JP2018126053A - 電動車両の走行制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両速度を低下させることなく運転者の居眠りを防止する。【解決手段】電気自動車1の走行に必要な要求トルクと、所定の周波数での振動を得る振動トルクとを合わせたトルクを出力トルクとし、運転者11が覚醒していない場合、時間が経過しても低下しない出力トルクにより電動モータ4を駆動し、車両速度を低下させることなく車両を振動させる。【選択図】図1

Description

本発明は、電動車両の走行制御装置に関し、居眠り防止のための制御を行うようにしたものである。
車両の走行制御装置として、運転者の運転中の覚醒状況を検出し、運転者が眠気を催したと判断された場合、ブレーキを制御して車両に揺れや振動を生じさせて運転者の居眠りを防止する技術が提案されている(例えば、先行文献1)。車両に揺れや振動を生じさせることで、運転者を含む乗員に、運転者の覚醒の程度が低いことを知らせることができ、
運転者の居眠り運転を抑制することが可能になる。
近年、環境問題の関心から、種々の電動車両が普及してきている。電動車両として、電動モータの駆動力により車両を走行させる電気自動車や、エンジンによりバッテリを充電しバッテリからの電力による電動モータの駆動力で車両を走行させるハイブリッド電気自動車、エンジンによりバッテリを充電すると共に電動モータ及び(または)エンジンの駆動力で車両を走行させる電動自動車が知られている。
このような電動車両においても、車両全体に振動を与えて運転者の居眠りを抑制することができる技術が望まれている。しかし、電動車両の分野において、車両全体に振動を与えて運転者の居眠りを抑制する技術は確立されていないのが実情である。先行文献1のように、単に、ブレーキを制御する技術を組み合わせた場合、車速が低下して、周囲の車両等の走行に支障をきたしてしまう問題が新たに生じる虞があった。
特開2004−216955号公報
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、電動モータの駆動により走行する電動車両で、車速を低下させることなく車両に振動を与え、車速を低下させることなく運転者の居眠りを防止することができる電動車両の走行制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の電動車両の走行制御装置は、車両の走行駆動源となる電動モータと、運転者の覚醒状態を検出する覚醒状態検出手段と、前記電動モータの駆動による走行中に、前記覚醒状態検出手段により運転者の覚醒の度合いが低いことが検出された際に、前記電動モータによる出力トルクの大きさを変動させる制御手段とを備え、前記出力トルクは、前記運転者のアクセル操作に応じて要求される走行駆動用の要求トルクと、所定の周波数での振幅を得るために付与される振動トルクとを合わせたトルクであり、当該振動トルクは、前記車両の速度が速くなるにしたがって増加することを特徴とする。
請求項1に係る本発明では、走行用の電動モータの出力トルクの大きさを変動させることで、走行に必要なトルクが含まれ、且つ、変動する出力トルクで車両を走行させることができる。このため、覚醒状態検出手段により運転者の覚醒の度合いが低いことが検出された際に、車速に与える影響を抑制した状態で(車速を低下させることなく)出力トルクを変動させることで、車速の低下をなくした状態で車両を振動させて運転者の居眠りを防止することができる。
そして、走行駆動用の要求トルクと振幅を得るために付与される振動トルクの和を出力トルクとすることができ、車速を低下させることなく出力トルクを振動させることができる。
つまり、走行に要求される要求トルクの積分値は増加するのに対し、振動トルクはプラスマイナスの繰り返しであるために積分値は増加も減少もしない。出力トルクは、要求トルクに振動トルクを加算したものであるため、要求トルクに対する、振動トルク(出力トルク−要求トルク)の割合が、一定の時間が経過すると収束する。即ち、出力トルクは、一定の時間が経過した後は、要求トルクが積算されていくと共に、振動トルクが一定の値の範囲で推移するため、積算される要求トルクに対して、振動トルクの割合は増加も減少もしない。このため、出力トルクは殆ど変化が生じない状態となり、車速が維持されることになる。
