JP6024485B2 - 電子顕微鏡観察用試料台、並びに試料の断面観察方法 - Google Patents

電子顕微鏡観察用試料台、並びに試料の断面観察方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子顕微鏡に用いる電子顕微鏡観察用試料台、並びにその電子顕微鏡用試料台を用いた電子顕微鏡による試料の断面観察方法に関する。
粉末粒子は、様々な分野・用途に使用されており、粒子に耐熱性や耐酸化性等の性能を持たせるために粒子に様々な処理を施すことが多い。このような粒子を開発していく上では、粉末粒子形状がどのような状態であるか詳細に調査することが重要となる。
通常、粉末粒子の形状評価方法として、走査電子顕微鏡(SEM)による表面・断面観察が用いられる。SEMによる粉末粒子の断面加工を行う場合においては、粒子を熱硬化性樹脂に埋めて樹脂包埋させた後、樹脂包埋させた試料を試料台に載せて、加工歪が少なく広範囲の断面加工が可能なクロスセクションポリッシャ(CP)を用いて加工を行う。その後、断面加工を終えた試料を試料台から取り外し、SEM用試料台に載せ換えて断面加工部分を観察する。
ところが、観察対象の粉末粒子が酸化物粒子等の場合、大気に数分晒すだけで粒子自体が大気中の水分と反応して変質してしまい、粒子本来の状態を正確に捉えることができず、精度の高い断面観察を行うことができなくなる。
また、このような方法の実用化例として、例えば特許文献1に、走査電子顕微鏡用試料台が提案され、多目的用走査電子顕微鏡の試料台を開発したことが報告されている。しかしながら、この試料台は、集束イオンビーム加工観察及びSEM観察に適した試料台であることが報告されているのみであって、酸化物粒子等の試料において変質を防止して断面観察を行うようにする考え方は示されていない。
また、他の実用化例として、例えば特許文献2に記載の電子顕微鏡用試料台があり、EBSD解析が可能な電子顕微鏡用の試料台について報告されている。しかしながら、この試料台は、EBSD解析用に限定したものであり、特許文献2にも酸化物粒子等の試料において変質を防止して断面観察を行うようにする考え方は示されていない。
特開平11−149896号公報 特開2011−204367号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、大気に晒されることで容易に変質してしまう試料に対して、試料の変質を防止して、正確な断面観察を行うことを可能とする方法を適用することを目的とする。
本発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ね、クロスセクションポリッシャ等により断面加工を行った後に、加工した試料を取り外してSEM等の電子顕微鏡の試料台に載せ変えることをせずにそのまま電子顕微鏡の鏡筒内に移動させて断面観察を行うことができる電子顕微鏡用試料台を開発した。
すなわち、本発明に係る電子顕微鏡観察用試料台は、断面加工を行った後の試料の断面観察を行うための電子顕微鏡用の試料台であって、本体胴部上面に所定の深さの凹部を有するとともに、本体胴部側面に該側面から該凹部までを貫通する少なくとも1つの貫通孔が形成された試料台本体と、上記貫通孔に挿入される固定部材とを備え、上記断面加工を行った試料を載置した断面加工用試料台が、上記試料台本体の凹部に載置され、上記貫通孔を貫通した上記固定部材により固定されて取り付けられ、上記凹部の深さは、上記載置固定される上記断面加工用試料台の高さ方向の長さよりも短いことを特徴とする。
また、試料の断面観察方法は、観察対象の試料の断面加工を行い、加工して得られた該試料の断面を電子顕微鏡を用いて観察する試料の断面観察方法であって、上記電子顕微鏡の試料台は、本体胴部上面に所定の深さの凹部を有するとともに、本体胴部側面に該側面から該凹部まで貫通する少なくとも1つの貫通孔が形成された試料台本体と、上記貫通孔に挿入される固定部材とを備え、上記断面加工を行った試料を断面加工用試料台に載置させた状態で、該断面加工用試料台を上記試料台本体の凹部に載置し、上記貫通孔を貫通した上記固定部材により固定して、該試料の断面を電子顕微鏡により観察し、上記凹部の深さは、上記載置固定される上記断面加工用試料台の高さ方向の長さよりも短いことを特徴とする。
