JP2018104860A - 消臭効果を有する水分散シート - Google Patents

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貴史 松村
真理 鶴田
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真理 鶴田
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岸本雅樹
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Abstract

【課題】アンモニア臭等の悪臭に対する消臭効果を有するとともに、使用後に水洗トイレ等で容易に処理することのできる水分散性を有する水分散シートを提供する。【解決手段】特定のカナダ標準ろ水度の水分散性繊維から成る基紙に、有機酸を添加してなる水分散シートであり、この水分散シートは更に変性ポリビニルアルコールを含んでもよい。この有機酸としてはクエン酸が好ましく、この変性ポリビニルアルコールとしてはスルホン酸変性ポリビニルアルコールが好ましい。【選択図】なし

Description

この発明は、アンモニア臭等の悪臭に対する消臭効果を有する水分散性のシートに関する。
簡易トイレやペットの排泄物処理に用いられる消臭シートは、アンモニア臭等の悪臭に対する消臭効果を有するとともに、使用後に水洗トイレ等で容易に処理するために水分散性を有することが望ましい。
このような水分散シートとしては、アルカリ化した繊維状カルボキシアルキルセルロースと製紙用水分散性繊維から成る水分散紙(特許文献1、2等)や、このようなアルカリ化した繊維状カルボキシアルキルセルロースを使用しない水分散紙(特許文献3等)が知られている。また、変性ポリビニルアルコールを含む水分散紙に有機塩や無機塩を添加して水分散性や湿潤強度などを高めたシートが知られている(特許文献4)。
一方、消臭剤として安全性の観点から食品添加用の有機酸を利用することが知られている(特許文献2、5等)
特開平9−49188 特開2009−7723 国際公開WO2012/014970 特開平11−99090 特開2003−171894
しかし、従来商品化されている簡易トイレ用などの消臭シートは十分な消臭効果を有しておらず、また水分散性が十分ではないためトイレが詰まる等のトラブルが発生している。
そのため、本発明は、アンモニア臭等の悪臭に対する消臭効果を有するとともに、使用後に水洗トイレ等で容易に処理することのできる水分散性を有する水分散シートを提供することを目的とする。
消臭剤としては、人体や環境への安全性を考慮すると、食品添加用の有機酸を利用することが好ましい。しかし、消臭剤としてこのような有機酸を利用した場合、アルカリ化した繊維状カルボキシアルキルセルロースと製紙用水分散性繊維から成る水分散紙(特許文献1、2等)に含まれる繊維状カルボキシアルキルセルロース塩を不溶化するため、その水分散性が経時的に低下するという欠点がある。
そのため、本発明においては、消臭剤として食品添加用の有機酸を用いるとともに、低叩解の製紙用水分散性繊維を用いることにより、目標とする水分散性能と消臭性能をバランスよく達成することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、カナダ標準ろ水度が600mlCSF以上の水分散性繊維から成る基紙に、有機酸を添加してなる水分散シートである。
更に、本発明者らは、基紙に変性ポリビニルアルコールを添加することにより、水分散性をより向上させることが出来ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、この水分散シートの基紙に更に変性ポリビニルアルコールを添加してなる水分散シートである。
更に、本発明は、上記水分散シートを簡易トイレの排泄物受け器に投入して使用することから成る水分散シートの使用方法である。
更に、本発明は、カナダ標準ろ水度が600mlCSF以上の水分散性繊維から成る基紙に、水及び/又はアルコールに有機酸及び変性ポリビニルアルコールを溶解させた溶液を含浸し、乾燥させることから成る上記水分散シートの製造方法である。
本発明の水分散シートは、簡易トイレ用の携帯消臭シートとして用いることができる。例えば、本発明の水分散シートを簡易トイレの排泄物受け器に投入することで、アンモニアを中和してアンモニア臭を消すとともに、使用後に水洗トイレへ流すことができ、その際シートが細かく水分散するので、トイレが詰まる等のトラブルが発生しない。
本発明は、特定のカナダ標準ろ水度の水分散性繊維から成る基紙に、有機酸を添加してなる水分散シートである。
