環重合体水素添加物が最も好ましい。
上記の脂環式構造含有重合体は、例えば特開2002−321302号公報等に開示されている公知の重合体から選ばれる。
脂環式構造含有重合体は、そのガラス転移温度が、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃の範囲である。ガラス転移温度がこのような範囲にある脂環式構造含有重合体は、高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
脂環式構造含有重合体の分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(樹脂が溶解しない場合にはトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す。)で測定したポリイソプレン換算(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、好ましくは10,000〜100,000、より好ましくは25,000〜80,000、さらにより好ましくは25,000〜50,000である。
重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、得られる樹脂の機械的強度及び成形加工性が高度にバランスされ好適である。
脂環式構造含有重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1.2〜3.5の範囲である。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂は、脂環式構造含有重合体のみからなってもよいが、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の成分を含んでもよい。任意の成分の具体例としては、重合体Xを含む樹脂(C)におけるそれらの例と同様のものが挙げられる。脂環式構造含有重合体を含む樹脂中の、脂環式構造含有重合体の割合は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂の好適な具体例としては、日本ゼオン社製「ゼオノア1420、ゼオノア1420R」などを挙げうる。
〔4.基材層及び表面層の厚み〕
本発明の光学積層体においては、第一表面層及び第二表面層のそれぞれの厚さが0.5μm以上、好ましくは1μm以上であり、一方2μm以下、好ましくは1.5μm以下である。また、基材層の厚みは、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下である。基材層の厚みの下限は、特に限定されないが、例えば20μm以上としうる。また、基材層の厚みtに対する第一表面層の厚みtの比t/tおよび基材層の厚みtに対する第二表面層の厚みtの比t/tは、いずれも、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上であり、一方好ましくは0.04以下、より好ましくは0.03以下である。上に述べた特定の特性を有する樹脂(C)及び樹脂(S)で基材層及び表面層を構成し、このような要件及び他の要件を満たす構成を採用することにより、高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の特性において特に優れた光学積層体を得ることができる。
〔5.光学積層体の物性〕
本発明の光学積層体は、その高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の様々な優れた特性において優れたフィルムとしうる。これらの特性は、上に述べた要件を満たすことにより達成することができる。
本発明の光学積層体の表面硬度は、鉛筆硬度により評価しうる。本発明の光学積層体の鉛筆硬度は、好ましくはHB以上、より好ましくはF以上である。かかる高い表面硬度を有する光学積層体は、表示装置において、高い耐久性を有する材料として有用に用いうる。また、その表面にさらにハードコート層を設けた場合において、偏光板保護フィルム等の光学フィルムの用途において有用に用いうる表面硬度を容易に得ることができる。本発明の光学積層体の表面硬度の上限は、特に限定されないが例えば10H以下としうる。
光学積層体の表面硬度は、試料のフィルムを、コロナ処理によりガラス上に密着させた状態で測定しうる。具体的な測定方法は、JIS K5600−5−4に準拠し、鉛筆の傾きは45°とし、上から負荷する荷重は750g重としうる。各硬度の鉛筆について5回試験を行い、2回以上において鉛筆跡が確認された場合はきず跡が生じたものと判定し、きず跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を、鉛筆硬度としうる。
本発明の光学積層体の屈曲性は、好ましくは300回以上であり、より好ましくは1000回以上である。かかる高い衝撃強度及び屈曲性を有する光学積層体は、表示装置において、高い耐久性を有する材料として有用に用いうる。特に、上記の屈曲性回数を満たすことでフィルムを良好に搬送することが可能になる。本発明の光学積層体の屈曲性の上限は、特に限定されないが例えば100000回以下としうる。
本願において、フィルムの屈曲性は、以下に述べる特定の方法により測定されたものである。即ち、本願におけるフィルムの屈曲性は、測定対象のフィルムを切断し、30mm×400mmの試験片とし、これについて、特定の屈曲を繰り返し行い、クラック又は折れ目が入った時点の回数を、屈曲性の指標とする。屈曲は、R=2.5mmのマンドレルを用いて、フィルムが165°屈曲するように試験片をセッティングし、試験片の400mmの辺の延長上に、500gの錘を吊るし、30mmの辺と平行に折れ曲げ線が入るように行う。屈曲スピードは、100rpmとする。屈曲のための装置としては、屈曲試験機(商品名「TCDMLH−P150」、ユアサシステム機器株式会社製)を用いうる。