本発明に係る電子顕微鏡用試料台によれば、断面加工を行った試料をその断面加工用試料台に載置させたそのままの状態で電子顕微鏡の試料台に取り付けて断面観察を行うことができるので、酸化物粒子等の試料であってもその試料の変質を防止して、正確な断面観察を行うことができる。
電子顕微鏡試料台を搭載した試料ホルダーを示す平面図(A)と斜視図(B)である。 電子顕微鏡用試料台の斜視図である。 電子顕微鏡用試料台の上面図(A)及び正面図(B)である。 台座を示す図(A)と、その台座と一体化させた電子顕微鏡試料台を示した図(B)である。 電子顕微鏡用試料台に対して、観察対象試料を載置させたときの状態を説明するための図である。 電子顕微鏡の鏡筒の構成と、その鏡筒内の試料ステージに電子顕微鏡用試料台を取り付ける操作の流れを説明するための図である。 実施例1における電子顕微鏡(SEM)による断面観察写真図である。 比較例1における電子顕微鏡(SEM)による断面観察写真図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)について、図面を参照しながら以下の順序で詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。
1.電子顕微鏡用試料台の構成
2.電子顕微鏡用試料台に対する観察対象試料の載置
3.観察対象試料の断面加工、並びに断面観察について
<1.電子顕微鏡用試料台の構成>
本実施の形態に係る電子顕微鏡用試料台は、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)等の電子顕微鏡によって、断面組織観察や後方散乱電子回折パターンによる断面結晶組織の結晶方位解析等を行う観察試料を載置するための電子顕微鏡用試料台である。この電子顕微鏡用試料台には、観察のために断面加工を行った試料(断面加工試料)が載置され、その断面加工試料が載置された状態で、例えば図1に示すような電子顕微鏡の試料ホルダー1に形成された試料台装着部2に着脱自在に取り付けられる。
図2は、本実施の形態に係る電子顕微鏡用試料台を模式的に示した斜視図である。また図3は、その電子顕微鏡用試料台の上面図(A)及び正面図(B)である。図2及び図3に示すように、電子顕微鏡用試料台10は、試料台本体11と固定部材12とを備える。
試料台本体11は、その胴部が例えば円筒形状の金属部材から形成されたものであり、その本体胴部上面11aに所定の深さの凹部13を有する。このように、電子顕微鏡用試料台10においては、試料台本体11の胴部上面11aに所定の深さの凹部13を有することが特徴である。詳しくは後述するが、電子顕微鏡用試料台10では、試料台本体11に設けられた凹部13に、断面加工を行った観察対象試料を載置させた断面加工用試料台(例えば、クロスセクションポリッシャ用試料台)が載置固定される。
試料台本体11の胴部の形状は、上述した円筒形状に限定されるものではなく、その上面11aに凹部13を形成することができるものであればよい。例えば、四角柱や多角柱等の形状であってもよい。また、その大きさとしても特に限定されるものではなく、使用する電子顕微鏡に設置可能な大きさとすることができる。具体的には、例えば、直径が10〜20mm程度、高さが10〜15mm程度の円筒形状とすることができる。
また、試料台本体11の材質としては、電子顕微鏡による断面観察やEBSD測定に影響を及ぼすものでなければ特に限定されるものではない。具体的には、導通性を有し磁性を有しない材料、例えばアルミニウムや真鍮等で形成されたものを用いることができる。
試料台本体11の上面11aに設けられた凹部13の形状は、この凹部13に載置される断面加工用試料台を確実に固定することができる形状であれば特に限定されない。例えば、図2及び図3に示すように、直方体の断面加工用試料台を載置固定可能なように、試料台本体11の胴部を直方体形状に刳り抜いた形状の凹部13とすることができる。