この水分散性繊維としては、一般に製紙用に用いられている木材パルプ繊維又は非木材系パルプ繊維、例えば、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、溶解パルプ、マーセル化パルプ等の木材パルプ繊維、亜麻パルプ、マニラ麻パルプ、ケナフパルプ等の非木材系パルプ繊維、リヨセル等の精製セルロース繊維等を利用できる。水分散性繊維の平均繊維長は、通常0.1〜5mm、好ましくは0.5〜3mm、さらに好ましくは0.8〜2mmである。
この水分散性繊維のカナダ標準ろ水度は、600mlCSF以上、好ましくは600〜780mlCSF、より好ましくは630〜720mlCSFである。このカナダ標準ろ水度は、JIS P8121−2 2012に従って測定されたものである。
叩解が進む(ろ水度は低くなる)と、繊維のフィブリル化、切断、内部膨潤が多くなり、基紙の密度、強度、平滑度が高くなる一方で、水分散性は下がる。
本発明の基紙の坪量は、通常10〜200g/m、好ましくは30〜100g/mである。坪量が10g/m未満の場合には水分散シートの厚さが薄すぎるため、必要量の有機酸の担持が難しくなると共に使用者にとっての使い勝手が悪い。また、200mを超える場合には充分な水分散性が得られない。
また、この基紙は、好ましくは、パルプを主原料とし、パルプとしてαセルロースを88重量%以上含有する精製パルプを全パルプの15〜95重量%、残りを精製パルプ以外のパルプ、好ましくは無精製パルプを配合したものである。
本発明の水分散シートの基紙として、精製パルプと無精製パルプを配合することが好ましく、一方のみでは十分な品質を確保できないことがある。また、天然パルプ繊維の形態を保持した状態のパルプ繊維の形態が本発明では使用形態として望ましい。
本発明に用いる無精製パルプは、一般に、繊維間結合の形成に寄与するヘミセルロース含有率が高く、繊維が膨潤、フィブリル化し易いため緻密で強度が高く、水分散性は低い。
本発明に用いる精製パルプは、パルプ製造時の蒸解条件の強化、蒸解前又は蒸解後の化学処理によってヘミセルロース等を除去し、セルロース純度を高めたパルプであって、αセルロース含有率を88重量%以上に精製したパルプをいう。
本発明に用いられる精製パルプに含まれるヘミセルロースは12重量%未満である。
本願発明の精製パルプには、レーヨン等の再生セルロース繊維、繊維状カルボキシルメチルセルロース、繊維状カルボキシルメチルセルロースNa塩などは含まれない。
マーセル化パルプとは、クラフトパルプや亜硫酸塩パルプを強アルカリ溶液に浸漬処理した後、水洗してアルカリ分を除去して得られるパルプである。
溶解パルプは、亜硫酸塩蒸解や前加水分解クラフト蒸解で得られるセルロース純度の高いパルプで、蒸解後の漂白、精選処理を組み合わせることでさまざまなセルロース純度のパルプが得られる。
本発明において、精製パルプのセルロース純度の指標としてαセルロース含有率を用いる。精製パルプのαセルロース含有量は88重量%以上、好ましくは92重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。精製パルプのαセルロースが88重量%未満の場合、単繊維状に分散し難くなるため、水への分散性が低下する。なお、本発明において、αセルロース含有量は、TAPPIスタンダードT203om−83(JIS P8101−1994(現在廃盤))に規定されるαセルロースによって測定された値である。
本発明における精製パルプのセルロース純度の別種の指標としてヘミセルロース含有率を用いることができる。精製パルプのヘミセルロース含有量は、通常12重量%未満、好ましくは8重量%未満、さらに好ましくは5重量%未満である。ヘミセルロース含有量は、精製パルプ又は無精製パルプを酸加水分解して単糖に変え、単糖類の組成をアルジトールアセテート化法によって定量することにより測定できる。即ち、パルプの加水分解により得られる単糖類を水素化ホウ素ナトリウムで還元し相当するアルジトールアセテートに変え、無水酢酸とピリジンでアセチル化し、アルジトールアセテート誘導体とした後、アルジトールアセテート誘導体をガスクロマトグラフィーにより分析して構成糖を同定、定量することができる。
本発明の水分散繊維として、全パルプ量中の、αセルロース含有率88重量%以上の精製パルプの含有量は、通常15〜95重量%、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは20〜60重量%である。精製パルプの配合率が15重量%未満の場合にはシートを形成する繊維同士の繊維間結合が強くなりすぎるため、充分な水分散性が得られないことがある。また、精製パルプの配合率が95重量%を超えると、シートの強度が極度に低下し、実用面での取り扱い性が低下することがある。
