JP2020146883A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Takahiro Tajima
孝広 田嶋
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Abstract

【課題】廃インク収容部での廃インク堆積を抑制しながら、発色性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】第1インク及び第2インクをそれぞれ吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、画像の記録に用いない第1インクと第2インクを吐出口から排出及び混合した後に廃インク収容部に直接滴下する、吐出口からの第1インク及び第2インクの吐出状態を回復させる回復機構と、を備えたインクジェット記録装置を使用して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。第1インクが、顔料を含有する水性インクであり、第2インクが、第1ウレタン樹脂を含有する水性インクであり、第1インクの45質量%が蒸発した第1蒸発インクの粘度が、25mPa・s以上500mPa・s以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
近年、文字や図表を含むビジネス文章を普通紙などの記録媒体に印刷する場合にインクジェット記録方法が利用されており、このような用途への利用頻度が格段に増加している。このような用途では、記録される画像に高いレベルの発色性や、光、オゾンガス、水などへの耐性(いわゆる堅牢性)が要求される。このような要求に応えるべく、例えば、顔料を色材として含有する水性の顔料インクが提案されている(特許文献1)。
染料を色材として含有する染料インクで記録した画像と比べて、顔料インクで記録した画像の発色性が高い要因は、顔料インクを用いた方が記録媒体の表面上に存在する色材量が多くなる点にある。染料は記録媒体の内部にまで浸透しやすいのに対し、顔料は記録媒体の内部にまで浸透しにくく、インク中の液体成分の蒸発などによって急速に凝集して記録媒体の表面上に残存するといった特性を有する。すなわち、画像の発色性を向上させるには、液体成分の蒸発時の顔料の凝集性を高めることが重要である。しかし、顔料の凝集性を高めたインクは、吐出口からのインクの吐出状態を回復させる回復機構を構成する廃インク収容部において顔料が凝集してしまい、廃インク堆積といった課題が発生しやすい。
特開2016−068538号公報
本発明者らは、特許文献1で提案されたインクで記録した画像の発色性を確認するとともに、廃インク収容部で廃インク堆積が生ずるか否かについて検討した。その結果、廃インク堆積の発生はある程度抑制される一方で、画像の発色性が不十分になることが判明した。
したがって、本発明の目的は、廃インク収容部での廃インク堆積を抑制しながら、発色性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、第1インク及び第2インクをそれぞれ吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、画像の記録に用いない前記第1インクと前記第2インクを前記吐出口から排出及び混合した後に廃インク収容部に直接滴下する、前記吐出口からの前記第1インク及び前記第2インクの吐出状態を回復させる回復機構と、を備えたインクジェット記録装置を使用して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記第1インクが、顔料を含有する水性インクであり、前記第2インクが、第1ウレタン樹脂を含有する水性インクであり、前記第1インクの45質量%が蒸発した第1蒸発インクの粘度が、25mPa・s以上500mPa・s以下であることを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、廃インク収容部での廃インク堆積を抑制しながら、発色性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録装置を構成する回復機構の一例を示す模式図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)、常圧(1気圧)における値である。樹脂の「ユニット」とは、1の単量体に由来する繰り返し単位を意味する。また、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を意味する。
画像の発色性を向上させるには、記録媒体上で水分を含む液体成分が蒸発したインク(以下、「蒸発インク」とも記す)中の顔料の凝集性を高めることが重要である。そこで、本発明者らは、画像の発色性及び蒸発インク中の顔料の凝集性と相関関係を有するインクの物性について検討した。その結果、画像の発色性は、水分を含む液体成分が45質量%蒸発したインク(蒸発インク)の粘度と高い相関関係を有することが判明した。記録ヘッドの吐出口から吐出されたインク中の45質量%程度の液体成分は、記録媒体に付着するまでの過程や記録媒体に浸透する過程で蒸発すると推測される。また、インク中における顔料の粒子径とインクの粘度は、高い相関関係を有する。このため、画像の発色性は、液体成分が45質量%蒸発したインクの粘度と高い相関関係を有すると考えられる。
次いで、本発明者らは、45質量%が蒸発した顔料インクの粘度と、記録される画像の発色性との関係について検討した。その結果、45質量%が蒸発した蒸発インクの粘度が25mPa・s以上であるインクで記録した画像の発色性が向上することが判明した。しかし、蒸発インクの粘度が25mPa・sであるインクを用いると、回復機構により回収した廃インク中の顔料が液体成分の蒸発により凝集し、廃インク収容部で堆積してしまう、いわゆる廃インク堆積といった新たな課題が発生することがわかった。
