JP2018104679A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐擦過性に優れる画像を記録することができるとともに、吐出よれが抑制された水性インクを提供すること。
【解決手段】 顔料、及び、ウレタン樹脂を含有するインクジェット用の水性のインクであって、前記ウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、ポリオール、及び3官能以上のポリアミン、のそれぞれに由来するユニットを有するとともに、前記ウレタン樹脂中のウレタン結合及びウレア結合の合計に占める、前記3官能以上のポリアミンに基づくウレア結合の割合(モル%)が、20モル%以下であり、かつ、ウレタン結合数の、前記ポリイソシアネート及び前記ポリオールのそれぞれに由来するユニットで構成される分子鎖の理論分子量に対する比率が、40マイクロモル以上60マイクロモル以下であることを特徴とする水性インク。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、記録媒体として普通紙などを用い、文字や図表などを含むビジネス文章などの印刷にもインクジェット記録方法が利用されており、このような用途への利用頻度が格段に増えてきている。このような用途では、高いレベルの画像の発色性や堅牢性(光、オゾンガス、水などへの耐性)が要求されるため、色材として顔料を用いたインク(顔料インク)が利用されることが多い。
色材として染料を用いたインクと比して、顔料インクで記録される画像の発色性が高い要因は、記録媒体の表面上に存在する色材量が多いためである。これは、染料は記録媒体の内部にまで浸透するのに対し、顔料はインクが記録媒体に付与される過程や付与された後に起こる液体成分の蒸発により、急速に凝集するという特性を有するためである。しかし、顔料インクは、色材である顔料が記録媒体の表面上に存在しやすいため、画像の耐擦過性が低いという課題を抱えている。
顔料インクで記録される画像特性などを向上するために、インクにウレタン樹脂を添加することが検討されている(特許文献1〜3参照)。特許文献1に記載されたインクは、架橋ウレタン樹脂を含有する。特許文献2に記載されたインクは、ヒドロキシ基を3個以上有する化合物に由来するユニットを有するとともに、ソフトセグメントにカルボン酸基が存在するウレタン樹脂を含有する。特許文献3に記載されたインクは、3官能以上のポリアミンなどによって架橋されたウレタン樹脂を含有する。
特表2007−522285号公報 特開2008−179657号公報 特開2011−144354号公報
本発明者は、上記顔料インクについて改めて検討を行った。その結果、架橋ウレタン樹脂を含有する従来のインクは、記録される画像の耐擦過性にさらなる改善の余地があることがわかった。さらに、インクジェット方式の記録ヘッドから吐出させる場合、吐出よれが生ずることもわかった。
したがって、本発明の目的は、耐擦過性に優れる画像を記録することができるとともに、吐出よれが抑制された水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明のインクは、顔料、及び、ウレタン樹脂を含有するインクジェット用の水性のインクであって、前記ウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、ポリオール、及び3官能以上のポリアミン、のそれぞれに由来するユニットを有するとともに、前記ウレタン樹脂中のウレタン結合及びウレア結合の合計に占める、前記3官能以上のポリアミンに基づくウレア結合の割合(モル%)が、20モル%以下であり、かつ、ウレタン結合数の、前記ポリイソシアネート及び前記ポリオールのそれぞれに由来するユニットで構成される分子鎖の理論分子量に対する比率が、40マイクロモル以上60マイクロモル以下であることを特徴とする。
本発明によれば、耐擦過性に優れる画像を記録することができるとともに、吐出よれが抑制された水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在し得るが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
ウレタン樹脂とは、広義には、(ポリ)イソシアネートを用いて合成される樹脂である。インクジェット用の水性インクに一般的に用いられるウレタン樹脂は、ポリイソシアネートと、それと反応する成分(ポリオールやポリアミン)を用いて合成され、必要に応じて架橋剤や鎖延長剤も用いられる。このような成分を用いて合成されたウレタン樹脂は、ハードセグメントとソフトセグメントという主に2つのセグメントで構成される。
ハードセグメントは、ポリイソシアネート、ポリアミンや酸基を有するポリオール、及び架橋剤や鎖延長剤などの、分子量が相対的に小さい化合物に由来するユニットで構成される。ハードセグメントにはウレタン結合が多く存在し、ウレタン結合間の水素結合によりハードセグメント部分が密集して存在しやすいため、ハードセグメントは主にウレタン樹脂の強度に寄与する。一方、ソフトセグメントは、酸基を有しないポリオールなどの、分子量が相対的に大きい化合物に由来するユニットで構成される。ソフトセグメントは、ハードセグメントと比較すると密集して存在しづらいため、ソフトセグメントは主にウレタン樹脂の柔軟性に寄与する。ウレタン樹脂で形成される膜(以下、ウレタン樹脂膜と呼ぶことがある)は、ハードセグメント及びソフトセグメントによってミクロ相分離構造を形成しているため、強度と柔軟性を兼ね備え、高い弾性を発現する。このようなウレタン樹脂膜の特性が、画像の耐擦過性の発現に密接に関連している。
先ず、本発明者は、顔料インクにより記録される画像の耐擦過性を高めるために、種々のウレタン樹脂について検討を行った。その結果、ウレタン樹脂をインクに添加することで、記録される画像の耐擦過性は向上したが、その一方で、インクの吐出よれが生ずることがわかった。
ウレタン樹脂を含有するインクを記録ヘッドから吐出させる際に、インクが吐出口からあふれ出ることがある。インクを吐出する間隔が長い場合(低周波数での記録の場合)は、インクがあふれ出しても、流路内のインクに引っ張られるようにして流路内に戻るため、あふれ出た状態は解消されやすい。しかし、インクを吐出する間隔が短い場合(高周波数での記録の場合)には、あふれ出たインクが流路内に戻りきらないうちに、次のインクが吐出される。このため、記録ヘッドの吐出口の周囲はインクで濡れた状態が続くことになる。すると、時間の経過とともに、吐出口の周囲に付着したインクが乾燥し、ウレタン樹脂は析出して膜化する。この膜化した部位は、それ以外の部位に比べて表面エネルギーが低くなるので、さらにインクが濡れやすくなる。このような状況が繰り返されていくと、インク滴が吐出口の周囲の付着物に引っ張られるような状態となり、インク滴の吐出方向が意図した方向からずれてしまう。この現象が「吐出よれ」である。吐出よれはインクの吐出方式に関わらずに生ずる現象であり、インク滴の吐出方向のずれは、インクが吐出された直後は小さくても、記録媒体に到達するまでの間に大きくなる。吐出よれが生ずると、記録媒体におけるインクドットの付着位置が意図した位置とは異なってしまうため、画像が乱れる。
先に述べた通り、ウレタン樹脂は、主に、ポリイソシアネートと、それと反応する成分を用いて合成される。水性インクに用いるウレタン樹脂の酸価を上げる場合、通常は酸基を有するポリオールなどの分子量が比較的小さい化合物の使用量を多くすることになる。すると、酸基を有しないポリオールの使用量は必然的に少なくなる。これにより、ウレタン樹脂中のウレタン結合が増加するとともに、ソフトセグメントが減少して、ウレタン樹脂膜の柔軟性が低下する傾向となる。このように、酸価を上げることによって、インク蒸発時のウレタン樹脂の液体成分に対する再溶解性が高まり、インクの吐出よれは抑制されるが、画像の耐擦過性が低下することになる。
本発明者は、ウレタン樹脂の親水性を高める検討を行った。この際、酸基を有するポリオールの使用量を多くすることによってウレタン樹脂の親水性を高めるという手法ではなく、ウレタン樹脂における各種の結合、すなわち、ウレタン結合とウレア結合の比率をコントロールすることについて検討を行った。具体的には、3官能以上のポリアミンに基づくウレア結合と、ポリイソシアネートとポリオールで形成される分子鎖におけるウレタン結合と、について検討を行った。
3官能以上のポリアミンに由来するユニットを組み込んだウレタン樹脂は、イソシアネート基とアミノ基の反応によって形成されるウレア結合を持つ。ウレタン樹脂鎖は、このウレア結合を基点として分岐するため、3次元架橋構造を取る。その結果、ウレタン樹脂膜の強度が高まり、耐擦過性が向上しやすい。
