JP3967609B2 - ゴム補強用ガラス繊維処理剤、それを用いたゴム補強用コードおよびゴム製品 - Google Patents

ゴム補強用ガラス繊維処理剤、それを用いたゴム補強用コードおよびゴム製品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、補強用のコードを含有するタイミングベルトやタイヤなどのゴム製品、そのゴム補強用コード、ならびにゴム補強用コードの製造に用いるガラス繊維処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイミングベルトやタイヤなどのゴム製品には、ガラス繊維またはレイヨン、ナイロンもしくはポリエステルなどの有機繊維を芯材とし、その表面にマトリックスゴムとの親和性が高いレゾルシン・ホルムアルデヒドを含有するゴム系被膜を備えたゴム補強用コードが埋設される。ゴム製品が高温高湿環境下で繰り返し屈曲される場合、前記ゴム系被膜が急速に劣化してゴム製品の強度が著しく低下することが知られている。また、ゴム製品が低温環境下で使用される場合は、マトリックスゴムおよびゴム系被膜が脆性を帯びてしまうため、衝撃的な負荷が掛かった際にこれらが破壊され、その強度が著しく低下してしまう。たとえば、寒冷地で使用されるタイミングベルトは、エンジン始動時に脆性を帯びた状態で衝撃的な負荷が掛けられ、その後エンジンの廃熱による高温に曝されるなど、過酷な環境下で使用される。とくに近年ではエンジンルーム内はさらに高密度化される方向にあるので、タイミングベルトはより一層高温環境下で使用される。
【0003】
上記ゴム系被膜は、必須成分としてレゾルシン・ホルムアルデヒド水溶性縮合物(以下、「RF縮合物」と称す)を、他のゴム成分としてアクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラテックスまたはビニルピリジン・スチレン・ブタジエン共重合体ラテックスなどを、またその他の成分として老化防止剤、乳化剤または界面活性剤などを適宜含有する溶液(以下、「繊維処理剤」と称す)を、芯材である繊維に塗布し、乾燥硬化させることにより形成される。このような繊維処理剤をガラス繊維に含浸させたゴム補強用コードが特開平1-221433号公報に記載されている。
【0004】
芯材として利用されるガラス繊維は、引張り強度が高く、高モジュラスのため温度依存性が小さく、繰り返し伸張に対してほぼ弾性変形を示し、水分や熱に対する寸法安定性が良好であるなどの特性を備える。これらの特性は、ゴム補強用コードとしてとくに好ましいものである。一方でガラス繊維の重大な欠点の一つは、フィラメント間の相互摩擦に非常に弱く、ゴム補強用コードの重要な要求特性である耐屈曲疲労性が低いことである。また、もう一つの欠点は、ゴムとの接着性が低いことである。そのため、ガラス繊維をゴム補強用コードに利用する場合は、マトリックスゴムとの接着性を高め、かつ、耐屈曲疲労性を改善するためにゴム系被膜を成形することが必須となる。
【0005】
一方、有機繊維を芯材とするゴム補強用コードでは、繊維処理剤が最表層のフィラメント(繊維の最小単位)から内層に2〜3層浸透するだけで、マトリックスゴムとの接着性は十分確保される。繊維処理剤が深層まで浸透した場合は、却って耐屈曲疲労性が低下することもあるため、ゴム補強用コードにおける繊維処理剤の付着率は、固形分で10重量%以下に調整することが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ガラス繊維を芯材とするゴム補強用コードでは、フィラメント相互の摩耗を防止するため、繊維処理剤を最内層のフィラメントにまで行き渡らせる必要があり、ゴム系被膜の付着率(乾燥硬化後の固形分付着率)が15〜25重量%と必然的に高くなる。この点において、ガラス繊維を芯材とするゴム補強用コードは、有機繊維のそれと著しく相違する。すなわち、ガラス繊維を芯材とするゴム補強用コードは、その性能が繊維処理剤の特性によって大きく左右される。
