JP5875451B2 - 散乱型偏光子、及びこれを備えてなる液晶表示装置 - Google Patents

散乱型偏光子、及びこれを備えてなる液晶表示装置 Download PDF

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本発明は、輝度向上フィルム等として利用することができる散乱型偏光子に関し、より詳細には、特定の偏光方向の光を透過させ、他の偏光方向の光を反射させる散乱異方性を備えた散乱型偏光子に関する。
従来、液晶ディスプレイ(LCD)の構成例として、図1に示すように、液晶セルの背面側(裏面側)に、ガラス基板、偏光フィルム、輝度向上フィルム、拡散フィルム、導光板と光源、および反射シートなどを順次積層してなる構成が採用されてきた。
かかる構成において、偏光フィルムは、特定の偏光方向の光(P波、直線偏光)のみを透過させて液晶セルに供給し、その他の偏光方向の光(S波)を吸収する役割を果たすため、偏光フィルムのみでは液晶セルに供給する光量が減少し、画像が暗くなってしまう。
そこで、上記構成のように、偏光フィルムの光源側に輝度向上フィルムを配設することにより、偏光フィルムが透過する偏光方向の光量を増加させて液晶セルに供給し得る光量を増大させ、画像を明るくすることが行なわれている。
この種の輝度向上フィルムとして、散乱型偏光子を利用したものが知られている。
散乱型偏光子を輝度向上フィルムとして利用すると、輝度向上フィルムを通過する光の偏光方向と偏光フィルムを通過する光の偏光方向とを合致させれば、偏光フィルムに吸収される偏光方向の光が手前側の輝度向上フィルムで光源側に反射され、輝度向上フィルムと反射シートとの間で反射及び散乱が繰り返されるうちに光の偏光方向が変化して偏光フィルムを通過するようになり、偏光フィルムを通過する光の光量が増大して画像の輝度を向上させることができる。
このような散乱型偏光子としては、例えば、特許文献1〜3に開示されているように、2種の材料を多層積層し、延伸した偏光子が知られている。これらの偏光子は積層界面での反射特性を用いて、偏光反射特性を付与し、各層の厚みを緻密に制御することにより、高い輝度向上特性を発現させるものである。しかしながら、このような多層構造型の偏光子は、均一な多層積層化や各層厚みの緻密な制御が必要とされるために、製造工程が複雑化し、生産性を著しく落とす懸念点がある。
また、従来においては、複屈折性が異なる2種類のポリマーからなる相分離構造を有するポリマーブレンドを一軸延伸してなる散乱型偏光子が知られている。
このような散乱型偏光子は、延伸方向と垂直方向で偏光の散乱度合いが異なる散乱異方性を備えているため、特定の偏光方向の光を選択的に透過し、他の偏光方向の光を選択的に反射又は散乱させることができる。例えば、特許文献4及び5には、連続相と分散相からなり、連続相と分散相との屈折率の差が第1の軸に沿って0.05より大きく、第1の軸に直交した第2の軸に沿って0.05より小さく、偏光に対する拡散反射率が少なくとも30%である偏光子、及びその製造方法が開示されている。
さらに、特許文献6には、ポリエチレンナフタレート系樹脂を主成分とする分散相と、アクリル系樹脂及びゴムを主成分とする連続相とからなり、分散相の配向方向に垂直で光学フィルム面に平行な軸の、分散相と連続相との屈折率差が、0.05より大きく0.1より小さい光学フィルムが開示されている。
これらの偏光子は、連続相と分散相との界面での散乱反射を利用して偏光特性を発現することを特徴としており、先に述べた多層構造型の偏光子と比較し、生産上の制御が比較的安易であるため、生産性が高いといった特徴を有している。
特表平09−506984号公報 特表平09−506985号公報 特表平09−507308号公報 特表2000−506989号公報 特表2000−506990号公報 特開2011−197299号公報
しかしながら、上記特許文献4〜6に開示されている偏光子では、連続相と分散相の屈折率差を定める範囲に形成させても、偏光透過特性が不十分である。さらには、連続相と分散相の相溶性が低い為、比較的、大きな分散相が形成され、その分散相が一軸に伸長されることから、機械的強度にも異方性が生じ、割れや裂けなどが生じるといった課題を有する。
また従来、高い輝度向上性能を発現させるためには、上記特許文献5に開示されているように、偏光に対する高い拡散反射特性が必要と考えられていたが、本発明者らは、偏光に対する透過特性を十分に高めることが、高い輝度向上性能を発現させるために必要であることに想到したのである。
すなわち、本発明の目的は、高い機械的強度と、高い偏光透過特性を有し、輝度向上フィルムとして特に好適な散乱型偏光子を提供することにある。
本発明者らは、偏光子の機械的強度を向上し、かつ偏光に対する透過特性を十分に高める因子として、分散相のモルフォロジーを制御することが重要であることを究明し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含有し、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有する、1軸方向に配向したフィルムからなる散乱型偏光子であって、前記連続相(I)の屈折率と前記分散相(II)の屈折率との差の絶対値が、配向方向に対して平行な軸(S軸)において0.05より大きく、かつ、配向方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)において0.05より大きく、前記分散相(II)のP軸方向の分散径が10nm以上、200nm以下であり、P軸における、測定波長400nm〜700nmの平均偏光透過率が80%以上であり、JIS K7128−3に準拠して測定したP軸方向の引き裂き強度が600N/cm以上であることを特徴とする散乱型偏光子である。