また、その凹部13の深さは、載置固定される断面加工用試料台の高さ方向の長さよりも短いことが好ましい。これにより、後述する図5に示すように、断面加工用試料台を載置させたときに、その断面加工用試料台の上部が凹部13から突出した状態とすることができ、断面加工用試料台に載せた観察対象試料が試料台本体11の上面11a等に接触することを防ぎ、正確な断面観察が妨害されることを防止することができる。具体的に、その凹部13の深さとしては、例えば、断面加工用試料台が高さ8mm程度の直方体形状である場合には、深さが5mm程度となる凹部13とする。
また、試料台本体11には、その本体胴部側面11bにその側面11bから凹部13までを貫通する少なくとも1つの貫通孔14が形成されている。この貫通孔14には、後述する固定部材12が挿入される。固定部材12は例えばネジからなり、貫通孔14は、そのネジ状の固定部材12を螺嵌することができるような孔を構成している。
貫通孔14の形成位置(本体胴部側面11bにおける形成位置)としては、特に限定されず、貫通孔14内を貫通させた固定部材12によって凹部13に載置させた断面加工用試料台を固定することができるような位置とすることができる。具体的に、その高さ位置としては、凹部13の深さが5mm程度である場合には、貫通孔14の中心位置の高さが2.5mm程度となる高さ位置とすることができる。また、水平方向の位置としては、その貫通孔14が、試料台本体11の中心を通って凹部13の形成方向に対して直交するように形成される位置とすることができる。
固定部材12は、上述したように、例えばネジからなる。固定部材12は、図2(A)に示すように試料台本体11に形成された貫通孔14に挿入され、試料台本体11の凹部13に載置される断面加工用試料台とその試料台本体11とを支持固定する。これにより、試料台本体11の凹部13に載置させた断面加工用試料台が、その試料台本体11の所定位置からズレたり落下等したりすることを防止し、的確な断面観察を可能にする。
固定部材12の形状としては、上述したネジ形状に限られるものではなく、試料台本体11と断面加工用試料台とを固定させることができれば何れの形状でもよいが、種々の大きさの断面加工用試料台に対して調節しながら固定することができるという点で、ネジ形状であることが好ましい。また、その材質についても、特に限定されるものではなく、試料台本体11と同様に、アルミニウム等の材質とすることができる。
また、電子顕微鏡用試料台10は、使用する電子顕微鏡の鏡筒内の試料ステージに装着可能な試料ホルダーに取り付けられる台座と一体にしたものとすることができる。図4は、電子顕微鏡用試料台10と台座20とを示す模式図である。
台座20は、例えば円盤状や平板状の形状からなり、図1に示した試料ホルダー1に形成された試料台装着部2に取り付けることが可能となっている。この台座20についても、断面観察等に影響を及ぼさない材質、例えばアルミニウムや真鍮等で形成されている。
この台座20には、その略中心位置に軸21を有している。軸21は、台座20に対して垂直に固定されたものであり、例えば円柱形状に形成されている。この軸21についても、台座20と同様に例えばアルミニウム等の材質で形成されている。
図2〜図4に示すように、電子顕微鏡用試料台10の本体胴部下面11cには、その下面11cから凹部13に向かって、下面11cに対して垂直に形成された孔部15が設けられており、その孔部15に対して台座20に垂直に立設された軸21が挿入される。このように電子顕微鏡用試料台10の孔部15に軸21が挿入されることで、電子顕微鏡用試料台10が台座20に固定され、一体化した状態となる。
また、このように軸21を垂直立設させた台座20と電子顕微鏡用試料台10とを一体化することによって、その軸21を中心として、その円周方向に電子顕微鏡用試料台10を回転させることができる。これにより、電子顕微鏡による観察等を行うに際して、観察対象試料を載置させた電子顕微鏡用試料台10を適した角度に調整することでき、より精度の高い観察等を行うことができる。
電子顕微鏡用試料台10の本体胴部下面11cから形成された孔部15は、凹部13にまで貫通しているようにしてもよく、また本体胴部下面11cから凹部13に向かう本体胴部内の途中に孔の底部を有するものであってもよい。
