JP2018139496A - コイル及びコイルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】平型コイルを屈曲させたときの折れ曲がった部分を小さくでき、性能が向上したコイル及びコイルの製造方法を提供する。【解決手段】第1の方向にて対向する一対の直線部11A(12A)と、第1の方向に交差する第2の方向にて対向する一対の端部11B(12B)を有する環状の第1コイル層11及び第2コイル層12が少なくとも積層された平型コイル20を、少なくとも一方の前記端部側において屈曲することによって構成されるコイル5を提供する。平型コイル20は、α巻コイルであり、第2コイル層12側から第1コイル層11側へ屈曲される。屈曲する側の端部において、第1コイル層11の第2の方向における第1先端面11aと、第2コイル層12の第2の方向における第2先端面12aとが、同一平面上に位置している。【選択図】図3

Description

本発明は、コイル及びコイルの製造方法に関する。
従来、例えば特許文献1に示すように、リニアモータの分野などで、導線を巻回することで形成されるコイルが、可動子(駆動部)として用いられていた。このときのコイルとして、環状のコイル層が複数積層された平型コイルからなるコイルを、複数組み合わせて用いられる場合があった。
特開2008−283763号公報
ここで、コイルを複数組み合わせるとき、コイル同士が干渉しないように端部側を屈曲した屈曲部を設ける必要があった。この屈曲部は、リニアモータの推力に寄与しないが、環状のコイル層が複数積層された平型コイルを屈曲するときに、屈曲部が大きくなる場合があった。そして、この屈曲部が大きくなると、抵抗の増加による発熱が生じ、ひいてはコイルの性能が低下する問題があった。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、平型コイルを屈曲させたときの折れ曲がった部分を小さくでき、性能が向上したコイル及びコイルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るコイルの製造方法は、第1の方向にて対向する一対の直線部及び第1の方向に交差する第2の方向にて対向する一対の端部を有する環状の第1コイル層及び第2コイル層が少なくとも積層された平型コイルを準備する第1工程と、少なくとも一方の端部側において、第2コイル層側から第1コイル層側へ平型コイルを屈曲する第2工程と、を有しており、第1工程において、屈曲する側の端部では、第1コイル層の第2の方向における第1先端面と、第2コイル層の第2の方向における第2先端面との間で、第1先端面が内周側に位置するように段差を設ける。
本発明に係るコイルの製造方法によれば、平型コイルを準備する第1工程において、屈曲する側の端部では、第1コイル層の第2の方向における第1先端面と、第2コイル層の第2の方向における第2先端面との間で、第1先端面が内周側に位置するように段差を設けている。ここで、平型コイルを第2コイル層側から第1コイル層側へ屈曲する場合、第1コイル層の方が第2コイル層より曲率半径が小さいため、第1先端面は、第2先端面よりも屈曲方向に迫り出す量が大きくなり易い。しかしながら、上述のような段差を設けておくことで、第1先端面の迫り出し量を低減することができ、平型コイルを屈曲させたときの屈曲部を小さくできる。これにより、コイルに用いられる導線量を削減できるため、抵抗の増加及びそれに伴う発熱を抑えることができ、コイルの性能を向上することができる。
本発明に係るコイルの製造方法において、段差の大きさは、第2工程後に、第1先端面と、第2先端面とが同一平面上に位置するように設定されてもよい。これにより、平型コイルを屈曲させたときの屈曲部をさらに小さくでき、抵抗の増加及びそれに伴う発熱を抑えることができる。従って、コイルの性能を向上することができる。
本発明に係るコイルの製造方法において、平型コイルは、α巻コイルであってもよい。α巻コイルを用いることによって、コイルに用いられる導線の端部は、両方とも外周側から引き出される。これにより、導線の結線を容易に行うことができる。また、平型コイルを屈曲する時に、導線の端部が第1コイル層又は第2コイル層の内側の線に巻き込まれるのを防ぐことができる。