また、本発明は、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の固有複屈折率が共に正であることが好ましい。
また、本発明は、前記分散相(II)のP軸方向の分散径が10nm以上、100nm以下であることが好ましい。
また、本発明は、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の少なくとも一方がポリエステル系樹脂であることが好ましい。
また、本発明は、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)が共にポリエステル系樹脂であり、かつ、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)が異なる種類のポリエステル系樹脂であることが好ましい。
本発明が提案する散乱型偏光子は、従来のような割れや裂けなどの機械的強度の異方性が少なく、高い偏光透過性能を有するため、輝度を向上させ得る散乱型偏光子として好適に用いることができる。また、本発明の散乱型偏光子を備えてなる液晶表示装置を提供することができる。
液晶ディスプレイ(LCD)の一般的な構成の一例を示した断面図である。
以下、本発明の実施形態の一例としての散乱型偏光子(「本偏光子」と称する)について説明する。
<本偏光子>
本偏光子は、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含有し、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有する、1軸方向に配向したフィルムからなる散乱型偏光子である。
この時、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(B)と称することとする。すなわち前記連続相(I)と前記分散相(II)は異なる熱可塑性樹脂を主成分とすることとなる。
(本偏光子に用いる熱可塑性樹脂)
前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)としては、本発明において規定する範囲を逸脱しなければ、特に限定されることはないが、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の固有複屈折率が共に正であることが好ましい。
例えば、ポリスチレン系樹脂やアクリル系樹脂といった固有複屈折率が負である熱可塑性樹脂も本発明に使用することができるが、これらは分子鎖の側鎖に嵩高い分子構造を有するため、機械的強度に不安が残る。従って、偏光子を形成した場合の機械的強度の低下を防ぐ観点から、固有複屈折率が正である熱可塑性樹脂を用いることが好適である。但し、機械的強度に優れた、固有複屈折率が負である熱可塑性樹脂を用いることを妨げるものではない。
また、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)の平均屈折率と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の平均屈折率との差の絶対値が0.05より大きい方が好ましい。
前記熱可塑性組成物(A)と前記熱可塑性樹脂(B)の固有複屈折率がともに正である場合、前記(A)と前記(B)との平均屈折率差の絶対値が0.05以下であると、配向した際に、連続相(I)と分散相(II)の配向方向に平行な軸(S軸)における屈折率差が生じにくいと考えられる。
また、前記(A)と前記(B)との平均屈折率の大小関係と、前記(A)と前記(B)の複屈折率の大小関係とが等しいことが好ましい。すなわち、仮に、前記(A)と前記(B)との平均屈折率の大小関係が(A)>(B)とした場合、前記(A)と前記(B)の複屈折率の大小関係は(A)>(B)であることが好ましい。該大小関係が合致しない場合、連続相(I)と分散相(II)の配向方向に平行な軸(S軸)における屈折率差が生じにくいと考えられる。
しかしながら、一軸方向に配向した本偏光子が、本発明の規定する範囲に属するのであれば、前記(A)と前記(B)との平均屈折率差の絶対値や、平均屈折率と複屈折率の大小関係の合致はこの限りではない。
また、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の少なくとも一方が、結晶性の熱可塑性樹脂であることが好ましい。結晶性の熱可塑性樹脂であれば、一軸方向に配向した際、高分子鎖が配向しやすく、配向方向に平行な軸(S軸)に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすく、上記S軸における偏光反射特性を向上させやすいため、好ましい。
なお、結晶性の熱可塑性樹脂とは、一般に結晶融解ピーク温度(融点)が存在するとされる熱可塑性樹脂を指し、より具体的にはJIS K7121に準拠して行う示差走査熱量測定(DSC)において融点が観測される熱可塑性樹脂であって、いわゆる半結晶性の状態のものを包含する。逆に、DSCにおいて融点が観測されない熱可塑性樹脂を「非晶性」と称する。
