JP7391592B2 - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
近年、普通紙などの記録媒体に文字や図表などを含むビジネス文章を記録する方法として、インクジェット記録方法が利用されている。インクジェット記録方法は、液体であるインクを媒介として入力画像データを出力画像に変換する方法であり、インクを吐出する記録ヘッドの、吐出口列が形成された面(吐出口面)をクリーニングする技術が非常に重要である。
記録ヘッドは、微細な吐出口からインクを吐出して、記録媒体にインクを直接付与するデバイスであるが、記録に関与するインク以外の微小なインク滴(ミストなど)が雰囲気中に漂うことがある。記録に関与しない微小なインク滴は、記録ヘッドの吐出口の周囲に付着することがある。このような不要なインクが吐出口の周囲に付着すると、吐出されるインク滴の吐出方向がよれる、すなわちインク滴の直進性が妨げられることがある。
このような問題を解決すべく、ゴムなどの弾性材料で形成された払拭部材(ワイパ)で記録ヘッドの吐出口面をワイピングして付着物を除去する、いわゆるクリーニング手段を採用したインクジェット記録装置が提案されている。
一方、オフィスなどでのインクジェット記録装置の利用頻度の増加にともない、記録される画像の光学濃度の向上が求められている。画像の光学濃度を向上させるには、普通紙などの記録媒体の厚さ方向へのインクの浸透を抑制しつつ、記録媒体の表面近傍に色材を多く存在させるべく、高粘度のインクを用いることが有効である。
しかし、高粘度のインクを用いると、記録ヘッドの吐出口面に付着した不要なインクを十分に拭き取ることが困難になる場合がある。また、液体成分の蒸発によって吐出口面上に形成されるインクの乾燥物はさらに高粘度となるため、拭き取りがさらに困難になる。その結果、拭き残しが生じ、吐出ヨレが発生するという課題が生ずることがあった。このような課題の発生を回避すべく、例えば、吐出口面を往路及び復路の双方向でワイピングする記録ヘッドの回復方法が提案されている(特許文献1)。また、互いに交差する方向に移動する複数のワイパを用いて吐出口面をワイピングする機構を備えた液体噴射装置が提案されている(特許文献2)。
特開2016-087953号公報 特開2017-136795号公報
本発明者らは、特許文献1及び2で提案された回復方法により記録ヘッドの吐出口面をワイピングし、その拭き取り性を確認した。その結果、ワイピングの繰り返しにより、吐出口面に部分的に不要なインクが拭き取りきれない部分が生ずる場合があることが判明した。さらに、ワイピング方向の下流側に位置する吐出口列を構成する吐出口から吐出されるインクの間欠吐出安定性が低下する場合があることがわかった。「間欠吐出安定性が低下する」とは、一定時間インクが吐出されない状態が継続した場合に、一部の吐出口からインク中の液体成分が蒸発してしまい、その吐出口からのインクの吐出状態が徐々に不安定になることを意味する。そして、間欠吐出安定性が低下すると、記録される画像が乱れることになり、高品位な画像を記録することが困難になる。いわゆる「インクの固着」とは異なり、間欠吐出安定性の低下は、インクが吐出されない時間が数十秒程度と短い時間であっても生ずる課題である。
したがって、本発明の目的は、高粘度のインクを用いる場合であっても、吐出口面の拭き取り性に優れており、間欠吐出安定性に優れたインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、水性インクを吐出する複数の吐出口が所定の方向に配列されて構成された吐出口列を有する記録素子基板が配置された記録ヘッドと、前記記録素子基板の前記吐出口列が形成された面をワイピングするクリーニング手段と、を備えたインクジェット記録装置を使用して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記吐出口列は、第1インクを吐出する第1吐出口列及び第2インクを吐出する第2吐出口列を含むとともに、前記第1インクの粘度ηと、前記第2インクの粘度ηとが、η<ηの関係を満たし、前記クリーニング手段は、第1ワイパ及び第2ワイパを含み、前記第1ワイパ及び前記第2ワイパは、いずれもブレード状のワイパであり、前記第1ワイパで、前記第1吐出口列の配列方向と交差する方向に、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列の順に一度の動作で前記吐出口列が形成された面をワイピングするとともに、前記第2ワイパで、前記第1ワイパのワイピング方向とは異なり、かつ、前記第1吐出口列の配列方向に対して0°以上180°以下となる方向に、前記吐出口列が形成された面をワイピングする工程と、を有することを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、高粘度のインクを用いる場合であっても、吐出口面の拭き取り性に優れており、間欠吐出安定性に優れたインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す断面図である。 本発明のインクジェット記録装置を構成する記録ヘッド及びクリーニング手段の一例を示す模式図である。 従来のインクジェット記録装置を構成する記録ヘッドとクリーニング手段の一例を示す模式図である。 第1ワイパの動作方向を説明する模式図である。 第2ワイパの動作方向を説明する模式図である。 ワイパのワイピング方向を説明する模式図である。 記録素子基板が配置されたシリアルヘッドの一例を示す模式図である。 複数の記録素子基板がインライン状に配列されたラインヘッドの一例を示す模式図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
<インクジェット記録方法>
