JP2006261655A - 薄膜サーミスタの製造方法及び薄膜サーミスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】自己発熱の発生が抑制され、変形や亀裂などの機械的破損が生じていない薄膜サーミスタの製造方法及び薄膜サーミスタを提供すること。
【解決手段】SiO2層3上に、膜厚が0.2μm以上1.0μm以下のMn3O4−Co3O4あるいはMn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物膜を、550℃以上650℃以下に加熱した状態でスパッタ成膜するスパッタ工程を備える。
【選択図】図1
【解決手段】SiO2層3上に、膜厚が0.2μm以上1.0μm以下のMn3O4−Co3O4あるいはMn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物膜を、550℃以上650℃以下に加熱した状態でスパッタ成膜するスパッタ工程を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば赤外線センサに用いる薄膜サーミスタの製造方法及び薄膜サーミスタに関する。
近年、非接触で温度を測定できる赤外線検出素子の開発が盛んになってきている。赤外線検出素子は、物体や人体から放出される微弱な赤外線を検出するのに用いられることが多く、高感度であることが要求される。赤外線検出素子には、熱電対を直列に接続したサーモパイル型、特定材料の焦電効果を利用した焦電型、特定金属酸化物の抵抗率温度依存性を利用したサーミスタ型の三種類がある(例えば、特許文献1から3参照)。
これらのうちサーミスタ型の赤外線検出素子は、高い直流出力が得られ、かつ、小型化、高集積化に適していることが知られており、低価格化も期待できることから各種装置の温度センサとして広く用いられている。特に、薄膜サーミスタを半導体基板上に形成し、各種配線などを施してセンサとしたものが注目されはじめている。
特開2000−121431号公報(図1)
特開2000−121432号公報(図1)
特開2000−131147号公報(図3)
これらのうちサーミスタ型の赤外線検出素子は、高い直流出力が得られ、かつ、小型化、高集積化に適していることが知られており、低価格化も期待できることから各種装置の温度センサとして広く用いられている。特に、薄膜サーミスタを半導体基板上に形成し、各種配線などを施してセンサとしたものが注目されはじめている。
サーミスタ型の赤外線検出素子の一般的な構造は、基板と、基板の上面に形成された熱絶縁膜と、熱絶縁膜の上面に形成された薄膜サーミスタ及び薄膜サーミスタの上面に形成された一対の電極とからなる。そして、照射された赤外線を受光してサーミスタの温度が変化すると、薄膜サーミスタの抵抗が変化するので、この抵抗変化を一対の電極で検出して赤外線を検知できるようになっている。ここで、検出感度を高めるために、表面に赤外線吸収膜を設けることで、薄膜サーミスタの温度変化と抵抗変化とが迅速に行われるように構成されている。
そして、サーミスタ型の赤外線検出素子においては、薄膜サーミスタの自己発熱を抑制することが望まれている。自己発熱とは、サーミスタ膜が薄い場合に、抵抗値を測定するため電極から流れる電流によってサーミスタ自体が発熱する現象である。このため、シリコン半導体を用いた赤外線検出素子における薄膜サーミスタの膜厚は、0.2μm以上1.0μm以下であることが望ましい。
そして、サーミスタ型の赤外線検出素子においては、薄膜サーミスタの自己発熱を抑制することが望まれている。自己発熱とは、サーミスタ膜が薄い場合に、抵抗値を測定するため電極から流れる電流によってサーミスタ自体が発熱する現象である。このため、シリコン半導体を用いた赤外線検出素子における薄膜サーミスタの膜厚は、0.2μm以上1.0μm以下であることが望ましい。
