JP2018119227A - ゴム補強用炭素繊維コード - Google Patents

ゴム補強用炭素繊維コード Download PDF

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【課題】ゴム接着性に優れたゴム補強用炭素繊維コードを提供する。【解決手段】レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスを構成成分とするポリマー成分Aと、ポリマー成分Aの外層であり、且つコードの最外層にニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスと架橋剤を構成成分とするポリマー成分Bを備えることを特徴とするゴム補強用炭素繊維コード。【選択図】なし

Description

本発明はゴム補強用炭素繊維コードに関し、さらに詳しくはゴム接着性が大幅に改良されたゴム補強用炭素繊維コードに関する。
近年、地球環境破壊、石油資源枯渇といった課題に対し、自動車、電機機器をはじめ省エネルギー化、エネルギー代替化が非常に注目され、特に燃費向上のための自動車の軽量化に伴う、部材の軽量化、コンパクト化のニーズが急速に高まっている。自動車用の内燃機関のカムシャフト駆動用に用いられている金属チェーンの代替部材として、繊維で補強された複合材料が広く使用されている。
高弾性率、高強度、寸法安定性、耐熱性および耐薬品性等の優れた特性を有する炭素繊維が、これらの特性を活かしタイヤ、ホース、ベルト等の用途のゴム補強用繊維として期待されている。特に歯付ベルトを始めとする各種ゴムベルトにおいては、その弾性率の高さから炭素繊維を心線としたベルトが期待されている。しかし、炭素繊維はその表面が比較的不活性であることが多く、そのままではゴム等のマトリックスとの接着性が不十分であり、炭素繊維の特性を十分に発揮することはできない。また、炭素繊維の使用が期待されている歯付ベルト等にしばしば使用される水素化ニトリルゴムは、ゴム中の二重結合が少なく、十分な接着を達成することが特に難しい。
これまで、繊維の表面をエポキシ化合物やウレタン化合物、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)系接着剤等で処理する各種方法が提案されている(特許文献1−3)が、ゴムとの接着力を十分に改善することには至っていない。
特開2014−70296号公報 特開2016−89294号公報 特開2013−2002号公報
本発明はゴム補強用炭素繊維コードに関し、さらに詳しくはゴム接着性が大幅に改良されたゴム補強用炭素繊維コードを提供することにある。
本発明は、「レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスを構成成分とするポリマー成分Aと、ポリマー成分Aの外層であり、且つコードの最外層にニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスと架橋剤を構成成分とするポリマー成分Bを備えることを特徴とするゴム補強用炭素繊維コード」を提供する。
本発明によれば、ゴムとの接着性に優れ、歯付ベルトの心線として好適に用いられる炭素繊維コードを、水系接着処理で環境に配慮して製造することができる。このため、特に従来実用化が困難であった自動車や産業用の歯付ベルトの心線に適用できる高性能な繊維コードを効率的に製造すること可能となり、環境負荷低減やコスト低減の面で大いに効果を発揮することができる。
本発明のゴム補強用炭素繊維コードは、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を構成成分とするポリマー成分Aと、ポリマー成分Aの外層であり、且つコードの最外層にニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスと架橋剤を構成成分とするポリマー成分Bが存在することを特徴とするゴム補強用炭素繊維コードである。
本発明に用いるゴム補強用炭素繊維コードを構成する炭素繊維は、従来公知のものを用いることができるが、特には強度に優れたPAN系炭素繊維であることが好ましい。またゴム補強用としては繊維束であることが好ましく、総繊度としては500dtex〜16000dtexの範囲であることが好ましい。より好ましくは、4000dtex〜16000dtexの範囲であることが好ましい。またフィラメント数としては1000本〜24000本の範囲であることが好ましい。より好ましくは、3000本〜24000本の範囲であることが好ましい。なお、該繊維の断面形状、繊維物性、微細構造などには、何ら限定を受けるものではない。また、該繊維には予め製糸段階あるいは製糸後にエポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリマー成分Aと同じ/又は異なるレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスなどによって前処理が施されていても構わない。