図2は、本発明のインクジェット記録装置を構成する記録ヘッド及びクリーニング手段の一例を示す模式図である。本発明のインクジェット記録方法は、図2に示すような、記録ヘッド20と、クリーニング手段23と、を備えたインクジェット記録装置を使用して記録媒体に画像を記録する方法である。記録ヘッド20には、水性インクを吐出する複数の吐出口が所定の方向に配列されて構成された吐出口列を有する記録素子基板24が配置されている。クリーニング手段23は、記録素子基板24の吐出口面をワイピングする手段であり、第1ワイパ21及び第2ワイパ22を含む。
吐出口列は、第1インクを吐出する第1吐出口列25及び第2インクを吐出する第2吐出口列26を含む。第1ワイパ21は、第1吐出口列の配列方向29と交差する方向に、第1吐出口列25及び第2吐出口列26の順に一度の動作でワイピングするワイパである。また、第2ワイパ22は、第1ワイパのワイピング方向30と異なる方向であるとともに、第1吐出口列の配列方向29に対して0°以上180°以下となる方向に、吐出口面をワイピングするワイパである。
従来のインクジェット記録装置は、図3に示すように、一のワイパ33で所定の方向(往方向及び復方向の少なくとも一方)にワイピングすることで、記録ヘッド20に配置された記録素子基板24の吐出口列34に付着した不要なインクを拭き取っていた。
これに対して、本発明者らは、図2に示すような、第1ワイパ21と第2ワイパ22を含むクリーニング手段23について検討した。そして、第1ワイパ21と第2ワイパ22を相互に異なる方向へと移動させて、吐出口面をワイピングした。その結果、拭き取り性は向上する一方で、第2ワイパのワイピング方向31の下流側に位置する第2吐出口列26の吐出口から吐出されるインクの間欠吐出安定性が低下することが判明した。
図4Aに示すように、第1ワイパ21によって、第1吐出口列41及び第2吐出口列42の順に矢印の方向へとワイピングすると、第1吐出口列41の周囲に付着していた不要なインクが第2吐出口列42のほうへと押し流される。そして、押し流された不要なインクは、第2吐出口列42の吐出口からインク流路内に入り込む。次いで、図4Bに示すように、第1ワイパのワイピング方向と交差する方向(第2ワイパのワイピング方向44)へと第2ワイパ22でワイピングする。これにより、第1ワイパ21で拭き取りきれなかった不要なインクが押し流され、下流側に位置する吐出口からインク流路内に入り込む。すなわち、2つのワイパによるワイピングを繰り返すことで、第2吐出口列42の吐出口のうち、第2ワイパのワイピング方向44の下流側に位置する吐出口のインク流路内に、液体成分が蒸発して増粘したインクが溜まることになる。その結果、一部の吐出口からのインクの間欠吐出安定性が低下すると考えられる。
以上のような状況の下、本発明者らは、インクの間欠吐出安定性の低下を抑制する方法について検討した。一般的に、高粘度のインクは低粘度のインクと比べて間欠吐出安定性が低下しやすい。高粘度のインクを吐出する吐出口に低粘度のインクが入り込むと、吐出口の近傍に存在するインクの粘度が低下し、間欠吐出安定性は低下しにくくなる。そこで、本発明のインクジェット記録方法では、第1吐出口列から吐出する第1インクの粘度ηと、第2吐出口列から吐出する第2インクの粘度ηとが、η<ηの関係を満たすようにした。このようにインクの粘度ηを制御することによって、より低粘度のインクが第2吐出口列の吐出口に入り込むことになり、吐出口の近傍に存在するインクの粘度が低下して、間欠吐出安定性の低下を抑制することができる。
本発明のインクジェット記録方法は、上記のように粘度ηが制御されたインクを用いる、以下の(i)及び(ii)の手順を含む工程(ワイピング工程)を有する記録方法である。
(i)第1ワイパで、第1吐出口列の配列方向と交差する方向に、第1吐出口列及び第2吐出口列の順に一度の動作でワイピングする。
(ii)第2ワイパで、第1ワイパのワイピング方向とは異なり、かつ、第1吐出口列の配列方向に対して0°以上180°以下となる方向に、吐出口面をワイピングする。
第2ワイパのワイピング方向は、第1吐出口列の配列方向と交差する方向であってもよく、図2に示すように、第1吐出口列の配列方向29と平行な方向であってもよい。但し、相互に異なる方向へとワイピングすることで拭き取り性を向上するため、第2ワイパによるワイピング方向と、第1ワイパによるワイピング方向とは、互いに異なる方向とする。また、第2ワイパによるワイピングについても、相対的に高粘度の第2インクを吐出する第2吐出口列、及び相対的に低粘度の第1インクを吐出する第1吐出口列、の順にワイピングすることは好ましくない。このため、第2ワイパのワイピング方向は、第1吐出口列の配列方向に対して0°以上180°以下となる方向とする必要がある。
(記録ヘッド)
記録ヘッドには、インクを吐出する複数の吐出口が所定の方向に配列されて構成された吐出口列を有する記録素子基板が配置されている。一の記録ヘッドに配置される記録素子基板の数は特に限定されない。なかでも、記録素子基板が複数配置されたラインヘッドを用いることが好ましい。複数の記録素子基板は、例えば、インライン状又は千鳥状に配列される。
図2に示すように、記録ヘッド20に配置される記録素子基板24は、第1吐出口列と平行に配置される、第1吐出口列25及び第2吐出口列26以外の吐出口列(第3吐出口列27、第4吐出口列28、…、第n吐出口列)をさらに有していてもよい。そして、第1ワイパにより、第1吐出口列の配列方向29と交差する方向に、第1吐出口列、第2吐出口列、第3吐出口列、第4吐出口列、…、第n吐出口列の順に一度の動作で吐出口面をワイピングすることが好ましい。さらに、第3吐出口列から吐出する水性インクを第3インク、第4吐出口列から吐出する水性インクを第4インク、…、第n吐出口列から吐出する水性インクを第nインクとする場合を想定する。この場合、第1インクの粘度η、第2インクの粘度η、第3インクの粘度η、第4インクの粘度η、…、第nインクの粘度ηが、η<η<η<η<…<ηの関係を満たすことが好ましい。これにより、多数の吐出口列を有する記録素子基板が配置された記録ヘッドを用いた場合であっても、吐出口面の拭き取り性に優れており、間欠吐出安定性に優れたインクジェット記録方法とすることができる。
