JP2018119018A - 変性ポリエチレン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】各種樹脂の耐摩耗性を飛躍的に向上させうるポリエチレン樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】a)海島構造を有し、光学顕微鏡での300μm2視野中に長軸粒子径100μm以上の島相が1個以下、b)長軸粒子径30μm以上100μm未満の島相が3個以下、c)長軸粒子径10μm以上30μm未満の島相が4個以上であり、d)デカリン中135℃での極限粘度[η]が1.5〜15dL/gの範囲にあり、e)カルボキシル基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位を0.01〜10質量%含み、f)海相のIRにおける前記官能基ピークとCH2基ピークの強度比の比(IRS)と島相のIRにおける同比(IRI)との比(IRS/IRI)が1.0を超える変性ポリエチレン樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】a)海島構造を有し、光学顕微鏡での300μm2視野中に長軸粒子径100μm以上の島相が1個以下、b)長軸粒子径30μm以上100μm未満の島相が3個以下、c)長軸粒子径10μm以上30μm未満の島相が4個以上であり、d)デカリン中135℃での極限粘度[η]が1.5〜15dL/gの範囲にあり、e)カルボキシル基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位を0.01〜10質量%含み、f)海相のIRにおける前記官能基ピークとCH2基ピークの強度比の比(IRS)と島相のIRにおける同比(IRI)との比(IRS/IRI)が1.0を超える変性ポリエチレン樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、各種熱可塑性樹脂の耐摩耗性を飛躍的に向上させうる変性ポリエチレン樹脂組成物に関する。
ポリアミド樹脂やポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂などに代表されるエンジニアリングプラスチックは、優れた耐熱性、耐油性、成形性、剛性、強靭性などの特徴を有しているため電動工具、一般工業部品、機械部品、電子部品、自動車内外装部品、エンジンルーム内部品、自動車電装部品などの種々の機能部品として広く利用されている。
しかしながら、それらの樹脂は、金属材料などに比較すると、摺動特性である摩擦係数が高く、摺動時の発熱により、樹脂自体の溶融、凝着による摩耗が大きく、摺動特性が不充分であった。このため、ポリオレフィン成分などの添加物を配合させて、摺動特性を向上させることが試みられている。
たとえば、特許文献1には、ポリアセタール、ポリエステルなどに極限粘度[η]が6dl/g以上の超高分子量ポリエチレンと、極限粘度[η]が0.1〜5dl/gのポリエチレンを摺動特性改良剤として使用する例が提案されている。
また、特許文献2には、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステルなどに配合される摺動特性改良剤として、極限粘度[η]が6dl/g以上の超高分子量ポリエチレンと、極限粘度[η]が0.1〜5dl/gのポリエチレンとを含み、かつ前記超高分子量ポリエチレンおよび/またはポリエチレンが不飽和カルボン酸で変性されてなる摺動特性改良剤が例示されている。
本発明者らの検討によれば、特許文献1、2に開示された摺動特性改良剤では摺動特性の改良効果が不十分な場合が想定され、さらに高い耐摩耗性、低摩擦係数を達成することが望ましかった。また、摩擦時の発熱を抑制したい要望があった。さらには、100℃程度の比較的高温環境におかれた場合の耐摩耗性が不足していることがわかった。
すなわち本発明の目的は、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート等の各種樹脂の耐摩耗性(特に高温環境下の耐摩耗性)を飛躍的に向上させうるポリエチレン樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、分子量の異なる変性ポリエチレンが微分散して海島構造が形成された変性ポリエチレン樹脂組成物において、海相と島相の変性率が異なることによって、他の樹脂との組成物にした場合の当該樹脂と変性基(官能基)との相互作用などに起因して特定の物性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の[1]〜[12]により特定される。
[1]a) 海島構造を有し、光学顕微鏡での300μm2視野中に長軸粒子径100μm以上の島相が1個以下であり、
b) 300μm2視野中に長軸粒子径30μm以上、100μm未満の島相が3個以下であり、
c) 300μm2視野中に長軸粒子径10μm以上、30μm未満の島相が4個以上であり、
d) デカリン中135℃での極限粘度[η]が1.5〜15dL/gの範囲にあり、
e) カルボキシル基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位を0.01〜10質量%含み、
f) 海相のIRにおける前記官能基ピークとCH2基ピークの強度比の比(IRS)と島相のIRにおける前記官能基ピークとCH2基ピークの強度比の比(IRI)との比(IRS/IRI)が1.0を超えることを特徴とする変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
b) 300μm2視野中に長軸粒子径30μm以上、100μm未満の島相が3個以下であり、
c) 300μm2視野中に長軸粒子径10μm以上、30μm未満の島相が4個以上であり、
d) デカリン中135℃での極限粘度[η]が1.5〜15dL/gの範囲にあり、
e) カルボキシル基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位を0.01〜10質量%含み、
f) 海相のIRにおける前記官能基ピークとCH2基ピークの強度比の比(IRS)と島相のIRにおける前記官能基ピークとCH2基ピークの強度比の比(IRI)との比(IRS/IRI)が1.0を超えることを特徴とする変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
[2]e)の官能基がカルボキシル基であることを特徴とする[1]に記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
[3]e)の構造単位が無水マレイン酸由来の構造単位であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
[4]f)の(IRS/IRI)が1.0を超えて5以下であることを特徴とする[1]〜[3]の何れかに記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
[5]f)の(IRS/IRI)が1.001以上3以下であることを特徴とする[1]〜[4]の何れかに記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
[6]下記の工程を含む方法で製造された、135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が1.5〜15dL/gの範囲にあるポリエチレン樹脂組成物(B)を変性して得られることを特徴とする[1]〜[5]の何れかに記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
(I)極限粘度[η]が20〜40dL/gの範囲にある超高分子量ポリエチレンを製造する工程
(II)極限粘度[η]が0.3〜1.0dL/gの範囲にある低分子量ないし高分子量ポリエチレンを製造する工程
[3]e)の構造単位が無水マレイン酸由来の構造単位であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
[4]f)の(IRS/IRI)が1.0を超えて5以下であることを特徴とする[1]〜[3]の何れかに記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
[5]f)の(IRS/IRI)が1.001以上3以下であることを特徴とする[1]〜[4]の何れかに記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
[6]下記の工程を含む方法で製造された、135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が1.5〜15dL/gの範囲にあるポリエチレン樹脂組成物(B)を変性して得られることを特徴とする[1]〜[5]の何れかに記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
(I)極限粘度[η]が20〜40dL/gの範囲にある超高分子量ポリエチレンを製造する工程
(II)極限粘度[η]が0.3〜1.0dL/gの範囲にある低分子量ないし高分子量ポリエチレンを製造する工程
[7][1]〜[6]の何れかに記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)と、他の樹脂(E)とを含んでなる樹脂組成物。
[8]ポリアミド樹脂(E1)50〜95質量部と、[1]〜[6]の何れかに記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)5〜50質量部(ポリアミド樹脂(E1)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部とする)を含んでなる[7]に記載の樹脂組成物。
[9]ポリアセタール樹脂(E2)80〜95質量部と、[1]〜[6]の何れかに記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)5〜20質量部(ポリアセタール樹脂(E2)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部とする)を含んでなる[7]に記載の樹脂組成物。
[10]ポリエステル樹脂(E3)50〜95質量部と、[1]〜[6]の何れかに記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)5〜50質量部(ポリエステル樹脂(E3)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部とする)を含んでなる[7]に記載の樹脂組成物。
[8]ポリアミド樹脂(E1)50〜95質量部と、[1]〜[6]の何れかに記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)5〜50質量部(ポリアミド樹脂(E1)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部とする)を含んでなる[7]に記載の樹脂組成物。
[9]ポリアセタール樹脂(E2)80〜95質量部と、[1]〜[6]の何れかに記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)5〜20質量部(ポリアセタール樹脂(E2)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部とする)を含んでなる[7]に記載の樹脂組成物。
[10]ポリエステル樹脂(E3)50〜95質量部と、[1]〜[6]の何れかに記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)5〜50質量部(ポリエステル樹脂(E3)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部とする)を含んでなる[7]に記載の樹脂組成物。
[11][7]〜[10]の何れかに記載の樹脂組成物をその一部または全部に使用してなる成形体。
[12]摺動部材である、[11]に記載の成形体。
[12]摺動部材である、[11]に記載の成形体。
本発明によれば、成形性と耐摩耗性のバランスに優れた変性ポリエチレン樹脂組成物を提供することができる。特に、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート等の各種樹脂に対して、本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物を用いると、例えば耐摩耗性(特に高温環境下の耐摩耗性)などを飛躍的に向上させることができる。
[海島構造]
