JP2018108658A - 化粧金属板及び浴室ユニット - Google Patents
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Abstract
Description
従来、化粧金属板を作成する方法として以下の特許文献1に記載された化粧金属板では、金属基材の表面に下塗り塗装を行い、その塗装面に絵柄を印刷後、透明塗料にて表面層を形成した、焼き付け塗装の方法が提案されている。
また、化粧金属板を使用目的に合わせて、曲げ加工で発生するトップコートへのクラック(ひび割れ)や欠け及び白化等を防止する方法として以下の特許文献2に記載された化粧金属板では、トップコートを予めフランジ等の曲げ加工部分にかからないように塗布することで、曲げ加工部のクラックを防止する方法が提案されている。
それに用いられるインクジェットインクには、水性タイプ、溶剤タイプ、熱圧転写タイプ、紫外線(UV)硬化型タイプなどがあるが、耐水性や耐候性の性能が良いことやインク吐出後に紫外線(UV)で即座に硬化できることから、絵柄のにじみが少なく、よって印刷生産性の良い紫外線(UV)硬化型タイプの採用が増えてきている。
これらトップコート、およびインクの曲げ加工時のクラック対応策として、有色層を付与した金属板のまま予め必要な曲げ加工を行い、その後、製品面である表面平坦部にインクジェット印刷およびトップコートを塗布する手段も考えられるが、仕掛品を持つ場合には、化粧金属板として平板状では容易に段積み保管ができることに対して、曲げ加工したものでは、曲げ加工部の変形防止のための緩衝材が必要となることや、段積み高さが嵩高くなってしまうことから、必然的に広い保管スペースが必要となってしまう。
(1)本発明の化粧金属板は、金属基材と、該金属基材の表面を隠蔽する有色層と、該有色層の表面に配置されるインク吹付塗布絵柄層と、該インク吹付塗布絵柄層の表面に透光性を有する熱可塑性樹脂フィルム層を有する化粧金属板であって、前記インク吹付塗布絵柄層が、前記金属基材の曲げ加工時に伴うインク絵柄層の最外R面の伸び変形以上の伸長性を有することを特徴とする。
インクジェットプリンターによってインク吹付塗装絵柄層を印刷する場合においても、化粧金属板を平板の状態でインクジェットヘッドと塗装金属基材表面との距離を精度よく保ち、印刷することができることから、鮮明性に優れた意匠性に優れた化粧金属板を提供することができる。
化粧工程を完了した化粧金属板の仕掛品は平板の状態で積段保管することができ、保管スペースの低減や傷等の不良低減を図ることができる。
また、上述の金属基材と有色層とインク吹付塗布絵柄層と熱可塑性樹脂フィルム層を有する化粧金属板からなる壁パネルを備えた浴室ユニットであるならば、折り曲げ加工部分にクラックや欠け、白化などの生じていない鮮明な絵柄を有した意匠性に優れた浴室ユニットを提供できる効果がある。
この実施形態の化粧金属板Aは、金属基材1の上に有色層2とインク吹付塗布絵柄層3と熱可塑性樹脂フィルム層4をこの順に積層してなる。
本実施形態の金属基材1として金属鋼板を適用することができ、この金属鋼板は用途によって必要な剛性を有するものであり、水場にて使用する場合は、金属板に防錆のめっき処理を施すか、防錆性能を有する鋼板を使用することが好ましい。
また、金属基材1の大きさ、厚さは、その用途により適宜選定することができる。化粧金属板Aをパネルとして用いる場合には、強度向上を図るために、全周または一部に曲げ加工を行いフランジを形成することが好ましい。
有色層2の表面に、絵柄を印刷するインクとの密着性を上げるために、ポリエステル系、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系等のプライマー処理や、コロナ処理、プラズマ処理等の易接着処理を組合せで使用することができる。
