JP2012175741A - 集中巻コイル - Google Patents
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Abstract
【課題】巻き崩れやエナメル皮膜の損傷が生じにくく製造コストを低減できる構造の集中巻コイルを提供する。
【解決手段】集中巻コイル1は、平角線2を曲げ易いフラットワイズ巻きで渦巻状に規則正しく巻重ねて形成される複数の巻重ね部3を備え、各巻重ね部3が層状の複数列に積み重ねられて列と列とをつなぐ列替り部4で連続し、巻重ね部3のどの位置であっても加工による変形量が概略同じになって巻き崩れが生じにくくエナメル皮膜が損傷しにくい構造であり、ステータ等の形状に合わせて弧状に加工して形成される。
【選択図】図1
【解決手段】集中巻コイル1は、平角線2を曲げ易いフラットワイズ巻きで渦巻状に規則正しく巻重ねて形成される複数の巻重ね部3を備え、各巻重ね部3が層状の複数列に積み重ねられて列と列とをつなぐ列替り部4で連続し、巻重ね部3のどの位置であっても加工による変形量が概略同じになって巻き崩れが生じにくくエナメル皮膜が損傷しにくい構造であり、ステータ等の形状に合わせて弧状に加工して形成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、モータや発電機として動作する種々の回転機のステータ等に装着される集中巻コイルに関し、詳しくは、生産性に優れた新規な構成に関する。
従来、この種の集中巻コイルは、丸線や平角線のエナメル線(被覆線)で形成され、回転機のステータの各相の突極に巻装されて突極間のコイルスロット等のコイル装着部分に配置される。
そして、集中コイルを製造する際には、製造効率等の面から、前記エナメル線を巻枠等に巻回して予め矩形枠形状のコイルカセット状に形成され、ステータの組み立て工程において、前記各相の突極(磁極)に前記コイルカセット状の集中コイルが装着される。
ところで、回転機のコイルが軸に対し放射方向(半径方向)の磁束を捉えるように配置される場合には、各相の前記コイル装着部分は、ステータの形状(モータ軸に直角な断面が円形形状)に基づき、モータ軸に直角方向の辺は弧状(円弧状あるいいはそれに近い形状)であり、これに対して集中コイルの各辺は直線状である。
図8はアウタロータのラジアルギャップ構成のモータや発電機におけるステータの一例のモータ軸に直角な方向から見た概略の断面図を示し、100はステータ、101はモータ軸(図示せず)が貫通する開口、102は等間隔に配置された複数の磁極(突極)、103は各磁極102に装着された集中巻コイルである。
そして、図8からも明らかなように、各磁極102間のコイル装着部分(コイルスロット部分)の底面が円弧状ないしは略円弧状の弧状であるのに対して各集中巻コイル103の底面は平らであり、各集中巻コイル10が角張って出っ張るので、その分、ステータ100が大型化する。インナーロータのラジアルギャップ構成のモータや発電機の場合も同様である。
そこで、これらの回転機においては、集中巻コイルをステータのコイル装着部分(コイルスロット部分等)の形状に合わせて弧状に形成し、ステータを小型化することが考えられる。
そして、エナメル線を巻線して集中巻コイルを形成する際にエナメル線をローラで押し付け、弧状に加工(成形)して形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図9は特許文献1に記載の集中巻コイル巻線装置の巻枠とガイド装置の関係を示す斜視図であり、巻枠300に素線(エナメル線)301が巻き付けられる際に、巻枠300の回転駆動に伴って素線301をガイド装置302の複数のローラ303、304、305、306でガイドする。そして、素線301の弧状の辺の部分が巻き付けられるときには、ローラ303により素線301を下方(z方向)に押し付けて弧状に加工する。