本発明において、精製パルプ及びパルプ(即ち、無精製パルプ)は、それぞれを別々に叩解した後に配合(以後、「単独叩解」という)して使用することも、これらを配合した後に叩解(以後、「混合叩解」という)して使用することも可能であるが、混合叩解して使用することが水分散性向上の点から好ましい。
本発明の水分散性繊維は、精製パルプとパルプ(即ち、無精製パルプ)からなる紙料から公知の製紙技術によって製造することができる。抄紙機は、円網式抄紙機、傾斜短網式抄紙機、長網式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機等何れでもよく、要求される強度、水分散性に応じて使い分けることができる。例えば、円網式抄紙機を用いた場合には、強度異方性が大きく、縦方向より横方向の強度が弱くなるため、水中で容易に横方向に千切れる基紙を製造することができる。
基紙は、単層のシートとして抄紙するほか、同じ紙料から2基以上の抄網をもつ抄紙機で複数の湿紙を製造し抄き合わせることにより、坪量の大きいシートの製造も可能であり、異種の紙料のシートとの抄合わせ紙を製造することも可能である。
本発明において、水分散性はフロック状水分散時間、繊維状水分散時間によって評価することができる。フロック状水分散時間とは、脱イオン水300mlを300mlビーカーに入れ、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片を投入し、試験片が2つ以上に千切れる時間であり、本発明の水分散シートについては、通常100秒以内、より好ましくは20秒以内、さらに好ましくは10秒以内である。このフロック状水分散時間が長くなると、水分散紙を流した場合、排水口あるいは配管を詰まらす原因になる。
一方、繊維状分散時間とは、脱イオン水300mlを300mlビーカーに入れ、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片を投入し、試験片が完全に繊維一本一本にほぐれる時間であり、本発明の水分散シートについては、通常300秒以内、より好ましくは100秒以内、さらに好ましくは40秒以内である。この繊維状分散時間が長くなると、水分散紙を流した場合、排水口あるいは配管[エステー1]の詰りの原因となる。
本発明に用いる有機酸としては、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、乳酸、フマル酸、DL−リンゴ酸等の食品添加用の有機酸が好ましく、これらの中でも、消臭効果と水分散効果をバランスよく良好にするためクエン酸がより好ましい。この有機酸の粒径は、溶液にして含浸又は塗工する場合は特に制限はない。一方、有機酸が不溶な有機溶剤に分散して塗工する場合、粒径は好ましくは0.1mm以下、より好ましくは0.075mm以下である。
これらの有機酸は、アンモニアを中和することにより、アンモニア臭の消臭効果を有すると考えられる。
本発明の水分散シートに含まれる有機酸の量は、水分散性繊維に対して、固形分で、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは12[エステー2]〜60重量%である。この量が多すぎると、水分散シートから有機酸が脱落し易くなり、少なすぎると消臭効果が少ない。
また、本発明の水分散シートの基紙には、更に変性ポリビニルアルコールが添加されることが好ましい。
本発明で用いる変性ポリビニルアルコールとしては、スルホン酸変性ポリビニルアルコールやカルボン酸変性ポリビニルアルコールが挙げられるが、繊維シートの水解性や有機酸や香料粉末等の粉体添加物の脱落の防止の観点から、スルホン酸変性ポリビニルアルコールが好ましい。
スルホン酸基を有する単量体としては、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそれらの塩等があげられる。スルホン[Wユ3]酸基を有する化合物としては、P−スルホン酸ベンズアルデヒド及びそれら塩等のスルホン酸基を有するアルデヒド誘導体があげられ、従来公知のアセタール化反応による導入が可能である。これらの化合物が有するスルホン酸基のpKa値は通常3以下で、前記有機酸のpKa値より低いため、該スルホン酸基は前記有機酸によって解離が妨げられることがなく、水溶性は損なわれない。
カルボキシル基を有する単量体としては、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、アクリル酸及びそれらの塩、並びにアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル類等があげられる。カルボキシル基を有する化合物としては、アクリル酸等の単量体が挙げられ、従来公知のマイケル付加反応による導入が可能である。