また、軸21の表面形状については、特に限定されないが、図4に示すように電子顕微鏡用試料台10の孔部15に対して螺嵌挿入することができるようにネジ状の表面形状とすることが好ましい。これにより、台座20に対して電子顕微鏡用試料台10の高さ位置を自由に調整することが可能となる。また、このようにネジ状の表面形状とすることによって、軸21を中心とした円周方向への電子顕微鏡用試料台10の回転を、よりスムーズに行うことが可能となる。
なお、台座20と一体化させた電子顕微鏡用試料台10は、後述する図6の構成図に示すように、試料ホルダー1の試料台装着部2に載置された後に、その電子顕微鏡用試料台10を載置させた試料ホルダー1が電子顕微鏡の鏡筒3内における試料ステージ4に搬送されて取り付けられる。
<2.電子顕微鏡用試料台に対する観察対象試料の載置>
図5は、上述した構成からなる電子顕微鏡用試料台10に対して、観察対象試料を載置させたときの状態を説明するための図である。図5に示すように、電子顕微鏡用試料台10には、その凹部13の位置に断面加工用試料台30が載置固定される。すなわち、電子顕微鏡により断面観察される試料40は、断面加工用試料台30に載置されて観察の前処理としての断面加工が施された後、その断面加工用試料台30に載置された状態のままで、電子顕微鏡用試料台10に載置固定されることになる。
具体的に、電子顕微鏡用試料台10への観察対象試料40の載置手順を説明する。
先ず、観察対象試料40を断面加工用試料台30に載置して断面加工を行った後に、その観察対象試料40を載置させた断面加工用試料台30を速やかに電子顕微鏡用試料台10の凹部13に載置させる。上述したように、電子顕微鏡用試料台10の凹部13は、断面加工用試料台30の形状に沿う形で形成されているので、容易にその凹部13に断面加工用試料台30を載置させることができる。
次に、凹部13に断面加工用試料台30を載置させた状態で、電子顕微鏡用試料台10の本体胴部側面11bに設けられた貫通孔14を介して固定部材12を螺嵌挿入していく。すると、固定部材12の先端部12aが凹部13に載置された断面加工用試料台30と接触し、さらに固定部材12を貫通孔14内に螺嵌していくことで断面加工用試料台30を電子顕微鏡用試料台10に固定させる。
そして、このようにして観察対象試料40を載置させた状態の断面加工用試料台30を、電子顕微鏡用試料台10の凹部13に固定して取り付けると、これを速やかに電子顕微鏡の鏡筒内の試料ステージに装着可能な試料ホルダー1の試料台装着部2に取り付けて、電子顕微鏡による断面観察を行う。具体的には、観察対象試料40を載せたままの状態の断面加工用試料台30を電子顕微鏡用試料台10に固定すると、図6に示すように、その電子顕微鏡用試料台10を例えば台座20を介して試料ホルダー1に載置する。そして、その電子顕微鏡用試料台10を載置させた試料ホルダー1を、電子顕微鏡の鏡筒3内における試料ステージ4まで搬送して取り付け、断面観察を行う。
ここで、本実施の形態に係る電子顕微鏡用試料台10は、大気との接触により変質が生じ易い酸化物粒子等の試料についての断面観察を行う場合に、特に好適に用いることができる。例えば、酸化物粒子の場合では、水との反応性が高く、大気中に僅か数分晒されるだけで大気中の水分と反応して粒子の変質を生じさせる。このようにして粒子の変質が生じると、断面観察においてその変質箇所が影のようになり、全体として正確な断面観察を行うことができなくなる。この粒子の変質は、大気に晒される時間が長いほど生じ易くなる。ところが、従来の電子顕微鏡による断面観察では、観察対象試料に対する断面加工を行った後、その試料を断面加工用試料台から取り外して電子顕微鏡用試料台に載せ換えるという作業を行っており、その間、約5〜10分間も大気に晒される状況となっていた。