つぎに、図10はインナーロータのモータや発電機のステータ400の内径側の各ティース401に例えば平角線の集中巻コイル402を組み付けて装着する場合を示し、この場合、集中巻コイル402は、平角線を渦巻き状に巻重ねた層を複数列に重ねた構成に形成される。この集中巻コイル402を、図11に示すようにプレス成形でステータ400のコイル装着部分の曲率に合わせた弧状に加工して形成すると、とくに、プレス成形の際、集中巻コイル402の巻重ねの各層内の層から層に列が乗り超える部のようなクロスオーバー部で、平角線のエッジ部が押し合う結果、集中巻コイル402のエナメル被膜が破れ易い。
そこで、丸線の1本のエナメル線を圧延装置に通し、圧延とその待避(中止あるは弱め)とを交互に繰り返すことで、集中巻コイル402に代わる図12(a)の集中巻コイル500を形成し、それをプレス成形で弧状に加工することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この場合、集中巻コイル500は、スロット装着部501a、501bおよび一方のコイルエンド部502bが圧延によって図12(b)に示す平角断面の平角線に形成され、巻重ねの層内の隣の線への移り変わりの部分や層から層に乗り超える部分が存在するもう一方のコイルエンド部502aが図12(c)に示す丸断面の丸線に形成される。すなわち、集中巻コイル500は、平角線によってコイル占積率を高くするとともに、層替り等が行なわれる部分では丸線同士が接触する構造にして接触応力を緩和し、弧状にプレス成形した際のコイルエンド部502aでのエナメル被膜の破れが防止される。なお、図12(b)、(c)は図12(a)のa−a線、b−b線の断面図であり、断面のハッチングは省略している。
図9のガイド装置302を用いて、特許文献1に記載のように巻枠300に巻き付けられる素線301をローラ303で押し付けて円弧状に加工した集中巻コイルを成形する場合、集中巻コイルは、通常、素線301を複数の層に重ね巻きしてされて形成されるため、巻枠300に密着する内側の1層目を巻くときには巻き付けられる素線301をローラ303が直接接触して確実に押すことができるが、1層目を巻き終り、折り返して2層目を巻くときには巻枠300に既に巻かれている1層目の素線301にローラ303が当たり、新たに巻き付けた素線301を直接には押すことができなくなる。その結果、集中巻コイルが巻き崩れ易くなり、集中巻コイルの生産性が低下して製造コストが高価になる。
また、特許文献2に記載の図12(a)の集中巻コイル500の場合、平角断面の平角線部分では丸線のエナメル線に圧延を十分に施して平角線に加工し、丸断面の丸線部分では圧延を緩和して丸線に保持するするという選択的な圧延を精度よく行なうことは容易でない。また、そのような加工で形成された平角線のエッジワイズ巻きは容易でない。さらに、エナメル線の皮膜(エナメル皮膜)に上記の圧延に耐える耐傷性を持たせることは極めて困難であってエナメル皮膜が損傷しやすい。そのため、集中巻コイルの生産性が著しく低下してその製造コストが高価になる。
本発明は、巻き崩れやエナメル皮膜の損傷が生じにくく製造コストを低減できる構造の集中巻コイルを提供することを目的とする。なお、本願発明において、「弧状」の加工は、曲線加工だけでなく折れ線近似状の加工等も含む。
上記した目的を達成するために、本発明の集中巻コイルは、平角線により形成される集中巻コイルであって、前記平角線をフラットワイズ巻きで渦巻状に巻重ねて形成される複数の巻重ね部を備え、前記各巻重ね部は、層状の複数列に積み重ねられて列と列とをつなぐ列替り部で連続し、弧状に加工されていることを特徴としている(請求項1)。
また、本発明の集中巻コイルの前記列替り部は、前記各巻重ね部の弧状に加工されない部分に設けられることを特徴としている(請求項2)。
請求項1に係る本発明の集中巻コイルの場合、各巻重ね部の層は、平角線を曲げ易いフラットワイズ巻きで渦巻状に巻重ねる容易なコイル巻線作業により形成することができる。さらに、各巻重ね部の層は、複数列に積み重ねられ、その平角線が列から列に乗り越えて各巻重ね部をつなぐ列替り部(列の乗り越え部分)で連続する。各巻重ね部の弧状の加工は、例えば各巻重ね部を弧状の型枠に挿入し、弧状に圧縮成形して行なわれるが、この圧縮成形において、各巻重ね部の平角線は、巻重ね部間で混在せず、フラットワイズ巻きされて規則正しく重なるように巻かれるので、巻重ね部のどの位置であっても圧縮による変形量が概略同じであり、局所的に変形量が過大になったりしない。そのため、集中巻コイルは、弧状に加工しても巻き崩れが生じにくくエナメル皮膜が損傷しにくい。したがって、集中巻コイルの生産性を高めることができ、その製造コストを低減できる。
