JP2005055428A - Tem試料およびその作製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 固相状態の材料から長さ(l)および幅(b)のTEM試料を切出し、この試料表側の表面(7)に対して流動タイプの硬化性接着剤を塗布することにより、直径(d)の繊維(2)を、試料表面(7)上において、試料の長手方向で整列して、幅(b)について実質的に中心に固定する。接着剤(3)は実質的に試料表面(7)上の全区域にわたり塗布される。繊維(2)は接着剤(3)上に置かれると自ら整列し、実質的にその長さ全体にわたり接着剤で湿潤し、この後接着剤は硬化させられる。
【選択図】 図2
Description
この発明は透過型電子顕微鏡(TEM)用の試料に関し、さらに上記試料を製造する方法に関する。
S.ゼンツ、P.コッパーシュミット、E.ランガー、H.ジーバー、D.ヘッセ(S. Senz, P. Kopperschmidt, E. Langer, H. Sieber, D. Hesse)、「線材遮蔽TEM断面作製技術の最適化("Optimisation of the wire shadow TEM cross section preparation technique")」、『超顕微法(Ultra Microscopy)』、エルゼビア・サイエンス出版社(Elsevier Science B.V. Verlag)、70号(1997年)、23〜28頁 ここでの著者たちの提案によると、固相の塊体をダイヤモンドの鋸歯で鋸引きして観察する材料の試料を得る。鋸引きで得られた試料片は矩形であり、長さおよそ2〜3cm、幅200〜300μmである。試料片の幅は機械加工によりさらに小さくされて100μmの値となる。このプロセスにおいて表側の面が損傷されてはならない。試料の切出しはたとえばシリコンなどの半導体材料からなされる。試料塊体の鋸引きで試料が得られた後、厚みおよそ10μmの線材(遮蔽用線材)または繊維を、本来の試料表面を表わす試料表側の面に対して置いて位置付け、そして接着することになる。この目的のために、この表面に対し、試料塊体の両端部で少量のエポキシ接着剤を塗布してから、長さ数mmの繊維を試料表面の中心に配して接着剤で湿潤させる。ここで接着剤が毛管力により試料塊体と繊維との隙間に流れ込むことが求められる。この後接着剤を硬化させる。このプロセスはその全体を高い精度で行なう必要があり、その実行は困難である。接着剤の硬化後、試料を試料ホルダの中に置き、真空の容器の中で、試料表面に直交するイオン衝撃によって、試料のうち影になっていない領域を腐食させ、こうして試料表面にわたって影の縁に電子透過性の峰部が形成される。イオン衝撃の間に遮蔽用繊維の直径もまた減少し、このため峰部は楔形となる。峰部の高さは、作製する材料のイオン腐食速度と、遮蔽用線材の腐食速度と、これの直径とにより、これらの関数として影響を受けるであろう。峰部の側壁に平滑な表面形態を生じさせるには材料腐食が均質である必要がある。これを達成するために、好適な高さのイオン加速電圧を選択し、さらにまた入射イオンビームに対しての追加的な試料の振動からの相対運動を利用する。断面作製の結果として、長さ数百μm〜数mmの電子透過性の峰部が形成される。表面近くの峰部の縁領域では高分解能の電子光学的特性記述が可能である。一方、上述の作製技術の問題としてはその実行が困難であることが挙げられる。作製工程のうち品質を決定するのは遮蔽用繊維の精密接着工程である。これに加え、試料作製は数時間を要するためプロセスの経済性が大きく下がる。上述の理由から、当該技術分野においてこの形の作製技術は現在のところ広く普及していない。
この発明は先行技術の欠点を除去するという問題に対処するものである。特定的には、線材遮蔽法または繊維遮蔽法であって、少ない手間と高信頼度で、かつ良好な試料品質であるとともに経済性の高いTEM試料を実現できる方法を実現する。
対し透過性となる。ここで、試料に対して特定の角度にわたり、試料表面に直交し繊維を通る平面内でイオンビームを前後に動かすことが有利である。峰部を横切る方向でTEMに対する所望の電子透過性が達成されるまでエッチングを行なう。エッチングにおいては、繊維を除去することは必須ではない。繊維は残っていてもよく、またはエッチングで完全にもしくは部分的に除去されてもよい。しかし繊維が一箇所で消失するまでエッチングを行なうのが有利である。この場合、試料の峰部において厚みにわずかな異なりが生じ、これによりTEMでの好ましい観察部位を選択することが可能となる。