従って、電動モータの駆動により走行する電動車両で、車速を低下させることなく車両に振動を与え、車速を低下させることなく運転者の居眠りを防止することが可能になる。
本発明の電動車両は、電動モータの駆動力により車両を走行させる電気自動車、エンジンによりバッテリを充電しバッテリからの電力による電動モータの駆動力で車両を走行させるハイブリッド電気自動車、エンジンによりバッテリを充電すると共に電動モータ及び(または)エンジンの駆動力で車両を走行させる電動自動車が適用され、電動モータで駆動力を得ている状況で制御が実施される。
そして、請求項2に係る本発明の電動車両の走行制御装置は、請求項1に記載の電動車両の走行制御装置において、前記振動トルクには上限値が設けられていることを特徴とする。また、請求項3に係る本発明の電動車両の走行制御装置は、請求項1もしくは請求項2に記載の電動車両の走行制御装置において、前記車両の速度が所定しきい値に満たない場合には、前記振動トルクを付与しないことを特徴とする。
また、前記振動トルクは、加速方向に付与される加速トルクと、減速方向に付与される減速トルクと、を交互に付与するトルクであり、前記加速トルクの大きさと前記減速トルクの大きさとが等しく設定されることが好ましい。
これにより、振動トルクとして、大きさが等しくされた加速トルクと減速トルクとを交互に付与するので、平均車速に与える振動トルクの付与の影響を最小限に留めることができる。
また、前記振動トルクは、前記加速トルクを付与する回数と前記減速トルクを付与する回数とが等しく設定されることが好ましい。
これにより、振動トルクの付与の前後において、車速の変化を抑えることができる。
また、前記制御手段は、前記要求トルクの時間変化率が所定値以上の場合、前記振動トルクをゼロにすることが好ましい。
これにより、要求トルクの時間変化率が所定値以上になる場合(要求トルクが急変する場合)、振動トルクを重ねても相対的に振動が小さくなり、振動を認識することができなくなるため、振動トルクをゼロにして出力トルクに振動を与えないようにしている。また、要求トルクの時間変化率が所定値以上になる場合(要求トルクが急変する場合)、振動トルクが加速方向の振動になると、更なる急加速になる虞があるため、振動トルクをゼロにして出力トルクに振動を与えないようにしている。
また、前記制御手段は、前記車両の走行状態に応じて前記振動トルクの振動の振幅を変更することが好ましい。
これにより、例えば、請求項1のように、車両の速度が速くなるにしたがって振動トルクの振動の振幅を増加させることで、車速が増加した場合に振動の振幅を大きくすることで、車速の増加に応じて振動トルクの振動の幅を大きくすることができる。このため、車両速度の増加に応じて車内の微振動が大きくなっても、覚醒のための振動を運転者に伝えることができ、居眠りを防止することができる。
そして、請求項4に係る本発明の電動車両の走行制御装置は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電動車両の走行制御装置において、前記出力トルクを変動させる指示が前記電動モータに出力されたことを報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
請求項4に係る本発明では、出力トルクを変動させた状態であること、即ち、居眠りを抑制している運転であることを報知手段により知らせることができ、車両の走行に伴う振動と区別することができる。
本発明の電動車両の走行制御装置は、電動モータの駆動により走行する電動車両で、車両に振動を与えて運転者の居眠りを防止することが可能になる。
本発明の一実施例に係る走行制御装置を備えた電動車両の概略図である。 本発明の一実施例に係る走行制御装置のブロック構成図である。 要求トルクと出力トルクの量トルクの関係の説明図である。 要求トルクの積算状況である。 振動トルクの積算状況である。 走行制御装置の制御フローチャートである。 車速と振動トルクの関係を説明するグラフである。 居眠り抑制運転時のタイムチャートである。