本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)は海島構造を有し、光学顕微鏡での300μm2視野中に、長軸粒子径100μm以上の島相が1個以下、好ましくは0個であり、長軸粒子径30μm以上、100μm未満の島相が3個以下、好ましくは2個以下であり、長軸粒子径10μm以上、30μm未満の島相が4個以上、好ましくは10個以上、1150個以下、より好ましくは20以上、300個以下である。
本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)は海島構造を有し、光学顕微鏡での300μm2視野中に、長軸粒子径100μm以上の島相が1個以下、好ましくは0個であり、長軸粒子径30μm以上、100μm未満の島相が3個以下、好ましくは2個以下であり、長軸粒子径10μm以上、30μm未満の島相が4個以上、好ましくは10個以上、1150個以下、より好ましくは20以上、300個以下である。
このような島相が微分散した海島構造によって、島相と海相の各特性がバランス良く発現する。本発明においては、島相と海相のどちらが分子量の高いポリエチレンであるかは限定されないが、特に島相の分子量の方が高いことが好ましい。例えば、島相が超高分子量ポリエチレンであり、海相が低分子量ないし高分子量ポリエチレンである場合、後述する要件f)を満たしやすく、他の樹脂との組成物にしたときに動摩擦係数が低下し摺動性が向上する傾向にある。
これら島相の個数は、後述する実施例に示すように市販の光学顕微鏡を用いて観察・測定できる。すなわち、変性ポリエチレン樹脂組成物(A)のストランド切片を市販の光学顕微鏡を用いてクロスニコルで観察し、300μm2視野中の島相の長軸粒子径と個数を測定すれば良い。
[変性ポリエチレン樹脂組成物(A)]
本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)は、例えば、超高分子量ポリエチレンと低分子量ないし高分子量ポリエチレンからなるポリエチレン樹脂組成物(B)をグラフト変性して官能基を導入することにより得られる。
本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)は、例えば、超高分子量ポリエチレンと低分子量ないし高分子量ポリエチレンからなるポリエチレン樹脂組成物(B)をグラフト変性して官能基を導入することにより得られる。
変性に用いる官能基は、カルボキシル基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる。中でも、カルボキシル基、水酸基が好ましく、カルボキシル基が最も好ましい。
前記官能基を含む構造単位としては、例えば、不飽和カルボン酸又はその誘導体、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、ビニル基含有有機ケイ素化合物などの化合物に由来する構造単位が挙げられる。これらのうち、不飽和カルボン酸又はその誘導体、水酸基含有エチレン性不飽和化合物が好ましく、不飽和カルボン酸又はその誘導体が最も好ましい。
不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物、カルボン酸基を有する化合物とアルキルアルコールとのエステル、無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物等を挙げることができ、不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基などを挙げることができる。これらの化合物は従来公知のものが使用でき、特に制限はない。具体的な化合物としては、例えばアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸〔商標〕(エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸;又はその誘導体、例えば酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等が挙げられる。かかる誘導体の具体例としては、例えば塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエート等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。これらの中でも、無水マレイン酸、アクリル酸が好ましく、無水マレイン酸が反応性が高い点で特に好ましい。
前記官能基を含む構造単位の含有量は、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜3質量%である。
ポリエチレン樹脂組成物(B)のグラフト変性は、例えばポリエチレン樹脂組成物(B)を有機溶媒に溶解し、次いで官能基を含む構造単位を付与する為の化合物(無水マレイン酸など)及びラジカル開始剤などを溶液に加え、好ましくは70〜200℃、より好ましくは80〜190℃の温度で、好ましくは0.5〜15時間、より好ましくは1〜10時間反応させることにより行うことができる。また、押出機などを用いて、無溶媒で、ポリエチレン樹脂組成物(B)と官能基を含む構造単位を付与する為の化合物とを反応させて、変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を製造することもできる。この反応は、通常ポリエチレン樹脂組成物(B)の融点以上、具体的には160〜330℃の温度で、通常0.5〜10分間行なわれることが望ましい。
特に、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下で混練することで、海島相の無水マレイン酸等による変性量の差が大きくなり、性能を発揮しやすい。さらに混練時間については、好ましくは5分以下、より好ましくは3分以下で混練することで、海島相の無水マレイン酸等による変性量の差が大きくなり、性能を発揮しやすい。
グラフト変性に用いられるラジカル開始剤としては、有機過酸化物あるいはアゾ化合物などが挙げられる。ラジカル開始剤は、ポリエチレン樹脂組成物(B)及び官能基を含む構造単位を付与する為の化合物にそのまま混合して使用することもできるが、少量の有機溶媒に溶解してから使用することもできる。この有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく用いることができる。
グラフト変性させる際には、還元性物質を用いてもよい。還元性物質を用いると、官能基を含む構造単位を付与する為の化合物のグラフト量を向上させることができる。
このようにして得られる変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の変性率は、後述する実施例に示すようにIR分析により官能基とCH2基のピークの強度比の比を測定することによりを求められる。本発明においては、海相のIRにおける前記官能基ピークとCH2基ピークの強度比の比(IRS)と島相のIRにおける前記官能基ピークとCH2基ピークの強度比の比(IRI)との比(IRS/IRI)が1.0を超える。好ましくは1.001以上100以下、下限はより好ましくは1.005、特に好ましくは1.01、最も好ましくは1.03、上限はより好ましくは10、特に好ましくは5、最も好ましくは3である。本発明においては、このように海相と島相の変性率が異なることによって、他の樹脂との組成物にした場合の当該樹脂と変性基(官能基)との相互作用などに起因して特定の物性が向上する。例えば、島相が超高分子量ポリエチレンであり、海相が低分子量ないし高分子量ポリエチレンである場合は、変性ポリエチレン樹脂組成物(A)をポリアミドなどの樹脂(エンジニアリングプラスチック)との組成物にすると、低分子量ないし高分子量ポリエチレン部分は変性基(官能基)との相互作用によって当該樹脂により強固に相溶し、当該樹脂の変形に追随すると共に、超高分子量ポリエチレン部分は変形のストレスに抗して本来有する特性を発揮するため耐摩耗性に優れる成形品を得ることができると考えられる。
変性ポリエチレン樹脂組成物(A)のデカリン中135℃での極限粘度[η]は1.5〜15dL/g、好ましくは1.8〜12dL/g、より好ましくは2.0〜10dL/gの範囲にある。このような極限粘度[η]であることにより、各物性のバランスに優れたものとなる。また変性前のポリエチレン樹脂組成物(B)は、通常、変性後のポリエチレン樹脂組成物(A)と同様の極限粘度[η]である。
先に述べた通り、本発明においては島相と海相のどちらが分子量の高いポリエチレンであるか限定されない。ただし、特に島相の分子量の方が高いことが好ましい。特に、分子量が高いポリエチレンは、135℃のデカリン溶媒中での極限粘度[η]が好ましくは20〜40dL/gの範囲にある超高分子量ポリエチレンであり、それよりも分子量が低いポリエチレンは、その極限粘度[η]が好ましくは0.3〜1.0dL/gの範囲にある低分子量ないし高分子量ポリエチレンであることが好ましい。この態様によれ、両者が各々有する固有の特性がバランス良く発現し、その結果として、各物性のバランスに優れた組成物が得られる。
[変性前のポリエチレン樹脂組成物(B)]
ポリエチレン樹脂組成物(B)は、超高分子量ポリエチレン(C)と低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)の合計量100質量部に対して、超高分子量ポリエチレン(C)を好ましくは5〜45質量部、より好ましくは5〜30質量部、特に好ましくは5〜28質量部、もっとも好ましくは8〜25質量部含有し、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)を好ましくは95〜55質量部、より好ましくは95〜70質量部、特に好ましくは95〜72質量部、もっとも好ましくは92〜75質量部含有し、かつ、以下の要件(i),(ii)を満たすことが好ましい。
ポリエチレン樹脂組成物(B)は、超高分子量ポリエチレン(C)と低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)の合計量100質量部に対して、超高分子量ポリエチレン(C)を好ましくは5〜45質量部、より好ましくは5〜30質量部、特に好ましくは5〜28質量部、もっとも好ましくは8〜25質量部含有し、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)を好ましくは95〜55質量部、より好ましくは95〜70質量部、特に好ましくは95〜72質量部、もっとも好ましくは92〜75質量部含有し、かつ、以下の要件(i),(ii)を満たすことが好ましい。
(i)ポリエチレン樹脂組成物(B)の密度が、955〜980kg/m3(ASTM D1505に準拠して測定される)であり、好ましくは957〜970kg/m3、より好ましくは960〜969kg/m3である。
(ii)ポリエチレン樹脂組成物(B)の135℃のデカリン溶媒中で測定される極限粘度[η]が1.5〜15dl/gであり、好ましくは1.8〜12dl/g、より好ましくは2〜10dl/gである。
ポリエチレン樹脂組成物(B)が、超高分子量ポリエチレン(C)と、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)とを上記の割合で含むことにより、耐摩耗性と成形性に優れた変性ポリエチレン樹脂組成物(A)が得られる。
ポリエチレン樹脂組成物(B)は、密度が上記範囲あることにより、得られる変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の耐摩耗性と剛性、耐衝撃性のバランスに優れる。また、上記の範囲内の極限粘度[η]を有することにより、得られる樹脂組成物の耐摩耗性、衝撃強度、外観および成形性などに優れる。
以下、上記態様のポリエチレン樹脂組成物(B)における超高分子量ポリエチレン(C)と、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)について説明する。
[超高分子量ポリエチレン(C)]
超高分子量ポリエチレン(C)は、例えば、エチレンの単独重合体、又は、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンもしくは3−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンとの共重合体である。中でも、エチレンの単独重合体、又はエチレンと前記のα−オレフィンとの共重合体であって、エチレンを主成分として構成される共重合体を使用することが好ましく、エチレンの単独重合体であることが特に好ましい。