これに対して、本実施の形態に係る電子顕微鏡用試料台10では、上述したように、酸化物粒子等の観察対象試料40を、断面加工を行う際に用いる断面加工用試料台30に載置させた状態のままで、その断面加工用試料台30を電子顕微鏡用試料台10に載置させることができるようになっている。そのため、従来法のように、断面加工が終了した後に、観察対象試料を断面加工用試料台から取り外して、電子顕微鏡用試料台に載せ換えるといった作業を行うことを要しない。これにより、速やかに観察対象試料を電子顕微鏡の鏡筒内にセットすることが可能となり、その酸化物粒子等の観察対象試料が大気に晒される時間を極めて短時間とすることができ、大気との接触による変質を防止することができる。
このような電子顕微鏡用試料台10によれば、大気との接触により変質が生じ易い酸化物粒子等の試料であっても、その粒子本来の状態を正確に捉えることができ、精度の高い断面観察並びに粒子の状態評価を行うことができる。
<3.観察対象試料の断面加工、並びに断面観察について>
ここで、観察対象試料の断面加工方法、並びに断面観察方法について、以下にそれぞれ一例を示して説明する。
(断面加工方法)
断面加工方法としては、特に限定されないが、例えばクロスセクションポリッシャ(Cross Section Polisher:CP)等を用いて行うことができる。クロスセクションポリッシャは、ブロードなアルゴンイオン(Ar)ビームを遮蔽板から露出した試料に照射してイオンエッチングを行うことで試料を切削して断面加工する方法である。このクロスセクションポリッシャによれば、広範囲な断面加工を行うことができるとともに、平滑で加工歪のない断面を形成することができ、より精度の高い断面観察等を可能にする。
具体的に、クロスセクションポリッシャによる断面加工方法は、先ず、観察対象となる酸化物粒子等の試料を熱硬化性のエポキシ樹脂等の樹脂と混合して混合物とし、その混合物をスライドガラス等で挟み込んで、加熱処理を施して樹脂を硬化させる。これによって、試料を樹脂で包埋(樹脂包埋)させる。
次に、樹脂包埋させて得られた試料を所定の大きさに切断した後、その試料をクロスセクションポリッシャ用試料台(断面加工用試料台)にワックス(マウンティングワックス)等を塗布して貼り付ける。このとき、試料がクロスセクションポリッシャ用試料台の端部からはみ出るように貼り付ける。
そして、試料の直上に試料が突出するように遮蔽板を置き、顕微鏡画像で加工位置の位置決めを行って、上方からアルゴンのイオンビームを照射することによって断面加工する。具体的には、真空中でアルゴンイオン銃によりアルゴンイオンビームを発生させ、作製しようとする断面となる試料面に対して垂直な方向からアルゴンイオンビームを照射する。この断面加工により、遮蔽板から突出した部分の試料がアルゴンイオンビームの照射により削られて断面が表出し、加工断面が得られる。なお、アルゴンイオンビームの加速電圧としては、特に限定されず試料の特性に合わせて適宜調整することが好ましいが、3〜6kV程度で行うことが特に好ましい。
(電子顕微鏡による断面観察)
本実施の形態においては、上述した断面加工を行った後、その断面加工された試料を断面加工用試料台に載置させた状態のまま、電子顕微鏡試料台に取り付ける。すなわち、図5に示したように、クロスセクションポリッシャ等により断面加工した観察対象試料40を、その断面加工用試料台(クロスセクションポリッシャ用試料台)30に載置させた状態のまま、その断面加工用試料台30を電子顕微鏡用試料台10の凹部13に載置して固定することによって取り付ける。
そして、この電子顕微鏡用試料台10を、例えば走査電子顕微鏡の試料ホルダー1に形成された試料台装着部2に着脱可能な台座20に軸21を介して固定した後、図6に示したように、電子顕微鏡用試料台10を載置させた試料ホルダー1を電子顕微鏡の鏡筒3内の試料ステージ4にセットする。これにより、電子顕微鏡による断面観察や断面組織解析が可能となる。
