JP2018136295A - 樹脂包埋試料およびその製造方法、並びに透過型電子顕微鏡用試料およびその製造方法 - Google Patents

樹脂包埋試料およびその製造方法、並びに透過型電子顕微鏡用試料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂包埋試料において粉末試料の数密度を高くしつつ、粉末試料の変質および凝集を抑制する。【解決手段】液状樹脂を基板上に塗布し塗布層を形成する塗布工程と、塗布層上に粉末試料を散布して塗布層中に沈降させる沈降工程と、塗布層を硬化させて樹脂層を形成する硬化工程と、を有し、粉末試料が、樹脂層の厚さ方向において、一方の面から他方の面に向かって数密度が増えるように偏在する、樹脂包埋試料を製造する、樹脂包埋試料の製造方法が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂包埋試料およびその製造方法、並びに透過型電子顕微鏡用試料およびその製造方法に関する。
粉末状の原材料(粉体材料)を用いて製造される製品が数多く知られており、例えば、塗料は顔料を、磁石は磁性体を、導電ペーストは導電体を、それぞれ用いて製造されている。これら製品の特性は、使用する粉体材料の特性、例えば粉体の形状、表面状態、組成および化学状態などの影響を受けることから、製品の特性を向上させるうえで粉体材料の特性についての評価・解析が重要となっている。
粉体材料の特性を評価・解析する手法の1つに透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)がある。粉体材料を粉末試料としてTEMで解析する場合、粉末試料が飛散しないように固定・担持する必要がある。そこで、例えば、粉末試料を液状樹脂に混合し硬化させて樹脂包埋試料を作製する方法が採用される。樹脂包埋試料は、例えば収束イオンビーム(Forcused Ion Beam:FIB)装置を用いて薄片化されてTEMで分析される(例えば、特許文献1を参照)。
特開2000−214056号公報
ところで、TEMによる観察時に観察領域中に粉末試料が少なかったり存在しなかったりすると、観察自体が無駄となるばかりか、TEMに供するためにFIB装置で樹脂包埋試料からサンプリングすること自体も無駄となることがある。これらの無駄を極力低減するため、樹脂包埋試料には粉末試料の充填量を増やして数密度を高くすることが求められている。
しかしながら、数密度を高くすべく粉末試料の充填量を増やすと、粉末試料の増量にともなって液状樹脂の粘度が増加し、混合するための応力が高くなるため、混合治具や粉末試料同士の摩擦・衝突により粉末試料が破損などして変質してしまうことがある。
一方、粉末試料の変質を抑制するために混合する力を弱めることが考えられるが、この場合、多量の粉末試料が凝集体を形成したまま、粉末粒子の界面に樹脂が行き渡らないことがある。こうなると、凝集体中に空隙が形成されることとなり、この空隙によってTEMで分析するときの分析精度が低下してしまうことがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、樹脂包埋試料において粉末試料の数密度を高くしつつ、粉末試料の変質および凝集を抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明者は、粉末試料を増量したときでも、その変質および凝集を抑制する方法について検討し、液状樹脂を塗布した塗布層上に粉末試料を散布し沈降させる方法に着目した。沈降によれば、粉末試料を添加して混合する場合のように外部応力を加えないので、粉末試料を変質させることがない。しかも、沈降過程で粉末試料同士の界面に液状樹脂を行き渡らせることで粉末試料と樹脂とを接触させて、粉末試料の凝集およびそれに伴う空隙の形成を抑制することができる。そして、沈降後に液状樹脂を硬化させることで、樹脂層の一方の面側に粉末試料が偏在する樹脂包埋試料が得られる。この樹脂層によれば、例えば、粉末試料が多く存在する領域からTEM用に薄片試料を作製することで、TEMでの観察効率を向上させることが可能となる。本発明はこれらの知見に基づいて成されたものである。
すなわち、本発明の第1の態様は、
液状樹脂を基板上に塗布し塗布層を形成する塗布工程と、
前記塗布層上に粉末試料を散布して前記塗布層中に沈降させる沈降工程と、
前記塗布層を硬化させて樹脂層を形成する硬化工程と、を有し、
前記粉末試料が、前記樹脂層の厚さ方向において、一方の面から他方の面に向かって数密度が増えるように偏在する、樹脂包埋試料を製造する、樹脂包埋試料の製造方法が提供される。
本発明の第2の態様は、第1の態様の樹脂包埋試料の製造方法において、
前記液状樹脂が熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂である。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様の樹脂包埋試料の製造方法において、
