JP2018104562A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 インクの間欠吐出安定性に優れるとともに、画像の滲みを抑制できる水性インクを提供する。【解決手段】 顔料、前記顔料を分散するための樹脂、塩、及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用水性インクであって、前記樹脂が、ノニオン性ユニット、アニオン性ユニット、及び芳香族基を有するユニットを持つ、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記塩が、カチオン、及びアニオンで構成されることを特徴とする水性インク。【選択図】 なし
Description
本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、記録媒体として普通紙などを用い、文字や図表などを含むビジネス文章などの印刷にもインクジェット記録方法が利用されており、このような用途への利用頻度が格段に増えてきている。このような用途では、インクの間欠吐出安定性に優れるとともに、得られる画像の滲みを抑制できる水性インクが求められる。自己分散顔料、塩、及び水溶性有機溶剤を含有する水性インクが検討されている(特許文献1参照)。さらに、顔料、アクリル樹脂、硝酸マグネシウム、及び水溶性有機溶剤を含有する水性インクが検討されている(特許文献2参照)。
本発明者らは、特許文献1に記載のインクを用いて検討を行ったところ、インクの間欠吐出安定性が得られない上に、画像の滲みを抑制できないことがわかった。また、特許文献2に記載のインクを用いて検討を行ったところ、画像の滲みは抑制できるものの、インクの間欠吐出安定性が得られないことがわかった。
インクジェット記録方法で画像を記録する際、記録ヘッドの回復動作を行わず、かつ、記録ヘッドの一部の吐出口から一定時間インクが吐出されない状態が続くと、この一部の吐出口からインク中の水分などの蒸発が進行する。その後、この一部の吐出口からインクを吐出させようとすると、吐出が不安定になる場合や吐出ができない場合があり、その結果として記録される画像が乱れやすくなる。間欠吐出安定性とは、このような場合であってもインクの吐出が不安定になったり、不吐出が起こったりせず、記録される画像に乱れが生じにくい特性をいう。
本発明の目的は、間欠吐出安定性に優れるとともに、画像の滲みを抑制できる水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明の水性インクは、顔料、前記顔料を分散するための樹脂、塩、及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記樹脂が、ノニオン性ユニット、アニオン性ユニット、及び芳香族基を有するユニットを持つ、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記塩が、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種のカチオン、並びにC6H5(COO−)、C6H4(COO−)2、C10H7(COO−)、C10H6(COO−)2、C6H5(SO3 2−)、CH3C6H5(SO3 2−)、C10H7(SO3 2−)、及びC10H6(SO3 2−)2からなる群より選択される少なくとも1種のアニオンで構成されることを特徴とする水性インクに関する。
また、本発明は、インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えているインクカートリッジであって、前記インクが、前記水性インクであることを特徴とするインクカートリッジに関する。
本発明によれば、間欠吐出安定性に優れるとともに、画像の滲みを抑制できる水性インク、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明において、塩は、インクなどの水性の液体中では塩の少なくとも一部はイオンに解離して存在し得るが、便宜上、「塩」と表現する。インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、温度25℃における値である。
本発明のインクは、顔料を分散するための樹脂として、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。これらの樹脂は、水となじみやすいアニオン性ユニットを持ち、さらに顔料の粒子表面と疎水性相互作用する芳香族基を有するユニットを持つことで、顔料を分散させる。
本発明のインクは、記録される画像の滲みを抑制するために、さらに1価のカチオンの塩を含有することで、記録される画像の滲みを抑制できる。記録媒体にインクが付着して、インク中の水が蒸発すると、樹脂と塩が近づく。これにより、樹脂の有するアニオン性基と、塩のカチオンが反応しやすいため、樹脂の親水性は低下する。そのため、顔料を巻き込んだ樹脂の凝集が起こりやすくなり、画像の滲みを抑制できる。
しかし、インクが塩を含有すると、インクの間欠吐出安定性が低下することがわかった。インク中では、樹脂の有するアニオン性基の近傍に水が存在しやすい。水分子は、δ−に分極している酸素原子と、δ+に分極している水素原子とを有するため、塩のカチオンがδーに分極している酸素原子と反応してしまう。塩のカチオンが水を引き寄せることで、樹脂のアニオン性基の近傍に水が存在しにくくなるため、樹脂の親水性は低下する。インクジェット用の水性インクに使用される水溶性有機溶剤は、通常、水より蒸気圧が低い。そのため、記録ヘッドの吐出口から一定時間インクが吐出されない状態が続き、吐出口から水分が蒸発しても、吐出口から水溶性有機溶剤が蒸発しにくいため、吐出口付近のインク中では水溶性有機溶剤が顔料や樹脂の周りに存在しやすくなる。樹脂の親水性が低いと、吐出口付近に多く存在する水溶性有機溶剤となじみやすくなるため、樹脂が吐出口付近にとどまりやすい。樹脂は、顔料の粒子表面と疎水性相互作用しているため、樹脂とともに顔料も吐出口付近にとどまりやすいので、吐出口付近でのインクの粘度が上昇し、インクの間欠吐出安定性が低下する。
そこで、アニオン性ユニット、及び芳香族基を有するユニットの他に、ノニオン性ユニットを持つ樹脂を用いることとした。塩のカチオンは、ノニオン性ユニットが有する極性基(ヒドロキシ基やエチレンオキサイド構造におけるδーに分極した酸素原子)と反応しやすい。これにより、水分子中のδーに分極している酸素原子と反応しにくくなり、アニオン性基の近傍にある水を引き寄せにくくなるため、樹脂の有するアニオン性基の近傍には、水が存在しやすくなる。
さらに、塩としては、芳香環を有するものを用いることが必要である。樹脂の有する芳香環のπ電子と、塩の有する芳香環のπ電子が引き合うことで、樹脂の近傍に塩が存在しやすくなる。例えば、塩として、C6H5COONaを用いる場合、インク中では、C6H5COOーとNa+に電離しているため、C6H5COOーは水を引き寄せやすい。つまり、樹脂の近傍に、水を引き寄せやすい塩が存在することで、樹脂の親水性はさらに高まる。樹脂の有する芳香環と疎水性相互作用するために、炭素数の多い鎖状の炭化水素基を有する塩を用いても、立体障害により樹脂に塩が近づきにくくなる。これにより、樹脂の有する芳香環と塩の有する炭化水素基が相互作用しにくくなるため、インクの間欠吐出安定性は低下する。
記録ヘッドの吐出口から一定時間インクが吐出されない状態が続き、記録ヘッドの吐出口から水分が蒸発しても、吐出口から水溶性有機溶剤が蒸発しにくいため、吐出口付近のインク中では水溶性有機溶剤が顔料や樹脂の周りに存在しやすくなる。樹脂の親水性が高いと、吐出口付近に多く存在する水溶性有機溶剤となじみにくくなるため、樹脂が吐出口付近にとどまりにくい。樹脂は、顔料の粒子表面と疎水性相互作用していて、樹脂とともに顔料も吐出口付近にとどまりにくくなり、吐出口からインク流路の奥の方へと後退する。そのため、吐出口付近でのインクの粘度が上昇しにくくなり、インクの間欠吐出安定性が向上する。
なお、記録媒体では、吐出口付近と比べて、水が少なく、樹脂が凝集しやすい状況となっているため、親水性の高い樹脂であっても、樹脂の凝集を抑制しにくい。よって、本発明の構成のインクにより、間欠吐出安定性を得ながら、画像の滲みを抑制することが可能となる。
インクが、樹脂分散顔料ではなく、自己分散顔料を含有する場合、顔料が凝集する上で立体障害となる樹脂が存在しないため、顔料は凝集しやすい。記録ヘッドの吐出口から水分が蒸発すると、インク中の顔料が近づきやすく、より凝集しやすいため、吐出口付近でインクの粘度が上昇しやすくなり、インクの間欠吐出安定性は得られない。さらに、インクが自己分散顔料を含有すると、顔料は凝集しやすいものの、顔料をより移動しにくくさせる樹脂が存在しないため、画像の滲みを抑制できない。なお、インクが自己分散顔料の他に、添加剤としての樹脂を含有すると、インク中の顔料とともに樹脂も凝集するため、顔料は移動しにくくなり、画像の滲みは抑制できる。
塩は、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種のカチオンで構成される。カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの2価のカチオンは、1価のカチオンと比べて、水を引き寄せる力が強いため、樹脂の有するアニオン性基の近傍の水をより引き寄せやすい。これにより、樹脂の親水性が低下しやすいため、インクの間欠吐出安定性が得られない。
<インク>
本発明のインクは、顔料、顔料を分散するための樹脂、塩、及び水溶性有機溶剤を含有する。以下、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を表すものとする。