本発明者らは、45質量%が蒸発した蒸発インクの粘度が25mPa・s以上である第1インクと、第1インク以外の水性インクである第2インクとを混合した後、廃インク収容部に滴下する機構について検討した。その結果、廃インク堆積がある程度抑制されることがわかった。第1インクと第2インクが混ざり合うことで、第2インク中の水分が第1インク中へと持ち込まれる。これにより、第1インクの水分の蒸発に伴う顔料の凝集が抑制され、廃インク堆積がある程度抑制されると考えられる。そして、第1インクの液体成分の蒸発に伴う顔料の凝集をさらに抑制すべく、第1インクと第2インクを混合した後、スポンジなどの吸収部材を介在させず、廃インク収容部に直接滴下する機構について検討した。その結果、廃インク堆積はさらに抑制されたものの、未だ十分なレベルには至らないことが判明した。
廃インク収容部では、液体成分の蒸発に伴って廃インク中の顔料が凝集する。このため、廃インク堆積を抑制するには、液体成分が蒸発した第1インクの流動性を高めることが重要であると推測し、第1インクから液体成分が蒸発した蒸発インクの粘度に着目した。具体的には、第1インクの45質量%が蒸発した第1蒸発インクの粘度を500mPa・s以下に設定した場合について検討した。その結果、液体成分の蒸発に伴う廃インク中の顔料の凝集はある程度抑制されたものの、未だ十分なレベルには至らないことがわかった。
次いで、本発明者らは、第2インクに水溶性のアクリル系樹脂を含有させることについて検討した。その結果、廃インク堆積はある程度抑制されるものの、未だ十分なレベルには至らないことが判明した。第1インクと第2インクが混ざると、第2インク中の水溶性のアクリル系樹脂が第1インク中の顔料に吸着し、顔料粒子間で立体反発力が作用するようになる。立体反発力が作用することで、液体成分が蒸発しても顔料が凝集しにくくなり、廃インク堆積がある程度抑制されたと考えられる。
さらに、本発明者らは、第2インク中にウレタン樹脂を含有させることについて検討した。その結果、廃インク堆積が有効に抑制されることが判明した。インクジェット用の水性インクに一般的に用いられるウレタン樹脂は、ウレタン結合やウレア結合などの水素結合性を持つ構造が集合してハードセグメントを構成するとともに、ポリオールなどに由来するユニットが柔軟性を担保するソフトセグメントを構成する。そして、ウレタン結合やウレア結合が集合したハードセグメントはウレタン樹脂のなかでも疎水性が低くなりやすいので、顔料に対する吸着効率が高くなり、ソフトセグメントが立体障害となって、顔料粒子間の立体反発力が強くなる。その結果、ウレタン樹脂を含有する第2インクを用いることで、廃インク堆積が有効に抑制されたと考えられる。
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法は、第1インク及び第2インクをそれぞれ吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、吐出口からのインクの吐出状態を回復させる回復機構と、を備えたインクジェット記録装置を使用して記録媒体に画像を記録する方法である。回復機構は、画像の記録に用いない第1インクと第2インクを吐出口から排出及び混合した後に、例えば密閉状態で送液可能な送液部材(チューブなど)を介して廃インク収容部に直接滴下する機構である。また、本発明のインクジェット記録装置は、このインクジェット記録方法に用いる装置であり、第1インク及び第2インクをそれぞれ吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、吐出口からのインクの吐出状態を回復させる回復機構とを備える。
図1は、本発明のインクジェット記録装置を構成する回復機構の一例を示す模式図である。図1に示す回復機構100は、第1インク及び第2インクに対応する吐出口をそれぞれキャッピングするキャップ10、12と、キャップ10、12でキャッピングした吐出口から第1インクと第2インクを一括して吸引する吸引手段(不図示)とを備える。吸引手段としては、一般的なインクジェット記録装置に配設されるチューブポンプなどを挙げることができる。第1インク及び第2インクをそれぞれ吐出する吐出口は、記録ヘッド20、22の下面(吐出口面)にそれぞれ形成されている。記録ヘッド20は、例えばブラックインクなどの第1インクが収容されたインク収容部30に接続されている。また、記録ヘッド22は、例えばカラーインクなどの第2インクが収容されたインク収容部32に接続されている。キャップ10、12は、非記録時に記録ヘッド20、22を保護したり、吐出口からのインクの蒸発を軽減したりすべく、吐出口が形成された吐出口面を覆うようにキャッピングする部材である。
吐出口からのインクの吐出状態を回復させるための回復動作は、例えば、以下のように実施される。吐出口をキャップ10、12で覆うとともに、チューブポンプなどの吸引手段の駆動によりチューブ40、42内を負圧にする。チューブ40、42内を負圧にすることで、キャップ10、12で覆った吐出口から第1インク及び第2インクを一括して吸引して排出させることができる。吐出口から排出させたインクは、キャップ10、12に接続したチューブ40、42内をそれぞれ流動した後、チューブ連結部50で混合され、廃インク収容部60に直接滴下される。
第1インクと第2インクを混合することなく、それぞれ廃インク収容部に滴下すると、第1インク中の顔料が廃インク収容部で凝集してしまい、廃インク堆積が発生しやすい。また、第1インクと第2インクを混合した混合インクを廃インク収容部に直接滴下せず、例えば、スポンジなどの吸収部材に一旦吸収させたり、空気に曝される状態に置いたりすると、混合インク中の液体成分の蒸発が進行してしまう。このため、廃インク中の顔料が廃インク収容部で凝集してしまい、廃インク堆積が発生しやすくなる。