請求項2に係る本発明の集中巻コイルの場合、列を乗り越えてつなぐ渡り線の部分である列替り部が各巻重ね部の弧状に加工されない部分に設けられるので、集中巻コイルを弧状に加工する際に、列替り部は、列から列に乗り越えるための曲げや曲げ戻しの角度が前記弧状の加工の影響を受けず、列替り部の曲げや曲げ戻しの角度が変わることによるエナメル皮膜の損傷が防止され、集中巻コイルの生産性を一層高めて製造コストをさらに低減できる。
つぎに、本発明をより詳細に説明するため、一実施形態について、図1〜図7を参照して詳述する。なお、それらの図面においては、断面のハッチングやモータ軸等は適宜省略している。
図1は本実施形態の集中巻コイル1の弧状の加工前後の状態を示し、図2は集中巻コイル1の平角線2の巻き方を示す。図1に示す集中巻コイル1は、エナメル線の平角線2を図2(a)の白抜きの矢印線に示すように曲げ易い方向(フラットワイズ方向)に曲げるフラットワイズ巻きにより渦巻状に巻重ねて形成された巻重ね部3を備える。
なお、図2(b)は比較のために示した平角線2のエッジワイズ巻きであり、フラットワイズ巻きを、平角線2の断面の長辺を縦方向にした縦方向巻きとすれば、図2(b)の白抜きの矢印線に示すエッジワイズ巻きは、平角線2の断面の長辺を横方向にした横方向巻きであり、曲がり部分における図中の実線の矢印線に示す外側の「伸び」の力および内側の「圧縮」の力は、縦方向巻き(フラットワイズ巻き)より大きく、縦方向巻き(フラットワイズ巻き)より曲げにくい。
そして、集中巻コイル1の巻重ね部3は、1本の平角線2をフラットワイズ巻きで外側から内側、内側から外側にα巻して(必要に応じてこれをくり返すことで)、複数列の層(図1では2列の層)に形成される。
各巻重ね部3は、図1の上からみた平面形状が、矩形(正方形を含む)、多角形または、それらの形状に丸みを持たせた形状等の枠形である。
また、巻重ね部3が図1に示す2列(2層)の場合、図1の上側の巻重ね部3の最外周から最内周まで巻き重ねられた平角線2が下側の列の巻重ね部3の最内周の位置に渡るように斜めに巻かれ、そこから平角線2が最外周まで巻き重ねられることにより、巻重ね部3の列と列が乗り越えてつながる。このとき、斜めに巻かれた部分が図1に示す本発明の列替り部(列の乗り越え部)4である。なお、巻重ね部3が3列(3層)の場合は、例えば、最も外径側(上側)の第1列の巻重ね部3の最内周まで巻き重ねられた平角線2が列替り部4により第2列の巻重ね部3の最内周の位置に斜めに巻かれて第1列と第2列がつながり、さらに、第2列の巻重ね部3の最外周まで巻き重ねられた平角線2が列替り部4により最も内径側(下側)の第3列の最外周の位置に斜めに巻かれて第2列と第3列がつながる。また、巻重ね部3が4列(4層)の場合は、上記第3列の巻重ね部3の最内周まで巻き重ねられた平角線2が列替り部4によりさらに内径側(下側)の第4列の最内周の位置に斜めに巻かれて第3列と第4列がつながる。巻重ね部3が5列(5層)、6列(6層)、…の場合も同様にして巻重ね部3の列と列とは列替り部4によりつながる。
つぎに、上記のエッジワイズ巻きの巻線加工により形成される図1の左側の集中巻コイル1は、各巻重ね部3の矩形の各辺a〜dが直線状である。この集中巻コイル1をモータや発電機のステータに装着するため、ステータの形状に合わせて、さらに、集中巻コイル1のコイルエンド部である対向する2辺a、cを弧状に加工する。この弧状の加工は、例えば、前記巻線加工後の集中巻コイル1を弧状の型枠に挿入する圧縮成形によって行なわれる。
図3(a)、(b)は上記圧縮成形による集中巻コイル1の変形を示し、それらの図面において、P0は弧状の曲率の原点、r1、r2は弧状の加工の最外径、最内径の曲率半径、lは両列の巻重ね部3の平角線2の巻重ねられた各断面、Δは圧縮成形前後の巻重ね部3の中央部分(原点P0を通る線分上の部分)の平行移動量である。なお、図3(b)は両列の巻重ね部3の中央部分の加工前後の断面図(図3(a)の加工前のA−A線断面図、加工後のB−B線断面)である。
