JP2017177367A - 光学積層体、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は以下の通りである。
前記第一表面層及び第二表面層のそれぞれの厚さが0.5μm以上2μm以下であり、
前記基材層は樹脂(C)からなり、
前記第一表面層及び前記第二表面層は樹脂(S)からなり、
前記樹脂(S)の、厚み50μmのフィルムの衝撃強度が1.5×10−2J以上であり、
前記樹脂(C)の、厚み100μmのフィルムの押込弾性率が1800MPa以上で、且つ
前記樹脂(C)の、厚み50μmのフィルムの引張弾性率が2200MPa以上である、
光学積層体。
〔2〕 前記基材層の厚みが50μm以下である、〔1〕に記載の光学積層体。
〔3〕 前記基材層の厚みt2に対する前記第一表面層の厚みt1の比t1/t2および前記基材層の厚みt2に対する前記第二表面層の厚みt3の比t3/t2が、いずれも0.01以上0.04以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の光学積層体。
〔4〕 JISK7129 B−1992で測定した水蒸気透過率が20g/m2・24h以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の光学積層体。
〔5〕 前記樹脂(C)が、重合体を含み、
前記重合体が、前記芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)を有するブロックAと、前記芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)及び前記ジエン化合物水素化物単位(b)を有する共重合ブロックBとを含み、
前記重合体は、1分子当たり2つの前記ブロックAとしてブロックA1およびブロックA2を有し、前記ブロックA1と前記ブロックA2との重量比A1/A2が、60/5〜85/5である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の光学積層体。
〔6〕 軟化温度が135℃以上である、〔5〕に記載の光学積層体。
〔7〕 前記樹脂(C)の、厚み50μmのフィルムの衝撃強度が1.5×10−2J未満である、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の光学積層体。
〔8〕 〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の光学積層体及び偏光子層を備える、偏光板。
〔9〕 〔8〕に記載の偏光板を備える、液晶表示装置。
本発明の光学積層体は、第一表面層、基材層及び第二表面層をこの順に備える。基材層は、以下に説明する特定の樹脂(C)からなる。一方第一表面層及び第二表面層は、特定の厚さを有し、且つ以下に説明する特定の樹脂(S)からなる。
樹脂(C)は、その厚み100μmのフィルムの押込弾性率が1800MPa以上で、且つその厚み50μmのフィルムの引張弾性率が2200MPa以上、好ましくは2250MPa以上である。樹脂(C)としてこのような樹脂を採用し、特定の表面層と特定の態様で組み合わせることにより、高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の様々な優れた特性を有する光学積層体を得ることができる。押込弾性率の上限は特に限定されないが例えば3500MPa以下としうる。引張弾性率の上限は特に限定されないが例えば4000MPa以下としうる。
重合体Xは、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)及びジエン化合物水素化物単位(b)を有する重合体である。樹脂(C)が重合体Xを含むことにより、上記各種の特性を有する光学積層体を容易に得ることができる。
芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)は、芳香族ビニル化合物を重合し、その不飽和結合を水素化して得られる構造を有する繰り返し単位である。ただし、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)は、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
同様に、本願においては、例えばスチレンを重合し、その不飽和結合を水素化して得られる構造を有する繰り返し単位を、スチレン水素化物単位と呼ぶことがある。スチレン水素化物単位も、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)の例としては、以下の構造式(1)で表される繰り返し単位が挙げられる。
ジエン化合物水素化物単位(b)は、ジエン化合物を重合し、その得られた重合物が不飽和結合を有していればその不飽和結合を水素化して得られる構造を有する繰り返し単位である。但し、ジエン化合物水素化物単位(b)は、当該構造を有する限りにおいて、どのような製造方法で得られた単位をも含む。
重合体Xは、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)を有するブロックAと、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)及びジエン化合物水素化物単位(b)を有する共重合ブロックBとを含むことが好ましい。さらに、重合体Xは、1分子あたり1つの共重合ブロックBと、その両端に連結された1分子当たり2つのブロックAとを有するトリブロック分子構造を有することが好ましい。
重合体Xの製造方法は、特に限定されず任意の製造方法を採用しうる。重合体Xは、例えば、芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)及びジエン化合物水素化物単位(b)に対応する単量体を用意し、これらを重合させ、得られた重合体を水素化することにより製造しうる。