このような結晶性の熱可塑性樹脂としては特に限定はないが、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクタム等のポリエステル系樹脂、高密度ポリエチレンや低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体や、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体等のエチレン系共重合体、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリテトラフルオロエチレンや、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等のエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどを挙げることができる。これらの中でもポリエステル系樹脂が好ましく、結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂であることがさらに好ましい。
一般に、ポリエステル系樹脂は固有複屈折率が正となることが多く、中でも芳香族ポリエステル系樹脂は高い複屈折率を有する為、配向方向に平行な軸(S軸)に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすく、上記S軸における偏光反射特性を向上させやすいため、好ましい。
また本偏光子においては、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)のうち、一方の熱可塑性樹脂が結晶性あるいは半結晶性の熱可塑性樹脂の場合、もう一方の熱可塑性樹脂は、非晶性の熱可塑性樹脂であることが好ましい。
後述するが、本偏光子は一軸方向に配向した後、寸法安定性の観点から熱処理を行うことが好ましく、熱処理の際に、結晶性の熱可塑性樹脂は、配向結晶化しやすくなり、配向方向に平行な軸(S軸)、配向方向に垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)に対する屈折率の異方性が大きな状態で熱固定される。一方、非晶性の熱可塑性樹脂は熱処理の際に、配向が緩和しやすくなる傾向となり、結果的に、上記S軸に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすくする傾向となるため、好ましい。
非晶性の熱可塑性樹脂としては特に限定は無いが、例えばポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテルなどを挙げることができる。これらの中でも、非晶性のポリエステル系樹脂であることが好ましい。
さらに、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)が共にポリエステル系樹脂であり、かつ、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)が異なる種類のポリエステル系樹脂であることが好ましい。
前述の通り、一般に、ポリエステル系樹脂は、固有複屈折率が正となることが多く、高い複屈折率を有するため、配向方向に平行な軸(S軸)に対する連続相(I)と分散相(II)の屈折率差を増大させやすい。
加えて、前記熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)が共にポリエステル系樹脂であり、かつ、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)が異なる種類のポリエステル系樹脂である場合、(A)と(B)との相溶性が高い為、連続相(I)と分散相(II)が均一、かつ、微細な海島構造を形成しやすい。
そのため、一軸方向に配向した際に生じる分散相(II)の配向方向に伸長した島構造において、前記分散相(II)の配向方向に垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)方向の分散径が10nm以上、200nm以下の範囲となりやすくなり、本偏光子における輝度の向上を発現しやすくする効果をもたらす。
また、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)が共にポリエステル系樹脂であり、かつ、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)が異なる種類のポリエステル系樹脂である場合、前記熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)のうち、一方が結晶性のポリエステル系樹脂、特には結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂であり、もう一方が非晶性のポリエステル系樹脂であることが好ましい。
本偏光子において好ましく使用できるポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸残基とジオール残基とから誘導されるものや、乳酸などのヒドロキシカルボン酸から誘導されるもの、ε−カプロラクタムから誘導されるものなど、特に制限されない。具体的には例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂や、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクタム等の脂肪族ポリエステル系樹脂のほか、カーボネート結合を有するポリエステルカーボネート等も概念として含まれる。また、上記のほか各種ジカルボン酸残基とジオール残基を種々組み合わせた共重合体や、ポリマーブレンドも含まれる。
