JP2018134739A - 金属・樹脂複合材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属基材表面に凹凸を形成することなく、金属基材上に密着性に優れたフッ素系樹脂基材を有する金属・樹脂複合材料を提供する。【解決手段】金属部材と、フッ素系樹脂基材との間に、亜鉛もしくは亜鉛を含む合金からなる中間層を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、高周波伝送用ケーブル、アンテナ、高周波回路基板、または可とう楕円導波管などの電気部品、フッ素樹脂コーティングを有するガイドワイヤなどの医療機器、あるいはフッ素樹脂コーティングを有するフライパンなどの加熱調理器具などに用いられる金属・樹脂複合材に関する。
フッ素系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、電気的特性などの様々な特性に優れた高分子材料として知られている。このフッ素系樹脂と金属部品を一体化することで、フッ素系樹脂の特性と、金属部品の持つ優れた加工性や導電性、強度を合わせ持つ高機能材料が期待され、これまでにもいくつかの形態が提案されている。(特許文献1、2参照)
しかしながら、フッ素系樹脂は、異種材料との密着性が低いので、特に金属部品との密着性を向上させる方法がこれまでに数多く検討されてきた。
特許文献1には、フッ素系樹脂表面にサンドブラストやウェットブラストと呼ばれる粗面化処理を行い、アンカー効果を利用して、フッ素系樹脂と金属部品との密着性を高める方法が提案されている。
特許文献2には、薬液を用いたエッチング処理などにより、フッ素系樹脂表面または金属表面の粗面化を行い、アンカー効果を利用して、フッ素系樹脂と金属部品との密着性を高める方法が提案されている。
特開平11−61054号公報 特開2013−52671号公報
しかしながら、サンドブラストやウェットブラストによる粗面化処理では、主にアルミナなどを成分とする硬質微粒子の研磨剤を使用するが、高速・高圧でふきつけられた研磨剤の一部が、軟質のフッ素系樹脂に埋没・残存し、金属部品/フッ素系樹脂界面の密着性を低下させる恐れがある。
また、表面に粗面(凹凸面)が形成された金属部品は、例えば、表皮効果により導体表層に多くの電流が流れる高速伝送用途の部材として使用されると、この粗面が伝送特性の低下を引き起こす恐れがある。また、樹脂表面に凹凸面を形成した場合であっても、金属(導体)と貼り合わせた際にこの凹凸面が金属表面に転写されてしまうため、高速伝送用途の部材として使用すると、転写された粗面が伝送特性の低下を引き起こす恐れがある。
その他、ブラスト法は、装置が大掛かりで高コストの製品となる。また、ブラスト法は物理的な加工であるため、大面積の表面を均一に粗面化したり、立体形状の部材を粗面化することが難しい。
別の手段として、薬液による化学エッチング処理法を選択した場合、フッ素系樹脂は、耐薬品性に優れる性質であるため、一般の薬品処理では容易に粗面化が出来ず、例えば、金属ナトリウム溶液を用いた特殊な方法を用いることが考えられる。
薬液処理により形成された凹凸面は、フッ素系樹脂表面側だけでなく金属部材表面側に形成されていたとしても、上述のブラスト法と同様、高速伝送用途の場合、伝送特性の低下を引き起こす恐れがある。
そこで、本発明は、金属基材表面に凹凸を形成することなく、金属基材上に密着性に優れたフッ素系樹脂基材を有する金属・樹脂複合材料を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、下記[1]〜[4]の金属・樹脂複合材料を提供する。
[1]金属部材と、フッ素系樹脂基材との間に、亜鉛もしくは亜鉛を含む合金からなる中間層を備えた金属・樹脂複合材料。
[2]前記中間層と、前記フッ素系樹脂基材の界面に、亜鉛とフッ素からなる化合物が形成されている、[1]に記載の金属・樹脂複合材料。
[3]前記金属部材が銅もしくは銅合金である、[1]または[2]に記載の金属・樹脂複合材料。
[4]前記中間層の厚さが3nm以上である、[1]乃至[3]に記載の金属・樹脂複合材料。