反応溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
反応溶媒は、通常、全単量体100重量部に対して200〜10,000重量部となるような割合で用いられる。
第二工程:かかるブロックAの一端において、芳香族ビニル化合物及びジエン化合物を含有するモノマー組成物を重合させて共重合ブロックBを形成し、A−Bのジブロックの重合体を形成する工程。
第三工程:かかるジブロックの重合体の、共重合ブロックB側の末端において、芳香族ビニル化合物を含有するモノマー組成物(a2)を重合させて、ブロック共重合体を得る工程。ただし、モノマー組成物(a1)とモノマー組成物(a2)とは、同一でも異なっていてもよい。
均一系触媒の例としては、ニッケル、コバルト、又は鉄の化合物と有機金属化合物(例えば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物)とを組み合わせた触媒;並びにロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウム等の有機金属錯体触媒が挙げられる。ニッケル、コバルト、又は鉄の化合物の例としては、これらの金属のアセチルアセトン塩、ナフテン酸塩、シクロペンタジエニル化合物、及びシクロペンタジエニルジクロロ化合物が挙げられる。有機アルミニウム化合物の例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム;並びにジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウムが挙げられる。
有機金属錯体触媒の例としては、例えば、上記各金属のγ−ジクロロ−π−ベンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体、ヒドリド−クロロ−トリフェニルホスフィン)錯体等の金属錯体が挙げられる。
水素化触媒の使用量は、重合体100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、さらにより好ましくは0.1重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは50重量部以下、さらにより好ましくは30重量部以下である。
水素化率は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらにより好ましくは97%以上である。水素化率を高くすることにより、ビニル脂環式炭化水素重合体の低複屈折性及び熱安定性等を高めることができる。水素化率は1H−NMRにより測定できる。
樹脂(C)は、重合体Xのみからなってもよいが、重合体X以外に任意の成分を含んでいてもよい。
任意の成分の例としては、紫外線吸収剤;無機微粒子;酸化防止剤、熱安定剤、近赤外線吸収剤等の安定剤;滑剤、可塑剤等の樹脂改質剤;染料や顔料等の着色剤;及び帯電防止剤が挙げられる。これらの任意の成分としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。ただし、本発明の効果を顕著に発揮させる観点からは、任意の成分の含有割合は少ないことが好ましい。例えば、紫外線吸収剤以外の任意の成分の合計の割合は、重合体X100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましく、3重量部以下が更に好ましい。特に、紫外線吸収剤以外の任意の成分は含まないことが好ましい。
樹脂(S)は、その厚み50μmのフィルムの衝撃強度が1.5×10−2J以上、好ましくは4.4×10-2J以上である。樹脂(S)としてこのような樹脂を採用し、特定の基材層と特定の態様で組み合わせることにより、高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の様々な優れた特性を有する光学積層体を得ることができる。樹脂(S)の衝撃強度の上限は特に限定されないが例えば12×10−2J以下としうる。
1つの脂環式構造の繰り返し単位を構成する炭素数に特に制限はないが、好ましくは4〜30個、より好ましくは5〜20個、さらにより好ましくは6〜15個である。
脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと、フィルムの耐熱性が低下するおそれがある。
これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン重合体及びこれらの水素添加物がより好ましい。
これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネンモノマーの開環重合体水素添加物が最も好ましい。
上記の脂環式構造含有重合体は、例えば特開2002−321302号公報等に開示されている公知の重合体から選ばれる。
重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、得られる樹脂の機械的強度及び成形加工性が高度にバランスされ好適である。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂の好適な具体例としては、日本ゼオン社製「ゼオノア1420、ゼオノア1420R」などを挙げうる。