しかしながら、上記従来の薄膜サーミスタ及びその形成方法には、以下の問題が残されている。すなわち、特許文献1から3では、200℃で加熱しながらスパッタ成膜によって基板上に厚さ0.6μmの薄膜サーミスタを形成しているが、一般に遷移金属酸化物からなる薄膜サーミスタが、成膜後600℃前後の熱処理によって赤外線センサとして必要な抵抗値やB定数などの特性値が適正に付与されるので、200℃で加熱しても、B定数などがバルク・レベル、すなわち、サーミスタ粉を焼き固めた後、高温(1000℃〜1100℃)で焼成したバルクサーミスタの特性値レベルの値にならないことが確認されている。
また、半導体基板として最も多く用いられているシリコン基板を使用する場合、シリコン基板の熱膨張係数は4.15×10−6/Kであるものの、絶縁膜として使用される酸化シリコンの熱膨張係数が約0.6×10−6/Kであり、これに対してMn−Co系複合金属酸化物の熱膨張係数が約13×10−6/Kであり、20倍以上も大きい。そのため、薄膜サーミスタを室温でスパッタ成膜した後に600℃前後の熱処理を施すと、シリコン基板上に形成する下地の絶縁膜と複合金属酸化物との熱膨張係数の差異に起因した変形や亀裂などで機械的破損が生じてしまい、良好な薄膜サーミスタを得ることが困難である。
また、半導体基板として最も多く用いられているシリコン基板を使用する場合、シリコン基板の熱膨張係数は4.15×10−6/Kであるものの、絶縁膜として使用される酸化シリコンの熱膨張係数が約0.6×10−6/Kであり、これに対してMn−Co系複合金属酸化物の熱膨張係数が約13×10−6/Kであり、20倍以上も大きい。そのため、薄膜サーミスタを室温でスパッタ成膜した後に600℃前後の熱処理を施すと、シリコン基板上に形成する下地の絶縁膜と複合金属酸化物との熱膨張係数の差異に起因した変形や亀裂などで機械的破損が生じてしまい、良好な薄膜サーミスタを得ることが困難である。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、自己発熱の発生が抑制され、変形や亀裂などの機械的破損が生じていない薄膜サーミスタの製造方法及び薄膜サーミスタを提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明の薄膜サーミスタの製造方法は、二酸化珪素層上に、膜厚が0.2μm以上1.0μm以下のMn3O4−Co3O4あるいはMn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物膜を、550℃以上650℃以下に加熱した状態でスパッタ成膜するスパッタ工程を備えることを特徴とする。
また、本発明の薄膜サーミスタは、二酸化珪素層上に、550℃以上650℃以下の温度でスパッタ成膜されたMn3O4−Co3O4あるいはMn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物膜からなり、その膜厚が0.2μm以上1.0μm以下であることを特徴とする。
また、本発明の薄膜サーミスタは、二酸化珪素層上に、550℃以上650℃以下の温度でスパッタ成膜されたMn3O4−Co3O4あるいはMn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物膜からなり、その膜厚が0.2μm以上1.0μm以下であることを特徴とする。
これらの発明によれば、0.2μm以上1.0μm以下のような厚膜の薄膜サーミスタを、変形や亀裂などの機械的破損を生じることなく確実に得ることができる。したがって、バルクサーミスタと同等の抵抗値、B定数を有すると共に、自己発熱が抑制され、赤外線検出センサ用として最適特性を有するサーミスタ膜を得ることができる。
また、本発明の薄膜サーミスタの製造方法は、前記二酸化珪素層上に所定の開口を有する金属マスク層を形成する金属マスク層形成工程と、前記スパッタ工程の後に、前記金属マスク層を除去するリフトオフ工程とを備え、前記金属マスク層が、融点が650℃より高い金属材料によって形成されていることが好ましい。