超高分子量ポリエチレン(C)は、例えば、エチレンの単独重合体、又は、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンもしくは3−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンとの共重合体である。中でも、エチレンの単独重合体、又はエチレンと前記のα−オレフィンとの共重合体であって、エチレンを主成分として構成される共重合体を使用することが好ましく、エチレンの単独重合体であることが特に好ましい。
変性前のポリエチレン樹脂組成物(B)に含まれる超高分子量ポリエチレン(C)は、135℃のデカリン溶媒中での極限粘度[η]が、好ましくは20〜40dL/g、より好ましくは25〜35dL/gである。このような極限粘度[η]の超高分子量ポリエチレンを使用することにより、耐摩耗性等の特性が向上する。
[低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)]
[低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)]
低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)は、例えば、エチレンの単独重合体、又は、エチレンとα−オレフィンの共重合体である。エチレンとα−オレフィンの共重合体を構成するα−オレフィンとしては、炭素原子数3〜20の直鎖状又は分岐状のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3-メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ペンテン、3−エチル−4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘプテン、3,4−ジメチル−1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、もしくは、1−エイコセンなどが挙げられる。
これらのうち、プロピレン、1−ブテンが好ましく用いられる。なお、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)は、エチレンを主成分として構成されるエチレン・α−オレフィン共重合体であることが好ましく、エチレン含量が60mol%以上であることがより好ましく、エチレン含量が80mol%以上であることがさらに好ましく、最も好ましくはエチレン単独重合体である。
低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)は、デカリン中135℃での極限粘度[η]が、好ましくは0.3〜1.0dL/g、より好ましくは0.5〜0.8dL/gである。このような極限粘度[η]の低分子量ないし高分子量ポリエチレンを使用することにより、成形性等の特性が向上する。
低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)は、密度が好ましくは953〜980kg/m3(ASTM D1505に準拠して測定される)であり、より好ましくは953〜970kg/m3、さらに好ましくは954〜969kg/m3である。密度が953kg/m3未満の低分子量ないし高分子量ポリエチレンを用いた場合は、得られる樹脂組成物の耐摩耗性の点で好ましくない。
[変性前のポリエチレン樹脂組成物(B)の製造方法]
変性前のポリエチレン樹脂組成物(B)の製造方法について特に制限はない。その製造方法の代表的な態様として、以下の(1)及び(2)を例示することができる。
変性前のポリエチレン樹脂組成物(B)の製造方法について特に制限はない。その製造方法の代表的な態様として、以下の(1)及び(2)を例示することができる。
(1)超高分子量ポリエチレン(C)と低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)とをそれぞれ、予め公知のオレフィン重合用触媒の存在下で製造したものをブレンドすることにより製造する方法。
(2)公知のオレフィン重合用触媒の存在下、超高分子量ポリエチレン(C)を製造する工程(I)と、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)を製造する工程(II)の少なくとも2段階の工程を含んで構成される多段重合法により製造する方法。
特に上記(2)の方法は、上記(1)の方法に比べて、より微分散した海島構造を形成できる点などから好適である。さらに、上記(2)の方法において、特に第1工程として超高分子量ポリエチレンを生成させる工程(I)を行うのが、重合処理操作及び生成ポリエチレンの物性の制御の点などから好適である。なお、この際、重合に用いるエチレンなどのオレフィンとして、前記低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)及び超高分子量ポリエチレン(C)の項目において記載した各種オレフィンを制限無く用いることができる。
特に本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)は、下記の工程を含む方法で製造された、135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が1.5〜15dL/gの範囲にあるポリエチレン樹脂組成物(B)を変性して得られるものであることが好ましい。
(I)極限粘度[η]が20〜40dL/gの範囲にある超高分子量ポリエチレン(C)を製造する工程
(II)極限粘度[η]が0.3〜1.0dL/gの範囲にある低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)を製造する工程
(I)極限粘度[η]が20〜40dL/gの範囲にある超高分子量ポリエチレン(C)を製造する工程
(II)極限粘度[η]が0.3〜1.0dL/gの範囲にある低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)を製造する工程
例えばまず上記(I)の工程を行い、引き続き上記(II)の工程を同バッチ内で行う多段階重合により、二種のポリエチレンを混合する方法と比べ、より微分散した海島構造を形成することができ、さらに連続生産法(非バッチ式)と比べ、より均一な特性を有する組成物を安定して得ることができる。特に、超高分子量ポリエチレンが均一に微分散して結合すると耐摩耗性、自己潤滑性、衝撃強度、耐薬品性、外観及び成形性などの特性のバランスに優れ、とりわけ耐摩耗性、外観と成形性と柔軟性のバランスに優れたポリエチレン樹脂組成物が得られる。
なお、上記(I)の工程を行い、引き続き上記(II)の工程を行うと、通常、内相が低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)であり、外相が超高分子量ポリエチレン(C)であるコアシェル粒子構造のポリエチレン粒子が得られる。さらにこの粒子を熱溶融することにより、島相が超高分子量ポリエチレン(C)であり、海相が低分子量ないし高分子量ポリエチレン(D)であるポリエチレン樹脂組成物が得られる。
ポリエチレン等の重合に用いるオレフィン重合用触媒としては、超高分子量ポリエチレン及び低分子量ないし高分子量ポリエチレンなどを製造することができるものであれば、特に制限無く用いることができる。具体的には、四塩化チタン又は三塩化チタンからなるチーグラー・ナッタ触媒、チタンをマグネシウム等の担体に担持した担体担持型固体状チタン触媒、メタロセン触媒や、ポストメタロセン触媒が挙げられる。
好適な例としては、特開昭56-811号公報、特開昭58−83006号公報などを代表例とする液状のマグネシウム化合物と液状のチタン化合物と必要に応じて電子供与体とを用いて製造される固体状チタン触媒成分を含む触媒の態様が好ましい。このような方法で得られる固体状チタン触媒成分は、数マイクロメートル〜25μm程度の粒子径で、且つ粒度分布が狭い傾向を有するので、本願の重合体組成物を得るのに好ましい態様である。
[樹脂(E)]
本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を用いて摺動特性などの特性を向上させることができる樹脂(E)は、例えばエンジニアリングプラスチック等の熱可塑性樹脂である。樹脂(E)として、具体的には次の(E1)〜(E6)が例示される。
(E1)ポリアミド樹脂、
(E2)ポリアセタール樹脂、
(E3)ポリエステル樹脂、
(E4)ポリフェニレンスルフィド樹脂、
(E5)ポリカーボネート樹脂、
(E6)ポリオレフィン樹脂
本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を用いて摺動特性などの特性を向上させることができる樹脂(E)は、例えばエンジニアリングプラスチック等の熱可塑性樹脂である。樹脂(E)として、具体的には次の(E1)〜(E6)が例示される。
(E1)ポリアミド樹脂、
(E2)ポリアセタール樹脂、
(E3)ポリエステル樹脂、
(E4)ポリフェニレンスルフィド樹脂、
(E5)ポリカーボネート樹脂、
(E6)ポリオレフィン樹脂
[ポリアミド樹脂(E1)]
ポリアミド樹脂(E1)としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−又はp−キシリレンジアミン等の脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン又は芳香族ジアミンなどのジアミン類と、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸類との重縮合によって得られるポリアミド、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸の縮合によって得られるポリアミド、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタムから得られるポリアミド、あるいはこれらの成分からなる共重合ポリアミド、さらにはこれらのポリアミドの混合物などが挙げられる。このポリアミド樹脂(E1)の具体例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6110、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロン6/11、芳香族ナイロン、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン10T、MXD6等が挙げられる。
ポリアミド樹脂(E1)としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−又はp−キシリレンジアミン等の脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン又は芳香族ジアミンなどのジアミン類と、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸類との重縮合によって得られるポリアミド、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸の縮合によって得られるポリアミド、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタムから得られるポリアミド、あるいはこれらの成分からなる共重合ポリアミド、さらにはこれらのポリアミドの混合物などが挙げられる。このポリアミド樹脂(E1)の具体例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6110、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロン6/11、芳香族ナイロン、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン10T、MXD6等が挙げられる。
[ポリアセタール樹脂(E2)]
ポリアセタール樹脂(E2)としては、例えば、オキシメチレン基を主たる構成単位とする熱可塑性樹脂であり、ポリアセタールホモポリマー又はポリオキシメチレンと、オキシメチレン単位とコモノマー単位とを含有するポリアセタールコポリマーが含まれる。本発明においては、ポリアセタールホモポリマー、ポリアセタールコポリマーのいずれも使用することが可能である。このポリアセタール樹脂(E2)の具体例としては、ポリアセタールホモポリマー(例えば米国デュポン社製の商品名「デルリン」、旭化成工業社製の商品名「テナック」など)、また、ポリアセタールコポリマー(例えばポリプラスチックス社製の商品名「ジュラコン」など)が挙げられる。