本発明の光学積層体においては、第一表面層及び第二表面層のそれぞれの厚さが0.5μm以上、好ましくは1μm以上であり、一方2μm以下、好ましくは1.5μm以下である。また、基材層の厚みは、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下である。基材層の厚みの下限は、特に限定されないが、例えば20μm以上としうる。また、基材層の厚みt2に対する第一表面層の厚みt1の比t1/t2および基材層の厚みt2に対する第二表面層の厚みt3の比t3/t2は、いずれも、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上であり、一方好ましくは0.04以下、より好ましくは0.03以下である。上に述べた特定の特性を有する樹脂(C)及び樹脂(S)で基材層及び表面層を構成し、このような要件及び他の要件を満たす構成を採用することにより、高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の特性において特に優れた光学積層体を得ることができる。
本発明の光学積層体は、その高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の様々な優れた特性において優れたフィルムとしうる。これらの特性は、上に述べた要件を満たすことにより達成することができる。
本発明の光学積層体は、第一表面層、基材層及び第二表面層に加えて、任意の層を有しうる。任意の層の例としては、フィルムの滑り性を良くするマット層、耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層、反射防止層、防汚層等が挙げられる。
表示装置において、装置の表示面最外層を構成する面の鉛筆硬度はH以上であることが求められる場合が多い。本発明の光学積層体は、第一表面層、基材層及び第二表面層のみからなる場合であっても、その表面の鉛筆硬度をHB以上としうるので、その上にさらにハードコート層を形成することにより、その表面の鉛筆硬度を、容易に、H以上といった高い値とすることができる。
ハードコート層を構成する材料の例としては、有機系シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機ハードコート材料;および、二酸化ケイ素などの無機系ハードコート材料が挙げられる。なかでも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、ウレタンアクリレート系および多官能アクリレート系ハードコート材料の使用が好ましい。ハードコート層の厚みは、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.8μm以上、特に好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、特に好ましくは3μm以下である。
本発明の光学積層体の製造方法は特に限定されず、任意の製造方法を採用しうる。例えば、樹脂(C)及び樹脂(S)を所望の形状に成形することにより、本発明の光学積層体を製造しうる。
本発明の偏光板は前記本発明の光学積層体と、偏光子層とを備える。本発明の偏光板はさらに、光学積層体と偏光子層との間に、これらを接着するための接着剤層を備えてもよい。本発明の光学積層体は、高い表面硬度、高い屈曲性、高いトリミング性、及びその他の様々な優れた特性を有しうるため、偏光板において、偏光子層を保護する保護フィルムとして特に良好に機能することができる。
本発明の液晶表示装置は、前記本発明の偏光板を備える。本発明の液晶表示装置において、本発明の光学積層体は、偏光板において偏光子を保護する保護フィルムとして設けうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
(分子量等)
重合体の重量平均分子量及び数平均分子量は、THFを溶離液とするGPCによる標準ポリスチレン換算値として38℃において測定した。測定装置としては、東ソー社製HLC8020GPCを用いた。また、重合体の水素化率は1H−NMRにより測定した。
測定対象のフィルムから、矩形の試験片(幅10mm×長さ250mm)を切り出した。試験片をその長辺方向に引っ張って歪ませる際の応力を、JIS K7113に基づき、恒温恒湿槽付き引張試験機(インストロンジャパン社製の5564型デジタル材料試験機)を用いて、温度23℃、湿度60±5%RH、チャック間距離115mm、引張速度100mm/minの条件で、測定した。このような測定を、3回行った。そして、測定された応力とその応力に対応した歪みの測定データから、試験片の歪が0.6%〜1.2%の範囲で0.2%毎に測定データ(即ち、歪みが0.6%、0.8%、1.0%及び1.2%の時の測定データ)を選択し、この選択された3回分の測定データから最小二乗法を用いて、測定対象のフィルムの引張弾性率を計算した。
測定対象のフィルムについて、押込弾性率試験機(フィッシャーインスツルメンツ社製、商品名「ピコメーター Hm−500」)を用いて押込弾性率(単位:MPa)を測定した。測定に際して、圧子としては対面角136°正四角錐ダイヤモンド圧子を用いた。荷重速度は2.5mF/secで一定とし、dF/dtは一定の条件で実施した。最大荷重は50mN、荷重時間は20sec、クリープ時間は60secとした。
測定対象のフィルム、並びに測定対象のフィルムの表面にハードコート層を形成したもののそれぞれについて、鉛筆硬度を測定した。
ハードコート層用材料としては、日立化成株式会社ヒタロイド7975Dを塗布し、乾燥後の膜厚を3μmとした。
鉛筆硬度は、試料のフィルムを、コロナ処理によりガラス上に密着させた状態で測定した。具体的な測定方法は、JIS K5600−5−4に準拠した。鉛筆の傾きは45°とし、上から負荷する荷重は750g重とした。各硬度の鉛筆について5回試験を行い、2回以上において鉛筆跡が確認された場合はきず跡が生じたものと判定し、きず跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を、鉛筆硬度として記録した。表2において、測定対象のフィルムそのものついての鉛筆硬度の測定結果は「HCなし」の行に、測定対象のフィルムの表面にハードコート層を形成したものについての鉛筆硬度の測定結果は「HCあり」の行に、それぞれ記載した。