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスを構成成分とするポリマー成分Aとしては、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比が、1:0.6〜1:8の範囲にあるものが好ましく使用され、より好ましくは、1:0.8〜1:6の範囲で用いられる。ホルムアルデヒドの添加量が少なすぎるとレゾルシン・ホルマリンの縮合物の架橋密度が低下すると共に分子量の低下を招くため、接着剤層凝集力が低下することにより接着性が低下するとともに屈曲疲労性が低下する恐れがある。一方、ホルムアルデヒドの添加量が多すぎると架橋密度上昇によりレゾルシン・ホルマリン縮合物が硬くなり、被着体ゴムとの共加硫時にRFLとゴムとの相溶化が阻害され、接着性が低下する傾向がある。
レゾルシン・ホルマリンとゴムラテックスとの配合比率は、固形分量比で、レゾルシン・ホルマリン:ゴムラテックスが1:3〜1:16の範囲にあるものが好ましく使用され、特に、1:4〜1:10の範囲にあるものが好ましく使用される。ゴムラテックスの比率が少なすぎるとゴムとの共加硫成分が少ないため接着力が低下する傾向がある。一方、ゴムラテックスの比率が多すぎると接着剤皮膜として充分な強度を得ることができないため、接着力や耐久性が低下する傾向があるとともに、接着処理した繊維コードの粘着性が著しく高くなり接着処理工程やベルト成型工程でカムアップや取り扱い性などの工程通過性が低下する恐れがある。
用いられるレゾルシンとしては、予めオリゴマー化したレゾルシン−ホルマリン初期縮合物やクロロフェノールとレゾルシンをホルマリンとオリゴマー化した多核クロロフェノール系レゾルシン−ホルマリン初期縮合物を必要に応じて単独あるいはそれらを組み合わせて用いても良い。
また、ここで用いられるゴムラテックスとしては、例えば水素化ニトリルゴムラテックス(水素添加アクリロニトリルーブタジエンゴムラテックス)、ニトリルゴムラテックス(アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス)、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、クロロスルホン化ポリエチレンラテックス等があり、これらを単独または併用して使用する。特には本発明のゴム補強用炭素繊維コードは、水素化ニトリルゴムラテックス及び/またはニトリルゴムラテックスを含むことが好ましい。より好ましくは水素化ニトリルゴムラテックスが好ましい。また、水素化ニトリルゴムラテックス及び/またはニトリルゴムラテックスはカルボキシル変性等の変性されたものであっても良い。
また、このレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)には、架橋剤を併用することも好ましい。好ましく添加される架橋剤としては、アミン、エチレン尿素、マレイミド、イソシアネート化合物などが例示されるが、処理剤の経時安定性、前処理剤との相互作用などを踏まえ、ブロックドポリイソシアネート化合物が好ましく用いることができる。ブロックドポリイソシアネート化合物などの架橋剤の添加率は、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)に対して0.5〜40重量%、好ましくは、10〜30重量%の範囲であるものが好ましい。添加量を増やすことにより通常は接着力が向上するが、逆に添加量が多すぎると接着剤のゴムに対する相容性が低下し、ゴムとの接着力が低下する傾向があるためである。
ポリマー成分Bは、ポリマー成分Aの外層であり、且つコードの最外層に処理されるものであり、ニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスと架橋剤とカーボンブラックと酸化亜鉛を構成成分とすることが好ましい。ゴム成分との親和性の高いニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスとポリマー成分Aとの親和性の高い架橋剤成分とが混在し、且つそれらの分子鎖が絡み合うことで接着性と凝集性の高いコード被膜を形成するのである。また、カーボンブラックや酸化亜鉛の添加により、ゴム成分との親和性を更に高めることができる。より好ましくは、水素化ニトリルゴムラテックスと架橋剤とカーボンブラックと酸化亜鉛を含むことが好ましい。
これら混合物によるポリマー成分Bは、有機溶剤に溶解させてゴム糊として処理しても構わないが、取扱い性や環境の面から、水に分散させたものでコード表面に処理することが好ましい。
また、ポリマー成分Bに添加される架橋剤としては、アミン、エチレン尿素、ブロックポリイソシアネート化合物などが例示されるが、処理剤の経時安定性、前処理剤との相互作用などを踏まえ、ブロックドポリイソシアネート化合物が好ましく用いることができる。イソシアネート化合物としては、芳香族系のジフェニルメタンジイソシアネートや、トルエンジイソシアネート、脂肪族系のヘキサメチレンジイソシアネート等から選択することが好ましい。さらに好ましくは、架橋性能に優れる芳香族系のジフェニルメタンジイソシアネートの使用が推奨される。より具体的にはブロックドイソシアネートとして、ジメチルピラゾールブロック、メチルエチルケトンオキシムブロック、カプロラクタムブロックのブロックドイソシアネートが好ましく、より具体的には、カプロラクタムブロックジフェニルメタンジイソシアネートを用いることが好ましい。