この発明によれば、スパッタ工程における550℃以上650℃以下の加熱温度に対して耐熱性を有する金属マスクを用いることによって、所望の形状の薄膜サーミスタを形成することができる。これは、二酸化珪素層上に均一にMn3O4−Co3O4あるいはMn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物膜を形成して、これをエッチングすることで所望形状の薄膜サーミスタを得ることと比較して、この薄膜サーミスタ端面の形状が滑らかとなり、配線した電極が段差箇所を降りてくる際の断線を抑制することが容易となる。
この発明によれば、スパッタ工程における550℃以上650℃以下の加熱温度に対して耐熱性を有する金属マスクを用いることによって、所望の形状の薄膜サーミスタを形成することができる。これは、二酸化珪素層上に均一にMn3O4−Co3O4あるいはMn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物膜を形成して、これをエッチングすることで所望形状の薄膜サーミスタを得ることと比較して、この薄膜サーミスタ端面の形状が滑らかとなり、配線した電極が段差箇所を降りてくる際の断線を抑制することが容易となる。
また、本発明の薄膜サーミスタの製造方法は、前記金属マスク層が、Crによって形成されていることが好ましい。
この発明によれば、Crの融点が1860℃であり、スパッタ工程において加熱される温度に対して耐熱性を有する。また、硝酸セリウムアンモニウム溶液に可溶であることから、リフトオフ工程において、下地層として形成されている二酸化珪素層を溶解させることなく金属マスク層を除去することができる。
この発明によれば、Crの融点が1860℃であり、スパッタ工程において加熱される温度に対して耐熱性を有する。また、硝酸セリウムアンモニウム溶液に可溶であることから、リフトオフ工程において、下地層として形成されている二酸化珪素層を溶解させることなく金属マスク層を除去することができる。
また、本発明の薄膜サーミスタの製造方法及び薄膜サーミスタは、前記二酸化珪素層が、シリコン基板の表面に形成されたものであることが好ましい。
この発明によれば、半導体素子製造用の基板として、表面に熱酸化膜を形成したシリコン基板が広く用いられており、容易に入手することができる。また、各種半導体素子を一体形成して各種機能を付加した高性能な赤外線検出素子とすることができる。
この発明によれば、半導体素子製造用の基板として、表面に熱酸化膜を形成したシリコン基板が広く用いられており、容易に入手することができる。また、各種半導体素子を一体形成して各種機能を付加した高性能な赤外線検出素子とすることができる。
また、本発明の薄膜サーミスタは、前記二酸化珪素層の厚さが、0.1μm以上2.0μm以下であることが好ましい。
この発明によれば、絶縁層として十分な機能を発揮させると共に、塑性流動作用を利用して熱膨張係数差に起因する応力を緩和し、良好な薄膜サーミスタを得ることができる。
この発明によれば、絶縁層として十分な機能を発揮させると共に、塑性流動作用を利用して熱膨張係数差に起因する応力を緩和し、良好な薄膜サーミスタを得ることができる。
本発明の薄膜サーミスタの製造方法及び薄膜サーミスタによれば、バルクサーミスタと同等の抵抗値、B定数を有すると共に、自己発熱や、変形、亀裂などの機械的破損が抑制された薄膜サーミスタが得られる。したがって、センサの高性能化及び小型化に寄与できる。
以下、本発明にかかる薄膜サーミスタの一実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態による薄膜サーミスタ1は、赤外線検出素子に用いられるものであって、図1に示すように、(Mn、Co)3O4あるいは、(Mn、Co、Fe)3O4のスピネル構造の複合金属酸化物であって、シリコン基板2に形成された二酸化珪素層(以下、SiO2層と省略する)3の上面に形成されている。