ポリアセタール樹脂(E2)としては、例えば、オキシメチレン基を主たる構成単位とする熱可塑性樹脂であり、ポリアセタールホモポリマー又はポリオキシメチレンと、オキシメチレン単位とコモノマー単位とを含有するポリアセタールコポリマーが含まれる。本発明においては、ポリアセタールホモポリマー、ポリアセタールコポリマーのいずれも使用することが可能である。このポリアセタール樹脂(E2)の具体例としては、ポリアセタールホモポリマー(例えば米国デュポン社製の商品名「デルリン」、旭化成工業社製の商品名「テナック」など)、また、ポリアセタールコポリマー(例えばポリプラスチックス社製の商品名「ジュラコン」など)が挙げられる。
[ポリエステル樹脂(E3)]
ポリエステル樹脂(E3)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、ビスフェノール等の芳香族ジヒドロキシ化合物と、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、あるいはこれらから選ばれる2種以上のジカルボン酸とから形成される結晶性の熱可塑性樹脂である。このポリエステル樹脂(E3)は、熱可塑性を示す限り、少量のトリオールやトリカルボン酸等の3価以上のポリヒドロキシ化合物やポリカルボン酸などで変性されていてもよい。このポリエステル樹脂(E3)の具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート・テレフタレート共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が好ましい。
ポリエステル樹脂(E3)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、ビスフェノール等の芳香族ジヒドロキシ化合物と、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、あるいはこれらから選ばれる2種以上のジカルボン酸とから形成される結晶性の熱可塑性樹脂である。このポリエステル樹脂(E3)は、熱可塑性を示す限り、少量のトリオールやトリカルボン酸等の3価以上のポリヒドロキシ化合物やポリカルボン酸などで変性されていてもよい。このポリエステル樹脂(E3)の具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート・テレフタレート共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が好ましい。
[ポリフェニレンスルフィド樹脂(E4)]
ポリフェニレンスルフィド樹脂(E4)は、その種類、分子量等とくに限定されない。例えば、直鎖型、架橋型、半架橋型等の重合方法により得られたものを用いることができる。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(E4)は、その種類、分子量等とくに限定されない。例えば、直鎖型、架橋型、半架橋型等の重合方法により得られたものを用いることができる。
[ポリカーボネート樹脂(E5)]
ポリカーボネート樹脂(E5)としては、特に限定されるものではない。その具体例としては、例えば、炭酸エステル結合を分子鎖中に有する高分子量重合体の中でも、芳香族ジオキシ化合物(ビスフェノール)、特にビスフェノールAを原料として合成される高分子重合体が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(E5)としては、特に限定されるものではない。その具体例としては、例えば、炭酸エステル結合を分子鎖中に有する高分子量重合体の中でも、芳香族ジオキシ化合物(ビスフェノール)、特にビスフェノールAを原料として合成される高分子重合体が挙げられる。
[ポリオレフィン樹脂(E6)]
ポリオレフィン樹脂(E6)としては、変性ポリエチレン樹脂組成物(A)と異なるものであればとくに限定されるものではない。その具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−1−メチルペンテン等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂(E6)としては、変性ポリエチレン樹脂組成物(A)と異なるものであればとくに限定されるものではない。その具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−1−メチルペンテン等が挙げられる。
[樹脂(E)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の組成比]
本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を用いることによって樹脂(E)の摺動特性等の特性が向上した樹脂組成物を得る場合、その好適な組成比は樹脂(E)の種類によって異なる。例えば、樹脂(E)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部として、樹脂(E)の含有量は、好ましくは50〜98質量部、より好ましくは55〜95質量部、特に好ましくは70〜95質量部であり、変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の含有量は、好ましくは2〜50質量部、より好ましくは5〜45質量部、特に好ましくは5〜30質量部である。樹脂(E)の含有量が多過ぎると摺動特性が十分に得られないおそれがあり、少な過ぎると樹脂(E)の本来持つ機械的特性が損なわれるおそれがある。樹脂(E)は(E1)〜(E6)の何れかを単独で用いてもよいし、複数を任意の比率で組み合わせて用いることもできる。ただし、何れかを単独で用いることが好ましい。
本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を用いることによって樹脂(E)の摺動特性等の特性が向上した樹脂組成物を得る場合、その好適な組成比は樹脂(E)の種類によって異なる。例えば、樹脂(E)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部として、樹脂(E)の含有量は、好ましくは50〜98質量部、より好ましくは55〜95質量部、特に好ましくは70〜95質量部であり、変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の含有量は、好ましくは2〜50質量部、より好ましくは5〜45質量部、特に好ましくは5〜30質量部である。樹脂(E)の含有量が多過ぎると摺動特性が十分に得られないおそれがあり、少な過ぎると樹脂(E)の本来持つ機械的特性が損なわれるおそれがある。樹脂(E)は(E1)〜(E6)の何れかを単独で用いてもよいし、複数を任意の比率で組み合わせて用いることもできる。ただし、何れかを単独で用いることが好ましい。
特に、ポリアミド樹脂(E1)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を含む樹脂組成物の場合は、ポリアミド樹脂(E1)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部として、ポリアミド(E1)の含有量は、好ましくは50〜95質量部、より好ましくは80〜90質量部であり、変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の含有量は、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜20質量部である。これら範囲にあるとき、摩擦発熱MAX温度の抑制効果が特に高くなる。
また、ポリアセタール樹脂(E2)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を含む樹脂組成物の場合は、ポリアセタール樹脂(E2)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部として、ポリアセタール樹脂(E2)の含有量は、好ましくは80〜95質量部、より好ましくは85〜95質量部であり、変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の含有量は、好ましくは5〜20質量部、より好ましくは5〜15質量部である。これら範囲にあるとき、耐摩耗性が特に優れる。その理由については明らかではないが、おそらく、樹脂組成物におけるポリアセタール樹脂(E2)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)とが相構造をなし、それらの界面から摩耗が起こりうるところ、上記範囲の比率において界面の形状等が最適となって耐摩耗性が特に優れるものと推察される。
また、ポリエステル樹脂(E3)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を含む樹脂組成物の場合は、ポリエステル樹脂(E3)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部として、ポリエステル樹脂(E3)の含有量は、好ましくは50〜95質量部、より好ましくは65〜95質量部であり、変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の含有量は、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは5〜35質量部である。
[樹脂(E)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を含む樹脂組成物の調製方法]
樹脂(E)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を含む樹脂組成物の調製方法としては、例えば、樹脂(E)と、変性ポリエチレン樹脂(A)とを溶融混練する方法が挙げられる。この方法においては、樹脂(E)と、変性ポリエチレン樹脂(A)のいずれもが溶融する温度で混練すればよく、その温度は特に限定されない。通常は、200〜350℃、好ましくは200〜310℃の温度で溶融混練すればよい。混練は、一軸押出機、二軸押出機、バンバリミキサー等を使用して行うことができる。
樹脂(E)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を含む樹脂組成物の調製方法としては、例えば、樹脂(E)と、変性ポリエチレン樹脂(A)とを溶融混練する方法が挙げられる。この方法においては、樹脂(E)と、変性ポリエチレン樹脂(A)のいずれもが溶融する温度で混練すればよく、その温度は特に限定されない。通常は、200〜350℃、好ましくは200〜310℃の温度で溶融混練すればよい。混練は、一軸押出機、二軸押出機、バンバリミキサー等を使用して行うことができる。
[樹脂組成物の摺動特性]
エンジニアリングプラスチック等の樹脂(E)単独あるいは変性超高分子量ポリエチレン単独の場合は高温における摩耗特性に劣るが、樹脂(E)と本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を併用した場合は高温における摩耗特性が予想外に向上するという効果が得られる。これは、変性率が比較的高い海相が樹脂(E)により強固に相溶し、たとえ海相が変形し易いものであっても樹脂(E)によってその変形が抑制され、その結果、島相の物性(特に摺動特性など)を発揮し易い状態を作り出しているものと考えられる。
[成形体]
エンジニアリングプラスチック等の樹脂(E)単独あるいは変性超高分子量ポリエチレン単独の場合は高温における摩耗特性に劣るが、樹脂(E)と本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を併用した場合は高温における摩耗特性が予想外に向上するという効果が得られる。これは、変性率が比較的高い海相が樹脂(E)により強固に相溶し、たとえ海相が変形し易いものであっても樹脂(E)によってその変形が抑制され、その結果、島相の物性(特に摺動特性など)を発揮し易い状態を作り出しているものと考えられる。
[成形体]
本発明の成形体は、以上説明した変性ポリエチレン樹脂組成物(A)と他の樹脂(E)とを含んでなる樹脂組成物をその一部または全部に使用してなる成形体である。この樹脂組成物は、従来種々公知の方法により成形できる。具体的には、この樹脂組成物を、例えば、射出成形法、異形押出成形法、パイプ成形法、チューブ成形法、異種成形体の被覆成形法、インジェクションブロー成形法、ダイレクトブロー成形法、Tダイシートまたはフィルム成形法、インフレーションフィルム成形法、プレス成形法などの成形方法により、容器状、トレー状、シート状、棒状、フィルム状または各種成形体の被覆などに成形することができる。