本発明によれば、金属基材表面に凹凸を形成することなく、金属基材上に密着性に優れたフッ素系樹脂基材を有する金属・樹脂複合材料を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る金属・樹脂複合材料の断面構造を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る金属・樹脂複合材料の断面構造を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態に係る金属・樹脂複合材料の断面構造を示す模式図である。 本発明の第4の実施形態に係る金属・樹脂複合材料の断面構造を示す模式図である。 本発明の第5の実施形態に係る金属・樹脂複合材料の断面構造を示す模式図である。 本発明の第9の実施例に係る金属・樹脂複合材料のオージェ分析結果を示すグラフである。 線材密着性評価試験の概念図である。
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を、図1を参照して説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る金属・樹脂複合材料1の断面構造を示す模式図である。図1に示すように、この金属・樹脂複合材料1は、金属部材4とフッ素系樹脂基材2との間に、亜鉛もしくは亜鉛を含む合金からなる中間層3を備えた構造をしている。
(フッ素系樹脂基材)
フッ素系樹脂とは、分子中にフッ素原子を有する高分子化合物で、ポリフッ化ビニル(PVF)樹脂、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)樹脂、4フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)樹脂、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FEP)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂等が知られている。これらのフッ素系樹脂またはこれらを架橋してなるフッ素系樹脂をフッ素系樹脂基材2として用いることができる。
(金属部材)
フッ素系樹脂基材2と一体化させる金属部材4の一例は銅であるが、銅は、例えば、無酸素銅、タフピッチ銅、そして必ずしも純銅である必要はなく、銅合金を使用することも可能であり、例えば、3〜15mass ppmの硫黄(S)と2〜30mass ppmの酸素(O)とチタン(Ti)を5〜55mass ppm含む希薄銅合金などを使用することができる。
金属部材4としては、銅に限らず、本発明の効果を奏する限りにおいては、アルミ、鉄、ステンレス、チタン、マグネシウム、及びそれらを主成分とする合金を使用することができる。
(中間層)
中間層3としては、純亜鉛のほか、Zn−Ni、Zn−Al、Zn−Cu、Zn−Snなどで構成されるZn系合金が挙げられる。
中間層3の厚さの上限値は、密着性の確保のためには特に限定されるものではなく、金属部材4の表面が被覆されていればよく、実用上の下限の被覆厚さは3nm程度である。ただし、高速伝送用途として用いる場合、金属部材4の表層に導電率の低いZn系の中間層が厚く存在すると伝送特性の低下につながるため、中間層3の厚さは、1μm以下が好ましく、より好ましくは0.8μm以下がよい。
(金属・樹脂複合材料の製造方法)
本発明の金属・樹脂複合材料1の製造は、例えば、まず金属部材4の表面に、めっき法、スパッタ法、真空蒸着法、またはクラッド法等で亜鉛もしくは亜鉛を含む合金からなる中間層3を形成する。次に、この中間層3が形成された金属部材4とフッ素系樹脂基材2とを一体化し、金属・樹脂複合材料1を製造する。
この一体化は、例えば、中間層3が形成された金属部材4及びフッ素系樹脂基材2がシート形状や板形状のものであれば、プレス等で可能である。密着力をより高めるためには、100℃〜350℃の高温プレスのほかに、100℃以下の低温プレス後に50℃〜350℃で等温保持するなどの方法が適用できる。
なお、金属部材4がシート(箔)形状の場合、フッ素系樹脂基材2と接する片側面のみに中間層3が形成されている構成のみに限られない。めっき法などにより中間層3を形成する場合、作業性の観点からシート(箔)の両面に中間層3が形成されていてもよい。