前記液状樹脂が常温硬化性樹脂であって、
前記粉末試料を前記塗布層に沈降させつつ前記塗布層を硬化させて、前記沈降工程とともに前記硬化工程を行う。
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様のいずれかの樹脂包埋試料の製造方法において、
前記液状樹脂が常温硬化性のエポキシ樹脂である。
本発明の第5の態様は、第1〜第4の態様のいずれかの樹脂包埋試料の製造方法において、
前記塗布工程の前に、前記基板における前記液状樹脂を塗布する面を粗化処理する粗化工程を有する。
本発明の第6の態様は、第1〜第5の態様のいずれかの樹脂包埋試料の製造方法において、
前記沈降工程では、前記粉末試料を散布した後に前記塗布層上に板状部材を載置し、前記粉末試料を前記塗布層中に押し込み沈降させる。
本発明の第7の態様は、第1〜第5の態様のいずれかの樹脂包埋試料の製造方法において、
前記沈降工程では、前記粉末試料に、基板方向への遠心力を作用させ、前記塗布層中に沈降させる。
本発明の第8の態様は、第1〜第5の態様のいずれかの樹脂包埋試料の製造方法において、
前記粉末試料が磁性粒子であり、
前記沈降工程では、前記粉末試料に、基板方向への磁力を作用させ、前記塗布層中に沈降させる。
本発明の第9の態様は、第1〜第8の態様のいずれかの製造方法により得られる樹脂包埋試料における前記粉末試料が偏在して数密度が高い面側の領域から試料片を採取して薄片化する、透過型電子顕微鏡用試料の製造方法が提供される。
本発明の第10の態様は、
液状樹脂を硬化させた硬化物から形成される樹脂層と、
前記樹脂層中に包埋される粉末試料と、を備え、
前記粉末試料が、前記樹脂層の厚さ方向において、一方の面から他方の面に向かって数密度が増えるように偏在している、樹脂包埋試料が提供される。
本発明の第11の態様は、第10の態様の樹脂包埋試料における前記粉末試料が偏在して数密度が高い面側の領域から採取される、透過型電子顕微鏡用試料が提供される。
本発明によれば、樹脂包埋試料において粉末試料の数密度を高くしつつ、粉末試料の変質および凝集を抑制することができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかる透過型電子顕微鏡用試料の製造方法における製造工程図である。 図2(a)は、基板の研磨を説明するための図であり、図2(b)は、(a)のA−A断面図である。 図3は、塗布層上に板状部材を載置したときを説明するための図である。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について、樹脂包埋試料から透過型電子顕微鏡用試料を製造する場合を例として説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる透過型電子顕微鏡用試料の製造方法における製造工程図である。
本実施形態の透過型電子顕微鏡用試料(TEM用試料)の製造方法は、準備工程、粗化工程、塗布工程、沈降工程、硬化工程、剥離工程および加工工程を有する。以下、各工程について詳述する。
(準備工程)
まず、粉末試料13を準備する。粉末試料13としては、例えば金属、金属化合物もしくは無機化合物を含む微粒子が挙げられる。粉末試料13の粒子径は例えば1μm〜10μm程度である。
また、樹脂包埋試料10を作製するための作業板として基板11を準備する。基板11としては特に限定されないが、後述の粗化工程を施しやすい材質から形成されるとよく、またTEMなどの分析を阻害しないような材質から形成されるとよい。基板11としては樹脂フィルムが好ましく、例えばポリイミドフィルムを用いることができる。
(粗化工程)
続いて、塗布工程の前に予め、基板11における液状樹脂を塗布する面を粗化する。液状樹脂は表面張力が大きく基板11上に塗布したときに球状に丸まろうとするため、塗布層12の厚さが厚くなることがある。塗布層12が厚くなると、後述の沈降工程にて粉末試料13が沈降する距離が長くなり、粉末試料13を沈降させる時間が長くなるため、樹脂包埋試料10の生産性が低下するおそれがある。一方、粗化工程によれば、基板11の表面を傷つけて液状樹脂の表面張力を低減できるので、液状樹脂を薄く展延させることで塗布層12を薄く形成でき、樹脂包埋試料10の生産性を向上させることができる。なお、研磨材としては、サンドペーパなど公知のものを用いることができる。
(塗布工程)
続いて、基板11の粗化した表面(粗化面)に液状樹脂を塗布し塗布層12を形成する。本実施形態では、基板11の粗化面に液状樹脂を塗布することで塗布層12を薄く形成する。これにより、塗布層12の厚さを例えば100μm〜1000μmとすることができる。