本発明の水分散シートに含まれる成分として、上記変性ポリビニルアルコール以外の水溶性高分子は、有機酸の共存下で、水溶性繊維の水への溶解性が低下して難[Wユ4]溶化するため好ましくない。例えば、カルボキシメチルセルロース塩やアルギン酸塩は有機酸によりカルボキシメチルセルロースやアルギン酸に変化して水不溶性となる。また、部分ケン化型の冷水可溶性ポリビニルアルコール[Wユ5]は有機酸により水溶性が低下し、長時間の接触や加温によりケン化度が高まり冷水に難[Wユ6]溶となる。
本発明で用いられる変性ポリビニルアルコールの変性度は、好ましくは1.0〜20.0mol%、より好ましくは2.0〜10.0mol%である。変性度が高いほど水分散性が良好である。
この変性ポリビニルアルコールのケン化度は、特に制限はないが、好ましくは80〜99mol%、より好ましくは86〜99mol%である。
また、この変性ポリビニルアルコールの粘度平均重合度は低いものが用いられ、好ましくは100〜1000程度、より好ましくは200〜500程度、更に好ましくは250〜400程度である。
本発明の水分散シートに含まれる変性ポリビニルアルコールの量は、水分散性繊維に対して、固形分で、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.5[エステー7]〜10重量%である。この量が多すぎると、水分散シートが固くて割れ易くなり、少なすぎると有機酸や粉体添加物の脱落が発生し易くなる。
本発明の水分散シートの基紙に、香りを付与し感覚的な消臭効果を高めるために、更に香料を含ませてもよい。
本発明の水分散シートにおいて、基紙に有機酸、変性ポリビニルアルコール、香料を含有させる方法としては、これらを水又は水と相溶性のある有機溶剤との混合液に溶解して基紙に含浸し、乾燥させてもよいし、基紙上に塗工し、乾燥させてもよい。この有機溶剤として、エタノール等のアルコールが挙げられる。
また、上記変性ポリビニルアルコールが可溶で、かつ有機酸が不溶な有機溶剤を用いて、変性ポリビニルアルコールを溶解後に有機酸粉砕物を分散した塗工液を調製して基紙に塗工してもよい。
塗工機としては、サイズプレス、ロールコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、トランスファーロールコーター等が使用される。
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
なお、以下の実施例と比較例において、クエン酸などの薬剤の付着量は、これらの薬剤又はその溶液を含浸又は塗工して乾燥した加工紙を115℃の乾燥機中で10分間加熱後に測定した重量から算出した。
実施例1
カナダ標準ろ水度664mlCSFに叩解した針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP、αセルロース含有率 85.6%、無精製パルプ)40重量%とカナダろ水度740mlCSFに叩解した針葉樹マーセル化パルプ(αセルロース含有率 97.5%、450mlCSFにおける保水度138%、精製パルプ)60重量%とを配合した抄紙用原料を円網式抄紙機で抄造し、坪量52.1g/mの水分散紙を得た。
含浸加工用の薬液として、水40.6重量部とエチルアルコール40.6重量部にクエン酸(無水塩、粉末、純度99.5%以上、磐田化学(株)製)11.0重量部とスルホン酸変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製、商品名 ゴーセネックス L−3266、固形分93%以上、以下「スルホン酸変性PVA」という。)7.7重量部を溶解し、溶液(固形分濃度18.7重量%)を調製した。
卓上型含浸加工機を用い、この溶液に上記水分散紙を浸漬して過剰液を絞り、105℃で熱風乾燥して水分散シートを得た。
実施例2
含浸加工用の薬液として、水81.5重量部にクエン酸15.2重量部とスルホン酸変性PVA3.3重量部を溶解して調整した水溶液(固形分濃度18.5重量%)を用いたほかは実施例1と同様にして水分散シートを得た。
実施例3
含浸加工用の薬液として、水72.6重量部にクエン酸22.6重量部とスルホン酸変性PVA4.8重量部を溶解して調整した水溶液(固形分濃度27.0重量%)を用いたほかは実施例1と同様にして水分散シートを得た。
実施例4
含浸加工用の薬液として、水52.4重量部にクエン酸43.0重量部とスルホン酸変性PVA4.6重量部を溶解して調整した水溶液(固形分濃度47.6重量%)を用いたほかは実施例1と同様にして水分散シートを得た。
実施例5
実施例1で得た水分散紙に、卓上型含浸加工機を用いて、固形分濃度1重量%のスルホン酸変性PVA水溶液を含浸、乾燥し、次いで、水:エチルアルコール=70重量部:30重量部からなる混合液70重量部にクエン酸30重量部を溶解したクエン酸濃度30重量%の溶液を含浸、乾燥して、水分散シートを得た。