好ましいジカルボン酸残基の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−Naスルホイソフタル酸、エチレン−ビス−p−安息香酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそれらのエステル誘導体から誘導される残基が挙げられる。これらのジカルボン酸残基は、1種を単独で、または2種以上を含有していてもよい。
好ましいジオール残基の混合物としては、例えば、第1残基としてエチレングリコール残基、第2残基として1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、イソソルビド、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種から誘導される残基を用いたものが挙げられ、好ましくは第1残基としてエチレングリコール残基、第2残基としてイソソルビド残基、又は、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を用いたものが挙げられる。
中でも、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)のうち、少なくとも一方がポリエチレンナフタレート系樹脂であることが、高い平均屈折率と高い複屈折率を有することから好ましい。
ポリエチレンナフタレート系樹脂を使用する場合、重量平均分子量としては、3万以上が好ましく、固有粘度としては0.5dl/g以上が好ましく、ガラス転移温度としては70℃〜120℃の範囲が好ましく、融点としては240℃〜270℃の範囲が好ましい。
また、ポリエチレンナフタレート系樹脂を使用する場合、YI値が−10〜10の範囲内、特に−3〜3の範囲内であるものを用いるのが好ましい。また、ポリエチレンナフタレート系樹脂が各々混合物からなる場合には、各樹脂ともにYI値が−10〜10の範囲内であることが好ましい。YI値が−10〜10の範囲内であれば、例えば輝度向上フィルムとして液晶ディスプレイ等に組み込むことにより、画像の精彩性をより一層良好にすることができ、輝度向上率をより一層高めることができる。
ポリエチレンナフタレート系樹脂としては、市販品を用いることもできる。
例えば、テオネックスTN8065S(ポリエチレンナフタレートのホモポリマー、帝人化成(株)製、固有粘度0.71dl/g)、テオネックスTN8065SC(ポリエチレンナフタレートのホモポリマー、帝人化成(株)製、固有粘度0.55dl/g)、テオネックスTN8756C(ポリエチレンナフタレートとポリエチレンテレフタレートのコポリマー、帝人化成(株)製、固有粘度0.65dl/g)などを好ましい例として挙げることができる。
(本偏光子の組成)
本偏光子を構成する、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の混合質量比は、(A)/(B)=10質量%/90質量%〜90質量%/10質量%であることが好ましい。このような混合質量比とすることにより、分散相が少なくなり過ぎず、連続相と分散相との界面における散乱が小さくなり偏光反射特性が低下するなどのおそれがないため好ましい。
なお、本偏光子は、前記熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)を少なくとも1種ずつ含有していれば、さらに他の熱可塑性樹脂を含有しても構わず、例えば前記熱可塑性樹脂(B)に該当する熱可塑性樹脂を2種以上含んでいても構わない。
(その他成分)
本偏光子には、前記分散相(II)の分散性を向上させる目的で、必要に応じて相溶化剤(C)などの添加剤を添加してもよい。
相溶化剤(C)としては、連続相及び分散相の種類に応じて慣用の相溶化剤から選択することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、エステル系樹脂、エポキシ基を持つ樹脂、オキサゾリン環を持つ樹脂、アズラクトン基を持つ樹脂から選ばれた少なくとも1つの樹脂と、スチレン系樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリアミドから選ばれた少なくとも1つの樹脂とからなるブロックコポリマー、あるいはグラフトコポリマーを挙げることができる。中でも、分散性向上の点で、エポキシ基やオキサゾリン基を持つ樹脂などが特に好ましく、特にエポキシ変性のものが好ましい。
相溶化剤(C)を添加する場合の配合割合は、前記熱可塑性樹脂(A)及び前記熱可塑性樹脂(B)の合計100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜15質量部、特に0.2〜10質量部、さらに好ましくは1〜10質量部とするのが好ましい。
また、前記相溶化剤(C)以外の添加剤として、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、加水分解防止剤、衝撃改良剤などの各種添加剤を、本発明の特性を阻害しない範囲で添加することができる。
(屈折率差)
本偏光子は、前記連続相(I)の屈折率と前記分散相(II)の屈折率との差の絶対値が、配向方向に対して平行な軸(S軸)において0.05より大きく、かつ、配向方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)において0.05より大きいことが重要である。