本発明に係るコイルは、第1の方向にて対向する一対の直線部及び第1の方向に交差する第2の方向にて対向する一対の端部を有する環状の第1コイル層及び第2コイル層が少なくとも積層された平型コイルを、少なくとも一方の端部側において屈曲することによって構成されるコイルであって、平型コイルは、α巻コイルであり、第2コイル層側から第1コイル層側へ屈曲され、屈曲する側の端部において、第1コイル層の第2の方向における第1先端面と、第2コイル層の第2の方向における第2先端面とが、同一平面上に位置する。これにより、第1コイル層の方が第2コイル層より曲率半径が小さかったとしても、平型コイルを第2コイル層側から第1コイル層側へ屈曲する場合の屈曲部を小さくでき、抵抗の増加及びそれに伴う発熱を抑えることができる。従って、コイルの性能を向上することができる。また、平型コイルがα巻コイルであることにより、導線の結線を容易に行うことができると共に、平型コイルを屈曲する時に、導線の端部が第1コイル層又は第2コイル層の内側の線に巻き込まれるのを防ぐことができる。
本発明によれば、平型コイルを屈曲させたときの折れ曲がった部分を小さくでき、性能が向上したコイル及び該コイルの製造方法が提供できる。
本発明の実施形態に係るコイルを用いたリニアモータを示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るコイル部の横断面図である。 本発明の実施形態に係るコイルを示す斜視図である。 平型コイルを準備する工程である第1工程を説明する図である。 平型コイルを屈曲する工程である第2工程を説明する図である。 コイルの屈曲部の片方の拡大図を示す。 従来の平型コイルを準備する工程である第1工程を説明する図である。 従来の平型コイルを屈曲する工程である第2工程を説明する図である。 従来のコイルの屈曲部の片方の拡大図を示す。
以下、本発明によるコイルの好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の内容に限定されない。また、添付図面は実施形態の一例を示したものであり、コイルの形態、寸法、構成の比率は図面に限定して解釈されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、以下の説明において同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るコイルを用いたリニアモータを示す斜視図である。また、図2は、図1中のコイル部の横断面図である。図3は、図1中のコイル部内の本発明の実施形態に係るコイルを示す斜視図である。
図1に示すように、リニアモータ1は、コイル5(図3参照)を収容するコイル部2と、コイル部2をその進行方向へ案内しながら移動させるための磁石ユニット4とを備えている。なお、図1において、コイル部2の進行方向をX軸方向とし、コイル部2の進行方向と直交する鉛直方向をY軸方向とし、コイル部2の進行方向に対する水平方向をZ軸方向とする。
コイル部2は、X軸方向にコイル5が複数並設された2つのコイル列5A、5Bが互いに背面合わせで配置されて成るコイルユニット6の全面を、図2に示すように、コイルモールド(モールド材)7で被覆し、被覆されたコイルユニット6をケース9に収容することによって構成される。なお、図3では、一のコイル5に対して組み合わせる他のコイルを仮想線で示す。このコイル部2は、Y軸方向に延びる本体部2aに幅広の上端部2b及び下端部2cを有する横断面略I字状の形状を呈している。そして、コイル部2は、コイルユニット6へ通電することによって電磁力を発生させ、X軸方向へ移動する。
図1に戻って、磁石ユニット4は、ベースヨーク4aを底部、サイドヨーク4bを両側部としてコの字状に組み合わせた構成であり、このサイドヨーク4bは、その内壁に、X軸方向に沿ってN極の磁石8aとS極の磁石8bを交互に並設して備えている。
これらの磁石8a、8bは、コイル部2の本体部2aの両側面2dに対して所定の隙間を隔てて対向して配置されると共に、ベースヨーク4aは、コイル部2の下端部2cに対して所定の隙間を隔てて対向して配置される。そして、コイル部2が、磁石8a、8bとの間で通電されることにより電磁力を発生し、磁石ユニット4に対してX軸方向に移動する。なお、図1中において、同極の磁石同士のピッチを磁極ピッチMとする。