薄膜サーミスタ1が(Mn、Co)3O4によって構成されている場合には、MnとCoとのモル比は、4:6程度が適当である。また、薄膜サーミスタ1が(Mn、Co、Fe)3O4によって構成されている場合には、Mn:Co:Feのモル比は、(20〜60):(2〜65):(9〜40)程度が適当である。これらの複合金属酸化物薄膜は、温度が上昇するとその抵抗値が低くなる、いわゆる負特性を有している。
本実施形態による薄膜サーミスタ1は、赤外線検出素子に用いられるものであって、図1に示すように、(Mn、Co)3O4あるいは、(Mn、Co、Fe)3O4のスピネル構造の複合金属酸化物であって、シリコン基板2に形成された二酸化珪素層(以下、SiO2層と省略する)3の上面に形成されている。
薄膜サーミスタ1が(Mn、Co)3O4によって構成されている場合には、MnとCoとのモル比は、4:6程度が適当である。また、薄膜サーミスタ1が(Mn、Co、Fe)3O4によって構成されている場合には、Mn:Co:Feのモル比は、(20〜60):(2〜65):(9〜40)程度が適当である。これらの複合金属酸化物薄膜は、温度が上昇するとその抵抗値が低くなる、いわゆる負特性を有している。
ここで、複合金属酸化物で構成された薄膜サーミスタは、成膜後所定の熱処理を施すことにより、赤外線センサとして最適な電気特性を発揮するようになる。図2に二酸化珪素層の上面に厚さ0.2μmのMn3O4−Co3O4(40mol%:60mol%)複合金属酸化物をスパッタ成膜し、1時間の熱処理を施したときの熱処理温度と抵抗率Rとの関係を示す。
図2に示すように、このスパッタ膜では、アズスパッタ状態では抵抗率Rが9〜17kΩ・cm程度で、600℃までは熱処理温度の上昇に伴い抵抗率Rが小さくなっている。また、抵抗率Rと同様に、B定数のB25/50値も600℃までは熱処理温度の上昇に伴って小さくなることが知られている。したがって、600℃±50℃の温度範囲で1時間熱処理を施した場合、抵抗値及びB定数のB25/50値がバルク・レベルと同等となる。
図2に示すように、このスパッタ膜では、アズスパッタ状態では抵抗率Rが9〜17kΩ・cm程度で、600℃までは熱処理温度の上昇に伴い抵抗率Rが小さくなっている。また、抵抗率Rと同様に、B定数のB25/50値も600℃までは熱処理温度の上昇に伴って小さくなることが知られている。したがって、600℃±50℃の温度範囲で1時間熱処理を施した場合、抵抗値及びB定数のB25/50値がバルク・レベルと同等となる。
一般に、薄膜サーミスタは、シリコン基板のような半導体基板の表面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜を介してスパッタ法によって形成されている。上述したように、下地層となるSiO2層3と(Mn、Co)3O4あるいは(Mn、Co、Fe)3O4系の複合金属酸化物膜との間には、複合金属酸化物膜の熱膨張係数が約13×10−6/K、SiO2層の熱膨張係数が約0.6×10−6/Kであることから、熱膨張係数の差が約20倍もあり、薄膜を形成した後600℃前後の熱処理を施すと、円形のウェーハ中央領域に熱膨張係数の差に起因する亀裂が発生するので、良好な薄膜を得ることができないと考えられていた。
しかし、本発明者らは、シリコン基板2の表面のSiO2層3を介して(Mn、Co)3O4系複合金属酸化物で構成された薄膜サーミスタを直接形成することで、600℃の熱処理温度に対して耐性を有する良好な薄膜サーミスタが得られることを見出している。これは、下地層として使用した二酸化珪素層の上面に(Mn、Co、Fe)3O4膜を直接成膜した場合には、熱処理時に二酸化珪素膜が塑性流動(リフロー)を起こして(Mn、Co、Fe)3O4膜との界面で再配列が生じるので、応力が緩和されるものと推定されている。
ところが、このように応力が緩和されても、膜厚を0.2μmよりも厚くすると亀裂の発生が認められるようになり、膜厚を厚くするほど亀裂の発生割合が増加する傾向となることがわかっている。
ところが、このように応力が緩和されても、膜厚を0.2μmよりも厚くすると亀裂の発生が認められるようになり、膜厚を厚くするほど亀裂の発生割合が増加する傾向となることがわかっている。