走査型顕微鏡(SEM)等の電子顕微鏡による観察としては、従来知られている方法に従って行うことができる。具体的には、断面加工した観察対象試料40に対して電子線を照射し、照射された電子線による2次電子、反射電子、又は透過電子を検出して、観察対象となる試料の像を得る。例えばSEMの場合、その鏡筒3内には、電子ビームを生成するフィラメント5、コンデンサ(集束)レンズ6や対物レンズ7のレンズ系、偏向コイル8等が設けられており(図6)、フィラメント5から生成した電子ビームXが、レンズ系で絞られるとともに偏向コイル8で偏向制御され、鏡筒3下部の試料ステージ1に載置させた電子顕微鏡用試料台10の観察対象試料40に向けて照射されることで、試料の像が得られる。なお、検出した電子による2次電子像等の取得に際しては、分解能等を考慮して加速電圧、コンデンサレンズ電流値、対物絞り径、作動距離等を設定した後、撮影を行い、画像データを取得することで行うことができる。
また、例えば走査電子顕微鏡に搭載したEBSD検出器により結晶構造由来の回折パターンを取得して結晶学的な解析を行うことによって結晶方位を導き出すこともできる(EBSD法)。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。本実施例及び比較例では、大気に晒されるとその大気中の水分と反応して容易に変質してしまう酸化物粒子を観察対象試料として用い、その試料に対して断面加工を行い、得られた断面についての観察(断面観察)を行った。
[実施例1]
(断面加工)
観察対象試料として酸化物粒子を使用し、先ず、その試料と熱硬化性エポキシ樹脂(Gatan社製 G2)とを十分に混合して混合物を作製した。次に、スライドガラス表面にニトフロン粘着テープ(日東電工株式会社製)を貼り、その上に作製した混合物を載せて、もう一枚のスライドガラスで挟み込み、ホットプレートの上で120℃、5分間の条件で樹脂を硬化させた。
その後、硬化させて樹脂包埋した試料を8mm×10mm程度の大きさにカミソリで切断した後、ワックス(JEOL社製 マウンティングワックス)を塗布したクロスセクションポリッシャ用試料台に貼り付け、クロスセクションポリッシャ(日本電子株式会社製 SM−09010)を用い、アルゴンイオンビームの加速電圧を5kVに設定して断面加工を行った。
(電子顕微鏡による断面観察)
その後、走査電子顕微鏡(SEM)用の試料台に、断面加工した試料をクロスセクションポリッシャ用試料台に載せた状態のままで取り付け、速やかにSEM鏡筒に移動させてSEMによる断面観察を行った。
ここで、電子顕微鏡用試料台としては、図2に模式図を示したように、直径15mm、高さ10mmの円筒形状であって、その本体胴部の上面に、深さ5mmの凹部を形成させ、また本体胴部側面(本体胴部上面から2.5mmの高さ位置)にその側面から凹部までを貫通する貫通孔を1つ形成させた試料台を用いた。この電子顕微鏡用試料台への観察対象試料の取り付けは、その試料台の本体胴部上面に形成された凹部に、断面加工した試料を載置させたままのクロスセクションポリッシャ用試料台を載置固定することによって取り付けた。なお、この試料台の本体胴部下面には、その下面から凹部に向かって孔部を設け、SEMの鏡筒内の試料ステージに装着可能な試料ホルダーに取り付けられる台座に固定させるようにした。試料台と台座との固定は、台座に垂直に立設された軸を、試料台の本体胴部下面に設けた孔部に挿入して行った。
試料の断面観察は、SEM(日立ハイテクノロジーズ株式会社製 S−4700)を用いて、加速電圧1kV、作動距離6.1mmの条件で行った。
(断面観察結果)
図7に、断面観察により得られたSEM像を示す。図7の観察写真図から明らかなように、得られた粒子断面には、試料である酸化物粒子が変質した状態は全く観察されず、正確な断面観察を行うことができた。
このように、上述した電子顕微鏡用試料台を用いることによって、酸化物粒子の変質を防ぐことができ、本来の粒子断面の状態を的確に捉えて、精度の高い断面観察を行うことができることが分かった。
[比較例1]
(断面加工)
実施例1と同様に、観察対象試料として酸化物粒子を使用してクロスセクションポリッシャによる断面加工を行った。
(電子顕微鏡による断面観察)
次に、比較例1では、断面加工した試料をクロスセクションポリッシャ用試料台から精密ピンセットを用いて取り外し、既存のSEM観察試料台に両面テープで貼り付けて載せ換え、速やかにSEM鏡筒に移動させてSEMにより試料の断面形状を観察した。断面観察は、実施例1と同様に、SEM(日立ハイテクノロジーズ株式会社製 S−4700)を用いて、加速電圧1kV、作動距離6.1mmの条件で行った。