【0007】
芯材としてガラス繊維を、繊維処理剤として種々のラテックスを含有するものを使用したゴム補強用コードについて、種々の性能を改善すべく鋭意研究した結果、本発明者は、繊維処理剤中におけるラテックスの状態に着目し、その状態を変えることでゴム製品の耐屈曲疲労性や耐水性を著しく向上させることができることを見出した。すなわち、本発明者は、つぎの仮説に基づき種々の実験を行うことにより、ゴム製品の種々の性能、とくに耐水性を向上させる新たな知見を得たのである。
【0008】
繊維処理剤には、取り扱いが容易であるなどの理由で水系溶媒が一般に使用される。通常ラテックス自体は、水系溶媒に溶解も分散もせず、低分子の乳化剤または界面活性剤で処理されることによって初めてラテックス化する。しかし、この低分子の乳化剤または界面活性剤は、ゴム系被膜の成形時に水系溶媒の移動に伴ってゴム系被膜の表面層に移動してくる。ゴム系被膜の表面に低分子の乳化剤または界面活性剤が多く存在すると、マトリックスゴムとの接着性、あるいはゴム系被膜に塗布される接着剤との接着性などが低下する。ゴム製品の性能を高めるためには、ゴム補強用コードとマトリックスゴムとの接着性を高めることが不可欠である。そこで、ラテックスに付着する乳化剤または界面活性剤を減らすことが有効である。
【0009】
この発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。その目的とするところは、ゴム製品の性能とくに耐水性を改善するゴム補強用ガラス繊維処理剤、それを用いたゴム補強用コードおよび耐水性の高いゴム製品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明のゴム補強用ガラス繊維処理剤は、ソープフリーのスチレン・ブタジエンコポリマーラテックスおよびレゾルシン・ホルムアルデヒド水溶性縮合物を含有するものである。
【0011】
請求項2に記載の発明のゴム補強用ガラス繊維処理剤は、請求項1に記載の発明において、繊維処理剤中の全固形分重量を基準として、ソープフリーのスチレン・ブタジエンコポリマーラテックスの含有率が固形分で10〜95重量%、ならびにレゾルシン・ホルムアルデヒド水溶性縮合物の含有率が固形分で5〜20重量%のものである。
【0013】
請求項に記載の発明のゴム補強用ガラス繊維処理剤は、請求項1または2に記載の発明において、全固形分の含有率が15〜35重量%のものである。
【0014】
請求項に記載の発明のゴム補強用ガラス繊維処理剤は、請求項1〜のいずれか1項に記載の発明において、ソープフリーのスチレン・ブタジエンコポリマーラテックス、ソープフリー以外のラテックスおよびレゾルシン・ホルムアルデヒド水溶性縮合物を含有し、ソープフリーのラテックスとソープフリー以外のラテックスとの合計固形分重量を基準として、ソープフリーのラテックスの含有率が固形分で10〜95重量%、レゾルシン・ホルムアルデヒド水溶性縮合物の含有率が固形分で5〜20重量%のものである。
【0015】
請求項に記載の発明のゴム補強用コードは、請求項1〜のいずれか1項に記載の繊維処理剤を用いてガラス繊維を処理したものである。
【0016】
請求項に記載の発明のゴム補強用コードは、請求項に記載の発明において、繊維処理剤の全固形分の付着率が10〜30重量%のものである。
【0017】
請求項に記載の発明のゴム製品は、請求項またはに記載のゴム補強用コードを含有するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態について、詳細に説明する。
【0019】