回復機構100は、第1インク及び第2インクに対応する吐出口をそれぞれキャッピングするキャップ10、12と、キャップ10、12でキャッピングした吐出口から第1インクと第2インクを一括して吸引する吸引手段とを備えることが好ましい(図1)。このようなキャップと吸引手段を有する回復機構を備えたインクジェット記録装置を使用すると、吐出口から排出させた第1インクと第2インクを効果的に混合することができるので、廃インク堆積の抑制効果をより向上させることができる。
吸引手段を駆動させて、下記式(1)の関係を満たすように吐出口から第1インクと第2インクを一括して吸引することが好ましい。下記式(1)の関係を満たすように吐出口から第1インクと第2インクを一括して吸引することで、廃インク堆積の抑制効果をより向上させることができる。
(A/3)≦B ・・・(1)
A:第1インクの吸引量(g)
B:第2インクの吸引量(g)
記録ヘッドの吐出口からインクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式を挙げることができる。なかでも、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが好ましい。特定の第1インク及び第2インクを用いること、及び特定の回復機構を備えたインクジェット記録装置を使用すること以外、インクジェット記録方法の各工程は、公知のインクジェット記録方法と同様にすればよい。
(水性インク)
本発明のインクジェット記録方法では、水性インクである第1インク及び第2インクを使用する。第1インクは、顔料を含有する水性インクである。また、第2インクは、第1ウレタン樹脂を含有する水性インクである。以下、インクを構成する成分などについて説明する。以下、単に「インク」というときは、第1インクと第2インクのいずれをも意味する。
[顔料]
顔料は、インク中の液体成分の蒸発などによって急速に凝集する特性を有する。このため、顔料を含有する第1インクを用いることで、光学濃度が高く、発色性に優れた画像を記録することができる。一方、染料のみを色材として含有するインクを用いると、染料は記録媒体の内部にまで浸透するので、画像の発色性が不十分になりやすい。第2インクは、顔料を含有する顔料インクであってもよい。
顔料としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドンなどの有機顔料を挙げることができる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどいずれのカーボンブラックも使用することができる。調色などの目的のために、染料を併用してもよい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.50質量%以上10.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを挙げることができる。樹脂分散顔料に用いる樹脂(分散剤)は、アニオン性基を有する単量体に由来するアニオン性ユニットを含むことが好ましい。アニオン性基としては、カルボン酸基が好ましい。カルボン酸基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのα,β−エチレン性不飽和結合を有する単量体を挙げることができる。α,β−エチレン性不飽和結合を有する単量体は、カルボン酸無水物やカルボン酸塩であってもよい。カルボン酸塩としては、リチウム、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、並びに有機アンモニウム塩を挙げることができる。カルボン酸基を有する単量体は、(メタ)アクリル酸であることが好ましい。
分散剤として用いる樹脂は、さらに、アニオン性基を有しない単量体に由来するユニットを含むことが好ましい。アニオン性基を有しない単量体としては、スチレン、スチレン誘導体、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する単量体;(メタ)アクリル酸エステルなどの脂肪族基を有する単量体などの疎水性単量体を挙げることができる。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(−R−)を介して結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合において、カウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウムなどを挙げることができる。他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。
自己分散顔料を顔料として用いることが好ましく、顔料種はカーボンブラックであることが好ましい。自己分散顔料は、樹脂分散顔料に比して顔料粒子同士の立体反発力が生じにくい。このため、樹脂分散顔料に比して、自己分散顔料のほうが液体成分の蒸発によってより急速に凝集しやすく、発色性にさらに優れた画像を記録することができる。また、樹脂分散顔料は凝集すると、樹脂分散剤が顔料から剥がれやすくなる。このため、凝集した樹脂分散顔料に水を加えても、顔料近傍に存在する分散剤の量が少ないため、再分散させることは困難な場合がある。これに対して、自己分散顔料は顔料の粒子表面に親水基が存在するため、凝集した場合であっても水を加えることで再分散させやすい。したがって、自己分散顔料が廃インク収容部で凝集した場合であっても、廃インクが上掛けされることで再分散しやすく、廃インク堆積がより生じにくくなる。
[染料]