本発明の光学積層体は、表面層及び基材層の材料として上に述べた特定のものを採用し、且つ表面層として上に述べた特定の厚さを有するものを採用することにより、高い表面硬度と、良好なトリミング性の両方を備えたものとしうる。
本願において、フィルムのトリミング性は、光学積層体にカッターナイフにで直線状の切れ込みを入れ、クラックの有無を目視で判断することにより評価しうる。かかるクラックが発生しない光学積層体を、高いトリミング性を有するものと評価しうる。このトリミング性評価におけるクラックとは、切れ込みを起点として、切れ込みに対して非平行な方向に延長する、光学積層体の割れ目を意味する。
本願における、フィルムのトリミング性の評価の操作を、図4を参照して説明する。図4は、光学積層体のトリミング性の評価の操作を模式的に示す斜視図である。図4においては、光学積層体100に、カッターナイフ41で直線状の切れ込み101を入れた状態の例を示している。この例では、切れ込み101を起点として、切れ込み101に対して非平行な方向に延長するクラック102が複数発生している。クラックは、第一表面層、基材層及び第二表面層のうちの1層以上において発生した場合、「有り」と評価される。
本発明の光学積層体は、その水蒸気透過率が、好ましくは20g/m・24h以下であり、より好ましくは18g/m2・24h以下である。かかる低い水蒸気透過率を有する光学積層体は、表示装置において、偏光子層、発光層等の、変質しやすい他の層を保護する能力に優れた層として、有用に用いうる。水蒸気透過率は、水蒸気透過度測定装置(例えばMOCON社製「PERMATRAN−W」)を用い、JIS K 7129 B−1992に従って、温度40℃、湿度90%RHの条件にて測定しうる。本発明の光学フィルムの水蒸気透過率の下限は、特に限定されないが理想的には0g/m・24hとしうる。
本発明の光学積層体は、その軟化温度が好ましくは135℃以上であり、より好ましくは145℃以上である。かかる高い軟化温度を有する光学積層体は、表示装置において、高い耐熱性を有する材料として有用に用いうる。軟化温度の測定は、測定対象のフィルムを5mm×20mmの形状に切り出し試料とし、TMA(熱機械的分析)測定装置(例えばエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製「TMA/SS7100」)を用い、TMA測定において、試料の長手方向に50mNの張力を加えた状態で、温度を変化させ、線膨張が5%変化した時の温度(℃)を記録することにより行いうる。
〔6.任意の層〕
本発明の光学積層体は、第一表面層、基材層及び第二表面層に加えて、任意の層を有しうる。任意の層の例としては、フィルムの滑り性を良くするマット層、耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層、反射防止層、防汚層等が挙げられる。
特に、本発明の光学積層体は、ハードコート層を有することが好ましい。ハードコート層を有することにより、例えば液晶表示装置において、表示面側の偏光子よりも表示面側に位置し、装置の表示面最外層を構成する保護フィルムとして、本発明の光学積層体を好適に用いうる。
表示装置において、装置の表示面最外層を構成する面の鉛筆硬度はH以上であることが求められる場合が多い。本発明の光学積層体は、第一表面層、基材層及び第二表面層のみからなる場合であっても、その表面の鉛筆硬度をHB以上としうるので、その上にさらにハードコート層を形成することにより、その表面の鉛筆硬度を、容易に、H以上といった高い値とすることができる。
ハードコート層を構成する材料の例としては、有機系シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機ハードコート材料;および、二酸化ケイ素などの無機系ハードコート材料が挙げられる。なかでも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、ウレタンアクリレート系および多官能アクリレート系ハードコート材料の使用が好ましい。ハードコート層の厚みは、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.8μm以上、特に好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、特に好ましくは3μm以下である。
〔7.光学積層体の製造方法〕
本発明の光学積層体の製造方法は特に限定されず、任意の製造方法を採用しうる。例えば、樹脂(C)及び樹脂(S)を所望の形状に成形することにより、本発明の光学積層体を製造しうる。
樹脂(C)及び樹脂(S)の成形方法は、特に限定されず、任意の成形方法を採用しうる。成形方法の例としては、樹脂(C)のフィルム、及び樹脂(S)のフィルムを成形してこれらを貼合する方法、及び樹脂(C)及び樹脂(S)のフィルムを、所望の層構成となるよう共押出する方法が挙げられる。特に、樹脂(C)及び樹脂(S)のフィルムを共押出する方法は、効率よく本発明の光学積層体を製造しうる観点から特に好ましい。押出成形法による成形を行うと、長尺のフィルムを得ることができる。フィルムの形状に成形された樹脂は、そのまま本発明の光学積層体としうる。又は、フィルムの形状に成形された樹脂を、さらに任意の処理に供し、それにより得られたものを本発明の光学積層体としうる。かかる任意の処理としては、延伸処理が挙げられる。