そこで、本発明者らは、基板ウェーハを加熱しながらSiO2層3の上面に複合金属酸化膜をスパッタ成膜した。図3にMn3O4−Co3O4(40mol%:60mol%)複合金属酸化物、Mn3O4−Co3O4−Fe2O3(24.7mol%:44.7mol%:30.6mol%)複合金属酸化物のスパッタ時における加熱温度と抵抗値Rとの関係を示す。また、図4には、同じくスパッタ時における加熱温度とB定数との関係を示す。
図3及び図4は、SiO2層3の上に厚さ0.5μmのスパッタ膜を所定の加熱温度で形成した場合の結果である。図3及び図4において、本発明とは加熱しながらスパッタ成膜したときの抵抗値及びB定数を示し、従来技術とはスパッタ成膜後に加熱したときの抵抗値及びB定数を示している。
薄膜サーミスタ1として期待される電気特性は、バルク・レベルと同様に、抵抗値Rが0.5MΩ以上1.4MΩ程度の範囲であり、B定数がB25/50値で3500〜3600k程度、または4000k程度である。
図3及び図4より、目標とする電気特性を得るためには、600℃±50℃の温度範囲でスパッタを行えばよいことがわかる。
また、(Mn、Co)3O4あるいは(Mn、Co、Fe)3O4系のスピネル構造の複合金属酸化物の良好な薄膜を得るためには、0.05μm以上の膜厚が必要である。これは、膜厚が0.05μm未満では、均一で良好な膜を得ることができないためである。
薄膜サーミスタ1として期待される電気特性は、バルク・レベルと同様に、抵抗値Rが0.5MΩ以上1.4MΩ程度の範囲であり、B定数がB25/50値で3500〜3600k程度、または4000k程度である。
図3及び図4より、目標とする電気特性を得るためには、600℃±50℃の温度範囲でスパッタを行えばよいことがわかる。
また、(Mn、Co)3O4あるいは(Mn、Co、Fe)3O4系のスピネル構造の複合金属酸化物の良好な薄膜を得るためには、0.05μm以上の膜厚が必要である。これは、膜厚が0.05μm未満では、均一で良好な膜を得ることができないためである。
SiO2層3は、シリコン基板2の表面を熱酸化することで形成されたものであって、層厚が0.1μm以上2.0μm以下となっている。
熱酸化法は、シリコンと酸素や水蒸気とを高温で反応させて形成するものである。そして、熱酸化法には、例えば窒素をキャリアガスとして酸素ガスを流すドライO2酸化法、加熱水を通して酸素を供給するウェットO2酸化法、スチームによるスチーム酸化法、水素ガスと酸素ガスとを外部で燃焼させて発生した水蒸気を供給するパイロジェニック酸化法、酸素ガスを液体窒素を通して窒素ガスをキャリアとして流すO2分圧酸化法、あるいは窒素ガスと酸素ガスとを一緒に塩素ガスを添加した塩酸酸化法などがある。
なお、熱酸化法で形成されるSiO2層3の厚さは、酸化処理温度や時間、あるいは酸素ガスやスチームの流量などによって決まる。したがって、これらの要因を制御することで、厚さ0.1μm以上2.0μm以下のSiO2層3が形成されている。
熱酸化法は、シリコンと酸素や水蒸気とを高温で反応させて形成するものである。そして、熱酸化法には、例えば窒素をキャリアガスとして酸素ガスを流すドライO2酸化法、加熱水を通して酸素を供給するウェットO2酸化法、スチームによるスチーム酸化法、水素ガスと酸素ガスとを外部で燃焼させて発生した水蒸気を供給するパイロジェニック酸化法、酸素ガスを液体窒素を通して窒素ガスをキャリアとして流すO2分圧酸化法、あるいは窒素ガスと酸素ガスとを一緒に塩素ガスを添加した塩酸酸化法などがある。
なお、熱酸化法で形成されるSiO2層3の厚さは、酸化処理温度や時間、あるいは酸素ガスやスチームの流量などによって決まる。したがって、これらの要因を制御することで、厚さ0.1μm以上2.0μm以下のSiO2層3が形成されている。
次に、このように構成された薄膜サーミスタ1の形成方法について説明する。
この薄膜サーミスタの製造方法は、金属マスク層形成工程と、スパッタ工程と、リフトオフ工程とによって構成されている。