ここで、コイル5の構成について図3を用いて詳細に説明する。
図3に示すように、コイル5は、略矩形環状(本実施形態では略長方形環状)の平型コイル20を、長手方向(図3ではY軸方向に対応)の両端側において屈曲することによって構成される。平型コイル20は、第1コイル層11及び第2コイル層12が積層された板状のコイルである。なお、平型コイル20の詳細な構成については、コイル5の製造方法と共に後述する。コイル5は、リニアモータ1のコイル部2の本体部2aに対応する一対の推力発生部30と、推力発生部30の両端側で屈曲してコイル部2の上端部2b及び下端部2cにそれぞれ対応する一対の屈曲部40と、を有する鞍型コイルである。
推力発生部30は、リニアモータ1の推力に寄与する部分であり、短手方向(図3ではX軸方向に対応)にて対向しており、短手方向に直交する長手方向(Y軸方向)に延びる一対の直線部分である。この一対の直線部分の間には、他のコイル5の推力発生部30が配置される。屈曲部40は、リニアモータ1の推力に寄与しない部分であり、図2に示すコイルユニット6において並設されるコイル列5A、5B同士の干渉を防ぐために設けられる。
次に、コイル5の製造方法等について図4〜図6を用いて説明する。
図4は、平型コイルを準備する工程である第1工程を説明する図である。図4(a)は、平型コイル20の平面図を示す。平型コイル20は、連続する帯状の導線を矩形環状に巻回することによって形成された第1コイル層11及び第2コイル層12を有している。第1コイル層11と第2コイル層12とは、互いに積層され、積層方向から見て略同一な形状・大きさに係る長方形環状をなしている。また、第1コイル層11及び第2コイル層12は、同一の中心線CLを基準として導線が巻回されている。図4(a)においては、第1コイル層11が第2コイル層12よりも紙面手前側に位置している。
ここで、平型コイル20は、連続する帯状の導線を、中心線CLを基準にして略矩形環状に巻回することによって、第1コイル層11と第2コイル層12が形成され、導線の端部の一方(第1端部50)が、第1コイル層11の外周側から延在しており、導線の端部の他方(第2端部51)が、第2コイル層12の外周側から延在しているα巻コイルである。具体的には、平型コイル20を形成する導線の第1端部50が第1コイル層11の外周側から延在しており、当該導線の第2端部51が、第2コイル層12の外周側から延在している。なお、本実施形態に係るコイル5の特徴部を分かり易く示すために、第1端部50及び第2端部51は、図4(a)及び図4(c)においては仮想線で示され、他の図においては省略されている。
第1コイル層11は、短手方向D1(請求項における「第1の方向」に対応し、図3ではX軸方向に対応する)にて対向しており、短手方向D1に直交する長手方向D2(請求項における「第2の方向」に対応し、図3ではY軸方向に対応する)に延びる一対の直線部11Aと、長手方向D2にて対向する一対の端部11Bとを有している。直線部11Aは長方形環状の第1コイル層11のうち長辺部分に対応し、端部11Bは短辺部分に対応している。なお、端部11Bは、平型コイル20における直線部11A以外の部分であって、短手方向D1に直線状に延びる部分と、湾曲した角部に対応する部分と、を有している。直線部11Aの幅及び端部11Bの幅は、帯状の導線の厚さと巻回数で規定されるため、直線部11Aの幅と端部11Bの幅は等しくなる。
第2コイル層12は、第1コイル層11と同様の方法で形成され、短手方向D1にて対向しており、短手方向D1に直交する長手方向D2に延びる一対の直線部12Aと、長手方向D2にて対向する一対の端部12Bとを有している。なお、直線部12A及び端部12Bの対応関係は、第1コイル層11と同様であり、直線部12Aの幅及び端部12Bの幅が等しい。また、第2コイル層12の巻回数は、第1コイル層11の巻回数と同一である。