試料材料から試料塊体をダイヤモンド鋸歯で切出し、図1aに示す長さlおよび幅bの細長の試料塊体1を形成する。試料が超小型電子技術用ウェハから切出されたものである場合、この試料1はしばしば構造化された表面7を有し、これはさらにコーティング4または層組織4を含み得る。直径dの繊維2を接着剤3で試料表面7に接着する。先行技術に従うと、接着剤を、試料1の幅bについて中心に、試料長さlでの端部領域で塗布し、繊維を幅bについて中心に慎重に位置付ける。先行技術に従うと、試料幅bがおよそ100μmであり、接着剤3を繊維2の領域のみに塗布することが求められる。しかしこれでは、試料1の端部領域に塗布された接着剤箇所3が流動により繊維と試料表面7との間にも完全に広がることは確実とはならない。その結果、図1dに示すように、特に試料表面7が構造化されている場合に不所望の空隙5が形成されてしまい、こうして試料の品質が損なわれ、あるいは使用不可能になることすらある。図1a,b,cでは、この後のエッチングプロセスの進行を示してある。試料表面7に直交するようにイオンビームIを繊維2に照射する。図1aに示すように、この直交の入射方向に対して±αの角度にわたりイオンビームIを前後に往復して動かしてもよい。この往復運動は、試料表面7に直交し繊維2を通って延びる平面上で行なわれる。指定のエッチング時間が経過した後、試料1の材料腐食によりフランク6が形成され、ここで既に、図1bで明らかなように、試料に峰状の先細部が生じていることがわかる。図1cでは試料をその最終段階で示す。ここで、試料1のイオンビームでのエッチングにより、長さlにわたって明確な楔形の形状部を生じさせる。エッチングにより試料1の両側面に形成されたフランク6は細長の峰部を含んでおり、これは一点へと先細りし、この領域においてTEMの電子に対して透過性がある。図中ではこれをe-と試料の長手方向を横切る矢印とで示す。この状態では繊維2はエ
ッチングでかなり除去されている。
Claims (14)
- 固相状態の材料から切出され、長さ(l)および幅(b)を有しかつ表側の試料表面(7)を有するTEM試料であって、流動タイプの硬化性接着剤(3)を備え、前記硬化性接着剤(3)が、直径(d)の繊維(2)を、前記試料表面(7)上において、前記TEM試料(1)の長手方向で整列して、前記幅(b)について実質的に中心に固定する、TEM試料において、
前記接着剤(3)が実質的に前記試料表面(7)上の全区域にわたり塗布され、前記繊維(2)が実質的にその長さ全体にわたり接着固定されることを特徴とする、TEM試料。 - 前記試料幅(b)が最大20μmであることを特徴とする、請求項1に記載のTEM試料。
- 前記試料幅(b)が10〜20μmの範囲内であり、前記繊維(2)の直径(d)が前記試料幅(b)以下であることを特徴とする、請求項2に記載のTEM試料。
- 前記繊維(2)の直径(d)が5〜20μmの範囲内であることを特徴とする、請求項3に記載のTEM試料。
- 前記線材繊維(2)が前記接着剤(3)のうち少なくとも半分を覆うことを特徴とする、請求項4に記載のTEM試料。
- 前記接着剤(3)がエポキシ接着剤であることを特徴とする、請求項5に記載のTEM試料。
- 前記線材繊維(2)が炭素または炭化ケイ素からなることを特徴とする、請求項6に記載のTEM試料。
- 固相状態の材料から切出され、長さ(l)および幅(b)を有しかつ表側の試料表面(7)を有するTEM試料の作製方法であって、前記試料表面(7)に対して流動タイプの硬化性接着剤(3)が塗布されて、直径(d)の繊維(2)を、前記試料表面(7)上において、前記TEM試料の長手方向(l)で整列して、前記幅(b)について実質的に中心に固定する、TEM試料作製方法において、前記接着剤(3)が実質的に前記試料表面(7)の区域全体にわたり塗布され、前記接着剤(3)が上に塗布された前記繊維(2)が自己整列しかつ実質的にその長さ全体にわたり前記接着剤(3)で湿潤し、それから前記接着剤(3)が硬化することを特徴とする、TEM試料作製方法。
- 前記TEM試料が最大20μmの幅(b)に切出されることを特徴とする、請求項8に記載のTEM試料作製方法。
- 前記TEM試料が10〜20μmの範囲内の幅(b)に切出され、前記繊維(2)の直径(d)が前記試料幅(b)以下であることを特徴とする、請求項9に記載のTEM試料作製方法。
- 前記繊維(2)の直径(d)が5〜20μmの範囲内であることを特徴とする、請求項10に記載のTEM試料作製方法。
- 前記繊維(2)が前記接着剤(3)のうち少なくとも半分を覆うことを特徴とする、請求項11に記載のTEM試料作製方法。
- 前記接着剤(3)としてエポキシ接着剤が用いられることを特徴とする、請求項12に記載のTEM試料作製方法。
- 前記繊維材料(2)として炭素または炭化ケイ素が用いられることを特徴とする、請求項13に記載のTEM試料作製方法。
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