この繊維処理剤は、従来通りRF縮合物およびラテックスを含有するものであって、このラテックスがソープフリーであることを特徴とする。ここで、「ソープフリー」とは、従来の乳化剤または界面活性剤の代わりに、過硫酸カリウムなどの重合開始剤、スチレンスルホン酸塩、アクリル系もしくはアリル系の反応乳化剤または水溶性高分子、水溶性オリゴマーもしくはアクリル酸などの親水性コモノマーを用いて重合したものであることを指す。ソープフリーのラテックスとしては、スチレン・ブタジエンコポリマーラテックス(以下、「SBRラテックス」と称す)が挙げられる。ソープフリーのラテックスを使用することにより、ゴム補強用コードとマトリックスゴムとの接着性を高めることができ、その結果ゴム製品の種々の性能を改善することができる。中でも、ソープフリーのSBRラテックスはゴム製品の耐水性の改善に有効である。ソープフリーのSBRラテックスとしては、たとえば日本ゼオン社製の「Nipol SX1105」が挙げられる。
【0020】
ソープフリーのラテックスは、乳化剤または界面活性剤を含有しないため、そのままでは繊維処理剤中においてほとんど分散しない。ガラス繊維を芯材に利用する場合、繊維処理剤をガラス繊維の最内層にまで行き渡らせることが必須となるため、この発明では、繊維処理剤中にアクリル系アルカリ可溶性樹脂などをソープフリーのラテックスの固形分重量に対して固形分で0.1〜10重量%配合することが好ましい。なお、上記のNipol SX1105(固形分45%)は、アクリル系アルカリ可溶性樹脂を上記相当量予め含有するものである。またNipol SX1503(固形分42%)も、アクリル系アルカリ可溶性樹脂を上記相当量含有するものである。
【0021】
繊維処理剤中において、全固形分重量に対するRF縮合物の固形分含有率は5〜20重量%が好ましい。この含有率が5重量%未満の場合は、RF縮合物がガラス繊維の表面に均一に付着できなくなり、マトリックスゴムとゴム補強用コードとの接着性が低下する。一方、20重量%を越えると、ゴム系被膜が硬くなり過ぎて、ゴム補強用コードの耐屈曲疲労性が不足し易くなる。
【0022】
また、繊維処理剤中の全固形分重量に対するソープフリーのラテックスの固形分含有率は、10〜95重量部%が好適である。10重量%未満の場合は、ソープフリーのラテックスの存在が希薄になり、ゴム補強用コードの耐屈曲疲労性が不足し易くなる。一方、95重量%を越えると、RF縮合物がガラス繊維の表面に均一に付着できなくなり、マトリックスゴムとゴム補強用コードとの接着性が低下する。さらに好ましい範囲は20〜80重量%である。
【0023】
RF縮合物は、レゾルシンとホルムアルデヒドとを水酸化アルカリ、アンモニアまたはアミンなどのアルカリ性触媒の存在下で反応させることで得られる。また、レゾルシンとホルムアルデヒドとのオキシメチル基に富んだ水溶性の初期付加縮合物(レゾール)であって、そのモル比がレソルシン:ホルムアルデヒド=1:0.5〜2.5であるものが好ましい。また、RF縮合物は、レゾール型樹脂またはノボラック型樹脂として市販されており、これらを使用してもよい。これら市販品の中でも、固形分5〜10%、とくに固形分8重量%の水溶液タイプのものが好ましい。
【0024】
繊維処理剤には、他の成分たとえばソープフリー以外のラテックス(以下、「通常のラテックス」と称す)、ラテックスの安定剤または老化防止剤などを適宜配合してもよい。通常のラテックスとしては、VPラテックス、クロロプレンラテックス、ブタジエンゴムラテックス、SBRラテックス、NBRラテックスまたはクロロスルフォン化ポリエチレンなどが例示される。これらを適宜選択し、また混合して使用することができる。これらの中でも、VPラテックスおよびクロロスルフォン化ポリエチレンラテックスが好適である。VPラテックスとしては、ビニルピリジン、スチレンおよびブタジエンを10〜20:10〜20:60〜80の重量割合で共重合させたものがとくに好ましい。このようなVPラテックスとしては、たとえばNipol 2518FS(商品名 日本ゼオン製)、JSR 0650(商品名 日本合成ゴム製)またはPyratex(商品名住友ダウ製)が挙げられる。クロロスルホン化ポリエチレンラテックスとしては、塩素を25〜43重量%、硫黄を1.0〜1.5重量%含有するものが好ましく、たとえばEsprene(商品名 住友化学社製)などが挙げられる。これら通常のラテックスはソープフリーのラテックスに比べ柔軟性に富むことから、これらを繊維処理剤に配合することにより、ゴム補強用コードの耐屈曲疲労性を高めることができる。