上記成形方法で得られた成形体は、従来公知の用途に広く使用できる。特に耐摩耗性、自己潤滑性、衝撃強度、薄肉成形などの特性のバランスに優れているので、これらが要求される用途として、例えば、鋼管、電線、自動車スライドドアレールなどの金属の被覆(積層)、耐圧ゴムホース、自動車ドア用ガスケット、クリーンルームドア用ガスケット、自動車グラスランチャンネル、自動車ウエザストリップなどの各種ゴムの被覆(積層)、ホッパー、シュートなどのライニング用、ギアー、軸受、ブッシュ、ローラー、テープリール、各種ガイドレールやエレベーターレールガイド、各種保護ライナー材などの摺動材などに使用される。
[変性ポリエチレン樹脂組成物(A)のその他の用途]
本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)は、各種樹脂の摺動性を向上させる以外にも、従来公知のポリエチレン用途に広く使用できる。特に耐摩耗性、成形性などの特性のバランスに優れているので、これらが要求される用途として、例えば、鋼管、電線、自動車スライドドアレールなどの金属の被覆(積層)、耐圧ゴムホース、自動車ドア用ガスケット、クリーンルームドア用ガスケット、自動車グラスランチャンネル、自動車ウエザストリップなどの各種ゴムの被覆(積層)、ホッパー、シュートなどのライニング用、ギアー、軸受、ローラー、テープリール、各種ガイドレールやエレベーターレールガイド、各種保護ライナー材などの摺動材などの用途に好適に用いることができる。
本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)は、各種樹脂の摺動性を向上させる以外にも、従来公知のポリエチレン用途に広く使用できる。特に耐摩耗性、成形性などの特性のバランスに優れているので、これらが要求される用途として、例えば、鋼管、電線、自動車スライドドアレールなどの金属の被覆(積層)、耐圧ゴムホース、自動車ドア用ガスケット、クリーンルームドア用ガスケット、自動車グラスランチャンネル、自動車ウエザストリップなどの各種ゴムの被覆(積層)、ホッパー、シュートなどのライニング用、ギアー、軸受、ローラー、テープリール、各種ガイドレールやエレベーターレールガイド、各種保護ライナー材などの摺動材などの用途に好適に用いることができる。
[その他の成分]
本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)、および、変性ポリエチレン樹脂(A)の原料となるポリエチレン樹脂組成物(B)、および樹脂(E)には、本発明の効果を阻害しない範囲で他の樹脂あるいは重合体および/または樹脂用添加剤を任意に添加することができる。
本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)、および、変性ポリエチレン樹脂(A)の原料となるポリエチレン樹脂組成物(B)、および樹脂(E)には、本発明の効果を阻害しない範囲で他の樹脂あるいは重合体および/または樹脂用添加剤を任意に添加することができる。
かかる樹脂用添加剤としては、例えば、核剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、顔料、染料、充填剤(フィラー)、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ防止剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、(透明)核剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、衝撃改良剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、加工助剤、石油樹脂、ワックス、オレフィン系オイル、シリコーンオイルなどが挙げられる。これらの添加剤は、1種単独でも、適宜2種以上を組み合わせても用いることができる。
添加する他の樹脂あるいは重合体としては、下記の熱可塑性樹脂(F)を広く用いることができる。これら樹脂あるいは重合体の添加量は脂組成物の総質量に対して、0.1〜30質量%であることが好ましい。
[熱可塑性樹脂(F)]
熱可塑性樹脂(F)は特に制限されない。熱可塑性樹脂(F)としては、例えば、以下の樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂(F)は特に制限されない。熱可塑性樹脂(F)としては、例えば、以下の樹脂が挙げられる。
熱可塑性ポリオレフィン系樹脂;例えば、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリオレフィン、およびこれらのオレフィン系樹脂を変性した変性ポリオレフィン樹脂、
熱可塑性ポリアミド系樹脂;例えば、脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612)、
熱可塑性ポリエステル系樹脂;例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系エラストマー、
熱可塑性ビニル芳香族系樹脂;例えば、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、スチレン系エラストマー(スチレン・ブタジエン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソプレン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソブチレン・スチレンブロックポリマー、前述の水素添加物)、
熱可塑性ポリウレタン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;アクリル樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体;エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体;アイオノマー;エチレン・ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;フッ素系樹脂ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンサルファイドポリイミド;ポリアリレート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ロジン系樹脂;テルペン系樹脂および石油樹脂;
共重合体ゴム;例えば、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン・ジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴム等が例示される。
熱可塑性ポリアミド系樹脂;例えば、脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612)、
熱可塑性ポリエステル系樹脂;例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系エラストマー、
熱可塑性ビニル芳香族系樹脂;例えば、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、スチレン系エラストマー(スチレン・ブタジエン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソプレン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソブチレン・スチレンブロックポリマー、前述の水素添加物)、
熱可塑性ポリウレタン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;アクリル樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体;エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体;アイオノマー;エチレン・ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;フッ素系樹脂ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンサルファイドポリイミド;ポリアリレート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ロジン系樹脂;テルペン系樹脂および石油樹脂;
共重合体ゴム;例えば、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン・ジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴム等が例示される。
ポリプロピレンとしては、上記の通りアイソタクティックポリプロピレンとシンジオタクティックポリプロピレンが挙げられる。アイソタクティックポリプロピレンは、ホモポリプロピレンであっても、プロピレン・炭素数2〜20のα−オレフィン(ただしプロピレンを除く)ランダム共重合体であっても、プロピレンブロック共重合体であってもよい。
ポリ4−メチル−1−ペンテンは、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、または4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体である。4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィンランダム共重合体の場合、4−メチル−1−ペンテンと共重合するα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20 、好ましくは6〜20のα−オレフィンが挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上組み合せて用いることができる。
ポリエチレンとしては、上記の通り従来公知の手法で製造されている、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレンを使用することが出来る。
ポリブテンとしては、1−ブテンのホモポリマー、あるいは1−ブテンと、1−ブテンを除くオレフィンとの共重合体である。オレフィンは、上記のものが挙げられ、これらのオレフィンは、単独で、または2種以上組み合せて用いることができる。共重合体として、例えば、1−ブテン・エチレンランダム共重合体、1−ブテン・プロピレンランダム共重合体、1−ブテン・メチルペンテン共重合体、1−ブテン・メチルブテン共重合体、1−ブテン・プロピレン・エチレン共重合体などが挙げられる。このような共重合体において、耐熱性の点から、1−ブテン含有量が50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることが更に好ましく、85%以上であることが特に好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂は、上述したポリオレフィン樹脂にエチレン性不飽和結合含有モノマーを、有機過酸化物を用いてグラフト変性することにより得ることができる。変性ポリオレフィンが有する官能基の種類としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、イミド基、エステル基、アルコキシシラン基、酸ハライド基およびニトリル基等が挙げられる。
ロジン系樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸などで変性した変性ロジン、ロジン誘導体が挙げられる。また、このロジン誘導体としては、前記の天然ロジン、重合ロジンまたは変性ロジンのエステル化物、フェノール変性物およびそのエステル化物などが挙げられる。さらに、これらの水素添加物も挙げることができる。
テルペン系樹脂としては、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン、テルペンフェノール、テルペンアルコール、テルペンアルデヒドなどからなる樹脂が挙げられ、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテンなどにスチレンなどの芳香族モノマーを重合させた芳香族変性のテルペン系樹脂なども挙げられる。また、これらの水素添加物も挙げることができる。