そして、集中巻コイル1の2層の巻重ね部3をステータの外径側(上側)から順に第1列、第2列とすると、両列の巻重ね部3は平角線2をフラットワイズ巻きで規則正しく巻いて形成され、第1列の巻重ね部3の平角線2と第2列の巻重ね部3との間で平角線2が混在することはない。この場合、両列の巻重ね部3はどの位置においても圧縮による変形量が概略同じであり、弧状の加工によって中央部がステータの外径側にΔだけ平行移動する。そして、両列の巻重ね部3の弧状の加工による変形量が局所的に過大になったりしないため、集中巻コイル1は、弧状に加工しても巻き崩れが生じにくくエナメル皮膜が損傷しにくい。その結果、集中巻コイル1を製造する際の歩留まりが向上して生産性を高めることができる。
また、本実施形態の集中巻コイル1は、各列の巻重ね部3をつなぐ列替り部4が弧状に加工されない辺bまたは辺d(図1では辺d)に設けられるので、集中巻コイルを弧状に加工する際に、列替り部4は、列から列に乗り越えるための曲げや曲げ戻しの角度が弧状の加工の影響を受けない。
図4(a)は列替り部4が弧状の加工の影響のない辺b(または辺d)に設けられる場合の上記曲げや曲げ戻しの例を示し、同図(b)は列替り部4が弧状の加工の影響がある辺a(または辺c)に設けられる場合の上記曲げや曲げ戻しの例を示す。同図(a)の列替り部4の上側の第1列から下側の第2列に向かう曲げの部分αaおよび、第2列での曲げ戻しの部分βaは弧状の加工前の角度のままで変化はないが、同図(b)の列替り部4の上側の第1列から下側の第2列に向かう曲げの部分αbは弧状の加工前より曲げの角度が変化してきつくなり、第2列での曲げ戻しの部分βbも戻し角度が弧状の加工前より変化する。
したがって、列替り部4が弧状の加工の影響のない辺b(または辺d)に設けられる場合には、弧状の加工の影響がある辺a(または辺c)に設けられる場合に比して、列替り部4の曲げや曲げ戻し部分に再度曲げを加えないことにより、平角線2のエナメル皮膜は損傷しにくくなる。その結果、集中巻コイル1の生産性を一層高めて製造コストをさらに低減できる。
つぎに、集中巻コイル1をステータコイルとしてステータに装着したアキシャルギャップモータの例について説明する。
図5は本実施形態のアキシャルギャップモータ5を組み立てた状態の断面図であり、アキシャルギャップモータ5は、例えば3相駆動のリラクタンスモータであり、モータ軸6の出力側(紙面左側の表側)から順に、平面視が略中空円板状のロータ7a、両面ステータ8、ロータ7bが一定の隙間(ギャップ)を設けて配設されている。両面ステータ8は表側ステータ8aと裏側ステータ8bとを非磁性体9のプレートを設けて背中合せにつき合わせた構成である。
ロータ7a、7bは、同じ形状、構造であって、同形状の前側(紙面左側)のフランジシャフト10aと、後側(紙面右側)のフランジシャフト10bとにより、ロータ7aの磁極面が表側ステータ8aの磁極面に対向し、ロータ7bの磁極面が裏側ステータ8bの磁極面に対向する向きにモータ軸6に取り付けられている。すなわち、ロータ7aの磁極面と表側ステータ8aの磁極面とはモータ軸6の方向に間隔を設けて対向し、裏側ステータ8bの磁極面とロータ7bの磁極面とはモータ軸6の方向に間隔を設けて対向する。
フランジシャフト10a、10bは、モータ軸6が中心を貫通した円板状のフランジ部11の外周に円筒状の支持部12を取り付けた構造であり、支持部12がロータ7a、7bの中空部内に嵌入することでロータ7a、7bと一体にモータ軸6に取り付けられて回転する。なお、両面ステータ5はモータ軸6との間に隙間を設けて固定されている。また、フランジシャフト10a、10bは、いずれも非磁性体の例えばステンレスで形成されている。