本発明のインクは、顔料、顔料を分散するための樹脂、塩、及び水溶性有機溶剤を含有する。以下、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を表すものとする。
(顔料)
インクは、無機顔料や有機顔料などの顔料を含有する。顔料種としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクドリンなどの有機顔料などが挙げられる。また、調色などの目的のために、顔料に加えてさらに染料などを併用してもよい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.50質量%以上10.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上5.00質量%以下であることがさらに好ましい。
インクは、無機顔料や有機顔料などの顔料を含有する。顔料種としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクドリンなどの有機顔料などが挙げられる。また、調色などの目的のために、顔料に加えてさらに染料などを併用してもよい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.50質量%以上10.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上5.00質量%以下であることがさらに好ましい。
(顔料を分散するための樹脂)
樹脂は、ノニオン性ユニット、アニオン性ユニット、及び芳香族基を有するユニットを持つ、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である。本発明においては、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂についての「ユニット」とは、1の単量体に由来する繰り返し単位のことを指すものとする。活性エネルギー線硬化型のアクリル樹脂、及びウレタン樹脂、すなわち重合性基を有するアクリル樹脂、及びウレタン樹脂とすることはあまり好ましくない。ノニオン性ユニット、アニオン性ユニット、及び芳香族基を有するユニットの他に、さらにその他のユニットを有していてもよい。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.50質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上3.00質量%以下であることがさらに好ましい。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.20倍以上1.20倍以下であることが好ましく、0.30倍以上0.90倍以下であることが好ましい。アクリル樹脂、及びウレタン樹脂のそれぞれの構成について詳細に説明する。
樹脂は、ノニオン性ユニット、アニオン性ユニット、及び芳香族基を有するユニットを持つ、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である。本発明においては、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂についての「ユニット」とは、1の単量体に由来する繰り返し単位のことを指すものとする。活性エネルギー線硬化型のアクリル樹脂、及びウレタン樹脂、すなわち重合性基を有するアクリル樹脂、及びウレタン樹脂とすることはあまり好ましくない。ノニオン性ユニット、アニオン性ユニット、及び芳香族基を有するユニットの他に、さらにその他のユニットを有していてもよい。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.50質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上3.00質量%以下であることがさらに好ましい。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.20倍以上1.20倍以下であることが好ましく、0.30倍以上0.90倍以下であることが好ましい。アクリル樹脂、及びウレタン樹脂のそれぞれの構成について詳細に説明する。
[アクリル樹脂]
アクリル樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が100mgKOH/g未満であると、アクリル樹脂が水になじみにくくなるため、アクリル樹脂が凝集しやすくなり、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。酸価が200mgKOH/gを超えると、樹脂の親水性が高いため、塩の有する芳香環が樹脂に近づきにくくなり、樹脂の有する芳香環と相互作用しにくくなる。これにより、樹脂の近傍に塩が存在しにくくなるため、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。アクリル樹脂の酸価は、電位差を利用したコロイド滴定により測定できる。樹脂の酸価は、樹脂に占めるアニオン性ユニットの割合や、その他のユニットの割合を変えることで、調整できる。
アクリル樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が100mgKOH/g未満であると、アクリル樹脂が水になじみにくくなるため、アクリル樹脂が凝集しやすくなり、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。酸価が200mgKOH/gを超えると、樹脂の親水性が高いため、塩の有する芳香環が樹脂に近づきにくくなり、樹脂の有する芳香環と相互作用しにくくなる。これにより、樹脂の近傍に塩が存在しにくくなるため、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。アクリル樹脂の酸価は、電位差を利用したコロイド滴定により測定できる。樹脂の酸価は、樹脂に占めるアニオン性ユニットの割合や、その他のユニットの割合を変えることで、調整できる。
〔ノニオン性ユニット〕
アクリル樹脂は、ノニオン性ユニットを有する。ノニオン性ユニットとしては、ヒドロキシ基を有するユニット、エチレンオキサイド構造を有するユニット、及びプロピレンオキサイド構造を有するユニットからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。ここで、ヒドロキシ基を有するユニットとは、ヒドロキシ基を有する単量体に由来するユニットであり、エチレンオキサイド構造を有するユニットとは、エチレンオキサイド構造を有する単量体に由来するユニットである。さらに、プロピレンオキサイド構造を有するユニットとは、プロピレンオキサイド構造を有する単量体に由来するユニットである。
アクリル樹脂は、ノニオン性ユニットを有する。ノニオン性ユニットとしては、ヒドロキシ基を有するユニット、エチレンオキサイド構造を有するユニット、及びプロピレンオキサイド構造を有するユニットからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。ここで、ヒドロキシ基を有するユニットとは、ヒドロキシ基を有する単量体に由来するユニットであり、エチレンオキサイド構造を有するユニットとは、エチレンオキサイド構造を有する単量体に由来するユニットである。さらに、プロピレンオキサイド構造を有するユニットとは、プロピレンオキサイド構造を有する単量体に由来するユニットである。
ヒドロキシ基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メチル−5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。エチレンオキサイド構造を有する単量体としては、例えば、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの1〜10のエチレンオキサイド構造を有するポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類;メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの1〜10のエチレンオキサイド構造を有するアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類が挙げられる。プロピレンオキサイド構造を有する単量体としては、例えば、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの1〜10のプロピレンオキサイド構造を有するアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類が挙げられる。
なかでも、ノニオン性ユニットは、ヒドロキシ基を有するユニット、及びエチレンオキサイド構造を有するユニットからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、エチレンオキサイド構造を有するユニットであることがさらに好ましい。プロピレンオキサイド構造を有するユニットは、エチレンオキサイド構造を有するユニットと比べて、炭素数が多いため、樹脂の親水性が低くなる。これにより、樹脂が凝集しやすくなり、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。