前記連続相(I)の屈折率と前記分散相(II)の屈折率との差の絶対値が、配向方向に対して平行な軸(S軸)において0.05より大きいことにより、前記S軸における偏光に対して高い散乱反射特性が発現し、得られる散乱型偏光子の輝度向上能力を向上させることができる。前記連続相(I)の屈折率と前記分散相(II)の屈折率との差の絶対値は、前記S軸において、0.1より大きいことがより好ましく、0.15より大きいことが更に好ましい。
また、前記連続相(I)の屈折率と前記分散相(II)の屈折率との差の絶対値が、配向方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)において0.05より大きいことにより、前記P軸における偏光に対して高い透過特性を発現させることができる。
一方、前記連続相(I)の屈折率と前記分散相(II)の屈折率との差の絶対値は、0.1より小さいことが好ましい。0.1より小さいことにより、後述する分散相(II)のP軸方向の分散径が本発明の規定する範囲に場合において、連続相(I)と分散相(II)との界面における散乱が抑制され、前記P軸における透過特性を発現できるため好ましい。
前記連続相(I)の屈折率と前記分散相(II)の屈折率との差の絶対値を、配向方向に対して平行な軸(S軸)において0.05より大きくする手段としては、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)との平均屈折率の差の絶対値が0.05より大きくなるよう、前記熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)を選択し、本発明の規定する範囲に調整する方法や、自由幅1軸延伸、一定幅1軸延伸、引っ張り延伸法、ロール間延伸法、ロール圧延法などの延伸により前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)、及び/又は、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を配向させ、複屈折率の違いを利用して、本発明の規定する範囲に調整する方法、あるいは、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)、及び/又は、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)に、相溶する他の熱可塑性樹脂や屈折率調整剤などを添加し、本発明の規定する範囲に調整する方法などが挙げられる。
また、前記連続相(I)の屈折率と前記分散相(II)の屈折率との差の絶対値を、配向方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)において0.05より大きくする手段としては、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)との平均屈折率の差の絶対値が0.05より大きくなるよう、前記熱可塑性樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)を選択し、本発明の規定する範囲に調整する方法や、自由幅1軸延伸、一定幅1軸延伸、引っ張り延伸法、ロール間延伸法、ロール圧延法などの延伸により前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)、及び/又は、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を配向させ、複屈折率の違いを利用して、本発明の規定する範囲に調整する方法、あるいは、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)、及び/又は、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)に、相溶する他の熱可塑性樹脂や屈折率調整剤などを添加し、本発明の規定する範囲に調整する方法などが挙げられる。
(分散相(II)のP軸方向の分散径)
本偏光子は、前記分散相(II)のP軸方向の分散径が10nm以上、200nm以下であることが重要である。分散径は、後述する方法により測定される。
本偏光子は、一軸方向に配向してなるため、分散相(II)は、扁平した楕円体、又は、繊維状となる。前記分散相(II)のP軸方向の分散径が10nm以上、200nm以下であれば、光の波長オーダーよりも十分小さい為、配向方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)における連続相(I)と分散相(II)の屈折率差が大きくても、十分な透過特性を発現させることが可能となる。
また、本偏光子において、前記P軸における偏光に対して、より高い偏光透過特性を発現させる為にも、前記分散相(II)のP軸方向の分散径が10nm以上、200nm以下であることが非常に重要である。中でも、前記分散相(II)のP軸方向の分散径が10nm以上、100nm以下であることが、前記P軸における偏光に対して、より高い透過特性を発現する為、好ましい。
一方、前記分散相(II)のP軸方向の分散径が200nmを超える場合、連続相(I)と分散相(II)の界面における散乱が生じやすくなり、偏光透過特性を低下させる。また、散乱型偏光子の機械的物性の異方性が生じやすくなり、割れや裂けといった不具合が生じやすい。また、10nm未満の場合、事実上、連続相(I)と分散相(II)は相溶化していると見なすことができ、偏光特性の発現が困難である。