(ワイパによるワイピング)
図5に示すように、第1吐出口列51の配列方向と、第1ワイパのワイピング方向55とのなす角度Dが90°±20°以内となるように、第1ワイパ21でワイピングすることが好ましい。このように第1ワイパでワイピングすることで、間欠吐出安定性をさらに向上させることができる。上記の角度Dが90°±20°の範囲外であると、第1吐出口列の配列方向に対して、第1ワイパがより斜めに交差することになる。このため、第1吐出口列を構成する複数の吐出口のなかで、第1ワイパと最初に接触する吐出口と、最後に接触する吐出口との間に生ずる時間差が大きくなり、第1吐出口列の周囲に付着した不要なインクの粘度が、液体成分の蒸発に伴い上昇しやすい。そして、粘度が上昇した不要なインクが第2吐出口列の吐出口に入り込むこととなり、間欠吐出安定性の向上効果がやや低下する場合がある。
また、図5に示すように、第1ワイパのワイピング方向55と、第2ワイパのワイピング方向56とのなす角度Dが90°±20°以内となるように、第2ワイパ22でワイピングすることが好ましい。上記条件とすることで、第1ワイパのワイピング方向と第2ワイパのワイピング方向とが直角に近くなる。これにより、できるだけ異なる角度から2回のワイピングが行われるため、吐出口面の拭き取り性をさらに向上することができる。
クリーニング工程では、第1ワイパ及び第2ワイパの順でワイピングすることが好ましい。第1ワイパで先にワイピングすることで、第1吐出口列の周囲に存在する不要なインクが第2吐出口列の周囲へと押し流されるため、第2吐出口列の吐出口のインク流路内のインクの粘度がより低下しやすくなり、間欠吐出安定性をさらに向上させることができる。
第1ワイパ及び第2ワイパは、いずれもブレード状のワイパであることが、吐出口面を払拭しやすいために好ましい。また、ブレード状の第1ワイパ及び第2ワイパを吐出口面に摺接させてワイピングすることが好ましい。第1ワイパ及び第2ワイパの材質としてはゴム弾性を有するものが好ましく、例えば、ウレタン樹脂で形成されるゴム材料(ウレタンゴム)などを挙げることができる。
(インクジェット記録装置)
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す断面図である。図1中、xは水平方向、yは記録ヘッド8の吐出口の配列方向(奥行方向)、及びzは鉛直方向をそれぞれ示す。図1に示す実施形態のインクジェット記録装置1は、記録動作も読取動作も行っていない、いわゆる待機状態にある。
図1に示すインクジェット記録装置1は、記録部2とスキャナ部3を備える複合機であり、記録動作と読取動作に関する様々な処理を、記録部2とスキャナ部3で個別に又は連動して実行する。スキャナ部3は原稿の読み取り(スキャン)を行う。本発明のインクジェット記録装置は、スキャナ部を備えない形態であってもよい。
記録部2において、筐体4の鉛直方向下方の底部には、カットシート状の記録媒体を収容するための第1カセット5A及び第2カセット5Bが着脱可能に設置されている。第1カセット5Aには、A4サイズまでの比較的小さな記録媒体が平積みで収容されている。第2カセット5Bには、A3サイズまでの比較的大きな記録媒体が平積みで収容されている。第1カセット5Aの近傍には、収容されている記録媒体を1枚ずつ分離して給送する第1給送ユニット6Aが設けられている。同様に、第2カセット5Bの近傍には第2給送ユニット6Bが設けられている。記録動作が行われる際には、いずれか一方のカセットから選択的に記録媒体が給送される。
搬送ローラ7、排出ローラ12、ピンチローラ7a、拍車7b、ガイド18、インナーガイド19、及びフラッパ11は、記録媒体を所定の方向に導くための搬送機構である。搬送ローラ7は、記録ヘッド8の上流側及び下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。ピンチローラ7aは、搬送ローラ7とともに記録媒体をニップして回転する従動ローラである。排出ローラ12は、搬送ローラ7の下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。拍車7bは、記録ヘッド8の下流側に配される搬送ローラ7及び排出ローラ12とともに記録媒体を挟持して搬送する。
ガイド18は、記録媒体の搬送経路に設けられ、記録媒体を所定の方向に案内する。インナーガイド19は、y方向に延在する部材で湾曲した側面を有し、その側面に沿って記録媒体を案内する。フラッパ11は、両面記録動作の際に、記録媒体が搬送される方向を切り替えるための部材である。排出トレイ13は、記録動作が完了し排出ローラ12によって排出された記録媒体を積載保持するためのトレイである。
記録ヘッド8はフルラインタイプの記録ヘッドであり、記録データにしたがってインクを吐出する吐出口が、y方向に沿って記録媒体の幅をカバーする範囲で複数配列されている。記録ヘッド8が待機位置にあるとき、記録ヘッド8の吐出口面8aは、図1に示すようにキャップユニット10によってキャップされている。記録動作を行う際は、吐出口面8aがプラテン9と対向するように記録ヘッド8の向きが変更される。プラテン9は、y方向に延在する平板によって構成され、記録ヘッド8によって記録動作が行われる際に、記録媒体を背面から支持する。