ノニオン性ユニットのアクリル樹脂に占める割合(質量%)は、樹脂全質量を基準として、20.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。前記割合が、20.0質量%未満であると、アクリル樹脂に占めるノニオン性ユニットが少なすぎるため、塩のカチオンが樹脂の有するアニオン性基の近傍にある水と反応しやすくなり、塩のカチオンに水が引き寄せられる。そのため、樹脂の有するアニオン性基の近傍には、水が存在しにくくなり、樹脂の親水性が低下し、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。前記割合が、40.0質量%を超えると、アクリル樹脂に占めるノニオン性ユニットが多すぎるため、樹脂の親水性が高くなる。塩の有する芳香環が樹脂に近づきにくくなり、樹脂の有する芳香環と相互作用しにくくなる。これにより、樹脂の近傍に塩が存在しにくくなるため、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。
なお、ノニオン性基の他に、芳香族基、及びアニオン性基の少なくとも1種を有するノニオン性ユニットの割合は、10.0質量%以下であることが好ましい。前記割合は、5.0質量%以下であることがより好ましく、0.0質量%以下であることがさらに好ましい。
〔アニオン性ユニット〕
アニオン性ユニットとは、アニオン性基を有する単量体に由来するユニットである。アニオン性基を有する単量体としては、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、ホスホン酸基を有する単量体などが挙げられる。カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのα,β−エチレン性不飽和結合を有する単量体が挙げられる。スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、スルホン酸−2−プロピルアクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、(メタ)アクリルアミド−t−ブチルスルホン、ビニルスルホン酸などのα,β−エチレン性不飽和結合を有する単量体が挙げられる。ホスホン酸基を有する単量体としては、例えば、2−ホスホン酸エチル(メタ)アクリル酸エステル、ビニルホスホン酸などのα,β−エチレン性不飽和結合を有する単量体が挙げられる。α,β−エチレン性不飽和結合を有する単量体は、その無水物、及びその塩であってもよい。塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及び有機アンモニウム塩が挙げられる。これらは必要に応じて1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、アニオン性基を有する単量体は、カルボン酸基を有する単量体であることが好ましく、(メタ)アクリル酸であることがさらに好ましい。
アニオン性ユニットとは、アニオン性基を有する単量体に由来するユニットである。アニオン性基を有する単量体としては、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、ホスホン酸基を有する単量体などが挙げられる。カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのα,β−エチレン性不飽和結合を有する単量体が挙げられる。スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、スルホン酸−2−プロピルアクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、(メタ)アクリルアミド−t−ブチルスルホン、ビニルスルホン酸などのα,β−エチレン性不飽和結合を有する単量体が挙げられる。ホスホン酸基を有する単量体としては、例えば、2−ホスホン酸エチル(メタ)アクリル酸エステル、ビニルホスホン酸などのα,β−エチレン性不飽和結合を有する単量体が挙げられる。α,β−エチレン性不飽和結合を有する単量体は、その無水物、及びその塩であってもよい。塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及び有機アンモニウム塩が挙げられる。これらは必要に応じて1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、アニオン性基を有する単量体は、カルボン酸基を有する単量体であることが好ましく、(メタ)アクリル酸であることがさらに好ましい。
アニオン性ユニットのアクリル樹脂に占める割合(質量%)は、樹脂全質量を基準として、10.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。なお、アニオン性基の他に、芳香族基、及びノニオン性基の少なくとも1種を有するアニオン性ユニットの割合は、10.0質量%以下であることが好ましい。前記割合は、5.0質量%以下であることがより好ましく、0.0質量%以下であることがさらに好ましい。
〔芳香族基を有するユニット〕
芳香族基を有するユニットとは、芳香族基を有する単量体に由来するユニットのことである。芳香族基を有する単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。なかでも、芳香族基を有する単量体は、スチレン、及びα−メチルスチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、スチレンであることがさらに好ましい。芳香族基を有するユニットのアクリル樹脂に占める割合(質量%)は、樹脂全質量を基準として、30.0質量%以上70.0質量%以下であることが好ましく、40.0質量%以上60.0質量%以下であることがさらに好ましい。なお、芳香族基の他に、アニオン性基、及びノニオン性基の少なくとも1種を有する芳香族基を有するユニットの割合は、10.0質量%以下であることが好ましい。前記割合は、5.0質量%以下であることがより好ましく、0.0質量%以下であることがさらに好ましい。
芳香族基を有するユニットとは、芳香族基を有する単量体に由来するユニットのことである。芳香族基を有する単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。なかでも、芳香族基を有する単量体は、スチレン、及びα−メチルスチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、スチレンであることがさらに好ましい。芳香族基を有するユニットのアクリル樹脂に占める割合(質量%)は、樹脂全質量を基準として、30.0質量%以上70.0質量%以下であることが好ましく、40.0質量%以上60.0質量%以下であることがさらに好ましい。なお、芳香族基の他に、アニオン性基、及びノニオン性基の少なくとも1種を有する芳香族基を有するユニットの割合は、10.0質量%以下であることが好ましい。前記割合は、5.0質量%以下であることがより好ましく、0.0質量%以下であることがさらに好ましい。
〔その他のユニット〕
その他のユニットとしては、ヒドロキシ基、エチレンオキサイド構造、プロピレンオキサイド構造、及び芳香族基を有しないユニットであり、例えば、アルキル(メタ)アクリレートに由来するユニットが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数が1以上20以下の直鎖、又は分岐鎖のアルキル基を有するものが好ましい。炭素数が1以上20以下の直鎖、又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは必要に応じて1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数が2以上6以下の直鎖、又は分岐鎖のアルキル基を有するものが好ましい。
その他のユニットとしては、ヒドロキシ基、エチレンオキサイド構造、プロピレンオキサイド構造、及び芳香族基を有しないユニットであり、例えば、アルキル(メタ)アクリレートに由来するユニットが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数が1以上20以下の直鎖、又は分岐鎖のアルキル基を有するものが好ましい。炭素数が1以上20以下の直鎖、又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは必要に応じて1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数が2以上6以下の直鎖、又は分岐鎖のアルキル基を有するものが好ましい。
[ウレタン樹脂]
ウレタン樹脂とは、広義には、(ポリ)イソシアネートを用いて合成される樹脂である。インクジェット用の水性インクに一般的に用いられるウレタン樹脂は、ポリイソシアネートと、それと反応する成分(ポリオールやポリアミン)を用いて合成され、必要に応じて架橋剤や鎖延長剤も用いられる。このような成分を用いて合成されたウレタン樹脂は、ハードセグメントとソフトセグメントという主に2つのセグメントで構成される。
ウレタン樹脂とは、広義には、(ポリ)イソシアネートを用いて合成される樹脂である。インクジェット用の水性インクに一般的に用いられるウレタン樹脂は、ポリイソシアネートと、それと反応する成分(ポリオールやポリアミン)を用いて合成され、必要に応じて架橋剤や鎖延長剤も用いられる。このような成分を用いて合成されたウレタン樹脂は、ハードセグメントとソフトセグメントという主に2つのセグメントで構成される。
ハードセグメントは、ポリイソシアネート、ポリアミンや酸基を有するポリオール、及び架橋剤や鎖延長剤などの、分子量が相対的に小さい化合物に由来するユニットで構成される。ハードセグメントにはウレタン結合が多く存在し、ウレタン結合間の水素結合によりハードセグメント部分が密集して存在しやすいため、ハードセグメントは主にウレタン樹脂の強度に寄与する。一方、ソフトセグメントは、酸基を有しないポリオールなどの、分子量が相対的に大きい化合物に由来するユニットで構成される。ソフトセグメントは、ハードセグメントと比較すると密集して存在しづらいため、ソフトセグメントは主にウレタン樹脂の柔軟性に寄与する。このように、ウレタン樹脂は、強度と柔軟性を兼ね備え、高い弾性を発現する。