〔8.偏光板〕
本発明の偏光板は前記本発明の光学積層体と、偏光子層とを備える。本発明の偏光板はさらに、光学積層体と偏光子層との間に、これらを接着するための接着剤層を備えてもよい。本発明の光学積層体は、高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の様々な優れた特性を有しうるため、偏光板において、偏光子層を保護する保護フィルムとして特に良好に機能することができる。
偏光子層は、特に限定されず、任意の既知の偏光子の層を用いうる。偏光子層の例としては、ポリビニルアルコール偏光子層が挙げられる。ポリビニルアルコール偏光子層とは、ポリビニルアルコールフィルム(ポリビニルアルコール、又はポリビニルアルコールに修飾基が導入された重合体のフィルム)を主成分とし、偏光子層としての機能を有する層であり、具体的にはポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素、二色性染料等の材料を吸着させた後、延伸加工したものが挙げられる。接着剤層を構成する接着剤としては、各種の重合体をベースポリマーとしたものが挙げられる。かかるベースポリマーの例としては、例えば、アクリル重合体、シリコーン重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、及び合成ゴムが挙げられる。
本発明の偏光板が備える偏光子層と保護フィルムの層の数は任意であるが、本発明の偏光板は、通常は、1層の偏光子層と、その両面に設けられた2層の保護フィルムを備えうる。かかる2層の保護フィルムのうち、両方が本発明の光学積層体であってもよく、どちらか一方のみが本発明の光学積層体であってもよい。特に、光源及び液晶セルを備え、かかる液晶セルの光源側及び表示面側の両方に偏光板を有するもの等の通常の液晶表示装置において、表示面側の偏光子よりも表示面側に位置し、装置の表示面最外層を構成する保護フィルムとして、本発明の光学積層体を備えることが特に好ましい。かかる構成を有することにより、高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の様々な優れた特性を生かし、良好な表示品質及び耐久性を有する液晶表示装置を容易に構成することができる。
〔9.液晶表示装置〕
本発明の液晶表示装置は、前記本発明の偏光板を備える。本発明の液晶表示装置において、本発明の光学積層体は、偏光板において偏光子を保護する保護フィルムとして設けうる。
通常、液晶表示装置は、光源、光源側偏光板、液晶セル及び視認側偏光板を、この順に備える。本発明の表示装置が液晶表示装置である場合、本発明の光学積層体は、例えば光源側偏光板及び視認側偏光板のいずれか又は両方の両面又は片面の保護フィルムとして用いうる。液晶表示装置の液晶セルの駆動方式としては、例えば、インプレーンスイッチング(IPS)モード、バーチカルアラインメント(VA)モード、マルチドメインバーチカルアラインメント(MVA)モード、コンティニュアスピンホイールアラインメント(CPA)モード、ハイブリッドアラインメントネマチック(HAN)モード、ツイステッドネマチック(TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(STN)モード、オプチカルコンペンセイテッドベンド(OCB)モードなどが挙げられる。
本発明の液晶表示装置において、本発明の偏光板はまた、上記の用途以外の用途に用いられる偏光板として設けうる。例えば、反射防止機能を発現するための構成要素、所謂サングラスリーダブル機能(観察者が偏光サングラスを着用している場合において、観察角度による表示の相違を低減する機能)を発現するための構成要素の一部である偏光板として、本発明の偏光板を設けうる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
〔評価方法〕
(分子量等)
重合体の重量平均分子量及び数平均分子量は、THFを溶離液とするGPCによる標準ポリスチレン換算値として38℃において測定した。測定装置としては、東ソー社製HLC8020GPCを用いた。また、重合体の水素化率はH−NMRにより測定した。
(引張弾性率)
測定対象のフィルムから、矩形の試験片(幅10mm×長さ250mm)を切り出した。試験片をその長辺方向に引っ張って歪ませる際の応力を、JIS K7113に基づき、恒温恒湿槽付き引張試験機(インストロンジャパン社製の5564型デジタル材料試験機)を用いて、温度23℃、湿度60±5%RH、チャック間距離115mm、引張速度100mm/minの条件で、測定した。このような測定を、3回行った。そして、測定された応力とその応力に対応した歪みの測定データから、試験片の歪が0.6%〜1.2%の範囲で0.2%毎に測定データ(即ち、歪みが0.6%、0.8%、1.0%及び1.2%の時の測定データ)を選択し、この選択された3回分の測定データから最小二乗法を用いて、測定対象のフィルムの引張弾性率を計算した。
(押込弾性率)
測定対象のフィルムについて、押込弾性率試験機(フィッシャーインスツルメンツ社製、商品名「ピコメーター Hm−500」)を用いて押込弾性率(単位:MPa)を測定した。測定に際して、圧子としては対面角136°正四角錐ダイヤモンド圧子を用いた。荷重速度は2.5mF/secで一定とし、dF/dtは一定の条件で実施した。最大荷重は50mN、荷重時間は20sec、クリープ時間は60secとした。
