JP2018139239A - 温度センサ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 Cr/Au拡散を抑制して高温使用時における抵抗値の上昇を抑えることができる温度センサ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 絶縁性基板2と、絶縁性基板上にサーミスタ材料で形成された薄膜サーミスタ部3と、互いに対向して薄膜サーミスタ部上に形成された一対の対向電極4と、絶縁性基板上に形成され一端が一対の対向電極に接続された一対のパターン配線5とを備え、パターン配線が、絶縁性基板上に形成された配線用Cr膜5aと、配線用Cr膜上に形成された配線用Au膜5bとを備え、対向電極が、絶縁性基板上に形成された電極用Cr膜4aと、電極用Cr膜上に形成された拡散防止膜4bと、拡散防止膜上に形成された電極用Au膜4cとを備え、拡散防止膜がTi−W膜又はW膜である。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱性に優れた温度センサ及びその製造方法に関する。
近年、樹脂フィルム上にサーミスタ材料を形成したフィルム型サーミスタセンサの開発が検討されており、樹脂フィルム上に成膜可能なサーミスタ用金属窒化物材料が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1のサーミスタ用金属窒化物材料を用いた温度センサでは、Ti−Al−Nの薄膜サーミスタ部上に、一対の櫛歯電極が形成されていると共に、絶縁性フィルム上に一対の櫛歯電極に接続された一対のパターン配線が形成されている。この温度センサでは、櫛歯電極及びパターン配線が、Cr膜とAu膜との積層膜で構成されている。
特開2013−179161号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記従来では、Cr膜とAu膜との積層膜を櫛歯電極及びパターン配線として採用しているが、200℃以上の高温環境で温度センサを使用する場合、Cr/Au拡散が生じ、薄膜サーミスタ部と櫛歯電極との接触抵抗が増加してしまうことで、温度センサの抵抗値が増加してしまう不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、Cr/Au拡散を抑制して高温使用時における抵抗値の上昇を抑えることができる温度センサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る温度センサは、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上にサーミスタ材料で形成された薄膜サーミスタ部と、互いに対向して前記薄膜サーミスタ部上に形成された一対の対向電極と、前記絶縁性基板上に形成され一端が一対の前記対向電極に接続された一対のパターン配線とを備え、前記パターン配線が、前記絶縁性基板上に形成された配線用Cr膜と、前記配線用Cr膜上に形成された配線用Au膜とを備え、前記対向電極が、前記薄膜サーミスタ部上に形成された電極用Cr膜と、前記電極用Cr膜上に形成された拡散防止膜と、前記拡散防止膜上に形成された電極用Au膜とを備え、前記拡散防止膜が、Ti−W膜又はW膜であることを特徴とする。
この温度センサでは、対向電極が、絶縁性基板上に形成された電極用Cr膜と、電極用Cr膜上に形成された拡散防止膜と、拡散防止膜上に形成された電極用Au膜とを備え、拡散防止膜が、Ti−W膜又はW膜であるので、対向電極の電極用Cr膜と電極用Au膜との間に拡散防止膜となるTi−W膜又はW膜が介在していることで、高温時におけるCr/Au拡散を抑制することができる。また、Ti−W膜又はW膜は導電性を有するので、拡散防止膜を介在しても、電極用Cr膜と電極用Au膜との間の導電性も確保できるので、電極用の膜としても使用可能である。また、対向電極だけに拡散防止膜を形成し、パターン配線では拡散防止膜を形成しないことで、柔軟な絶縁性基板を用いた場合でも、Ti−W膜又はW膜による圧縮応力を必要最小限に留め、温度センサ全体の反りを抑制することが可能である。
第2の発明に係る温度センサは、第1の発明において、前記絶縁性基板が、絶縁性フィルムであることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、絶縁性基板が、絶縁性フィルムであるので、フレキシブル性を有し、且つ高温時における抵抗値上昇を抑制することができる。