まず、金属マスク形成工程を行う。これは、まずシリコン基板2の表面に熱酸化法によってSiO2層3を形成し(図5(a)参照)、さらにSiO2層3の上面にスパッタ法によってCr層5を形成する(図5(b)参照)。そして、Cr層5の表面に感光性樹脂であるフォトレジストを塗布することでフォトレジスト層4を形成し(図5(c)参照)、露光、現像を行うことで、所定の位置にのみフォトレジスト層4を残す(図5(d)参照)。その後、フォトレジスト層4をマスクとし、硝酸セリウムアンモニウム溶液を用いたウェットエッチングによってCr層5をエッチングし、薄膜サーミスタ1を形成する所定の位置にのみ開口を有する金属マスク層6を形成する(図5(e)参照)。このとき、レジスト除去液によって残存したフォトレジスト層4を除去する。
次に、スパッタ工程を行う。これは、シリコン基板2、SiO2層3及び金属マスク層6を550℃に加熱した状態で、(Mn、Co)3O4膜をスパッタ法によって形成する(図5(f)参照)。
最後に、リフトオフ工程を行う。これは、硝酸セリウムアンモニウム溶液を用いてCrで構成された金属マスク層6を溶解し、SiO2層3の上面であって金属マスク層6が形成されていない部分に薄膜サーミスタ1を残す(図5(g)参照)。
以上のようにして薄膜サーミスタ1を製造し、さらにその上に電気抵抗測定用の電極を配線する。その後、センサ構造に必要な保護膜やその他の薄膜を順番に積層していく。
この薄膜サーミスタの製造方法は、金属マスク層形成工程と、スパッタ工程と、リフトオフ工程とによって構成されている。
まず、金属マスク形成工程を行う。これは、まずシリコン基板2の表面に熱酸化法によってSiO2層3を形成し(図5(a)参照)、さらにSiO2層3の上面にスパッタ法によってCr層5を形成する(図5(b)参照)。そして、Cr層5の表面に感光性樹脂であるフォトレジストを塗布することでフォトレジスト層4を形成し(図5(c)参照)、露光、現像を行うことで、所定の位置にのみフォトレジスト層4を残す(図5(d)参照)。その後、フォトレジスト層4をマスクとし、硝酸セリウムアンモニウム溶液を用いたウェットエッチングによってCr層5をエッチングし、薄膜サーミスタ1を形成する所定の位置にのみ開口を有する金属マスク層6を形成する(図5(e)参照)。このとき、レジスト除去液によって残存したフォトレジスト層4を除去する。
次に、スパッタ工程を行う。これは、シリコン基板2、SiO2層3及び金属マスク層6を550℃に加熱した状態で、(Mn、Co)3O4膜をスパッタ法によって形成する(図5(f)参照)。
最後に、リフトオフ工程を行う。これは、硝酸セリウムアンモニウム溶液を用いてCrで構成された金属マスク層6を溶解し、SiO2層3の上面であって金属マスク層6が形成されていない部分に薄膜サーミスタ1を残す(図5(g)参照)。
以上のようにして薄膜サーミスタ1を製造し、さらにその上に電気抵抗測定用の電極を配線する。その後、センサ構造に必要な保護膜やその他の薄膜を順番に積層していく。
次に、このようにして得た(Mn、Co)3O4系複合酸化物膜で構成された薄膜サーミスタについて説明する。
まず、本発明の薄膜サーミスタの結晶をTEM(Transmission Electron Microscope:透過型電子顕微鏡)により観察した。図6は、サーミスタ薄膜1の断面のTEM像を示している。本発明の薄膜サーミスタ1がSiO2層3表面に堆積した結晶によって構成されていることがわかる。
図7及び図8に、この結晶の寸法を測定した結果を示す。ここで、図7は、基板面に垂直な縦断面(すなわち、薄膜サーミスタの成長方向)の結晶寸法を示し、図8は、基板面に平行な横断面の結晶寸法をそれぞれ示している。図7に示すように、基板面に垂直な縦断面の結晶寸法は140nmを中心に300nm程度まで広く散らばっており、図8に示すように、基板面に平行な横断面の結晶寸法は30nmを中心に広がっていることがわかる。また、図9に、縦断面の結晶寸法を横断面の結晶寸法で割った値であるアスペクト比を示す。図9に示すように、アスペクト比が4.0〜6.0の成長方向に縦長の形状の結晶粒を主体とするものであることがわかる。