石油樹脂としては、たとえば、タールナフサのC5留分を主原料とする脂肪族系石油樹脂、C9留分を主原料とする芳香族系石油樹脂およびそれらの共重合石油樹脂が挙げられる。すなわち、C5系石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分を重合した樹脂)、C9系石油樹脂(ナフサ分解油のC9留分を重合した樹脂)、C5C9共重合石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分とC9留分とを共重合した樹脂)が挙げられ、タールナフサ留分のスチレン類、インデン類、クマロン、その他ジシクロペンタジエンなどを含有しているクマロンインデン系樹脂、p−ターシャリブチルフェノールとアセチレンの縮合物に代表されるアルキルフェノール類樹脂、ο−キシレン、p−キシレンまたはm−キシレンをホルマリンと反応させてなるキシレン系樹脂なども挙げられる。
また、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂は、耐候性および耐変色性に優れるために水素添加誘導体が好ましい。前記樹脂の環球法による軟化点は、40〜180℃の範囲にあることが好ましい。また、前記樹脂のGPCにより測定される数平均分子量(Mn)分子量は100〜10,000程度の範囲にあることが好ましい。ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂として市販品を使用することもできる。
また以上の各熱可塑性樹脂(F)として、市販品を使用することもできる。これらの熱可塑性樹脂(F)の中から1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
[添加剤]
先に例示列挙した各添加剤のうち、核剤としては、オレフィン重合体の成形性をさらに改善させる、すなわち結晶化温度を高め結晶化速度を速めるために公知の核剤が使用可能である。具体的には、ジベンジリデンソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、ロジン系核剤、安息香酸金属塩系核剤、フッ素化ポリエチレン、2,2-メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ピメリン酸やその塩、2,6−ナフタレン酸ジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド等が挙げられる。核剤の配合量は、特に限定されないが、上記オレフィン重合体100質量部に対して、好ましくは0.1〜1質量部である。核剤は、重合中、重合後、あるいは成形加工時など適宜添加が可能である。
先に例示列挙した各添加剤のうち、核剤としては、オレフィン重合体の成形性をさらに改善させる、すなわち結晶化温度を高め結晶化速度を速めるために公知の核剤が使用可能である。具体的には、ジベンジリデンソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、ロジン系核剤、安息香酸金属塩系核剤、フッ素化ポリエチレン、2,2-メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ピメリン酸やその塩、2,6−ナフタレン酸ジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド等が挙げられる。核剤の配合量は、特に限定されないが、上記オレフィン重合体100質量部に対して、好ましくは0.1〜1質量部である。核剤は、重合中、重合後、あるいは成形加工時など適宜添加が可能である。
アンチブロッキング剤としては、公知のアンチブロッキング剤が使用可能である。具体的には、微粉末シリカ、微粉末酸化アルミニウム、微粉末クレー、粉末状もしくは液状のシリコン樹脂、テトラフロロエチレン樹脂、微粉末架橋樹脂、例えば架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末等をあげることができる。これらのうちでは、微粉末シリカおよび架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末が好ましい。
顔料としては、無機含量(酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム等)、有機顔料(アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としてはアゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系等が挙げられる。これら顔料および染料の添加量は、特に限定されないが、樹脂組成物の総質量に対して、合計で、通常5質量%以下、好ましくは0.1〜3質量%である。
充填剤(フィラー)としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、金属(ステンレス、アルミニウム、チタン、銅等)繊維、カーボンブラック、シリカ、ガラスビーズ、珪酸塩(珪酸カルシウム、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、アルミナ等)、金属の炭酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム)および各種金属(マグネシウム、珪素、アルミニウム、チタン、銅等)粉末、マイカ、ガラスフレーク等が挙げられる。これらの充填剤は1種単独または2種以上の併用いずれでもよい。
滑剤としては、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)等が挙げられる。
可塑剤としては、芳香族カルボン酸エステル(フタル酸ジブチル等)、脂肪族カルボン酸エステル(メチルアセチルリシノレート等)、脂肪族ジアルボン酸エステル(アジピン酸−プロピレングリコール系ポリエステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸トリエチル等)、リン酸トリエステル(リン酸トリフェニル等)、エポキシ脂肪酸エステル(ステアリン酸エポキシブチル等)、石油樹脂等が挙げられる。
離型剤としては、高級脂肪酸の低級(C1〜4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(C4〜30)の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が使用可能である。具体的には、フェノール系(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール等)、リン系(テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレンジホスフォネート等)、イオウ系(チオジプロピオン酸ジラウリル等)、アミン系(N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等)、ラクトン系の酸化防止剤等が挙げられ、これらを数種類組み合わせても使用できる。
難燃剤としては、有機系難燃剤(含窒素系、含硫黄系、含珪素系、含リン系等)、無機系難燃剤(三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、赤リン等)が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系等が挙げられる。
抗菌剤としては、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素等が挙げられる。
界面活性剤としては非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤などが挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両面界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキル時ヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
帯電防止剤としては、上記の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。脂肪酸エステルとしてはステアリン酸やオレイン酸のエステルなどが挙げられ、高分子型帯電防止剤としてはポリエーテルエステルアミドが挙げられる。
上記充填剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤などの各種添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて、特に限定されないが、樹脂組成物の総質量に対して、それぞれ、0.1〜30質量%であることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明の実施例および比較例における測定方法は以下の通りである。
<島相の観察方法と長軸粒子径の算出方法>
変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を用いて、JIS K7210に準拠して、190℃、10kg荷重でMFRを測定する際のストランドを作製し、ストランド方向に対して垂直にクライオウルトラミクロトームにて約5μm厚の切片を作製し観察検体とした。観察方法としては、光学顕微鏡(ニコン社製、製品名LVI0OPOL)を用いて、クロスニコルで観察した。偏光をかけることで島相の粒子が観察しやすいように偏光を調整し、海島構造を200倍の倍率で3か所撮影し、撮影した視野中から300μm2角を無作為に定めて、島相長軸方向の径と、所定の長軸粒子径を有する島相の各個数を求めた。
変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を用いて、JIS K7210に準拠して、190℃、10kg荷重でMFRを測定する際のストランドを作製し、ストランド方向に対して垂直にクライオウルトラミクロトームにて約5μm厚の切片を作製し観察検体とした。観察方法としては、光学顕微鏡(ニコン社製、製品名LVI0OPOL)を用いて、クロスニコルで観察した。偏光をかけることで島相の粒子が観察しやすいように偏光を調整し、海島構造を200倍の倍率で3か所撮影し、撮影した視野中から300μm2角を無作為に定めて、島相長軸方向の径と、所定の長軸粒子径を有する島相の各個数を求めた。
<IRS、IRI、及びIRS/IRIの算出方法>
上述で得られた観察検体を用いて、島相については10μm以上30μm以下の粒子で、それぞれが50μm以上離れた粒子から無作為に3個選定して、また海相については、各選定した10μm以上30μm以下の粒子それぞれの外周から、10μm以上、30μm以下の範囲内の海相を選定して、選定したそれぞれの島相、海相をFT−IR顕微システム(VARIAN製、製品名FTS−7000/UMA−600)を用いて、顕微透過イメージング法によって3回測定した。3回測定した海相と島相それぞれのCH2基ピーク強度(1470cm−1)とカルボキシル基ピーク強度(1710cm−1と1790cm−1の強度の和)の比の平均を算出することで、IRS、IRI、及びIRS/IRIを求めた。ピーク強度の算出方法としては、干渉縞やノイズが無いスペクトルを得た状態で、CH2基ピーク強度については、1400cm−1から1410cm−1の範囲の変曲点を始点、1510cm−1から1520cm−1の範囲の変曲点を終点と定め、それらの面積からピーク強度を測定した。また、カルボキシル基ピーク強度の1710cm−1付近のピーク強度は、1670cm−1から1680cm−1の範囲の変曲点を始点、1745cm−1から1755cm−1の範囲の変曲点を終点と定め、1790cm−1付近のピーク強度は、1760cm−1から1770cm−1の範囲の変曲点を始点、1810cm−1から1820cm−1の範囲の変曲点を終点と定めて、それらの面積からピーク強度を測定した。
上述で得られた観察検体を用いて、島相については10μm以上30μm以下の粒子で、それぞれが50μm以上離れた粒子から無作為に3個選定して、また海相については、各選定した10μm以上30μm以下の粒子それぞれの外周から、10μm以上、30μm以下の範囲内の海相を選定して、選定したそれぞれの島相、海相をFT−IR顕微システム(VARIAN製、製品名FTS−7000/UMA−600)を用いて、顕微透過イメージング法によって3回測定した。3回測定した海相と島相それぞれのCH2基ピーク強度(1470cm−1)とカルボキシル基ピーク強度(1710cm−1と1790cm−1の強度の和)の比の平均を算出することで、IRS、IRI、及びIRS/IRIを求めた。ピーク強度の算出方法としては、干渉縞やノイズが無いスペクトルを得た状態で、CH2基ピーク強度については、1400cm−1から1410cm−1の範囲の変曲点を始点、1510cm−1から1520cm−1の範囲の変曲点を終点と定め、それらの面積からピーク強度を測定した。また、カルボキシル基ピーク強度の1710cm−1付近のピーク強度は、1670cm−1から1680cm−1の範囲の変曲点を始点、1745cm−1から1755cm−1の範囲の変曲点を終点と定め、1790cm−1付近のピーク強度は、1760cm−1から1770cm−1の範囲の変曲点を始点、1810cm−1から1820cm−1の範囲の変曲点を終点と定めて、それらの面積からピーク強度を測定した。