図4(a)に示すように、第1コイル層11の短手方向D1における長さ(すなわち端部11Bの短手方向D1における長さ)と、第2コイル層12の短手方向D1における長さ(すなわち端部12Bの短手方向D1における長さ)は、同一である。また、第1コイル層11及び第2コイル層12は、同一の中心線CLを基準にして巻回数が同一であるように巻回されているため、第1コイル層11の直線部11Aの幅と第2コイル層12の直線部12Aの幅とは、同一である。従って、直線部11Aの内周面と直線部12Aの内周面は、同一平面上に位置するように形成され、直線部11Aの外周面と直線部12Aの外周面は、同一平面上に位置するように形成される。ここで「同一平面上に位置する」とは、完全に同一平面上に位置することに限らず、製造誤差程度の多少のずれを包含することとする。
図4(b)は、平型コイル20の側面図を示す。図4(b)に示すように、第1コイル層11の長手方向D2における長さ(すなわち直線部11Aの長手方向D2における長さ及び端部11Bの幅の合計)は、第2コイル層12の長手方向D2における長さ(すなわち直線部12Aの長手方向D2における長さ及び端部12Bの幅の合計)よりも短い。上述のように、端部11Bと端部12Bの幅は同一であることから、直線部11Aの長手方向D2における長さが、直線部12Aの長手方向D2における長さよりも短いこととなる。これにより、端部11Bの長手方向D2における外周面である第1先端面11aと、端部12Bの長手方向D2における外周面である第2先端面12aとの間にずれ(第1段差)が生じている。
また、上述のように、端部11Bの幅と端部12Bの幅は同一であるため、端部11Bの長手方向D2における内周面である第1内周面11bと、端部12Bの長手方向D2における内周面である第2内周面12bとの間にもずれ(第2段差)が生じている。なお、端部11Bの幅と端部12Bの幅は同一であるため、第1先端面11aと第2先端面12aとのずれ量と、第1内周面11bと第2内周面12bとのずれ量とは等しくなる。ここで、当該第1段差及び第2段差が設けられた付近を段差部21とする。
図4(c)は、段差部21の片方を拡大した平面図を示す。図4(c)に示すように、長手方向D2における第1先端面11aと中心線CLとの間の距離は、長手方向D2における第2先端面12aと中心線CLとの間の距離よりも短い。つまり、平型コイル20において、第1先端面11aは、第2先端面12aよりも内周側に位置している。同様に、長手方向D2における第1内周面11bと中心線CLとの間の距離も、長手方向D2における第2内周面12bと中心線CLとの間の距離よりも短い。そして、積層方向における第1コイル層11側から見て、第2コイル層12は、第1コイル層11から露出した露出面12cを有する。
図5は、平型コイルを屈曲する工程である第2工程を説明する図である。図5(a)は、平型コイル20を屈曲したコイル5の平面図を示す。図5(b)は、コイル5の側面図を示す。図6は、図5(b)における屈曲部の片方の拡大図を示す。第2工程では、端部11B、12Bの両側において、平型コイル20を第2コイル層12側から第1コイル層11側へ屈曲する。第2の工程では、直線部11A、12Aの長手方向D2の両端側における所定位置(または、直線部11A(12A)と端部11B(12B)との境界位置)に設定された折り目22にて円弧を描くように屈曲する。屈曲の角度は、隣り合うコイル5との干渉を避けられる限り図に示す角度に限定されず、例えば、図6に示される第2内周面12bの第2コイル層12側の地点P1が、直線L1よりも第1コイル層11側を超えるように、第1コイル層11及び第2コイル層12が屈曲されればよく、また、直線部11A(12B)に対して90°までの範囲の角度に設定してよい。当該第2工程を実行することによって、推力発生部30及び屈曲部40を有する前述のコイル5が形成される。なお、推力発生部30は、直線部11A、12Aに対応し、屈曲部40は、端部11B、12Bに対応している。
図5(b)に示すように、平型コイル20にて形成されていた段差部21における第1先端面11a及び第2先端面12aによる第1段差が、屈曲されることによって無くなっている。つまり、平型コイル20を屈曲することにより、第2コイル層12の露出面12cが、第1コイル層11の積層方向における第2コイル層12側の面に覆われ、隠れている。また、第1内周面11b及び第2内周面12bによる第2段差も同様に、屈曲されることによって無くなっている。