また、ポリマー成分Bは、塩素化天然ゴム、ポリクロロプレン、塩素化ポリクロロプレン、塩素化ポリブタジエン、ヘキサクロロペンタジエン、ブタジエン/ハロゲン化環状共役ジエン付加物、塩素化ブタジエンスチレン共重合体、塩素化エチレンプロピレン共重合体及びエチレン/プロピレン/非共役ジエン三元共重合体、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリ(2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン)、臭素化ポリ(2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン)、α−ハロアクリロニトリルと2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンとの共重合体、塩素化されたポリ(塩化ビニル)等の塩素及び臭素等のハロゲン含有ポリマーを含むことが更に好ましい。これらハロゲン含有ポリマーは、ニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスと絡み合いながら、被着体のゴム中に拡散し、ゴムマトリックスの剛性や凝集力を向上させ、炭素繊維コードとの剛性の差異を低減させることで、炭素繊維コードとゴムマトリックスとをより一体化させ、接着力を向上させるものである。
より好ましい形態としては、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスを構成成分とするポリマー成分Aを固形分量として3〜17重量%付着させた後、ニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスとカーボンブラックと酸化亜鉛を構成成分とするポリマー成分Bを固形分量として3〜37重量%付着させることが好ましい。
またゴム付着力の維持のためにはポリマー成分Aとポリマー成分Bの合計が13重量%よりも多くなるように付着させ、好ましくは15〜40重量%、より好ましくは20〜40重量%になるように付着させることで、コードの剥離接着力を維持することが出来る。
ポリマー成分Aを繊維に付着させるためには、ローラーとの接触、若しくは、ノズルからの噴霧による塗布、または、溶液への浸漬などの手段が採用できる。繊維コードに対する固形分付着量を制御するためには、前記と同様に、圧接ローラーによる絞り、スクレバー等によるかき落とし、空気吹きつけによる吹き飛ばし、吸引、ビーターの手段により行うことができ、付着量を多くするためには複数回付着させてもよい。
浸漬方法を用いる場合、ポリマー成分Aを含む溶液に炭素繊維束を浸漬させた後、100℃〜250℃の温度で60〜300秒間の乾燥、熱処理を行うことが好ましい。より好ましくは、100〜180℃の温度範囲で60〜240秒間乾燥し、次いで200〜245℃の温度で60〜240秒間の熱処理を行う。この乾燥・熱処理温度が低すぎるとゴム類との接着が不十分となる傾向にあり、また、乾燥・熱処理温度が高すぎるとRFLが高温下での空気酸化が促進され、接着活性が低下してしまう傾向がある。
また、ポリマー成分Bを含む溶液に浸漬させた後には、80〜180℃の温度で60〜300秒間の乾燥、熱処理を行うことが好ましい。この乾燥・熱処理温度が低すぎると乾燥が不十分となり、工程通過性が悪化する傾向にあり、また、乾燥・熱処理温度が高すぎると接着成分が高温下で失活し、接着活性が低下してしまう傾向がある。
また、本発明で用いる炭素繊維コードは、炭素繊維に撚りを施したものであることが好ましい。該繊維を1本あるいは複数本を引き揃えてS方向、或いはZ方向の片側に撚り(片撚り)を施すことが好ましい。上記のコードを更に複数本引き揃えて、片撚りの方向と反対方向に撚り(諸撚り)を施しても構わないが、炭素繊維に諸撚りを施すのは工程通過性の観点で難しいため、片撚りがより好ましい。
ここで、撚り数は、次式(1)で表せる撚り係数(TM)=0.1〜5.0を満たす範囲が、接着剤の繊維コード内部への浸透性を保ち引張物性と耐屈曲疲労性を満たす点で好ましく、より好ましくはTM=0.5〜3.0であり、さらに好ましくは、1.0〜2.0である。
[数1]
TM=T×√D/1150
[但し、TM;撚り係数、T;撚り数(回/m)、D;総繊度(tex)を示す。]
この計算式は、一般的に、綿の紡績糸に使用される計算式、K=t/√N(K:撚係数、t:撚数t/inch、N:綿番手)について、綿の比重を炭素繊維の比重に変換し、綿番手を繊度(tex)に変換して、再計算したものである。TM=1.0に近い時に、単糸が繊維軸方向に約5.5°傾き、繊維束の引き揃えを良くすることで、引張強力が最大限に発揮される。更に撚り係数を高くすると、単糸の傾きが大きくなり、屈曲時の歪を単糸が受けにくくなり、耐屈曲疲労性が向上するが、引張強力は低下する傾向にあり、また小さな負荷荷重を受ける際の初期の伸びが増加し、炭素繊維コードに期待される伸び難い性質が低下することになる。
撚りについては、繊維束に樹脂を付着させる前後どちらに施しても構わない。最終用途がベルトカット時のカット面のホツレを気にする用途の場合、撚りを施す前に樹脂を付着させる方が、ポリマー成分が繊維束内部に浸透し、カット時のホツレが低減するため好ましい。一方で、撚りを施す前の樹脂の付着量が多くなると、付着後の撚りで各単糸の引き揃えが悪くなり、引張強度や引張弾性率といった性質が低下することになる。好ましくは撚りを施す前にポリマー成分Aで処理した後に撚りを施し、その後にポリマー成分Bを処理する方法や、撚りを施す前に、予めエポキシ樹脂や、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリマー成分Aと同じ/又は異なるレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス等の、炭素繊維とポリマー成分Aそれぞれと親和性の高い処理剤によって前処理し、ホツレを低減するための処理剤を繊維束内部に含浸した後に撚りを施し、その後にポリマー成分A,ポリマー成分Bを処理することが好ましい。