<極限粘度[η]>
デカリン溶媒を用いて、135℃で極限粘度[η]を測定した。すなわち、サンプルの造粒ペレット(約20mg)をデカリン溶媒(15mL)に溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒(5mL)を追加して希釈した後、前記と同様に比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、サンプルの濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値をオレフィン重合体の極限粘度[η]とした。
極限粘度[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
デカリン溶媒を用いて、135℃で極限粘度[η]を測定した。すなわち、サンプルの造粒ペレット(約20mg)をデカリン溶媒(15mL)に溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒(5mL)を追加して希釈した後、前記と同様に比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、サンプルの濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値をオレフィン重合体の極限粘度[η]とした。
極限粘度[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
<密度>
ASTM D1505に準拠して密度を測定した。
ASTM D1505に準拠して密度を測定した。
<MFR>
JIS K7210に準拠して、190℃と230℃、235℃又は280℃の温度条件で、2.16kg荷重の条件下でメルトフローレート(MFR)を測定した。
JIS K7210に準拠して、190℃と230℃、235℃又は280℃の温度条件で、2.16kg荷重の条件下でメルトフローレート(MFR)を測定した。
<引張試験>
ISO−527−1,2に準拠して、試験片形状を多目的試験片及び引張速度を50mm/minとし、引張降伏点応力(降伏点強度)及び破断点伸びを求めた。
ISO−527−1,2に準拠して、試験片形状を多目的試験片及び引張速度を50mm/minとし、引張降伏点応力(降伏点強度)及び破断点伸びを求めた。
<曲げ試験>
ISO−178に準拠して、多目的試験片を用いて、曲げスパン48.0mm、試験速度5.0mm/minとし、曲げ強度、曲げ弾性率を求めた。
ISO−178に準拠して、多目的試験片を用いて、曲げスパン48.0mm、試験速度5.0mm/minとし、曲げ強度、曲げ弾性率を求めた。
<シャルピー衝撃強度>
ISO−179に準拠して、ノッチ付き多目的試験片を用いてシャルピー衝撃強度を測定した。
ISO−179に準拠して、ノッチ付き多目的試験片を用いてシャルピー衝撃強度を測定した。
<摩擦係数、比摩耗量及び摩擦発熱MAX温度>
JIS K7218「プラスチックの滑り摩耗試験A法」に準拠して、松原式摩擦摩耗試験機を使用して動摩擦係数および比摩耗量を測定した。試験条件は、相手材:S45C、速度:50cm/秒、距離:3km、荷重:15kg(動摩擦係数)または2.5kg(比摩耗量)、測定環境温度:23℃とした。また測定環境温度を50℃、100℃としたこと以外は同じ条件で、高温下における動摩擦係数および比摩耗量を測定した。摩擦発熱MAX温度の測定は、相手材であるS45Cに温度測定用の熱電対を設置して、試験中の温度を測定し、試験中の温度上昇のMAXの値を算出した。
JIS K7218「プラスチックの滑り摩耗試験A法」に準拠して、松原式摩擦摩耗試験機を使用して動摩擦係数および比摩耗量を測定した。試験条件は、相手材:S45C、速度:50cm/秒、距離:3km、荷重:15kg(動摩擦係数)または2.5kg(比摩耗量)、測定環境温度:23℃とした。また測定環境温度を50℃、100℃としたこと以外は同じ条件で、高温下における動摩擦係数および比摩耗量を測定した。摩擦発熱MAX温度の測定は、相手材であるS45Cに温度測定用の熱電対を設置して、試験中の温度を測定し、試験中の温度上昇のMAXの値を算出した。
<限界PV値>
ステップワイズ法〔JIS K7218(SUSリング/樹脂シート)〕により評価した。具体的には、摺動速度:0.2m/s、試験荷重:0.25〜25MPa(0.25MPa毎ステップ)、試験温度:23℃として、試験荷重による樹脂の摩耗による融着、変形による摩擦係数上昇、発熱温度上昇までの試験荷重と摺動速度から限界PV値を算出した。
ステップワイズ法〔JIS K7218(SUSリング/樹脂シート)〕により評価した。具体的には、摺動速度:0.2m/s、試験荷重:0.25〜25MPa(0.25MPa毎ステップ)、試験温度:23℃として、試験荷重による樹脂の摩耗による融着、変形による摩擦係数上昇、発熱温度上昇までの試験荷重と摺動速度から限界PV値を算出した。
<分散径>
変性ポリエチレン樹脂組成物(A)と樹脂(E)を含む樹脂組成物について、物性測定用に作製した多目的試験片を用いて、MD方向に垂直にクライオウルトラミクロトームにて切削断面を作製し、カーボン蒸着を施して観察検体とした。観察方法としては観察検体エンドビューのコア層を、電子顕微鏡(日本電子社製、JFM−7001F)を用いて観察し、分散径を測定した。
変性ポリエチレン樹脂組成物(A)と樹脂(E)を含む樹脂組成物について、物性測定用に作製した多目的試験片を用いて、MD方向に垂直にクライオウルトラミクロトームにて切削断面を作製し、カーボン蒸着を施して観察検体とした。観察方法としては観察検体エンドビューのコア層を、電子顕微鏡(日本電子社製、JFM−7001F)を用いて観察し、分散径を測定した。
[実施例1−1]
<固体状チタン触媒成分の調製>
無水塩化マグネシウム95.2g、デカン398.4gおよび2−エチルヘキシルアルコ−ル306gを温度140℃で6時間加熱反応させて均一溶液とした後、この溶液中に安息香酸エチル17.6gを添加し、更に130℃にて1時間攪拌混合を行なった。
<固体状チタン触媒成分の調製>
無水塩化マグネシウム95.2g、デカン398.4gおよび2−エチルヘキシルアルコ−ル306gを温度140℃で6時間加熱反応させて均一溶液とした後、この溶液中に安息香酸エチル17.6gを添加し、更に130℃にて1時間攪拌混合を行なった。
このようにして得られた均一溶液を室温まで冷却した後、この均一溶液50mlを0℃に保持した四塩化チタン200ml中に一定の撹拌速度で攪拌しつつ1時間にわたって全量滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を2.5時間かけて80℃に昇温し、80℃になったところで混合液中に安息香酸エチル2.35gを添加し、2時間同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を100mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、90℃で2時間、加熱反応を行った。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、温度90℃のデカンおよびヘキサンで洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。以上の操作によって調製した固体状チタン触媒成分はデカンスラリ−として保存した。
ICP法で分析したところ、固体状チタン触媒成分中、Ti成分が3.5質量%含まれていた。ベックマン・コールター社製レーザー回折散乱法粒度分布測定装置で測定した触媒粒子の平均粒径は、7μmであった。
<ポリエチレン樹脂組成物(B−1)の重合>
充分に窒素置換された攪拌機付24Lのオートクレーブに12Lの精製n−デカンを添加した後、トリエチルアルミニウムをアルミニウム換算で14ミリモル、上記固体状チタン触媒成分をチタン換算で0.3ミリモル加え、十分に撹拌しながら45℃まで昇温しつつ、4.2L/分の速度でエチレンを供給して重合を開始した。オートクレーブの内圧は6kg/cm2・Gに保持した。重合温度は45〜46℃に維持した。エチレンを880L供給した時点でエチレンの供給を一旦停止し、内圧が3kg/cm2・Gとなるまで温度を一定に保持した後、速やかに常圧まで脱圧した。(この段階で、得られたスラリーを少量サンプリングし、デカンとヘキサンとで洗浄して白色固体サンプル(1)を得た。)次いで水素を41リットル導入し、温度を85℃に上げつつエチレンを11.6L/分の速度で供給しながら2段目の重合を開始した。全圧を6.4kg/cm2・G、温度は85℃に保持した。
充分に窒素置換された攪拌機付24Lのオートクレーブに12Lの精製n−デカンを添加した後、トリエチルアルミニウムをアルミニウム換算で14ミリモル、上記固体状チタン触媒成分をチタン換算で0.3ミリモル加え、十分に撹拌しながら45℃まで昇温しつつ、4.2L/分の速度でエチレンを供給して重合を開始した。オートクレーブの内圧は6kg/cm2・Gに保持した。重合温度は45〜46℃に維持した。エチレンを880L供給した時点でエチレンの供給を一旦停止し、内圧が3kg/cm2・Gとなるまで温度を一定に保持した後、速やかに常圧まで脱圧した。(この段階で、得られたスラリーを少量サンプリングし、デカンとヘキサンとで洗浄して白色固体サンプル(1)を得た。)次いで水素を41リットル導入し、温度を85℃に上げつつエチレンを11.6L/分の速度で供給しながら2段目の重合を開始した。全圧を6.4kg/cm2・G、温度は85℃に保持した。
エチレンを3800L供給したところで、エチレンの供給を停止し、内圧が3kg/cm2・Gになるまで温度は85℃に保持し、その後、常圧、常温まで脱圧、冷却し、重合終了とした。
重合終了後、得られたスラリーから固体状白色固体を分離し、デカン、ヘキサンで洗浄した後、これを80℃で減圧乾燥した。得られた白色固体(ポリエチレン樹脂組成物(B−1))の密度は967kg/cm3、極限粘度[η]は5.73dl/gであった。
一方、白色個体サンプル(1)は、極限粘度[η]が28dl/gであった。また、エチレンの供給量より、第1段目で製造した超高分子量ポリエチレンの含有量は19.0質量%である。第2段目で生成した重合体の極限粘度は下記式より推算すると、0.5dl/gであった。
[η]all=[η]A×wtA+[η]B×wtB
[η]all:ポリマー全体(ポリエチレン樹脂組成物)の極限粘度(dl/g)
[η]A:超高分子量ポリエチレンの極限粘度(dl/g)
wtA:超高分子量ポリエチレンの含有量(質量%)
[η]B:低分子量ないし高分子量ポリエチレンの極限粘度(dl/g)
wtB:低分子量ないし高分子量ポリエチレンの含有量(質量%)
[η]all=[η]A×wtA+[η]B×wtB
[η]all:ポリマー全体(ポリエチレン樹脂組成物)の極限粘度(dl/g)
[η]A:超高分子量ポリエチレンの極限粘度(dl/g)
wtA:超高分子量ポリエチレンの含有量(質量%)
[η]B:低分子量ないし高分子量ポリエチレンの極限粘度(dl/g)
wtB:低分子量ないし高分子量ポリエチレンの含有量(質量%)
<変性ポリエチレン樹脂組成物(A−1)の製造>
上記で得たポリエチレン樹脂組成物(B−1)100質量部、無水マレイン酸0.8質量部、および有機過酸化物[日本油脂(株)製、商品名パーヘキシン−25B]0.07質量部、をヘキシェルミキサーで混合し、得られた混合物を270℃に設定した100mmφの二軸押出機で、混練時間1分30秒程で溶融グラフト変性することによって、変性ポリエチレン樹脂組成物(A−1)を得た。このグラフト変性ポリエチレン組成物の無水マレイン酸グラフト量をIR分析で測定したところ、0.8質量%であった。また、光学顕微鏡により明確な海島構造が観察された。その島相は1段目の重合体、海相は2段目の重合体と考えられる。その他の分析結果を表1に示す。
上記で得たポリエチレン樹脂組成物(B−1)100質量部、無水マレイン酸0.8質量部、および有機過酸化物[日本油脂(株)製、商品名パーヘキシン−25B]0.07質量部、をヘキシェルミキサーで混合し、得られた混合物を270℃に設定した100mmφの二軸押出機で、混練時間1分30秒程で溶融グラフト変性することによって、変性ポリエチレン樹脂組成物(A−1)を得た。このグラフト変性ポリエチレン組成物の無水マレイン酸グラフト量をIR分析で測定したところ、0.8質量%であった。また、光学顕微鏡により明確な海島構造が観察された。その島相は1段目の重合体、海相は2段目の重合体と考えられる。その他の分析結果を表1に示す。