図6(a)はロータ7aを磁極面の裏面側からみた(図5の矢印線xが矢視方向)平面図であり、ロータ7a、7bは、それぞれ例えば圧粉磁心で形成された平面視楔形の8個のロータコア71が周方向に45度の間隔で配設された構成である。各ロータコア71は、外径側、内径側の突起したポール72a、72bをロータヨーク部73で繋いだ構成であり、外径側、内径側に非磁性金属のリング体13a、13bが嵌められて放射状(環状)に固定される。ロータコア71間(隣接コア間)の隙間は、空間であってもよいが、図6(a)の場合、例えば非磁性体の樹脂の充填部14で形成され、各ロータコア71は磁気的に独立している。
図6(b)は表側ステータ8aの磁極面の平面図を示す。表側ステータ8aと裏側ステータ8bは、同じ形状、構造であり、外径側、内径側に非磁性体金属のリング体15a、15bが嵌められて一体化されている。さらに、外径側のリング体15aの外側には、各相の一対の端子等を覆う樹脂被覆体16が重ねて設けられている。
表側ステータ8aと裏側ステータ8bは、それぞれ、例えば圧粉磁心で形成された平面視楔形の12個(相当たり90度の間隔の4個)のステータコア81が周方向に30度の間隔で配設される。
各ステータコア81間(隣接コア間)の隙間は、図6(b)では空間であるが、非磁性体の樹脂の充填部であってもよく、空間または充填部により各ステータコア81は磁気的に独立している。
各ステータコア81は、磁極対を形成する外径側の磁極82aと内径側の磁極82bの突起したティースを磁極間のステータヨーク部83で繋いだ構成である。ステータヨーク部83は、ロータヨーク部73と同様、ステータ8a、8bの周に沿った弧状である。
各ステータヨーク部83には、磁極対の磁極82a、82bを励磁する各相のステータコイル17が巻装される。ステータコイル17は、表側ステータ8a、裏側ステータ8bの別に磁極82a、82bの磁極対を励磁するように、表側ステータ8a、裏側ステータ8bそれぞれの各ステータコア81のステータヨーク部83に別個に巻装されてもよいが、本実施形態の場合、ステータコイル17を表側ステータ8aと裏側ステータ8bの磁極対の励磁に共用するため、表側ステータ8aと裏側ステータ8bの同じ位置のステータコア81のステータヨーク部83を1個のステータヨーク部とし、その周囲に樹脂性のカセットホルダ18を介して巻装される。
カセットホルダ18は、表側ステータ8a、裏側ステータ8bの磁極面の部分が、ステータヨーク部83に略嵌入して外径方向に突出した弧状の形状である。
各ステータコイル17は、それぞれ前記した集中巻コイル1で形成され、集中巻コイル1の弧状の辺a、cのコイルエンド部分が表側ステータ8a、裏側ステータ8bの磁極面に位置するようにカセットホルダ18に保持されて両面ステータ5に装着され、前記コイルエンド部は対向するロータ7a、7bの平面視弧状の凹んだロータヨーク部73に回転自在に嵌入する。
この場合、各ステータコイル17は、コイルエンド部が表側ステータ8a、裏側ステータ8bの外径側に突出した弧状の形状であり、表側ステータ8a、裏側ステータ8bの磁極面に同心円の形状に配置される。
一方、各ステータコイル17kのコイルエンド部が角張って出っ張る従来形状であれば、コイルエンド部は表側ステータ8a、裏側ステータ8bの磁極面に、略前記同心円を内接円とする多角形の形状に配置される。
図7は従来の直線形状の各ステータコイル17kが多角形の形状に配置された比較例ステータ8kと、各ステータコイル17が集中巻コイル1で形成された弧状の形状の表側ステータ8aとの磁極面の比較を示し、比較例ステータ8kは各ステータコイル17kのコイルエンド部が磁極面に多角形の形状に配置されて角張るのに対して、本実施形態の表側ステータ8aは各ステータコイル17のコイルエンド部が磁極面に前記同心円の形状に配置される。各ステータコイル17が集中巻コイル1で形成された裏側ステータ8bも表側ステータ8aと同様である。
そして、ロータ7a、7bのロータヨーク部73に回転自在に嵌入する裏側ステータ8a、裏側ステータ8bの各ステータコイル17のコイルエンド部の形状は、ロータヨーク部73の平面視の形状に沿った弧状の形状であり、ロータ7a、7bの回転時に一定以上のクリアランスを確保する上から無駄がなく最も好ましい形状である。一方、比較例ステータ8kの各ステータコイル17kのコイルエンド部のような角張った形状では、ロータ7a、7bの回転に伴って各ステータコイル17のコイルエンド部の径方向のクリアランスの大きさが変化し、一定以上のクリアランスを確保するためには、その変化を考慮したより大きなクリアランスのスペースを確保する必要がある。