実施例6
含浸加工用の薬液として、水:エチルアルコール=70重量部:30重量部からなる混合液80重量部にクエン酸20重量部を溶解して調整した溶液(クエン酸濃度20重量%)を用いたほかは実施例1と同様にして水分散シートを得た。
比較例1
実施例1で得た水分散紙に、含浸加工用の薬液を含浸せずに、水分散シートとした。
比較例2
含浸加工用の薬液として、固形分濃度5重量%のスルホン酸変性PVA水溶液を用いたほかは実施例1と同様にして水分散シートを得た。
上記で得た水分散シートについて、水分散性能と消臭性能を以下のように評価した。
1)水分散性能
脱イオン水300mlを入れた300mlビーカーに、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片を投入した。試験片が2つ以上に千切れる時間をフロック状水分散時間とし、試[Wユ8]験片が繊維一本一本にほぐれる時間を繊維状水分散時間とした。それぞれの時間は、ストップウオッチで測定し、5回の測定の平均値とし、下記のように評価した。
○:フロック状水分散時間が20秒以内でかつ繊維状水分散時間が100秒以内で、水分散性は良好であると評価される。
△:フロック状水分散時間が20秒を越えるか、又は繊維状水分散時間が100秒を越えるもの(但し、フロック状水分散時間が100秒を越えるか、又は繊維状水分散時間が300秒を越えるものを除く)で、水分散性ありと評価される。
×:フロック状水分散時間が100秒を越えるか、又は繊維状水分散時間が300秒を越えるもので、水分散困難と評価される。
2)消臭性能
10ppmアンモニア水溶液750mlを入れた1800mlの上面開口容器に、4cm×8cm角の試験片を投入し、蓋をして密封状態にして静置した。15分後に、上記容器の上部空間にて検知管を用いて気相中のアンモニア濃度を測定し、残存臭気を確認し、下記のように評価した。
◎:アンモニア濃度が1ppm以下のもので、消臭作用が非常に良好と評価される。
○:アンモニア濃度が1ppmを超えて3ppm以下のもので、消臭作用が良好と評価される。
×:アンモニア濃度が3ppmを超えるもので、消臭作用が認められないと評価される。
評価結果を表1に示す。
Figure 2018104860
一方、繊維状分散時間とは、脱イオン水300mlを300mlビーカーに入れ、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片を投入し、試験片が完全に繊維一本一本にほぐれる時間であり、本発明の水分散シートについては、通常300秒以内、より好ましくは100秒以内、さらに好ましくは40秒以内である。この繊維状分散時間が長くなると、水分散紙を流した場合、排水口あるいは配管の詰りの原因となる。
本発明に用いる有機酸としては、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、乳酸、フマル酸、DL−リンゴ酸等の食品添加用の有機酸が好ましく、これらの中でも、消臭効果と水分散効果をバランスよく良好にするためクエン酸がより好ましい。この有機酸の粒径は、溶液にして含浸又は塗工する場合は特に制限はない。一方、有機酸が不溶な有機溶剤に分散して塗工する場合、粒径は好ましくは0.1mm以下、より好ましくは0.075mm以下である。
これらの有機酸は、アンモニアを中和することにより、アンモニア臭の消臭効果を有すると考えられる。
本発明の水分散シートに含まれる有機酸の量は、水分散性繊維に対して、固形分で、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは12〜60重量%である。この量が多すぎると、水分散シートから有機酸が脱落し易くなり、少なすぎると消臭効果が少ない。
また、本発明の水分散シートの基紙には、更に変性ポリビニルアルコールが添加されることが好ましい。
本発明で用いる変性ポリビニルアルコールとしては、スルホン酸変性ポリビニルアルコールやカルボン酸変性ポリビニルアルコールが挙げられるが、繊維シートの水解性や有機酸や香料粉末等の粉体添加物の脱落の防止の観点から、スルホン酸変性ポリビニルアルコールが好ましい。
スルホン酸基を有する単量体としては、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそれらの塩等があげられる。スルホン酸基を有する化合物としては、P−スルホン酸ベンズアルデヒド及びそれら塩等のスルホン酸基を有するアルデヒド誘導体が挙げられ、従来公知のアセタール化反応による導入が可能である。これらの化合物が有するスルホン酸基のpKa値は通常3以下で、前記有機酸のpKa値より低いため、該スルホン酸基は前記有機酸によって解離が妨げられることがなく、水溶性は損なわれない。