測定対象のフィルムを切断し、30mm×400mmの試験片を準備した。
小型卓上型 屈曲試験機(商品名「TCDMLH−P150」、ユアサシステム機器株式会社製)を用いて、屈曲性を試験した。R=2.5mmのマンドレルを用いて、フィルムが165°屈曲するようにセッティングした。試験片の400mmの辺の延長上に、500gの錘を吊るし、30mmの辺と平行に折れ曲げ線が入るように屈曲を行った。屈曲スピードは、100rpmとした。屈曲を行った後、クラックや折れ目がないかを、LEDライトを当て、状態をビデオカメラで撮影し記録した。
屈曲性の評価では、クラック又は折れ目が入った時点の回数を、屈曲性の指標として記録した。
測定対象のフィルムに、カッターナイフで直線状の切れ込みを入れ、クラックの有無を目視で判断した。クラックが認められなかったものを、トリミング性「良」と評価し、クラックが認められたものを、トリミング性「不良」と評価した。クラックは、第一表面層、基材層及び第二表面層のうちの1層以上において発生した場合、「有り」とし、不良と評価した。
図2〜図3に概略的に示す装置を用いて測定した。実施例、比較例及び参考例で得られた光学フィルム100を、上側の筒201及び下側の筒202を備える治具により、水平に固定した。筒201及び筒202の内径(矢印A3で示される)は4cmであった。治具に固定されたフィルム100の上面100Uの、治具内の中央の位置20Pに、鋼球211(パチンコ玉、重さ5g、直径11mm)を様々な高さh(鋼球211の最下部の水準H1と光学フィルム100の上面100Uとの距離;矢印A2で示す高さ)から、矢印A1方向に落下させて、光学フィルム100が破れなかった場合及び光学フィルム100が破れた場合の境界の高さhにおける、鋼球211の位置エネルギー(×10−2J)を衝撃強度とした。
測定対象のフィルムを5mm×20mmの形状に切り出し試料とした。測定装置として、TMA/SS7100(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いた。TMA(熱機械的分析)測定において、試料の長手方向に50mNの張力を加えた状態で、温度を変化させた。線膨張が5%変化した時の温度(℃)を、軟化温度とした。
(P1−1.第1段階の重合反応:ブロックA1の伸長)
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレン75部、及びジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15重量%含有ヘキサン溶液)0.41部を添加して重合反応を開始させ、第1段階の重合反応を行った。反応開始後1時間の時点で、反応混合物から、試料をサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(GC)により分析した結果、重合転化率は99.5%であった。
(P1−1)で得られた反応混合物に、スチレン10部及びイソプレン10部からなる混合モノマー20部を添加し、引き続き第2段階の重合反応を開始した。第2段階の重合反応開始後1時間の時点で、反応混合物から、試料をサンプリングし、GCにより分析した結果、重合転化率は99.5%であった。
(P1−2)で得られた反応混合物に、スチレン5部を添加し、引き続き第3段階の重合反応を開始した。第3段階の重合反応開始後1時間の時点で、反応混合物から、試料をサンプリングし、重合体の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定した。またこの時点でサンプリングした試料をGCにより分析した結果、重合転化率はほぼ100%であった。その後直ちに、反応混合物にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。これにより、A1−B−A2のトリブロック分子構造を有する重合体P1を含む混合物を得た。
これらの値から、得られた重合体P1は、St−(St/Ip)−St=75−(10/10)−5のトリブロック分子構造を有する重合体であることが分かった。重合体P1の重量平均分子量(Mw)は106,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去した。溶融ポリマーをダイからストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーにより重合体P1水素化物のペレット95部を作製した。
得られたペレット状の重合体P1水素化物の重量平均分子量(Mw)は112,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.11、水素化率はほぼ100%であった。この重合体P1水素化物を、以下において、樹脂P1として用いた。
(P2−1.第1段階の重合反応:ブロックA1の伸長)
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレン55部、及びジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15重量%含有ヘキサン溶液)0.41部を添加して重合反応を開始させ、第1段階の重合反応を行った。反応開始後1時間の時点で、反応混合物から、試料をサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(GC)により分析した結果、重合転化率は99.5%であった。
(P2−1)で得られた反応混合物に、スチレン20部及びイソプレン20部からなる混合モノマー40部を添加し、引き続き第2段階の重合反応を開始した。第2段階の重合反応開始後1時間の時点で、反応混合物から、試料をサンプリングし、GCにより分析した結果、重合転化率は99.5%であった。