(鉛筆硬度)
測定対象のフィルム、並びに測定対象のフィルムの表面にハードコート層を形成したもののそれぞれについて、鉛筆硬度を測定した。
ハードコート層用材料としては、日立化成株式会社ヒタロイド7975Dを塗布し、乾燥後の膜厚を3μmとした。
鉛筆硬度は、試料のフィルムを、コロナ処理によりガラス上に密着させた状態で測定した。具体的な測定方法は、JIS K5600−5−4に準拠した。鉛筆の傾きは45°とし、上から負荷する荷重は750g重とした。各硬度の鉛筆について5回試験を行い、2回以上において鉛筆跡が確認された場合はきず跡が生じたものと判定し、きず跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を、鉛筆硬度として記録した。表2において、測定対象のフィルムそのものついての鉛筆硬度の測定結果は「HCなし」の行に、測定対象のフィルムの表面にハードコート層を形成したものについての鉛筆硬度の測定結果は「HCあり」の行に、それぞれ記載した。
(屈曲性)
測定対象のフィルムを切断し、30mm×400mmの試験片を準備した。
小型卓上型 屈曲試験機(商品名「TCDMLH−P150」、ユアサシステム機器株式会社製)を用いて、屈曲性を試験した。R=2.5mmのマンドレルを用いて、フィルムが165°屈曲するようにセッティングした。試験片の400mmの辺の延長上に、500gの錘を吊るし、30mmの辺と平行に折れ曲げ線が入るように屈曲を行った。屈曲スピードは、100rpmとした。屈曲を行った後、クラックや折れ目がないかを、LEDライトを当て、状態をビデオカメラで撮影し記録した。
屈曲性の評価では、クラック又は折れ目が入った時点の回数を、屈曲性の指標として記録した。
(トリミング性)
測定対象のフィルムに、カッターナイフで直線状の切れ込みを入れ、クラックの有無を目視で判断した。クラックが認められなかったものを、トリミング性「良」と評価し、クラックが認められたものを、トリミング性「不良」と評価した。クラックは、第一表面層、基材層及び第二表面層のうちの1層以上において発生した場合、「有り」とし、不良と評価した。
(衝撃強度)
図2〜図3に概略的に示す装置を用いて測定した。実施例、比較例及び参考例で得られた光学フィルム100を、上側の筒201及び下側の筒202を備える治具により、水平に固定した。筒201及び筒202の内径(矢印A3で示される)は4cmであった。治具に固定されたフィルム100の上面100Uの、治具内の中央の位置20Pに、鋼球211(パチンコ玉、重さ5g、直径11mm)を様々な高さh(鋼球211の最下部の水準H1と光学フィルム100の上面100Uとの距離;矢印A2で示す高さ)から、矢印A1方向に落下させて、光学フィルム100が破れなかった場合及び光学フィルム100が破れた場合の境界の高さhにおける、鋼球211の位置エネルギー(×10−2J)を衝撃強度とした。
(軟化温度)
測定対象のフィルムを5mm×20mmの形状に切り出し試料とした。測定装置として、TMA/SS7100(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いた。TMA(熱機械的分析)測定において、試料の長手方向に50mNの張力を加えた状態で、温度を変化させた。線膨張が5%変化した時の温度(℃)を、軟化温度とした。
〔製造例1:樹脂P1〕
(P1−1.第1段階の重合反応:ブロックA1の伸長)
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレン75部、及びジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15重量%含有ヘキサン溶液)0.41部を添加して重合反応を開始させ、第1段階の重合反応を行った。反応開始後1時間の時点で、反応混合物から、試料をサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(GC)により分析した結果、重合転化率は99.5%であった。
(P1−2.第2段階の反応:ブロックBの伸長)
(P1−1)で得られた反応混合物に、スチレン10部及びイソプレン10部からなる混合モノマー20部を添加し、引き続き第2段階の重合反応を開始した。第2段階の重合反応開始後1時間の時点で、反応混合物から、試料をサンプリングし、GCにより分析した結果、重合転化率は99.5%であった。
(P1−3.第3段階の反応:ブロックA2の伸長)
(P1−2)で得られた反応混合物に、スチレン5部を添加し、引き続き第3段階の重合反応を開始した。第3段階の重合反応開始後1時間の時点で、反応混合物から、試料をサンプリングし、重合体の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定した。またこの時点でサンプリングした試料をGCにより分析した結果、重合転化率はほぼ100%であった。その後直ちに、反応混合物にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。これにより、A1−B−A2のトリブロック分子構造を有する重合体P1を含む混合物を得た。
(P1−1)及び(P1−2)では重合反応を十分に進行させたことから、重合転化率は略100%であり、したがってブロックBにおけるSt/Ipの重量比は10/10であると考えられる。
これらの値から、得られた重合体P1は、St−(St/Ip)−St=75−(10/10)−5のトリブロック分子構造を有する重合体であることが分かった。重合体P1の重量平均分子量(Mw)は106,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。