また、ウレア結合(−NH−CO−NH−)は2つのイミノ基を有するが、ウレタン結合(−NH−COO−)が有するイミノ基は1つのみあるため、ウレタン結合と比較して、ウレア結合は顔料を分散させる成分とより強い水素結合を形成する。そのため、同量の結合が存在するウレタン樹脂という前提で比較すると、ウレタン結合よりもウレア結合のほうが顔料と相互作用しやすい。したがって、ウレタン樹脂の有する結合という点では、ウレア結合が多い方が、インクが記録媒体に付与された後にも、ウレタン樹脂が顔料の粒子近傍に存在しやすいので、耐擦過性の向上に有利である。
一方、ウレタン樹脂が有するウレア結合が多いということは、吐出よれの観点では不利な方向である。ウレア結合が多いウレタン樹脂は、複数のウレア結合間に生ずる相互作用により樹脂鎖が折りたたまれたような状態で存在しやすい。ウレタン樹脂を含有するインクが吐出口の周囲に付着し、インクが蒸発すると、ウレタン樹脂が析出する。このようにして一旦析出したウレタン樹脂は、次に付着してきたインクによっても溶解されにくい(再溶解性が低い)ので、強固に付着して、吐出よれを引き起こす原因となる。
つまり、ウレタン樹脂に関して、架橋と凝集抑制との両立を図る手法が必要であるということになる。これを達成するために本発明者が検討を行った結果、以下の2つの条件を見出した。それぞれの条件について説明する。
1つ目は、ウレタン樹脂中のウレタン結合及びウレア結合の合計に占める、3官能以上のポリアミンに基づくウレア結合の割合が20%以下であるという条件である。この条件は、3官能以上のポリアミンに由来するユニットと、ポリイソシアネートに由来するユニットと、で形成されるウレア結合がどの程度存在するかを示す指標である。3官能以上のポリアミンに由来するユニットは、ウレタン樹脂の架橋点となって耐擦過性の向上に寄与するとともに、ウレア結合に起因する相互作用により吐出よれを生じさせるため、ある程度は存在するが、多すぎないことが重要である。前記割合が20%超であると、ウレタン樹脂が凝集しやすくなり、吐出よれを抑制できない。
2つ目は、ウレタン結合数の、ポリイソシアネート及びポリオールのそれぞれに由来するユニットで構成される分子鎖の理論分子量に対する比率が40マイクロモル以上60マイクロモル以下であるという条件である。この比率の算出方法の詳細については後述する。この条件は、単位分子量当たりにどの程度のウレタン結合が存在するかを示す指標である。単位分子量当たりのウレタン結合数は、ウレタン樹脂の分子鎖に存在する複数のウレタン結合間における相互作用の強さと相関がある。前記比率が40マイクロモル未満であると、単位分子量当たりのウレタン結合数が少ないため、相互作用が弱くなり、ウレタン樹脂膜の強度も低くなるため、耐擦過性が不十分となる。一方、前記比率が60マイクロモル超であると、単位分子量当たりのウレタン結合数が多いため、相互作用が強くなり、ウレタン樹脂の再溶解性が低くなるので、吐出よれを抑制できない。
本発明のインクに含有させるウレタン樹脂の特徴は以下のようにまとめられる。先ず、3官能以上のポリアミンに由来するユニットを組み込むことによってウレタン樹脂鎖を物理的に架橋させ、耐擦過性を向上し得るようなウレタン樹脂膜の強度を達成する。これに加えて、ポリアミンに基づくウレア結合(すなわち、架橋点)間の分子鎖に存在するウレタン結合数をコントロールすることによって、耐擦過性と吐出よれの抑制を両立し得る適度な凝集性をウレタン樹脂に持たせる。これらをすべて満たすことで、耐擦過性と吐出よれの抑制という相反し得る特性を両立することができる。
<インク>
以下、本発明のインクジェット用の水性インクを構成する各成分について詳細に説明する。
(ウレタン樹脂)
上述の通り、インクジェット用の水性インクに一般的に用いられるウレタン樹脂は、少なくとも、ポリイソシアネートと、それと反応する成分(ポリオールやポリアミン)を用いて合成され、必要に応じて架橋剤や鎖延長剤も用いられる。本発明のインクに用いるウレタン樹脂は、ポリイソシアネート、ポリオール、及び3官能以上のポリアミンを用いて合成することができる。このウレタン樹脂は、ウレタン結合及びウレア結合の合計に占める、3官能以上のポリアミンに基づくウレア結合の割合(モル%)が、20モル%以下であることを要する。さらに、このウレタン樹脂は、ウレタン結合数の、ポリイソシアネート及びポリオールのそれぞれに由来するユニットで構成される分子鎖の理論分子量に対する比率が、40マイクロモル以上60マイクロモル以下であることを要する。本発明においては、ウレタン樹脂についての「ユニット」とは、1の単量体に由来する繰り返し単位のことを指すものとする。以下、合成によりウレタン樹脂の構成ユニットとなる各単量体について説明する。
なお、ウレタン樹脂が有する特定のポリイソシアネートに由来するユニットによる作用を効率よく発揮させるためには、アクリル樹脂鎖が組み込まれているようなウレタン樹脂(いわゆるウレタン−アクリル複合樹脂)とすることはあまり好ましくない。また、活性エネルギー線硬化型のウレタン樹脂、すなわち重合性基を有するウレタン樹脂とすることもあまり好ましくない。
[ポリイソシアネート]
本発明のインクに用いるウレタン樹脂は、ポリイソシアネートに由来するユニットを有する。本発明における「ポリイソシアネート」とは、分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。ポリイソシアネートとしては、脂肪族や芳香族のポリイソシアネートなどが挙げられる。なかでも、脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、環状構造を有する脂肪族ポリイソシアネートがさらに好ましい。ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネートを用いることが好ましい。また、例えば、アロファネート構造、ウレトジオン構造、イソシアヌレート構造、ビウレット構造などを持つ多官能ポリイソシアネートを使用する場合は少量とする、又は、使用しないことが好ましい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどの鎖状構造を有するポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの環状構造を有するポリイソシアネート;などが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
なかでも、脂肪族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、環状構造を有するものを用いることがさらに好ましく、イソホロンジイソシアネートを用いることが特に好ましい。
ウレタン樹脂が有する、ポリイソシアネートに由来するユニットの割合(モル%)は、10.0モル%以上80.0モル%以下であることが好ましく、20.0モル%以上60.0モル%以下であることがさらに好ましい。
[ポリオール]
上記のポリイソシアネートとの反応によってウレタン樹脂を構成するユニットとなる成分としては、ポリオールを用いることができる。本発明における「ポリオール」とは、分子中に2以上のヒドロキシ基を有する化合物を意味し、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの酸基を有しないポリオール;酸基を有するポリオール;などが挙げられる。
ウレタン樹脂が有する、ポリオールに由来するユニットの割合(モル%)は、10.0モル%以上80.0モル%以下であることが好ましく、20.0モル%以上60.0モル%以下であることがさらに好ましい。
〔酸基を有しないポリオール〕
ポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキサイド及びポリオール類の付加重合物;(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類;などが挙げられる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどが挙げられる。また、アルキレンオキサイドと付加重合するポリオール類としては、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4−ジヒドロキシフェニルメタン、水素添加ビスフェノールA、ジメチロール尿素及びその誘導体などのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ポリオキシプロピレントリオールなどのトリオール;などが挙げられる。グリコール類としては、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの(ポリ)アルキレングリコール;エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体;などが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、酸エステルなどが挙げられる。酸エステルを構成する酸成分としては、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;前記芳香族ジカルボン酸の水素添加物などの脂環族ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの脂肪族ジカルボン酸;などが挙げられる。これらの無水物、塩、誘導体(アルキルエステル、酸ハライド)なども酸成分として用いることができる。また、酸成分とエステルを形成する成分としては、ジオール、トリオールなどのポリオール類;(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類;などが挙げられる。ポリオール類やグリコール類としては、上記のポリエーテルポリオールを構成する成分として例示したものが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、公知の方法で製造されるポリカーボネートポリオールを用いることができる。具体的には、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどのアルカンジオール系ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。また、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートなどのカーボネート成分やホスゲンと、脂肪族ジオール成分と、を反応させて得られるポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
酸基を有しないポリオールは、ポリエーテルポリオールであることが好ましく、なかでも、ポリプロピレングリコールであることがさらに好ましい。ポリプロピレングリコールは、その単位構造が、ポリエチレングリコールとポリテトラメチレングリコールの中間の炭素数を有する。したがって、ポリプロピレングリコールを用いたウレタン樹脂膜は、それらのほぼ中間的な特性を持つので、強度と柔軟性のバランスに優れるとともに、そのレベルも高い。また、ポリプロピレングリコールを用いたウレタン樹脂は、プロピレンオキサイド構造における分岐したメチル基の作用により顔料の粒子近傍に存在しやすくなる。これらの理由から、耐擦過性を特に向上することができる。
酸基を有しないポリオールの数平均分子量は、450以上4,000以下であることが好ましい。なかでも、数平均分子量が450以上4,000以下のポリエーテルポリオールを用いることが特に好ましい。数平均分子量が小さくなると、ウレタン樹脂中のウレタン結合の数が多くなることと、ポリオールの剛直性が増すことによって、ウレタン樹脂膜の強度が高まる傾向となる。また、数平均分子量が大きくなると、ポリイソシアネートの反応相手であるポリオールが少なくなるため、ウレタン樹脂中のウレタン結合の数が少なくなることと、ポリオールの伸張性が増すことによって、ウレタン樹脂膜の柔軟性が高まる傾向となる。したがって、酸基を有しないポリオールの数平均分子量を450以上4,000以下の範囲内とすることで、ウレタン樹脂膜の強度と柔軟性のバランスが良くなるため、記録される画像の耐擦過性をさらに向上することができる。一方、酸基を有しないポリオールの数平均分子量が450未満であると、ウレタン樹脂膜が硬くて脆くなるため、耐擦過性が十分に得られない場合がある。また、数平均分子量が4,000超であると、ウレタン樹脂膜の柔軟性が高くなりすぎるため、やはり、耐擦過性が十分に得られない場合がある。
ウレタン樹脂が有する、ポリオールに由来するユニットの合計量に占める、酸基を有しないポリオールに由来するユニットの割合(モル%)は、以下のようにすることが好ましい。すなわち、1.0%以上100.0モル%以下であることが好ましく、5.0モル%以上50.0モル%以下であることがさらに好ましく、5.0モル%以上40.0モル%以下であることが特に好ましい。
〔酸基を有するポリオール〕
酸基を有するポリオールとしては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などの酸基を有するポリオールが挙げられる。酸基はカルボン酸基であることが好ましい。カルボン酸基を有するポリオールとしては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸などが挙げられる。なかでも、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が好ましく、ジメチロールプロピオン酸が特に好ましい。酸基を有するポリオールの酸基は塩型であってもよく、塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のイオン、アンモニウムイオン、ジメチルアミンなどの有機アミンのカチオンなどが挙げられる。なお、汎用の酸基を有するポリオールの分子量は高くても400程度であるので、酸基を有するポリオールに由来するユニットは、基本的にはウレタン樹脂のハードセグメントとなる。
ウレタン樹脂が有する、ポリオールに由来するユニットの合計量に占める、酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合(モル%)は、以下のようにすることが好ましい。すなわち、0.0モル%以上100.0モル%以下であることが好ましく、30.0モル%以上95.0モル%以下であることがさらに好ましく、50.0モル%以上95.0モル%以下であることが特に好ましい。
[ポリアミン]
上記のポリイソシアネートとの反応によってウレタン樹脂を構成するユニットとなる成分としては、3官能以上のものを含むポリアミンを用いることができる。本発明における「ポリアミン」とは、分子中に2以上の「アミノ基、イミノ基」を有する化合物を意味する。
ポリアミンとしては、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミンなどの複数のヒドロキシ基を有するモノアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの2官能ポリアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレントリアミン、3,3−ジアミノジプロピルアミン、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンポリイミンなどの3官能以上のポリアミン;などが挙げられる。便宜上、複数のヒドロキシ基と、1つの「アミノ基、イミノ基」を有する化合物も「ポリアミン」として列挙した。なお、汎用の酸基を有するポリオールと同様に汎用のポリアミンの分子量は高くても400程度であるので、ポリアミンに由来するユニットは、基本的にはウレタン樹脂のハードセグメントとなる。ポリアミンの分子量は、50〜200であることが好ましく、80〜180であることがさらに好ましい。
なかでも、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンが好ましく、ジエチレントリアミンがさらに好ましい。これらの化合物は、「アミノ基、イミノ基」を3つ又は4つ有しながらもコンパクトな分子であるため、イソシアネート基と効率良く反応して架橋構造を形成しやすいとともに、適度な柔軟性を持っているため、ウレタン樹脂の柔軟性にも寄与するためである。
ウレタン樹脂に占める、ポリアミンに由来するユニットの割合(モル%)は、以下のようにすることが好ましい。すなわち、0.1モル%以上15.0モル%以下であることが好ましく、0.1モル%以上10.0モル%以下であることがさらに好ましく、0.5モル%以上8.0モル%以下であることがさらに好ましい。
[その他の架橋剤、鎖延長剤]
ウレタン樹脂には、3官能以上のポリアミン以外の架橋剤(「その他の架橋剤」と記載する)や鎖延長剤が用いられていてもよい。通常、架橋剤はプレポリマーの合成の際に用いられ、鎖延長剤は予め合成されたプレポリマーに対して鎖延長反応を行う際に用いられる。基本的には、架橋剤や鎖延長剤としては、架橋や鎖延長などの目的に対応して、水や、上記で挙げたポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミンなどから適宜に選択して用いることができる。鎖延長剤として、ウレタン樹脂を架橋させることができるものを用いることもできる。
[中和剤]