図6では、第1コイル層11の積層方向に対向する面のうち、第2コイル層12と反対側の面を第1面40aとし、第1コイル層11と第2コイル層12とが接合される面を接合面40bとし、第2コイル層12の積層方向に対向する面のうち、第1コイル層11と反対側の面を第2面40cとする。
折り目22付近における第1面40aと、接合面40bと、第2面40cとの曲率半径の間には、第1面40a<接合面40b<第2面40cの関係が成り立っている。従って、この曲率半径の違いを考慮し、第1コイル層11と第2コイル層12との曲率半径の差分を、図4(b)に示す第1先端面11aと第2先端面12aとによって形成される第1段差の大きさとする。これにより、平型コイル20を屈曲した後に、第1先端面11aと第2先端面12aとが同一平面上に位置することができる。従って、上述のような段差を設けておくことで、図6に示す屈曲後の第2先端面12aと第2面40cとの間の最大距離W1と、屈曲後の第1先端面11aと第2面40cとの間の最大距離W2との差分が小さくなり、平型コイル20を屈曲させたときの屈曲部40を小さくできる。
ここで、従来作製されていたコイルについて図7〜図9を用いて説明する。
図7は、従来の平型コイルを準備する工程である第1工程を説明する図である。従来の平型コイル120は、第1コイル層111と第2コイル層112の大きさが同一である以外は図4に示す平型コイル20と同様の形状であり、且つ平型コイル20と同様の作製方法にて作製される。従って、第1コイル層111の内周面と第2コイル層112の内周面は、同一平面上に位置するように形成され、第1コイル層111の外周面と第2コイル層112の外周面は、同一平面上に位置するように形成される。
図8は、従来の平型コイルを屈曲する工程である第2工程を説明する図である。図8(a)及び図8(b)に示すように、平型コイル20を屈曲する工程と同様に、平型コイル120は、折り目122にて第2コイル層112側から第1コイル層111側へ屈曲する。この工程により、屈曲部140を有するコイル105が形成される。
図9は、図8(b)における屈曲部140の片方の拡大図を示す。上述のように、第1コイル層111と第2コイル層112の大きさは同一である。そのため、屈曲時の第1コイル層111と第2コイル層112の曲率半径が異なることから、第1コイル層111の迫り出し量が第2コイル層112のそれよりも多くなり、第1コイル層111が突出する。従って、屈曲部140における第1コイル層111の第1先端面111aと、第2コイル層112の第2先端面112aとが、同一平面上に位置しなくなる。
これにより、図9に示す第2先端面112aと、第2コイル層112の積層方向に対向する面のうち、屈曲後の第1コイル層111と反対側の面である第2面140cとの最大距離W3と、屈曲後の第1先端面111aと第2面140cとの最大距離W4との差分が大きくなり、平型コイル120を屈曲させたときの屈曲部140が大きくなる。ここで、第2コイル層112の大きさが、本実施形態における第2コイル層12の大きさと同一であった場合、W3(=W1)とW4の差分は、W1とW2の差分よりも大きくなることがわかる。そのため、従来のコイル105を用いると、リニアモータの推力に寄与しない屈曲部140が必要以上に大きくなってしまうことでコイル105のサイズが大きくなり、抵抗の増加による発熱などが生じる。
従って、以上説明した本実施形態に係るコイルの製造方法によれば、平型コイル20を準備する第1工程において、屈曲する側の端部では、第1コイル層11の長手方向D2(第2の方向)における第1先端面11aと、第2コイル層12の長手方向D2(第2の方向)における第2先端面12aとの間で、第1先端面11aが内周側に位置するように段差を設けている。このような段差を設けておくことで、第1先端面11aの迫り出し量を低減することができ、平型コイル20を屈曲させたときの屈曲部40を小さくできる。すなわち、本実施形態に係るコイルの製造方法では、第1コイル層11と第2コイル層12との曲率半径の違いを考慮しており、リニアモータ1の推力に寄与しない屈曲部40のサイズが必要以上に大きくなることを抑制することができる。これにより、平型コイル20に用いられる導線量を削減できるため、抵抗の増加及びそれに伴う発熱を抑えることができ、性能の向上したコイルを提供できる。また、この製造方法を用いたコイルは、上述の作用効果を得ることができる。