第3の発明に係る温度センサは、第1又は第2の発明において、前記薄膜サーミスタ部が、一般式:MAl(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示す。0.70≦y/(x+y)≦0.98、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、薄膜サーミスタ部が、上記MAlで示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、薄膜サーミスタ部のフレキシブル性と良好なサーミスタ特性とが得られる。
第4の発明に係る温度センサの製造方法は、第1から第3の発明のいずれかである温度センサを製造する方法であって、絶縁性基板上にサーミスタ材料で薄膜サーミスタ部を形成するサーミスタ膜形成工程と、前記薄膜サーミスタ部上に互いに対向した一対の対向電極を形成する対向電極形成工程と、前記絶縁性基板上に一端が一対の前記対向電極に接続された一対のパターン配線を形成するパターン配線形成工程とを有し、前記パターン配線形成工程が、前記絶縁性基板上に前記配線用Cr膜をパターン形成する配線用Cr膜形成工程と、前記配線用Cr膜上に前記配線用Au膜をパターン形成する配線用Au膜形成工程とを有し、前記対向電極形成工程が、前記薄膜サーミスタ部上に前記電極用Cr膜をパターン形成する電極用Cr膜形成工程と、前記電極用Cr膜上だけに拡散防止膜としてTi−W膜又はW膜をパターン形成する拡散防止膜形成工程と、前記拡散防止膜上に電極用Au膜をパターン形成する電極用Au膜形成工程とを有していることを特徴とする。
すなわち、この温度センサの製造方法では、薄膜サーミスタ部上の電極用Cr膜上だけにTi−W膜又はW膜をパターン形成する拡散防止膜形成工程を有するので、全体の反りを抑制しつつ、高温時におけるCr/Au拡散を抑制することができ、薄膜サーミスタ部と櫛型電極部との接触抵抗の増加を抑制することができる。
第5の発明に係る温度センサの製造方法は、第4の発明において、前記電極用Cr膜形成工程が、前記薄膜サーミスタ部上にCr膜を成膜するCr成膜工程と、前記Cr膜を前記電極用Cr膜にパターニングするCrパターニング工程とを有し、前記Crパターニング工程で、前記拡散防止膜形成工程後に、Crをエッチング可能であるがTi−W又はWをエッチング不可であるエッチング液を用いて、前記Ti−W膜又は前記W膜をマスクとして前記電極用Cr膜をエッチングによりパターニングすることを特徴とする。
すなわち、この温度センサの製造方法では、Crパターニング工程で、拡散防止膜形成工程後に、Crをエッチング可能であるがTi−Wをエッチング不可であるエッチング液を用いて、Ti−W膜又はW膜をマスクとして電極用Cr膜をエッチングによりパターニングするので、電極用Cr膜のパターニングで個別のマスキング工程が不要になると共に、マスクとなるTi−W膜又はW膜との高精度なパターン整合が得られる。また、柔軟な絶縁性基板を採用した場合、Ti−W膜又はW膜の形成後でも絶縁性基板全体の反りが抑制されることで、パターニングが容易となる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る温度センサ及びその製造方法によれば、対向電極が、絶縁性基板上に形成される電極用Cr膜と、電極用Cr膜上に形成される拡散防止膜と、拡散防止膜上に形成される電極用Au膜とを備え、拡散防止膜が、Ti−W膜又はW膜であるので、対向電極の電極用Cr膜と電極用Au膜との間のみに拡散防止膜のTi−W膜又はW膜を介在させることで、高温時における薄膜サーミスタ部でのCr/Au拡散を抑制することができると共に全体の反りを抑制することができる。
したがって、本発明によれば、200℃以上の高温時でも抵抗値上昇を抑制でき、耐熱性に優れていると共に、絶縁性フィルムのような柔軟な絶縁性基板を用いた場合でも、Ti−W膜又はW膜の圧縮応力に起因する反りを抑制することができる。
また、薄膜サーミスタ部にフレキシブル性を有する材料を採用することで、温度センサ全体としてフレキシブル性を得ることができ、測定対象物に押し当てた際に柔軟に湾曲して測定対象物と面接触させることが可能になるので、デバイスの設置自由度が向上すると共に、柔軟性と高い温度応答性を兼ね備えた電子デバイスが得られる。