また、上記製造方法では、まず金属部材4の表面に中間層3を形成したが、フッ素系樹脂基材2の表面にスパッタ法やめっき法などで中間層3を形成しても同様な方法で金属・樹脂複合材料1を製造することもできる。中間層3が形成されたフッ素系樹脂基材2と金属部材4とは、例えばクラッド法等により一体化することができる。なお、シート形状のフッ素系樹脂基材2の表面にめっき法などにより中間層3を形成する場合、作業性の観点からシートの両面に中間層3が形成されていてもよい。
(他の実施の形態)
次に、本発明の他の実施の形態について、図2乃至図5を参照して説明する。
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る金属・樹脂複合材料1の断面構造を示す模式図である。図2に示すように、この金属・樹脂複合材料1は、例えば、熱を加えることにより、亜鉛もしくは亜鉛を含む合金からなる中間層3と、フッ素系樹脂基材2の界面に、亜鉛とフッ素からなる化合物5が形成されている。この亜鉛とフッ素からなる化合物5により、フッ素系樹脂基材2と金属部材4の密着性(接合強度)がより向上するものと本発明者らは考えている。
図3は本発明の第3の実施の形態に係る金属・樹脂複合材料1の断面構造を示す模式図であり、図4は本発明の第4の実施の形態に係る金属・樹脂複合材料1の断面構造を示す模式図である。図3、4に示すような線材の形状も可能である。また、線材の形状でなく、平角材の形状とすることも可能である。
中間層3が形成された金属部材4が、線材や平角材の形状である場合、250℃〜350℃に加熱したフッ素系樹脂を長手方向に連続的に押出し成形することにより、中間層3を介して金属部材4とフッ素系樹脂基材2とを一体化させることも可能である。
一般に、押出し成形の場合、生産性向上による低コスト化を図るため、製造速度の高速化が望まれる。しかし、製造速度を速めるため、押出し後のフッ素系樹脂の冷却速度を上げると、フッ素系樹脂の熱収縮時に発生する金属と樹脂界面の応力が大きくなり、金属と樹脂との間に空隙が生じてしまう。
これに対し、本発明の方法は、亜鉛もしくは亜鉛を含む合金からなる中間層3が存在することで、中間層3とフッ素系樹脂基材2間の密着力が高いため、空隙が生じることがなく、冷却速度を速めた、つまり、高速での押出し成形による製造が可能となる。
図5は、本発明の第5の実施の形態に係る金属・樹脂複合材料1の断面構造を示す模式図である。図5に示すように、中間層3と金属部材4の間に、金属部材4を構成する元素と亜鉛からなる拡散層6が形成されていてもよい。また、中間層3として存在する亜鉛は、金属亜鉛に限らず、表面(フッ素系樹脂基材2に対向する面)側が一部酸化し、酸化亜鉛となっていてもかまわない。
なお、図1、図2、図5に示す金属・樹脂複合材料1は、フッ素系樹脂基材2が金属部材4の片面だけに形成される構成としたが、フッ素系樹脂基材2が金属部材4を挟むように両面に形成される構成としてもよい。また、金属部材4がフッ素系樹脂基材2を挟むように両面に形成される構成としてもよい。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ制限されるものではない。
実施例1〜7、比較例1〜5及び従来例1の評価試料の構成を表1に示す。また、後述する評価項目についての評価結果も表1に示す。
Figure 2018134739
以下に、実施例1〜7、比較例1〜5及び従来例1の詳細を示す。
(実施例1)
厚さ0.07mmtの電解銅箔の片側面をめっきが付着しないようシールした上で、シールがない片側面上にのみ電気亜鉛めっきにより厚さ0.003μmのZnからなる中間層を形成した。その後、熱(300℃)と圧力(2MPa)を加えた圧延ロールによるラミネートにより、中間層を介して電解銅箔とFEPシート(厚さ0.5mmt)の一体化を行い、試料を作製した。
(実施例2)
厚さ0.07mmtの電解銅箔の片側面をめっきが付着しないようシールした上で、シールがない片側面上にのみ電気亜鉛めっきにより厚さ0.01μmのZnからなる中間層を形成した。その後、熱(300℃)と圧力(2MPa)を加えた圧延ロールによるラミネートにより、中間層を介して電解銅箔とFEPシート(厚さ0.5mmt)の一体化を行い、試料を作製した。
(実施例3)
厚さ0.07mmtの電解銅箔の片側面をめっきが付着しないようシールした上で、シールがない片側面上にのみ電気亜鉛めっきにより厚さ0.1μmのZnからなる中間層を形成した。その後、熱(300℃)と圧力(2MPa)を加えた圧延ロールによるラミネートにより、中間層を介して電解銅箔とFEPシート(厚さ0.5mmt)の一体化を行い、試料を作製した。