【0025】
通常のラテックスを配合する場合、繊維処理剤中におけるソープフリーのラテックスと通常のラテックスとの固形分重量の合計(以下、「総ラテックス」という)に対して、ソープフリーのラテックスが固形分で10〜95重量%、RF縮合物が固形分5〜20重量%となるように、通常のラテックスの配合量を適宜調整することが望ましい。総ラテックスに対するソープフリーのラテックスの割合があまり大きいと、ゴム補強用コードの柔軟性が乏しくなり、耐屈曲疲労性が低下し易い。一方、上記割合があまり小さいと、繊維処理剤中に通常のラテックスによって持ち込まれる乳化剤の量が多くなるため、ゴム補強用コードの耐水性などが低下し易い。また、総ラテックスに対するRF縮合物の割合があまり大きいと、ゴム補強用コードが硬くなり、その耐屈曲疲労性が低下し易い。一方、この割合があまり小さいと、ゴム補強用コードとマトリックスゴムとの接着性が低下し易い。
【0026】
ラテックスの安定剤または老化防止剤などを配合する場合は、繊維処理剤における全固形分重量に対して、その固形分含有率が0.1〜10重量%となるように調整することが好ましい。この範囲の含有率であれば、ラテックスの重合反応を阻害することなく、繊維処理剤中におけるラテックスの分散性を高めることができる。
【0027】
また、繊維処理剤の溶媒は、従来同様に水だけでもよいが、ソープフリーのラテックスの分散性を高めるため、アンモニアを適宜配合することが好ましい。
【0028】
繊維処理剤における全固形分含有率は、15〜35重量%が好ましい。全固形分含有率は繊維処理剤の粘性に比例するため、その含有率が15重量%未満の場合は、繊維処理剤の粘性が低くなりすぎて、RF縮合物およびソープフリーのラテックスをガラス繊維に十分付着させるために複数回の塗布が必要になり、ゴム補強用コードの生産効率が低下する。一方、35重量%を越えると、繊維処理剤の粘性が高くなりすぎて、ガラス繊維の最内層までソープフリーのラテックスが均一に行き渡り難くなる。
【0029】
繊維処理剤をガラス繊維に塗布する方法は、特に限定されるものではないが、ガラス繊維の最内層にまで繊維処理剤を行き渡らせることを考慮すると、繊維処理剤中にガラス繊維を一定時間浸す浸漬法が最適と考えられる。繊維処理剤から取り出したガラス繊維の過剰付着分を適宜除去し、ついでこれを加熱して溶媒を除去するとともにラテックスの重合反応を促進させることにより、ゴム系被膜が形成される。なお、ガラス繊維には、紡糸時に集束剤が塗布されていてもいなくてもよい。ゴム系被膜を備えるガラス繊維は、適宜複数本引き揃えられて、さらに撚りが掛けられてゴム補強用コードとなる。
【0030】
ゴム補強用コードおける繊維処理剤の全固形分の付着率は、ガラス繊維コードの全重量に対して10〜30重量%が好ましい。10重量%未満では、ガラス繊維の最内層にまでソープフリーのラテックスが十分に行き渡らないおそれがある。一方、30重量%を越えると、それ以上はガラス繊維の最表層上のゴム系被膜が厚くなるだけで、ゴム補強用コードの性能改善があまり現れなくなる。
【0031】
ゴム補強用コードは、未加硫のマトリックスゴム中にそれ自体公知の方法で埋め込まれ、加圧下で加熱加硫されることでゴム製品に加工される。
【0032】