第2インクには、染料を色材として含有させることができる。第2インク中の染料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上15.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。
染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができる。なかでも、アニオン性基を有する染料を用いることが好ましい。染料骨格の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、フタロシアニン、アザフタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどを挙げることができる。
[ウレタン樹脂]
第2インクは第1ウレタン樹脂を含有する。第1ウレタン樹脂を含有する第2インクを用いることで、廃インク堆積の発生を抑制することができる。また、第1インクは、さらに第2ウレタン樹脂を含有することが好ましい。第2インクに含有させる第1ウレタン樹脂と、第2インクに含有させる第2ウレタン樹脂は、同一の樹脂であってもよく、異なる樹脂であってもよい。以下、単に「ウレタン樹脂」というときは、第1ウレタン樹脂と第2ウレタン樹脂のいずれをも意味する。第1インクが第2ウレタン樹脂を含有しないと、第1インク中の顔料にウレタン樹脂が吸着しないため、第1インク中の顔料粒子同士の立体反発力が弱く、廃インク堆積の抑制の程度がやや劣る場合がある。インク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
第1インク中、第2ウレタン樹脂の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.25倍以上1.00倍以下であることが好ましい。上記の質量比率が0.25未満であると、顔料に対する第2ウレタン樹脂の量が少ないため、第2ウレタン樹脂が顔料に吸着しにくくなる。これにより、第2ウレタン樹脂による顔料粒子同士の立体反発力が弱く、廃インク堆積を抑制する程度がやや劣る場合がある。一方、上記の質量比率が1.00超であると、顔料に対する第2ウレタン樹脂の量が多い。このため、顔料に吸着せずインク中に溶解している第2ウレタン樹脂の量が多くなり、液体成分が蒸発した第1インク(第1蒸発インク)の粘度が上昇してしまい、廃インク収容部で顔料が凝集しやすくなる。その結果、廃インク堆積を抑制する程度がやや劣る場合がある。
ウレタン樹脂は、例えば、ポリイソシアネートと、それと反応する成分(ポリオールやポリアミン)とを反応させて得ることができる。また、架橋剤や鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。
〔ポリイソシアネート〕
ポリイソシアネートは、その分子構造中に2以上のイソシアネート基を有する化合物である。ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネートや芳香族ポリイソシアネートなどを用いることができる。脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどの鎖状構造を有するポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの環状構造を有するポリイソシアネート;などを挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
〔ポリオール〕
上記のポリイソシアネートとの反応によってウレタン樹脂を構成するユニットとなる成分としては、ポリオールを用いることができる。本発明における「ポリオール」とは、分子中に2以上のヒドロキシ基を有する化合物を意味する。具体的には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの酸基を有しないポリオール;酸基を有するポリオール;などを挙げることができる。
酸基を有しないポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの数平均分子量が450〜4,000程度である長鎖ポリオールなどを挙げることができる。
酸基を有するポリオールとしては、構造中に、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などの酸基を含むポリオールを挙げることができる。特に、酸基を有しないポリオールに加えて、ジメチロールプロピオン酸やジメチロールブタン酸などの酸基を有するポリオールをさらに用いて合成されたウレタン樹脂を用いることが好ましく、水溶性のウレタン樹脂を用いることがさらに好ましい。酸基は塩の形態であってもよい。塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。水溶性ウレタン樹脂が酸基を有する場合、通常、酸基がアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)の水酸化物やアンモニア水などの中和剤により中和されることで水溶性を呈する。
〔ポリアミン〕
ポリアミンとしては、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミンなどの複数のヒドロキシ基を有するモノアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの2官能ポリアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンポリイミンなどの3官能以上のポリアミン;などを挙げることができる。なお、便宜上、複数のヒドロキシ基と、1つの「アミノ基、イミノ基」を有する化合物も「ポリアミン」として列挙した。