ウレタン樹脂が有する酸基は、アルカリ金属イオンと、アンモニウムイオン及び有機アンモニウムイオンの少なくとも一方のアンモニウム系イオンと、によって中和されていることが好ましい。そして、ウレタン樹脂が有する全ての酸基を基準とした中和率が80%以上であるとともに、アンモニウム系イオンによる中和率が1%以上45%未満であることが好ましい。全ての酸基を基準とした中和率が80%未満であると、インク中でのウレタン樹脂の凝集性が高まり、吐出よれを十分に抑制できない場合がある。全ての酸基を基準とした中和率は100%以下であることが好ましい。また、アンモニウム系イオンによる中和率が1%未満であると、ウレタン樹脂の分解に起因して生じたプロトンによるインクのpH低下が抑制できず、インク中でウレタン樹脂が不安定となり凝集性が高まる。その結果、吐出よれを十分に抑制できない場合がある。また、アンモニウム系イオンによる中和率が45%以上であると、インク蒸発時のウレタン樹脂の凝集性が高まり、吐出よれを十分に抑制できない場合がある。また、アンモニウム系イオンによる中和率は2%以上40%以下であることが好ましい。
なお、アルカリ金属イオンによる中和率は、全ての酸基を基準とした中和率と、アンモニウム系イオンによる中和率と、の兼ね合いにより決定すればよい。具体的には、アルカリ金属イオンによる中和率は45%以上99%未満であることが好ましく、46%以上98%以下であることがさらに好ましい。
アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが挙げられる。ウレタン樹脂が有する酸基をアルカリ金属イオンで中和するためには、アルカリ金属の水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を用いることができる。この場合、アルカリ金属の水酸化物のイオン解離によって生ずるアルカリ金属イオンにより、ウレタン樹脂が有する酸基が中和される。アルカリ金属イオンとしては、カリウムイオンを用いることがより好ましい。
また、アンモニウム系イオンとしては、アンモニウムイオン(NH )や、有機アンモニウムイオン(NX 、Xは水素原子又は有機基を表すとともに、Xのうち少なくとも1つは有機基である)が挙げられる。ウレタン樹脂が有する酸基をアンモニウム系イオンで中和するためには、式(1)で表される化合物や式(2)で表される化合物を用いることができる。この場合、これらの化合物のイオン化ないしはイオン解離によって生ずるアンモニウム系イオンにより、ウレタン樹脂が有する酸基が中和される。なお、以下の記載における「モノ乃至トリ」は、モノ、ジ、トリを表し、「モノ乃至テトラ」は、モノ、ジ、トリ、テトラを表す。
式(1):NR
式(1)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1乃至6のアルキル基、又は炭素数1乃至6のヒドロキシアルキル基を表す。
式(1)で表される化合物としては、アンモニア;モノ乃至トリメチルアミン、モノ乃至トリエチルアミン、モノ乃至トリプロピルアミン、モノ乃至トリブチルアミン、モノ乃至トリペンチルアミン、モノ乃至トリヘキシルアミンなどの脂肪族アミン;モノ乃至トリエタノールアミン、モノ乃至トリイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどのアルカノールアミン;などが挙げられる。
式(1)で表される化合物はインク中において以下のようにしてイオン化し、生成したアンモニウム系イオンによりウレタン樹脂の酸基が中和される。
NR+HO→NHR+OH
式(2):N
式(2)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至6のアルキル基、又は炭素数1乃至6のヒドロキシアルキル基を表す。Aは、1価のアニオンを表す。
式(2)で表される化合物としては、アンモニウム塩;モノ乃至テトラメチルアミン塩、モノ乃至テトラエチルアミン塩、モノ乃至テトラプロピルアミン塩、モノ乃至テトラブチルアミン塩、モノ乃至テトラペンチルアミン塩、モノ乃至テトラヘキシルアミン塩などの脂肪族アミン塩;モノ乃至テトラエタノールアミン塩、モノ乃至テトライソプロパノールアミン塩などのアルカノールアミン塩;などが挙げられる。式(2)で表される化合物(アンモニウム塩、アミン塩)を構成する1価のアニオン(A)としては、水酸化物イオン;ハロゲン化物イオン;1価の無機酸のアニオン;などが挙げられる。ハロゲン化物イオンとしては、フッ素イオン(F)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)などが挙げられる。1価の無機酸のアニオンとしては、硝酸イオン(NO )などが挙げられる。
式(2)で表される化合物はインク中において以下のようにしてイオン解離し、生成したアンモニウム系イオンによりウレタン樹脂の酸基が中和される。
→N+A
ウレタン樹脂の酸基を中和するためには、式(1)で表される化合物のイオン化により生成するアンモニウム系イオンを用いることが好ましく、NH(CHCHOH)(トリエタノールアミン由来のカチオン)を用いることがさらに好ましい。NH(CHCHOH)を用いることによって、ウレタン樹脂の分解に起因して生じたプロトンによるインクのpH低下を効果的に抑制できるため、吐出よれを高いレベルで抑制することができる。
ウレタン樹脂における酸基の中和剤の種類は、インクから分取したウレタン樹脂を利用して分析を行うことができる。分取したウレタン樹脂を水で希釈したものを試料として、電気泳動クロマトグラフィーにより中和剤の分離を行った後、質量分析法やNMR法などを利用して中和剤の種類の特定と定量を行う。そして、上述の方法により測定した酸価の値から、それぞれの中和剤による中和率を算出することができる。後述する実施例では、以下のようにして分析を行った。先ず、ウレタン樹脂を含む液体を水で希釈して試料を調製した。この試料を用いて、電気泳動クロマトグラフィー(商品名「Agilent 1600 CE」、アジレント・テクノロジー製)により中和剤の分離を行い、質量分析法により中和剤の種類の特定と定量を行った。このようにして得られた中和剤の種類と定量値、及び上述の方法により測定した酸価の値から、それぞれの中和剤による中和率を算出した。なお、インクジェット用の水性インクの一般的なpHであるpH5.0〜10.0程度の範囲内であれば、インクを調製する通常の手順を行っても、ウレタン樹脂の酸基の中和剤が変更されることはないと言える。
[ウレタン樹脂の物性、特性]
〔ウレタン結合及びウレア結合の合計に占める、ポリアミンに基づくウレア結合の割合〕
ウレタン樹脂中のウレタン結合及びウレア結合の合計に占める、ポリアミンに基づくウレア結合の割合(モル%)は、20モル%以下であることを要し、15モル%以下であることが好ましい。上述の通り、前記割合が20モル%超であると吐出よれを抑制できない。前記割合は、0モル%超であり、1モル%以上であることが好ましい。
ウレタン樹脂中のウレタン結合及びウレア結合の合計に占める、ポリアミンに基づくウレア結合の割合を調整する方法としては、例えば、以下の2つの方法が挙げられる。第1の方法としては、ウレタン樹脂を合成する際の3官能以上のポリアミン化合物の使用量を調整する方法が挙げられる。この方法では、ポリアミン化合物とイソシアネート基の反応により生ずるウレア結合の量をコントロールする。また、第2の方法としては、ウレタン樹脂を水に転相する際に、未反応のイソシアネート基の残存率を調整する方法が挙げられる。この方法では、水とイソシアネート基との反応により生ずるウレア結合の量をコントロールする。後述する実施例では、この第2の方法によって、ウレタン結合及びウレア結合の合計に占める、ポリアミンに基づくウレア結合の割合を調整した。
ウレタン樹脂中のウレタン結合及びウレア結合の合計に占める、ポリアミンに基づくウレア結合の割合は、以下のように求めることができる。分析対象とするウレタン樹脂は「分析方法」の項目で述べる方法で抽出したものを用いることが好ましい。
ポリアミンに基づくウレア結合は、ウレタン樹脂について、カーボン核磁気共鳴分光法(13C−NMR)により分析を行い、ポリアミンに基づくウレア結合由来のピーク位置とその積算値を求める。また、ウレタン樹脂が持つ全ての、ウレタン結合由来のピークとその積算値、及びウレア結合由来のピークとその積算値を求める。これらの積算値から、ウレタン樹脂中のウレタン結合及びウレア結合の合計に占める、ポリアミンに基づくウレア結合の割合を算出することができる。分析対象とするウレタン樹脂は「分析方法」の項目で述べる方法で抽出したものを用いることが好ましい。
なお、ウレタン樹脂中のすべてのウレア結合に占める、3官能以上のポリアミンに基づくウレア結合の割合は95モル%以上であることが好ましい。なかでも、前記割合は、100モル%、ウレタン樹脂中のウレア結合のすべてが、3官能以上のポリアミンに基づくウレア結合であることがさらに好ましい。
〔ウレタン結合数の、ポリイソシアネート及びポリオールのそれぞれに由来するユニットで構成される分子鎖の理論分子量に対する比率〕