インクジェットプリンターで絵柄を印刷するためのインクの伸張性は特に制限されるものではなく、適時、平板状態で印刷硬化されたインク状態を基準として、曲げ加工によってインク絵柄層の最外R面が延ばされ変形する際に、その変形量に追随するために必要な伸張率に対して、それ以上の伸張性を有するインクを選択すればよい。インクのタイプも特に制限されるものでないが、耐水性や耐候性が優れる溶剤タイプや紫外線(UV)硬化型タイプが好ましく、インク吐出後に紫外線(UV)で即座に硬化できることから、絵柄のにじみが少なく、よって印刷生産性の良い紫外線(UV)硬化型タイプがより好ましい。
また、この化粧金属板Aを浴室ユニット用の壁パネルに適用するならば、インク吹付絵柄層3の鮮鋭な絵柄を活かした壁パネルを提供することができ、インク吹付絵柄層3の鮮鋭な絵柄を活かした意匠性の優れた浴室ユニットを提供できる。
(評価方法)
(1)曲げ試験
各実施例及び比較例によって製造した化粧金属板について、試験温度25±5℃、外R寸法1.6mmでの90度曲げ試験を実施した。評価は以下の基準で行った。
〇:クラックは全く発生しなかった。
×:クラックが発生した。
以下、本発明の実施例1について説明する。
溶融亜鉛めっき鋼板からなる金属基材と塗装による有色層とプライマー層とインク吹付塗布絵柄層と接着層と熱可塑性樹脂フィルム層からなる金属化粧板を試作した。
予め曲げ加工条件として、各層の厚みにおいて、溶融亜鉛メッキ鋼板からなる金属機材の厚みを0.45mm、塗装による有色層の厚みを20μm、プライマー層の厚みを10μm、インクジェットプリンターによるインク吹付塗装絵柄層の厚みを20μm、接着剤付き表面樹脂フィルムの厚みを78μmとし、曲げ加工をV曲げ方式で曲げ角度を90度、完成外R寸法を1.6mmとし、これに必要なインクの伸張性を計算した。
中立面距離の計算では、インク吹付塗装絵柄層を印刷するインク自体の剛性よりも塗装鋼板素地の剛性が支配的であることから、塗装鋼板厚み0.47mmを曲げ角度90度で、外R寸法を完成する外R寸法1.6mmから、インク吹付塗布層厚み20μm、および接着剤付き表面熱可塑性樹脂フィルム層厚み78μmを差し引いた塗装鋼板単独での外R寸法1.502mmとして、中立面距離を計算した。
これを上述式にあてはめると、中立面のR寸法は、1.187mmとなる。これの90度曲げ時のR開始位置からR終了位置、すなわち中立面距離は、2πRx(90度÷360度)から、1.864mmと導いた。
従って、必要な伸張率は、(2.390mm−1.864mm)÷1.864mmx100(%)から、28.2%と導くことができる。
金属基材として、厚み0.45mmの溶融亜鉛メッキ鋼板の表面に厚み20μmのポリエステル系白色塗料がコートされた塗装鋼板(淀川製鋼所製、エースコート)を用いた。
この塗装鋼板の表面に、アクリル系プライマー(株式会社ミマキエンジニアリング製PR−100)を厚さ10μm塗布し、UV照射で硬化させた。この後、予め画像製作ソフト(アドビ社製、フォトショップ(登録商標))で作成した大理石調の絵柄データを、70%の伸張率である紫外線硬化型塗料に顔料にて色調調整されたシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色インク(株式会社ミマキエンジニアリング製LUS120インク)が搭載されたインクジェットプリンターを用いて、前記塗装鋼板の表面に20μm厚みで印刷し、インクジェットプリンターヘッドと並列されたUV照射にて硬化させてインク吹付塗装絵柄層を得た。
この化粧金属板の評価結果を後述する表1に示す。
以下、本発明の実施例2について説明する。
予め曲げ加工条件として、各層の厚みについて、基材溶融亜鉛メッキ鋼板の厚みを0.45mm、非透明塩ビ樹脂シートの厚みを150μm、インク絵柄厚みを40μm、接着剤付き熱可塑性樹脂フィルム層の厚みを78μmとし、曲げ加工をV曲げ方式で曲げ角度を90度、完成外R寸法を1.6mmとし、これに必要なインクの伸張性を実施例1と同様に計算した。