前記分散相(II)のP軸方向の分散径を10nm以上、200nm以下とする手段としては、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と、前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)とを、二軸押出機等を用いて相溶しない程度に十分に混錬する手法、1軸延伸により前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を十分に伸長する方法、Tダイキャスト法において製膜する際に、引き取り速度(キャストロールの速度)を速くすることによって前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を十分に伸長する方法、インフレーション法によって製膜する際に、引き取り速度を速くすることによって前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)を十分に伸長する方法、繊維径が10nm以上、200nm以下の繊維を、前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)に含浸する方法などが挙げられる。
(偏光透過率)
本偏光子は、P軸における、測定波長400nm〜700nmの平均偏光透過率が80%以上であることが重要である。従来、高い輝度向上能力を発現させるためには、偏光に対する高い拡散反射特性が必要と考えられていたが、本発明者等は、その理由は定かではないものの、前記P軸における偏光に対する透過特性を十分に高めることにより、輝度向上能力向上への寄与が大きいことを見出した。
前記平均偏光透過率は82%以上であることがさらに好ましく、84%以上であることが特に好ましい。前記平均偏光透過率を80%以上とするためには、前記連続相(I)の屈折率と前記分散相(II)の屈折率との差の絶対値や、前記分散相(II)のP軸方向の分散径を、本発明において特定する範囲とすることにより、達成可能である。
(機械的強度)
さらに、本偏光子はJIS K7128−3に準拠して測定したP軸方向の引き裂き強度が600N/cm以上であることが重要である。より具体的には、JIS K7128−3に準拠して試験片を作成し、温度23℃、試験速度200mm/分の条件で直角形引裂法により測定した引き裂き強度をもって評価する。
引き裂き強度が600N/cm以上であることにより、本偏光子は輝度向上フィルムとして使用する際に優れた機械的強度を有し、例えば液晶表示装置に組み込む場合のハンドリング時に破損するなどの問題が生じる可能性が極めて小さくなる。
従来技術として述べたように、従来の偏光子は連続相と分散相の相溶性が低い為、比較的、大きな分散相が形成され、その分散相が一軸に伸長されることから、機械的強度にも異方性が生じ、P軸方向に荷重がかかると、S軸に沿って容易に割れや裂けなどが生じるという課題があった。
これに対し、本偏光子は驚くべきことに、従来達成し得なかったような機械的強度を有するものであり、JIS K7128−3に準拠して測定したP軸方向の引き裂き強度は、700N/cm以上であることが好ましく、800N/cm以上であることがより好ましく、900N/cm以上であることがさらに好ましく、1000N/cm以上であることが特に好ましい。
JIS K7128−3に準拠して測定したP軸方向の引き裂き強度を600N/cm以上とする手段としては、本偏光子を構成する熱可塑性樹脂について、正の固有複屈折率を有するものを選択することや、相溶性が良いものを選択すること、前記分散相(II)のP軸方向の分散径を10nm以上、200nm以下とすること、結晶性の熱可塑性樹脂を用いる場合において十分に結晶化させることなどが挙げられ、これらの手段を組み合わせて達成することもできる。
(製膜方法)
本偏光子を製造する方法としては、まず、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含有する混合樹脂組成物を、溶融してシート状に製膜すればよい。この時、製膜する方法としては特に限定されず、Tダイキャスト法、カレンダー法、インフレーション法などを例示できる。これらの中でも、製膜安定性や生産効率化の観点から、Tダイキャスト法が好ましい。
Tダイキャスト法を採用する場合には、例えば、少なくとも2種の熱可塑性樹脂を乾燥させ、押出機に供給し、樹脂の融点以上の温度に加熱して溶融する。そして、溶融した組成物をTダイのスリット状の吐出口から押し出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成すればよい。
(配向方法)
本偏光子は、前述の通り1軸方向に配向したフィルムからなる。配向させる方向としては、フィルムの引き取り(流れ)方向(MD)と、MDに直交する方向(TD)のいずれでもよいが、本偏光子の有する特性をより効果的に発現させるために、MDに配向することが好ましい。すなわち、本偏光子において、配向方向に対して平行な軸(S軸)がMDであり、配向方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)がTDであることが好ましい。
また、配向させる方法としては特に限定されないが、例えば前記の通りTダイキャスト法によって製膜したシートを、MD又はTDに1軸延伸する方法や、Tダイキャスト法において製膜する際に、引き取り速度(キャストロールの速度)を速くすることによってMDにドラフトをかける方法、インフレーション法によって製膜する際に、引き取り速度を速くすることによってMDにドラフトをかける方法などを例示できる。