本発明のインクに用いることができるウレタン樹脂は、ノニオン性ユニット、アニオン性ユニット、及び芳香族基を有するユニットを持つ。ノニオン性ユニットは、酸基を有しないポリオールに由来するユニットが挙げられ、アニオン性ユニットは、酸基を有するポリオールに由来するユニットが挙げられる。さらに、芳香族基を有するユニットは、芳香族ポリイソシアネートに由来するユニットが挙げられる。
本発明における「ポリイソシアネート」とは、ポリオールやポリアミンなどと反応するために、分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。上記のポリイソシアネートとの反応によってウレタン樹脂を構成するユニットとなる成分としては、ポリオールを用いることができる。本発明における「ポリオール」とは、分子中に2以上のヒドロキシ基を有する化合物を意味し、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールなどが挙げられる。
ウレタン樹脂の酸価は、60mgKOH/g以上160mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が60mgKOH/g未満であると、ウレタン樹脂が水になじみにくくなるため、ウレタン樹脂が凝集しやすくなり、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。酸価が160mgKOH/gを超えると、樹脂の親水性が高いため、塩の有する芳香環が樹脂に近づきにくくなり、樹脂の有する芳香環と相互作用しにくくなる。これにより、樹脂の近傍に塩が存在しにくくなるため、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。ウレタン樹脂の酸価は、電位差を利用したコロイド滴定により測定できる。樹脂の酸価は、樹脂に占めるアニオン性ユニットの割合や、鎖延長剤、及び架橋剤の割合を変えることで、調整できる。
〔ノニオン性ユニット〕
ノニオン性ユニットは、酸基を有しないポリオールに由来するユニットが挙げられる。酸基を有しないポリオールとしては、ポリエーテルポリオールが挙げられる。
ノニオン性ユニットは、酸基を有しないポリオールに由来するユニットが挙げられる。酸基を有しないポリオールとしては、ポリエーテルポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキサイド及びポリオール類の付加重合物;(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類;などが挙げられる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどが挙げられる。また、アルキレンオキサイドと付加重合するポリオール類としては、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4−ジヒドロキシフェニルメタン、水素添加ビスフェノールA、ジメチロール尿素及びその誘導体などのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ポリオキシプロピレントリオールなどのトリオール;などが挙げられる。グリコール類としては、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの(ポリ)アルキレングリコール;エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体;などが挙げられる。酸基を有しないポリオールとしては、炭素数が少なく、より親水性が高いエチレンオキサイド構造を有するものを用いることが好ましい。これにより、樹脂の親水性が高いため、樹脂は凝集しにくくなる。そのため、記録ヘッドの吐出口から水が蒸発すると、吐出口付近でインクの粘度が上昇しやすくなり、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。
ノニオン性ユニットのウレタン樹脂に占める割合(質量%)は、樹脂全質量を基準として、15.0質量%以上55.0質量%以下であることが好ましい。前記割合が、15.0質量%未満であると、ウレタン樹脂に占めるノニオン性ユニットが少なすぎるため、塩のカチオンが樹脂の有するアニオン性基の近傍にある水と反応しやすくなり、塩のカチオンに水が引き寄せられる。そのため、樹脂の有するアニオン性基の近傍には、水が存在しにくくなり、樹脂の親水性が低下し、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。前記割合が、55.0質量%を超えると、ウレタン樹脂に占めるノニオン性ユニットが多すぎるため、樹脂の親水性が高くなる。塩の有する芳香環が樹脂に近づきにくくなり、樹脂の有する芳香環と相互作用しにくくなる。これにより、樹脂の近傍に塩が存在しにくくなるため、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。
〔アニオン性ユニット〕
アニオン性ユニットは、酸基を有するポリオールに由来するユニットが挙げられる。酸基を有するポリオールとしては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などの酸基を有するポリオールが挙げられる。酸基はカルボン酸基であることが好ましい。カルボン酸基を有するポリオールとしては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸などが挙げられる。なかでも、酸基を有するポリオールは、カルボン酸基を有するポリオールであることが好ましく、ジメチロールプロピオン酸であることがさらに好ましい。酸基を有するポリオールの酸基は塩型であってもよく、塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のイオン、アンモニウムイオン、ジメチルアミンなどの有機アミンのカチオンなどが挙げられる。なかでも、酸基を有するポリオールは、カルボン酸基を有するポリオールであることが好ましく、ジメチロールプロピオン酸であることがさらに好ましい。なお、汎用の酸基を有するポリオールの分子量は高くても400程度であるので、酸基を有するポリオールに由来するユニットは、基本的にはウレタン樹脂のハードセグメントとなる。アニオン性ユニットのウレタン樹脂に占める割合(質量%)は、樹脂全質量を基準として、10.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
アニオン性ユニットは、酸基を有するポリオールに由来するユニットが挙げられる。酸基を有するポリオールとしては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などの酸基を有するポリオールが挙げられる。酸基はカルボン酸基であることが好ましい。カルボン酸基を有するポリオールとしては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸などが挙げられる。なかでも、酸基を有するポリオールは、カルボン酸基を有するポリオールであることが好ましく、ジメチロールプロピオン酸であることがさらに好ましい。酸基を有するポリオールの酸基は塩型であってもよく、塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のイオン、アンモニウムイオン、ジメチルアミンなどの有機アミンのカチオンなどが挙げられる。なかでも、酸基を有するポリオールは、カルボン酸基を有するポリオールであることが好ましく、ジメチロールプロピオン酸であることがさらに好ましい。なお、汎用の酸基を有するポリオールの分子量は高くても400程度であるので、酸基を有するポリオールに由来するユニットは、基本的にはウレタン樹脂のハードセグメントとなる。アニオン性ユニットのウレタン樹脂に占める割合(質量%)は、樹脂全質量を基準として、10.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
〔芳香族基を有するユニット〕
芳香族基を有するユニットは、芳香族ポリイソシアネートに由来するユニットが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族基を有するユニットは、芳香族ポリイソシアネートに由来するユニットが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
なかでも、芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、及びジフェニルメタンジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、トリレンジイソシアネートであることがさらに好ましい。芳香族基を有するユニットのウレタン樹脂に占める割合(質量%)は、樹脂全質量を基準として、25.0質量%以上55.0質量%以下であることが好ましい。
〔その他のユニット〕
ウレタン樹脂には、その他のユニットとして、架橋剤や鎖延長剤に由来するユニットを持っていてもよい。通常、架橋剤はプレポリマーの合成の際に用いられ、鎖延長剤は予め合成されたプレポリマーに対して鎖延長反応を行う際に用いられる。基本的には、架橋剤や鎖延長剤としては、架橋や鎖延長など目的に応じて、水や、上記で挙げた芳香族ポリイソシアネート、ポリオールの他に、脂肪族ポリイソシアネート、ポリアミンなどからも適宜に選択して用いることができる。