(断面観察結果)
図8に、断面観察により得られたSEM像を示す。図8の観察写真図から明らかなように、得られた粒子断面には試料である酸化物粒子の変質箇所(図8中の丸囲み部)が複数観察されていることが分かる。このため、本来の酸化物粒子の状態を的確に捉えることができず、精度の高い断面観察を行うことができなかった。
この試料の変質は、試料が大気中の水分と反応したために生じたと考える。すなわち、断面加工用試料台から電子顕微鏡用試料台に断面加工した試料を載せ換える作業を数分間に亘って行ったことにより、大気中の水分と反応する時間が生じてしまい、その結果として、試料の変質を引き起こしてしまったものと考えられる。
10 電子顕微鏡用試料台、11 試料台本体、11a 本体胴部上面、11b 本体胴部側面、11c 本体胴部下面、12 固定部材、13 凹部、14 貫通孔、15 孔部、20 台座、21 軸、30 断面加工用試料台、40 観察対象試料

Claims (7)

  1. 断面加工を行った後の試料の断面観察を行うための電子顕微鏡用の試料台であって、
    本体胴部上面に所定の深さの凹部を有するとともに、本体胴部側面に該側面から該凹部までを貫通する少なくとも1つの貫通孔が形成された試料台本体と、
    上記貫通孔に挿入される固定部材とを備え、
    上記断面加工を行った試料を載置した断面加工用試料台が、上記試料台本体の凹部に載置され、上記貫通孔を貫通した上記固定部材により固定されて取り付けられ
    上記凹部の深さは、上記載置固定される上記断面加工用試料台の高さ方向の長さよりも短いことを特徴とする電子顕微鏡観察用試料台。
  2. 電子顕微鏡の鏡筒内の試料ステージに装着可能な試料ホルダーに取り付けられる台座と、
    上記台座に対して垂直に固定された軸とをさらに備え、
    上記試料台本体には、本体胴部下面から上記凹部に向かって、該本体胴部下面に対して垂直に孔部が形成されており、該孔部に上記軸が挿入されることにより該試料台本体が上記台座に固定されることを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡用試料台。
  3. 上記試料台本体は、上記軸に挿入された状態で該軸の円周方向に回転可能であることを特徴とする請求項2記載の電子顕微鏡用試料台。
  4. 記断面加工用試料台を載置したときに該断面加工用試料台の上部が上記凹部から突出することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の電子顕微鏡用試料台。
  5. 上記断面加工用試料台は、クロスセクッションポリッシャ用の試料台であり、該試料台に樹脂包埋された試料を載置して、該試料の断面を削ることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の電子顕微鏡用試料台。
  6. 上記断面観察においては、走査電子顕微鏡を用いて、断面加工した試料の二次電子像を観察することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の電子顕微鏡用試料台。
  7. 観察対象の試料の断面加工を行い、加工して得られた該試料の断面を電子顕微鏡を用いて観察する試料の断面観察方法であって、
    上記電子顕微鏡の試料台は、
    本体胴部上面に所定の深さの凹部を有するとともに、本体胴部側面に該側面から該凹部まで貫通する少なくとも1つの貫通孔が形成された試料台本体と、
    上記貫通孔に挿入される固定部材とを備え、
    上記断面加工を行った試料を断面加工用試料台に載置させた状態で、該断面加工用試料台を上記試料台本体の凹部に載置し、上記貫通孔を貫通した上記固定部材により固定して、該試料の断面を電子顕微鏡により観察し、
    上記凹部の深さは、上記載置固定される上記断面加工用試料台の高さ方向の長さよりも短いことを特徴とする試料の断面観察方法。
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