〔架橋剤、鎖延長剤〕
ウレタン樹脂を合成する際には、架橋剤や鎖延長剤を用いることができる。通常、架橋剤はプレポリマーの合成の際に用いられ、鎖延長剤は予め合成されたプレポリマーに対して鎖延長反応を行う際に用いられる。基本的には、架橋剤や鎖延長剤としては、架橋や鎖延長など目的に応じて、水や、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミンなどから適宜に選択して用いることができる。鎖延長剤として、ウレタン樹脂を架橋させることができるものを用いることもできる。
〔ウレタン樹脂の物性〕
ウレタン樹脂の酸価は、60mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。ウレタン樹脂の酸価は、電位差を利用したコロイド滴定により測定することができる。ウレタン樹脂の酸価は、酸基を有するポリオールに由来するユニットの含有量や、鎖延長剤及び架橋剤に由来するユニットの含有量を適宜変更することで調整することができる。ウレタン樹脂の重量平均分子量は、5,000以上25,000以下であることが好ましい。ウレタン樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である。
[水性媒体]
インクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.00質量%以上70.00質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
[その他の成分]
インクには、さらに、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの25℃で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。
また、インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有させてもよい。
[物性]
25℃におけるインクのpHは、5.0以上10.0以下であることが好ましく、7.0以上9.5以下であることがさらに好ましい。25℃におけるインクの表面張力(静的表面張力)は、30mN/m以上50mN/m以下であることが好ましい。25℃におけるインク(非蒸発インク)の粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましい。
第1インクの表面張力γと、第2インクの表面張力γとの差(γ−γ)は、3mN/m以上であることが好ましく、4mN/m以上であることがさらに好ましく、5mN/m以上であることが特に好ましい。第1インクの表面張力γと、第2インクの表面張力γとの差が小さすぎると、第1インクと第2インクが混ざりにくくなることがあり、廃インク堆積の抑制の程度がやや劣る場合がある。第1インクの表面張力γと、第2インクの表面張力γとの差(γ−γ)は、15mN/m以下であることが好ましく、12mN/m以下であることがさらに好ましく、10mN/m以下であることが特に好ましい。
[蒸発インクの粘度]
第1インクの45質量%が蒸発した第1蒸発インクの粘度ηは、25mPa・s以上500mPa・s以下である。第1蒸発インクの粘度ηが25mPa・s未満であると、記録媒体上における顔料の凝集性が低く、画像の発色性が不十分になる。一方、第1蒸発インクの粘度ηが500mPa・s超であると、顔料の凝集性が高すぎてしまい、廃インク収容部で廃インク堆積が発生しやすくなる。
インクジェット記録方法では、複数種の液体を互いに反応させ、増粘させる技術が知られている。この場合、混合物の粘度はその組成に依存し、各液体のそれぞれについての粘度から混合物の粘度を推定するのは困難である。一方、本発明で用いる第1インク及び第2インクは混合によって増粘する反応系のインクである必要はない。したがって、水分が45質量%蒸発したときの蒸発粘度は、「第1蒸発インク≧第1蒸発インク+第2蒸発インク≧第2蒸発インク」及び「第2蒸発インク≧第1蒸発インク+第2蒸発インク≧第1蒸発インク」のいずれかの関係を満たすことになる。このように、本発明で好適に用いることができる第1インク及び第2インクは、互いに混合しても顕著に増粘しないので、混合物の粘度は、各蒸発インクの和から推定でき、以下の関係を満たすことが好ましい。すなわち、第1蒸発インクの粘度ηと、第2インクの45質量%が蒸発した第2蒸発インクの粘度ηとの和(η+η)は、300mPa・s以下であることが好ましい。第1蒸発インクの粘度と第2蒸発インクの粘度ηの和(η+η)が300mPa・s超であると、液体成分が蒸発した廃インク中の顔料の凝集性が高くなりやすく、廃インク堆積の抑制の程度がやや劣る場合がある。第1蒸発インクの粘度ηと、第2インクの45質量%が蒸発した第2蒸発インクの粘度ηとの和(η+η)は、40mPa・s以上であることが好ましい。
第1蒸発インクの粘度ηと、第2蒸発インクの粘度ηとの差(η−η)は、0mPa・s以上250mPa・s以下であることが好ましい。第1蒸発インクの粘度ηと第2蒸発インクの粘度ηの差(η−η)が0mPa・s未満であると、第1蒸発インクよりも第2蒸発インクの流動性が低く、第1インクと第2インクを混合した混合インクは、第1インクよりも高粘度である。このため、第2インク中の第1ウレタン樹脂によって第1インク中の顔料の凝集がある程度抑制されるものの、混合インクの流動性が低下して顔料が凝集しやすくなるので、廃インク堆積の抑制の程度がやや劣る場合がある。一方、第1蒸発インクの粘度ηと第2蒸発インクの粘度ηの差(η−η)が250mPa・s超であると、第1蒸発インクは第2蒸発インクよりも流動性が低く、混合インクの流動性も低下する。このため、廃インク中の顔料の凝集性が高まりやすくなり、廃インク堆積の抑制の程度がやや劣る場合がある。