図1、図2に基づいて本発明の一実施例に係る走行制御装置を備えた電動車両を説明する。
図1には本発明の一実施例に係る走行制御装置を備えた電気自動車の全体の概略状況、図2には走行制御装置のブロック構成を示してある。
図示の電気自動車は、外部の電源から充電を行うバッテリを備え、バッテリからの電力により電動モータが駆動されて走行する車両を例に挙げて説明してある。本発明の電動車両としては、エンジンによりバッテリを充電しバッテリからの電力による電動モータの駆動力で車両を走行させるハイブリッド電気自動車や、エンジンによりバッテリを充電すると共に電動モータ及び(または)エンジンの駆動力で車両を走行させる電動自動車を適用することも可能である。
図に示すように、電動車両としての電気自動車1には、外部の電源から充電が行われるバッテリ2が備えられている。バッテリ2の電力はインバータ3を介して走行用の電動モータ4に供給され、電動モータ4は所定の出力トルクの指示に基づいて駆動される。電動モータ4の駆動により電気自動車1が所望の状態で走行する。
電気自動車1には走行制御手段6が備えられ、走行制御手段6には運転状態や車速センサー5の情報が入力される。走行制御手段6では、車両の状況(例えば、アクセルペダルの踏み込み量であるアクセル操作等)に応じた要求トルク(走行に必要なトルク)が演算され、走行制御手段6からは、電動モータ4側に要求トルクの指示が出力される。要求トルクの指示は、制御手段としての覚醒制御手段7に入力され、覚醒制御手段7では、後述する振動トルクが要求トルクに重ねられて出力トルクが演算される。
電気自動車1には運転者11の覚醒状態を検出する覚醒状態検出手段としての覚醒判定カメラ12が備えられている。覚醒判定カメラ12により運転者11の状況を把握することにより、運転者11の覚醒状態が推定される。覚醒状態検出手段としては、ステアリングホイールの操作状況を検出する手段や、座席シートに埋め込まれた脳波測定手段、体温及び血圧を測定する手段を組み合わせて、または、単独で用いることが可能である。
覚醒判定カメラ12の検出情報は覚醒制御手段7に入力され、運転者11の覚醒の度合いが低いことが判断された(検出された)際に、電動モータ4による出力トルクを所定の周波数で振動させる。即ち、電動モータ4による出力トルクの大きさを変動させる。
つまり、電動モータ4の駆動による走行中に、運転者11の覚醒の度合いが低いことが検出されると、覚醒制御手段7では、所定の振幅でトルクが振動する振動トルクが、走行に必要な要求トルクに重ねられ、所定の周波数で振動する出力トルク(要求トルク+振動トルク)が演算される。
覚醒制御手段7で演算された出力トルクの指示は、インバータ3を介して電動モータ4に送られ、所定の周波数で振動する出力トルクで電動モータ4が駆動される。これにより、運転者11の覚醒の度合いが低い場合、電気自動車1が前後に振動して走行することになり、運転者11を覚醒させて居眠りを防止することができる。
そして、所定の周波数で振動する振動トルクが付与された出力トルクの指示が送られた場合、居眠りを防止している走行が実施されている旨を報知する表示灯13(報知手段)が点灯される。電動モータ4に所定の周波数で振動する振動トルクが付与された出力トルクの指示が送られている場合に表示灯13が点灯されるので、出力トルクを振動させた状態であること、即ち、居眠りを防止している運転であることを、運転者11や他の乗員に表示灯13で知らせることができ、電気自動車1の通常の走行に伴う振動と区別することができる。
尚、報知手段としては、表示灯13に代えて(加えて)、音声により居眠りを抑制している運転が実施されている旨を知らせる手段を適用することも可能である。
上述した走行制御装置では、走行用の電動モータ4の出力トルクを振動させることで、走行に必要なトルク(要求トルク)と、所定の周波数で振動する振動トルクが重ねられた、出力トルクで車両を走行させることができる。
このため、覚醒判定カメラ12により運転者11の覚醒の度合いが低いことが検出された際に、車速に与える影響を抑制した状態で(車速を低下させることなく)、出力トルクを振動させて運転者11の居眠りを防止することができる。
従って、電動モータ4の駆動により走行する電気自動車1で、車速を低下させることなく電気自動車1に前後方向の振動を与え、車速を低下させることなく運転者11の居眠りを防止することが可能になる。