このような本発明の製造方法により得られるゴム補強用炭素繊維コードで補強するゴムの種類としては、アクリルゴム、ニトリルゴム(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、水素化ニトリルゴム(水素化アクリロニトリルーブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、多硫化ゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム等を挙げることができる。特には本発明の製造方法は、水素化ニトリル(H−NBR)ゴム用途に最適である。また、上記ゴムには、主成分のゴムの他に、材料の改質等のため、カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤、クマロン樹脂、フェノール樹脂等の有機充填剤、ナフテン系オイル等の軟化剤等、種々の加硫剤をはじめとした種々の添加剤が含まれていてもよい。
このような炭素繊維強化ゴム材料は、例えば、上記ゴム補強用炭素繊維コードを必要本数引き揃え、これをゴムで挟み込み、さらにプレス機等で加圧、加熱して成形することができるものであり、得られた炭素繊維強化ゴム材料は、屈曲変形などに対して優れた耐久性を発揮しその炭素繊維強化ゴム材料の具体例としては、歯付ベルトなどを挙げることができる。
以下、実施例をあげて本発明を説明する。かかる実施例は本願発明の実施態様を説明のためのものであって、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本発明の実施例における評価は下記の測定法で行った。
(1)コードの重量(繊度)、引張強力は、JIS L1017に準じて測定を行った。
(2)コードの剥離接着力は下記の方法で測定した。
ゴム補強用炭素繊維コードを約30mmの幅に隣接して並べて、ゴムから剥離する際の接着力で評価した。評価用ゴムとしては、下記配合組成で作製したH−NBRゴムを用いて、温度180℃で30分間、1MPaのプレス圧をかけて加硫した。また、剥離させたコードへのゴム付着状態を観察した。
[配合組成]
水素化アクリロニトリルーブタジエンゴム:100部
カーボンブラック:50部
酸化亜鉛:5部
可塑剤(TOTM):5部
ステアリン酸:0.5部
抗酸化剤(ナウガード445):1.5部
老化防止剤(ノクラックMBZ):1部
1,3−ビス[1−(tert−ブチルペルオキシ)−1−メチルエチル]ベンゼン:8部
[実施例1]
レゾルシン/ホルマリン(R/F)のモル比が1/0.6であるレゾルシン−ホルマリン初期縮合物(スミカノール700S、住友化学株式会社製、濃度65%)19.8gを、水154.5gに10%苛性ソーダ水5.0gと20%アンモニア水19.9gを加えたアルカリ水溶液に溶解し、これに水素化ニトリルゴムラテックス(Zetopol2230LX、日本ゼオン株式会社製、濃度40%)425gと水358.9gを添加した。この液に、37%ホルマリン水16.8gを添加し、20℃で48時間熟成して固形分濃度19.4%のレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスを構成成分とするポリマー成分Aの水分散体を調整した。
また、水素化ニトリルゴムラテックス(Zetopol2230LX、日本ゼオン株式会社製、濃度40%)200gとクロロスルホン化ポリエチレンゴムラテックス(セポレックスCSM,住友精化株式会社製、濃度30%)125gとεカプロラクタムブロックドジフェニルメタンジイソシアネート(明成化学工業株式会社製 DM3031、濃度54%)55gと酸化亜鉛10g、カーボンブラック10gに水550gを添加し、固形分濃度20.0%のポリマー成分B水分散体を得た。
8000dtex/12000フィラメントの炭素繊維(UTS50、東邦テナックス株式会社製)を1本用いて撚数60回/mのZ方向の片撚りを行い、炭素繊維撚糸コードを得た。この繊維コードを、コンピュートリーター処理機(CAリッツラー製ディップコード処理機)を用いて、前記のレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスを構成成分とするポリマー成分Aの水分散体に浸漬した後、120℃、120秒間の乾燥、次いで235℃、60秒間の熱処理を行った。引き続き前記のポリマー成分Bの水分散体に浸漬した後に、定長で150℃、120秒間の乾燥を行い、炭素繊維コードを得た。得られた炭素繊維コードの性能評価結果を表1にまとめて示す。
[実施例2]
ポリマー成分Aについて、水素化ニトリルゴムラテックス(Zetopol2230LX、日本ゼオン株式会社製、濃度40%)の代わりに、ニトリルゴムラテックス(NIPOL LX1562、日本ゼオン株式会社製、濃度41%)415gを使用し、水348.9gで希釈した以外は、実施例1と同様に炭素繊維コードの接着処理を行った。得られた炭素繊維コードの性能評価結果を表1に示す。