中でも、前記の通りTダイキャスト法によって製膜したシートを、MD又はTDに1軸延伸する方法が、製膜安定性や生産効率化の観点から好ましい。
(延伸方法)
ここで「1軸延伸」とは、積極的に一方向のみに行う延伸を意味するものであり、例えば、製膜、熱処理或いは巻き取りなどの過程で、前記一方向とは異なる方向に自然に延伸されるような場合も包含する意である。客観的には、一方向の延伸倍率が、これと直交する方向の延伸倍率の2倍以上である場合である。
このように1軸延伸することにより、連続相中に分散相をほぼ一定方向に配列させて固定させることができ、異方性散乱機能を発揮させることができる。
1軸延伸によって、連続相(I)と分散相(II)との屈折率差は延伸方向に大きくなるとともに、分散相(II)が延伸方向に伸長され、分散相のP軸方向の分散径が、本発明の規定する範囲内に含まれてくる。そのため、前記S軸に対する屈折率差が大きくなる方向の偏光は散乱し、前記P軸に対しては、分散径が光の波長オーダーに対し、十分小さくなることから、偏光は透過する特性を備えた散乱型偏光素子を作製することができる。
延伸方法は、自由幅1軸延伸、一定幅1軸延伸のいずれでもよく、また、引っ張り延伸法、ロール間延伸法、ロール圧延法、その他の方法のいずれを採用してもよい。
延伸温度は、樹脂のガラス転移温度(Tg)程度から(Tg+50℃)の範囲内の温度とするのが好ましい。延伸温度がこの範囲であれば、延伸時に破断することなく安定して延伸を行うことができる。
延伸倍率は、特に限定するものではないが、例えば、MD又はTDに2倍以上、好ましくはMD又はTDに3〜6倍、特にMD又はTDに4〜5倍とするのが好ましい。中でも、製膜した未延伸シートにて形成されたと分散相(II)を伸長させることにより、前記分散相(II)のP軸方向の分散径を低減し、本発明の定める範囲に調整するために、MDに延伸することが特に好ましい。
延伸したシートは、耐熱性及び寸法安定性を付与するべく、熱処理するのが好ましい。
例えば、ポリエチレンナフタレート系樹脂を使用する場合、熱処理温度は180〜230℃とするのが好ましく、180〜200℃とするのがさらに好ましい。熱処理に要する処理時間は、好ましくは1秒〜5分である。
(厚み)
本偏光子の厚みは、特に限定するものではない。例えば輝度向上フィルムに用いる場合には、50μm〜250μm、特に100μm〜200μmとするのが好ましい。一般的に、散乱型偏光子は、厚みを増大させた場合、散乱回数が増大する為、配向方向に対して平行な軸(S軸)における偏光反射特性が向上するものの、相反して、配向方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)における偏光透過特性が低下する傾向がある。
しかしながら、本発明のように、前記分散相(II)のP軸方向の分散径を10nm以上、200nm以下とすることにより、厚みの増大に対し、前記S軸における偏光反射特性は向上し、かつ、前記P軸における偏光透過特性の低下を抑制できる効果をもたらす。
<用語の説明>
本発明において、散乱型偏光子の形態は特に限定するものではなく、板状、シート状、フィルム状その他の形態を包含する。
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、本明細書において「主成分」と表現した場合、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。
この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるものである。
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
ここで、シート乃至フィルムを製造する際のシート乃至フィルムの引き取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
<測定及び評価方法>
先ずは、実施例・比較例で得たサンプルの各種物性値の測定方法及び評価方法について説明する。
(1)平均屈折率・固有複屈折率
平均屈折率は、アタゴ製アッベ屈折率計を用い、ナトリウムD線(589nm)を光源とし、JIS K7124により、実施例、及び、比較例に用いた原料の平均屈折率を測定した。
固有複屈折率は、分子鎖の構成単位であるモノマー当たりの分極率を屈折率値で表したものであり、下記式(1)で表されるローレンツ−ローレンツの式により推定出来る。
Figure 0005875451

代表的なポリマーの固有複屈折率の推定値を下記に記す。
・ポリエチレンナフタレート:0.33
・ポリエチレンテレフタレート:0.23
・ポリ1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート:0.17
・ポリメタクリル酸メチル:−0.0043
(2)偏光透過率の評価方法
偏光透過率は、分光光度計((株)日立製作所製:U−4000)に積分球を取り付け、測定を行った。300nmから800nmの波長の光源の入射光側に偏光フィルムを取り付け、その光源側に吸収型偏光フィルムを挿入し、光源を鉛直方向に偏光する直線偏光のみにして実施例及び比較例の散乱型偏光子を挿入して、散乱型偏光子の偏光透過率を、延伸方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)、延伸方向に対して平行軸(S軸)についてそれぞれ測定した。
前記P軸についての評価基準は、400nm〜700nmの偏光透過率の平均が80%以上の場合を「○」、80%未満の場合を「×」と評価した。
(3)分散相(II)のP軸方向の分散径