ゴム製品のマトリックスゴムとしては、とくに限定されるものではなく、RF縮合物およびソープフリーのラテックスとの接着性のよいものを適宜選択して利用すればよい。たとえば、クロロプレンゴム、水素化ニトリルゴムまたはクロロスルホン化ポリエチレンゴムなどが好適である。
【0033】
このゴム製品は、通常のラテックスだけを使用したゴム補強用コードを含有するゴム製品と比較して、種々の性能で上回るが、とくに耐屈曲疲労性に優れる。また、ソープフリーのSBRラテックスを使用した場合には、加えて耐水性が著しく向上する。
【0034】
ゴム製品としては、高い耐屈曲疲労性を要求される車両エンジン用のタイミングベルトが好ましい。なお、エンジンルーム高密度化、それに伴う温度上昇に対応するため、近年ではタイミングベルトのマトリックスゴムに、クロロスルホン化ポリエチレンゴムまたは水素化ニトリルゴムなどの耐熱性ゴムが使用されている。これらの耐熱性ゴムにゴム補強用コードを埋設する場合、これらの接着性を高めるため、ハロゲン含有ポリマーまたはイソシアネート化合物を含む接着剤処理液でゴム補強用コードの表面を処理してもよい。このような接着剤処理液としては、ケムロック(商品名 ロードケミカル社製)が好適である。
【0035】
【実施例】
以下、実施例および比較例により この発明をさらに具体的に説明する。
【0036】
(実施例1)
直径9μmの無アルカリガラスのフィラメントを紡糸し、これを数百本集束剤を用いて集束し、33.7Texのガラス繊維とした。これを3本合糸して、下記「表1」の組成成分含有率からなる繊維処理剤中に浸漬し、引き上げた後、過剰の繊維処理液を抜き取った。
【0037】
【表1】
Figure 0003967609
【0038】
その後、このガラス繊維を250℃で2分間熱処理して溶媒を完全に除去し、ゴム系被膜を成形した。このゴム系被膜を備えるガラス繊維について、公知の手段により繊維処理剤の全固形分付着率を測定したところ、20重量%であった。つぎに、このガラス繊維に1インチ当り2.1回のZ方向(S方向)の下撚りを与えた。そして、下撚りを与えたガラス繊維を11本引き揃えて、1インチ当り2.1回のS方向(Z方向)の上撚りを施し、規格番号:ECG150 3/11 2.1S(Z)のゴム補強用コードに成形した。このゴム補強用コードの表面にハロゲン含有ポリマー系接着剤液(ケムロック233(商品名 ロードコーポレション社製 固形分23.5重量%)をキシレンで希釈したもの)を均一に塗布し、過熱して溶媒を除去した。この接着剤の固形分付着率は、乾燥硬化後の接着剤を含めたゴム補強用コードにおいて3.5重量%であった。
このゴム補強用コードを、下記「表2」の組成成分含有率からなるマトリックスゴムに公知の手段で埋め込み、巾19mm、長さ980mmの歯付きベルトに成形した。
【0039】
【表2】
Figure 0003967609
【0040】
この歯付きベルトを、回転数6,000rpmの駆動モーターを備えた耐熱走行試験機に装着し、80℃の環境下で400時間の耐熱走行試験を行った。この試験の前後において、歯付きベルトの引張り強度をそれぞれ測定し、その強度保持率を算出した。また、同様の手段により作製した別の歯付きベルトを、6,500rpmの駆動モーターを備えた注水走行試験機に装着し、ベルトの歯面と従動プーリーの歯面が噛み合い始める部分に水を1L/hrで滴下しながら室温環境下で24時間注水走行試験を行った。この注水走行試験の前後における引張り強度をそれぞれ測定し、その強度保持率を算出した。この算出結果を下記「表8」に示す。なお、算出式は以下の通りである。
【0041】
強度保持率(%)=(試験後の引張り強度/試験前の引張り強度)×100
【0046】
(比較例1)
下記「表5」に記載の繊維処理剤を用いる以外は実施例1と同様にして、ゴム補強用コードおよび歯付きベルトを作製し、耐熱走行試験および注水走行試験を行なった。その結果を下記「表8」に併せて示す。
【0047】
【表5】
Figure 0003967609
【0048】