ウレタン結合数の、ポリイソシアネート及びポリオールのそれぞれに由来するユニットで構成される分子鎖の理論分子量に対する比率は、40マイクロモル以上60マイクロモル以下であることを要する。上述の通り、前記比率が40マイクロモル未満であると、耐擦過性が不十分となり、前記比率が60マイクロモル超であると、吐出よれを抑制できない。
ウレタン結合数の、ポリイソシアネート及びポリオールのそれぞれに由来するユニットで構成される分子鎖の理論分子量に対する比率を調整する方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。すなわち、ウレタン樹脂を合成する際の、ポリイソシアネート及びポリオールの種類や使用量を調整する方法が挙げられる。
ウレタン結合数の、前記ポリイソシアネート及び前記ポリオールのそれぞれに由来するユニットで構成される分子鎖の理論分子量に対する比率は、以下のように求めることができる。分析対象とするウレタン樹脂は「分析方法」の項目で述べる方法で抽出したものを用いることが好ましい。
先ず、ウレタン結合数(マイクロモル)は、ポリオールに基づくウレタン結合のモル数から算出することができる。ポリオールに基づくウレタン結合のモル数は、ウレタン樹脂について、カーボン核磁気共鳴分光法(13C−NMR)により分析を行い、ポリオールに基づくウレタン結合由来のピーク積算値を算出する。これにより、ウレタン樹脂のポリオールに基づくウレタン結合のモル数を算出することができる。
次に、ポリイソシアネート及びポリオールのそれぞれに由来するユニットで構成される分子鎖の理論分子量は、以下の手順で求めることができる。ウレタン樹脂について、プロトン核磁気共鳴法(H−NMR)により分析を行って得られたピークの位置から、ポリイソシアネート、ポリオールなどの種類を確認する。また、ウレタン樹脂について、カーボン核磁気共鳴分光法(13C−NMR)により分析を行い、組成比を算出する。これらの分析結果から、下記式に基づいて、理論分子量を求める。下記式では簡単のために「ポリイソシアネート」などのように化合物として記載しているが、実際には「ポリイソシアネートに由来するユニット」のように、「ユニット」としての割合を利用する。数式中、分子の「化合物に由来するユニットの割合(質量%)」は、ウレタン樹脂に占めるユニットの割合(質量%)である。また、数式中、分母の「化合物に由来するユニットの割合(モル%)」は、「化合物に由来するユニットの割合(質量%)」を当該化合物の分子量で割った値である。
上記のようにして算出した、「ポリオールに基づくウレタン結合のモル数(モル)」を「理論分子量」で割り、単位をマイクロモルに換算(×10)する。このようにして、ウレタン結合数の、ポリイソシアネート及びポリオールのそれぞれに由来するユニットで構成される分子鎖の理論分子量に対する比率を算出することができる。
〔酸価〕
ウレタン樹脂の酸価は、40mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価は50mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。ウレタン樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であると、ウレタン樹脂の親水性が低すぎるため、吐出よれを十分に抑制できない場合がある。一方、ウレタン樹脂の酸価が100mgKOH/g超であると、ウレタン樹脂膜が剛直になり過ぎるため、画像の耐擦過性が十分に得られない場合がある。ウレタン樹脂の酸価は、例えば、ウレタン樹脂に占める、酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合によって調整することができる。
ウレタン樹脂の酸価は滴定法により測定することができる。後述する実施例では、流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名:AT−510;京都電子工業製)を用い、電位差を利用したコロイド滴定により、テトラヒドロフランに溶解させたウレタン樹脂について、酸価を測定した。この際、滴定試薬としては、水酸化カリウムのエタノール溶液を用いた。
〔重量平均分子量〕
ウレタン樹脂の重量平均分子量は、4,000以上25,000以下であることが好ましい。ウレタン樹脂の重量平均分子量が4,000未満であると、ウレタン樹脂膜の柔軟性が高くなりにくいため、画像の耐擦過性が十分に得られない場合がある。一方、ウレタン樹脂の重量平均分子量が25,000超であると、分子鎖の物理的な絡み合いが抑制し切れず、吐出よれを十分に抑制できない場合がある。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の値である。
〔ゲル分率〕
ウレタン樹脂のゲル分率は、0%であることが好ましい。「ゲル分率」は、樹脂を溶解しやすい溶剤であるメチルエチルケトンへのウレタン樹脂の溶解性を示し、ウレタン樹脂における架橋の程度やウレタン樹脂の凝集性の程度を示す指標となる。ゲル分率が低いほど架橋度や凝集性は低く、ゲル分率が高いほど架橋度や凝集性は高い傾向にある。ウレタン樹脂のゲル分率が0%であると、ウレタン樹脂の凝集性が低く、折りたたまれたウレタン樹脂鎖に液体成分が浸透しやすくなるため、吐出よれを高いレベルで抑制することができる。
ウレタン樹脂のゲル分率とは、ウレタン樹脂をメチルエチルケトンに溶解させたときに、溶解せずに残存している成分を「ゲル」として、このゲルの質量が、試料として用いたウレタン樹脂の質量に占める割合(質量%)を算出することで求められる。ゲル分率は以下のようにして算出する。ウレタン樹脂及び水を混合して、ウレタン樹脂を含む液体を調製する。この液体を用いて、均一な厚さを有するウレタン樹脂の皮膜(質量B)を作成し、乾固させる。この皮膜をメチルエチルケトンに浸漬させた状態で、温度23℃の環境に24時間載置する。その後、溶解せずに残存しているウレタン樹脂(ゲル、質量A)から、A/B×100(%)の式に基づいてゲル分率(質量%)を算出する。ゲル分率の下限は0質量%であり、上限は100質量%である。
〔ウレタン樹脂の状態〕
ウレタン樹脂は、インクを構成する水性媒体に溶解し、粒径を有しない状態で存在するもの(水溶性のウレタン樹脂)であっても、また、インクを構成する水性媒体に分散し、粒径を有する状態で存在するもの(水分散性のウレタン樹脂)であってもよい。水不溶性のウレタン樹脂は、樹脂粒子の状態でインク中に存在する。特に、水溶性のウレタン樹脂を用いることが好ましい。
ウレタン樹脂が「水溶性」であるか「水分散性」であるかについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。先ず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和されたウレタン樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒径を動的光散乱法により測定した場合に、粒径を有する粒子が測定された場合に、その樹脂は「樹脂粒子」であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:真球形、屈折率:1.59、とすることができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
[ウレタン樹脂の合成方法]
ウレタン樹脂の合成方法としては、従来、ウレタン樹脂の合成方法として一般的に利用されているもののいずれも利用することができる。例えば、以下の方法が挙げられる。ポリイソシアネート、及び、それと反応する化合物(ポリオールやポリアミン)を、イソシアネート基が多くなるような使用量として反応させ、分子の末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを合成する。この際、必要に応じて沸点100℃以下の有機溶剤を使用してもよく、また、中和剤を用いてプレポリマーの酸基を中和する。その後、鎖延長剤や架橋剤を含む液体中にプレポリマーを添加し、鎖延長反応や架橋反応を行う。次いで、有機溶剤を使用した場合には除去して、ウレタン樹脂を得る。
ウレタン樹脂の合成に用いる化合物(ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミンなど)の1分子当たりの反応基(イソシアネート基、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基など)の数は、所望とするウレタン樹脂の特性に合わせて決定する。例えば、1分子当たり1つの反応基を持つ化合物は、ウレタン樹脂の末端に存在するユニットとなる。また、1分子当たり2つ以上の反応基を持つ化合物は、ウレタン樹脂を構成する他のユニットに挟まれる位置に存在するユニットとなり、なかでも、1分子当たり3つ以上の反応基を持つ化合物は、ウレタン樹脂を架橋させるためのユニットとなる。ウレタン樹脂を架橋させたい場合には、所望の架橋度に応じて、構成ユニットとして1分子当たり3つ以上の反応基を持つ化合物に由来するユニットを用いればよい。逆に、ウレタン樹脂を架橋させたくない場合には、構成するユニットとして1分子当たり1つ又は2つの反応基を持つ化合物に由来するユニットのみを用いればよい。