[比較例1−1]
<ポリエチレン樹脂組成物(B−2)の重合>
実施例1の重合方法において、第1段目で得られる重合体の極限粘度が7dl/g、1段目と2段目の重合体量比が50/50となるように重合条件を調整して、極限粘度3.75dl/g、密度が966kg/m3の白色固体(ポリエチレン樹脂組成物(B−2))を得た。
<ポリエチレン樹脂組成物(B−2)の重合>
実施例1の重合方法において、第1段目で得られる重合体の極限粘度が7dl/g、1段目と2段目の重合体量比が50/50となるように重合条件を調整して、極限粘度3.75dl/g、密度が966kg/m3の白色固体(ポリエチレン樹脂組成物(B−2))を得た。
<変性ポリエチレン樹脂組成物(A−2)の製造>
上記で得たポリエチレン樹脂組成物(B−2)を、エチレン系重合体(A−1)の製造と同様にしてグラフト変性して変性ポリエチレン樹脂組成物(A−2)を得た。なお、この変性ポリエチレン樹脂組成物(A−2)では明確な海島構造は観察されなかった。すなわち、1段目と2段目の重合体が相溶していると考えられた。分析結果を表1に示す。
上記で得たポリエチレン樹脂組成物(B−2)を、エチレン系重合体(A−1)の製造と同様にしてグラフト変性して変性ポリエチレン樹脂組成物(A−2)を得た。なお、この変性ポリエチレン樹脂組成物(A−2)では明確な海島構造は観察されなかった。すなわち、1段目と2段目の重合体が相溶していると考えられた。分析結果を表1に示す。
[比較例1−2]
<変性ポリエチレン樹脂組成物(A−3)の製造>
特開平4-351647号公報の実施例と同様の変性ポリエチレン樹脂組成物を得た。すなわち、極限粘度[η]21dl/gの超高分子量ポリエチレン25質量%と、極限粘度1.5dl/gのポリエチレン75質量%からなるポリエチレン樹脂組成物をグラフト変性し、無水マレイン酸含有率(変性率)1質量%の変性ポリエチレン樹脂組成物(A−3)を得た。なお、グラフト変性はエチレン系重合体(A−1)の製造と同様にして行った。この変性ポリエチレン樹脂組成物(A−3)には海島構造が観察されたが、その島相のほとんどは長軸粒子径が100μm以上の粗大なものであった。したがって、上述のIRI等の測定(長軸粒子径が10μm以上30μm以下の島相が測定対象)は行わなかった。それ以外の分析結果を表1に示す。
<変性ポリエチレン樹脂組成物(A−3)の製造>
特開平4-351647号公報の実施例と同様の変性ポリエチレン樹脂組成物を得た。すなわち、極限粘度[η]21dl/gの超高分子量ポリエチレン25質量%と、極限粘度1.5dl/gのポリエチレン75質量%からなるポリエチレン樹脂組成物をグラフト変性し、無水マレイン酸含有率(変性率)1質量%の変性ポリエチレン樹脂組成物(A−3)を得た。なお、グラフト変性はエチレン系重合体(A−1)の製造と同様にして行った。この変性ポリエチレン樹脂組成物(A−3)には海島構造が観察されたが、その島相のほとんどは長軸粒子径が100μm以上の粗大なものであった。したがって、上述のIRI等の測定(長軸粒子径が10μm以上30μm以下の島相が測定対象)は行わなかった。それ以外の分析結果を表1に示す。
[実施例1〜3、比較例1]
ポリアミド樹脂(E1)としてPA6(東レ(株)製、アミラン(登録商標)CM1007)と、変性ポリエチレン樹脂組成物(A−1)を表2に示す量使用して、43mmφのベント式二軸スクリュー押出機により200〜240℃のシリンダー温度条件で溶融混合してペレットを製造した。こうして得られたペレットを用いて射出成型試験片を作製し、上記した性能を評価した。また、PA6単体での評価も行った。
ポリアミド樹脂(E1)としてPA6(東レ(株)製、アミラン(登録商標)CM1007)と、変性ポリエチレン樹脂組成物(A−1)を表2に示す量使用して、43mmφのベント式二軸スクリュー押出機により200〜240℃のシリンダー温度条件で溶融混合してペレットを製造した。こうして得られたペレットを用いて射出成型試験片を作製し、上記した性能を評価した。また、PA6単体での評価も行った。
[比較例2]
ポリエチレン樹脂組成物(B−1)を43mmφのベント式二軸スクリュー押出機により200〜240℃のシリンダー温度条件で溶融混合してペレットを製造した。こうして得られたペレットを用いて射出成型試験片を作製し、上記した性能を評価した。
ポリエチレン樹脂組成物(B−1)を43mmφのベント式二軸スクリュー押出機により200〜240℃のシリンダー温度条件で溶融混合してペレットを製造した。こうして得られたペレットを用いて射出成型試験片を作製し、上記した性能を評価した。
[比較例3〜5]
表2に示す組成比で同様の評価を行った。
表2に示す組成比で同様の評価を行った。
[実施例4〜6、比較例6]
ポリアミド樹脂(E1)としてPA66(デュポン製、ザイテル(登録商標)101L)と、変性ポリエチレン樹脂組成物(A−1)を表2に示す量使用して、43mmφのベント式二軸スクリュー押出機により240〜260℃のシリンダー温度条件で溶融混合してペレットを製造した。こうして得られたペレットを用いて射出成型試験片を作製し、上記した性能を評価した。また、PA66単体での評価も行った。
ポリアミド樹脂(E1)としてPA66(デュポン製、ザイテル(登録商標)101L)と、変性ポリエチレン樹脂組成物(A−1)を表2に示す量使用して、43mmφのベント式二軸スクリュー押出機により240〜260℃のシリンダー温度条件で溶融混合してペレットを製造した。こうして得られたペレットを用いて射出成型試験片を作製し、上記した性能を評価した。また、PA66単体での評価も行った。
[比較例7〜9]
表2に示す組成比で同様の評価を行った。
表2に示す組成比で同様の評価を行った。
[実施例7〜9、比較例10]
ポリアセタール樹脂(E2)としてポリオキシメチレン(POM)[ポリプラスチックス株式会社製、DURACON(登録商標)M90−44]と、変性ポリエチレン樹脂組成物(A−1)を表3に示す量使用して、43mmφのベント式二軸スクリュー押出機により180〜200℃のシリンダー温度条件で溶融混合して樹脂組成物のペレットを製造した。こうして得られたペレットを用いて射出成型試験片を作製し、上記した性能を評価した。また、POM単体での評価も行った。
ポリアセタール樹脂(E2)としてポリオキシメチレン(POM)[ポリプラスチックス株式会社製、DURACON(登録商標)M90−44]と、変性ポリエチレン樹脂組成物(A−1)を表3に示す量使用して、43mmφのベント式二軸スクリュー押出機により180〜200℃のシリンダー温度条件で溶融混合して樹脂組成物のペレットを製造した。こうして得られたペレットを用いて射出成型試験片を作製し、上記した性能を評価した。また、POM単体での評価も行った。
[比較例11〜13]
表3に示す組成比で同様の評価を行った。
表3に示す組成比で同様の評価を行った。
[実施例10〜12、比較例14]
ポリエステル樹脂(E3)としてポリブチレンテレフタラート(PBT)[ポリプラスチックス株式会社製、ジュラネックス(登録商標)500FP]と、変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を表3に示す量使用して、43mmφのベント式二軸スクリュー押出機により230〜250℃のシリンダー温度条件で溶融混合して樹脂組成物のペレットを製造した。こうして得られたペレットを用いて射出成型試験片を作製し、上記した性能を評価した。また、PBT単体での評価も行った。
ポリエステル樹脂(E3)としてポリブチレンテレフタラート(PBT)[ポリプラスチックス株式会社製、ジュラネックス(登録商標)500FP]と、変性ポリエチレン樹脂組成物(A)を表3に示す量使用して、43mmφのベント式二軸スクリュー押出機により230〜250℃のシリンダー温度条件で溶融混合して樹脂組成物のペレットを製造した。こうして得られたペレットを用いて射出成型試験片を作製し、上記した性能を評価した。また、PBT単体での評価も行った。
[比較例15〜17]
表3に示す組成比で同様の評価を行った。
表3に示す組成比で同様の評価を行った。
本発明の変性ポリエチレン樹脂組成物は、耐摩耗性、成形性などの特性のバランスに優れているので、これらが要求される用途として、例えば、鋼管、電線、自動車スライドドアレールなどの金属の被覆(積層)、耐圧ゴムホース、自動車ドア用ガスケット、クリーンルームドア用ガスケット、自動車グラスランチャンネル、自動車ウエザストリップなどの各種ゴムの被覆(積層)、ホッパー、シュートなどのライニング用、ギアー、軸受、ローラー、テープリール、各種ガイドレールやエレベーターレールガイド、各種保護ライナー材などの摺動材などに非常に有用である。
Claims (12)
- a) 海島構造を有し、光学顕微鏡での300μm2視野中に長軸粒子径100μm以上の島相が1個以下であり、
b) 300μm2視野中に長軸粒子径30μm以上、100μm未満の島相が3個以下であり、
c) 300μm2視野中に長軸粒子径10μm以上、30μm未満の島相が4個以上であり、
d) デカリン中135℃での極限粘度[η]が1.5〜15dL/gの範囲にあり、
e) カルボキシル基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位を0.01〜10質量%含み、
f) 海相のIRにおける前記官能基ピークとCH2基ピークの強度比の比(IRS)と島相のIRにおける前記官能基ピークとCH2基ピークの強度比の比(IRI)との比(IRS/IRI)が1.0を超えることを特徴とする変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。 - e)の官能基がカルボキシル基であることを特徴とする請求項1に記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
- e)の構造単位が無水マレイン酸由来の構造単位であることを特徴とする請求項1又は2に記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
- f)の(IRS/IRI)が1.0を超えて5以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
- f)の(IRS/IRI)が1.001以上3以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
- 下記の工程を含む方法で製造された、135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が1.5〜15dL/gの範囲にあるポリエチレン樹脂組成物(B)を変性して得られることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)。
(I)極限粘度[η]が20〜40dL/gの範囲にある超高分子量ポリエチレンを製造する工程
(II)極限粘度[η]が0.3〜1.0dL/gの範囲にある低分子量ないし高分子量ポリエチレンを製造する工程 - 請求項1〜6の何れか一項に記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)と、他の樹脂(E)とを含んでなる樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(E1)50〜95質量部と、請求項1〜6の何れか一項に記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)5〜50質量部(ポリアミド樹脂(E1)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部とする)を含んでなる請求項7に記載の樹脂組成物。
- ポリアセタール樹脂(E2)80〜95質量部と、請求項1〜6の何れか一項に記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)5〜20質量部(ポリアセタール樹脂(E2)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部とする)を含んでなる請求項7に記載の樹脂組成物。
- ポリエステル樹脂(E3)50〜95質量部と、請求項1〜6の何れか一項に記載の変性ポリエチレン樹脂組成物(A)5〜50質量部(ポリエステル樹脂(E3)と変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の合計量を100質量部とする)を含んでなる請求項7に記載の樹脂組成物。
- 請求項7〜10の何れか一項に記載の樹脂組成物をその一部または全部に使用してなる成形体。
- 摺動部材である、請求項11に記載の成形体。
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