本発明に係る温度センサ及びその製造方法の一実施形態において、温度センサを示す平面図(a)及びA−A線断面図(b)である。 本発明に係る温度センサ及びその製造方法の実施例において、耐熱試験後の温度センサを示す断面TEM像である。 本発明に係る温度センサ及びその製造方法の実施例において、耐熱試験後の温度センサを示す断面TEM像及び各元素のTEM−EDS分析画像である。
以下、本発明に係る温度センサ及びその製造方法における一実施形態を、図1を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面の一部では、各部を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
本実施形態の温度センサ1は、図1に示すように、絶縁性基板2と、絶縁性基板2上にサーミスタ材料で形成された薄膜サーミスタ部3と、互いに対向して薄膜サーミスタ部3上に形成された一対の対向電極4と、絶縁性基板2上に形成され一端が一対の対向電極4に接続された一対のパターン配線5とを備えている。
上記パターン配線5は、絶縁性基板2上に形成された配線用Cr膜5aと、配線用Cr膜5a上に形成された配線用Au膜5bとを備えている。
また、上記対向電極4は、薄膜サーミスタ部3上に形成された電極用Cr膜4aと、電極用Cr膜4a上に形成された拡散防止膜4bと、拡散防止膜4b上に形成された電極用Au膜4cとを備えている。
上記拡散防止膜4bは、Ti−W膜又はW膜である。この拡散防止膜4bの室温での比抵抗は、1×10−4Ωcm未満と導電性を有するので、電極用Cr膜4aと電極用Au膜4cとの間の導電性を確保できる。
なお、配線用Cr膜5aと電極用Cr膜4aとは、同一成膜で形成された膜であり連続している。
上記薄膜サーミスタ部3は、フレキシブル性を有したサーミスタ膜であって、例えばM−Al−N膜(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示す)である。
すなわち、薄膜サーミスタ部3は、一般式:MAl(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示す。0.70≦y/(x+y)≦0.98、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相である。なお、これらの膜については、フレキシブル性と良好なサーミスタ特性とが確認されている。なお、薄膜サーミスタ部3には、サーミスタ特性を大きく変えない範囲内において、酸素が含まれていてもよい。
なお、本実施形態では、特にTi−Al−Nのサーミスタ材料で矩形状に形成された薄膜サーミスタ部3を採用している。すなわち、薄膜サーミスタ部3は、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であると共に、膜厚方向にa軸配向度よりc軸配向度が大きい結晶配向をもつ金属窒化膜である。
上記絶縁性基板2は、絶縁性フィルムであり、例えばポリイミド樹脂シートで形成されている。なお、絶縁性フィルムとしては、他にPET:ポリエチレンテレフタレート,PEN:ポリエチレンナフタレート等でも構わない。
一対の対向電極4は、互いに対向する方向に延在する複数の櫛歯部4dを有した櫛形電極である。
本実施形態の温度センサ1の製造方法は、絶縁性基板2上にサーミスタ材料で薄膜サーミスタ部3を形成するサーミスタ膜形成工程と、薄膜サーミスタ部3上に互いに対向した一対の対向電極4を形成する対向電極形成工程と、絶縁性基板2上に一端が一対の対向電極4に接続された一対のパターン配線5を形成するパターン配線形成工程とを有している。
上記パターン配線形成工程は、絶縁性基板2上に配線用Cr膜5aをパターン形成する配線用Cr膜形成工程と、配線用Cr膜5a上に配線用Au膜5bをパターン形成する配線用Au膜形成工程とを有している。
また、上記対向電極形成工程は、薄膜サーミスタ部3上に電極用Cr膜4aをパターン形成する電極用Cr膜形成工程と、電極用Cr膜4a上だけに拡散防止膜4bとしてTi−W膜又はW膜をパターン形成する拡散防止膜形成工程と、Ti−W膜又はW膜上に電極用Au膜4cをパターン形成する電極用Au膜形成工程とを有している。
上記電極用Cr膜形成工程は、薄膜サーミスタ部3上にCr膜を成膜するCr成膜工程と、Cr膜を電極用Cr膜4aにパターニングするCrパターニング工程とを有している。