(実施例4)
厚さ0.07mmtの電解銅箔の片側面をめっきが付着しないようシールした上で、シールがない片側面上にのみ電気亜鉛めっきにより厚さ0.5μmのZnからなる中間層を形成した。その後、熱(300℃)と圧力(2MPa)を加えた圧延ロールによるラミネートにより、中間層を介して電解銅箔とFEPシート(厚さ0.5mmt)の一体化を行い、試料を作製した。
(実施例5)
厚さ0.07mmtの電解銅箔の片側面をめっきが付着しないようシールした上で、シールがない片側面上にのみ電気亜鉛めっきにより厚さ0.8μmのZnからなる中間層を形成した。その後、熱(300℃)と圧力(2MPa)を加えた圧延ロールによるラミネートにより、中間層を介して電解銅箔とFEPシート(厚さ0.5mmt)の一体化を行い、試料を作製した。
(実施例6)
厚さ0.07mmtの電解銅箔の片側面をめっきが付着しないようシールした上で、シールがない片側面上にのみ電気亜鉛めっきにより厚さ1.0μmのZnからなる中間層を形成した。その後、熱(300℃)と圧力(2MPa)を加えた圧延ロールによるラミネートにより、中間層を介して電解銅箔とFEPシート(厚さ0.5mmt)の一体化を行い、試料を作製した。
なお、実施例1〜6において、Zn厚さの制御は、めっきの電流密度を一定にし、めっき時間を変えることで行った。
(実施例7)
厚さ0.07mmtの電解銅箔の片側面上にのみ電気めっき法により厚さ0.5μmのZn−5mass%Niからなる中間層を形成した。その後、熱(300℃)と圧力(2MPa)を加えた圧延ロールによるラミネートにより、中間層を介して電解銅箔とFEPシート(厚さ0.5mmt)の一体化を行い、試料を作製した。
(比較例1)
厚さ0.07mmtの電解銅箔の表面を有機溶剤による脱脂洗浄のみ行い、その後、熱(300℃)と圧力(2MPa)を加えた圧延ロールによるラミネートにより、脱脂洗浄面を介して電解銅箔とFEPシート(厚さ0.5mmt)の一体化を行い、試料を作製した。
(比較例2)
厚さ0.07mmtの電解銅箔の片側面をめっきが付着しないようシールした上で、シールがない片側面上にのみ電気錫めっきにより厚さ0.3μmのSnからなる中間層を形成した。その後、熱(300℃)と圧力(2MPa)を加えた圧延ロールによるラミネートにより、中間層を介して電解銅箔とFEPシート(厚さ0.5mmt)の一体化を行い、試料を作製した。
(比較例3)
厚さ0.07mmtの電解銅箔の片側面をめっきが付着しないようシールした上で、シールがない片側面上にのみ電気錫めっきにより厚さ1.0μmのSnからなる中間層を形成した。その後、熱(300℃)と圧力(2MPa)を加えた圧延ロールによるラミネートにより、中間層を介して電解銅箔とFEPシート(厚さ0.5mmt)の一体化を行い、試料を作製した。
(比較例4)
厚さ0.07mmtの電解銅箔の片側面をめっきが付着しないようシールした上で、シールがない片側面上にのみシアン浴を用いた電気Agめっきにより厚さ0.3μmのAgからなる中間層を形成した。その後、熱(300℃)と圧力(2MPa)を加えた圧延ロールによるラミネートにより、中間層を介して電解銅箔とFEPシート(厚さ0.5mmt)の一体化を行い、試料を作製した。
(比較例5)
厚さ0.07mmtの電解銅箔の片側面をめっきが付着しないようシールした上で、シールがない片側面上にのみシアン浴を用いた電気Agめっきにより厚さ1.0μmのAgからなる中間層を形成した。その後、熱(300℃)と圧力(2MPa)を加えた圧延ロールによるラミネートにより、中間層を介して電解銅箔とFEPシート(厚さ0.5mmt)の一体化を行い、試料を作製した。
(従来例1)
平均粒径10μmのアルミナ研磨剤を高速で吹き付けるブラスト法により、厚さ0.5mmtのFEPシートの表面に凹凸を形成した。その後、熱(300℃)と圧力(2MPa)を加えた圧延ロールによるラミネートにより、この凹凸形成面を介してFEPシート(厚さ0.5mmt)と、有機溶剤による脱脂洗浄のみ行った銅箔との一体化を行い、試料を作製した。
(密着性評価試験)
表1に示す金属と樹脂の密着性評価は、JIS C6481に準拠し、オートグラフ(島津製作所)による引張試験で行った。引き剥がし強さが、0.5 kN/m以上を◎とし、0.2kN/m以上0.5 kN/m未満を〇、0.2 kN/m未満を×とした。