第2蒸発インクの粘度ηは、40mPa・s以下であることが好ましい。第2蒸発インクの粘度ηが40mPa・s超であると、廃インク中の顔料の凝集性が高まりやすく、廃インク堆積の抑制の程度がやや劣る場合がある。第2蒸発インクの粘度ηは、10mPa・s以上であることが好ましく、20mPa・s以上であることがさらに好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
水5.5gに濃塩酸5.0gを溶かした溶液を5℃に冷却した状態とし、この状態で4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れ、撹拌して溶液の温度を10℃以下に保持しながら、5℃の水9.0gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かして得た溶液を加えた。15分間撹拌後、比表面積250m/g、DBP吸油量140mL/100gのカーボンブラック6.0gを撹拌下で加えた。さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過し、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。その後、イオン交換法によりナトリウムイオンをカリウムイオンに置換して、顔料の粒子表面に−C−(COOK)基が結合した自己分散顔料を得た。適量の水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液1を得た。
(顔料分散液2)
顔料15.0部、樹脂分散剤の水溶液30.0部、及び水55.0部を混合し、サンドグラインダーで1時間分散させた後、遠心分離して粗大粒子を含む非分散物を除去した。顔料としては、カーボンブラック(商品名「Printex85」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)を用いた。樹脂分散剤の水溶液としては、スチレン−アクリル酸共重合体(組成(モル比)=33:67)を酸価と等モル量の10%水酸化カリウム水溶液で中和し、適量のイオン交換水を添加して得た、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である水溶液を用いた。スチレン−アクリル酸共重合体の酸価は150mgKOH/gであり、重量平均分子量8,000であった。ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過した後、適量のイオン交換水を加えて顔料分散液2を調製した。顔料分散液2中の顔料の含有量は15.0%、樹脂の含有量は3.0%であった。
(顔料分散液3)
イオン交換水500.0部及びカーボンブラック(顔料)15.0部を混合し、15,000rpmで30分間撹拌して顔料を予備湿潤させた。イオン交換水4,485部を加え、高圧ホモジナイザーで分散させて分散液Aを得た。得られた分散液A中の顔料の平均粒子径は110nmであった。得られた分散液Aを高圧容器に入れて3.0MPaに加圧した後、オゾン濃度100ppmのオゾン水を導入し、顔料をオゾン酸化処理して分散液Bを得た。水酸化カリウムを用いて分散液BのpHを10.0に調整した後、固形分濃度を調整して顔料分散液3を得た。顔料分散液3には、顔料の粒子表面に−COOK基が結合した自己分散顔料が含まれていた。顔料分散液3中の顔料の含有量は15.0%であった。
(顔料分散液4)
顔料の種類をC.I.ピグメントブルー15:3に変更したこと以外は、前述の顔料分散液2の場合と同様にして顔料分散液4を得た。顔料分散液4中の顔料の含有量は15.0%、樹脂の含有量は3.0%であった。
(顔料分散液5)
C.I.ピグメントブルー15:4の粒子表面に−C−(COONa)基が結合した自己分散顔料が水中に分散された状態の顔料分散液(商品名「CAB−O−JET250C」、キャボット製)を用意した。この顔料分散液に水を加えて、顔料の含有量が15.0%となるように分散させて顔料分散液5を調製した。
(顔料分散液6)
顔料の種類をC.I.ピグメントレッド122に変更したこと以外は、前述の顔料分散液2の場合と同様にして顔料分散液6を得た。顔料分散液6中の顔料の含有量は15.0%、樹脂の含有量は3.0%であった。
(顔料分散液7)
顔料の種類をC.I.ピグメントイエロー74に変更したこと以外は、前述の顔料分散液2の調製と同様にして顔料分散液7を得た。顔料分散液7中の顔料の含有量は15.0%、樹脂の含有量は3.0%であった。
<ウレタン樹脂の合成>
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた4つ口フラスコを用意した。この4つ口フラスコに、表1に示す量(単位:部)のイソホロンジイソシアネート、ポリプロピレングリコール(数平均分子量2,000)、ジメチロールプロピオン酸、及びメチルエチルケトン300.0部を入れた。窒素ガス雰囲気下、80℃で6時間反応させた後、表1に示す量(単位:部)のエチレンジアミンを添加し、生成物が所定の重量平均分子量となるまで80℃で反応させて反応液を得た。得られた反応液を40℃まで冷却した後、イオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌しながら水酸化カリウム水溶液を添加して液体を得た。加熱減圧して得られた液体からメチルエチルケトンを留去し、ウレタン樹脂(固形分)の含有量が20.0%である、ウレタン樹脂1、2を含む液体をそれぞれ得た。ウレタン樹脂の特性を表1に示す。ウレタン樹脂の酸価は、水酸化カリウム−メタノール滴定液を用いた電位差滴定により測定した。ウレタン樹脂の重量平均分子量はGPCにより測定した。GPCの条件を以下に示す。
・装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
・カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
・移動相:テトラヒドロフラン(特級)
・流速:1.0mL/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料溶液の注入量:0.1mL
・検出器:RI(屈折率)
・ポリスチレン標準試料:PS−1及びPS−2(Polymer Laboratories製、分子量:7,500,000、2,560,000、841,700、377,400、320,000、210,500、148,000、96,000、59,500、50,400、28,500、20,650、10,850、5,460、2,930、1,300、580の17種)
Figure 2020146883
<インクの調製>
(インク1−1〜1−20、インク2−1〜2−14)
表2−1、2−2、3−1、及び3−2の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過して、各インクを調製した。表2−1、2−2、3−1、及び3−2中、「アセチレノールE100」、「アセチレノールE60」は、いずれも、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤(アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物)の商品名である。ポリエチレングリコールの数平均分子量は1,000であった。表2−1、2−2、3−1、及び3−2の下段にインクの特性を示す。「蒸発インクの粘度」は、E型粘度計(商品名「RE−80L」、TOKI製)を使用して測定した。
Figure 2020146883
Figure 2020146883
Figure 2020146883
Figure 2020146883
(インク1−21)
以下に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過して、インク1−21を調製した。樹脂分散剤としては、スチレン−アクリル酸共重合体系樹脂(商品名「ジョンクリル538J」、BASF製)を用いた。樹脂エマルジョンとしては、ウレタン樹脂(商品名「M−1064」、第一工業製薬製)のエマルジョンを用いた。得られたインク1−21中、第2ウレタン樹脂の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.10倍であった。インク1−21の表面張力γは29mN/mであり、第1蒸発インクの粘度ηは22mPa・sであった。
・C.I.ピグメントバイオレット19:5.00%
・樹脂分散剤:2.00%
・樹脂エマルジョン:0.50%
・グリセリン:12.00%
・トリエチレングリコール:7.00%
・1,2−ヘキサンジオール:3.80%
・2−ピロリドン:4.00%
・界面活性剤1(商品名「サーフィノールDF110D」、日信化学工業製):0.07%
・界面活性剤2(商品名「BYK348」、ビックケミー製):0.80%
・純水:64.83%
(インク2−15)
以下に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過して、インク2−15を調製した。樹脂分散剤及び樹脂エマルジョンは、インク1−21の調製に用いたものと同一のものである。得られたインク2−15中、第1ウレタン樹脂の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.10倍であった。インク2−15の表面張力γは29mN/mであり、第2蒸発インクの粘度ηは10mPa・sであった。
・C.I.ピグメントブルー15:3:1.00%
・樹脂分散剤:0.40%
・樹脂エマルジョン:2.10%
・グリセリン:10.00%
・トリエチレングリコール:12.80%
・1,2−ヘキサンジオール:5.00%
・界面活性剤1(商品名「サーフィノールDF110D」、日信化学工業製):0.03%
・界面活性剤2(商品名「BYK348」、ビックケミー製):0.50%
・純水:68.17%
<評価>
調製した各インクをインクカートリッジにそれぞれ充填し、表4に示す組み合わせでインクジェット記録装置に装着して以下に示す各評価を行った。以下に示す各項目の評価基準で、「AA」及び「A」、「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。結果を表5に示す。
(画像の発色性)
熱エネルギーの作用によりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「MAXIFY IB4030」、キヤノン製)にインクカートリッジを装着した。このインクジェット記録装置を使用し、1/600インチ×1/600インチの単位領域に約20ngのインク滴を付与する条件で、以下に示す4種の記録媒体にベタ画像(3cm×1cm)を記録した。反射濃度計(商品名「RD−918」、マクベス製)を使用して記録したベタ画像の光学濃度を測定した。測定した光学濃度の平均値を算出し、以下に示す評価基準にしたがって画像の発色性を評価した。
[記録媒体]
・商品名「PB−PAPER」(キヤノン製)
・商品名「CS−680」(キヤノン製)
・商品名「Canon Recycled Classic」(キヤノン製)
・商品名「hpBrightWhite」(hp製)
AA:光学濃度の平均値が1.50以上であった。
A:光学濃度の平均値が1.45以上1.50未満であった。
B:光学濃度の平均値が1.40以上1.45未満であった。
C:光学濃度の平均値が1.40未満であった。
(廃インク堆積)