ウレタン樹脂には、その他のユニットとして、架橋剤や鎖延長剤に由来するユニットを持っていてもよい。通常、架橋剤はプレポリマーの合成の際に用いられ、鎖延長剤は予め合成されたプレポリマーに対して鎖延長反応を行う際に用いられる。基本的には、架橋剤や鎖延長剤としては、架橋や鎖延長など目的に応じて、水や、上記で挙げた芳香族ポリイソシアネート、ポリオールの他に、脂肪族ポリイソシアネート、ポリアミンなどからも適宜に選択して用いることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネートなどの鎖状構造を有するポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの環状構造を有するポリイソシアネート;などが挙げられる。
ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキシレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジン、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンポリイミンなどが挙げられる。なお、汎用の酸基を有するポリオールと同様に汎用のポリアミンの分子量は高くても400程度であるので、ポリアミンに由来するユニットは、基本的にはウレタン樹脂のハードセグメントとなる。鎖延長剤として、ウレタン樹脂を架橋させることができるものを用いることもできる。
(塩)
塩は、カチオン、及びアニオンで構成される。カチオンは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種である。アニオンは、C6H5(COO−)、C6H4(COO−)2、C10H7(COO−)、C10H6(COO−)2、C6H5(SO3 2−)、CH3C6H5(SO3 2−)、C10H7(SO3 2−)、及びC10H6(SO3 2−)2からなる群より選択される少なくとも1種である。塩の含有量(質量%)は、塩の分子量により異なるが、インク全質量を基準として、0.10質量%以上10.00質量%以下であることが好ましく、0.50質量%以上5.20質量%以下であることがさらに好ましい。
塩は、カチオン、及びアニオンで構成される。カチオンは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種である。アニオンは、C6H5(COO−)、C6H4(COO−)2、C10H7(COO−)、C10H6(COO−)2、C6H5(SO3 2−)、CH3C6H5(SO3 2−)、C10H7(SO3 2−)、及びC10H6(SO3 2−)2からなる群より選択される少なくとも1種である。塩の含有量(質量%)は、塩の分子量により異なるが、インク全質量を基準として、0.10質量%以上10.00質量%以下であることが好ましく、0.50質量%以上5.20質量%以下であることがさらに好ましい。
[カチオン]
カチオンは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種である。アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが挙げられる。有機アンモニウムイオンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミンなどの炭素数1以上3以下のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの炭素数1以上4以下のアルカノールアミン類などが挙げられる。なかでも、カチオンは、画像の滲み抑制という観点から、リチウムイオン、及びナトリウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。リチウムイオンやナトリウムイオンは、イオン半径が小さいため、樹脂の有するアニオン性基に近づきやすく、アニオン性基と反応しやすい。そのため、画像の滲み抑制効果がさらに向上する。カチオンは、インクの間欠吐出安定性という観点から、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。ナトリウムイオンやカリウムイオンは、インク中の顔料を凝集させにくいため、記録ヘッドの吐出口から水分が蒸発しても、吐出口付近でインクの粘度が上昇しにくくなり、インクの間欠吐出安定性が向上する。
カチオンは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種である。アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが挙げられる。有機アンモニウムイオンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミンなどの炭素数1以上3以下のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの炭素数1以上4以下のアルカノールアミン類などが挙げられる。なかでも、カチオンは、画像の滲み抑制という観点から、リチウムイオン、及びナトリウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。リチウムイオンやナトリウムイオンは、イオン半径が小さいため、樹脂の有するアニオン性基に近づきやすく、アニオン性基と反応しやすい。そのため、画像の滲み抑制効果がさらに向上する。カチオンは、インクの間欠吐出安定性という観点から、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。ナトリウムイオンやカリウムイオンは、インク中の顔料を凝集させにくいため、記録ヘッドの吐出口から水分が蒸発しても、吐出口付近でインクの粘度が上昇しにくくなり、インクの間欠吐出安定性が向上する。
[アニオン]
アニオンは、C6H5(COO−)、C6H4(COO−)2、C10H7(COO−)、C10H6(COO−)2、C6H5(SO3 2−)、CH3C6H5(SO3 2−)、C10H7(SO3 2−)、及びC10H6(SO3 2−)2からなる群より選択される少なくとも1種である。なかでも、アニオンは、C6H5(COO−)、C10H7(COO−)、C6H5(SO3 2−)、及びC10H7(SO3 2−)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。アニオンが、置換基を含む芳香環を有すると、立体障害により樹脂の近傍に塩が近づきにくくなる。これにより、樹脂の有する芳香環と塩の有する芳香環が相互作用しにくくなるため、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。アニオンが、2つのCOO−やSO3 2−を有すると、塩が水によりなじみやすくなる。そのため、塩の有する芳香環と樹脂の有する芳香環が相互作用しにくくなるため、樹脂の近傍に塩が存在しにくくなる。これにより、インクの間欠吐出安定性を十分に抑制できない場合がある。
アニオンは、C6H5(COO−)、C6H4(COO−)2、C10H7(COO−)、C10H6(COO−)2、C6H5(SO3 2−)、CH3C6H5(SO3 2−)、C10H7(SO3 2−)、及びC10H6(SO3 2−)2からなる群より選択される少なくとも1種である。なかでも、アニオンは、C6H5(COO−)、C10H7(COO−)、C6H5(SO3 2−)、及びC10H7(SO3 2−)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。アニオンが、置換基を含む芳香環を有すると、立体障害により樹脂の近傍に塩が近づきにくくなる。これにより、樹脂の有する芳香環と塩の有する芳香環が相互作用しにくくなるため、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。アニオンが、2つのCOO−やSO3 2−を有すると、塩が水によりなじみやすくなる。そのため、塩の有する芳香環と樹脂の有する芳香環が相互作用しにくくなるため、樹脂の近傍に塩が存在しにくくなる。これにより、インクの間欠吐出安定性を十分に抑制できない場合がある。
本発明の効果を得る上で重要なのは、上記塩のカチオンの濃度である。しかし、インク中のカチオンの濃度を測定しても、樹脂の有するカウンターイオンと塩のカチオンとを区別することはできない。よって、上記塩のアニオン濃度×アニオンの価数の値を特定することで、上記塩のカチオン濃度を間接的に特定する。アニオン濃度×アニオンの価数の値は、0.05mol/L以上0.35mol/L以下であることが好ましい。前記値が、0.05mol/L未満であると、塩のカチオンの数も0.05mol/L未満となる。インク中の塩のカチオンの数が少ないため、樹脂の有するアニオン性基と反応しにくくなる。これにより、樹脂の親水性は低下しにくくなり、顔料を巻き込んだ樹脂の凝集が起こりにくいため、画像の滲みを十分に抑制できない場合がある。さらに、前記値が、0.35mol/Lを超えると、塩のカチオンの数も0.35mol/Lを超える。インク中の塩のカチオンの数が多いため、塩のカチオンに水が引き寄せられ、樹脂のアニオン性基の近傍に水が存在しにくくなるため、樹脂の親水性はより低下する。そのため、記録ヘッドの吐出口から水分が蒸発すると、インク中の顔料が近づきやすく、より凝集しやすいため、吐出口付近でインクの粘度が上昇しやすくなり、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。アニオン濃度×アニオンの価数の値は、0.10mol/L以上0.30mol/L以下であることがさらに好ましい。