〔分析方法〕
ウレタン樹脂の組成は、以下の方法によって分析することができる。先ず、ウレタン樹脂を含有するインクから、ウレタン樹脂を抽出する方法について説明する。具体的には、インクを80,000rpmで遠心分離して分取した上澄み液に、過剰の酸(塩酸など)を添加して析出したウレタン樹脂を抽出することができる。また、前記上澄み液を乾固させることによってウレタン樹脂を分取することもできる。また、顔料を溶解しないが、ウレタン樹脂は溶解するような有機溶剤(ヘキサンなど)を用いて、インクからウレタン樹脂を抽出することもできる。なお、インクからも分析を行うことはできるが、上述の方法によって抽出したウレタン樹脂(固形分)を用いることで、より精度が高い分析を行うことができる。
上記のようにして分取したウレタン樹脂を乾燥させた後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解させて測定対象の試料を調製する。そして、この試料について、プロトン核磁気共鳴法(H−NMR)により分析を行って得られたピークの位置から、ポリイソシアネート、ポリオール、3官能以上のものを含むポリアミンなどの種類を確認することができる。さらに、各成分の化学シフトのピークの積算値の比から、組成比を算出することもできる。また、カーボン核磁気共鳴分光法(13C−NMR)により分析を行って、酸基を有しないポリオールの単位ユニットの繰り返し数を求め、数平均分子量を算出することができる。なお、熱分解ガスクロマトグラフィーにより分析を行っても、ポリイソシアネート、ポリオール、3官能以上のものを含むポリアミンなどの種類を確認することができる。
〔含有量〕
インク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、インク全質量を基準とした、ウレタン樹脂の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上10.00倍以下であることが好ましい。前記質量比率が0.05倍未満であると、画像の耐擦過性が十分に得られない場合がある。一方、前記質量比率が10.00倍超であると、吐出よれを十分に抑制できない場合がある。
(顔料)
本発明のインクに用いる色材は、無機顔料や有機顔料などの顔料である。顔料種としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクドリンなどの有機顔料などが挙げられる。また、調色などの目的のために、顔料に加えてさらに染料などを併用してもよい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の分散方式としては、樹脂分散剤を用いる樹脂分散顔料、樹脂分散剤を必要としない自己分散顔料などのいずれの方式を採用してもよい。ウレタン樹脂の膜特性を効率よく発揮させて画像の耐擦過性を高めるためには、ウレタン樹脂と顔料との相互作用をある程度抑制することが好ましい。したがって、アクリル樹脂などの、ウレタン樹脂とは異なる樹脂を分散剤として用いた樹脂分散顔料、分散剤を必要としない自己分散顔料を使用することが好ましい。
樹脂分散顔料に用いる樹脂分散剤としては、インクジェット用のインクに使用可能な公知の(共)重合体をいずれも用いることができる。好適な樹脂分散剤としては、以下に挙げるような親水性ユニット及び疎水性ユニットを有する共重合体(アクリル樹脂など)が挙げられる。親水性ユニットとしては、(メタ)アクリル酸やその塩などの親水性単量体に由来するユニットが挙げられる。また、疎水性ユニットとしては、スチレンやその誘導体、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する単量体;(メタ)アクリル酸エステルなどの脂肪族基を有する単量体などの疎水性単量体に由来するユニットが挙げられる。
自己分散顔料としては、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(−R−)を介してアニオン性基が結合したものを用いることができる。アニオン性基としては、−COOM、−SOM、−POなどが挙げられる。Mとしては、それぞれ独立に、水素原子;アルカリ金属;アンモニウム(NH);有機アンモニウムが挙げられる。他の原子団(−R−)としては、アルキレン基;アリーレン基;アミド基;スルホニル基;イミノ基;カルボニル基;エステル基;エーテル基;これらの基を組み合わせた基などが挙げられる。
(水性媒体)
本発明のインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以上90.0質量%以下であることがさらに好ましい。
水性媒体はさらに水溶性有機溶剤を含有してもよい。水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、1価ないしは多価のアルコール、(ポリ)アルキレングリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
(インクの物性)
本発明においては、25℃における、インクのpH、静的表面張力、粘度が以下の範囲内であることが好ましい。pHは5.0以上10.0以下であることが好ましく、7.0以上9.5以下であることがさらに好ましい。静的表面張力は30mN/m以上45mN/m以下であることが好ましく、35mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。また、粘度は1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。本発明のインクを用いて記録する対象の記録媒体としては、どのようなものを用いてもよいが、普通紙や、コート層を有する記録媒体(光沢紙やアート紙)などの、浸透性を有するような、紙ベースの記録媒体を用いることが好ましい。一方、布帛などの、紙ベースではない記録媒体は用いないことが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
略称は以下の通りである。IPDI:イソホロンジイソシアネート、H12MDI:4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート、TDI:トリレンジイソシアネート、MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート、PPG:ポリプロピレングリコール、PES:ポリエステルポリオール、PC:ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、PTMG:ポリテトラメチレングリコール、PEG:ポリエチレングリコール、DMPA:ジメチロールプロピオン酸、DMBA:ジメチロールブタン酸、DETA:ジエチレントリアミン、TETA:トリエチレンテトラミン、HMTA:ヘキサメチレントリアミン、DADPA:3,3’−ジアミノジプロピルアミン、EDA:エチレンジアミン、TMP:トリメチロールプロパン、126HT:1,2,6−ヘキサントリオール、TEA:トリエタノールアミン。なお、PPG、PES、PC、PTMG、PEGに付した数値は数平均分子量である。
<ウレタン樹脂の合成>
(ウレタン樹脂1〜45)
撹拌機、温度計、冷却器、及び窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、表1に示す使用量のポリイソシアネート、酸基を有しないポリオールを入れ、窒素ガス雰囲気下、温度100℃で1時間反応させた。次いで、表1に示す使用量の酸基を有するポリオール、200.0部(ウレタン樹脂20のみ1,000部)のメチルエチルケトンを添加し、温度78℃でさらに反応させた。そして、FT−IRによりイソシアネート基の残存率を確認し、所望の残存率になるまで温度78℃で反応させた。所望の残存率となったところで、表1に示す使用量の架橋剤を添加し、温度60℃で反応させた。その後、FT−IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで反応を停止し、反応液を得た。得られた反応液を温度40℃まで冷却した後、イオン交換水を添加して、ホモミキサーで高速撹拌しながら、表1に示す種類の中和剤を、酸基の中和率が表1に示す値となる使用量で添加し、樹脂を含む液体を得た。得られた液体から、加熱減圧下でメチルエチルケトンを留去することで、ウレタン樹脂(固形分)の含有量が42.9%である、ウレタン樹脂1〜45を含む液体をそれぞれ得た。