インクタンクユニット14は、記録ヘッド8へ供給される4種のインクをそれぞれ収容する。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14と記録ヘッド8を接続する流路の途中に設けられ、記録ヘッド8へのインクの流量を適切な範囲に調整する。メンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17を備え、所定のタイミングでこれらを作動させて、記録ヘッド8のメンテナンス動作を行う。
図1に示すインクジェット記録装置を使用すると、まず、第1カセット5A又は第2カセット5Bに収容されている記録媒体が装置内を搬送され、記録部2の記録ヘッド8により画像が記録される。画像が記録された記録媒体は、後(排紙の直前)に記録された面を重力方向の下側にして、すなわち、裏返しとなった状態で排紙トレイ13に排紙される。
(インク)
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、色材を含有するインクジェット用の水性インクである。以下、インクに用いる各成分などについて詳細に説明する。第1インク及び第2インクは、相互に反応するインクである必要はない。第1インク及び第2インクを区別する必要がない場合、これらをまとめて、単に「インク」とも記す。
[色材]
インクに含有させる色材としては、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ペリノンなどの有機顔料を挙げることができる。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。
顔料を水性媒体中に分散させるための樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させうるものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、後述するような樹脂、なかでも水溶性樹脂を用いることができる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、樹脂分散剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(-R-)を介して結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合において、カウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウムなどを挙げることができる。他の原子団(-R-)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。
染料としては、アニオン性基を有するものを用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、(アザ)フタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどの染料を挙げることができる。
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクに含有させる色材は、顔料であることが好ましい。顔料としては、自己分散顔料を用いることが好ましい。また、用いるインクのうち、第2吐出口列から吐出する第2インクに用いる顔料は、自己分散顔料であることが好ましい。インク中の液体成分の蒸発に伴って顔料が凝集しやすいため、色材として顔料を用いたインクの粘度は上昇しやすい。したがって、顔料を色材とするインクは、染料を色材とするインクと比較して、間欠吐出安定性や拭き取り性が低下しやすいといった課題が生じやすい。これに対して、本発明のインクジェット記録方法においては、顔料を色材とするインクを用いた場合であっても、吐出口面の拭き取り性及び間欠吐出安定性に優れているといった効果を得ることができる。
インクに用いる自己分散顔料のアニオン性基の量は、0.18mmol/g以上1.10mmol/g以下であることが好ましい。アニオン性基の量が0.18mmol/g未満であると、顔料の電荷反発が少なく、吐出口面と顔料が付着しやすくなるため、拭き取り性がやや低下することがある。一方、アニオン性基の量が1.10mmol/g超であると、顔料の凝集性がより強くなるため、液体成分の蒸発に伴う顔料凝集が進みやすく、インクの粘度上昇に伴って間欠吐出安定性がやや低下することがある。自己分散顔料のアニオン性基の量(mmol/g)は、顔料の単位質量当たりの値である。
自己分散顔料のアニオン性基の量は、コロイド滴定により電荷量として求めることができる。後述する実施例においては、流動電位滴定ユニット(PCD-500)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT-510」、京都電子工業製)を使用し、電位差を利用したコロイド滴定により、顔料分散液中の顔料のアニオン性基の量を測定した。この際、滴定試薬としてメチルグリコールキトサンを用いた。なお、インクから適切な方法により抽出した顔料を用いてアニオン性基の量を測定することも勿論可能である。
第1吐出口列から吐出する第1インクに用いる色材も、第2インクと同様に、顔料であることが好ましい。第1インクに用いる顔料は、自己分散顔料及び樹脂分散顔料のいずれであってもよいが、樹脂分散顔料がより好ましい。
[樹脂]
インクには、樹脂を含有させることができる。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂は、(i)顔料の分散状態を安定化させるため、すなわち、樹脂分散剤やその補助としてインクに添加することができる。また、(ii)記録される画像の各種特性を向上させるためにインクに添加することができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。また、樹脂は、水性媒体に溶解しうる水溶性樹脂であってもよく、水性媒体中に分散する樹脂粒子であってもよい。樹脂粒子は、色材を内包する必要はない。