まず、本発明の薄膜サーミスタの結晶をTEM(Transmission Electron Microscope:透過型電子顕微鏡)により観察した。図6は、サーミスタ薄膜1の断面のTEM像を示している。本発明の薄膜サーミスタ1がSiO2層3表面に堆積した結晶によって構成されていることがわかる。
図7及び図8に、この結晶の寸法を測定した結果を示す。ここで、図7は、基板面に垂直な縦断面(すなわち、薄膜サーミスタの成長方向)の結晶寸法を示し、図8は、基板面に平行な横断面の結晶寸法をそれぞれ示している。図7に示すように、基板面に垂直な縦断面の結晶寸法は140nmを中心に300nm程度まで広く散らばっており、図8に示すように、基板面に平行な横断面の結晶寸法は30nmを中心に広がっていることがわかる。また、図9に、縦断面の結晶寸法を横断面の結晶寸法で割った値であるアスペクト比を示す。図9に示すように、アスペクト比が4.0〜6.0の成長方向に縦長の形状の結晶粒を主体とするものであることがわかる。
このように構成された薄膜サーミスタの製造方法及び薄膜サーミスタによれば、600℃±50℃の範囲内で加熱しながらスパッタ成膜することで、0.2μm以上1.0μm以下のように厚膜である薄膜サーミスタ1を、変形や亀裂などの機械的破損を生じることなく確実に得ることができる。したがって、バルクサーミスタと同等の抵抗値、B定数を有すると共に、自己発熱が抑制され、赤外線検出センサ用として最適特性を有するサーミスタ膜を得ることができる。
また、金属マスク層6を用いてMn3O4−Co3O4あるいはMn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物膜をリフトオフにより形成するので、SiO2層3の上面に均一に複合金属酸化物膜を形成してこれをエッチングすることで所望位置に薄膜サーミスタ1を形成することと比較して、薄膜サーミスタ1の端面の形状が滑らかとなり、配線した電極が段差箇所を降りてくる際の断線を抑制することが容易となる。ここで、金属マスク層6が硝酸セリウムアンモニウム溶液に可溶であるCrで形成されることで、リフトオフ工程においてSiO2層3を溶融させることがない。
また、金属マスク層6を用いてMn3O4−Co3O4あるいはMn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物膜をリフトオフにより形成するので、SiO2層3の上面に均一に複合金属酸化物膜を形成してこれをエッチングすることで所望位置に薄膜サーミスタ1を形成することと比較して、薄膜サーミスタ1の端面の形状が滑らかとなり、配線した電極が段差箇所を降りてくる際の断線を抑制することが容易となる。ここで、金属マスク層6が硝酸セリウムアンモニウム溶液に可溶であるCrで形成されることで、リフトオフ工程においてSiO2層3を溶融させることがない。
次に、本発明にかかる薄膜サーミスタを、実施例により具体的に説明する。
まず、直径100mmのシリコン基板2の表面にドライO2熱酸化法によって厚さ0.5μmのSiO2層3を形成した。
そして、直径125mmのMn3O4−Co3O4(40mol%:60mol%)複合酸化物ターゲットを使用し、上述した形成方法によって厚さ0.5μmの(Mn3、Co3)O4複合酸化物で構成された薄膜サーミスタ1を形成した。スパッタ成膜条件は、ターゲットを下側にシリコン基板2を上側に間隔60mmで配置して、雰囲気圧力10mTorrとし、アルゴン流量50sccmで150Wの高周波電流を印加して成膜した。
得られた薄膜サーミスタ1は、基板全面にわたって均一で、少しの亀裂も認められなかった。
さらに、得られた薄膜サーミスタ1の電気特性を測定したところ、抵抗値が0.49MΩ〜0.51MΩ、抵抗率が1602〜1661kΩ・cm、B定数(B25/50値)が3940〜3993kであった。
まず、直径100mmのシリコン基板2の表面にドライO2熱酸化法によって厚さ0.5μmのSiO2層3を形成した。