液状樹脂としては、粉末試料13を沈降させることができ、かつ沈降後に硬化可能なものであれば特に限定されない。例えば、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、常温硬化性もしくは加熱硬化性いずれの樹脂でも使用することができるが、常温硬化性樹脂が好ましい。常温硬化性樹脂によれば、加熱の必要がなく、また後述の沈降工程にて粉末試料13を塗布層12に沈降させている間に塗布層12を徐々に硬化させることができるので、工程数を減らして製造を簡略化することができる。TEM用試料20を分析する際の取り扱いやすさと使用実績が多いことから、熱硬化性樹脂としては常温硬化性のエポキシ樹脂が好ましい。
光硬化性樹脂としては、アクリル樹脂やエポキシアクリレート樹脂などを用いることができる。
なお、液状樹脂の粘度は、高すぎると沈降工程にて粉末試料13を沈降させにくくなる一方、低すぎると低分子量成分の比率が増え、塗布層12(樹脂層14)を所定の厚みを維持して形成しにくくなるおそれがある。そのため、液状樹脂の粘度は、粉末試料13を沈降させやすく、かつ塗布層12(樹脂層14)を所定の厚さに維持して形成できるような範囲に調整するとよい。
(沈降工程)
続いて、図1(a)に示すように、液状樹脂からなる塗布層12の上に粉末試料13を散布する。本実施形態では、粉末試料13を散布した後、静置する。散布された粉末試料13は自重により塗布層12に沈降することになる。そのため、粉末試料13は外部応力によって変質することなく、かつ液状樹脂と接触して粉末試料13同士で凝集することがない。そして、図1(b)に示すように、粉末試料13は、所定時間の経過により塗布層12の基板11側に沈降することで、塗布層12の基板11側に向かって数密度が増えるように偏在することになる。なお、沈降させる時間は、液状樹脂の粘度や粉末試料13の密度によって異なるため、液状樹脂や粉末試料13の種類に応じて適宜変更するとよい。
散布する粉末試料13の量(充填量)は、特に限定されない。本実施形態では粉末試料13を沈降させるため、従来の液状樹脂に粉末試料13を添加して混合する場合よりも充填量を増やすこともできる。
(硬化工程)
続いて、図1(b)に示すように、粉末試料13を沈降させた後、液状樹脂からなる塗布層12を硬化させて樹脂層14とする。樹脂層14は、液状樹脂の硬化物から形成されることになる。これにより粉末試料13は樹脂層14の基板11側に偏在した状態で固定・担持され、粉末試料13が樹脂層14に包埋されるとともに基板11側に向かって数密度が増えるように樹脂層14中に偏在する樹脂包埋試料10を形成する。
硬化工程での硬化方法は、液状樹脂の種類に応じて適宜変更するとよい。液状樹脂が常温硬化性樹脂であれば、上述の沈降工程からそのままの状態で静置すればよく、加熱硬化性樹脂であれば粉末試料13の沈降後に所定の温度で加熱すればよい。また液状樹脂が光硬化性樹脂であれば、塗布層12に光を照射するとよい。
(剥離工程)
続いて、図1(c)に示すように、樹脂層14から基板11を取り除いて、樹脂包埋試料10を取り出す。図1(c)は、粉末試料13が偏在する面が上向きとなるように樹脂包埋試料10を配置した場合を示す。樹脂包埋試料10は、液状樹脂を硬化させた硬化物から形成される樹脂層14と、樹脂層14中に充填される粉末試料13と、を備え、粉末試料13が樹脂層14に包埋されるとともに一方の面側に向かって数密度が増えるように樹脂層14中に偏在して構成されている。
(加工工程)
続いて、樹脂包埋試料10をTEMに適した形状に加工する。具体的には、例えばFIB装置を用いて、図1(c)の破線領域に示すように、樹脂包埋試料10の粉末試料13が偏在している面側の領域から一部を試料片として切り出し薄片化することにより、図1(e)に示すTEM用試料20を得る。
以上により、TEM用試料20が作製される。
<本実施形態に係る効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
本実施形態では、液状樹脂からなる塗布層12上に粉末試料13を散布して自重により塗布層12中に沈降させているので、粉末試料13の充填量を増やした場合であっても、粉末試料13を液状樹脂に添加して混合するときのように粉末試料13が損傷して変質してしまうことを抑制できる。しかも、沈降過程で粉末試料13同士の界面に液状樹脂を行き渡らせることで、粉末試料13の凝集による空隙の形成を抑制できる。そして、沈降させた後、塗布層12の一方の面側に粉末試料13を偏在させた状態で液状樹脂を硬化させることで、一方の面側に向かって数密度が高くなるような樹脂包埋試料10を作製することができる。この樹脂包埋試料10によれば、粉末試料13の偏在している面側から試料片を採取することにより、粉末試料13の数密度が高く、分析効率に優れたTEM用試料20を作製することができる。したがって、本実施形態によれば、粉末試料13の変質および凝集を抑制しつつ、その数密度を高めることができ、TEMによる分析効率および分析精度を向上させることができる。
液状樹脂として熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂によれば、塗布層12として形成して粉末試料13を沈降させた後に硬化させることで、粉末試料13を樹脂層14の沈降方向に偏在するようにすることができる。