次に、上記の重合体P1を含む混合物を攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として珪藻土担持型ニッケル触媒(製品名「E22U」、ニッケル担持量60%、日揮触媒化成社製)8.0部及び脱水シクロヘキサン100部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度190℃、圧力4.5MPaにて8時間水素化反応を行った。水素化反応により得られた反応溶液に含まれる重合体P1水素化物の重量平均分子量(Mw)は113,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であった。
水素化反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去した後、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](製品名「Songnox1010」、松原産業社製)0.1部を溶解したキシレン溶液2.0部を添加して溶解させた。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去した。溶融ポリマーをダイからストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーにより重合体P1水素化物のペレット95部を作製した。
得られたペレット状の重合体P1水素化物の重量平均分子量(Mw)は112,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.11、水素化率はほぼ100%であった。この重合体P1水素化物を、以下において、樹脂P1として用いた。
〔製造例2:樹脂P2〕
(P2−1.第1段階の重合反応:ブロックA1の伸長)
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレン55部、及びジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15重量%含有ヘキサン溶液)0.41部を添加して重合反応を開始させ、第1段階の重合反応を行った。反応開始後1時間の時点で、反応混合物から、試料をサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(GC)により分析した結果、重合転化率は99.5%であった。
(P2−2.第2段階の反応:ブロックBの伸長)
(P2−1)で得られた反応混合物に、スチレン20部及びイソプレン20部からなる混合モノマー40部を添加し、引き続き第2段階の重合反応を開始した。第2段階の重合反応開始後1時間の時点で、反応混合物から、試料をサンプリングし、GCにより分析した結果、重合転化率は99.5%であった。
(P2−3.第3段階の反応:ブロックA2の伸長)
(P2−2)で得られた反応混合物に、スチレン5部を添加し、引き続き第3段階の重合反応を開始した。第3段階の重合反応開始後1時間の時点で、反応混合物から、試料をサンプリングし、重合体の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定した。またこの時点でサンプリングした試料をGCにより分析した結果、重合転化率はほぼ100%であった。その後直ちに、反応混合物にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。これにより、A1−B−A2のトリブロック分子構造を有する重合体P2を含む混合物を得た。
(P2−1)及び(P2−2)では重合反応を十分に進行させたことから、重合転化率は略100%であり、したがってブロックBにおけるSt/Ipの重量比は20/20であると考えられる。
これらの値から、得られた重合体P2は、St−(St/Ip)−St=55−(20/20)−5のトリブロック分子構造を有する重合体であることが分かった。重合体P2の重量平均分子量(Mw)は105,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。
次に、上記の重合体P2を含む混合物を攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として珪藻土担持型ニッケル触媒(製品名「E22U」、ニッケル担持量60%、日揮触媒化成社製)8.0部及び脱水シクロヘキサン100部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度190℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。水素化反応により得られた反応溶液に含まれる重合体P2水素化物の重量平均分子量(Mw)は111,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であった。
水素化反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去した後、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](製品名「Songnox1010」、松原産業社製)0.1部を溶解したキシレン溶液2.0部を添加して溶解させた。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去した。溶融ポリマーをダイからストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーにより重合体P2水素化物のペレット95部を作製した。