(水性媒体)
本発明のインクは、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤は、特に限定されるものではない。水溶性有機溶剤としては、その他のアルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、及び含窒素化合物類などの水性のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。また、これらの水溶性有機溶剤の1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
本発明のインクは、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤は、特に限定されるものではない。水溶性有機溶剤としては、その他のアルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、及び含窒素化合物類などの水性のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。また、これらの水溶性有機溶剤の1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が3.00質量%未満であると、インクをインクジェット記録装置に用いる場合に耐固着性などの信頼性が十分に得られない場合がある。また、水溶性有機溶剤の含有量が50.00質量%超であると、インクの粘度が上昇して、インクの供給不良が起きる場合がある。
なお、インクジェット用の水性インクに使用される水溶性有機溶剤は、通常、水より蒸気圧が低い。吐出口から水が蒸発しても、吐出口付近には水溶性有機溶剤が多く存在するため、任意の水溶性有機溶剤であっても、吐出口からインク流路の奥の方へと少しは顔料を後退させる。
(その他の成分)
本発明のインクには、上記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの温度25℃で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、本発明のインクには、必要に応じて、界面活性剤、樹脂、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
本発明のインクには、上記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの温度25℃で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、本発明のインクには、必要に応じて、界面活性剤、樹脂、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(物性)
本発明においては、温度25℃における、インクのpH、静的表面張力、粘度が以下の範囲内であることが好ましい。pHは5.0以上10.0以下であることが好ましく、7.0以上9.5以下であることがさらに好ましい。静的表面張力は30mN/m以上45mN/m以下であることが好ましく、35mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。また、粘度は1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましい。
本発明においては、温度25℃における、インクのpH、静的表面張力、粘度が以下の範囲内であることが好ましい。pHは5.0以上10.0以下であることが好ましく、7.0以上9.5以下であることがさらに好ましい。静的表面張力は30mN/m以上45mN/m以下であることが好ましく、35mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。また、粘度は1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例、及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」、及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<アクリル樹脂の合成>
撹拌機、撹拌機、窒素導入管、及び還流管を備えた四つ口フラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル400.0部を入れ、窒素ガスを導入し、撹拌下で温度130℃に昇温した。表1及び2に記載の使用量(単位:部)の単量体、及び重合開始剤(t−ブチルパーオキサイド)4.0部の混合物をフラスコに3時間かけて滴下した。その後、エージングを2時間行い、エチレングリコールモノブチルエーテルを減圧により除去して、固形のアクリル樹脂1〜21を得た。得られたアクリル樹脂の酸価と等モル量の水酸化カリウム、及びイオン交換水を加えて、温度80℃で溶解させることで、樹脂の含有量が20.0%であるアクリル樹脂1〜21を含む液体を得た。表1及び2には、樹脂の特性として、アクリル樹脂に占めるノニオン性ユニットの割合(%)、アニオン性ユニットの割合(%)、芳香族基を有するユニットの割合、その他のユニットの割合(%)、及びアクリル樹脂の酸価(mgKOH/g)を記載する。アクリル樹脂の酸価の測定方法は、以下の通りである。流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した電位差自動滴定装置(AT−510、京都電子工業製)を用い、電位差を利用したコロイド滴定により、テトラヒドロフランに溶解させたウレタン樹脂について、酸価を測定した。この際、滴定試薬としては、水酸化カリウムのエタノール溶液を用いた。
撹拌機、撹拌機、窒素導入管、及び還流管を備えた四つ口フラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル400.0部を入れ、窒素ガスを導入し、撹拌下で温度130℃に昇温した。表1及び2に記載の使用量(単位:部)の単量体、及び重合開始剤(t−ブチルパーオキサイド)4.0部の混合物をフラスコに3時間かけて滴下した。その後、エージングを2時間行い、エチレングリコールモノブチルエーテルを減圧により除去して、固形のアクリル樹脂1〜21を得た。得られたアクリル樹脂の酸価と等モル量の水酸化カリウム、及びイオン交換水を加えて、温度80℃で溶解させることで、樹脂の含有量が20.0%であるアクリル樹脂1〜21を含む液体を得た。表1及び2には、樹脂の特性として、アクリル樹脂に占めるノニオン性ユニットの割合(%)、アニオン性ユニットの割合(%)、芳香族基を有するユニットの割合、その他のユニットの割合(%)、及びアクリル樹脂の酸価(mgKOH/g)を記載する。アクリル樹脂の酸価の測定方法は、以下の通りである。流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した電位差自動滴定装置(AT−510、京都電子工業製)を用い、電位差を利用したコロイド滴定により、テトラヒドロフランに溶解させたウレタン樹脂について、酸価を測定した。この際、滴定試薬としては、水酸化カリウムのエタノール溶液を用いた。
<ウレタン樹脂の合成>
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び還流管を備えた4つ口フラスコに、表3及び4に記載の使用量(単位:部)の芳香族基を有する単量体、及びメチルエチルケトン300.0部を入れ、窒素ガス雰囲気下、温度80℃で6時間反応させた。その後、表3及び4に示す使用量(単位:部)のノニオン性基を有する単量体、アニオン性基を有する単量体、及びその他の単量体を添加し、温度80℃で反応させた。温度40℃まで冷却した後、イオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌しながら、水酸化カリウム水溶液を添加した。加熱減圧によりメチルエチルケトンを留去して、樹脂の含有量が20.0%であるウレタン樹脂1〜17を含む液体を得た。表3及び4には、樹脂の特性として、ウレタン樹脂に占めるノニオン性ユニットの割合(%)、アニオン性ユニットの割合(%)、芳香族基を有するユニットの割合、その他のユニットの割合(%)、及びウレタン樹脂の酸価(mgKOH/g)を記載する。ポリエチレングリコールに付した数値は、数平均分子量である。ウレタン樹脂の酸価の測定方法は、アクリル樹脂の測定方法と同様である。
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び還流管を備えた4つ口フラスコに、表3及び4に記載の使用量(単位:部)の芳香族基を有する単量体、及びメチルエチルケトン300.0部を入れ、窒素ガス雰囲気下、温度80℃で6時間反応させた。その後、表3及び4に示す使用量(単位:部)のノニオン性基を有する単量体、アニオン性基を有する単量体、及びその他の単量体を添加し、温度80℃で反応させた。温度40℃まで冷却した後、イオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌しながら、水酸化カリウム水溶液を添加した。加熱減圧によりメチルエチルケトンを留去して、樹脂の含有量が20.0%であるウレタン樹脂1〜17を含む液体を得た。表3及び4には、樹脂の特性として、ウレタン樹脂に占めるノニオン性ユニットの割合(%)、アニオン性ユニットの割合(%)、芳香族基を有するユニットの割合、その他のユニットの割合(%)、及びウレタン樹脂の酸価(mgKOH/g)を記載する。ポリエチレングリコールに付した数値は、数平均分子量である。ウレタン樹脂の酸価の測定方法は、アクリル樹脂の測定方法と同様である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1〜44)