[実施例3]
ポリマー成分Bについて、酸化亜鉛とカーボンブラックを添加しなかった以外は、実施例1と同様に炭素繊維コードの接着処理を行った。得られた炭素繊維コードの性能評価結果を表1に示す。
[実施例4]
ポリマー成分Aについて、水素化ニトリルゴムラテックス(Zetopol2230LX、日本ゼオン株式会社製、濃度40%)の代わりに、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマーラテックス(Pyratex、日本エイアンドエル株式会社製、濃度42%)405gを使用し、水338.9gで希釈した以外は、実施例1と同様に炭素繊維コードの接着処理を行った。得られた炭素繊維コードの性能評価結果を表1に示す。
[実施例5]
ポリマー成分Bについて、クロロスルホン化ポリエチレンゴムラテックスを添加せず、水素化ニトリルゴムラテックス325gを使用した以外は、実施例1と同様に炭素繊維コードの接着処理を行った。得られた炭素繊維コードの性能評価結果を表1に示す。
[比較例1]
ポリマー成分Bによる接着処理をしなかった以外は実施例1と同様に炭素繊維コードの接着処理を行った。得られた炭素繊維コードの性能評価結果を表1に示す。
[比較例2]
ポリマー成分Aによる接着処理をしなかった以外は実施例1と同様に炭素繊維コードの接着処理を行った。得られた炭素繊維コードの性能評価結果を表1に示す。
[参考例]
ポリマー成分Aとポリマー成分Bの水分散体それぞれについて、固形分濃度を半分まで水で希釈して処理を行った以外は実施例1と同様に炭素繊維コードの接着処理を行った。得られた炭素繊維コードの性能評価結果を表1に示す。
Figure 2018119227
本発明の実施例1〜5で得られた炭素繊維コードは、比較例で得られたコードに比べて、同等以上の引張強力を維持した状態で、ゴム接着性が非常に優れ、剥離接着試験後のゴム付着状態も良好な結果であった。
本発明によれば、ゴムとの接着性が大幅に改善されて、伝動ベルトの心線として好適に用いられる炭素繊維コードを、提供することができ、従来炭素繊維ではゴム接着性に課題があった摩擦伝動ベルトや歯付ベルトの心線として好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 炭素繊維束の表面に樹脂が付着した炭素繊維コードであり、該樹脂が、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスを構成成分とするポリマー成分Aと、ポリマー成分Aの外層であり、且つ炭素繊維コードの最外層に、ニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスと架橋剤を構成成分とするポリマー成分Bを備えることを特徴とするゴム補強用炭素繊維コード。
  2. ポリマー成分Aに含まれるレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスが、ニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスを含むレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスであることを特徴とする請求項1に記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  3. ポリマー成分Bが、ニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスと架橋剤に加えて、ハロゲン含有ポリマーを含むポリマー成分であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  4. ポリマー成分Bが、ニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスと架橋剤に加えて、酸化亜鉛を含むポリマー成分であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  5. ポリマー成分Bが、ニトリルゴムラテックス及び/または水素化ニトリルゴムラテックスと架橋剤に加えて、カーボンブラックを含むポリマー成分であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  6. ポリマー成分Bに含まれる架橋剤が、イソシアネート系架橋剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  7. 炭素繊維束に対して、ポリマー成分Aの固形分付着量が3〜17重量%、ポリマー成分Bの固形分付着量が3〜37重量%存在し、且つポリマー成分Aとポリマー成分Bの固形分付着量の合計が13重量%よりも多く存在することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  8. レゾルシン・ホルマリン・水素化ニトリルゴムラテックスを構成成分とするポリマー成分Aと、水素化ニトリルゴムラテックスと架橋剤を構成成分とするポリマー成分Bを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のゴム補強用炭素繊維コード。
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