また、液状樹脂として常温硬化性樹脂を用いることが好ましく、その中でも常温硬化性のエポキシ樹脂がより好ましい。常温硬化性樹脂によれば、加熱の必要がなく、沈降工程にて粉末試料13を塗布層12に沈降させている間に塗布層12を徐々に硬化させることができるので、工程を短縮させて樹脂包埋試料10の製造を簡略化することができる。
また、基板11における液状樹脂を塗布する面を粗化することが好ましい。これにより、基板11に塗布する液状樹脂の表面張力を低減することができる。その結果、塗布層12を薄く形成して、粉末試料13を塗布層12に沈降させる時間を短縮し、樹脂包埋試料10を生産性よく形成することができる。
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、樹脂包埋試料10からTEM用試料20を作製する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の分析方法に適した形状に適宜変更することができる。例えば、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)、走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope:SPM)など、あらゆる顕微鏡分野の試料に加工することができる。
また、粗化工程では、基板11に適度な表面粗さを付与できれば、その粗化方法は特に限定されないが、図2(a)に示すように、研磨材を基板11の表面に対して一方向(図中の矢印の方向)に移動させて粗化することが好ましい。このように粗化することにより、基板11の表面に筋状の溝15を形成することができ、樹脂包埋試料10からTEM用試料20を効率よく作製することができる。具体的に説明すると、基板11の表面形状は、図2(b)に示すように、樹脂包埋試料10における粉末試料13が偏在する面に転写される。樹脂包埋試料10からTEM用試料20を作製する場合、樹脂包埋試料10における粉末試料13が偏在する面側から平滑な領域を採取する必要があるが、基板11を一方向に研磨する場合、ランダムな方向に研磨する場合と比べて、平滑な領域を多く残すことができるので、TEM用試料20を効率よく作製することができる。
また、上述の実施形態では、塗布層12上に粉末試料13を散布して静置することで粉末試料13の自重により自然に沈降させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、上述した効果を得るとともに粉末試料13の沈降を促進させて沈降するまでの時間を短縮する観点から、以下に示すように、粉末試料13に外的な力を加えて強制的に沈降させることもできる。
例えば、図3に示すように、塗布層12上に粉末試料13を散布した後、板状部材30を載置するとよい。板状部材30によれば、粉末試料13を塗布層12中に押し込むことで、粉末試料13が塗布層12中に沈降し始めるまでの時間を短縮することができる。これにより、樹脂包埋試料10の作製効率を高めることができる。なお、板状部材30としては、塗布層12を大きく変形させなければよく、例えば樹脂フィルムやアルミニウム箔などの金属箔を用いることができる。
また例えば、塗布層12上に粉末試料13を散布した後、粉末試料13に、基板10方向への遠心力を作用させてもよい。具体的には、塗布層12上に粉末試料13を散布した基板10を例えば遠心分離装置に載置して回転させるとよい。遠心力によれば、粉末試料13を沈降させるまでの時間を大幅に短縮することができ、樹脂包埋試料10の作製効率をより高めることができる。しかも、粉末試料13を強制的に沈降させることができるので、塗布層12を構成する液状樹脂として、比較的高い粘度を有する樹脂を使用することができる。また、塗布層12への粉末試料13の充填量が制限されず、適宜変更することが可能となる。すなわち、遠心力によれば、液状樹脂の粘度にかかわらず粉末試料13を強制的に沈降できるので、粉末試料13の充填量を増やすことができる。一方、遠心力によれば、粉末試料13を塗布層12中でより偏在させることができるので、粉末試料13の充填量を減らした場合であっても、所望の高い数密度を維持することができる。
また例えば、粉末試料13が磁性粒子である場合、塗布層12上に粉末試料13を散布した後、粉末試料13に基板10方向への磁力を作用させてもよい。具体的には、塗布層12上に粉末試料13を散布した後、基板10の外側に磁石を配置するとよい。磁力によれば、粉末試料13を沈降させるまでの時間を短縮することができ、樹脂包埋試料10の作製効率を高めることができる。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(実施例1)