上記Crパターニング工程では、拡散防止膜形成工程後に、Crをエッチング可能であるがTi−W又はWをエッチング不可であるエッチング液を用いて、拡散防止膜4bのTi−W膜又はW膜をマスクとして電極用Cr膜4aをエッチングによりパターニングする。
より具体的な製造方法の例としては、例えば拡散防止膜4bとしてTi−W膜を採用した場合について説明する。
まず、例えば厚さ50μmのポリイミドフィルムの絶縁性基板2上に、Ti−Al合金スパッタリングターゲットを用い、窒素含有雰囲気中で反応性スパッタ法にて、TiAl(x=0.05、y=0.45、z=0.50)の薄膜サーミスタ部3を膜厚100nmで成膜する。その時のスパッタ条件は、到達真空度4×10−5Pa、スパッタガス圧0.2Pa、ターゲット投入電力(出力)200Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を30%で作製する。
次に、成膜した薄膜サーミスタ部3の上にレジスト液をスピンコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要な薄膜サーミスタ部3の部分を市販のTiエッチャントでウェットエッチングを行い、レジスト剥離にて所望形状の薄膜サーミスタ部3を形成する。
次に、絶縁性基板2上及び薄膜サーミスタ部3上に、スパッタ法にて、Cr膜を膜厚20nm形成し、さらに、Cr膜上に、Ti0.30.7(原子組成比)のTi−Wターゲットを用いて、スパッタ法にて、Ti−W膜を膜厚50nm形成する。また、Ti−W膜上に、スパッタ法にて、Au膜を膜厚200nm形成する。これらのスパッタ条件は、到達真空度4.0×10−5Pa、スパッタガス圧0.1Pa、ターゲット投入電力(出力)はCr膜が300W、Ti−W膜が300W、Au膜が100Wで、Arガス雰囲気下において行う。
このTi0.30.7(原子組成比)の成膜条件は、圧縮応力を低減してポリイミドフィルムの反りをより低減する条件とされている。すなわち、Ti−W膜をスパッタ法で成膜する際、スパッタガス圧、出力を変えることで、圧縮応力を適宜調整することが可能である。
なお、拡散防止膜としてW膜を採用する場合は、Wターゲットを用いてスパッタ法にて成膜する。
次に、成膜したAu膜の上にレジスト液をスピンコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要な部分を市販のAuエッチャントでウェットエッチングを行い、レジスト剥離にて所望形状の電極用Au膜4cを形成する。
さらに、Ti−Wエッチャントでウェットエッチングを行い、所望形状のTi−W膜の拡散防止膜4bを形成する。
次に、電極用Au膜4c及び露出しているCr膜の上に、スパッタ法によりAu膜を形成する。なお、電極用Au膜4cを省略する場合、拡散防止膜4bが自然酸化による不動態膜を形成し、表面酸化しているため、Au膜を成膜する前に、Ar逆スパッタによるプラズマ表面処理でこの表面酸化膜を除去しておくことが好ましい。
次に、成膜したAu膜の上にレジスト液をスピンコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、成膜したAu膜の不要な部分を市販のAuエッチャントでウェットエッチングを行い、レジスト剥離にて所望形状の配線用Au膜5bを形成する。
さらに、電極用Au膜4c及び拡散防止膜4bをマスクとして利用し、Crエッチャントでウェットエッチングを行い、所望形状の電極用Cr膜4a及び配線用Cr膜5aを形成する。なお、Crのエッチング液は、Ti−W膜の場合はTi−Wをエッチング不可のもの(Ti−WのエッチングレイトがCrよりも大幅に遅いものを含む)を、またW膜の場合はWをエッチング不可のもの(WのエッチングレイトがCrよりも大幅に遅いものを含む)を採用することで、拡散防止膜4bをマスクとして利用することが可能である。例えば、Ti−Wをエッチング不可のCrエッチャントとして、硝酸第二セリウムアンモニウムや硝酸を含む溶液等が採用可能である。
このように本実施形態の温度センサ1及びその製造方法では、対向電極4が、絶縁性基板2上に形成される電極用Cr膜4aと、電極用Cr膜4a上に形成される拡散防止膜4bと、拡散防止膜4b上に形成される電極用Au膜4cとで構成され、拡散防止膜4bが、Ti−W膜又はW膜であるので、対向電極4の電極用Cr膜4aと電極用Au膜4cとの間に拡散防止膜4bが介在していることで、高温時におけるCr/Au拡散を抑制することができる。また、Ti−W膜又はW膜は導電性を有するので、拡散防止膜4bを介在しても、電極用Cr膜4aと電極用Au膜4cとの間の導電性も確保できる。