(P2−2)で得られた反応混合物に、スチレン5部を添加し、引き続き第3段階の重合反応を開始した。第3段階の重合反応開始後1時間の時点で、反応混合物から、試料をサンプリングし、重合体の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定した。またこの時点でサンプリングした試料をGCにより分析した結果、重合転化率はほぼ100%であった。その後直ちに、反応混合物にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。これにより、A1−B−A2のトリブロック分子構造を有する重合体P2を含む混合物を得た。
これらの値から、得られた重合体P2は、St−(St/Ip)−St=55−(20/20)−5のトリブロック分子構造を有する重合体であることが分かった。重合体P2の重量平均分子量(Mw)は105,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去した。溶融ポリマーをダイからストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーにより重合体P2水素化物のペレット95部を作製した。
得られたペレット状の重合体P2水素化物の重量平均分子量(Mw)は110,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.10、水素化率はほぼ100%であった。この重合体P2水素化物を、以下において、樹脂P2として用いた。
脂環式構造含有重合体樹脂(ノルボルネンモノマーの開環重合体水素添加物、ガラス転移温度126℃、日本ゼオン株式会社製)のペレットを、樹脂P3として用意した。
製造例1〜3で得られた樹脂P1〜P3のそれぞれのペレットを、押出機(Optical Control System(OCS)社製)にて加熱し溶融させた状態で単層押出成形し、様々な厚みのフィルムを形成した。これらのフィルムについて、引張弾性率、押込弾性率、鉛筆硬度、屈曲性、トリミング性、及び衝撃強度を測定した。引張弾性率の測定には厚み50μmのフィルムを用い、押込弾性率の測定には厚み100μmのフィルムを用い、鉛筆硬度の測定には厚み50μmのハードコート層を有しないフィルムを用い、屈曲性の測定には厚み50μmのフィルムを用い、トリミング性の測定には厚み50μmのフィルムを用い、衝撃強度の測定には厚み50μmのフィルムを用いた。結果を表1に示す。
(1−1.光学積層体の製造)
樹脂P1〜P3のいずれか1種を樹脂(C)として用い、且つ樹脂P1〜P3のいずれか1種を樹脂(S)として用い、これらの2種のペレットを、押出機(Dr.Collin社製)にて加熱し溶融させた状態で共押出成形し、樹脂(C)からなる基材層及び樹脂(S)からなる第一表面層及び第二表面層を備え、第一表面層/基材層/第二表面層の2種3層の層構成を有する光学積層体を得た。使用した樹脂の種類及び各層の厚みは、下記表2〜表3に示す通りとした。
(1−1)で得た光学積層体について、鉛筆硬度、屈曲性試験、トリミング性、及び軟化温度を評価した。結果を表2〜表3に示す。
41:カッターナイフ
10U:フィルムの上面
100:光学積層体
101:直線状の切れ込み
102:クラック
111:基材層
121:第一表面層
122:第二表面層
201:上側の筒
202:下側の筒
20P:治具内の中央の位置
211:鋼球
Claims (9)
- 第一表面層、基材層及び第二表面層をこの順に備える光学積層体であって、
前記第一表面層及び第二表面層のそれぞれの厚さが0.5μm以上2μm以下であり、
前記基材層は樹脂(C)からなり、
前記第一表面層及び前記第二表面層は樹脂(S)からなり、
前記樹脂(S)の、厚み50μmのフィルムの衝撃強度が1.5×10−2J以上であり、
前記樹脂(C)の、厚み100μmのフィルムの押込弾性率が1800MPa以上で、且つ
前記樹脂(C)の、厚み50μmのフィルムの引張弾性率が2200MPa以上である、
光学積層体。 - 前記基材層の厚みが50μm以下である、請求項1に記載の光学積層体。
- 前記基材層の厚みt2に対する前記第一表面層の厚みt1の比t1/t2および前記基材層の厚みt2に対する前記第二表面層の厚みt3の比t3/t2が、いずれも0.01以上0.04以下である、請求項1又は2に記載の光学積層体。
- JISK7129 B−1992で測定した水蒸気透過率が20g/m2・24h以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学積層体。
- 前記樹脂(C)が、重合体を含み、
前記重合体が、前記芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)を有するブロックAと、前記芳香族ビニル化合物水素化物単位(a)及び前記ジエン化合物水素化物単位(b)を有する共重合ブロックBとを含み、
前記重合体は、1分子当たり2つの前記ブロックAとしてブロックA1およびブロックA2を有し、前記ブロックA1と前記ブロックA2との重量比A1/A2が、60/5〜85/5である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学積層体。 - 軟化温度が135℃以上である、請求項5に記載の光学積層体。
- 前記樹脂(C)の、厚み50μmのフィルムの衝撃強度が1.5×10−2J未満である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学積層体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学積層体及び偏光子層を備える、偏光板。
- 請求項8に記載の偏光板を備える、液晶表示装置。
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