そして、直径125mmのMn3O4−Co3O4(40mol%:60mol%)複合酸化物ターゲットを使用し、上述した形成方法によって厚さ0.5μmの(Mn3、Co3)O4複合酸化物で構成された薄膜サーミスタ1を形成した。スパッタ成膜条件は、ターゲットを下側にシリコン基板2を上側に間隔60mmで配置して、雰囲気圧力10mTorrとし、アルゴン流量50sccmで150Wの高周波電流を印加して成膜した。
得られた薄膜サーミスタ1は、基板全面にわたって均一で、少しの亀裂も認められなかった。
さらに、得られた薄膜サーミスタ1の電気特性を測定したところ、抵抗値が0.49MΩ〜0.51MΩ、抵抗率が1602〜1661kΩ・cm、B定数(B25/50値)が3940〜3993kであった。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、SiO2層3は、シリコン基板2の上面に形成されているが、アルミナやガラス基板上に化学気相成長法(CVD法)などを使用して形成されたものであっても利用することができる。
例えば、上記実施形態では、SiO2層3は、シリコン基板2の上面に形成されているが、アルミナやガラス基板上に化学気相成長法(CVD法)などを使用して形成されたものであっても利用することができる。
1 薄膜サーミスタ
3 SiO2層(二酸化珪素層)
2 シリコン基板
6 金属マスク層
3 SiO2層(二酸化珪素層)
2 シリコン基板
6 金属マスク層
Claims (7)
- 二酸化珪素層上に、膜厚が0.2μm以上1.0μm以下のMn3O4−Co3O4あるいはMn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物膜を、550℃以上650℃以下に加熱した状態でスパッタ成膜するスパッタ工程を備えることを特徴とする薄膜サーミスタの製造方法。
- 前記二酸化珪素層上に所定の開口を有する金属マスク層を形成する金属マスク層形成工程と、
前記スパッタ工程の後に、前記金属マスク層を除去するリフトオフ工程とを備え、
前記金属マスク層が、融点が650℃より高い金属材料によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜サーミスタの製造方法。 - 前記金属マスク層が、Crによって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜サーミスタの製造方法。
- 前記二酸化珪素層が、シリコン基板の表面に形成されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の薄膜サーミスタの製造方法。
- 二酸化珪素層上に、550℃以上650℃以下の温度でスパッタ成膜されたMn3O4−Co3O4あるいはMn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物膜からなり、
その膜厚が0.2μm以上1.0μm以下であることを特徴とする薄膜サーミスタ。 - 前記二酸化珪素層の厚さが、0.1μm以上2.0μm以下であることを特徴とする請求項5に記載の薄膜サーミスタ。
- 前記二酸化珪素層が、シリコン基板の表面に形成されたものであることを特徴とする請求項5または6に記載の薄膜サーミスタ。
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JP2006037739A JP2006261655A (ja) | 2005-02-17 | 2006-02-15 | 薄膜サーミスタの製造方法及び薄膜サーミスタ |
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JP2010281578A (ja) * | 2009-06-02 | 2010-12-16 | Mitsubishi Materials Corp | 温度センサ |
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