走査型電子顕微鏡(SEM)にて得られたフィルムの断面を観察し、下記基準にて判断した。
◎:分散相(II)を形成する樹脂のP軸方向の分散径が10nm以上、100nm以下。
○:分散相(II)を形成する樹脂のP軸方向の分散径が100nmより大きく、200nm以下。
×:分散相(II)を形成する樹脂のP軸方向の分散径が10nm未満、又は200nmより大きい。
(4)輝度評価
バックライトユニット(センチュリー社製「plus one VGA」8インチ、型番: LCD−8000V)内に、反射シート、LED光源付き導光板、拡散シート、プリズムシート(2枚)、サンプル(輝度向上フィルム)及び偏光フィルムを順次積層して固定し、約50cm離れたその画面の中央輝度を輝度計(ミノルタ社製、型式:LS−100)によって測定した。
試料シートを組み込まないときの輝度(基準)を測定し、この輝度に対する割合を輝度向上率として算出した(下記式(2)参照)。この値が大きいほど、高輝度である。
式(2): 輝度向上率=(試料シート組み込済時の輝度/試料シート組み込前の輝度)
(5)引き裂き強度
JIS K7128−3(1998年)に準拠して試験片を作成し、温度23℃、試験速度200mm/分の条件でP軸方向、及びS軸方向について、直角形引裂法による引き裂き強度測定を行い、下記基準にて判断した。
○:引き裂き強度が600N/cm以上である。
×:引き裂き強度が600N/cm未満である。
<実施例1〜3>
ポリエチレンナフタレート樹脂(平均屈折率:1.646、固有複屈折率:正、Tg:120℃、固有粘度0.71dl/g、以下、A−1と表記)と、非晶性ポリエステル樹脂(平均屈折率:1.568、固有複屈折率:正、Tg:109℃、ジカルボン酸ユニット:テレフタル酸100wt%、ジオールユニット:エチレングリコール30wt%、1,4−シクロヘキサンジメタノール45wt%、イソソルビド25%、以下、B−1と表記)とを表1に示す質量混合比で配合し、十分混合した後、定質量フィーダーにて供給しながら、φ40mm二軸押出機にて290℃で押出混練(吐出量Q(kg/h)とスクリュー回転数N(rpm)の比;Q/N=0.26(kg/h/rpm))し、冷却固化して厚さ600μmのシートを作製した。得られたシートを切り出して、90°傾けた後、予熱温度145℃、延伸温度130℃、熱処理温度180℃(熱処理時間32秒)に昇温したテンターに通紙し、MDに6倍延伸して、シート状の偏光子を得た。得られた偏光子の評価結果を表1に示す。
<比較例1>
ポリエチレンナフタレート(A−1)と、ポリメタクリル酸メチル樹脂(クラレ社製、パラペットHR−1000L、平均屈折率:1.496、固有複屈折率:負、Tg:115℃、以下、C−1と表記)とを表1に示す重量混合比で配合した以外は、実施例1〜3と同様の手法により、シート状の偏光子を得た。得られた偏光子の評価結果を表1に示す。
Figure 0005875451
上記結果より明らかであるように、本発明の散乱型偏光子は、高い機械的強度と、高い偏光透過特性を有し、輝度向上フィルムとして特に好適な散乱型偏光子であることがわかる。これに対し、比較例のシートは、機械的強度と偏光透過特性が共に不十分であった。
すなわち、本発明の散乱型偏光子は、これを輝度向上フィルムとして液晶表示装置に組み込む場合に、優れたハンドリング性と、輝度向上特性を発現することができる。

Claims (6)

  1. 少なくとも2種の熱可塑性樹脂を含有し、連続相(I)と分散相(II)による海島構造を有する、1軸方向に配向したフィルムからなる散乱型偏光子であって、前記連続相(I)の屈折率と前記分散相(II)の屈折率の差の絶対値が、配向方向に対して平行な軸(S軸)において0.05より大きく、かつ、配向方向に対して垂直でフィルム面に平行な軸(P軸)において0.05より大きく、前記分散相(II)のP軸方向の分散径が10nm以上、200nm以下であり、P軸における、測定波長400nm〜700nmの平均偏光透過率が80%以上であり、JIS K7128−3に準拠して測定したP軸方向の引き裂き強度が600N/cm以上であることを特徴とする散乱型偏光子。
  2. 前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の固有複屈折率が共に正であることを特徴とする請求項1に記載の散乱型偏光子。
  3. 前記分散相(II)のP軸方向の分散径が10nm以上、100nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の散乱型偏光子。
  4. 前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)の少なくとも一方がポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の散乱型偏光子。
  5. 前記連続相(I)を形成する熱可塑性樹脂(A)と前記分散相(II)を形成する熱可塑性樹脂(B)が共にポリエステル系樹脂であり、かつ、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)が異なる種類のポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の散乱型偏光子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の散乱型偏光子を備えてなる液晶表示装置。
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