そして、運転者11の覚醒の度合いが低いことが検出された際に、電気自動車1を前後方向に振動させて運転者11の居眠りを防止するようにしているので、他の乗員にも運転者の覚醒度合いが低いことを知らせることができる。
図3から図5に基づいて、車速に与える影響を抑制した状態で(車速を低下させることなく)出力トルクを振動させる状況を説明する。
図3には要求トルクと、振動トルクが重ねられた出力トルクとの経時変化を説明するグラフ、図4には出力トルクの積算状況(時間積分した状況)を説明するグラフを示してある。
また、図5には振動トルクの割合を積算した状況(時間積分した状況)を説明するグラフを示してある。つまり、図5の状況は、出力トルク(要求トルク+振動トルク)から要求トルクを減じて、要求トルクで除した値(振動トルクの割合)を積算したときの経時変化、即ち、出力トルクの積分値に占める振動トルクの積分値の割合の経時変化を示してある。
図3に示すように、電気自動車1の運転状況に応じて、走行に必要な要求出力(図中点線で示してある)が設定され、所定の振幅でトルクが振動する振動トルクが要求トルクに重ねられて、所定の周波数で振動する出力トルク(図中実線で示してある)が設定される。つまり、出力トルクは、(要求トルク+振動トルク)とされている。
振動トルクは、車両を加速させる方向に付与されるプラスのトルク(加速トルク)と、車両を減速させる方向に付与されるマイナスのトルク(減速トルク)とを交互に繰り返し付与されるトルクである。そして、加速トルクと減速トルクとの大きさは等しく設定されており、加速トルクと減速トルクを1回ずつ付与した際の振動トルクの積分値は0となる。このため、平均車速に与える振動トルクの付与の影響を最小限に留めることができる。
図3に示すように、振動トルクの付与を開始した際は、まず加速トルクが付与され、続いて減速トルクが付与される。そして、振動トルクの付与を終了する際は、減速トルクの付与をもって終了する。即ち、加速トルクを付与する回数と、減速トルクを付与する回数とが等しく設定される。このため、振動トルクの付与の前後において、車速の変化を抑えることができる。
走行に必要は要求トルクの値の時間積算値は、増加することになる。これに対し、振動トルクの値はプラス、マイナスの繰り返しであるため、振動トルクの値の時間積算値は、一定の値の範囲(ほとんどゼロ)に収束する。出力トルクは、時間の経過と共に、要求トルクが積算されていくと共に、振動トルクが一定の値で推移するため、積算される要求トルクに対して振動トルクの割合(車速の変化)は一定の時間が経過すると極僅かになる。
このため、図5に示すように、出力トルクから要求トルクを減じて要求トルクで除した値の積分値(振動トルクの積分値の割合)、即ち、{(出力トルクの積分値−要求トルクの積分値)/要求トルクの積分値}は、時間の経過とともに減少していく。そして、図5の時刻T2で振動トルクの付与を中止すると、出力トルクの積分値に占める振動トルクの積分値の割合が0(即ち、振動トルクの付与前の状態)に戻る。
これは、図3に示すように、加速トルクを付与する回数と減速トルクを付与する回数が同じだからである。従って、出力トルクは振動トルク付与の前後において殆ど変化が生じない状態となり、車速が維持されることになる。
図6から図8に基づいて、運転者11の居眠りを抑制する運転の具体的な動作を説明する。
図6には運転者11の居眠りを抑制する運転の制御フローチャート、図7には車両速度と振動トルクの関係を説明するグラフ、図8には居眠り防止運転時の眠気具合、車両速度、要求トルク値、出力トルク、表示灯の状況をそれぞれ表すタイムチャートを示してある。
図6に示すように、ステップS1で車両速度情報が取得され、ステップS2で車両速度hがしきい値hmin以上であるか否かが判断される。ステップS2で車両速度hがしきい値hmin以上であると判断された場合、ステップS3で、走行に必要な要求トルクが取得され、ステップS4で、覚醒判定カメラ12の情報が取得される。
ステップS2で車両速度hがしきい値hminに満たないと判断された場合、処理が終了となる。つまり、停止している状態等、車両速度が低い場合、居眠りを防止する処理は行わない。