表5及び6に示す種類の顔料10.0部、及び表5及び6に示す番号の樹脂を含む液体30.0部を、0.3mm径のジルコニアビーズの充填率が80%であるビーズミル(LMZ2、アシザワファインテック製)に入れ、1,800rpmで5時間分散させた。その後、回転数3,000rpmで30分間遠心分離して、凝集成分を除去した。イオン交換水で希釈して、顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が6.0%である顔料分散液を得た。表5及び6中、カーボンブラックは、「CB」と記載する。有機顔料としては、以下のものを用いた。
・C.I.ピグメントブルー15:3(Hostaperm Blue B2G、クラリアント製)(表5及び6中、「PB15:3」と記載)
・C.I.ピグメントレッド122(Ink Jet Magenta E 02、BASF製)(表5及び6中、「PR122」と記載)
・C.I.ピグメントイエロー74(Hansa yellow 5GXB、クラリアント製)(表5及び6中、「PY74」と記載)
(顔料分散液1〜44)
表5及び6に示す種類の顔料10.0部、及び表5及び6に示す番号の樹脂を含む液体30.0部を、0.3mm径のジルコニアビーズの充填率が80%であるビーズミル(LMZ2、アシザワファインテック製)に入れ、1,800rpmで5時間分散させた。その後、回転数3,000rpmで30分間遠心分離して、凝集成分を除去した。イオン交換水で希釈して、顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が6.0%である顔料分散液を得た。表5及び6中、カーボンブラックは、「CB」と記載する。有機顔料としては、以下のものを用いた。
・C.I.ピグメントブルー15:3(Hostaperm Blue B2G、クラリアント製)(表5及び6中、「PB15:3」と記載)
・C.I.ピグメントレッド122(Ink Jet Magenta E 02、BASF製)(表5及び6中、「PR122」と記載)
・C.I.ピグメントイエロー74(Hansa yellow 5GXB、クラリアント製)(表5及び6中、「PY74」と記載)
(顔料分散液45)
カーボンブラック10.0部、アクリル樹脂1を含む液体15.0部、及びウレタン樹脂1を含む液体15.0部を、0.3mm径のジルコニアビーズの充填率が80%であるビーズミル(LMZ2、アシザワファインテック製)に入れ、1,800rpmで5時間分散させた。その後、回転数3,000rpmで30分間遠心分離して、凝集成分を除去した。イオン交換水で希釈して、顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が6.0%である顔料分散液45を得た。
カーボンブラック10.0部、アクリル樹脂1を含む液体15.0部、及びウレタン樹脂1を含む液体15.0部を、0.3mm径のジルコニアビーズの充填率が80%であるビーズミル(LMZ2、アシザワファインテック製)に入れ、1,800rpmで5時間分散させた。その後、回転数3,000rpmで30分間遠心分離して、凝集成分を除去した。イオン交換水で希釈して、顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が6.0%である顔料分散液45を得た。
(顔料分散液46)
水5.5gに濃塩酸5.0gを溶かした溶液に、温度5℃で、4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。温度10℃以下を維持するために、アイスバスで撹拌しながら、上記で得られた溶液に、水9.0gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。15分撹拌後、カーボンブラック(ブラックパールズ880、キャボット製)6.0gを加え、混合した。さらに、15分撹拌後、得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2、アドバンテック製)でろ過し、カーボンブラックを十分に水洗し、温度110℃のオーブンで乾燥させた。得られたカーボンブラックに水を添加して、顔料分散液を得た。その後、顔料のカウンターイオンをナトリウムイオンからカリウムイオンに置換し、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液46を得た。顔料分散液46には、顔料の粒子表面に−C6H3−(COOK)2基が結合している自己分散顔料が含まれていた。
水5.5gに濃塩酸5.0gを溶かした溶液に、温度5℃で、4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。温度10℃以下を維持するために、アイスバスで撹拌しながら、上記で得られた溶液に、水9.0gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。15分撹拌後、カーボンブラック(ブラックパールズ880、キャボット製)6.0gを加え、混合した。さらに、15分撹拌後、得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2、アドバンテック製)でろ過し、カーボンブラックを十分に水洗し、温度110℃のオーブンで乾燥させた。得られたカーボンブラックに水を添加して、顔料分散液を得た。その後、顔料のカウンターイオンをナトリウムイオンからカリウムイオンに置換し、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液46を得た。顔料分散液46には、顔料の粒子表面に−C6H3−(COOK)2基が結合している自己分散顔料が含まれていた。
(顔料分散液47)
水500.0g、及びカーボンブラック15.0g(ブラックパールズ880、キャボット製)を混合し、15,000rpmで30分間撹拌して、顔料を予備湿潤させた。ここに水4,485gを加え、高圧ホモジナイザーで分散させて、分散液を得た。得られた分散液を高圧容器に移し、圧力3.0MPaで加圧した後、オゾン濃度が100ppmであるオゾン水を導入することによって顔料のオゾン酸化処理を行い、分散液を得た。水酸化カリウムを用いて、分散液のpHを10.0に調整し、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液47を得た。顔料分散液47には、顔料の粒子表面に−COOK基が結合している自己分散顔料が含まれていた。
水500.0g、及びカーボンブラック15.0g(ブラックパールズ880、キャボット製)を混合し、15,000rpmで30分間撹拌して、顔料を予備湿潤させた。ここに水4,485gを加え、高圧ホモジナイザーで分散させて、分散液を得た。得られた分散液を高圧容器に移し、圧力3.0MPaで加圧した後、オゾン濃度が100ppmであるオゾン水を導入することによって顔料のオゾン酸化処理を行い、分散液を得た。水酸化カリウムを用いて、分散液のpHを10.0に調整し、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液47を得た。顔料分散液47には、顔料の粒子表面に−COOK基が結合している自己分散顔料が含まれていた。
(顔料分散液48)
カーボンブラック20.0g、((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩7mmol、硝酸20mmol、及び純水200mLを混合した。カーボンブラックは、比表面積が220m2/gであり、DBP吸油量が105mL/100gだった。シルヴァーソン混合機を用いて、温度25℃で6,000rpmにて混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた亜硝酸ナトリウム20mmolをゆっくり添加した。この混合によって、混合物の温度は温度60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、混合物のpHを10.0に調整した。30分後、20.0mLの純水を加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションを行い、その後、イオン交換法によりナトリウムイオンをアンモニウムイオンに置換し、顔料の含有量が10.0%となるようにして、顔料分散液48を得た。顔料分散液48には、顔料粒子の表面に、カウンターイオンがアンモニウムである((4−ベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が結合している自己分散顔料が含まれていた。
カーボンブラック20.0g、((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩7mmol、硝酸20mmol、及び純水200mLを混合した。カーボンブラックは、比表面積が220m2/gであり、DBP吸油量が105mL/100gだった。シルヴァーソン混合機を用いて、温度25℃で6,000rpmにて混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた亜硝酸ナトリウム20mmolをゆっくり添加した。この混合によって、混合物の温度は温度60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、混合物のpHを10.0に調整した。30分後、20.0mLの純水を加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションを行い、その後、イオン交換法によりナトリウムイオンをアンモニウムイオンに置換し、顔料の含有量が10.0%となるようにして、顔料分散液48を得た。顔料分散液48には、顔料粒子の表面に、カウンターイオンがアンモニウムである((4−ベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が結合している自己分散顔料が含まれていた。