以下に示す(i)及び(ii)のいずれかの機構を選択できるように、インクジェット記録装置(商品名「MAXIFY IB4030」、キヤノン製)の回復機構を改造した。さらに、記録ヘッドの吐出口から第1インクと第2インクを吸引するタイミングや吸引量を調節できるようにインクジェット記録装置を改造した。
(i)第1インクと第2インクを混合した後にチューブから廃インク収容部に直接滴下する機構
(ii)第1インクと第2インクが混合せずに、チューブから廃インク収容部にそれぞれ直接滴下する機構
このインクジェット記録装置を使用し、温度30℃、相対湿度10%の環境下、A4サイズの記録媒体(商品名「PB PAPER」、キヤノン製)3,500枚に、記録デューティが7%であるベタ画像(19cm×26cm)を10分間隔で記録した。また、100枚分の記録媒体にベタ画像を記録する毎に1回の頻度で、第1インクと第2インクをそれぞれの吐出口から吸引するように回復機構を制御した。そして、所定枚数の記録媒体にベタ画像を記録する毎に廃インク収容部の底を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって廃インク堆積を評価した。
AA:10,000枚記録後、廃インク収容部の底に廃インクが堆積していなかった。
A:5,000枚記録後、廃インク収容部の底に廃インクが堆積していなかった。
B:3,500枚記録後、廃インク収容部の底に廃インクが堆積していなかった。
C:3,500枚記録後、廃インク収容部の底に廃インクが堆積していた。
Figure 2020146883
Figure 2020146883
10、12:キャップ
20、22:記録ヘッド
30、32:インク収容部
40、42:チューブ
50:チューブ連結部
60:廃インク収容部
100:回復機構

Claims (10)

  1. 第1インク及び第2インクをそれぞれ吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、画像の記録に用いない前記第1インクと前記第2インクを前記吐出口から排出及び混合した後に廃インク収容部に直接滴下する、前記吐出口からの前記第1インク及び前記第2インクの吐出状態を回復させる回復機構と、を備えたインクジェット記録装置を使用して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記第1インクが、顔料を含有する水性インクであり、
    前記第2インクが、第1ウレタン樹脂を含有する水性インクであり、
    前記第1インクの45質量%が蒸発した第1蒸発インクの粘度ηが、25mPa・s以上500mPa・s以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記第1蒸発インクの粘度ηと、前記第2インクの45質量%が蒸発した第2蒸発インクの粘度ηとの和(η+η)が、300mPa・s以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記第1蒸発インクの粘度ηと、前記第2インクの45質量%が蒸発した第2蒸発インクの粘度ηとの差(η−η)が、0mPa・s以上250mPa・s以下である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記第2インクの45質量%が蒸発した第2蒸発インクの粘度ηが、40mPa・s以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記第1インクが、さらに第2ウレタン樹脂を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記第1インク中、前記第2ウレタン樹脂の含有量(質量%)が、前記顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.25倍以上1.00倍以下である請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記第1インクの表面張力γと、前記第2インクの表面張力γとの差(γ−γ)が、3mN/m以上である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記回復機構が、前記第1インク及び前記第2インクに対応する前記吐出口をそれぞれキャッピングするキャップと、前記キャップでキャッピングした前記吐出口から前記第1インクと前記第2インクを一括して吸引する吸引手段と、を備える請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 下記式(1)の関係を満たすように、前記吐出口から前記第1インクと前記第2インクを一括して吸引する請求項8に記載のインクジェット記録方法。
    (A/3)≦B ・・・(1)
    A:第1インクの吸引量(g)
    B:第2インクの吸引量(g)
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置であって、
    第1インク及び第2インクをそれぞれ吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、画像の記録に用いない前記第1インクと前記第2インクを前記吐出口から排出及び混合した後に廃インク収容部に直接滴下する、前記吐出口からの前記第1インク及び前記第2インクの吐出状態を回復させる回復機構と、を備え
    前記第1インクが、顔料を含有する水性インクであり、
    前記第2インクが、第1ウレタン樹脂を含有する水性インクであり、
    前記第1インクの45質量%が蒸発した第1蒸発インクの粘度ηが、25mPa・s以上500mPa・s以下であることを特徴とするインクジェット記録装置。
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