(伝送特性評価試験)
伝送特性の評価は、ネットワークアナライザーを用い、周波数10GHzに相当する伝送損失を測定した。伝送損失が20dB/m未満を○、20dB/m以上〜25dB/m未満を△、25dB/m以上を×とした。
(耐環境性評価)
耐環境性は、試料作製の際の薬品や部材の、人体や環境へ与える毒性、取扱い性のほか、それらを保管や排出された際の環境への影響度合いを評価した。
(総合評価)
上記項目を総合的に評価して、1項目でも×があるものを×不適、全項目が○であるものを○良好、それ以上のものを◎最良と判断した。
表1によれば、銅箔とFEPシート間に厚さを0.003μm〜1.0μmに変化させたZnからなる中間層を備えた実施例1〜6の金属/樹脂密着性は良好であった。特にその中でも、Zn厚さが0.01μm〜0.5μmの場合、特に優れた密着性を示し好ましい。
一方、中間層を備えない比較例1、Snからなる中間層を備えた比較例2,3、Agからなる中間層を備えた比較例4,5は、密着性に劣る結果となった。ブラストで形成した凹凸によるアンカー効果で密着性向上を図った従来例1では良好な結果が得られた。
伝送特性に関し、実施例1〜5、比較例1,2及び4,5は、良好な結果が得られた。これに対し、実施例6及び比較例3は、伝送損失がやや大きめの結果となった。これは、素材物性として高抵抗のZnやSnが他条件の試料と比較して厚く存在するため、表皮効果により損失増加に影響があったためと考えられる。この結果から、金属/樹脂密着性の観点からは、Zn厚さは実用上の3nm程度から上限なく有効だが、高速伝送特性用途で使用する場合のZn厚さは、1.0μm以下であることがより好ましい。
従来例1は伝送損失が高い結果となった。これは、金属/樹脂密着力の向上のため形成した樹脂表面の凹凸が金属表面に転写され、金属表面にも凹凸が形成されたことが原因と考えられる。
耐環境性について、実施例1〜6、比較例1〜3で問題ないと判断できる。Agからなる中間層を備えた比較例4,5は、作業環境や排水処理の整った場所での使用を前提としても、毒性の高いシアン浴を使用するため、環境への影響は高いので△とした。従来例1は、材質としては毒性の低いアルミナを使用しているものの、数十μmオーダの微粒粉であるため、じん肺等への影響を考え△とした。
実施例1〜6に記載の複合材は、材料として安価なZnを使用しているため、比較例4,5に示すAgめっき等と比較して経済性に優れることは言うまでもない。
実施例7は、純ZnでなくZn−Ni合金の結果であるが、Zn系合金を使用した場合でも、純Znと同様の結果が得られることを確認した。
これらの結果から総合的に判断すると、金属部材とフッ素系樹脂基材の密着性が高く、更に、高速伝送用途での特性が良好な金属・樹脂複合材料として、実施例1〜7に示す複合材が提案できる。
実施例8〜10及び比較例6,7の評価試料の構成を表2に示す。また、後述する評価項目についての評価結果も表2に示す。
Figure 2018134739
以下に、実施例8〜10及び比較例6,7の詳細を示す。
(実施例8)
線径Φ0.25mmの純銅線に電気亜鉛めっきにより、厚さ0.008μmのZnからなる中間層を形成した。この中間層が形成された純銅線にFEPを押出し成形し一体化することにより、線材状の試料を作製した。押出し成形では、340℃にて純銅線に連続的に樹脂(厚さ0.5mmt)を被覆し、水冷による冷却を行った。
(実施例9)
線径Φ0.25mmの純銅線に電気亜鉛めっきにより、厚さ0.03μmのZnからなる中間層を形成した。この中間層が形成された純銅線にFEPを押出し成形し一体化することにより、試料を作製した。押出し成形では、340℃にて純銅線に連続的に樹脂(厚さ0.5mmt)を被覆し、水冷による冷却を行った。
(実施例10)
線径Φ0.25mmの純銅線に電気亜鉛めっきにより、厚さ0.3μmのZnからなる中間層を形成した。この中間層が形成された純銅線にFEPを押出し成形し一体化することにより、試料を作製した。押出し成形では、340℃にて純銅線に連続的に樹脂(厚さ0.5mmt)を被覆し、水冷による冷却を行った。
なお、実施例8〜10において、Zn厚さの制御は、めっきの電流密度を一定にし、めっき時間を変えることで行った。