(比較例2)
下記「表6」に記載の繊維処理剤を用いる以外は実施例1と同様にして、ゴム補強用コードおよび歯付きベルトを作製し、耐熱走行試験および注水走行試験を行なった。その結果を下記「表8」に併せて示す。
【0049】
【表6】
Figure 0003967609
【0050】
(比較例3)
下記「表7」に記載の繊維処理剤を用いる以外は実施例1と同様にして、ゴム補強用コードおよび歯付きベルトを作製し、耐熱走行試験および注水走行試験を行なった。その結果を下記「表8」に併せて示す。
【0051】
【表7】
Figure 0003967609
【0052】
【表8】
Figure 0003967609
【0053】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、つぎの効果を奏する。
この発明の繊維処理剤によれば、ソープフリーのラテックスとRF縮合物とを含有する分散系溶液であるので、ガラス繊維の最内層にまで十分に行き渡り、その表面にマトリックスゴムとの接着性の高いゴム系被膜を成形することができる。そして、このゴム系被膜は、通常のラテックスのみを用いたものより種々の性能で勝り、とくに耐屈曲疲労性に優れる。さらに、ソープフリーのラテックスとしてソープフリーのSBRラテックスを使用した場合は、耐水性が著しく向上する。
【0054】
また、この繊維処理剤の各成分の含有率を適宜調整することにより、ゴム系被膜が硬くなりすぎたり、マトリックスゴムに対する接着性が低下したりすることを防止できる。
【0055】
また、繊維処理剤中の全固形分含有率を調整することにより、その粘度を最適範囲に維持でき、繊維処理剤をガラス繊維の最内層にまで確実に行き渡らせることができる。
【0056】
さらに、この繊維処理剤に通常のラテックスを適当量配合することにより、ゴム系被膜に柔軟性を付与し、ゴム補強用コードの耐屈曲疲労性を一層高めることができる。
【0057】
この繊維処理剤を用いて作製したゴム補強用コードおよびそれを含有するゴム製品は、耐熱性または耐屈曲疲労性など種々の性能で従来のゴム製品に勝る。とくにソープフリーのSBRラテックスを使用したものは、耐水性の向上が著しい。

Claims (7)

  1. ソープフリーのスチレン・ブタジエンコポリマーラテックスおよびレゾルシン・ホルムアルデヒド水溶性縮合物を含有するゴム補強用ガラス繊維処理剤。
  2. 繊維処理剤中の全固形分重量を基準として、ソープフリーのスチレン・ブタジエンコポリマーラテックスの含有率が固形分で10〜95重量%、ならびにレゾルシン・ホルムアルデヒド水溶性縮合物の含有率が固形分で5〜20重量%である請求項1に記載のゴム補強用ガラス繊維処理剤。
  3. 全固形分の含有率が15〜35重量%である請求項1または2に記載のゴム補強用ガラス繊維処理剤。
  4. ソープフリーのスチレン・ブタジエンコポリマーラテックス、ソープフリー以外のラテックスおよびレゾルシン・ホルムアルデヒド水溶性縮合物を含有し、
    ソープフリーのラテックスとソープフリー以外のラテックスとの合計固形分重量を基準として、ソープフリーのラテックスの含有率が固形分で10〜95重量%、レゾルシン・ホルムアルデヒド水溶性縮合物の含有率が固形分で5〜20重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム補強用ガラス繊維処理剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維処理剤を用いてガラス繊維を処理したゴム補強用コード。
  6. 繊維処理剤の全固形分の付着率が10〜30重量%である請求項5に記載のゴム補強用コード。
  7. 請求項5または6に記載のゴム補強用コードを含有するゴム製品。
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