また、段差の大きさは、第2工程後に、第1先端面11aと、第2先端面12aとが同一平面上に位置するように設定されてもよい。これにより、平型コイル20を屈曲させたときの屈曲部40をさらに小さくでき、抵抗の増加及びそれに伴う発熱を抑えることができる。従って、コイルの性能を向上することができる。
また、平型コイル20は、α巻コイルであってもよい。α巻コイルを用いることによって、コイルに用いられる導線の端部は、両方とも外周側から引き出される。これにより、導線の結線を容易に行うことができる。また、平型コイル20を屈曲する時に、導線の端部が第1コイル層11又は第2コイル層12の内側の線に巻き込まれるのを防ぐことができる。
なお、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、平型コイル20の長手方向における端部の両側を屈曲しているが、一方の端部を屈曲するだけでもよい。この場合、屈曲しない方の端部における第1コイル層及び第2コイル層の外周面及び内周面は、同一平面上に位置するように形成されてもよい。
また、平型コイル20は必ずしもα巻コイルに限定されず、例えば第1コイル層と第2コイル層とが異なる導線を巻回することによって形成されていてもよい。なお、平型コイル20は必ずしも2層に限らず、3層以上によって形成されていてもよい。
平型コイル20として、略矩形環状のものを例示したが、各コイル層11、12が少なくとも直線部11A、12Aを有していれば、端部11B、12Bの形状は特に限定されない。例えば、端部11B、12Bが半円状、円弧状に形成されていてもよく、略三角形状に形成されていてもよい。
また、本実施形態に係るコイルは、リニアモータに限定されず、他の用途(例えば電動モータや発電機、ダンパーなど)に適用可能である。
1…リニアモータ、2…コイル部、4…磁石ユニット、5…コイル、5A、5B…コイル列、6…コイルユニット、11…第1コイル層、12…第2コイル層、11A、12A…直線部、11B、12B…端部、11a…第1先端面、12a…第2先端面、11b…第1内周面、12b…第2内周面、12c…露出面、20…平型コイル、21…段差部、22…折り目、30…推力発生部、40…屈曲部、40a…第1面、40b…接合面、40c…第2面、50…第1端部、51…第2端部。

Claims (4)

  1. 第1の方向にて対向する一対の直線部及び前記第1の方向に交差する第2の方向にて対向する一対の端部を有する環状の第1コイル層及び第2コイル層が少なくとも積層された平型コイルを準備する第1工程と、
    前記平型コイルを、少なくとも一方の前記端部側において、前記第2コイル層側から前記第1コイル層側へ屈曲する第2工程と、を有するコイルの製造方法であって、
    前記第1工程において、屈曲する側の前記端部では、前記第1コイル層の前記第2の方向における第1先端面と、前記第2コイル層の前記第2の方向における第2先端面との間で、前記第1先端面が内周側に位置するように段差を設けることを特徴とする、コイルの製造方法。
  2. 前記段差の大きさは、前記第2工程後に、前記第1先端面と、前記第2先端面とが同一平面上に位置するように設定されることを特徴とする請求項1に記載のコイルの製造方法。
  3. 前記平型コイルは、α巻コイルであることを特徴とする請求項1または2に記載のコイルの製造方法。
  4. 第1の方向にて対向する一対の直線部及び前記第1の方向に交差する第2の方向にて対向する一対の端部を有する環状の第1コイル層及び第2コイル層が少なくとも積層された平型コイルを、少なくとも一方の前記端部側において屈曲することによって構成されるコイルであって、
    前記平型コイルは、α巻コイルであり、前記第2コイル層側から前記第1コイル層側へ屈曲され、
    屈曲する側の前記端部において、前記第1コイル層の前記第2の方向における第1先端面と、前記第2コイル層の前記第2の方向における第2先端面とが、同一平面上に位置することを特徴とするコイル。
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