カルボキシル基を有する単量体としては、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、アクリル酸及びそれらの塩、並びにアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル類等があげられる。カルボキシル基を有する化合物としては、アクリル酸等の単量体が挙げられ、従来公知のマイケル付加反応による導入が可能である。
本発明の水分散シートに含まれる成分として、上記変性ポリビニルアルコール以外の水溶性高分子は、有機酸の共存下で、水溶性繊維の水への溶解性が低下して難溶化するため好ましくない。例えば、カルボキシメチルセルロース塩やアルギン酸塩は有機酸によりカルボキシメチルセルロースやアルギン酸に変化して水不溶性となる。また、部分ケン化型の冷水可溶性ポリビニルアルコールは有機酸により水溶性が低下し、長時間の接触や加温によりケン化度が高まり冷水に難溶となる。
本発明で用いられる変性ポリビニルアルコールの変性度は、好ましくは1.0〜20.0mol%、より好ましくは2.0〜10.0mol%である。変性度が高いほど水分散性が良好である。
この変性ポリビニルアルコールのケン化度は、特に制限はないが、好ましくは80〜99mol%、より好ましくは86〜99mol%である。
また、この変性ポリビニルアルコールの粘度平均重合度は低いものが用いられ、好ましくは100〜1000程度、より好ましくは200〜500程度、更に好ましくは250〜400程度である。
本発明の水分散シートに含まれる変性ポリビニルアルコールの量は、水分散性繊維に対して、固形分で、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。この量が多すぎると、水分散シートが固くて割れ易くなり、少なすぎると有機酸や粉体添加物の脱落が発生し易くなる。
上記で得た水分散シートについて、水分散性能と消臭性能を以下のように評価した。
1)水分散性能
脱イオン水300mlを入れた300mlビーカーに、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片を投入した。試験片が2つ以上に千切れる時間をフロック状水分散時間とし、試験片が繊維一本一本にほぐれる時間を繊維状水分散時間とした。それぞれの時間は、ストップウオッチで測定し、5回の測定の平均値とし、下記のように評価した。
○:フロック状水分散時間が20秒以内でかつ繊維状水分散時間が100秒以内で、水分散性は良好であると評価される。
△:フロック状水分散時間が20秒を越えるか、又は繊維状水分散時間が100秒を越えるもの(但し、フロック状水分散時間が100秒を越えるか、又は繊維状水分散時間が300秒を越えるものを除く)で、水分散性ありと評価される。
×:フロック状水分散時間が100秒を越えるか、又は繊維状水分散時間が300秒を越えるもので、水分散困難と評価される。


Claims (10)

  1. カナダ標準ろ水度が600mlCSF以上の水分散性繊維から成る基紙に、有機酸[エステー9]を添加してなる水分散シート。
  2. 前記基紙に更に変性ポリビニルアルコールが添加された請求項1に記載の水分散シート。
  3. 前記変性ポリビニルアルコールがスルホン酸変性ポリビニルアルコールである請求項2に記載の水分散シート。
  4. 前記有機酸がクエン酸である請求項1〜3のいずれか一項に記載の水分散シート。
  5. 前記水分散性繊維が木材パルプ及び/又は非木材パルプからなり、全パルプの15〜95重量%がαセルロース含有率88重量%以上の精製パルプであり、残部がαセルロース含有率88重量%未満の無精製パルプである請求項1〜4のいずれか一項に記載の水分散シート。
  6. 前記精製パルプの450mlCSFにおける保水度が140%以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の水分散シート。
  7. 前記水分散シートのフロック状水分散時間が100秒以内である請求項1〜6のいずれか一項に記載の水分散シート。
  8. 前記基紙に更に香料が添加された請求項1〜7のいずれか一項に記載の水分散シート。
  9. [エステー10] 請求項1〜8のいずれか一項に記載の水分散シートを簡易トイレの排泄物受け器に投入して使用することから成る水分散シートの使用方法。
  10. カナダ標準ろ水度が600mlCSF以上の水分散性繊維から成る基紙に、水及び/又はアルコールに有機酸及び変性ポリビニルアルコールを溶解させた溶液を含浸し、乾燥させることから成る請求項2〜8のいずれか一項に記載の水分散シートの製造方法。
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