本明細書において「樹脂が水溶性である」とは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しない状態で水性媒体中に存在することを意味する。樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、以下のようにすることができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA-EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
水溶性樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。水溶性樹脂の重量平均分子量は、3,000以上15,000以下であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂の重量平均分子量は、1,000以上2,000,000以下であることが好ましい。動的光散乱法により測定される樹脂粒子の体積平均粒子径は、50nm以上500nm以下であることが好ましい。
樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂やウレタン樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリレートに由来するユニットで構成されるアクリル系樹脂がさらに好ましい。
アクリル系樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。
親水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性モノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。疎水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、アニオン性基などの親水性基を有しない、疎水性モノマーを重合することで形成することができる。疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有するモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーなどを挙げることができる。
なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有するモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有するアクリル系樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα-メチルスチレンの少なくとも一方のモノマーに由来する疎水性ユニットとを有するアクリル系樹脂が好ましい。これらのアクリル系樹脂は、顔料との相互作用が生じやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適に利用することができる。
ウレタン系樹脂は、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得ることができる。また、鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
[水性媒体]
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
[その他添加剤]
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有させてもよい。
[インクの物性]
本発明のインクジェット記録方法では、第1吐出口列から吐出する第1インクの粘度ηと、第2吐出口列から吐出する第2インクの粘度ηとは、η<ηの関係を満たす。また、第2インクの粘度ηの値に比して、第1インクの粘度ηの値がより小さいと、第2吐出口列の吐出口のインク流路内のインクの粘度を下げやすくなるので、間欠吐出安定性をより向上させることができる。具体的には、第1インクの粘度ηの、第2インクの粘度ηに対する比率(η/η)は、0.86以下であることが好ましい。前記比率は、0.60以上であることが好ましく、0.70以上であることがさらに好ましい。
インクの粘度は、3.0mPa・s以上12.0mPa・s以下であることが好ましく、4.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。インクの粘度を4.0mPa・s以上とすることで、記録媒体の厚さ方向への色材の浸透をより抑制することができ、光学濃度をさらに高めた画像を記録することができる。インクの粘度は、色材、樹脂、水溶性有機溶剤、及び界面活性剤の種類や含有量などを選択又は設定することにより適宜調整することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(自己分散顔料のアニオン性基の量)
流動電位滴定ユニット(PCD-500)を搭載した電位差自動滴定装置を使用し、5mmol/Lのメチルグリコールキトサンを滴定試薬として用いた電位差滴定により、顔料分散液中の自己分散顔料のアニオン性基の量を測定した。電位差自動滴定装置としては、商品名「AT-510」(京都電子工業製)を使用した。
(顔料分散液1~5)