これに対して、インク吹付塗布絵柄層の最外Rの90度曲げ加工時のR開始位置からR終了位置の距離は、完成外R寸法1.6mmから、接着剤層付き熱可塑性樹脂フィルム層の厚み78μmを指し引いた1.522mmから計算すると、2.390mmとなる。
従って、インク吹付塗布絵柄層必要な伸張率は、(2.390mm−1.619mm)÷1.619mm×100(%)から、47.6%と導いた。
下地の金属基材として、厚み0.45mmの溶融亜鉛メッキ鋼板を用い、その表面に、厚み150μmの塩ビ樹脂フィルムが貼り合わされた鋼板(株式会社三菱樹脂製、ヒシメタル)を用いた。この表面に、予め画像製作ソフト(アドビ社製、フォトショップ(登録商標))で作成した大理石調の絵柄データを、160%の伸張率である紫外線硬化型塗料に顔料が混在されていない無色で透明なインク(株式会社リコー製、延伸インク)が搭載されたインクジェットプリンターで上記塗装鋼板の表面に40μm厚みで印刷し、インクジェットプリンターヘッドと並列されたUV照射にて硬化させた。
以下、本発明の実施例1に対する比較例1について説明する。
下地基材として、厚み0.45mmの溶融亜鉛メッキ鋼板の表面に厚み20μmのポリエステル系白色塗料がコートされた塗装鋼板(淀川製鋼所製、エースコート)を用いた。この塗装鋼板の表面に、アクリル系プライマー(株式会社ミマキエンジニアリング製PR−100)を厚さ10μmで塗布し、UV照射で硬化させた。この後、予め画像製作ソフト(アドビ社製、フォトショップ(登録商標))で作成した大理石調の絵柄データを、伸張性のほぼない紫外線硬化型塗料に顔料にて色調調整されたシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色インク(株式会社ミマキエンジニアリング製LH100)が搭載されたインクジェットプリンターで上記塗装鋼板の表面に20μm厚みで印刷し、インクジェットプリンターヘッドと並列されたUV照射にて硬化させた。
以下、本発明の実施例2に対する比較例2について説明する。
下地基材として、厚み0.45mmの溶融亜鉛メッキ鋼板の表面に、厚み150μmの塩ビ樹脂フィルムが貼り合わされた鋼板(株式会社三菱製、ヒシメタル)を用いた。この表面に、予め画像製作ソフト(アドビ社製、フォトショップ(登録商標))で作成した大理石調の絵柄データを、伸張性のほぼない紫外線硬化型塗料に顔料が混在されていない無色で透明なインク(株式会社リコー製、クリアハードインク)が搭載されたインクジェットプリンターで上記塗装鋼板の表面に40μm厚みで印刷し、インクジェットプリンターヘッドと並列されたUV照射にて硬化させた。
インク層に必要な伸張率は、実施例2と同じ47.6%である。この化粧金属板について実施例2と同様に評価した結果を以下の第1表に示す。
これに対し、インク面曲げ加工後の最外R伸張率よりも低い伸張率のUVインクを用いたUVインクによるインク吹付塗装絵柄層を用いるならば、金属基材を90゜折り曲げてフランジ加工した場合に、加工部分にクラックを生じるがわかった。
本発明の化粧金属板及び化粧金属パネルは、壁、天井等のユニットバスやキッチンを含む建築物内装材、扉、扉枠、窓枠等の建具の表面材、キャビネット等の家具の表面材などにも使用できる。
Claims (2)
- 金属基材と、該金属基材の表面を隠蔽する有色層と、該有色層の表面に配置されるインク吹付塗布絵柄層と、該絵柄層の表面に透光性を有する熱可塑性樹脂フィルム層を有する化粧金属板であって、
前記インク吹付塗布絵柄層が、前記金属基材の曲げ加工時に伴うインク吹付塗布絵柄層の最外R面の伸び変形以上の伸長性を有することを特徴とする、化粧金属板。 - 請求項1に記載の化粧金属板を壁パネルとすることを特徴とする、浴室ユニット。
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