したがって、各ステータコイル17が集中巻コイル1で形成された表側ステータ8a、裏側ステータ8bは、各ステータコイル17のコイルエンド部のクリアランスを確保するための無駄なスペースが発生せず、図7に示すように、無駄なスペースが発生する比較例ステータ8kより外径がδ低減されて小径になる。そのため、本実施形態のアキシャルギャップモータ5は、比較例ステータ8kで形成されるアキシャルギャップモータより体格が小さくなって小型・軽量になる。
なお、各ステータコイル17は、表側ステータ8a、裏側ステータ8bの各ステータコア81の磁極82a、82bの磁極対の励磁極性が両隣のステータコア81の磁極82a、82bの磁極対の励磁極性と同じになるように、巻き方向あるいは通電方向が設定される。
そして、表側ステータ8a、裏側ステータ8bの通電相のステータコイル17が通電されると、表側ステータ8a、裏側ステータ8bの通電相のステータコア81の磁極82a、82bの磁極対が例えばN極、S極に励磁され、図5に破線の矢印線に示すように、ステータコア81の磁極(N極)82aからロータコア71を通ってステータコア81の磁極(S極)82bに至り、磁極82aに戻る励磁磁束のループ磁路が形成され、このループ磁路の磁束による、ロータ7a、7bとステータ8a、8bとの磁気的な吸引動作によってアキシャルギャップモータ5は回転する。
さらに、アキシャルギャップモータ5においては、表側ステータ8a、裏側ステータ8bそれぞれに、各ステータコア81のステータコイル17に重なるように、環状の界磁コイル19が配置され、界磁コイル19の直流界磁の磁束が各ステータコア81の磁極対の励磁磁束に一括して重畳され、励磁磁束量が増加して一層のトルク増加が図られる。
以上説明したように、本実施形態の集中巻コイル1は、巻き崩れやエナメル皮膜の損傷が生じにくく、歩留りが向上して生産性を高めることができ、製造コストを大幅に低減できる。しかも、列替り部4を各巻重ね部3の弧状に加工されない部分に設けることにより、列替り部4でのエナメル皮膜の損傷も防止することができ、集中巻コイル1の生産性を一層高めて製造コストを一層低減できる。
そして、集中巻コイル1によりアキシャルギャップモータ5のステータコイル17を形成すると、ステータコイル17の生産性が向上してアキシャルギャップモータ5の製造コストを低減できる。また、ステータコイル17のコイルエンド中央部分を外径側へ突出させて無駄なスペースを減少し、アキシャルギャップモータ5の小型化・軽量化を図ることができる。それに伴い、ステータコア81も小さくできるので、アキシャルギャップモータ5の一層の小型化・軽量化を図ることができる。
そして、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えば、集中巻コイル1は巻重ね部3が3列以上であってもよいのは勿論である。
また、弧状の加工には、曲線加工であることが好ましいが、直線による折れ線近似状の加工等であってもよい。なお、弧状は円弧状に限るものではない。
そして、本発明の集中巻コイルは、種々のラジアルギャップ構成の回転機(モータまたは発電機)や、種々のアキシャルギャップ構成の回転機(モータまたは発電機)のステータコイル等の集中巻きされる種々のコイルに適用することができる。
1 集中巻コイル
2 平角線
3 巻重ね部
4 列替り部
2 平角線
3 巻重ね部
4 列替り部
Claims (2)
- 平角線により形成される集中巻コイルであって、
前記平角線をフラットワイズ巻きで渦巻状に巻重ねて形成される複数の巻重ね部を備え、
前記各巻重ね部は、層状の複数列に積み重ねられて列と列とをつなぐ列替り部で連続し、弧状に加工されていることを特徴とする集中巻コイル。 - 請求項1に記載の集中巻コイルにおいて、
前記列替り部は、前記各巻重ね部の弧状に加工されない部分に設けられることを特徴とする集中巻コイル。
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