ウレタン樹脂1〜38を含む液体を、樹脂の含有量が1.0%になるように純水で希釈して試料を調製した。この試料について、動的光散乱法による粒度分析計(商品名「UPA−EX150」、日機装製)を用い、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒の条件で粒子径を測定した。その結果、ウレタン樹脂1〜38のいずれも、粒子径は測定されず、水溶性であることが確認された。また、ウレタン樹脂1〜38のいずれについても、ウレタン樹脂中のすべてのウレア結合に占める、3官能以上のポリアミンに基づくウレア結合の割合は100モル%であった。
(ウレタン樹脂46)
特許文献1のポリウレタン分散体1の合成方法(中和に関する成分を除く)に準じてウレタン樹脂を合成した後、イオン交換水を添加して、ホモミキサーで高速撹拌しながら、中和剤を表1に示す中和率となる使用量で添加し、樹脂を含む液体を得た。得られた液体から、加熱減圧下で溶剤を留去することで、ウレタン樹脂(固形分)の含有量が42.9%である、ウレタン樹脂46を含む液体を得た。なお、メチルエチルケトンに代えてテトラヒドロフランを用いたこと以外は同様にして測定した、ウレタン樹脂46のゲル分率は0%を超えていた。
(ウレタン樹脂47)
特許文献2の合成例1の合成方法(中和に関する成分を除く)に準じてウレタン樹脂を合成した後、イオン交換水を添加して、ホモミキサーで高速撹拌しながら、中和剤を表1に示す中和率となる使用量で添加し、樹脂を含む液体を得た。得られた液体から、加熱減圧下で溶剤を留去することで、ウレタン樹脂(固形分)の含有量が42.9%である、ウレタン樹脂47を含む液体を得た。なお、メチルエチルケトンに代えてテトラヒドロフランを用いたこと以外は同様にして測定した、ウレタン樹脂47のゲル分率は0%を超えていた。
(ウレタン樹脂48)
特許文献3のPU−1の合成方法(中和に関する成分を除く)に準じてウレタン樹脂を合成した後、イオン交換水を添加して、ホモミキサーで高速撹拌しながら、中和剤を表1に示す中和率となる使用量で添加し、樹脂を含む液体を得た。得られた液体から、加熱減圧下で溶剤を留去することで、ウレタン樹脂(固形分)の含有量が42.9%である、ウレタン樹脂48を含む液体を得た。なお、メチルエチルケトンに代えてテトラヒドロフランを用いたこと以外は同様にして測定した、ウレタン樹脂48のゲル分率は0%を超えていた。
(ウレタン樹脂49)
特許文献3のPU−10の合成方法(中和に関する成分を除く)に準じてウレタン樹脂を合成した後、イオン交換水を添加して、ホモミキサーで高速撹拌しながら、中和剤を表1に示す中和率となる使用量で添加し、樹脂を含む液体を得た。得られた液体から、加熱減圧下で溶剤を留去することで、ウレタン樹脂(固形分)の含有量が42.9%である、ウレタン樹脂49を含む液体を得た。なお、メチルエチルケトンに代えてテトラヒドロフランを用いたこと以外は同様にして測定した、ウレタン樹脂49のゲル分率は0%を超えていた。
(ウレタン樹脂の合成条件、特性)
表1及び2に、上記したウレタン樹脂の合成条件、及び特性を示す。「ウレタン結合及びウレア結合の合計に占める、3官能以上のポリアミンに基づくウレア結合の割合」を「ポリアミンに基づくウレア結合の割合」と表記する。また、ウレタン結合数の、ポリイソシアネート及びポリオールのそれぞれに由来するユニットで構成される分子鎖の理論分子量に対する比率」を「ウレタン結合数/理論分子量」と表記する。ゲル分率は、メチルエチルケトンについて測定した値である(「ゲル分率」と表記)。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
20.0gのカーボンブラック、7.0mmolの((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩、20.0mmolの硝酸、及び200.0mLの純水を混合した。そして、シルヴァーソン混合機を用いて、室温にて6,000rpmで混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた20.0mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加した。この混合によって混合物の温度は60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、混合物のpHを10に調整した。30分後、20.0mLの純水を加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションを行った。イオン交換処理を行い、自己分散顔料のアニオン性基のカウンターイオンをナトリウムイオンからカリウムイオンに置換した後、顔料固形分の濃度を調整して、顔料分散液1を得た。顔料分散液1には、粒子表面に−C−CONH−CH(PO(OK)基が結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は30.0%であった。
(顔料分散液2)
5.5gの水に5.0gの濃塩酸を溶かした溶液に、温度5℃に冷却した状態で4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。次いで、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態にし、これに5℃の水9.0gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、6.0gのカーボンブラックを撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌し、スラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過した後、顔料粒子を十分に水洗し、温度110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散顔料を調製した。イオン交換処理を行い、自己分散顔料のアニオン性基のカウンターイオンをナトリウムイオンからカリウムイオンに置換した後、顔料固形分の濃度を調整して、顔料分散液2を得た。顔料分散液2には、粒子表面に−C−(COOK)基が結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は30.0%であった。
(顔料分散液3)
500.0gのカーボンブラック、45.0gのアミノフェニル(2−スルホエチル)スルホン(APSES)、900.0gの蒸留水を反応器に入れた。そして、温度55℃、回転数300rpmで20分間撹拌した。ここに、40.0gの25.0%の亜硝酸ナトリウム水溶液を15分間かけて滴下した後、さらに50.0gの蒸留水を加えた。そして、温度60℃で2時間反応させ、反応物を得た。得られた反応物を蒸留水で希釈しながら取り出し、顔料固形分の濃度を調整して、顔料の含有量が15.0%である分散液を得た。その後、遠心分離により不純物を除去し、分散液Aを得た。この分散液Aには、顔料の粒子表面にAPSESが結合した顔料が含まれていた。
この分散液A中の顔料に結合した官能基のモル数を求めるために、以下の操作を行った。ナトリウムイオン電極(1512A−10C;堀場製作所製)を用いて、分散液A中のナトリウムイオン濃度を測定し、顔料の固形分あたりのモル数(モル/g)に換算した。次いで、室温で、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)溶液に、顔料の含有量が15.0%である分散液Aを強力に撹拌しながら1時間かけて滴下し、混合物を得た。このときのPEHA溶液中のPEHAの濃度は、上記で測定したナトリウムイオンのモル数の1〜10倍量とし、溶液量は分散液Aと同量とした。この混合物を18〜48時間撹拌した後、不純物を除去し、分散液Bを得た。分散液B中には、粒子表面にAPSESを介してPEHAが結合した顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%であった。