水5.5gに濃塩酸5.0gを溶かした溶液を5℃に冷却した状態とし、この状態で表1に示す使用量の4-アミノフタル酸を加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れ、撹拌して溶液の温度を10℃以下に保持しながら、5℃のイオン交換水9.0gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かして得た溶液を加えた。15分間撹拌後、カーボンブラック(比表面積220m/g、DBP吸油量105mL/100g)6.0gを撹拌下で加え、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過し、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。その後、イオン交換法によりナトリウムイオンをカリウムイオンに置換して、カーボンブラックの粒子表面に-C-(COOK)基が結合した自己分散顔料を得た。適量の水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液1~5を得た。得られた顔料分散液1~5中の自己分散顔料のアニオン性基の量を表1に示す。
Figure 0007391592000001
(顔料分散液6)
カーボンブラック(比表面積220m/g、DBP吸油量105mL/100g)をイオン交換水に予備分散させた後、8時間オゾン処理を行った。その後、水酸化カリウムを添加して混合物のpHを7程度に調整しながら、液-液衝突型の分散機を用いて混合物を3時間循環させた後、限外ろ過により精製した。次いで、水酸化カリウム水溶液でpHを10.0に調整し、カーボンブラックの粒子表面に-COOK基が結合した自己分散顔料を得た。適量の水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液6を得た。得られた顔料分散液6中の自己分散顔料のアニオン性基の量は、0.40mmol/gであった。
(顔料分散液7)
酸価160mgKOH/g、重量平均分子量10,000のスチレン-アクリル酸共重合体を10%水酸化カリウム水溶液で中和した。カーボンブラック(比表面積220m/g、DBP吸油量105mL/100g)10.0部、中和したスチレン-アクリル酸共重合体(固形分)3.0部、及びイオン交換水85.0部を混合して混合物を得た。サンドグラインダーを使用して得られた混合物を1時間分散した後、遠心分離処理して粗大粒子を除去した。さらに、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)で加圧ろ過して、カーボンブラックが樹脂によって水中に分散された状態の顔料分散液7を得た。顔料分散液7中の顔料の含有量は15.0%、樹脂分散剤の含有量は4.5%であった。
(顔料分散液8)
顔料をピグメントブルー15:3に変更したこと以外は、前述の顔料分散液7と同様の手順で顔料分散液8を得た。顔料分散液8中の顔料の含有量は15.0%、樹脂分散剤の含有量は4.5%であった。
(顔料分散液9)
顔料をピグメントレッド122に変更したこと以外は、前述の顔料分散液7と同様の手順で顔料分散液9を得た。顔料分散液9中の顔料の含有量は15.0%、樹脂分散剤の含有量は4.5%であった。
(顔料分散液10)
顔料をピグメントイエロー74に変更したこと以外は、前述の顔料分散液8と同様の手順で顔料分散液10を得た。顔料分散液10中の顔料の含有量は15.0%、樹脂分散剤の含有量は4.5%であった。
<染料水溶液の調製>
染料1(C.I.ダイレクトブラック195)及び染料2(C.I.ダイレクトイエロー132)をそれぞれ含有する染料水溶液1及び2を得た。得られた染料水溶液1及び2中の染料の含有量は、それぞれ10.0%であった。
<樹脂の合成>
(ウレタン樹脂1)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた4つ口フラスコを用意した。このフラスコに、イソホロンジイソシアネート32.0部、ヘキサメチレンジイソシアネート24.2部、数平均分子量2,000のポリプロピレングリコール111.2部、ジメチロールプロピオン酸28.7部、及びメチルエチルケトン300.0部を入れた。窒素ガス雰囲気下、80℃で6時間反応させた後、トリメチロールプロパン3.8部を添加して、イソシアネート基の存在が確認されなくなるまで80℃で反応させた。イソシアネート基の存在は、フーリエ変換型赤外分光光度計(FT-IR)を使用して分析することで確認した。40℃まで冷却した後、イオン交換水を添加して、ホモミキサーで高速撹拌しながら水酸化カリウム水溶液を添加した。加熱減圧下でメチルエチルケトンを留去し、樹脂の含有量が20.0%であるウレタン樹脂1を含む液体を得た。ウレタン樹脂1の酸価は60mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量は35,000であった。
(アクリル樹脂1)
スチレン81.0部、及びアクリル酸19.0部を常法により共重合させて、アクリル樹脂1を合成した。アクリル樹脂1の酸価と等モル量の水酸化カリウムでカルボン酸基を中和し、適量の純水を添加して、樹脂の含有量が20.00%であるアクリル樹脂1を含む液体を得た。アクリル樹脂1の酸価は148mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量は10,000であった。
<インクの調製>
表2-1及び2-2の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、各インクを調製した。表2-1及び2-2中、「アセチレノールE60」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤の商品名である。表2-1及び2-2の下段に25℃におけるインクの粘度η(mPa・s)を示す。インクの粘度η(mPa・s)は、粘度計(商品名「RE80型粘度計」、東機産業製)を使用して測定した。