基板としてポリイミドフィルムを準備し、その一方の面に対して紙ヤスリ(メッシュ:1000番)を一方向に移動させて粗化処理を施して傷を付けた。次に、液状樹脂としてエポキシ樹脂(PRESI社製「MA2+」、硬化温度:常温、硬化時間:8時間)を準備し、ポリイミドフィルムの粗化面に塗布して所定厚さの塗布層を形成した。次に、塗布層上に粉末試料として電池正極活物質を散布した。散布後、粉末試料の液状樹脂への沈降を促すために、板状部材として傷を付けていないポリイミドフィルムを塗布層上に載置し、そのままエポキシ樹脂が硬化するまで静置した。硬化後、基板を取り除き、一方の面側に粉末試料が偏在する樹脂包埋試料を得た。
実施例1の樹脂包埋試料によれば、FIB装置を用いて、試料粉末が偏在する側の面から試料片をマイクロサンプリングするときに、粉末試料を直ぐに特定できることが確認された。また、マイクロサンプリングにより得られた試料片は、粉末試料が多く存在しており、TEMで観察するときの有効な範囲が広く、観察するときの時間的効率に優れることが確認された。
(比較例1)
比較例1では、エポキシ樹脂に電池正極活物質を添加して爪楊枝で混合した後に硬化させた以外は、実施例1と同様に樹脂包埋試料を作製した。比較例1の樹脂包埋試料をFIB装置によりマイクロサンプリングしたところ、粉末試料の数密度が少なく、サンプリングする箇所の決定に時間を要するため、TEMでの観察効率が低いことが確認された。
(比較例2)
比較例2では、粉末試料として電池正極活物質の代わりに被覆処理された金属粉を用いるとともに、数密度を高めるために実施例1よりも多くの粉末試料を液状樹脂に混合した以外は、比較例1と同様に樹脂包埋試料を作製した。この樹脂包埋試料を用いてTEM観察を実施した結果、混合時の応力で粉末粒子表面の被覆材が剥がれてしまい、試料本来の形状を捉えることができないことが確認された。
以上説明したように、液状樹脂の塗布層に粉末試料を沈降させた後に硬化させて樹脂包埋試料を作製することで、粉末試料の数密度を高くして分析効率を向上させつつ、粉末試料の凝集と変質とを抑制できることが確認された。
10 樹脂包埋試料
11 基板
12 塗布層
13 粉末試料
14 樹脂層
15 筋状の溝
20 TEM用試料
30 板状部材

Claims (11)

  1. 液状樹脂を基板上に塗布し塗布層を形成する塗布工程と、
    前記塗布層上に粉末試料を散布して前記塗布層中に沈降させる沈降工程と、
    前記塗布層を硬化させて樹脂層を形成する硬化工程と、を有し、
    前記粉末試料が、前記樹脂層の厚さ方向において、一方の面から他方の面に向かって数密度が増えるように偏在する、樹脂包埋試料を製造する、樹脂包埋試料の製造方法。
  2. 前記液状樹脂が熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂である、請求項1に記載の樹脂包埋試料の製造方法。
  3. 前記液状樹脂が常温硬化性樹脂であって、
    前記粉末試料を前記塗布層に沈降させつつ前記塗布層を硬化させて、前記沈降工程とともに前記硬化工程を行う、請求項1又は2に記載の樹脂包埋試料の製造方法。
  4. 前記液状樹脂が常温硬化性のエポキシ樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂包埋試料の製造方法。
  5. 前記塗布工程の前に、前記基板における前記液状樹脂を塗布する面を粗化処理する粗化工程を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂包埋試料の製造方法。
  6. 前記沈降工程では、前記粉末試料を散布した後に前記塗布層上に板状部材を載置し、前記粉末試料を前記塗布層中に押し込み沈降させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂包埋試料の製造方法。
  7. 前記沈降工程では、前記粉末試料に、基板方向への遠心力を作用させ、前記塗布層中に沈降させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂包埋試料の製造方法。
  8. 前記粉末試料が磁性粒子であり、
    前記沈降工程では、前記粉末試料に、基板方向への磁力を作用させ、前記塗布層中に沈降させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂包埋試料の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法により得られる樹脂包埋試料における前記粉末試料が偏在して数密度が高い面側の領域から試料片を採取して薄片化する、透過型電子顕微鏡用試料の製造方法。
  10. 液状樹脂を硬化させた硬化物から形成される樹脂層と、
    前記樹脂層中に包埋される粉末試料と、を備え、
    前記粉末試料が、前記樹脂層の厚さ方向において、一方の面から他方の面に向かって数密度が増えるように偏在している、樹脂包埋試料。
  11. 請求項10に記載の樹脂包埋試料における前記粉末試料が偏在して数密度が高い面側の領域から採取される、透過型電子顕微鏡用試料。
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