また、対向電極4だけにTi−W膜又はW膜の拡散防止膜4bを形成し、パターン配線5では拡散防止膜4bを形成しないことで、柔軟な絶縁性基板を用いた場合でも、拡散防止膜4bによる圧縮応力を必要最小限に留め、全体の反りを抑制することが可能である。特に、絶縁性基板2が、絶縁性フィルムであるので、柔軟な絶縁性フィルム全体の反りは抑制しつつ、高温時における抵抗値上昇を抑制することができる。
また、薄膜サーミスタ部3が、上記MAlで示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、薄膜サーミスタ部3のフレキシブル性と良好なサーミスタ特性とが得られる。
また、本実施形態の温度センサ1の製造方法では、Crパターニング工程で、拡散防止膜形成工程後に、Crをエッチング可能であるがTi−W又はWをエッチング不可であるエッチング液を用いてTi−W膜又はW膜の拡散防止膜4bをマスクとして電極用Cr膜4aをエッチングによりパターニングするので、電極用Cr膜4aのパターニングで個別のマスキング工程が不要になると共に、マスクとなる拡散防止膜4bとの高精度なパターン整合が得られる。また、絶縁性基板2として絶縁性フィルムを採用しているので、拡散防止膜4bの形成後でも絶縁性基板2全体の反りが抑制されることで、パターニングが容易となる。
次に、本発明に係る温度センサ及びその製造方法について、上記実施形態に基づいて作製した実施例により評価した結果を、図2及び図3を参照して具体的に説明する。
上記実施形態に基づいて作製した温度センサの実施例について、大気中にて250℃、1000hの耐熱試験を行った評価結果を、表1に示す。
本発明の実施例としては、熱酸化膜付きSi基板を絶縁性基板として採用した実施例1と、上記実施形態と同じポリイミドフィルムを採用した実施例2とを作製し、評価した。なお、熱酸化膜付きSi基板での実施例1はサーミスタ膜厚200nm、ポリイミドフィルムでの実施例2はサーミスタ膜厚100nmにて実施した。なお、実施例2は、実施例1に比べて、サーミスタ膜厚が薄く、また、対向電極間の距離を大きく設定しているため、25℃抵抗値が高くなっている。また、比較例として、熱酸化膜付きSi基板を採用し、Ti−W膜が無いものも作製し、同様に評価した。
なお、ここで用いるサーミスタ用Ti−Al−N膜は、組成比Al/(Ti+Al)=0.85としたTi−Al合金ターゲットを用いて、反応性スパッタ法にて成膜されており、X線回折にてTi−Al−N膜を評価した結果、得られたTi−Al−Nの結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であると共に、膜厚方向にa軸配向度よりc軸配向度が大きい結晶配向をもつ金属窒化膜であることを確認した。
なお、ここで用いるTi−W膜は、Ti0.30.7(原子組成比)のTi−Wターゲットを用いて、スパッタ法にて成膜されており、4端子法(van der pauw法)にて室温での比抵抗を測定した結果、1×10−4Ωcm未満の極めて高い導電性を示すことを確認した。
これらの評価結果から分かるように、電極用Cr膜と電極用Au膜との間にTi−W膜を有した本発明の実施例1,2は、耐熱試験後の抵抗値上昇値が比較例に比べて小さく、抑制されている。
なお、いずれの実施例及び比較例でも、良好なB定数を有していると共に、耐熱試験後のB定数変化率が非常に低くなっている。
なお、Au膜、Ti−W膜、Cr膜、サーミスタ用Ti−Al−N膜は、フレキシブル性を有しているので、フレキシブル性を有するポリイミドフィルムを用いた実施例2において、温度センサ全体としてフレキシブル性を得ることができ、測定対象物に押し当てた際に柔軟に湾曲して測定対象物と面接触させることが可能になるので、デバイスの設置自由度が向上すると共に、柔軟性と高い温度応答性を兼ね備えた電子デバイスが得られる。
次に、本発明の実施例1について、大気雰囲気中で250℃、24hの熱処理を行った後の断面TEM像を、図2に示す。絶縁性基板上に、Ti−Al−N膜、Cr膜、Ti−W膜、Au膜の順に積層されており、全ての膜において、緻密な結晶化膜が形成されている。
さらに、TEM−EDS分析により元素分析を行った結果を、図3に示す。なお、図3は、元々カラー画像であるものを白黒に変換しているため、Tiの画像においてTiの分布があまり明確ではないが、Ti−W膜とTi−Al−N膜(薄膜サーミスタ部)との領域に検出されている。