<インクの調製>
表7〜12に記載の各成分を混合し、十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、インクを調製した。さらに、特開2010−248419に記載の実施例1のインクBk2と同様にして調製したインクをインク46とした。アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。NIKKOL BL−9EXは、日光ケミカルズ製のノ二オン性の界面活性剤である。実施例1を例にとって、アニオン濃度×アニオンの価数(mol/L)の算出方法を記載する。インクの比重を1として、インク1L(1,000g)中、インク中の塩の含有量2.88(%)、安息香酸ナトリウムの分子量144.11(g/mol)、アニオンの価数1から、以下のように求められる。
1,000g×(2.88÷100)÷144.11g/mol≒0.20mol/L
表7〜12の下段に、インク中の顔料の含有量(%)、インク中の樹脂の含有量(%)、及び顔料に対する樹脂の含有比率(倍)(表中、「樹脂の含有量/顔料の含有量(倍)」と記載)を記載する。さらに、アニオン濃度×アニオンの価数(mol/L)も記載する。
表7〜12に記載の各成分を混合し、十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、インクを調製した。さらに、特開2010−248419に記載の実施例1のインクBk2と同様にして調製したインクをインク46とした。アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。NIKKOL BL−9EXは、日光ケミカルズ製のノ二オン性の界面活性剤である。実施例1を例にとって、アニオン濃度×アニオンの価数(mol/L)の算出方法を記載する。インクの比重を1として、インク1L(1,000g)中、インク中の塩の含有量2.88(%)、安息香酸ナトリウムの分子量144.11(g/mol)、アニオンの価数1から、以下のように求められる。
1,000g×(2.88÷100)÷144.11g/mol≒0.20mol/L
表7〜12の下段に、インク中の顔料の含有量(%)、インク中の樹脂の含有量(%)、及び顔料に対する樹脂の含有比率(倍)(表中、「樹脂の含有量/顔料の含有量(倍)」と記載)を記載する。さらに、アニオン濃度×アニオンの価数(mol/L)も記載する。
<評価>
本発明においては、下記の評価の評価基準で、AA、A、又はBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。評価結果は、表13に示す。
本発明においては、下記の評価の評価基準で、AA、A、又はBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。評価結果は、表13に示す。
(画像の滲み抑制)
得られたインクを、それぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(PIXUS 860i、キヤノン製)にセットした。前記インクジェット記録装置を用いて、5種類の普通紙((1)キヤノン製、PPC用紙NSK、(2)キヤノン製、PPC用紙NDK、(3)ゼロックス製、PPC用紙4024、(4)フォックスリバー製、PPC用紙プローバーボンド、(5)ノイジドラ製、キヤノン用PPC用紙)に数種類のフォントサイズの文字を記録した。文字は、デフォルトモード(用紙の種類:普通紙、印刷品質:標準、色調整:自動)で記録した。目視で文字の滲み具合を確認し、画像の滲み抑制の評価を行った。
AA:文字の輪郭が滲んでいなかった。
A:文字の輪郭が少し滲んでいたが、ほとんど目立たなかった。
B:半分未満の文字の輪郭が滲んでいたが、目立たなかった。
C:半分以上の文字の輪郭が滲んでいて、目立った。
得られたインクを、それぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(PIXUS 860i、キヤノン製)にセットした。前記インクジェット記録装置を用いて、5種類の普通紙((1)キヤノン製、PPC用紙NSK、(2)キヤノン製、PPC用紙NDK、(3)ゼロックス製、PPC用紙4024、(4)フォックスリバー製、PPC用紙プローバーボンド、(5)ノイジドラ製、キヤノン用PPC用紙)に数種類のフォントサイズの文字を記録した。文字は、デフォルトモード(用紙の種類:普通紙、印刷品質:標準、色調整:自動)で記録した。目視で文字の滲み具合を確認し、画像の滲み抑制の評価を行った。
AA:文字の輪郭が滲んでいなかった。
A:文字の輪郭が少し滲んでいたが、ほとんど目立たなかった。
B:半分未満の文字の輪郭が滲んでいたが、目立たなかった。
C:半分以上の文字の輪郭が滲んでいて、目立った。
(間欠吐出安定性)
得られたインクを、それぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(Pixus iP3100、キヤノン製)にセットした。温度30℃、相対湿度15%の環境のもと、記録ヘッドの吐出口を覆うキャップを外した状態で30秒放置した。その後、5ポイント、及び8ポイントの文字の記録を行った。文字の書き始めの部分の文字を目視で確認し、間欠吐出安定性を評価した。5ポイントの文字は、8ポイントの文字と比べて小さいため、文字が少しでもかすれると、判読が難しくなる。
AA:どちらの文字にもかすれがなかった。
A:どちらの文字にも軽微なかすれがあったが、5ポイントの文字は判読できた。
B:どちらの文字にも軽微なかすれがあり、5ポイントの文字は判読できなかったが、8ポイントの文字は判読できた。
C:どちらの文字にも多くのかすれがあり、8ポイントの文字も判読しづらかった。
得られたインクを、それぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(Pixus iP3100、キヤノン製)にセットした。温度30℃、相対湿度15%の環境のもと、記録ヘッドの吐出口を覆うキャップを外した状態で30秒放置した。その後、5ポイント、及び8ポイントの文字の記録を行った。文字の書き始めの部分の文字を目視で確認し、間欠吐出安定性を評価した。5ポイントの文字は、8ポイントの文字と比べて小さいため、文字が少しでもかすれると、判読が難しくなる。
AA:どちらの文字にもかすれがなかった。
A:どちらの文字にも軽微なかすれがあったが、5ポイントの文字は判読できた。
B:どちらの文字にも軽微なかすれがあり、5ポイントの文字は判読できなかったが、8ポイントの文字は判読できた。
C:どちらの文字にも多くのかすれがあり、8ポイントの文字も判読しづらかった。
実施例35及び66の、間欠吐出安定性、及び画像の滲み抑制のランクは、いずれもBだったが、他のBと比べて劣っていた。
Claims (10)
- 顔料、前記顔料を分散するための樹脂、塩、及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、
前記樹脂が、ノニオン性ユニット、アニオン性ユニット、及び芳香族基を有するユニットを持つ、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記塩が、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種のカチオン、並びにC6H5(COO−)、C6H4(COO−)2、C10H7(COO−)、C10H6(COO−)2、C6H5(SO3 2−)、CH3C6H5(SO3 2−)、C10H7(SO3 2−)、及びC10H6(SO3 2−)2からなる群より選択される少なくとも1種のアニオンで構成されることを特徴とする水性インク。 - 前記アニオンの濃度×前記アニオンの価数の値(mol/L)が、0.05mol/L以上0.35mol/L以下である請求項1に記載の水性インク。
- 前記ノニオン性ユニットが、エチレンオキサイド構造を有するユニットである請求項1又は2に記載の水性インク。
- 前記ノニオン性ユニットの前記アクリル樹脂に占める割合(質量%)が、20.0質量%以上40.0質量%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記アクリル樹脂の酸価(mgKOH/g)が、100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記ノニオン性ユニットの前記ウレタン樹脂に占める割合(質量%)が、15.0質量%以上55.0質量%以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記ウレタン樹脂の有する前記アニオン性ユニットが、ジメチロールプロピオン酸、及びジメチロールブタン酸からなる群より選択される少なくとも1種に由来するユニットである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記ウレタン樹脂の酸価(mgKOH/g)が、60mgKOH/g以上160mgKOH/g以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水性インク。
- インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えているインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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