水溶性樹脂であるスチレン−アクリル酸共重合体(重量平均分子量8,000、酸価140mgKOH/g、分散度Mw/Mn1.5〔Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量〕)を準備した。この水溶性樹脂190.0gを1,800gの蒸留水中に添加し、樹脂を中和するのに必要な水酸化カリウムを加え、撹拌により溶解させて、樹脂水溶液を得た。得られた樹脂水溶液に、顔料の含有量が10.0%である分散液Bの500.0gを撹拌しながら滴下し、混合物を得た。そして、上記の混合物を蒸発皿に移し、温度150℃で15時間加熱し、液体成分を蒸発させ、その後乾燥物を室温まで冷却した。次いで、水酸化カリウムでpHを9.0に調整した蒸留水中に、この乾燥物を添加し、分散機を用いて分散させた。さらに、撹拌下で1.0mol/Lの水酸化カリウム水溶液を添加して、液体のpHを10〜11に調整した。その後、脱塩及び精製により不純物と粗大粒子を除去し、顔料分散液3を得た。顔料分散液3には、高分子(水溶性樹脂であるスチレン−アクリル酸共重合体)を含む有機基が粒子表面に結合している樹脂結合型顔料が含まれており、顔料分の含有量は30.0%、樹脂分の含有量は15.0%であった。
(顔料分散液4)
500.0gのイオン交換水、及び、15.0gのカーボンブラックを混合し、15,000rpmで30分間撹拌して、顔料を予備湿潤させた。ここに4,485gのイオン交換水を加え、高圧ホモジナイザーで分散させて、分散液Cを得た。この分散液C中の顔料の平均粒子径は110nmであった。得られた分散液Cを高圧容器に移し、圧力3.0MPaで加圧した後、オゾン濃度が100ppmであるオゾン水を導入することによって顔料のオゾン酸化処理を行い、分散液Dを得た。水酸化カリウムを用いて分散液DのpHを10.0に調整した後、顔料固形分の濃度を調整して、顔料分散液4を得た。顔料分散液4には、粒子表面に−COOK基が結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は30.0%であった。
(顔料分散液5)
10.0gのカーボンブラック、20.0gの水溶性樹脂、70.0gの水を混合し、混合物を得た。水溶性樹脂としては、酸価200mgKOH/g、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を10.0%水酸化ナトリウム水溶液で中和したものを用いた。サンドグラインダーを用いてこの混合物を1時間分散した後、遠心分離により不純物を除去し、さらにポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行った。次いで、顔料固形分の濃度を調整して、pHが10.0である顔料分散液5を得た。顔料分散液5には、水溶性樹脂(樹脂分散剤)により分散された顔料が含まれており、顔料の含有量は30.0%、樹脂の含有量は15.0%であった。
(顔料分散液6)
10.0gのカーボンブラック、46.6gのウレタン樹脂1を含む液体、43.4gの水を混合し、混合物を得た。サンドグラインダーを用いてこの混合物を1時間分散した後、遠心分離により不純物を除去し、さらにポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行った。次いで、顔料固形分の濃度を調整して、pHが10.0である顔料分散液6を得た。顔料分散液6には、ウレタン樹脂1により分散された顔料が含まれており、顔料の含有量は30.0%、樹脂の含有量は15.0%であった。
<インクの調製>
下記に示す各成分を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。なお、アセチレノールE100は川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤(アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物)であり、イオン交換水の残部とは、インクの全成分の合計量が100.0%となる量のことである。
・顔料分散液(表3及び4に示す種類):10.0%
・ウレタン樹脂を含む液体(表3及び4に示す種類):表3及び4に示す使用量(%)
・グリセリン:9.0%
・トリエチレングリコール:5.0%
・アセチレノールE100:0.1%
・イオン交換水:残部。
<評価>
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP3100」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が28ng±10%であるインク滴を1滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義する。記録条件は、温度:23℃、相対湿度:55%とした。本発明においては以下の各評価項目の評価基準において、A、及びBを許容できるレベル、Cを許容できないレベルとした。評価結果を表3及び4に示す。なお、表3及び4には、各インクの特性も合わせて示した。
(耐擦過性)
上記のインクジェット記録装置を用いて、普通紙(商品名「PB PAPER GF−500」、キヤノン製)に、記録デューティが100%である、1.0インチ×0.5インチのベタ画像を記録した記録物を得た。記録の10分後及び1日後にそれぞれ、記録物のベタ画像の上にシルボン紙及び面圧40g/cmの分銅を置き、ベタ画像とシルボン紙を擦り合わせた。その後、シルボン紙及び分銅を取り除き、非記録部の汚れの状態を目視で確認して、以下に示す評価基準にしたがって耐擦過性の評価を行った。
A:10分後に白地部の汚れがほとんどなく、かつ、1日後に白地部の汚れがなかった
B:10分後に白地部の汚れがほとんどなく、かつ、1日後に白地部の汚れがほとんどなかった
C:10分後に白地部の汚れがあったが、目立たないレベルであり、かつ、1日後に白地部の汚れがほとんどなかった。
(吐出よれ)
上記のインクジェット記録装置を用いて、デフォルトモードで、普通紙(商品名「PBPAPER GF−500」、キヤノン製)に、記録デューティが150%である15cm×20cmのベタ画像を駆動周波数10kHzの条件で、5枚分連続して記録した。その後、PIXUS iP3100のノズルチェックパターンを記録した。得られたノズルチェックパターンを目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって吐出よれの評価を行った。
AA:ノズルチェックパターンに乱れがなかった
A:ノズルチェックパターンに不吐出はなかったが、1〜10個のノズルで乱れがあった
B:ノズルチェックパターンに不吐出はなかったが、10個を超えるノズルで乱れがあった
C:ノズルチェックパターンに不吐出があった。

Claims (8)

  1. 顔料、及び、ウレタン樹脂を含有するインクジェット用の水性のインクであって、
    前記ウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、ポリオール、及び3官能以上のポリアミン、のそれぞれに由来するユニットを有するとともに、前記ウレタン樹脂中のウレタン結合及びウレア結合の合計に占める、前記3官能以上のポリアミンに基づくウレア結合の割合(モル%)が、20モル%以下であり、かつ、ウレタン結合数の、前記ポリイソシアネート及び前記ポリオールのそれぞれに由来するユニットで構成される分子鎖の理論分子量に対する比率が、40マイクロモル以上60マイクロモル以下であることを特徴とする水性インク。
  2. 前記ウレタン樹脂の酸価が、40mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記ウレタン樹脂の重量平均分子量が、4,000以上25,000以下である請求項1又は2に記載の水性インク。
  4. 前記ウレタン樹脂のゲル分率が、0%である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
  5. 前記ウレタン樹脂が有する酸基が、アルカリ金属イオンと、アンモニウムイオン及び有機アンモニウムイオンの少なくとも一方のアンモニウム系イオンとで中和されており、かつ、前記ウレタン樹脂が有する全ての酸基を基準とした中和率が80%以上であるとともに、前記アンモニウム系イオンによる中和率が1%以上45%未満である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。
  6. インク全質量を基準とした、前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)が、前記顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上10.00倍以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
  7. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  8. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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