得られたペレット状の重合体P2水素化物の重量平均分子量(Mw)は110,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.10、水素化率はほぼ100%であった。この重合体P2水素化物を、以下において、樹脂P2として用いた。
〔製造例3:樹脂P3〕
脂環式構造含有重合体樹脂(ノルボルネンモノマーの開環重合体水素添加物、ガラス転移温度126℃、日本ゼオン株式会社製)のペレットを、樹脂P3として用意した。
〔参考例:樹脂P1〜P3の評価〕
製造例1〜3で得られた樹脂P1〜P3のそれぞれのペレットを、押出機(Optical Control System(OCS)社製)にて加熱し溶融させた状態で単層押出成形し、様々な厚みのフィルムを形成した。これらのフィルムについて、引張弾性率、押込弾性率、鉛筆硬度、屈曲性、トリミング性、及び衝撃強度を測定した。引張弾性率の測定には厚み50μmのフィルムを用い、押込弾性率の測定には厚み100μmのフィルムを用い、鉛筆硬度の測定には厚み50μmのハードコート層を有しないフィルムを用い、屈曲性の測定には厚み50μmのフィルムを用い、トリミング性の測定には厚み50μmのフィルムを用い、衝撃強度の測定には厚み50μmのフィルムを用いた。結果を表1に示す。
Figure 2017177367
〔実施例1〜4、及び比較例1〜7〕
(1−1.光学積層体の製造)
樹脂P1〜P3のいずれか1種を樹脂(C)として用い、且つ樹脂P1〜P3のいずれか1種を樹脂(S)として用い、これらの2種のペレットを、押出機(Dr.Collin社製)にて加熱し溶融させた状態で共押出成形し、樹脂(C)からなる基材層及び樹脂(S)からなる第一表面層及び第二表面層を備え、第一表面層/基材層/第二表面層の2種3層の層構成を有する光学積層体を得た。使用した樹脂の種類及び各層の厚みは、下記表2〜表3に示す通りとした。
(1−2.光学積層体の評価)
(1−1)で得た光学積層体について、鉛筆硬度、屈曲性試験、トリミング性、及び軟化温度を評価した。結果を表2〜表3に示す。
Figure 2017177367
Figure 2017177367
表2〜表3の結果から明らかな通り、本発明の要件を満たす実施例においては、偏光板保護フィルムに求められる鉛筆硬度、屈曲性、及びトリミング性等の諸条件をいずれも満たす光学積層体が得られた。
10:フィルム
41:カッターナイフ
10U:フィルムの上面
100:光学積層体
101:直線状の切れ込み
102:クラック
111:基材層
121:第一表面層
122:第二表面層
201:上側の筒
202:下側の筒
20P:治具内の中央の位置
211:鋼球

Claims (9)

  1. 第一表面層、基材層及び第二表面層をこの順に備える光学積層体であって、
    前記第一表面層及び第二表面層のそれぞれの厚さが0.5μm以上2μm以下であり、
    前記基材層は樹脂(C)からなり、
    前記第一表面層及び前記第二表面層は樹脂(S)からなり、
    前記樹脂(S)の、厚み50μmのフィルムの衝撃強度が1.5×10−2J以上であり、
    前記樹脂(C)の、厚み100μmのフィルムの押込弾性率が1800MPa以上で、且つ
    前記樹脂(C)の、厚み50μmのフィルムの引張弾性率が2200MPa以上である、
    光学積層体。
  2. 前記基材層の厚みが50μm以下である、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記基材層の厚みtに対する前記第一表面層の厚みtの比t/tおよび前記基材層の厚みtに対する前記第二表面層の厚みtの比t/tが、いずれも0.01以上0.04以下である、請求項1又は2に記載の光学積層体。
  4. JISK7129 B−1992で測定した水蒸気透過率が20g/m・24h以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学積層体。
  5. 前記樹脂(C)が、重合体を含み、
    前記重合体が、前記芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)を有するブロックAと、前記芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)及び前記ジエン化合物水素化物単位(b)を有する共重合ブロックBとを含み、
    前記重合体は、1分子当たり2つの前記ブロックAとしてブロックA1およびブロックA2を有し、前記ブロックA1と前記ブロックA2との重量比A1/A2が、60/5〜85/5である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学積層体。
  6. 軟化温度が135℃以上である、請求項5に記載の光学積層体。
  7. 前記樹脂(C)の、厚み50μmのフィルムの衝撃強度が1.5×10−2J未満である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学積層体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学積層体及び偏光子層を備える、偏光板。
  9. 請求項8に記載の偏光板を備える、液晶表示装置。
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