(比較例6)
線径Φ0.25mmの純銅線の表面を有機溶剤による脱脂洗浄のみ行い、その後、FEPを押出し成形し一体化することにより、試料を作製した。押出し成形では、340℃にて純銅線に連続的に樹脂(厚さ0.5mmt)を被覆し、水冷による冷却を行った。
(比較例7)
線径Φ0.25mmの純銅線にシアン浴を用いた電気Agめっきにより厚さ1.0μmのAgからなる中間層を形成した。この中間層が形成された純銅線にFEPを押出し成形し一体化することにより、試料を作製した。押出し成形では、340℃にて純銅線に連続的に樹脂(厚さ0.5mmt)を被覆し、水冷による冷却を行った。
(線材密着性評価試験)
表2に示す金属と樹脂の密着性評価では、図7に示すように、試料の下端に20g重の錘7をぶら下げ、直径20mmのロール8に沿って、10回/分の速度で試料に90°の繰り返し曲げを10回行った後、曲げ部の横断面観察(倍率500倍)をすることにより、金属線と樹脂の間の空隙有無を確認した。n=10本の試料のうち、2本以上に空隙が認められたものを×とし、空隙が2本未満あるいは、認められないものを○とした。
(耐環境性評価及び総合評価)
耐環境性評価及び総合評価は、表1に記載のものと同じ判断基準とした。
表2によれば、各種銅線を押出し成形によりフッ素系樹脂で被覆したケーブルにおいても、銅線とフッ素系樹脂間に厚さを0.008μm〜0.3μmに変化させたZnからなる中間層を備えた実施例8〜10の金属/樹脂密着性は良好であった。これに対し、中間層を備えない比較例6及びAgからなる中間層を備えた比較例7は、密着性に劣る結果となった。
図6に、実施例9の試料で、純銅線(導体)に被覆されているFEPを剥離した後の導体表面を、スパッタを繰り返しながらオージェ電子分光法により元素分析を行った結果を示す。図6の横軸はスパッタ時間である。なお、SiO2のスパッタレート(11nm/min)から厚さ単位に換算し、表層からの深さの目安を把握することができる。
オージェ分析の結果から、導体表面のZnは、深さ30nm程度まで存在していることがわかる。また表層から6nm程度までフッ素(F)が検出されている。
これらオージェ分析により検出された元素の結合状態を解析するため、図6と同一試料(実施例9)の表面を、X線光電子分光法(XPS)により分析した結果を表3に示す。XPSの分析個所は、(1)最表面(スパッタ無し(スパッタ時間0min))、(2)スパッタ時間0.1min、(3)スパッタ時間1minである。XPS分析の結果、Znは、金属状態や酸化物、或いはCu−Zn化合物のほか、亜鉛フッ化物(ZnF2)として存在することがわかった。金属部材と樹脂の相互成分からなるこのZnF2の形成により、本発明で示した金属とフッ素系樹脂界面の密着力が向上できていると発明者らは考えている。
Figure 2018134739
耐環境性については、表1と同様、表面処理の際にシアン浴を用いる比較例7のAgめっきに対し、非シアン系での成膜が可能なZnめっきの実施例8〜10は優れている。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
例えば、中心導体、絶縁体、外部導体及びシースとを順次備えた信号伝送ケーブルにおいて、絶縁体としてフッ素系樹脂を用い、外部導体としてZnめっき層またはZn合金めっき層を有する銅箔を巻き付けて一体化させたものを用い、絶縁体(フッ素系樹脂)と外部導体(Znめっき層またはZn合金めっき層)との密着性を向上させて十分なシールド効果を得られるようにしても良い。
1 金属・樹脂複合材料
2 フッ素系樹脂基材
3 中間層
4 金属部材
5 亜鉛とフッ素からなる化合物
6 金属部材を構成する元素と亜鉛からなる拡散層

Claims (4)

  1. 金属部材と、フッ素系樹脂基材との間に、亜鉛もしくは亜鉛を含む合金からなる中間層を備えた金属・樹脂複合材料。
  2. 前記中間層と、前記フッ素系樹脂基材の界面に、亜鉛とフッ素からなる化合物が形成されている、請求項1に記載の金属・樹脂複合材料
  3. 前記金属部材が銅もしくは銅合金である、請求項1または2に記載の金属・樹脂複合材料
  4. 前記中間層の厚さが3nm以上である、請求項1乃至3に記載の金属・樹脂複合材料
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