ステップS4で、覚醒判定カメラ12の情報が取得された後、ステップS5で運転者が覚醒していないか否かが判断され、ステップS5で運転者が覚醒していない(居眠り運転の可能性がある)と判断された場合、ステップS6で要求トルクが急変していないか否かが判断される。
ステップS6で要求トルクが急変していないと判断された場合、ステップS7で車両速度に応じた振動トルクがマップから読み込まれ、ステップS8で表示灯13が点灯される。振動トルクは、車両速度に応じて演算することも可能である。
図7に基づいて車両速度と振動トルクの関係を説明する。
車両速度がしきい値(hmin)で振動トルクの値(絶対値)が所定値Tに設定され、車両速度が速くなるにしたがって、振動トルクの値は漸次増加する。振動トルクの値には上限値Tmaxが設定され、所定の車両速度h以上の車両速度では、振動トルクの値は上限値Tmaxに固定される。
つまり、車両の走行状態である車両速度に応じて振動トルクの大きさ(出力トルクの振動の振幅)を大きくしている(変更している)。このため、車両速度が増加した場合に出力トルクの振動の振幅を大きくすることで、車両速度の増加に応じて車内の微振動が大きくなっても、覚醒のための振動を運転者11に伝えることができ、居眠りを防止することができる。
更に、振動トルクの大きさに上限値Tmaxを設けることで、振動トルクの付与が車両の走行状態に大幅な支障をきたす虞をなくすことができる。
尚、振動トルクの振幅や周波数は、上記のものに限定されず、適宜設定することができる。例えば、覚醒状態検出手段で検出した運転者11の覚醒状態の度合いに基づき振幅や周波数を設定しても良い。このようにすることで、運転者11をより早く覚醒させることができる。
図6のフローチャートに戻り、車両速度に応じた振動トルクが読み込まれて表示灯13が点灯された後、ステップS9で要求トルクと振動トルクを加算して(重ねて)出力トルクを設定し、ステップS10で出力トルクの指示を出力して終了とされる。
つまり、車両速度に応じた振動トルクが要求トルクに加算されて出力トルクが設定され、車両速度に応じて振動する出力トルクで電動モータ4が駆動される。
一方、ステップS5で運転者が覚醒している(居眠り運転の可能性がない)と判断された場合、ステップS11で振動トルクがゼロに設定され、ステップS12で表示灯13が消灯されてステップS9に移行する。ステップS9では、要求トルクが出力トルクとして設定され、振動しない出力トルクで電動モータ4が駆動される。
また、ステップS6で要求トルクが急変していると判断された場合、居眠りの可能性がない場合と同様に、ステップS11で振動トルクがゼロに設定され、ステップS12で表示灯13が消灯されてステップS9に移行する。ステップS9では、要求トルクが出力トルクとして設定され、振動しない出力トルクで電動モータ4が駆動される。
つまり、要求トルクが急変する状態の走行状態の場合、振動トルクをゼロにしている。要求トルクが急変する場合、振動トルクを重ねても相対的に振動が小さくなり、振動を認識することができなくなるため、振動トルクをゼロにして出力トルクに振動を与えないようにしている。
また、要求トルクが急変する場合、振動トルクが加速方向の振動になると、更なる急加速になる虞があるため、振動トルクをゼロにして出力トルクに振動を与えないようにしている。
図8に基づいて、出力トルクに振動を与えて居眠りを防止する運転時の眠気具合、車両速度、要求トルク値、出力トルク、表示灯13の状況を説明する。
図8(a)に示すように、要求トルクの値が一定(アクセルが一定に踏み込まれている状態)で、図8(b)に示すように、時刻t1で、覚醒判定カメラ12により運転者11の眠気が高いことが検出されると、図8(c)に示すように、要求トルクに振動トルクが重ねられた出力トルクが指示される。出力トルクには振動トルクが重ねられているため、振動する出力トルクで電動モータ4が駆動される。
図8(d)に示すように、時刻t1で、表示灯13が点灯される。そして、振動トルクの値はプラス、マイナスの繰り返しであり、出力トルクは、走行に必要な要求トルクに振動トルクが重ねられたトルクであるため、総トルクは時間が経過しても減少せず、図8(e)に示すように、車両速度は略一定の状態が保たれる。