Figure 0007391592000002
Figure 0007391592000003
<記録ヘッドの構成>
熱エネルギーを付与してインクを吐出させる方式の記録ヘッドA及びBを用意した。これらの記録ヘッドを構成する記録素子基板は、600dpiの配列密度で512個の吐出口が配列されて構成された吐出口列が2列分(第1吐出口列、第2吐出口列)配置されたものである。1つの吐出口から吐出されるインク滴の質量は4ngである。第1ワイパによるワイピングの上流側を第1吐出口列、下流側を第2吐出口列とする。
(記録ヘッドA)
記録ヘッドAは、図6に示すように、記録素子基板H1000が配置されたシリアルヘッド60である。この記録素子基板H1000には2色のインクをそれぞれ吐出する第1吐出口列61及び第2吐出口列62が形成されている。
(記録ヘッドB)
記録ヘッドBは、図7に示すように、隣接する記録素子基板H2000の端部同士が吐出口の配列方向において重複してつなぎ部を構成するように、複数の記録素子基板H2000がインライン状に配列されたラインヘッド70である。この記録素子基板H2000には2色のインクをそれぞれ吐出する第1吐出口列71及び第2吐出口列72が形成されている。
<クリーニング条件>
クリーニング条件(条件A~M)を表3に示す。第1ワイパ及び第2ワイパとしては、いずれもウレタン樹脂製のブレード状のワイパを用いた。
Figure 0007391592000004
<評価>
(インクジェット記録装置)
表4に示す評価条件に沿って用意したインクジェット記録装置を使用した。調製した各インクをそれぞれインク収容部に充填した後、ポンプを使用して記録ヘッドに送液した。1/600インチ×1/600インチの単位領域にインク滴を4滴付与する条件で記録した画像の記録デューティを100%と定義する。
(間欠吐出安定性)
用意した上記のインクジェット記録装置を使用し、記録デューティ100%のベタ画像を記録した。記録ヘッドAを用いた場合は、18cm×2cmのベタ画像を記録した。記録ヘッドBを用いた場合は、記録ヘッド(ラインヘッド)の長手方向18cm×紙送り方向2cmのベタ画像を記録した。画像を1枚記録するごとに1回クリーニングする条件で、50枚の画像を記録した。すなわち、50回クリーニングした。記録媒体としては、光沢紙(商品名「光沢ゴールド GL-101」、キヤノン製)を用いた。記録条件は、温度15℃、相対湿度10%とした。50枚の画像を記録(50回クリーニング)した後、記録ヘッドの吐出口を覆うキャップを外した状態で20秒放置した。その後、クリーニングしないまま、5ポイント、8ポイント、及び10ポイントの文字を記録した。記録した文字を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって間欠吐出安定性を評価した。文字が小さいほどかすれにより判読が難しくなる。以下に示す評価基準で、「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベル、「C」、「D」、及び「E」を許与できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
AA:いずれの文字にもかすれがなかった。
A:いずれの文字にも軽微なかすれがあったが、5ポイントの文字を判読できた。
B:いずれの文字にも軽微なかすれがあり、5ポイントの文字は判読できなかったが、8ポイントの文字と10ポイントの文字は判読できた。
C:いずれの文字にも多くのかすれがあり、8ポイントの文字も判読しにくかった。
D:いずれの文字にも多くのかすれがあり、10ポイントの文字も判読しにくかった。
E:いずれの文字にも多くのかすれがあり、10ポイントの文字も判読できなかった。
(拭き取り性)
用意した上記のインクジェット記録装置を使用し、記録デューティ100%のベタ画像を記録した。記録ヘッドAを用いた場合は、18cm×2cmのベタ画像と、各吐出口からの吐出状態を確認するためのパターン(ノズルチェックパターン)を記録した。記録ヘッドBを用いた場合は、記録ヘッド(ラインヘッド)の長手方向18cm×紙送り方向2cmのベタ画像と、各吐出口からの吐出状態を確認するためのパターン(ノズルチェックパターン)を記録した。画像を1枚記録するごとに1回クリーニングする条件で、5,000枚の画像を記録した。すなわち、5,000回クリーニングした。記録媒体としては、光沢紙(商品名「光沢ゴールド GL-101」、キヤノン製)を用いた。記録条件は、温度15℃、相対湿度10%とした。
5,000枚の画像を記録(5,000回クリーニング)した後に記録したノズルチェックパターンを目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって拭き取り性を評価した。以下に示す評価基準で、「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベル、「C」及び「D」を許与できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
AA:すべての吐出口から正常にインクが吐出されていた。
A:0%を超えて5%未満の吐出口でよれが生じていた。
B:5%以上10%未満の吐出口でよれが生じていた。
C:10%以上15%未満の吐出口でよれが生じていた。
D:15%以上の吐出口でよれが生じていた。
Figure 0007391592000005
1:インクジェット記録装置
2:記録部
5A:第1カセット
5B:第2カセット
7:搬送ローラ
8:記録ヘッド
13:排出トレイ
18:ガイド
20:記録ヘッド
21:第1ワイパ
22:第2ワイパ
23:クリーニング手段
25:第1吐出口列
26:第2吐出口列
29:第1吐出口列の配列方向