これらの結果から、CrがCr膜の部分から拡散しておらず、Ti−W膜がCr/Au拡散を防止して、Ti−Al−N膜とCr膜との接触抵抗増加を抑制していることがわかる。また、Ti−Al−N膜直上のCrは酸化されておらず、このこともTi−Al−N膜とCr膜との接触抵抗増加を抑制する要因となっている。なお、250℃、1000h後であっても、Ti−Al−N膜直上のCrは酸化されていないことを確認している。また、Ti−W膜による上記拡散防止効果は、Arガスを用いたXPS深さ方向分析でも確認されている。
なお、拡散防止膜としてW膜を採用した場合でも、Cr/Au拡散防止効果が確認されている。また、室温でのW膜の比抵抗を測定した結果、1×10−4Ωcm未満の極めて高い導電性を示すことが確認されており、W膜を採用した場合でも、Ti−W膜を採用した場合と同様な発明の効果が得られる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…温度センサ、2…絶縁性基板、3…薄膜サーミスタ部、4…対向電極、4a…電極用Cr膜、4b…拡散防止膜、4c…電極用Au膜、5…パターン配線、5a…配線用Cr膜、5b…配線用Au膜

Claims (5)

  1. 絶縁性基板と、
    前記絶縁性基板上にサーミスタ材料で形成された薄膜サーミスタ部と、
    互いに対向して前記薄膜サーミスタ部上に形成された一対の対向電極と、
    前記絶縁性基板上に形成され一端が一対の前記対向電極に接続された一対のパターン配線とを備え、
    前記パターン配線が、前記絶縁性基板上に形成された配線用Cr膜と、前記配線用Cr膜上に形成された配線用Au膜とを備え、
    前記対向電極が、前記薄膜サーミスタ部上に形成された電極用Cr膜と、前記電極用Cr膜上に形成された拡散防止膜と、前記拡散防止膜上に形成された電極用Au膜とを備え、
    前記拡散防止膜が、Ti−W膜又はW膜であることを特徴とする温度センサ。
  2. 請求項1に記載の温度センサにおいて、
    前記絶縁性基板が、絶縁性フィルムであることを特徴とする温度センサ。
  3. 請求項1又は2に記載の温度センサにおいて、
    前記薄膜サーミスタ部が、一般式:MAl(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示す。0.70≦y/(x+y)≦0.98、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であることを特徴とする温度センサ。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の温度センサを製造する方法であって、
    絶縁性基板上にサーミスタ材料で薄膜サーミスタ部を形成するサーミスタ膜形成工程と、
    前記薄膜サーミスタ部上に互いに対向した一対の対向電極を形成する対向電極形成工程と、
    前記絶縁性基板上に一端が一対の前記対向電極に接続された一対のパターン配線を形成するパターン配線形成工程とを有し、
    前記パターン配線形成工程が、前記絶縁性基板上に前記配線用Cr膜をパターン形成する配線用Cr膜形成工程と、
    前記配線用Cr膜上に前記配線用Au膜をパターン形成する配線用Au膜形成工程とを有し、
    前記対向電極形成工程が、前記薄膜サーミスタ部上に前記電極用Cr膜をパターン形成する電極用Cr膜形成工程と、
    前記電極用Cr膜上だけに拡散防止膜としてTi−W膜又はW膜をパターン形成する拡散防止膜形成工程と、
    前記Ti−W膜上又は前記W膜上に電極用Au膜をパターン形成する電極用Au膜形成工程とを有していることを特徴とする温度センサの製造方法。
  5. 請求項4に記載の温度センサの製造方法において、
    前記電極用Cr膜形成工程が、前記薄膜サーミスタ部上にCr膜を成膜するCr成膜工程と、
    前記Cr膜を前記電極用Cr膜にパターニングするCrパターニング工程とを有し、
    前記Crパターニング工程で、前記拡散防止膜形成工程後に、Crをエッチング可能であるがTi−W又はWをエッチング不可であるエッチング液を用いて、前記Ti−W膜又は前記W膜をマスクとして前記電極用Cr膜をエッチングによりパターニングすることを特徴とする温度センサの製造方法。
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