従って、電動モータ4の駆動により走行する電気自動車1で、車速を低下させることなく電気自動車1に振動を与えることができる。
図8(b)に示すように、時刻t2で、覚醒判定カメラ12により運転者11が覚醒したことが検出されると、図8(c)に示すように、振動トルクがゼロとされた出力トルクが指示される。出力トルクには振動トルクが重ねられていないため、振動しない出力トルクで電動モータ4が駆動される。
図8(d)に示すように、時刻t2で、表示灯13が消灯され、図8(e)に示すように、車両速度は一定の状態が保たれる。
尚、慣性走行時の要求トルクはゼロであり、覚醒判定カメラ12により運転者11の眠気が高いことが検出されると、振動トルクが出力トルクとなる。振動状態の出力トルクが指示されている際に、覚醒が検出されて振動を終了する場合、振動トルクの状況によってはトルクショックが発生する。
振動を終了する場合、振動トルクの値はプラス、マイナスの繰り返しであるため、振動を終了させるタイミングをプラス、マイナスの過渡時(ゼロの時刻)に設定することで、振動終了時の出力トルクをゼロにすることができ、トルクショックをなくして振動を終了させることができる。
特に、振動トルクの付与の開始をプラスのトルクから始めた場合は、マイナスからプラスへの過渡時に振動トルクの付与を終了させることで、振動トルクの時間積分値を0にしつつトルクショックをなくして振動を終了させることができる。つまり、プラスのトルクとマイナスのトルクの大きさを等しくすると共に、プラスのトルクを付与する回数とマイナスのトルクを付与する回数とを等しくすることで、振動トルクの時間積分値を0にできる。
上述した電動車両の走行制御装置は、電気自動車1の走行に必要な要求トルクと、覚醒度合いが低い場合に振動させるために、所定の周波数での振動を得る振動トルクとを合わせたトルクを出力トルクとしている。振動トルクはプラス、マイナスの繰り返しであるため、トータルの出力トルクは減少することがなく、走行に必要な要求トルクに振動トルクを重ねた状態の出力トルクは、時間が経過しても低下しない。
このため、運転者11が覚醒していない場合、時間が経過しても低下しない出力トルクにより電動モータ4を駆動することで、車両速度を低下させることなく車両を振動させることができる。従って、車両速度を低下させることなく運転者11の居眠りを防止することが可能になる。
本発明は、電動車両の走行制御装置の産業分野で利用することができる。
1 電気自動車
2 バッテリ
3 インバータ
4 電動モータ
5 車速センサー
6 走行制御手段
7 覚醒制御手段
11 運転者
12 覚醒判定カメラ
13 表示灯

Claims (4)

  1. 車両の走行駆動源となる電動モータと、
    運転者の覚醒状態を検出する覚醒状態検出手段と、
    前記電動モータの駆動による走行中に、前記覚醒状態検出手段により運転者の覚醒の度合いが低いことが検出された際に、前記電動モータによる出力トルクの大きさを変動させる制御手段とを備え、
    前記出力トルクは、
    前記運転者のアクセル操作に応じて要求される走行駆動用の要求トルクと、所定の周波数での振幅を得るために付与される振動トルクとを合わせたトルクであり、
    当該振動トルクは、前記車両の速度が速くなるにしたがって増加する
    ことを特徴とする電動車両の走行制御装置。
  2. 請求項1に記載の電動車両の走行制御装置において、
    前記振動トルクには上限値が設けられている
    ことを特徴とする電動車両の走行制御装置。
  3. 請求項1もしくは請求項2に記載の電動車両の走行制御装置において、
    前記車両の速度が所定しきい値に満たない場合には、前記振動トルクを付与しない
    ことを特徴とする電動車両の走行制御装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電動車両の走行制御装置において、
    前記出力トルクを変動させる指示が前記電動モータに出力されたことを報知する報知手段を備えた
    ことを特徴とする電動車両の走行制御装置。
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