Claims (15)

  1. 水性インクを吐出する複数の吐出口が所定の方向に配列されて構成された吐出口列を有する記録素子基板が配置された記録ヘッドと、前記記録素子基板の前記吐出口列が形成された面をワイピングするクリーニング手段と、を備えたインクジェット記録装置を使用して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記吐出口列は、第1インクを吐出する第1吐出口列及び第2インクを吐出する第2吐出口列を含むとともに、前記第1インクの粘度ηと、前記第2インクの粘度ηとが、η<ηの関係を満たし、
    前記クリーニング手段は、第1ワイパ及び第2ワイパを含み、
    前記第1ワイパ及び前記第2ワイパは、いずれもブレード状のワイパであり、
    前記第1ワイパで、前記第1吐出口列の配列方向と交差する方向に、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列の順に一度の動作で前記吐出口列が形成された面をワイピングするとともに、前記第2ワイパで、前記第1ワイパのワイピング方向とは異なり、かつ、前記第1吐出口列の配列方向に対して0°以上180°以下となる方向に、前記吐出口列が形成された面をワイピングする工程と、を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記水性インクが、顔料を含有する請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記第2インクが、その粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料を含有する請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記自己分散顔料の前記アニオン性基の量が、0.18mmol/g以上1.10mmol/g以下である請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記第1インクが、樹脂分散剤により分散された樹脂分散顔料を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記第1インクの粘度ηの、前記第2インクの粘度ηに対する比率(η/η)が、0.86以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記第2インクが、その粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料を含有し、
    前記自己分散顔料の前記アニオン性基の量が、0.18mmol/g以上1.10mmol/g以下であり、
    前記第1インクの粘度η の、前記第2インクの粘度η に対する比率(η /η )が、0.86以下である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記水性インクの粘度が、3.0mPa・s以上12.0mPa・s以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記水性インクの粘度が、4.0mPa・s以上10.0mPa・s以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記第1吐出口列の配列方向と、前記第1ワイパのワイピング方向とのなす角度が、90°±20°以内である請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記第1ワイパのワイピング方向と、前記第2ワイパのワイピング方向とのなす角度が、90°±20°以内である請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記第1ワイパ及び前記第2ワイパの順でワイピングする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記記録ヘッドが、前記記録素子基板が複数配置されたラインヘッドである請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  14. 前記記録ヘッドが、前記記録素子基板がインライン状に複数配置されたラインヘッドである請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  15. 請求項1乃至14のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置であって、
    水性インクを吐出する複数の吐出口が所定の方向に配列されて構成された吐出口列を有する記録素子基板が配置された記録ヘッドと、前記記録素子基板の前記吐出口列が形成された面をワイピングするクリーニング手段と、を備え、
    前記吐出口列は、第1インクを吐出する第1吐出口列と、前記第1インクと異なる第2インクを吐出する第2吐出口列とを含むとともに、前記第1インクの粘度ηと、前記第2インクの粘度ηとが、η<ηの関係を満たし、前記クリーニング手段が、前記吐出口の配列方向と交差する方向に、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列の順に一度の動作で前記吐出口列が形成された面をワイピングするブレード状の第1ワイパと、前記第1ワイパのワイピング方向と異なる方向であるとともに、前記第1吐出口列の配列方向に対して0°以上180°以下となる方向に、前記吐出口列が形成された面をワイピングするブレード状の第2ワイパと、を含むことを特徴とするインクジェット記録装置。
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